JP4266323B2 - ポリ乳酸水性分散液の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリ乳酸水性分散液の製造方法に関する。さらに詳しくは、粒子径が小さく、接着性、造膜性に優れたポリ乳酸水性分散液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境保全の重要性が高まり、廃棄物処理問題や資源問題の早急な解決が迫られており、地球環境保全および循環型社会構築へ向けて生分解性樹脂が注目され、開発が進められている。
【0003】
生分解性樹脂は、土壌中、海水中、河川、湖沼等に存在する微生物により分解されるため環境適合性があり、また、焼却時に有害ガスを発生しない等の利点がある。このような生分解性樹脂の利用は、主に、フィルム、繊維等の成形加工分野において発展してきており、包装容器分野、農業土木資材分野、コンポスト資材分野等で実用化が進んでいる。しかしながら、接着剤、粘着剤、塗料、ヒートシール剤、コーティング剤等の非成形加工分野への生分解性樹脂の利用は、成形加工分野に比べ実用化が進んでおらず、開発の促進が求められている。特に、生分解性樹脂の成形加工分野での実用化が進むとともに、生分解性樹脂のフィルム、繊維等の貼りあわせや紙基材との接着に使用することのできる溶液タイプの生分解性接着剤のニーズが高まっている。このような生分解性接着剤の原料として、ポリ乳酸が注目されている。
【0004】
ポリ乳酸を用いた溶液タイプの生分解性接着剤としては、ポリ乳酸にアニオン系乳化剤等の乳化剤を添加してポリ乳酸水性分散液とした生分解性接着剤等(例えば、特許文献1〜4参照)が知られている。これらのポリ乳酸水性分散液の製造方法は、ポリ乳酸と乳化剤をホモミキサーを用いて攪拌しながら水を加えて乳化させる方法;ポリ乳酸、乳化剤、有機溶媒および水をホモミキサーを装着したオートクレーブに仕込み、高温、高圧条件下で乳化させる方法;ポリ乳酸、乳化剤および水をガラスビーズを用いて乳化させる方法等である。しかしながら、これらの方法では、粒子径、接着性、造膜性等の点において充分に満足のいくポリ乳酸水性分散液が得られないという問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−101911号公報
【特許文献2】
特開2001−11294号公報
【特許文献3】
特開2002−356612号公報
【特許文献4】
特開平9−78494号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、粒子径が小さく、接着性、造膜性に優れたポリ乳酸水性分散液の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、有機溶媒に溶解したポリ乳酸を、アニオン系乳化剤とノニオン系乳化剤の存在下、0〜60℃で乳化することにより、粒子径が小さく、接着性、造膜性に優れたポリ乳酸水性分散液を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるポリ乳酸としては、特に限定されないが、例えば、L−乳酸の単独重合体、D−乳酸の単独重合体、L−乳酸とD−乳酸の共重合体、L−および/またはD−乳酸と共重合可能な化合物との共重合体等が挙げられる。
【0009】
本発明に用いられる有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0010】
有機溶媒の使用量は、ポリ乳酸に対して1〜30倍重量であることが好ましく、より好ましくは5〜20倍重量であることが望ましい。有機溶媒の使用量が1倍重量未満の場合、ポリ乳酸が有機溶媒中に均一に溶解されず、得られるポリ乳酸水性分散液中のポリ乳酸粒子の粒子径が大きくなるおそれがある。また、有機溶媒の使用量が30倍重量を超える場合、使用量に見合う効果は得られず、経済的でない。
【0011】
ポリ乳酸を有機溶媒に溶解する方法としては、特に限定されないが、例えば、撹拌装置を用いて溶解する方法等が挙げられる。
かくして得られたポリ乳酸の有機溶媒溶液は、後述のポリ乳酸水性分散液の製造に用いられる。
【0012】
本発明に用いられるアニオン系乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等の硫酸塩;ベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、およびこれらのホルマリン縮合物等のスルホン酸塩;アルケニルコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のコハク酸塩;脂肪酸塩等の脂肪酸石鹸;ポリアクリル酸、スチレン無水マレイン酸共重合体塩等が挙げられる。なお、前記酸塩中の塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等の金属塩;アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩等のアンモニウム塩等が挙げられる。これらのアニオン系乳化剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。これらのアニオン系乳化剤の中でも、生分解性を有し、得られるポリ乳酸水性分散液中のポリ乳酸粒子の粒子径が小さい時にも安定な水性分散液が得られる観点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、とりわけ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好適に用いられる。
