JP2004277681A - 改質された生分解性樹脂小粒子径エマルション - Google Patents
改質された生分解性樹脂小粒子径エマルション Download PDFInfo
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Abstract
【課題】粘接着剤としての応用や薄膜塗工等が可能な小粒子径樹脂エマルションを提供すること。
【解決手段】生分解性ポリエステル系樹脂100重量部に対しロジン系化合物、テルペン系化合物を1〜80重量部配合して改質した生分解性樹脂のエマルションを使用することにより、粘接着性、柔軟性等に優れた材料を提供することができる。
【選択図】 なし
【解決手段】生分解性ポリエステル系樹脂100重量部に対しロジン系化合物、テルペン系化合物を1〜80重量部配合して改質した生分解性樹脂のエマルションを使用することにより、粘接着性、柔軟性等に優れた材料を提供することができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリ乳酸などの生分解性ポリエステル系樹脂の応用を容易にする技術に関するものである。さらに詳しくは各種の紙、フイルム、金属シート、木工材料、繊維類などに塗工し塗膜として、また粘接着性、柔軟性などの機能を付与したバインダーとして使用される改質した生分解性ポリエステル系樹脂エマルションに関するものである。
【0002】
【産業上の利用分野】
本発明の産業上の利用分野は、農林水産業用資材、土木建築資材、レジャー製品、包装フイルム、容器、衛生用品、事務用品、衣料品、医療用品、農薬、肥料、種子などの製造用、植林用素材、不織布、製本、製袋、複合フイルム用接着剤、紙加工製品、繊維製品などである。一般に、紙加工、フイルム加工、シート加工、織布・不織布加工など、さらには金属加工、プラスチック加工、木工加工、石材加工、ガラス加工など広く加工用薬剤として表面の保護、改質用基材として、また粘接着材料として使用される。
【0003】
【従来の技術】
これまで多種多様の樹脂が、塗料、インキ、各種のコーティング剤、接着剤、粘着剤、ヒートシール剤、密着性付与剤などに使用されてきた。従来からの樹脂、例えばアクリル系、ウレタン系、オレフィン系、ポリエステル系、さらには合成ゴム系樹脂などに代表される多くの樹脂が用途目的に合わせてそれぞれの特徴を利用し、大量に使用されてきた。しかしながら、これらの樹脂は石油系原料により製造されるため、石油資源の枯渇、さらには環境汚染などの問題を引き起こす原因となっている。
このような背景から、従来からの樹脂と同じように使用でき、しかも使用後は自然界の微生物によってバイオマス形成に関わった後水と二酸化炭素に分解され、自然に還るプラスチックであり、炭酸ガスの発生も抑制できる樹脂の実用化が検討されている。特に植物を出発材料とした生分解性樹脂は、資源循環型原料として一部の用途で実用化されている。
【0004】
生分解性ポリエステル系樹脂はこれらの社会的要請を満たすことのできる樹脂であり、広く活用できる技術が必要とされている。中でもポリ乳酸系樹脂は透明性に優れ、植物原料、例えばコーンやジャガイモ、サツマイモ等の植物より得られる澱粉を発酵して製造される乳酸を原料とすることなどから、再生可能な樹脂として期待されている。
近年、ポリ乳酸コポリマーなどの繊維への応用(特許文献1)、紙塗工用組成物の印刷性の改良(特許文献2)、ポリ乳酸を含む生分解性樹脂のエマルション化技術(特許文献3、4)、樹脂改質法(特許文献5)、紙加工への応用(特許文献6)、繊維布製品への応用(特許文献7)、肥料への応用(特許文献8)、種子への応用(特許文献9)、改質法の検討(特許文献10)などが進められている。
【0005】
【特許文献1】特開平8−27280(1〜3頁)
【特許文献2】特開平9−78494(1〜3頁)
【特許文献3】特開2002−121288(1〜3頁)
【特許文献4】特開2002−11294(1〜3頁)
【特許文献5】WO99−45067(1〜3頁)
【特許文献6】特開平6−500603(1〜3頁)
【特許文献7】特開平4−334448(1〜3頁)
【特許文献8】特開平3−146492(1〜3頁)
【特許文献9】特開平2−23517(1〜3頁)
【特許文献10】特開平9−11107(1〜3頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来からの合成樹脂系材料と比較し環境への負荷の低減を可能とする生分解性ポリエステル系樹脂、特にポリ乳酸については、工業的な成型加工、フイルム化が可能になってきている。しかし、生分解性ポリエステル系樹脂は十分な機械的強度を有するものの、接着性、粘着性、柔軟性、他の材料との混和性を持つに至っておらず、実用面で十分な性能を発揮できているとはいえない。本発明が解決しようとする課題は、粘接着剤としての応用、薄膜塗工、柔軟性のある表面保護剤、各種バインダーへの応用が可能な、小粒子径樹脂エマルションを提供することである。さらにエマルション化の際に使用する乳化剤、安定剤は環境に悪影響を及ぼすことのない材料であることが望ましい。