JP3775668B2 - ポリ乳酸水性エマルジョン、その製造法および当該ポリ乳酸水性エマルジョンを含有するコーティング剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリ乳酸水性エマルジョン、その製造法および当該ポリ乳酸水性エマルジョンを含有してなるコーティング剤に関する。更に詳しくは、天然原料から合成されるポリ乳酸を主成分とし、しかも貯蔵安定性、作業性および環境適性に優れたポリ乳酸水性エマルジョン、その製造法および当該ポリ乳酸水性エマルジョンを含有してなるコーティング剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリ乳酸は、トウモロコシなどの天然原料から合成される生分解性プラスチックとして知られている。ポリ乳酸は、従来のプラスチックと対比して同様の利便性を有し、しかも従来のプラスチックが有していない生分解性を有することに特長がある。すなわち、ポリ乳酸は、酵素分解や加水分解により水と二酸化炭素に分解されて自然界に還元され、また焼却時の消費熱量が小さく且つ有害なダイオキシンが発生しないため、従来の石油系プラスチックに比べて安全性が高く、環境負荷の小さい資源循環型の素材として注目されており、既に容器、包装、繊維、農業資材、緩衝材などの様々な分野で利用されつつある。
【0003】
ポリ乳酸は、従来からペレットなどの固体形態で供給されているため、上記用途に適用する際の取扱い性が不十分であった。そのため、取扱い作業性の良い形態での供給、特に安全性の面から水性エマルジョンの開発が急務とされており、当該エマルジョンは農業資材、建材、紙材向けのコーティング剤や添加剤などへの市場展開が期待されている。
【0004】
このような状況下、ポリ乳酸の水性エマルジョンに関する検討が既になされており、特開平10−101911号公報には、特定乳化剤(全乳化剤中のアニオン乳化剤含有率が80重量%以上のもの)を用いて乳化してなる平均粒径0.05〜10μの生分解性エマルジョン組成物が開示されている。
【0005】
しかしながら、特開平10−101911号公報により開示されたエマルジョン組成物は、エマルジョンとしての貯蔵安定性が不十分であり、前記のような各種用途に適用するには不満足である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、取扱い作業性、安全性、貯蔵安定性などに優れたポリ乳酸水性エマルジョンおよびその製造法を提供することを目的とする。また、当該ポリ乳酸水性エマルジョンを含有するコーティング剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記従来技術の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ロジン系樹脂を併用してなるポリ乳酸水性エマルジョンが、前記目的を達成しうることを見出した。本発明はかかる新たな知見に基づいて完成されたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、ロジン系樹脂を含有することを特徴とするポリ乳酸水性エマルジョン;ポリ乳酸とロジン系樹脂との混合物を水中に乳化分散させることを特徴とするポリ乳酸水性エマルジョンの製造法;および当該ポリ乳酸水性エマルジョンを含有してなることを特徴とするコーティング剤に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で使用するポリ乳酸とは、一般にトウモロコシやジャガイモなどのでんぷんを発酵させて得られる乳酸を熱処理してラクチドとなし、次いで該ラクチドを開環重合させるラクチド法により得られるもの、更には乳酸を直接脱水重縮合反応させる直接重合法によって得られるものなどである。出発原料である乳酸にはL体とD体という光学異性体が存在するため、そのポリマーであるポリ乳酸は、これら異性体の存在比率を調整することによって結晶性を変化させたり、重合条件の違いによって分子量を変化させるなど、性状の異なる製品が開発されている。通常、ポリ乳酸のガラス転移温度は分子量の違いにより40〜60℃の幅があり、また融点も結晶性の違いなどにより様々であるが、ポリL−乳酸の場合は約170℃である。本発明においては、かかる公知のポリ乳酸を特に限定することなく使用できるが、ポリ乳酸の重量平均分子量としては、1万〜20万程度であることが好ましい。重量平均分子量が1万より小さい場合は得られる塗膜の力学的強度が劣ったり、また20万より大きい場合は取扱い作業性が劣ったり、乳化も困難となる傾向がある。なお、本明細書における重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算値である。
【0010】
