JP3623182B2 - 樹脂組成物、樹脂組成物溶液、及び樹脂組成物分散液 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性を有し、基材に対する密着性に優れる樹脂組成物、樹脂組成物溶液、及び樹脂組成物分散液に関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今、地球環境保全、人体の健康維持といった観点から、各種基材への印刷に用いるインキ、ニス、ヒートシール剤等に含まれるバインダーにも、生分解性のある材料が望まれている。
【0003】
そこで、これらの製品のバインダーとして、セラック等の生分解性のある天然樹脂や、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物等が、単独で、或いは混合されて使用されてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、天然樹脂をバインダーとして含むインキ等は、その天然樹脂の特性によって、特定の基材(例えばポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート)に対する密着性が悪いという欠点や、天然樹脂の分子量が小さいことにより、塗膜の凝集力が充分でなく、塗布した場合の塗膜強度が不十分であるという欠点があった。
【0005】
また、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物をバインダーとして含むインキ等は、その澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物の特性によって、特定の基材(例えばポリプロピレン)に対する密着性が悪いこと、インキの粘度が高くなり過ぎること、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物を溶解できる溶剤が制限されるため、製造が困難となること、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物の分子量が大きすぎることにより、印刷機上での再溶解性が悪いこと等の欠点があった。
【0006】
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、生分解性を持ちながら、各基材に対する密着性、被膜強度、再溶解性、製造の容易性等において優れた樹脂組成物、樹脂組成物溶液、樹脂組成物分散液、それらを利用したインキ用バインダー、レットダウンエマルジョン、ニス、ヒートシール剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
(1)請求項1の発明は、
A成分として、(1)置換度(以下DS)が0.3〜2.8で、熱可塑性を有している、澱粉もしくは澱粉分解物のエステル化物
(2)エステル化と共に、ポリビニルエステルのグラフト化がなされている澱粉
(3)ポリエステルグラフト鎖を澱粉分子上に有し、前記グラフト鎖末端及び澱粉直結の水酸基の一部又は全てがエステル基により封鎖されているポリエステルグラフト重合澱粉と、前記ポリエステルグラフト鎖と同一構成単位を有し、末端水酸基の一部又は全てがエステル基により封鎖されている独立ポリエステルとが均一混合されてなるポリエステルグラフト重合澱粉アロイ
から選ばれる1又は2以上の澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物と、
B成分として、エステル化天然樹脂、グラフト化天然樹脂の中から選ばれる1又は2以上の成分とを含有することを特徴とする樹脂組成物を要旨とする。
【0008】
本発明の樹脂組成物は、前記A成分と前記B成分との両方を含有することにより、例えば、プラスチック(例えば、延伸ポリプロピレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、ポリ脂肪族エステル、ポリ乳酸等)のフィルムやシート、紙、成形材料(金属、木材、プラスチック)等の基体に対して、高い接着性を有する。
【0009】
また、この樹脂組成物は、A成分の澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物と、B成分のエステル化天然樹脂及び/又はグラフト化天然樹脂との相溶性が良いため、例えば、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物の溶液とエステル化天然樹脂及び/又はグラフト化天然樹脂の溶液とを混合することにより、容易に製造することができる。
【0010】
更に、この樹脂組成物は、A成分とB成分との含有比率を変えることにより、樹脂組成物のヒートシール性、塗膜強度、再溶解性等の特性を制御することができる。
つまり、本発明の樹脂組成物は、A成分の含有量に対するB成分の含有量の比率を高くすることにより、ヒートシール性や再溶解性を高めることができる。この原因としては、分子量の小さいB成分の比率が高くなることにより、樹脂組成物の平均分子量が小さくなり、溶融や溶解をしやすくなることが考えられる。
【0011】
逆に、本発明の樹脂組成物は、A成分の含有量に対するB成分の含有量の比率を低くすることにより、塗膜強度を高くすることができる。この原因としては、分子量の大きい澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物の比率が高くなることにより、樹脂組成物の平均分子量が大きくなることが考えられる。
【0012】
尚、上記ヒートシール性とは、例えば、2つの基体の接合面に、樹脂組成物から成る層を設け、所定の条件で加熱して樹脂組成物を溶融後、冷却することにより、当該2つの基体を、樹脂組成物の層を介して接合した場合の、接合強度をいい、上記塗膜強度とは、例えば、基体の表面に形成した、樹脂組成物から成る塗膜の強度をいい、上記再溶解性とは、樹脂組成物の溶液や分散液から、溶剤や分散媒が揮発することにより樹脂組成物が乾燥固化しても、再びその樹脂組成物の溶液によって、その乾固物が溶解する性質をいう。
【0013】
また、本発明の樹脂組成物は、その成分であるA成分及びB成分の両方が生分解性を有しているので、樹脂組成物自体も生分解性を有する。
・前記澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物は、澱粉置換誘導体、または、澱粉置換誘導体を含有するとともに、必要に応じて、他の生分解性樹脂、可塑剤、フィラー等を混和した混合物、溶融物、ポリマーアロイをいう。
【0014】
上記澱粉置換誘導体は、澱粉もしくは澱粉分解物のエステル化物、エーテル化物、またはこれらの複合誘導体であり、その置換度(以下DS)は、0.3〜2.8であることが好ましく、熱可塑性を有していることが好ましい。
この澱粉置換誘導体としては、例えば、特表平8−502552号公報に記載されている、生物分解性で疎水性デンプンエステルおよび生物分解性ポリエステルを含有する相溶性配合物から調製された生物分解性成形用生成物、特開平8−188601号公報に記載されている、ビニルエステルをエステル化試薬とする澱粉エステルであって、前記ビニルエステルとしてエステル基炭素数2〜18のものを用い、非水有機溶媒中でエステル化触媒を使用して澱粉と反応させて得られる澱粉エステル、特開平8−239402号公報及び特開平8−301994号公報に記載されている、エステル化と共に、ポリビニルエステルのグラフト化がなされている澱粉、特開平9−31308号公報に記載されている、ポリエステルグラフト鎖を澱粉分子上に有し、前記グラフト鎖末端及び澱粉直結の水酸基の一部又は全てがエステル基により封鎖されているポリエステルグラフト重合澱粉と、前記ポリエステルグラフト鎖と同一構成単位を有し、末端水酸基の一部または全てがエステル基により封鎖されている独立ポリエステルとが均一混合されてなるポリエステルグラフト重合澱粉アロイ等が好ましく、特開2000−159801号公報に記載されている、同一澱粉分子の反応性水酸基の水素を、炭素数2〜4の短鎖アシル基及び炭素数6〜18の長鎖アシル基で置換した短鎖・長鎖混合澱粉エステル、特開2000−159802号公報に記載されている、同一澱粉分子の反応性水酸基を、炭素数2〜4の短鎖炭化水素含有基及び炭素数6〜24の長鎖炭化水素含有基で置換した短鎖・長鎖混合澱粉置換誘導体等が更に好ましい。
【0015】
この澱粉置換誘導体は、澱粉を母体としているため、生分解性、熱可塑性、成形性等の特性を有する。
・本発明の樹脂組成物は、例えば、インキ用バインダー、レットダウンエマルジョン、トップコートニス、アンダーコートニス、オーバープリントニス、乳化剤、分散剤等に使用することができる。
【0016】
・本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、分散安定剤、酸化防止剤、安定剤等の副資材を添加することができる。
上記分散安定剤は、例えば、樹脂組成物を、溶液に溶解した場合や、分散液に分散させた場合に、液状態を安定化する作用や、樹脂組成物の物性を安定化させる作用を有する。
【0017】
また、酸化防止剤は、例えば、樹脂組成物を含む溶液や分散液を基体上に塗布、成形後における樹脂組成物の酸化劣化防止の作用を有する。
これらの副資材の添加量は、当該樹脂組成物を応用する分野によって適量の範囲が異なるため、特に限定されない。
・前記(1)置換度(以下DS)が0.3〜2.8で、熱可塑性を有している、澱粉もしくは澱粉分解物のエステル化物は、置換度が2.8以下であることにより、生分解性が高い。
また、このエステル化物は、置換度が0.3より大きいことにより、溶剤可溶性が高いとともに、フィルム等の基体に対する密着性が高い。更に、置換度が0.3より大きいことにより、このエステル化物とB成分との相溶性が高くなり、例えば、このエステル化物の溶液とB成分の溶液とを混合することにより、容易に本発明の樹脂組成物の溶液を製造することができる。
・前記置換度とは、澱粉の基本構成単位である糖ユニットの有する3つの水酸基のうち 、置換された数を表す指標である。例えば、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物において、平均して1つの水酸基が置換されている場合は、置換度は1となる。
(2)請求項2の発明は、
A成分として、(1)置換度(以下DS)が0.3〜2.8で、熱可塑性を有している、澱粉もしくは澱粉分解物のエステル化物
(2)エステル化と共に、ポリビニルエステルのグラフト化がなされている澱粉
(3)ポリエステルグラフト鎖を澱粉分子上に有し、前記グラフト鎖末端及び澱粉直結の水酸基の一部又は全てがエステル基により封鎖されているポリエステルグラフト重合澱粉と、前記ポリエステルグラフト鎖と同一構成単位を有し、末端水酸基の一部又は全てがエステル基により封鎖されている独立ポリエステルとが均一混合されてなるポリエステルグラフト重合澱粉アロイから選ばれる1又は2以上の澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物と、B成分として、ダンマル、ロジン、コーパル、バルザム、サンダラック、ヤッカガムの中から選ばれる1又は2以上の天然樹脂成分と、
を含有することを特徴とする樹脂組成物を要旨とする。
【0018】