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、生分解性ポリエステル系樹脂100重量部に対しロジン系化合物または/およびテルペン系化合物を1〜80重量部配合することにより改質した生分解性樹脂の樹脂エマルションを塗工した塗膜が、粘接着性、柔軟性等に優れていることを見出した。すなわち、本発明によりこれまで困難であった生分解性樹脂の塗料、接着剤等への応用が可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明に係わる生分解性ポリエステル系樹脂として、例えばポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートカーボネート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリプロピレンサクシネートアジペート、ポリエチレンサクシネートテレフタレート、テトラメチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレート、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸などを挙げることができる。
単量体単位として、分子中にヒドロキシル基、カルボキシル基を有する、例えばグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などから選ばれる1種または2種以上と、上記のポリマーの単量体単位(少なくとも50重量%)との共重合体(化学修飾されたもの、これらの混合ポリマーも含む)であるものも使用できる。
ポリ乳酸については、L−乳酸、D−乳酸をそれぞれ単独で、またはこれらの混合物を重合することにより得られるポリ乳酸(それらの単量体単位が化学修飾されていても良い)、単量体単位がL−乳酸からなるポリ乳酸、同じくD−乳酸からなるポリ乳酸が混合されているものであってもよい。
必要に応じ可塑剤を配合してもよいが、できれば透明性が良好な方が広い分野での応用が可能となる。可塑剤の配合量は結晶化度、柔軟性などに影響する。一般には1〜50重量部配合使用される。
【0009】
生分解性ポリエステル系樹脂の製造法は特に限定はされないが、例えばポリ乳酸の場合、乳酸のみ、または乳酸と他のヒドロキシカルボン酸から直接脱水重縮合で製造する方法、ラクタイド、グリコライド、ε−カプロラクトン等の開環重合で得る方法、その他エステル交換で得る方法が挙げられる。
【0010】
本発明に係わるロジン系化合物、テルペン系化合物について以下に例を示す。
ロジン系化合物については、ロジン類、例えば東邦化学で製造、販売しているロジン類のアルキレンオキサイド誘導体、ロジン類の例えばカルシウム、亜鉛、マグネシウム、鉄などの金属塩等が挙げられる。さらには荒川化学、ハリマ化成などより製造、販売されている一般ロジンおよびその各種エステル、不均化ロジンおよびその各種エステル、フェノール変性ロジン、マレイン酸変性した誘導体、重合ロジンおよびその誘導体、ロジンを水添した後反応させた誘導体、反応後に水素添加し淡色化した誘導体、水素を使用し脱酸素の目的で淡色化した誘導体などが使用できる。荒川化学製については、例えばスーパーエステルA−18、A−75、A−100、A−115、A−125、D−160、D−125、ペンセルA、C、KK、AAG、重合ロジン誘導体ではシルバタック140、エステルガムAAL、A、AAV、105、106、水添ロジン誘導体でエステルガムH、HS、HP、HD、AT、マレイン化ロジン誘導体でアルキードNo1、No5、エマルションではスーパーエステルエマルションE−720、E−730などが例示できる。これらは一種、又は二種以上の混合物でもよく何ら制限されるものではない。
【0011】
テルペン系化合物は、例えばヤスハラケミカル、日本テルペンで商品化されている。テルペン重合体ではYSレジンPX(1250,1150,1000,800)、β−ピネン重合体ではYS−レジンPXN(1150N,300N)、β−ピネン重合体ではYS−レジンA(800)、テルペンフェノール共重合体ではYSポリスター2000、U−115,T−80,S−145,G−125,テルペン系水素添加樹脂ではクリアロンP(125,115,105,85)クリアロンM,クリアロンなどが例示できる。これらは一種、又は二種以上の混合物でもよく何ら制限されるものではない。
【0012】
これらの他に、必要に応じポリエステル系改質剤を配合することもできる。具体例としては、大日本インキ化学が製造、販売しているEXP:PD−150及びこれと類似する構造を有するもの、例えば、原料の一部が異なるもの、分子量が異なるもの、さらにE−500、ポリサイザ−Wシリーズ、Pシリーズなど、日本合成化学製のポリエスターLP−045,LP−044,TP−293,TP−219,TP−280,TP−285、三菱化成ビニルのダイヤサイザー409、三建化工製品などが例示できる。これらは一種、又は二種以上の混合物でもよく何ら制限されるものではない。
【0013】
本発明では、乳化剤または/および安定剤としてケン化度75〜99モル%のポリビニルアルコールを用いる。具体的には、生分解性を考慮して酢酸基を含有する部分鹸化ポリビニルアルコール、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基などを含有する部分鹸化ポリビニルアルコール、末端水酸基含有部分鹸化ポリビニルアルコールなどが例示できる。
グリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤も単独で使用、もしくは併用できるが、HLBで4以上、好ましくは5以上のものが使用される。例示すると、デカグリセリンモノラウレート、デカグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノオレエート、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノオレエート、テトラグリセリンモノステアレート、テトラグリセリンモノオレエート、クエン酸モノグリオレイン酸反応物等、各種市販されているものが使用できる。
これら界面活性剤類の使用比率は、ポリエステル系樹脂及び改質に使用するロジン系化合物または/およびテルペン系化合物の総重量に対し0.5重量部以上20重量部以下が好ましい。0.5重量部を下回れば分散が困難となり、20重量部を超えればエマルション塗工面の耐水性が劣り、又価格的にも好ましくない。
また、必要に応じ他の界面活性剤を使用することもできる。例えばアニオン系界面活性剤ではカルボン酸型界面活性剤、硫酸エステル型界面活性剤、スルホン酸型界面活性剤、リン酸エステル型界面活性剤、ホウ酸エステル型界面活性剤、カチオン系界面活性剤では脂肪酸アミン塩型界面活性剤、第四級アンモニウム塩界面活性剤、又両性界面活性剤系、さらには非イオン系界面活性剤、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル型に代表されるエーテル型、又エステル型、アミノエーテル型、エーテルエステル型、アルカノールアミド型等が挙げられる。更に高分子界面活性剤、反応型界面活性剤などを使用の目的に合わせ選定し、併用できる。活性剤の使用比率は使用の目的などに応じて決定する。
【0014】
エマルションの製造方法としては、界面活性剤を利用した転相法、機械的に粉砕する方法、高圧で粉砕する方法、せん断力を利用する方法などが一般的に用いられる。これらの方法によりエマルション化を行なう場合、高融点樹脂は一般に溶剤を使用し低粘度化することで小粒子径のエマルションを得ることができる。溶剤として、又これらに配合使用出来る他の溶剤の具体的例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルエーテル、ジヘキシルエーテルなどの各種のエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等そのエステル類、乳酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、蓚酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、γ−ブチルラクトン等のエステル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニルアセトン、イソホロン等のケトン類、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸などの脂肪酸類、エタノール、イソプロピルアルコール、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、又反応性モノマー類など通常例示することが出来る。さらにジオキサン類、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3ジオキソラン、2−nブチル−1,3−ジオキソラン、2,2−ジ−n−プロピル−1,3ジオキソラン、2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン、2,2−ジ−n−プロピル−4−メチル−1,3ジオキソラン、2,2−ジイソプロピル−4−メチル−1,3−ジオキソラン、2−n−ブチル−4−メチル−1,3ジオキソラン、2−n−プロピル−4−メチル−1,3ジオキソラン、2−メチル−2−イソブチル−4−メチル−1,3ジオキソラン、2−n−ブチル−4−エチル−1,3ジオキソラン、2−n−プロピル−4−メチル−1,3ジオキソラン、2−n−ブチル−4−メチル−1,3ジオキサン、2−n−プロピル−1,3−ジオキセパン、2,2−ジ−n−プロピル−4−メチル−1,3ジオキソラン等が例示できるがこれらに限定することではない。一般的には酢酸エチルが、相溶化が容易であり、溶剤の除去も容易であることから好ましく使用できる。
本発明で得られるエマルションは平均粒子径が小さいことから大きい粒子径の物と比較して安定性が高く、さらに、造膜性に優れるといった利点を有している。
【0015】