本発明では、基材への密着性、造膜性、乳化性の向上などを目的とするため、ポリ乳酸の改質剤としてロジン系樹脂を配合することが必要である。ロジン系樹脂も天然物由来の樹脂として、環境に優しい素材ということができる。ロジン系樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジンもしくはトール油ロジンの原料ロジン、または前記原料ロジンを不均化もしくは水素添加処理した安定化ロジンや重合ロジン、更には前記ロジン類の誘導体であるロジンエステル類、ロジンフェノール類があげられ、これらの1種を単独で、または2種以上を混合物として使用できる。ロジンエステル類とは、前記ロジン類とアルコール類とをエステル化反応させたもの、またロジンフェノール類とはロジン類にフェノール類を付加させ熱重合したもの、または次いでエステル化したものをいう。なお、前記エステル化に用いられるアルコール類は、特に制限はされず、メタノールなどの1価アルコール類;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルなどの2価アルコール類またはこれらのモノアルキルエーテル類;グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコール類などの各種公知のものを例示でき、これらの1種を単独でまたは2種以上を組合せて使用できる。また、前記ロジン類にエチレンオキシドやプロピレンオキシドなどのアルキレンオキシド類を付加反応させて得られる化合物も、上記ロジンエステル類と同様に使用できる。これらのロジン系樹脂のうち、ポリ乳酸との相溶性の点から、安定化ロジンのジエチレングリコールエステルや安定化ロジンのトリエチレングリコールモノメチルエステルが好ましく、安定化ロジンのトリエチレングリコールモノメチルエーテルエステルが特に好ましい。
【0011】
ロジン系樹脂の製造法は、特に限定されず公知各種の方法を採用できる。例えば、前記ロジン類と前記アルコール類を150℃〜300℃程度の加熱下に、生成水を系外に除去しながら行えばよい。なお、生成するエステル化物の着色防止の観点から不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましく、また反応時間の短縮のために公知の触媒を使用してもよい。
【0012】
前記ロジン類と前記アルキレンオキシド類との反応では、通常公知の環状エーテルの開裂反応法を採用できる。例えば、アルカリ金属の水酸化物やアルコキシドなどの触媒を加え、必要に応じて7〜9×105Paの加圧条件下で、150〜160℃程度で1〜5時間程度反応させればよい。
【0013】
これらロジン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は特に限定されず、150℃以下の固形のものから、0℃以下の液状のものまでを各種目的に応じて適宜に選択使用できるが、ポリ乳酸に対する可塑化効果の点から、Tgが20℃未満のものが好ましく、0℃未満のものがより好ましい。
【0014】
ポリ乳酸とロジン系樹脂の使用割合は、通常ポリ乳酸100重量部に対し、ロジン系樹脂を2〜40重量部程度、好ましくは5〜30重量部とするのがよい。ロジン系樹脂が2重量部に満たない場合には、ロジン系樹脂を添加することによる改質がほとんど認められず、また40重量部を越える場合には塗膜の力学的強度が低下する傾向にありいずれの場合も適当ではない。
【0015】
また、ポリ乳酸とロジン系樹脂を水中に乳化分散させるために使用する乳化剤としては、特に限定はされず、公知各種のアニオン性、カチオン性、両性もしくはノニオン性の低分子または高分子乳化剤を使用できる。
【0016】
例えば、低分子のアニオン性乳化剤としては、α−オレフィンスルホン化物、アルキルサルフェート、アルキルフェニルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのスルホコハク酸のハーフエステル塩、ロジン石鹸などがあげられ、カチオン性乳化剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などがあげられる。また両性乳化剤としては、各種のアミノ酸型またはベタイン型のものがあげられ、ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなどがあげられる。更に高分子乳化剤としては、各種のアニオン性単量体、カチオン性単量体またはノニオン性単量体を共重合して得られるアニオン性、カチオン性、両性またはノニオン性の各種の共重合型乳化剤があげられる。乳化性が良好で環境ホルモンの懸念が無いという観点から、上記のうちポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸ハーフエステル塩が好ましい。
【0017】
本発明で使用する乳化剤の種類は、ポリ乳酸の水性エマルジョンの用途に応じて適宜選択すればよく、前記乳化剤の1種を単独でまたは2種以上を混合して使用できる。乳化剤の使用量は、通常ポリ乳酸またはポリ乳酸とロジン系樹脂との配合物100重量部に対し、固形分換算で1〜20重量部程度、好ましくは3〜10重量部である。乳化剤の使用量が1重量部より少ない場合には水性エマルジョンの貯蔵安定性が悪くなり、また、20重量部より多い場合には耐水性が低下するため好ましくない。