本発明の樹脂組成物は、前記A成分と前記B成分との両方を含有することにより、例えば、プラスチック(例えば、延伸ポリプロピレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、ポリ脂肪族エステル、ポリ乳酸等)のフィルムやシート、紙、成形材料(金属、木材、プラスチック)等の基体に対して、高い接着性を有する。
【0019】
また、この樹脂組成物は、A成分とB成分との含有比率を変えることにより、樹脂組成物のヒートシール性、塗膜強度、再溶解性等の特性を制御することができる。
つまり、本発明の樹脂組成物は、A成分の含有量に対するB成分の含有量の比率を高くすることにより、ヒートシール性や再溶解性を高めることができる。 逆に、本発明の樹脂組成物は、A成分の含有量に対するB成分の含有量の比率を低くすることにより、塗膜強度を高くすることができる。
【0020】
更に、本発明の樹脂組成物は、その成分であるA成分及びB成分の両方が生分解性を有しているので、樹脂組成物自体も生分解性を有する。
・前記ダンマルは、フタバガキ科に属する樹、Dammar orientalisの分泌物で淡黄色軟質樹脂状固塊であり、ダンマロール酸、ダンマリル酸、α-ダンマロレセン、β-ダンマロレセンなどの混合物を主構成成分とする天然樹脂で、例えば、バタビア、スマトラ、シンガポール、ポンチアナク、ボルネオ、タイ、マレイ等がある。
【0021】
・前記ロジンには、マツ科Pinus densifloraを代表とする生松脂を原料とする「ガムロジン」と松樹や松根などを原料とする「ウッドロジン」とが有り、松に含まれる樹脂酸を精製した、淡黄色ないし黄褐色の塊である。ロジンは、アビエチン酸、レボピマル酸、デキストロピマル酸などを主構成成分とする天然樹脂で、例えば、世界各地で産出されるウッドロジン、ガムロジン、トール油ロジン等がある。
【0022】
・前記コーパルには、マメ科Copaifera demeusai Harmsをはじめとする生樹による軟質のもの(Recent resin)と硬質の化石樹脂(Fossil resin)があり、淡黄色または黄褐色の樹脂状物質である。コーパルは、コンゴーコパリン酸、コンゴーコパロリン酸などの混合物を主構成成分とする天然樹脂であり、例えば、世界各地で産出されるコーパルガムがある。
【0023】
・前記バルザムとしては、例えば、カナダ、コパイバ、グルジャン、トルー、メッカ等がある。
・前記サンダラックとしては、世界各地で産出されるサンダラックがある。
・前記ヤッカガムとしては、世界各地で産出されるヤッカガムがある。
(3)請求項3の発明は、
前記エステル化天然樹脂及び前記グラフト化天然樹脂は、セラック、ダンマル、ロジン、コーパル、バルザム、サンダラック、ヤッカガムの中から選ばれる1又は2以上の天然樹脂を変性して成るものであることを特徴とする前記請求項1に記載の樹脂組成物を要旨とする。
【0024】
本発明の樹脂組成物は、B成分として、上記の天然樹脂を変性して成る物質を含有することにより、A成分とB成分との相溶性が良い。
そのため、例えば、A成分の溶液とB成分の溶液とを混合することにより、容易に製造することができる。
【0025】
・前記セラックとは、学名 Laccifer lacca Kerr と称されるラックカイガラムシが分泌する樹脂状物質を精製した天然物であり、例えば、セラック原料であるシードラック、精製セラック、脱色セラック、白色セラックがある。
(4)請求項4の発明は、
前記エステル化天然樹脂が、天然樹脂と、アシル化ハロゲン、モノーカルボン酸無水物、ジーカルボン酸無水物、カルボン酸ビニルエステルの中から選ばれるエステル化剤との反応により生じるエステル化物、またはこれらのエステル化物と、アルコール類、セロソルブ類、グリコール類の中から選ばれるものとの反応により生じるモノエステル化物であることを特徴とする前記請求項1又は3に記載の樹脂組成物を要旨とする。
【0026】
本発明の樹脂組成物は、B成分として、上記エステル化物、または上記モノエステル化物を含む場合には、それらの化合物と澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との相溶性が良いために、例えば、エステル化物またはモノエステル化物の溶液と、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物の溶液とを混合することにより、容易に製造することができる。
【0027】
・前記エステル化天然樹脂は、例えば、セラック、ダンマル、ロジン、コーパル、バルザム、サンダラック、ヤッカガム等の天然樹脂と、上記エステル化剤とを反応させることにより生じるエステル化物、または、これらのエステル化物と、アルコール類、セロソルブ類、グリコール類の中から選ばれるものとの反応により生じるモノエステル化物が挙げられる。
【0028】
上記エステル化の反応としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸等の有機溶剤に天然樹脂を溶解し、酸無水物、アシルクロライド、カルボン酸ビニルエステル等を反応させる反応がある。
また、エステル化の反応としては、例えば、酸無水物中に天然樹脂を溶解し、反応させることによるエステル化がある。
(5)請求項5の発明は、
前記グラフト化天然樹脂が、(1)天然樹脂に、有機過酸化物とともに無水マレイン酸を加え、天然樹脂にマレイン酸をグラフトさせてなるグラフト化天然樹脂、(2)または、上記(1)のグラフト化天然樹脂と、アルコール類、セロソルブ類、グリコール類の中から選ばれるものとの反応により生じるモノエステル化物であることを特徴とする前記請求項1、3、4のいずれかに記載の樹脂組成物を要旨とする。
【0029】
本発明の樹脂組成物は、B成分として、上記グラフト化天然樹脂、または上記モノエステル化物を含む場合には、それらと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との相溶性が良いために、例えば、グラフト化天然樹脂またはモノエステル化物の溶液と、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物の溶液とを混合することにより、容易に製造することができる。
【0030】
・前記グラフト化天然樹脂は、例えば、セラック、ダンマル、ロジン、コーパル、バルザム、サンダラック、ヤッカガム等の天然樹脂に、有機過酸化物を用いて反応性二重結合部位をグラフトしたグラフト化天然樹脂、または、このグラフト化天然樹脂と、アルコール類、セロソルブ類、グリコール類の中から選ばれるものとの反応により生じるモノエステル化物が挙げられる。
【0031】
上記グラフト化の反応はマレイン化である。このマレイン化は、例えば、天然樹脂を溶解し、一般的な過酸化物のラジカル反応剤とともに無水マレイン酸を滴下して、天然樹脂にマレイン酸をグラフトさせる。
(6)請求項6の発明は、
前記A成分の含有量と、前記B成分の含有量との比率が、0.5:99.5〜99.5:0.5の範囲にあることを特徴とする前記請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物を要旨とする。
【0032】
本発明の樹脂組成物は、A成分の含有量と、B成分の含有量との比率が上記範囲内(特に好ましくは、90:10〜50:50の範囲内)にあることによって、接着性、ヒートシール性、再溶解性、及び塗膜強度のいずれの点においても優れている。
(7)請求項7の発明は、
可塑剤、フィラー、ワックスのうちの1又は2以上の成分を含有することを特徴とする前記請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物を要旨とする。
【0036】
本発明の樹脂組成物は、可塑剤やフィラーを含むことにより、樹脂組成物の機械的物性(例えば、溶融粘度、引張強度、伸び衝撃強度)を調整することができる。
また、この樹脂組成物は、ワックスを含む場合には、表面光沢調整が可能であること、耐水性向上、透湿度調整が可能であること、表面滑性等の特性を有し、例えば、オーバープリントニス、防湿コート剤等の用途に使用することができる。
【0037】
更に、本発明の樹脂組成物は、分散安定剤、酸化防止剤、安定剤を含む場合には、例えば、樹脂組成物を含有する溶液や分散液を調製した際に、その溶液や分散液の液状態の安定化、液中の樹脂組成物の物性安定化、溶液や分散液を塗布、成形した後の樹脂組成物の酸化や劣化の防止を実現することができる。
【0038】
・前記可塑剤としては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチルなどのフタル酸エステル系、グリセリンモノステレアレート、グリセリンモノラウリレートなどのグリセリンエステル系、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニルなどの脂肪酸エステル系、エポキシ化大豆油などのエポキシ化アルキルエステル系、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジブチルなどの脂肪族2塩基酸エステル系、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンモノラウリル酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル等のグリセリンエステル系、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル、トリアセチン、等の脂肪酸エステル系、エポキシ化大豆油、エポキシ化ヒマシ油等のエポキシ化アルキルエステル系、各種天然ゴム、テルペン類、リニアポリエステル等を任意の割合で使用できる。
【0039】
・前記ワックスとしては、例えば、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリルウレタンなどの合成高分子系、カルナバ、キャンデリラ、ライス、セラックなどの天然系ワックスを用いることができる。
・前記フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、タルク、酸化チタン、雲母、モンモリロナイト、シリカなどの無機物、ポリメタクリル酸メチルビーズ、ポリアクリルウレタンビーズ、ポリウレタンビーズなどの合成有機物及び、セルロースパウダーなどの天然系の物を使用できる。
【0040】
・前記分散安定化剤としては、例えば、金属脂肪酸塩、アニオン性界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン性又はアニオン性水溶性高分子、縮合リン酸塩、カチオン澱粉誘導体、セルロース誘導体、植物ガム及びその誘導体、動物性高分子、微生物高分子、水性エマルジョン化高分子を使用できる。
【0041】
上記金属脂肪酸塩としては、例えば、ブタン酸ソーダ、オクタン酸カリウム、ステアリン酸ソーダ等がある。
上記アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸エステルソーダ塩、アルキルスルホン酸ソーダ等がある。
【0042】
上記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルポリアルキレンオキサイド、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン等がある。
上記カチオン性又はアニオン性水溶性高分子としては、例えば、カチオン系ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンイミン、縮合ナフタレンスルホン酸等がある。