本発明で得られた改質された生分解性ポリエステル系樹脂エマルションは、さらに用途目的に応じ架橋剤、可塑剤、界面活性剤、粘度調整剤、無機質材料、酸化防止剤、レベリング剤、増粘剤、分解安定剤、防腐剤、着色剤、芳香剤等が添加されたものであってもよく、また濡れ性、揮発性の改良を目的に溶剤類を併用することもできる。また、他の生分解性樹脂エマルション、従来から使用されている通常の樹脂エマルション、例示すると天然ゴム系、各種合成ゴム系、ウレタン系、アクリル系、スチレン系、エポキシ系、酢ビ系、フェノール系、ポリエチレン系、ポリアミド系、フッ素系など水系樹脂類など併用することにより、各種用途にあわせ性能を調整し広く水系材料として使用することができる。
【0016】
このように改質された生分解性樹脂エマルションを塗工して得られた塗膜は十分な柔軟性、密着性、粘・接着性をもっており、各種コーティング、粘接着用バインダー、ヒートシールなどとして、各種被塗布材料に幅広く用いることができる。得られたエマルションの塗工は通常行なわれる方法、例えばドクターブレード法、ロールコーター法、エアナイフ法、グラビア法、又状況によってはスプレー法、ディッピング法などにより行われるが、これらの方法に限定されることはない。
【0017】
【発明の実施の形態】
攪拌機、コンデンサー、減圧設備、窒素導入管、温度計、温度コントローラー、を備えた内容量1Lの乳化設備に生分解性ポリエステル及び改質剤を仕込み、粘度軽減のため必要量の溶剤及び水を仕込む。可溶化できる温度まで昇温し、攪拌を強め乳化分散させる。乳化後減圧し、使用した溶剤を除去する。このような操作により本発明の改質された生分解性樹脂エマルションを得る。
【0018】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明する。但し本発明は、これらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0019】
(実施例−1)
三井化学製ポリ乳酸樹脂LACEA H−280を200g、東邦化学工業製ロジンアルキレンオキサイド誘導体DRA100Pを20g、大日本インキ化学製ポリエステル系改質剤PD−150を30g、クラレ製ポリビニルアルコールPVA−317を10g、酢酸エチル200g、イオン水390gを混合し、高速ホモジナイザーを使用し200rpmで昇温した。
90℃まで上昇後、回転数を13000rpmまで上げて1時間撹拌した。この間温度は125℃となった。その後40℃まで冷却し、減圧下液中に窒素を導入しつつ臭気が消えるまで溶剤を除去し、サンプルを得た。
【0020】
(実施例−2)
実施例1と同様な製造法で東邦化学工業製ロジンアルキレンオキサイド誘導体DRA100Pに替え、同DRA−1500を使用した。
【0021】
(実施例−3)
実施例1と同様な製造法で三井化学製ポリ乳酸樹脂LACEAH−280に替え、同LACEA H−100、東邦化学工業製ロジンアルキレンオキサイド誘導体DRA−100Pに替え荒川化学製ロジンエステルA−125を使用した。
【0022】
(実施例−4)
実施例1と同様な製造法で東邦化学工業製ロジンアルキレンオキサイド誘導体DRA100Pに替えヤスハラケミカル製テルペン樹脂PX−800を使用した。
【0023】
(実施例−5)
実施例1と同様な製造法で三井化学製ポリ乳酸樹脂LACEA H−280に替え、同LACEA H−100、東邦化学工業製ロジンアルキレンオキサイド誘導体DRA100Pに替え、ヤスハラケミカル製テルペン樹脂PX−1000を使用した。
【0024】
(比較例−1)
実施例1と同様な製造法であるが、東邦化学工業製ロジンアルキレンオキサイド誘導体DRA100Pの使用を省略した。
【0025】
(比較例−2)
実施例1と同様な製造法であるが、三井化学製ポリ乳酸樹脂LACEA H−280に替え、同LACEA H−100を使用し、東邦化学工業製ロジンアルキレンオキサイド誘導体DRA100Pの使用を省略した。
【0026】
実施例1〜5、比較例1〜2で得たサンプルの性状を表1にまとめる。各性状は下記の方法で測定した。
1. 外観:サンプルをサンプルビンに取り外観を目視観察。
2. 粒子径:測定機器:HORIBA LA−920
3. 不揮発分%:熱風循環式恒温槽を使用し105℃、30分で測定。
4. pH:原液で評価、測定機器:HORIBA pH/ION METERF−23
5. 粘度:原液で評価、測定機器:BROOKFELD VISCOMETER
【0027】
【表1】
【0028】
サンプルを未サイズ紙にNo.20のバーコーターで塗布し、120℃で2分乾燥して得た塗膜の試験を以下の方法により行った。評価結果は表2にまとめる。
密着性:密着性1;塗工紙のセロテープ剥離で判定した。
材破を〇、セロテープへの付着を△、剥離を×とした。
密着性2;同様にポリ乳酸フイルムへ塗工し、密着性1と同様に評価した。
光沢:目視判定した。光沢ありを〇、なしを×とした。
耐水性:水滴2〜3滴を落とし5分後のにじみの程度を目視判定した。にじみなしを〇、にじみを×、中間を△で評価した。
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】