【0013】
アニオン系乳化剤の使用量は、前記ポリ乳酸100重量部に対して0.02〜12重量部であることが好ましく、より好ましくは0.04〜11重量部であることが望ましい。アニオン系乳化剤の使用量が0.02重量部未満の場合、乳化しにくくなるおそれがある。また、アニオン系乳化剤の使用量が12重量部を超える場合、得られるポリ乳酸水性分散液の接着性が低下するおそれがある。
【0014】
本発明に用いられるノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキレート類、オキシエチレンオキシプロピレンブロック共重合体、ポリグリセリンエステル類、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。これらのノニオン系乳化剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、生分解性を有し、得られるポリ乳酸水性分散液中のポリ乳酸粒子の粒子径が小さい時にも安定な水性分散液が得られる観点から、ポリビニルアルコールが好適に用いられる。
【0015】
ノニオン系乳化剤の一例であるポリビニルアルコールの好適な物性を以下に記載する。
前記ポリビニルアルコールの重合度は、特に限定されないが、重合度が1100〜2700であることが好ましく、より好ましくは1500〜2200であることが望ましい。重合度が1100未満の場合、得られるポリ乳酸水性分散液の接着性が低下するおそれがある。重合度が、2700を超える場合、得られるポリ乳酸水性分散液の粘度が高くなり、造膜性が悪くなるおそれがある。
【0016】
前記ポリビニルアルコールのケン化度は、特に限定されないが、70〜99モル%であることが好ましく、より好ましくは85〜95モル%であることが望ましい。ケン化度が70モル%未満の場合、得られるポリ乳酸水性分散液の接着性が低下するおそれがある。また、ケン化度が99モル%を超える場合、乳化しにくくなるおそれがある。
【0017】
ノニオン系乳化剤の使用量は、アニオン系乳化剤100重量部に対して30〜240重量部であることが好ましく、より好ましくは30〜150重量部であることが望ましい。ノニオン系乳化剤の使用量が30重量部未満の場合、得られるポリ乳酸水性分散液中のポリ乳酸粒子の粒子径が大きくなったり、接着性が低下するおそれがある。また、ノニオン系乳化剤の使用量が240重量部を超える場合、水溶液の粘度が高くなるため、乳化しにくくなるおそれがあったり、接着性が低下するおそれがある。
【0018】
アニオン系乳化剤とノニオン系乳化剤の使用形態は、特に限定されないが、例えば、アニオン系乳化剤とノニオン系乳化剤を含む水溶液として使用する形態が挙げられる。
【0019】
前記水溶液に用いられる水としては、特に限定されず、例えば、水道水や脱イオン水等が挙げられる。また、水の使用量は、所望のポリ乳酸水性分散液の濃度により異なるが、通常、水溶液中の水の含有量が20〜99重量%となることが望ましい。
【0020】
アニオン系乳化剤とノニオン系乳化剤を含む水溶液を製造する方法としては、特に限定されないが、例えば、撹拌装置を用いて溶解する方法等が挙げられる。
かくして得られたアニオン系乳化剤とノニオン系乳化剤を含む水溶液は、後述のポリ乳酸水性分散液の製造に用いられる。
【0021】
有機溶媒に溶解したポリ乳酸を、アニオン系乳化剤とノニオン系乳化剤の存在下で乳化する方法としては、特に限定されないが、例えば、ホモジナイザー、コロイドミル等の適当な剪断力を有する乳化機を用いて乳化する方法;超音波分散機等を用いて乳化する方法等が挙げられる。
【0022】
有機溶媒に溶解したポリ乳酸を、アニオン系乳化剤とノニオン系乳化剤の存在下で乳化する際の温度は、0〜60℃、好ましくは10〜60℃である。乳化する際の温度が0℃未満の場合、水が凝固し始め、粘度が高くなり、均一に乳化しにくい。乳化する際の温度が60℃を超える場合、ポリ乳酸が分解して分子量が低下し、得られるポリ乳酸水性分散液中のポリ乳酸粒子の粒子径が大きくなるだけでなく、接着性や造膜性が低下する。
【0023】
有機溶媒に溶解したポリ乳酸を、アニオン系乳化剤とノニオン系乳化剤の存在下で乳化する際のpHは、7以下であることが好ましく、より好ましくは2〜7であることが望ましい。乳化する際のpHが7を超えるアルカリ条件下である場合、得られるポリ乳酸水性分散液中のポリ乳酸粒子の粒子径が大きくなったり、接着性が低下するおそれがある。
【0024】
有機溶媒に溶解したポリ乳酸を、アニオン系乳化剤とノニオン系乳化剤の存在下で乳化する際の時間は、温度やpHにより異なるが、通常、0.5分〜10時間であることが望ましい。