【0018】
本発明では、ポリ乳酸またはポリ乳酸とロジン系樹脂の配合物を、乳化剤の存在下に水中に乳化分散させることにより、ポリ乳酸の水性エマルジョンを製造する。乳化の方法は特に制限されず、反転乳化法や高圧乳化法などの公知各種の方法を採用できるが、微細で均一な粒子径のエマルジョンが得やすいいという点から高圧乳化機を利用した高圧乳化法が好ましい。高圧乳化時の圧力は10〜50MPaとするのが好ましい。高圧乳化法は、具体的には前記ポリ乳酸またはポリ乳酸とロジン系樹脂の配合物をベンゼン、トルエン等の溶剤に溶解したのち前記乳化剤及び軟水を添加し、高圧乳化機を用いて乳化した後、減圧下に溶剤を除去することにより行われる。
【0019】
こうして得られたポリ乳酸の水性エマルジョンの固形分濃度は特に限定されないが、通常10〜70重量%程度となるように適宜に調整して用いる。また、得られたエマルジョンの平均粒子径は、通常0.2〜2μm程度であり、大部分は1μm以下の粒子として均一に分散している。なお、平均粒子径はレーザー回折式粒度分布測定装置「SALD−2000」((株)島津製作所製)を用いて測定した値である。また、該エマルジョンは白色ないし乳白色の外観を呈し、2〜9程度のpH値を有する。
【0020】
本発明のポリ乳酸の水性エマルジョンは、本発明の目的を逸脱しない範囲で各種公知のポリマーエマルジョンや樹脂エマルジョン、ゴム系ラテックスなどの水系製品に配合して使用することもできる。またこれらのほかに、必要に応じて、充填剤、可塑剤、増粘剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐水化剤、造膜助剤、防腐剤、防錆剤、顔料、染料等の各種公知の添加剤を適宜含有してもよく、これら添加剤を配合することにより、目的とするコーティング剤を製造することができる。
【0021】
本発明のポリ乳酸の水性エマルジョンを含有してなるコーティング剤は、リサイクルが困難な従来のプラスチック系素材の代替やコンポスト化を目的として、印刷用紙、コート紙、紙パック、ダンボール、紙袋などの紙素材や、布、生分解性プラスチックのフィルムや成型品、木材、更には肥料、農薬、種子などの表面被覆剤として利用することができる。また、これら紙などの基材表面への塗工方法としては、ロールコーター法、エアナイフコーター法、ブレードコーター法などの塗工機を用いた方法や、浸漬、吹き付けなどの方法が挙げられる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、従来は固形であったポリ乳酸を水性エマルジョンの形態で提供でき、ハンドリング性を向上できる。このためポリ乳酸を、塗工、浸漬、吹き付けなどの簡単な方法で使用できるようになり、これまで困難だった他の水系薬剤への配合も容易で、各種コーティング剤や添加剤などの用途に利用できる。また得られたポリ乳酸の水性エマルジョンは、水を媒体としているため安全性が高く、しかも貯蔵安定性が良好である。更に、本発明のポリ乳酸の水性エマルジョンを含有してなるコーティング剤は、各種基材への密着性、透明性、低温造膜性、耐水性、耐溶剤性および生分解性に優れるなどの特徴を有している。
【0023】
【実施例】
以下に、製造例、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら各例に限定されるものではない。尚、各例中、部及び%は重量基準である。
【0024】
製造例1
重量平均分子量約3万のポリ乳酸100部を、トルエン400部に100℃にて約1時間溶解した後、80℃まで冷却した。次いで乳化剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸2ナトリウム塩を固形分換算で10部および水300部を添加し、75℃にて1時間強撹拌して予備乳化を行った。さらに得られた予備乳化物を高圧乳化機(マントンガウリン社製)により30MPaの圧力で高圧乳化して乳化物を得た。次いで、減圧蒸留装置に前記乳化物を仕込み、50℃、130hPaの条件下に6時間減圧蒸留を行い、固形分35%、平均粒子径0.5μmのポリ乳酸の水性エマルジョン(以下、エマルジョン(L−1)という)を得た。
【0025】
製造例2
製造例1において、重量平均分子量約3万のポリ乳酸に代えて重量平均分子量約10万のポリ乳酸に代えた以外は実施例1と同様の操作を行い、固形分30%、平均粒子径1μmのポリ乳酸の水性エマルジョン(以下、エマルジョン(L−2)という)を得た。
【0026】
製造例3
製造例1において、重量平均分子量約3万のポリ乳酸に代えて安定化ロジンのジエチレングリコールエステル(「KE−364C」、荒川化学工業(株)製、Tg:−13℃)を用い、乳化剤量を固形分換算で3部とした他は、製造例1と同様にして行い、固形分50%、平均粒子径0.3μmのロジン系樹脂の水性エマルジョン(以下、エマルジョン(R−1)という)を得た。
【0027】
製造例4