表2に示した結果から明らかなように、生分解性ポリエステル系樹脂にロジン系化合物または/およびテルペン系化合物を配合した生分解性樹脂のエマルションを塗工して得た塗膜は優れた粘接着性を有することが分かった。これにより、これまで用途が限られてきた生分解性樹脂のさらなる応用を図ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明はポリ乳酸などの生分解性ポリエステル系樹脂の応用を容易にする技術に関するものである。さらに詳しくは各種の紙、フイルム、金属シート、木工材料、繊維類などに塗工し塗膜として、また粘接着性、柔軟性などの機能を付与したバインダーとして使用される改質した生分解性ポリエステル系樹脂エマルションに関するものである。
【0002】
【産業上の利用分野】
本発明の産業上の利用分野は、農林水産業用資材、土木建築資材、レジャー製品、包装フイルム、容器、衛生用品、事務用品、衣料品、医療用品、農薬、肥料、種子などの製造用、植林用素材、不織布、製本、製袋、複合フイルム用接着剤、紙加工製品、繊維製品などである。一般に、紙加工、フイルム加工、シート加工、織布・不織布加工など、さらには金属加工、プラスチック加工、木工加工、石材加工、ガラス加工など広く加工用薬剤として表面の保護、改質用基材として、また粘接着材料として使用される。
【0003】
【従来の技術】
これまで多種多様の樹脂が、塗料、インキ、各種のコーティング剤、接着剤、粘着剤、ヒートシール剤、密着性付与剤などに使用されてきた。従来からの樹脂、例えばアクリル系、ウレタン系、オレフィン系、ポリエステル系、さらには合成ゴム系樹脂などに代表される多くの樹脂が用途目的に合わせてそれぞれの特徴を利用し、大量に使用されてきた。しかしながら、これらの樹脂は石油系原料により製造されるため、石油資源の枯渇、さらには環境汚染などの問題を引き起こす原因となっている。
このような背景から、従来からの樹脂と同じように使用でき、しかも使用後は自然界の微生物によってバイオマス形成に関わった後水と二酸化炭素に分解され、自然に還るプラスチックであり、炭酸ガスの発生も抑制できる樹脂の実用化が検討されている。特に植物を出発材料とした生分解性樹脂は、資源循環型原料として一部の用途で実用化されている。
【0004】
生分解性ポリエステル系樹脂はこれらの社会的要請を満たすことのできる樹脂であり、広く活用できる技術が必要とされている。中でもポリ乳酸系樹脂は透明性に優れ、植物原料、例えばコーンやジャガイモ、サツマイモ等の植物より得られる澱粉を発酵して製造される乳酸を原料とすることなどから、再生可能な樹脂として期待されている。
近年、ポリ乳酸コポリマーなどの繊維への応用(特許文献1)、紙塗工用組成物の印刷性の改良(特許文献2)、ポリ乳酸を含む生分解性樹脂のエマルション化技術(特許文献3、4)、樹脂改質法(特許文献5)、紙加工への応用(特許文献6)、繊維布製品への応用(特許文献7)、肥料への応用(特許文献8)、種子への応用(特許文献9)、改質法の検討(特許文献10)などが進められている。
【0005】
【特許文献1】特開平8−27280(1〜3頁)
【特許文献2】特開平9−78494(1〜3頁)
【特許文献3】特開2002−121288(1〜3頁)
【特許文献4】特開2002−11294(1〜3頁)
【特許文献5】WO99−45067(1〜3頁)
【特許文献6】特開平6−500603(1〜3頁)
【特許文献7】特開平4−334448(1〜3頁)
【特許文献8】特開平3−146492(1〜3頁)
【特許文献9】特開平2−23517(1〜3頁)
【特許文献10】特開平9−11107(1〜3頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来からの合成樹脂系材料と比較し環境への負荷の低減を可能とする生分解性ポリエステル系樹脂、特にポリ乳酸については、工業的な成型加工、フイルム化が可能になってきている。しかし、生分解性ポリエステル系樹脂は十分な機械的強度を有するものの、接着性、粘着性、柔軟性、他の材料との混和性を持つに至っておらず、実用面で十分な性能を発揮できているとはいえない。本発明が解決しようとする課題は、粘接着剤としての応用、薄膜塗工、柔軟性のある表面保護剤、各種バインダーへの応用が可能な、小粒子径樹脂エマルションを提供することである。さらにエマルション化の際に使用する乳化剤、安定剤は環境に悪影響を及ぼすことのない材料であることが望ましい。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、生分解性ポリエステル系樹脂100重量部に対しロジン系化合物または/およびテルペン系化合物を1〜80重量部配合することにより改質した生分解性樹脂の樹脂エマルションを塗工した塗膜が、粘接着性、柔軟性等に優れていることを見出した。すなわち、本発明によりこれまで困難であった生分解性樹脂の塗料、接着剤等への応用が可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明に係わる生分解性ポリエステル系樹脂として、例えばポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートカーボネート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリプロピレンサクシネートアジペート、ポリエチレンサクシネートテレフタレート、テトラメチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレート、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸などを挙げることができる。
単量体単位として、分子中にヒドロキシル基、カルボキシル基を有する、例えばグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などから選ばれる1種または2種以上と、上記のポリマーの単量体単位(少なくとも50重量%)との共重合体(化学修飾されたもの、これらの混合ポリマーも含む)であるものも使用できる。
ポリ乳酸については、L−乳酸、D−乳酸をそれぞれ単独で、またはこれらの混合物を重合することにより得られるポリ乳酸(それらの単量体単位が化学修飾されていても良い)、単量体単位がL−乳酸からなるポリ乳酸、同じくD−乳酸からなるポリ乳酸が混合されているものであってもよい。
必要に応じ可塑剤を配合してもよいが、できれば透明性が良好な方が広い分野での応用が可能となる。可塑剤の配合量は結晶化度、柔軟性などに影響する。一般には1〜50重量部配合使用される。
【0009】
生分解性ポリエステル系樹脂の製造法は特に限定はされないが、例えばポリ乳酸の場合、乳酸のみ、または乳酸と他のヒドロキシカルボン酸から直接脱水重縮合で製造する方法、ラクタイド、グリコライド、ε−カプロラクトン等の開環重合で得る方法、その他エステル交換で得る方法が挙げられる。
【0010】
本発明に係わるロジン系化合物、テルペン系化合物について以下に例を示す。
ロジン系化合物については、ロジン類、例えば東邦化学で製造、販売しているロジン類のアルキレンオキサイド誘導体、ロジン類の例えばカルシウム、亜鉛、マグネシウム、鉄などの金属塩等が挙げられる。さらには荒川化学、ハリマ化成などより製造、販売されている一般ロジンおよびその各種エステル、不均化ロジンおよびその各種エステル、フェノール変性ロジン、マレイン酸変性した誘導体、重合ロジンおよびその誘導体、ロジンを水添した後反応させた誘導体、反応後に水素添加し淡色化した誘導体、水素を使用し脱酸素の目的で淡色化した誘導体などが使用できる。荒川化学製については、例えばスーパーエステルA−18、A−75、A−100、A−115、A−125、D−160、D−125、ペンセルA、C、KK、AAG、重合ロジン誘導体ではシルバタック140、エステルガムAAL、A、AAV、105、106、水添ロジン誘導体でエステルガムH、HS、HP、HD、AT、マレイン化ロジン誘導体でアルキードNo1、No5、エマルションではスーパーエステルエマルションE−720、E−730などが例示できる。これらは一種、又は二種以上の混合物でもよく何ら制限されるものではない。
【0011】
テルペン系化合物は、例えばヤスハラケミカル、日本テルペンで商品化されている。テルペン重合体ではYSレジンPX(1250,1150,1000,800)、β−ピネン重合体ではYS−レジンPXN(1150N,300N)、β−ピネン重合体ではYS−レジンA(800)、テルペンフェノール共重合体ではYSポリスター2000、U−115,T−80,S−145,G−125,テルペン系水素添加樹脂ではクリアロンP(125,115,105,85)クリアロンM,クリアロンなどが例示できる。これらは一種、又は二種以上の混合物でもよく何ら制限されるものではない。
【0012】
これらの他に、必要に応じポリエステル系改質剤を配合することもできる。具体例としては、大日本インキ化学が製造、販売しているEXP:PD−150及びこれと類似する構造を有するもの、例えば、原料の一部が異なるもの、分子量が異なるもの、さらにE−500、ポリサイザ−Wシリーズ、Pシリーズなど、日本合成化学製のポリエスターLP−045,LP−044,TP−293,TP−219,TP−280,TP−285、三菱化成ビニルのダイヤサイザー409、三建化工製品などが例示できる。これらは一種、又は二種以上の混合物でもよく何ら制限されるものではない。
【0013】
本発明では、乳化剤または/および安定剤としてケン化度75〜99モル%のポリビニルアルコールを用いる。具体的には、生分解性を考慮して酢酸基を含有する部分鹸化ポリビニルアルコール、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基などを含有する部分鹸化ポリビニルアルコール、末端水酸基含有部分鹸化ポリビニルアルコールなどが例示できる。
グリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤も単独で使用、もしくは併用できるが、HLBで4以上、好ましくは5以上のものが使用される。例示すると、デカグリセリンモノラウレート、デカグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノオレエート、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノオレエート、テトラグリセリンモノステアレート、テトラグリセリンモノオレエート、クエン酸モノグリオレイン酸反応物等、各種市販されているものが使用できる。