乳化後は、所望により、有機溶媒を留去等の方法により除去することができる。
【0025】
かくして得られるポリ乳酸水性分散液中のポリ乳酸粒子の中位粒子径は、0.1〜3μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜2.5μmであることが望ましい。中位粒子径が0.1μm未満の場合、得られるポリ乳酸水性分散液の粘度が高くなるおそれがある。また、中位粒子径が3μmを超える場合、得られるポリ乳酸水性分散液の接着性および造膜性が悪化するおそれがある。ここで、本発明における中位粒子径とは、累積体積分布から求められるものであり、その値は、一定粒度区間内に全体の何%の粒子が存在するかを表す度数分布を、粒子径の小さい方または大きい方より積分して求めた累積分布が50%を示すときの粒子径の値をもって示される。
【0026】
本発明のポリ乳酸水性分散液の製造方法には、分散液の安定性や皮膜の接着性を改良する目的のために、必要に応じて中和剤、増粘剤、粘着付与剤、可塑剤等を添加することができる。
【0027】
前記中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、酸化カルシウム等の一般的な中和剤が挙げられる。
【0028】
前記増粘剤としては、例えば、グァーガム、アラビアガム、キタンサンガム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の高分子物質が挙げられる。
【0029】
前記粘着付与剤としては、例えば、ガムロジン、ロジンエステル、テルペンフェノール樹脂等の天然樹脂系粘着付与剤;炭素数5〜9の石油分解留分から誘導された石油系樹脂粘着付与剤、クマロン−インデン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
【0030】
前記可塑剤としては、例えば、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル;アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジブチル等の脂肪族二塩基酸エステル;アセチルクエン酸トリブチル、アセチルリシノール酸メチル等のオキシ酸エステル等が挙げられる。さらに、重量平均分子量3,000以下の乳酸オリゴマー、L−ラクチド、D−ラクチド、DL−ラクチド等も乳酸ポリマーに柔軟性を付与するため有効である。
【0031】
前記中和剤、増粘剤、粘着付与剤、可塑剤等の添加方法としては、特に限定されないが、例えば、ポリ乳酸の有機溶媒溶液またはアニオン系乳化剤とノニオン系乳化剤を含む水溶液に添加する方法;有機溶媒に溶解したポリ乳酸を、アニオン系乳化剤とノニオン系乳化剤の存在下で乳化する際に添加する方法;得られたポリ乳酸水性分散液に添加する方法等が挙げられる。
【0032】
本発明により得られるポリ乳酸水性分散液は、生分解性接着剤として使用することができる。
また、本発明により得られるポリ乳酸水性分散液の水分が除去されることで形成されるポリ乳酸皮膜は、接着性に優れているので、基材の接着剤、粘着剤、コーティング剤等に使用することができる。
【0033】
前記基材としては、特に限定されず、例えば、紙、各種繊維質素材からなる織布または不織布、シート、フィルム等が用いられる。繊維質素材としては、例えば、綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維;レーヨン、キュプラ等の再生繊維;ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等の合成繊維を挙げることができる。織布としては、例えば、前記繊維質素材から作られた織物、編物等を挙げることができる。また不織布としては、例えば、前記繊維質素材を化学的方法、機械的方法、またはそれらの組合せにより絡み合わせてウエッブとしたものが挙げられる。また、シート、フィルムの素材例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、ポリ乳酸、乳酸とその他のヒドロキシカルボン酸から誘導された乳酸系ポリマー、ポリブチレンサクシネート系ポリエステル、ポリカプロラクトン系樹脂、修飾澱粉系樹脂等を挙げることができる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
実施例1
1Lのビーカーに、ポリ乳酸36gとトルエン264gを仕込み、65℃で攪拌混合してポリ乳酸を溶解させた後、25℃まで冷却し、ポリ乳酸のトルエン溶液300gを得た。
【0036】
一方、500mLのビーカーに、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.80g、ポリビニルアルコール(重合度:1700,ケン化度:86.5〜89モル%)0.72gおよび水147.48gを仕込み、25℃で攪拌混合して、乳化剤の水溶液150gを得た。
【0037】
前記ポリ乳酸のトルエン溶液300gの入った1Lのビーカーに、前記乳化剤の水溶液150gを添加した後、乳化機(特殊機加工業株式会社の商品名:TKロボミックス MARKII 2.5型)を用いて、25℃、回転数16000rpmで6分間乳化し、乳化液450gを得た。乳化の際のpHは、3.5であった。