【0043】
上記縮合リン酸塩としては、例えば、ヘキサメタリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ等がある。
上記カチオン澱粉誘導体としては、例えば、コーンスターチベース、タピオカスターチベース、馬鈴薯澱粉ベース等がある。
【0044】
上記セルロース誘導体としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カチオン化セルロース等がある。
上記植物ガム及びその誘導体としては、例えば、アラビアガム、グアガム、キサンタンガム等がある。
【0045】
上記動物性高分子としては、例えば、カゼイン、キチン、キトサン等がある。
上記微生物高分子としては、例えば、キサンタンガム、ポリデキストロース、プルラン等がある。
上記合成高分子エマルジョンとしては、例えば、合成ゴムラテックス、ポリ酢酸ビニルエマルジョン等がある。
(8)請求項8の発明は、
インキ用バインダー、ニス、及びヒートシール剤のうちのいずれかを用途とする請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物を要旨とする。
(9)請求項9の発明は、
前記請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物を含有することを特徴とする密着剤を要旨とする。
【0046】
本発明の密着剤は、幅広い基材に対して密着性が良いため、例えば、フィルムラミネート用接着剤、紙器用ヒートシール剤、ブリスターパック用接着剤等の用途に使用することができる。
(10)請求項10の発明は、
前記請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物を含有することを特徴とする溶液を要旨とする。
【0047】
本発明の溶液は、例えば、前記請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物からなる被膜を、基体(例えば、プラスチックフィルム、シート、紙、成形材)の表面に形成するために使用することができる。
つまり、本発明の溶液を、基体の表面に塗布し、溶媒を蒸発させることにより、基体の表面に、樹脂組成物から成る被膜を形成することができる。
【0048】
また、本発明の溶液は、含有する樹脂組成物の組成を変えることにより、溶液の粘度を調整することができる。
つまり、樹脂組成物中で、A成分の配合量に対するB成分の配合量の比率を低くするほど、本発明の溶液の粘度を高くすることができる。
【0049】
従って、例えば、本発明の溶液を用いてインキを製造する場合には、含有する樹脂組成物の組成を変化させることにより、インキの粘度を、印刷条件(インキの塗工条件)に合わせて制御することができる。
・本発明の溶液は、例えば、インキ用バインダー、レットダウンエマルジョン、トップコートニス、アンダーコートニス、オーバープリントニス等に使用することができる。
【0050】
・前記溶液の溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどのエステル類、エタノール、メタノール、イソプロパノール等のアルコール類、エチレングリコール類、セロソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等を単独で、あるいは、2種以上を混合したものを使用することができる。
(11)請求項11の発明は、
前記請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物から成る粒子を含有することを特徴とする分散液を要旨とする。
【0051】
本発明の分散液は、例えば、前記請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物からなる被膜を、基体(例えば、プラスチックフィルム、シート、紙、成形材)の表面に形成するために使用することができる。
つまり、本発明の分散液を、基体の表面に塗布し、分散媒を蒸発させることにより、基体の表面に、樹脂組成物から成る被膜を形成することができる。
【0052】
また、本発明の分散液は、含有する樹脂組成物の組成を変えることにより、分散液の粘度を調整することができる。
つまり、樹脂組成物中のA成分(澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物)の比率を高くするほど、本発明の分散液の粘度を高くすることができる。
【0053】
従って、例えば、本発明の分散液を用いてインキを製造する場合には、含有する樹脂組成物の組成を変化させることにより、インキの粘度を、印刷条件(インキの塗工条件)に合わせて制御することができる。
・本発明の分散液は、例えば、インキ用バインダー、レットダウンエマルジョン、トップコートニス、アンダーコートニス、オーバープリントニス、等に使用することができる。
【0054】
・前記分散液の分散媒としては、例えば、水、アルカリ(アンモニア、苛性ソーダなど)水および分散剤などの併用・非併用系で水中に分散した水系分散媒がある。
・本発明の分散液は、例えば、樹脂組成物及び他の添加剤、分散剤等を加えた混合物を高剪断力を有する分散機によって水中に分散させる方法により製造することができる。
【0055】
または、樹脂組成物を各種溶剤に溶解させたものを水中にて予備分散させた後、添加剤、分散剤等を加え、各種分散機によって分散させてから、溶剤を除去する方法により製造することができる。
上記高剪断力を有する分散機としては、例えば、高速回転遠心放射型攪拌機、高速回転剪断型攪拌機、コロイドミル、メディア式分散機、高圧噴射式乳化分散機、超音波乳化分散機等が使用できる。
【0056】
尚、分散を行う時の条件としては、減圧下、大気圧下、加圧下のいずれでもよい。
・本発明の分散液は、必要に応じて、分散物を安定して存在させるため、適当量の塩基性物質(例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、及びアミン等の水中で塩基として作用するもの)を配合してもよい。
(12)請求項12の発明は、
前記粒子の粒径が1μm以下であることを特徴とする前記請求項11に記載の分散液を要旨とする。
【0057】
本発明の分散液は、含有する樹脂組成物粒子の粒径が1μm以下であることにより、塗膜のフィルム形成性、強度、透明性に優れ、印刷用に使用した場合、印刷版での目詰まりを起こしにくく、再溶解性が良いという利点を有する。
特に、含有する樹脂組成物粒子の粒径が0.5μm以下であることが、分散液を各種基材への塗工剤、インキとして使用するために望ましい。
【0058】
更に、含有する樹脂組成物粒子の粒径が0.05μm以下であることが、分散液をグラビア印刷用のインキとして用いる場合に、優れたグラビア印刷適性を得るために望ましい。
・平均粒径0.5μm以下の分散物を得る方法としては、樹脂組成物の溶融粘度が100mPa以下(100℃)となる樹脂組成物を使用し、高温下、高圧噴射式乳化分散機にて溶融乳化分散することが望ましい。
【0059】
また、粒子の粒径を小さくする(例えば0.05μm以下とする)ためには、例えば、樹脂組成物を構成するA成分とB成分との重量比が、8:2〜5:5の範囲にあることが望ましい。
尚、含有する樹脂組成物の組成比が上記範囲にある分散液を用いてインキを製造した場合には、インキの基体への接着性及び塗膜強度の点でも優れた特性が得られる。
【0060】
・グラビア印刷適性とは、印刷のムラ、ドクターブレード筋、版かぶり(非画線部の汚れ)、版とられ(版、セルにインキが残る)等の現象を起こさず、版の再現性良く、所定の印刷速度で印刷できることをいう。
(13)請求項13の発明は、
前記請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物、前記請求項10に記載の溶液、前記請求項11又は12に記載の分散液のいずれかを含有することを特徴とするインキ用バインダーを要旨とする。
【0061】
本発明のインキ用バインダーを用いたインキは、各種のプラスチックフィルム、プラスチックシート、紙、成形材料等の基体に対して、高い密着性を有する。
また、このインキは、含有する樹脂組成物中の、A成分とB成分との含有比率を変えることにより、インキの塗膜強度、再溶解性等の特性を制御することができる。
【0062】
例えば、樹脂組成物中のA成分の含有量に対するB成分の含有量の比率を高くすることにより、再溶解性を高めることができる。
逆に、樹脂組成物中のA成分の含有量に対するB成分の含有量の比率を低くすることにより、塗膜強度を高くすることができる。
【0063】
更に、本発明のインキは、その成分であるA成分とB成分との両方が生分解性を有しているので、インキ自体も生分解性を有する。
・本発明のインキは、水性インキと、溶剤系インキのどちらであってもよい。 また、本発明のインキは、例えば、グラビアインキ、フレキソインキ、オフセットインキ、平版インキ、凸版インキ等に使用することができる。
(14)請求項14の発明は、
前記請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物、前記請求項10に記載の溶液、前記請求項11又は12に記載の分散液のいずれかを含有することを特徴とするレットダウンエマルジョンを要旨とする。
【0064】
本発明のレットダウンエマルジョンを用いて製造したインキは、各種の基体に対して、高い密着性を有する。
また、本発明のレットダウンエマルジョンは、含有する樹脂組成物中の、A成分とB成分との含有比率を変えることにより、このレットダウンエマルジョンを用いて製造したインキの塗膜強度、再溶解性等の特性を制御することができる。
【0065】
更に、本発明のレットダウンエマルジョンは、その成分であるA成分とB成分との両方が生分解性を有しているので、レットダウンエマルジョンを用いて製造したインキも生分解性を有するものとすることができる。
・前記レットダウンエマルジョンとは、インキの顔料成分(コンクベース)に後添加して印刷適正、インキの各種性能(各種基材への密着性を含む)を向上させるために用いられるエマルジョンをいう。
(15)請求項15の発明は、
前記請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物、前記請求項10に記載の溶液、前記請求項11又は12に記載の分散液のいずれかを含有することを特徴とするニスを要旨とする。
【0066】
本発明のニスは、幅広い基体に対して高い密着性を有しており、また、含有する樹脂組成物中の、A成分とB成分との含有比率を変えることにより、塗膜強度、再溶解性等の特性を制御することができる。
更に、本発明のニスは、その成分であるA成分とB成分との両方が生分解性を有しているので、ニス自体も生分解性を有する。
【0067】
・本発明のニスは、水性ニス、溶剤系ニスのいずれであってもよく、例えば、グラビア、フレキソ、オフセット、平版、凸版の印刷用ニスとして使用することができる。
・本発明のニスは、例えば、トップコートニス、アンダーコートニス、オーバープリントニスとして使用することができる。
(16)請求項16の発明は、
前記請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物、前記請求項10に記載の溶液、前記請求項11又は12に記載の分散液のいずれかを含有することを特徴とするヒートシール剤を要旨とする。
【0068】