これら界面活性剤類の使用比率は、ポリエステル系樹脂及び改質に使用するロジン系化合物または/およびテルペン系化合物の総重量に対し0.5重量部以上20重量部以下が好ましい。0.5重量部を下回れば分散が困難となり、20重量部を超えればエマルション塗工面の耐水性が劣り、又価格的にも好ましくない。
また、必要に応じ他の界面活性剤を使用することもできる。例えばアニオン系界面活性剤ではカルボン酸型界面活性剤、硫酸エステル型界面活性剤、スルホン酸型界面活性剤、リン酸エステル型界面活性剤、ホウ酸エステル型界面活性剤、カチオン系界面活性剤では脂肪酸アミン塩型界面活性剤、第四級アンモニウム塩界面活性剤、又両性界面活性剤系、さらには非イオン系界面活性剤、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル型に代表されるエーテル型、又エステル型、アミノエーテル型、エーテルエステル型、アルカノールアミド型等が挙げられる。更に高分子界面活性剤、反応型界面活性剤などを使用の目的に合わせ選定し、併用できる。活性剤の使用比率は使用の目的などに応じて決定する。
【0014】
エマルションの製造方法としては、界面活性剤を利用した転相法、機械的に粉砕する方法、高圧で粉砕する方法、せん断力を利用する方法などが一般的に用いられる。これらの方法によりエマルション化を行なう場合、高融点樹脂は一般に溶剤を使用し低粘度化することで小粒子径のエマルションを得ることができる。溶剤として、又これらに配合使用出来る他の溶剤の具体的例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルエーテル、ジヘキシルエーテルなどの各種のエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等そのエステル類、乳酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、蓚酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、γ−ブチルラクトン等のエステル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニルアセトン、イソホロン等のケトン類、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸などの脂肪酸類、エタノール、イソプロピルアルコール、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、又反応性モノマー類など通常例示することが出来る。さらにジオキサン類、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3ジオキソラン、2−nブチル−1,3−ジオキソラン、2,2−ジ−n−プロピル−1,3ジオキソラン、2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン、2,2−ジ−n−プロピル−4−メチル−1,3ジオキソラン、2,2−ジイソプロピル−4−メチル−1,3−ジオキソラン、2−n−ブチル−4−メチル−1,3ジオキソラン、2−n−プロピル−4−メチル−1,3ジオキソラン、2−メチル−2−イソブチル−4−メチル−1,3ジオキソラン、2−n−ブチル−4−エチル−1,3ジオキソラン、2−n−プロピル−4−メチル−1,3ジオキソラン、2−n−ブチル−4−メチル−1,3ジオキサン、2−n−プロピル−1,3−ジオキセパン、2,2−ジ−n−プロピル−4−メチル−1,3ジオキソラン等が例示できるがこれらに限定することではない。一般的には酢酸エチルが、相溶化が容易であり、溶剤の除去も容易であることから好ましく使用できる。
本発明で得られるエマルションは平均粒子径が小さいことから大きい粒子径の物と比較して安定性が高く、さらに、造膜性に優れるといった利点を有している。
【0015】
本発明で得られた改質された生分解性ポリエステル系樹脂エマルションは、さらに用途目的に応じ架橋剤、可塑剤、界面活性剤、粘度調整剤、無機質材料、酸化防止剤、レベリング剤、増粘剤、分解安定剤、防腐剤、着色剤、芳香剤等が添加されたものであってもよく、また濡れ性、揮発性の改良を目的に溶剤類を併用することもできる。また、他の生分解性樹脂エマルション、従来から使用されている通常の樹脂エマルション、例示すると天然ゴム系、各種合成ゴム系、ウレタン系、アクリル系、スチレン系、エポキシ系、酢ビ系、フェノール系、ポリエチレン系、ポリアミド系、フッ素系など水系樹脂類など併用することにより、各種用途にあわせ性能を調整し広く水系材料として使用することができる。
【0016】
このように改質された生分解性樹脂エマルションを塗工して得られた塗膜は十分な柔軟性、密着性、粘・接着性をもっており、各種コーティング、粘接着用バインダー、ヒートシールなどとして、各種被塗布材料に幅広く用いることができる。得られたエマルションの塗工は通常行なわれる方法、例えばドクターブレード法、ロールコーター法、エアナイフ法、グラビア法、又状況によってはスプレー法、ディッピング法などにより行われるが、これらの方法に限定されることはない。
【0017】
【発明の実施の形態】