【0038】
得られた乳化液から、45℃、87kPaの減圧下でトルエンを留去し、ポリ乳酸水性分散液を得た。得られたポリ乳酸水性分散液中のポリ乳酸粒子の中位粒子径を、後述の測定方法により測定した。結果を表1に示した。また、得られたポリ乳酸の造膜性を、後述の評価方法により評価した。結果を表1に示した。
【0039】
引き続き、得られたポリ乳酸水性分散液を、バーコーターを用いて、固形分が25g/m2となるように、上質紙(三島製紙株式会社製、坪量81.4g/m2)に塗布した後、100℃で2分間乾燥し、ポリ乳酸皮膜を有する上質紙を得た。
【0040】
次に、前記ポリ乳酸皮膜を有する上質紙とポリ乳酸フィルム(フィルム厚113μm)とを、ヒートシール試験機(テスター産業株式会社の商品名:TP−701型)を用いて、シール温度120℃、シール圧0.2MPa、シール時間3秒間の条件でヒートシールした。ヒートシール後は、25mm×200mmの小片に切り出し、試験片とした。得られた試験片の剥離強度と剥離面の状態を、後述の評価方法により評価した。それぞれの結果を表1に示した。
【0041】
実施例2
実施例1において、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの使用量を1.80gから1.44g、ポリビニルアルコールの使用量を0.72gから1.08gに変更し、乳化の際のpHが3.7であった以外は、実施例1と同様の方法にてポリ乳酸水性分散液を得た。得られたポリ乳酸水性分散液中のポリ乳酸粒子の中位粒子径を測定し、造膜性を評価した。それぞれの結果を表1に示した。
【0042】
引き続き、得られたポリ乳酸水性分散液を用いて、実施例1と同様の方法にて試験片を得た後、剥離強度と剥離面の状態を評価した。それぞれの結果を表1に示した。
【0043】
実施例3
実施例1において、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの使用量を1.80gから1.08g、ポリビニルアルコールの使用量を0.72gから1.44gに変更し、乳化の際のpHが3.8であった以外は、実施例1と同様の方法にてポリ乳酸水性分散液を得た。得られたポリ乳酸水性分散液中のポリ乳酸粒子の中位粒子径を測定し、造膜性を評価した。それぞれの結果を表1に示した。
【0044】
引き続き、得られたポリ乳酸水性分散液を用いて、実施例1と同様の方法にて試験片を得た後、剥離強度と剥離面の状態を評価した。それぞれの結果を表1に示した。
【0045】
実施例4
実施例1において、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.80gの代わりにポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム1.80gを用い、乳化の際のpHが4.0であった以外は、実施例1と同様の方法にてポリ乳酸水性分散液を得た。得られたポリ乳酸水性分散液中のポリ乳酸粒子の中位粒子径を測定し、造膜性を評価した。それぞれの結果を表1に示した。
【0046】
引き続き、得られたポリ乳酸水性分散液を用いて、実施例1と同様の方法にて試験片を得た後、剥離強度と剥離面の状態を評価した。それぞれの結果を表1に示した。
【0047】
実施例5
実施例1において、ポリ乳酸のトルエン溶液300gの入った1Lのビーカーに、前記水溶液150gを添加した後、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを8.0に調整し、乳化機を用いて乳化した以外は、実施例1と同様の方法にてポリ乳酸水性分散液を得た。得られたポリ乳酸水性分散液中のポリ乳酸粒子の中位粒子径を測定し、造膜性を評価した。それぞれの結果を表1に示した。
【0048】
引き続き、得られたポリ乳酸水性分散液を用いて、実施例1と同様の方法にて試験片を得た後、剥離強度と剥離面の状態を評価した。それぞれの結果を表1に示した。
【0049】
実施例6
実施例1において、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの使用量を1.80gから0.72g、ポリビニルアルコールの使用量を0.72gから1.80g、水の使用量を147.48gから168.95gに変更し、乳化の際のpHが4.4であった以外は、実施例1と同様の方法にてポリ乳酸水性分散液を得た。得られたポリ乳酸水性分散液中のポリ乳酸粒子の中位粒子径を測定し、造膜性を評価した。それぞれの結果を表1に示した。
【0050】
引き続き、得られたポリ乳酸水性分散液を用いて、実施例1と同様の方法にて試験片を得た後、剥離強度と剥離面の状態を評価した。それぞれの結果を表1に示した。
【0051】
実施例7
実施例1において、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの使用量を1.80gから2.16g、ポリビニルアルコールの使用量を0.72gから0.36gに変更し、乳化の際のpHが3.6であった以外は、実施例1と同様の方法にてポリ乳酸水性分散液を得た。得られたポリ乳酸水性分散液中のポリ乳酸粒子の中位粒子径を測定し、造膜性を評価した。それぞれの結果を表1に示した。