本発明のヒートシール剤は、幅広い基体に対して高い密着性を有しており、また、含有する樹脂組成物中の、A成分とB成分との含有比率を変えることにより、ヒートシール性を制御することができる。
更に、本発明のヒートシール剤は、その成分であるA成分とB成分との両方が生分解性を有しているので、ヒートシール剤自体も生分解性を有する。
【0069】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の樹脂組成物、樹脂組成物溶液、樹脂組成物分散液、インキ、ヒートシール剤、密着剤、レッドダウンエマルジョン、ニスの実施の形態の例(実施例)を説明する。
(実施例1)
次の(i)〜(iv)の様にして、エステル化セラック(B成分:エステル化天然樹脂)と澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物(A成分)との混合ワニス(樹脂組成物溶液)を製造した。
【0070】
(i)エステル化セラックの合成
(i−a)セラック200重量部を氷酢酸400重量部に溶解させた。
(i−b)上記(i−a)の溶液に、無水酢酸172重量部を加え、120℃の条件下で、3時間エステル化反応を進行させた。
【0071】
(i−c)減圧蒸留により、酢酸及び未反応の無水酢酸を留去し、エステル化セラック270重量部を得た。
(ii)エステル化セラックワニスの調製
前記(i)で得たエステル化セラック100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とからなる混合溶媒に溶解し、エステル化セラックワニス300重量部を得た。
【0072】
(iii)澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスの調製
澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物(DSが0.3〜2.8で、熱可塑性を有している、澱粉もしくは澱粉分解物のエステル化物、商品名コーンポール樹脂CPR−D2061;日本コーンスターチ株式会社製)100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とからなる混合溶媒に溶解し、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス300重量部を得た。
【0073】
(iv)エステル化セラックワニスと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとの混合
前記(ii)で得たエステル化セラックワニスと、前記(iii)で得た澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとを、1:9、2:8、3:7、4:6、5:5、6:4、7:3、8:2、9:1の比率(重量比)でそれぞれ混合することにより、エステル化セラックと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との混合ワニスを9種類調製した。
【0074】
この混合ワニスは、基体の表面に塗布することにより、ニスとして使用することができる。又、この混合ワニスは、2つの部材の接触面に塗布することにより、ヒートシール剤として、あるいは、密着剤として使用することができる。
(実施例2)
基本的には、前記実施例1と同様にして、エステル化セラックと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との混合ワニスを調製した。
【0075】
ただし、この実施例2では、エステル化セラックを次の(i)〜(iii)のようにして製造した。
(i)セラック200重量部を酸無水物(例えば無水酢酸、無水プロピオン等)400重量部に溶解させた。
【0076】
(ii)前記(i)の溶液を、120℃に加温し、2時間エステル化反応を進行させた。
(iii)減圧蒸留により、酢酸及び未反応の酸無水物を留去し、エステル化セラック270重量部を得た。
【0077】
この混合ワニスは、前記実施例1の混合ワニスと同様に、ニス、ヒートシール剤、密着剤として使用することができる。
(実施例3)
次の(i)〜(iv)の様にして、マレイン化ダンマル(B成分:グラフト化天然樹脂)と澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との混合ワニス(樹脂組成物溶液)を製造した。
【0078】
(i)マレイン化ダンマルの合成
(i−a)ダンマル200重量部をトルエン400重量部に溶解させて、溶液aを調製した。
(i−b)ジクミルパーオキサイド10重量部及び無水マレイン酸133重量部を、トルエン250重量部に溶解させて、溶液bを調製した。
【0079】
(i−c)圧力3Kg/cm2、温度140℃の下、溶液bを2時間かけて、徐々に溶液aに加えた。
(i−d)90分間、温度140℃の下で保温後、トルエンを減圧蒸留した。
(i−e)蒸留後残った固型樹脂をアセトンで溶解後濾過してから、アセトンを蒸留で留去して、マレイン化ダンマルを得た。
【0080】
(ii)マレイン化ダンマルワニスの調製
前記(i)で得たマレイン化ダンマル100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60部とから成る混合溶媒に溶解し、マレイン化ダンマルのワニスを得た。
【0081】
(iii)澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスの調製
コーンポール樹脂CPR−D2061(澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物)100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とからなる混合溶媒に溶解し、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス300重量部を得た。
【0082】
(iv)マレイン化ダンマルと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との混合ワニスの調製
前記(ii)で得たマレイン化ダンマルワニスと、前記(iii)で得た澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとを、1:9、2:8、3:7、4:6、5:5、6:4、7:3、8:2、9:1の比率(重量比)でそれぞれ混合することにより、マレイン化ダンマルと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との混合ワニスを9種類調製した。
【0083】
この混合ワニスは、前記実施例1の混合ワニスと同様に、ニス、ヒートシール剤、密着剤として使用することができる。
(実施例4)
次のようにして、マレイン化ロジンのモノエステル化合物(B成分:グラフト化天然樹脂)と、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との混合ワニスを調製した。
【0084】
(i)マレイン化ロジン100重量部に、イソプロパノール200重量部を加え、82℃の下、3時間反応させ、マレイン化ロジンのモノエステル化合物120重量部を得た。
(ii)マレイン化ロジンのモノエステル化合物ワニスの調製
前記(i)で得たマレイン化ロジンのモノエステル化合物100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とからなる混合溶媒に溶解し、マレイン化ロジンのモノエステル化合物ワニス300重量部を得た。
【0085】
(iii)澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスの調製
コーンポール樹脂CPR−D2061(澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物)100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とからなる混合溶媒に溶解し、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス300重量部を得た。
【0086】
(iv)マレイン化ロジンのモノエステル化合物ワニスと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとの混合
前記(ii)で得たマレイン化ロジンのモノエステル化合物ワニスと、前記(iii)で得た澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとを、それぞれ、1:9、2:8、3:7、4:6、5:5、6:4、7:3、8:2、9:1の比率(重量比)で混合することにより、マレイン化ロジンのモノエステル化合物と澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との混合ワニスを9種類調製した。
【0087】
この混合ワニスは、前記実施例1の混合ワニスと同様に、ニス、ヒートシール剤、密着剤として使用することができる。
(実施例5)
次の様にして、脱色セラック(B成分:天然樹脂)と澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物とから成る樹脂組成物の水分散液(樹脂組成物の分散液)を製造した。
【0088】
即ち、以下の原料を、高圧噴射式乳化分散機により、65℃の下で1時間処理後、90℃にて酢酸エチル及び水を留去し、固型分20%、平均粒子径0.1μmの安定な分散液を得た。
脱色セラック:3重量部
コーンポール樹脂CPR−D2061(澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物):7重量部
ポリビニルアルコール:1重量部
48%苛性ソーダ水溶液:0.1重量部
酢酸エチル:40重量部
水:50重量部
この分散液は、前記実施例1の混合ワニスと同様に、ニス、ヒートシール剤、密着剤として使用することができる。
(実施例6)
次の様にして、マレイン化ダンマル(B成分:グラフト化天然樹脂)と澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物とから成る樹脂組成物の水分散液(樹脂組成物の分散液)を製造した。
【0089】
即ち、以下の原料を、高圧噴射式乳化分散機により、65℃の下で1時間処理後、90℃にて酢酸エチル及び水を留去し、固型分20%、平均粒子径0.1μmの安定な分散液を得た。
マレイン化ダンマル:3重量部
コーンポール樹脂CPR−D2061(澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物)
:7重量部
ポリビニルアルコール:1重量部
48%苛性ソーダ水溶液:0.1重量部
酢酸エチル:40重量部
水:50重量部
尚、マレイン化ダンマルは、前記実施例3と同様にして製造した。
【0090】
この分散液は、前記実施例1の混合ワニスと同様に、ニス、ヒートシール剤、密着剤として使用することができる。
(実施例7)
次の様にして、マレイン化ダンマル、脱色セラック、及び澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物から成る組成物の水分散液(樹脂組成物分散液)を製造した。
【0091】