攪拌機、コンデンサー、減圧設備、窒素導入管、温度計、温度コントローラー、を備えた内容量1Lの乳化設備に生分解性ポリエステル及び改質剤を仕込み、粘度軽減のため必要量の溶剤及び水を仕込む。可溶化できる温度まで昇温し、攪拌を強め乳化分散させる。乳化後減圧し、使用した溶剤を除去する。このような操作により本発明の改質された生分解性樹脂エマルションを得る。
【0018】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明する。但し本発明は、これらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0019】
(実施例−1)
三井化学製ポリ乳酸樹脂LACEA H−280を200g、東邦化学工業製ロジンアルキレンオキサイド誘導体DRA100Pを20g、大日本インキ化学製ポリエステル系改質剤PD−150を30g、クラレ製ポリビニルアルコールPVA−317を10g、酢酸エチル200g、イオン水390gを混合し、高速ホモジナイザーを使用し200rpmで昇温した。
90℃まで上昇後、回転数を13000rpmまで上げて1時間撹拌した。この間温度は125℃となった。その後40℃まで冷却し、減圧下液中に窒素を導入しつつ臭気が消えるまで溶剤を除去し、サンプルを得た。
【0020】
(実施例−2)
実施例1と同様な製造法で東邦化学工業製ロジンアルキレンオキサイド誘導体DRA100Pに替え、同DRA−1500を使用した。
【0021】
(実施例−3)
実施例1と同様な製造法で三井化学製ポリ乳酸樹脂LACEAH−280に替え、同LACEA H−100、東邦化学工業製ロジンアルキレンオキサイド誘導体DRA−100Pに替え荒川化学製ロジンエステルA−125を使用した。
【0022】
(実施例−4)
実施例1と同様な製造法で東邦化学工業製ロジンアルキレンオキサイド誘導体DRA100Pに替えヤスハラケミカル製テルペン樹脂PX−800を使用した。
【0023】
(実施例−5)
実施例1と同様な製造法で三井化学製ポリ乳酸樹脂LACEA H−280に替え、同LACEA H−100、東邦化学工業製ロジンアルキレンオキサイド誘導体DRA100Pに替え、ヤスハラケミカル製テルペン樹脂PX−1000を使用した。
【0024】
(比較例−1)
実施例1と同様な製造法であるが、東邦化学工業製ロジンアルキレンオキサイド誘導体DRA100Pの使用を省略した。
【0025】
(比較例−2)
実施例1と同様な製造法であるが、三井化学製ポリ乳酸樹脂LACEA H−280に替え、同LACEA H−100を使用し、東邦化学工業製ロジンアルキレンオキサイド誘導体DRA100Pの使用を省略した。
【0026】
実施例1〜5、比較例1〜2で得たサンプルの性状を表1にまとめる。各性状は下記の方法で測定した。
1. 外観:サンプルをサンプルビンに取り外観を目視観察。
2. 粒子径:測定機器:HORIBA LA−920
3. 不揮発分%:熱風循環式恒温槽を使用し105℃、30分で測定。
4. pH:原液で評価、測定機器:HORIBA pH/ION METERF−23
5. 粘度:原液で評価、測定機器:BROOKFELD VISCOMETER
【0027】
【表1】
【0028】
サンプルを未サイズ紙にNo.20のバーコーターで塗布し、120℃で2分乾燥して得た塗膜の試験を以下の方法により行った。評価結果は表2にまとめる。
密着性:密着性1;塗工紙のセロテープ剥離で判定した。
材破を〇、セロテープへの付着を△、剥離を×とした。
密着性2;同様にポリ乳酸フイルムへ塗工し、密着性1と同様に評価した。
光沢:目視判定した。光沢ありを〇、なしを×とした。
耐水性:水滴2〜3滴を落とし5分後のにじみの程度を目視判定した。にじみなしを〇、にじみを×、中間を△で評価した。
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】
表2に示した結果から明らかなように、生分解性ポリエステル系樹脂にロジン系化合物または/およびテルペン系化合物を配合した生分解性樹脂のエマルションを塗工して得た塗膜は優れた粘接着性を有することが分かった。これにより、これまで用途が限られてきた生分解性樹脂のさらなる応用を図ることができる。
Claims (5)
- 生分解性ポリエステル系樹脂100重量部に対しロジン系化合物および/またはテルペン系化合物を1〜80重量部配合したものを含有する改質された生分解性樹脂エマルション。
- 乳化剤または/および安定剤としてケン化度75〜99モル%のポリビニルアルコールまたは/およびグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤を単独で使用することを特徴とする請求項1の改質された生分解性樹脂エマルション。
- 平均粒子径が5nm以上3.0μm以下であることを特徴とする請求項1、2の改質された生分解性樹脂エマルション。
- 生分解性ポリエステル系樹脂がポリ乳酸系樹脂である請求項1、2、3の改質された生分解性樹脂エマルション。
- 請求項1、2、3、4記載の改質された生分解性樹脂エマルションを含有する塗工剤、接着剤、粘着剤を使用した紙、フイルム、シート、繊維又は木工品。
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