【0052】
引き続き、得られたポリ乳酸水性分散液を用いて、実施例1と同様の方法にて試験片を得た後、剥離強度と剥離面の状態を評価した。それぞれの結果を表1に示した。
【0053】
比較例1
実施例1において、乳化機を用いて乳化する際の温度を80℃、pHを3.0で行った以外は、実施例1と同様の方法にてポリ乳酸水性分散液を得た。得られたポリ乳酸水性分散液中のポリ乳酸粒子の中位粒子径を測定し、造膜性を評価した。それぞれの結果を表1に示した。
【0054】
引き続き、得られたポリ乳酸水性分散液を用いて、実施例1と同様の方法にて試験片を得た後、剥離強度と剥離面の状態を評価した。それぞれの結果を表1に示した。
【0055】
[評価]
実施例および比較例で得られたポリ乳酸水性分散液および試験片を、下記の方法に従って評価した。
【0056】
(1)中位粒子径(μm)
得られたポリ乳酸水性分散液中のポリ乳酸粒子の中位粒子径(μm)を、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所の商品名:SALD−2000)を用いて測定した。なお、中位粒子径が3μm以下であれば、粒子径が小さいと判断できる。
【0057】
(2)剥離強度(N/25mm)
得られた試験片を1日静置した後、引張試験機(株式会社島津製作所の商品名:オートグラフAGS−D型)を用いて、引張速度50mm/分、引張角度180度の条件で、剥離強度(N/25mm)を測定した。なお、剥離強度が3N/25mm以上であれば、接着性に優れていると判断でき、さらに、剥離強度が5N/25mm以上であれば、非常に接着性に優れていると判断できる。
【0058】
(3)剥離面の状態
前記(2)剥離強度の試験後、剥離面の状態を観察し、下記の基準により評価した。なお、剥離面の状態が、◎、○であれば、接着性に優れていると判断できる。
◎:全面紙破壊
○:一部界面剥離あり
×:界面剥離
【0059】
(4)造膜性
得られたポリ乳酸水性分散液を、最低造膜温度測定装置(株式会社島川製作所の商品名:SKH−1)の30〜70℃で5℃刻みの温度勾配を有する熱伝導プレート上に、アプリケーターを用いて塗布厚が300μmとなるように塗布した後、4時間造膜させた。造膜後、造膜が確認できた温度の最低温度を最低造膜温度とし、下記の基準により評価した。なお、一般に、最低造膜温度が48℃未満であれば、造膜性に優れていると判断できる。
○:最低造膜温度が48℃未満
×:最低造膜温度が48℃以上
【0060】
【表1】
【0061】
表1より、実施例1〜7の製造方法により得られたポリ乳酸水性分散液は、ポリ乳酸粒子の中位粒子径が3μm以下であり、最低造膜温度が48℃未満であり、実施例1〜7のポリ乳酸水性分散液から得られた試験片の剥離強度が3N/25mm以上であり、剥離面の状態が良好であるため、粒子径が小さく、接着性、造膜性に優れていることが分かった。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、有機溶媒に溶解したポリ乳酸を、アニオン系乳化剤とノニオン系乳化剤の存在下、0〜60℃で乳化することにより、粒子径が小さく、接着性、造膜性に優れたポリ乳酸水性分散液の製造方法を提供することができる。
Claims (7)
- 有機溶媒に溶解したポリ乳酸を、アニオン系乳化剤とノニオン系乳化剤の存在下、0〜60℃で乳化するポリ乳酸水性分散液の製造方法であって、ノニオン系乳化剤が、ポリビニルアルコールであるポリ乳酸水性分散液の製造方法。
- pH7以下で乳化する請求項1に記載のポリ乳酸水性分散液の製造方法。
- アニオン系乳化剤の使用量が、ポリ乳酸100重量部に対して0.02〜12重量部であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリ乳酸水性分散液の製造方法。
- ノニオン系乳化剤の使用量が、アニオン系乳化剤100重量部に対して30〜240重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリ乳酸水性分散液の製造方法。
- アニオン系乳化剤が、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよび/またはポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムである請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリ乳酸水性分散液の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法により得られるポリ乳酸水性分散液の水分が除去されることで形成されるポリ乳酸皮膜。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法により得られるポリ乳酸水性分散液からなる生分解性接着剤。
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