即ち、以下の原料を、高圧噴射式乳化分散機により、90℃の下で1時間処理後、90℃にて酢酸エチル及び水を留去し、固型分20%、平均粒子径0.1μmの安定な分散液を得た。
マレイン化ダンマル:2重量部
脱色セラック:2重量部
コーンポール樹脂CPR−D2061(澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物)
:6重量部
ポリビニルアルコール:1重量部
48%苛性ソーダ水溶液:0.1重量部
酢酸エチル:40重量部
水:50重量部
尚、マレイン化ダンマルは、前記実施例3と同様にして製造した。
【0092】
この分散液は、前記実施例1の混合ワニスと同様に、ニス、ヒートシール剤、密着剤として使用することができる。
(実施例8)
次の様にして、マレイン化ダンマル、脱色セラック(天然樹脂)、及び澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物から成る組成物と、可塑剤(エポキシ化アルキルエステル)とを含む水分散液(樹脂組成物分散液)を製造した。
【0093】
即ち、以下の原料を、高圧噴射式乳化分散機により、130℃の下で1時間処理後、急冷し、固型分20%、平均粒子径0.05μmの安定な分散液を得た。
マレイン化ダンマル:2重量部
脱色セラック:2重量部
コーンポール樹脂CPR−D2061(澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物):6重量部
エポキシ化アルキルエステル:2重量部
48%苛性ソーダ水溶液:0.1重量部
酢酸エチル:40重量部
水:50重量部
尚、マレイン化ダンマルは、前記実施例3と同様にして製造した。
【0094】
この分散液は、前記実施例1の混合ワニスと同様に、ニス、ヒートシール剤、密着剤として使用することができる。
(実施例9)
以下に示す原料を、ペイントシェーカーで練肉して青色インキを調製した。
【0095】
シアニンブルー(山陽色素株式会社製 Cyanine Blue 4044):100重量部
実施例1で製造した混合ワニス(澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとエステル化セラックワニスとの混合比=7:3): 60重量部
酢酸エチル:21重量部
イソプロピルアルコール:9重量部
(実施例10)レットダウンエマルジョン
以下に示す原料を、常法に従って混合することにより、レットダウンエマルジョンを製造した。
実施例1で製造した混合ワニス(澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとエステル化セラックワニスとの混合比=7:3):45重量部
セラック(界面活性剤として):5重量部
水:450重量部
(比較例1)
セラック100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とから成る混合溶媒に溶解し、セラックのワニス300重量部を得た。
(比較例2)
次の様にして、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物の水分散液(樹脂組成物分散液)を製造した。
【0096】
即ち、以下の原料を、高圧噴射式乳化分散機により、65℃の下で1時間処理後、90℃にて酢酸エチル及び水を留去し、固型分20%、平均粒子径1.0μmの安定な分散液を得た。
コーンポール樹脂CPR−D2061(澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物)
:10重量部
ポリビニルアルコール:1重量部
酢酸エチル:40重量部
水:50重量部
(比較例3)
前記実施例1の様にして製造したエステル化セラック100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とから成る混合溶媒に溶解し、エステル化セラックのワニス300重量部を得た。
(比較例4)
前記実施例3の様にして製造したマレイン化ダンマル100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とから成る混合溶媒に溶解し、マレイン化ダンマルのワニス300重量部を得た。
(比較例5)
前記実施例4の様にして製造したマレイン化ロジンのモノエステル化物100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とから成る混合溶媒に溶解し、マレイン化ロジンのモノエステル化物300重量部を得た。
(比較例6)
ダンマル100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とから成る混合溶媒に溶解し、ダンマルのワニス300重量部を得た。
(比較例7)
マレイン化ロジン100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とから成る混合溶媒に溶解し、マレイン化ロジンのワニス300重量部を得た。
(比較例8)
コーンポール樹脂CPR−D2061(澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物)100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とから成る混合溶媒に溶解し、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物のワニス300重量部を得た。
(実験例1)
実施例5〜8及び比較例2で製造した水分散液をフィルム上に塗工して成る塗工皮膜(樹脂組成物の層)の接着性を以下(i)〜(iv)の様にして評価した。
【0097】
(i)フィルム上に、各水分散液を、バーコーターNo.5の装置を用いて、2.3g/cm2の密度で塗布した。
フィルムとしては、表面処理をしたポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、表面処理をした延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、表面処理をした延伸ナイロンフィルム(ONY)をそれぞれ用いた。
【0098】
(ii)塗布したフィルムを、熱風乾燥機を用いて、70℃で30秒間乾燥させた。
(iii)塗工面にセロファンテープを貼り付けてから、急速に引き剥がし、塗工皮膜がどの程度剥がれるかによって、接着性の5段階評価を行った。尚、5段階評価は、以下の基準に従った。
【0099】
5:剥がれる部分の割合が5%以下
4:剥がれる部分の割合が5〜20%
3:剥がれる部分の割合が20〜50%
2:剥がれる部分の割合が50〜90%
1:剥がれる部分の割合が90%以上
(iv)試験結果を表1に示す。
【0100】
【表1】
表1に示す様に、実施例5〜8の水分散液を塗工して成る塗工皮膜は、比較例2の水分散液を塗工して成る塗工皮膜よりも接着性に優れていた。
【0101】
特に、実施例7,8の水分散液を塗工して成る塗工皮膜は、いずれのフィルムに対しても優れた接着性を有していた。
(実験例2)
実施例1及び実施例3で製造した混合ワニスにおける、エステル化天然樹脂ワニス又はグラフト化天然樹脂ワニスと、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとの相溶性を以下の3段階で評価した。
【0102】
また、比較例1で製造したセラックワニスと、比較例8で製造した澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとを混合したワニスについても同様に相溶性を評価した。
(相溶性の基準)
○:エステル化天然樹脂ワニス又はグラフト化天然樹脂ワニスと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとの混合後、粘度の増加が生じない。
【0103】
△:混合後において粘度の増加が生じる。
×:混合後において分離、ゲル化が生じる。
結果を表2に示す。
【0104】
【表2】
表2に示す様に、実施例1及び実施例3の混合ワニスは、混合比によらず、相溶性が良好であった。
【0105】
一方、セラックワニスと、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとを混合したワニスについては、いずれの混合比においても、相溶性が不良であった。
(実験例3)
実施例1で製造した混合ワニスをフィルム上に塗工して成る塗工皮膜(樹脂組成物の層)の、フィルムに対する接着性を以下(i)〜(iv)の様にして評価した。
【0106】
(i)フィルム上に、実施例1のそれぞれの混合比の混合ワニスを、バーコーターNo.5の装置を用いて、2.3g/cm2の密度で塗布した。
また、比較例8で製造した澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス、比較例3で製造したエステル化セラックワニス、比較例1で製造したセラックワニスについても、同様に塗布を行った。
【0107】
フィルムとしては、表面処理をした延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、表面処理をしたポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、表面処理をした延伸ナイロンフィルム(ONY)、ポリ脂肪族エステル、ポリ乳酸をそれぞれ用いた。
【0108】
(ii)塗布後、それぞれのワニスを、熱風乾燥機を用いて、70℃で30秒間乾燥させた。
(iii)塗工面にセロファンテープを貼り付けてから、急速に引き剥がし、塗工皮膜がどの程度剥がれるかによって、5段階評価を行った。尚、5段階評価は、前記実験例1と同様の基準に従った。
【0109】
(iv)試験結果を表3に示す。
【0110】
【表3】
表3に示す様に、実施例1の混合ワニスを塗工して成る塗工皮膜は、比較例8の澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス、比較例3のエステル化セラックワニス、及び比較例1のセラックワニスを塗工して成る塗工皮膜と比べて、同等以上の接着性を有していた。
【0111】
特に、実施例1の混合ワニスのうち、エステル化セラックワニスと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとの混合比が、1:9〜6:4のものは、いずれのフィルムに対しても優れた接着性を有していた。
(実験例4)
実施例3で製造した混合ワニスをフィルム上に塗工して成る塗工皮膜(樹脂組成物の層)の接着性を前記実験例3と同様にして評価した。
【0112】
また、比較例8で製造した澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス、比較例4で製造したマレイン化ダンマルワニス、比較例6で製造したダンマルワニスについても、同様に評価を行った。
評価結果を表4に示す。
【0113】
【表4】
表4に示す様に、実施例3の混合ワニスを塗工して成る塗工皮膜は、比較例8の澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス、比較例4のマレイン化ダンマルワニス、及び比較例6ダンマルワニスを塗工して成る塗工皮膜と比べて、同等以上の接着性を有していた。
【0114】