製造例1において、重量平均分子量約3万のポリ乳酸に代えて安定化ロジンのトリエチレングリコールモノメチルエーテルエステル(「パインクリスタルGP−2001」、荒川化学工業(株)製、Tg:−51℃)を用い、乳化剤量を固形分換算で3部とした他は、製造例1と同様にして行い、固形分50%、平均粒子径0.3μmのロジン系樹脂の水性エマルジョン(以下、エマルジョン(R−2)という)を得た。
【0028】
製造例5
製造例1において、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸2ナトリウム塩(固形分換算)10部に代えて、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩4.5部とポリオキシエチレン(エチレンオキシド5モル付加物)ノニルフェニルエーテル0.5部を用いた以外は製造例1と同様の操作を行い、固形分30%、平均粒子径1μmのポリ乳酸の水性エマルジョン(以下、エマルジョン(L−3)という)を得た。
【0029】
実施例1
製造例1で得たエマルジョン(L−1)80部と製造例3で得たエマルジョン(R−1)20部とを混合して、固形分38%、平均粒子径0.4μmである本発明の水性エマルジョン(以下、エマルジョン(EX−1)という)を得た。
【0030】
実施例2
製造例1で得たエマルジョン(L−1)80部と製造例4で得たエマルジョン(R−2)20部とを混合して、固形分38%、平均粒子径0.4μmである本発明の水性エマルジョン(以下、エマルジョン(EX−2)という)を得た。
【0031】
実施例3
重量平均分子量約5万のポリ乳酸80部と安定化ロジンのジエチレングリコールエステル(「KE−364C」、荒川化学工業(株)製、Tg:−13℃)20部をトルエン200部に100℃にて約1時間溶解した後、80℃まで冷却した。次いで乳化剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸2ナトリウム塩を固形分換算で5部および水300部を添加し、75℃にて1時間強撹拌して予備乳化を行った。さらに得られた予備乳化物を高圧乳化機(マントンガウリン社製)により30MPaの圧力で高圧乳化して乳化物を得た。次いで、減圧蒸留装置に前記乳化物を仕込み、50℃、130hPaの条件下に6時間減圧蒸留を行い、固形分50%、平均粒子径0.5μmである本発明の水性エマルジョン(以下、エマルジョン(EX−3)という)を得た。
【0032】
実施例4
実施例3において、安定化ロジンのジエチレングリコールエステルの代わりに、安定化ロジンのトリエチレングリコールモノメチルエーテルエステル(「パインクリスタルGP−2001」、荒川化学工業(株)製、Tg:−51℃)を用いた他は、製造例1と同様にして行い、固形分50%、平均粒子径0.4μmである本発明の水性エマルジョン(以下、エマルジョン(EX−4)という)を得た。
【0033】
(水性エマルジョンの貯蔵安定性の評価)
製造例1、2、5および実施例1〜4で得られた各水性エマルジョンをガラス製容器に入れ、密栓して23℃の恒温室に1ヶ月間静置した後、沈殿物の発生を目視評価した。結果を表1に示す。
<評価基準>
○:貯蔵安定性良好(沈殿物の発生なし)
△:やや貯蔵安定性に劣る(少量の沈殿物が確認できる)
×:貯蔵安定性不良(多量の沈殿物が確認できる)
【0034】
(塗膜の最低造膜温度の測定)
製造例1、2、5および実施例1〜4で得られた各水性エマルジョンを、JISK 6828に準じて、温度範囲10〜50℃の条件で最低造膜温度を測定した。結果を表1に示す。最低造膜温度が雰囲気温度以下であれば、特に加熱乾燥しなくても均一で透明な塗膜が形成される。
【0035】
【表1】
Claims (9)
- ロジン系樹脂を含有することを特徴とするポリ乳酸水性エマルジョン。
- ロジン系樹脂の水性エマルジョンとポリ乳酸の水性エマルジョンとを混合してなる請求項1記載のポリ乳酸水性エマルジョン。
- ポリ乳酸とロジン系樹脂との混合物を水中に乳化分散させてなる請求項1記載のポリ乳酸水性エマルジョン。
- ポリ乳酸が重量平均分子量1万〜20万のものである請求項1〜3のいずれかに記載のポリ乳酸水性エマルジョン。
- ロジン系樹脂のガラス転移温度が20℃未満のものである請求項1〜4のいずれかに記載のポリ乳酸水性エマルジョン。
- ポリ乳酸100重量部に対するロジン系樹脂の混合割合(固形分換算)が2〜40重量部である請求項1〜5のいずれかに記載のポリ乳酸水性エマルジョン。
- 高圧乳化法により乳化分散されてなる請求項1〜6のいずれかに記載のポリ乳酸水性エマルジョン。
- ポリ乳酸とロジン系樹脂との混合物を水中に乳化分散させることを特徴とするポリ乳酸水性エマルジョンの製造法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のポリ乳酸水性エマルジョンを含有してなることを特徴とするコーティング剤。
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