特に、実施例3の混合ワニスのうち、マレイン化ダンマルワニスと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとの混合比が、1:9〜4:6のものは、いずれのフィルムに対しても優れた接着性を有していた。
(実験例5)
実施例4で製造した混合ワニスをフィルム上に塗工して成る塗工皮膜(樹脂組成物の層)の接着性を前記実験例3と同様にして評価した。
【0115】
また、比較例8で製造した澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス、比較例5で製造したマレイン化ロジンのモノエステル化合物ワニス、比較例7で製造したマレイン化ロジンワニスについても、同様に評価を行った。
評価結果を表5に示す。
【0116】
【表5】
表5に示す様に、実施例4の混合ワニスを塗工して成る塗工皮膜は、比較例8の澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス、比較例5のマレイン化ロジンのモノエステル化合物ワニス、及び比較例7のマレイン化ロジンワニスを塗工して成る塗工皮膜と比べて、同等以上の接着性を有していた。
【0117】
特に、実施例4の混合ワニスのうち、マレイン化ロジンのモノエステル化合物ワニスと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとの混合比が、1:9〜6:4のものは、いずれのフィルムに対しても優れた接着性を有していた。
(実験例6)
実施例1の混合ワニスのうち、エステル化セラックワニスと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとの混合比が、2:8のものについて、前記実験例1と同様に、接着性試験を行った。ただし、フィルムとしては、処理ナイロン、未処理ナイロン、処理CPP(無延伸ポリプロピレン)、未処理CPP(無延伸ポリプロピレン)、及びLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)を用いた。
【0118】
評価結果を表6に示す。
【0119】
【表6】
表6に示す様に、実施例1の混合ワニスを塗工して成る塗工皮膜は、処理ナイロン、未処理ナイロン、処理CPPに対して、良好な接着性を示した。
(実験例7)
実施例9で製造した青色インキを、酢酸エチルとイソプロビルアルコールとを7:3の割合で混合した溶剤を用いて、所定の粘度となるように希釈した。この所定の粘度とは、粘度測定装置(ザーンカップNo.4)において、流出に要する時間が15秒となる粘度をいう。
【0120】
そして、希釈した青インキをOPPフィルム、PETフィルムに塗工した。
塗工した青インキを、前記実験例3と同様にして、接着性を評価したところ、いずれのフィルムに対しても、良好な接着性(実験例3の基準で5)を示した。
(実験例8)
ダンマル、ロジン、コーパル、バルサム、サンダラックの各天然樹脂を基にして、前記実施例1又は3と同様にして、エステル化天然樹脂又はグラフト化天然樹脂の混合ワニスを製造した。
【0121】
これらの混合ワニスについて、前記実験例3と同様に接着性試験を行ったところ、いずれの基体に対しても、優れた接着性を示した。
(実験例9)
実施例1で製造した混合ワニスから、溶媒を留去することにより、エステル化セラックと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物とから成る樹脂組成物を得た。
【0122】
この樹脂組成物の生分解性について、JIS K 6950(プラスチック活性汚泥による好気性生分解性試験法)に基づき、検体の60%が分解されるまでに要した日数を計測した。
また、セラック、及び澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物についても、同様に生分解性を評価した。
【0123】
その結果、エステル化セラックと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物とから成る樹脂組成物は、セラック及び澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物と同等の生分解性を有していた。
(実験例10)
実施例1の混合ワニス、比較例8の澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス、比較例3のエステル化セラックワニス、及び比較例1のセラックワニスをそれぞれ試験片に塗布して成る樹脂組成物塗膜についての、塗膜強度、及びヒートシール性を以下のようにして評価した。
【0124】
塗膜強度の評価法:前記実験例3と同様にして、接着性試験を行い、塗膜自体が破壊されるものを×、一部破壊されるものを△、破壊されないものを○とした。
ヒートシール性の評価法:一対の試験片(235g/cm2のコート紙)の両方に、それぞれ、評価するワニスを塗布し、塗布面同士を密着させる。密着面をヒートシールテスターを用いて80℃、1.5Kg/cm2にて5秒間ヒートシールした後、引き離す方向に力をかけて、試験片を剥離させる。剥離に要する力が、300g/cm2を超える場合には、ヒートシール性を○とし、50g/cm2以上300g/cm2以下場合は△とし、50g/cm2未満の場合には×とする。
【0125】
また、実施例1の混合ワニス、比較例8の澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス、比較例3のエステル化セラックワニス、及び比較例1のセラックワニスを、それぞれ、不揮発分が20%になるように調整してから、混合ワニスの粘度を、25℃の下で、B型粘度計を用いて測定した。
【0126】
評価結果を表7に示す。
【0127】
【表7】
表7に示す様に、実施例1の混合ワニスのうち、エステル化セラックと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との混合比が、3:7〜8:2の範囲のものでは、塗膜強度と、ヒートシール性の両方において、○又は△の評価結果が得られた。
【0128】
また、実施例1の混合ワニスの溶液粘度については、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物の比率を小さくするほど、粘度を低くすることができた。
(実験例11)
実施例3の混合ワニス、比較例8の澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス、比較例4のマレイン化ダンマルワニス、及び比較例6のダンマルワニスについて、前記実験例10と同様に、塗膜強度、ビートシール性、及び溶液粘度を測定した。
【0129】
結果を表8に示す。
【0130】
【表8】
表8に示す様に、実施例3の混合ワニスのうち、マレイン化ダンマルと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との混合比が、3:7〜8:2の範囲のものでは、塗膜強度と、ヒートシール性の両方において、○又は△の評価結果が得られた。
【0131】
また、実施例3の混合ワニスの溶液粘度については、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物の比率を小さくするほど、粘度を低くすることができた。
(実験例12)
実施例4の混合ワニス、比較例8の澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス、比較例5のマレイン化ロジンのモノエステル化合物のワニス、及び比較例7のマレイン化ロジンのワニスについて、前記実験例10と同様に、塗膜強度、ビートシール性、及び溶液粘度を測定した。
【0132】
結果を表9に示す。
【0133】
【表9】
表9に示す様に、実施例4の混合ワニスのうち、マレイン化ロジンのモノエステル化合物と澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との混合比が、3:7〜8:2の範囲のものでは、塗膜強度と、ヒートシール性の両方において、○又は△の評価結果が得られた。
【0134】
また、実施例4の混合ワニスの溶液粘度については、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物の比率を小さくするほど、粘度を低くすることができた。
尚、本発明は上記の形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
【0135】
・実施例1において、氷酢酸の代わりに、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン、ピリジン類、ピラジン類、ピコリン類等の含窒素複素環状化合物及び酢酸、プロパン酸、酪酸などの有機酸を使用することができる。
・実施例3において、トルエンの代わりに、キシレン、シメン、クメン等を使用することができる。
【0136】
また、実施例3において、ジクミルパーオキサイドの代わりに、ベンゾイルパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドローパーオキサイド等を使用することができる。
・前記実施例1〜9において、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物として、コーンポール樹脂CPR−D703、または、コーンポール樹脂CP−5を用いることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性を有し、基材に対する密着性に優れる樹脂組成物、樹脂組成物溶液、及び樹脂組成物分散液に関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今、地球環境保全、人体の健康維持といった観点から、各種基材への印刷に用いるインキ、ニス、ヒートシール剤等に含まれるバインダーにも、生分解性のある材料が望まれている。
【0003】
そこで、これらの製品のバインダーとして、セラック等の生分解性のある天然樹脂や、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物等が、単独で、或いは混合されて使用されてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、天然樹脂をバインダーとして含むインキ等は、その天然樹脂の特性によって、特定の基材(例えばポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート)に対する密着性が悪いという欠点や、天然樹脂の分子量が小さいことにより、塗膜の凝集力が充分でなく、塗布した場合の塗膜強度が不十分であるという欠点があった。
【0005】
また、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物をバインダーとして含むインキ等は、その澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物の特性によって、特定の基材(例えばポリプロピレン)に対する密着性が悪いこと、インキの粘度が高くなり過ぎること、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物を溶解できる溶剤が制限されるため、製造が困難となること、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物の分子量が大きすぎることにより、印刷機上での再溶解性が悪いこと等の欠点があった。
【0006】
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、生分解性を持ちながら、各基材に対する密着性、被膜強度、再溶解性、製造の容易性等において優れた樹脂組成物、樹脂組成物溶液、樹脂組成物分散液、それらを利用したインキ用バインダー、レットダウンエマルジョン、ニス、ヒートシール剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
(1)請求項1の発明は、
A成分として、(1)置換度(以下DS)が0.3〜2.8で、熱可塑性を有している、澱粉もしくは澱粉分解物のエステル化物
(2)エステル化と共に、ポリビニルエステルのグラフト化がなされている澱粉
(3)ポリエステルグラフト鎖を澱粉分子上に有し、前記グラフト鎖末端及び澱粉直結の水酸基の一部又は全てがエステル基により封鎖されているポリエステルグラフト重合澱粉と、前記ポリエステルグラフト鎖と同一構成単位を有し、末端水酸基の一部又は全てがエステル基により封鎖されている独立ポリエステルとが均一混合されてなるポリエステルグラフト重合澱粉アロイ
から選ばれる1又は2以上の澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物と、
B成分として、エステル化天然樹脂、グラフト化天然樹脂の中から選ばれる1又は2以上の成分とを含有することを特徴とする樹脂組成物を要旨とする。
【0008】
本発明の樹脂組成物は、前記A成分と前記B成分との両方を含有することにより、例えば、プラスチック(例えば、延伸ポリプロピレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、ポリ脂肪族エステル、ポリ乳酸等)のフィルムやシート、紙、成形材料(金属、木材、プラスチック)等の基体に対して、高い接着性を有する。
【0009】
また、この樹脂組成物は、A成分の澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物と、B成分のエステル化天然樹脂及び/又はグラフト化天然樹脂との相溶性が良いため、例えば、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物の溶液とエステル化天然樹脂及び/又はグラフト化天然樹脂の溶液とを混合することにより、容易に製造することができる。
【0010】
更に、この樹脂組成物は、A成分とB成分との含有比率を変えることにより、樹脂組成物のヒートシール性、塗膜強度、再溶解性等の特性を制御することができる。
つまり、本発明の樹脂組成物は、A成分の含有量に対するB成分の含有量の比率を高くすることにより、ヒートシール性や再溶解性を高めることができる。この原因としては、分子量の小さいB成分の比率が高くなることにより、樹脂組成物の平均分子量が小さくなり、溶融や溶解をしやすくなることが考えられる。
【0011】
逆に、本発明の樹脂組成物は、A成分の含有量に対するB成分の含有量の比率を低くすることにより、塗膜強度を高くすることができる。この原因としては、分子量の大きい澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物の比率が高くなることにより、樹脂組成物の平均分子量が大きくなることが考えられる。
【0012】
尚、上記ヒートシール性とは、例えば、2つの基体の接合面に、樹脂組成物から成る層を設け、所定の条件で加熱して樹脂組成物を溶融後、冷却することにより、当該2つの基体を、樹脂組成物の層を介して接合した場合の、接合強度をいい、上記塗膜強度とは、例えば、基体の表面に形成した、樹脂組成物から成る塗膜の強度をいい、上記再溶解性とは、樹脂組成物の溶液や分散液から、溶剤や分散媒が揮発することにより樹脂組成物が乾燥固化しても、再びその樹脂組成物の溶液によって、その乾固物が溶解する性質をいう。
【0013】
また、本発明の樹脂組成物は、その成分であるA成分及びB成分の両方が生分解性を有しているので、樹脂組成物自体も生分解性を有する。
・前記澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物は、澱粉置換誘導体、または、澱粉置換誘導体を含有するとともに、必要に応じて、他の生分解性樹脂、可塑剤、フィラー等を混和した混合物、溶融物、ポリマーアロイをいう。
【0014】
上記澱粉置換誘導体は、澱粉もしくは澱粉分解物のエステル化物、エーテル化物、またはこれらの複合誘導体であり、その置換度(以下DS)は、0.3〜2.8であることが好ましく、熱可塑性を有していることが好ましい。
この澱粉置換誘導体としては、例えば、特表平8−502552号公報に記載されている、生物分解性で疎水性デンプンエステルおよび生物分解性ポリエステルを含有する相溶性配合物から調製された生物分解性成形用生成物、特開平8−188601号公報に記載されている、ビニルエステルをエステル化試薬とする澱粉エステルであって、前記ビニルエステルとしてエステル基炭素数2〜18のものを用い、非水有機溶媒中でエステル化触媒を使用して澱粉と反応させて得られる澱粉エステル、特開平8−239402号公報及び特開平8−301994号公報に記載されている、エステル化と共に、ポリビニルエステルのグラフト化がなされている澱粉、特開平9−31308号公報に記載されている、ポリエステルグラフト鎖を澱粉分子上に有し、前記グラフト鎖末端及び澱粉直結の水酸基の一部又は全てがエステル基により封鎖されているポリエステルグラフト重合澱粉と、前記ポリエステルグラフト鎖と同一構成単位を有し、末端水酸基の一部または全てがエステル基により封鎖されている独立ポリエステルとが均一混合されてなるポリエステルグラフト重合澱粉アロイ等が好ましく、特開2000−159801号公報に記載されている、同一澱粉分子の反応性水酸基の水素を、炭素数2〜4の短鎖アシル基及び炭素数6〜18の長鎖アシル基で置換した短鎖・長鎖混合澱粉エステル、特開2000−159802号公報に記載されている、同一澱粉分子の反応性水酸基を、炭素数2〜4の短鎖炭化水素含有基及び炭素数6〜24の長鎖炭化水素含有基で置換した短鎖・長鎖混合澱粉置換誘導体等が更に好ましい。
【0015】
この澱粉置換誘導体は、澱粉を母体としているため、生分解性、熱可塑性、成形性等の特性を有する。
・本発明の樹脂組成物は、例えば、インキ用バインダー、レットダウンエマルジョン、トップコートニス、アンダーコートニス、オーバープリントニス、乳化剤、分散剤等に使用することができる。
【0016】
・本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、分散安定剤、酸化防止剤、安定剤等の副資材を添加することができる。
上記分散安定剤は、例えば、樹脂組成物を、溶液に溶解した場合や、分散液に分散させた場合に、液状態を安定化する作用や、樹脂組成物の物性を安定化させる作用を有する。
【0017】
また、酸化防止剤は、例えば、樹脂組成物を含む溶液や分散液を基体上に塗布、成形後における樹脂組成物の酸化劣化防止の作用を有する。
これらの副資材の添加量は、当該樹脂組成物を応用する分野によって適量の範囲が異なるため、特に限定されない。
・前記(1)置換度(以下DS)が0.3〜2.8で、熱可塑性を有している、澱粉もしくは澱粉分解物のエステル化物は、置換度が2.8以下であることにより、生分解性が高い。
また、このエステル化物は、置換度が0.3より大きいことにより、溶剤可溶性が高いとともに、フィルム等の基体に対する密着性が高い。更に、置換度が0.3より大きいことにより、このエステル化物とB成分との相溶性が高くなり、例えば、このエステル化物の溶液とB成分の溶液とを混合することにより、容易に本発明の樹脂組成物の溶液を製造することができる。
・前記置換度とは、澱粉の基本構成単位である糖ユニットの有する3つの水酸基のうち 、置換された数を表す指標である。例えば、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物において、平均して1つの水酸基が置換されている場合は、置換度は1となる。
(2)請求項2の発明は、
A成分として、(1)置換度(以下DS)が0.3〜2.8で、熱可塑性を有している、澱粉もしくは澱粉分解物のエステル化物
(2)エステル化と共に、ポリビニルエステルのグラフト化がなされている澱粉
(3)ポリエステルグラフト鎖を澱粉分子上に有し、前記グラフト鎖末端及び澱粉直結の水酸基の一部又は全てがエステル基により封鎖されているポリエステルグラフト重合澱粉と、前記ポリエステルグラフト鎖と同一構成単位を有し、末端水酸基の一部又は全てがエステル基により封鎖されている独立ポリエステルとが均一混合されてなるポリエステルグラフト重合澱粉アロイから選ばれる1又は2以上の澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物と、B成分として、ダンマル、ロジン、コーパル、バルザム、サンダラック、ヤッカガムの中から選ばれる1又は2以上の天然樹脂成分と、
を含有することを特徴とする樹脂組成物を要旨とする。
【0018】
本発明の樹脂組成物は、前記A成分と前記B成分との両方を含有することにより、例えば、プラスチック(例えば、延伸ポリプロピレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、ポリ脂肪族エステル、ポリ乳酸等)のフィルムやシート、紙、成形材料(金属、木材、プラスチック)等の基体に対して、高い接着性を有する。
【0019】
また、この樹脂組成物は、A成分とB成分との含有比率を変えることにより、樹脂組成物のヒートシール性、塗膜強度、再溶解性等の特性を制御することができる。
つまり、本発明の樹脂組成物は、A成分の含有量に対するB成分の含有量の比率を高くすることにより、ヒートシール性や再溶解性を高めることができる。 逆に、本発明の樹脂組成物は、A成分の含有量に対するB成分の含有量の比率を低くすることにより、塗膜強度を高くすることができる。
【0020】
更に、本発明の樹脂組成物は、その成分であるA成分及びB成分の両方が生分解性を有しているので、樹脂組成物自体も生分解性を有する。
・前記ダンマルは、フタバガキ科に属する樹、Dammar orientalisの分泌物で淡黄色軟質樹脂状固塊であり、ダンマロール酸、ダンマリル酸、α-ダンマロレセン、β-ダンマロレセンなどの混合物を主構成成分とする天然樹脂で、例えば、バタビア、スマトラ、シンガポール、ポンチアナク、ボルネオ、タイ、マレイ等がある。
【0021】
・前記ロジンには、マツ科Pinus densifloraを代表とする生松脂を原料とする「ガムロジン」と松樹や松根などを原料とする「ウッドロジン」とが有り、松に含まれる樹脂酸を精製した、淡黄色ないし黄褐色の塊である。ロジンは、アビエチン酸、レボピマル酸、デキストロピマル酸などを主構成成分とする天然樹脂で、例えば、世界各地で産出されるウッドロジン、ガムロジン、トール油ロジン等がある。
【0022】
・前記コーパルには、マメ科Copaifera demeusai Harmsをはじめとする生樹による軟質のもの(Recent resin)と硬質の化石樹脂(Fossil resin)があり、淡黄色または黄褐色の樹脂状物質である。コーパルは、コンゴーコパリン酸、コンゴーコパロリン酸などの混合物を主構成成分とする天然樹脂であり、例えば、世界各地で産出されるコーパルガムがある。
【0023】
・前記バルザムとしては、例えば、カナダ、コパイバ、グルジャン、トルー、メッカ等がある。
・前記サンダラックとしては、世界各地で産出されるサンダラックがある。
・前記ヤッカガムとしては、世界各地で産出されるヤッカガムがある。
(3)請求項3の発明は、
前記エステル化天然樹脂及び前記グラフト化天然樹脂は、セラック、ダンマル、ロジン、コーパル、バルザム、サンダラック、ヤッカガムの中から選ばれる1又は2以上の天然樹脂を変性して成るものであることを特徴とする前記請求項1に記載の樹脂組成物を要旨とする。
【0024】
本発明の樹脂組成物は、B成分として、上記の天然樹脂を変性して成る物質を含有することにより、A成分とB成分との相溶性が良い。
そのため、例えば、A成分の溶液とB成分の溶液とを混合することにより、容易に製造することができる。
【0025】
・前記セラックとは、学名 Laccifer lacca Kerr と称されるラックカイガラムシが分泌する樹脂状物質を精製した天然物であり、例えば、セラック原料であるシードラック、精製セラック、脱色セラック、白色セラックがある。
(4)請求項4の発明は、
前記エステル化天然樹脂が、天然樹脂と、アシル化ハロゲン、モノーカルボン酸無水物、ジーカルボン酸無水物、カルボン酸ビニルエステルの中から選ばれるエステル化剤との反応により生じるエステル化物、またはこれらのエステル化物と、アルコール類、セロソルブ類、グリコール類の中から選ばれるものとの反応により生じるモノエステル化物であることを特徴とする前記請求項1又は3に記載の樹脂組成物を要旨とする。
【0026】
本発明の樹脂組成物は、B成分として、上記エステル化物、または上記モノエステル化物を含む場合には、それらの化合物と澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との相溶性が良いために、例えば、エステル化物またはモノエステル化物の溶液と、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物の溶液とを混合することにより、容易に製造することができる。
【0027】
・前記エステル化天然樹脂は、例えば、セラック、ダンマル、ロジン、コーパル、バルザム、サンダラック、ヤッカガム等の天然樹脂と、上記エステル化剤とを反応させることにより生じるエステル化物、または、これらのエステル化物と、アルコール類、セロソルブ類、グリコール類の中から選ばれるものとの反応により生じるモノエステル化物が挙げられる。
【0028】
上記エステル化の反応としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸等の有機溶剤に天然樹脂を溶解し、酸無水物、アシルクロライド、カルボン酸ビニルエステル等を反応させる反応がある。
また、エステル化の反応としては、例えば、酸無水物中に天然樹脂を溶解し、反応させることによるエステル化がある。
(5)請求項5の発明は、
前記グラフト化天然樹脂が、(1)天然樹脂に、有機過酸化物とともに無水マレイン酸を加え、天然樹脂にマレイン酸をグラフトさせてなるグラフト化天然樹脂、(2)または、上記(1)のグラフト化天然樹脂と、アルコール類、セロソルブ類、グリコール類の中から選ばれるものとの反応により生じるモノエステル化物であることを特徴とする前記請求項1、3、4のいずれかに記載の樹脂組成物を要旨とする。
【0029】
本発明の樹脂組成物は、B成分として、上記グラフト化天然樹脂、または上記モノエステル化物を含む場合には、それらと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との相溶性が良いために、例えば、グラフト化天然樹脂またはモノエステル化物の溶液と、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物の溶液とを混合することにより、容易に製造することができる。
【0030】
・前記グラフト化天然樹脂は、例えば、セラック、ダンマル、ロジン、コーパル、バルザム、サンダラック、ヤッカガム等の天然樹脂に、有機過酸化物を用いて反応性二重結合部位をグラフトしたグラフト化天然樹脂、または、このグラフト化天然樹脂と、アルコール類、セロソルブ類、グリコール類の中から選ばれるものとの反応により生じるモノエステル化物が挙げられる。
【0031】
上記グラフト化の反応はマレイン化である。このマレイン化は、例えば、天然樹脂を溶解し、一般的な過酸化物のラジカル反応剤とともに無水マレイン酸を滴下して、天然樹脂にマレイン酸をグラフトさせる。
(6)請求項6の発明は、
前記A成分の含有量と、前記B成分の含有量との比率が、0.5:99.5〜99.5:0.5の範囲にあることを特徴とする前記請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物を要旨とする。
【0032】
本発明の樹脂組成物は、A成分の含有量と、B成分の含有量との比率が上記範囲内(特に好ましくは、90:10〜50:50の範囲内)にあることによって、接着性、ヒートシール性、再溶解性、及び塗膜強度のいずれの点においても優れている。
(7)請求項7の発明は、
可塑剤、フィラー、ワックスのうちの1又は2以上の成分を含有することを特徴とする前記請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物を要旨とする。
【0036】
本発明の樹脂組成物は、可塑剤やフィラーを含むことにより、樹脂組成物の機械的物性(例えば、溶融粘度、引張強度、伸び衝撃強度)を調整することができる。
また、この樹脂組成物は、ワックスを含む場合には、表面光沢調整が可能であること、耐水性向上、透湿度調整が可能であること、表面滑性等の特性を有し、例えば、オーバープリントニス、防湿コート剤等の用途に使用することができる。
【0037】
更に、本発明の樹脂組成物は、分散安定剤、酸化防止剤、安定剤を含む場合には、例えば、樹脂組成物を含有する溶液や分散液を調製した際に、その溶液や分散液の液状態の安定化、液中の樹脂組成物の物性安定化、溶液や分散液を塗布、成形した後の樹脂組成物の酸化や劣化の防止を実現することができる。
【0038】
・前記可塑剤としては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチルなどのフタル酸エステル系、グリセリンモノステレアレート、グリセリンモノラウリレートなどのグリセリンエステル系、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニルなどの脂肪酸エステル系、エポキシ化大豆油などのエポキシ化アルキルエステル系、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジブチルなどの脂肪族2塩基酸エステル系、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンモノラウリル酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル等のグリセリンエステル系、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル、トリアセチン、等の脂肪酸エステル系、エポキシ化大豆油、エポキシ化ヒマシ油等のエポキシ化アルキルエステル系、各種天然ゴム、テルペン類、リニアポリエステル等を任意の割合で使用できる。
【0039】
・前記ワックスとしては、例えば、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリルウレタンなどの合成高分子系、カルナバ、キャンデリラ、ライス、セラックなどの天然系ワックスを用いることができる。
・前記フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、タルク、酸化チタン、雲母、モンモリロナイト、シリカなどの無機物、ポリメタクリル酸メチルビーズ、ポリアクリルウレタンビーズ、ポリウレタンビーズなどの合成有機物及び、セルロースパウダーなどの天然系の物を使用できる。
【0040】
・前記分散安定化剤としては、例えば、金属脂肪酸塩、アニオン性界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン性又はアニオン性水溶性高分子、縮合リン酸塩、カチオン澱粉誘導体、セルロース誘導体、植物ガム及びその誘導体、動物性高分子、微生物高分子、水性エマルジョン化高分子を使用できる。
【0041】
上記金属脂肪酸塩としては、例えば、ブタン酸ソーダ、オクタン酸カリウム、ステアリン酸ソーダ等がある。
上記アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸エステルソーダ塩、アルキルスルホン酸ソーダ等がある。
【0042】
上記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルポリアルキレンオキサイド、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン等がある。
上記カチオン性又はアニオン性水溶性高分子としては、例えば、カチオン系ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンイミン、縮合ナフタレンスルホン酸等がある。
【0043】
上記縮合リン酸塩としては、例えば、ヘキサメタリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ等がある。
上記カチオン澱粉誘導体としては、例えば、コーンスターチベース、タピオカスターチベース、馬鈴薯澱粉ベース等がある。
【0044】
上記セルロース誘導体としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カチオン化セルロース等がある。
上記植物ガム及びその誘導体としては、例えば、アラビアガム、グアガム、キサンタンガム等がある。
【0045】
上記動物性高分子としては、例えば、カゼイン、キチン、キトサン等がある。
上記微生物高分子としては、例えば、キサンタンガム、ポリデキストロース、プルラン等がある。
上記合成高分子エマルジョンとしては、例えば、合成ゴムラテックス、ポリ酢酸ビニルエマルジョン等がある。
(8)請求項8の発明は、
インキ用バインダー、ニス、及びヒートシール剤のうちのいずれかを用途とする請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物を要旨とする。
(9)請求項9の発明は、
前記請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物を含有することを特徴とする密着剤を要旨とする。
【0046】
本発明の密着剤は、幅広い基材に対して密着性が良いため、例えば、フィルムラミネート用接着剤、紙器用ヒートシール剤、ブリスターパック用接着剤等の用途に使用することができる。
(10)請求項10の発明は、
前記請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物を含有することを特徴とする溶液を要旨とする。
【0047】
本発明の溶液は、例えば、前記請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物からなる被膜を、基体(例えば、プラスチックフィルム、シート、紙、成形材)の表面に形成するために使用することができる。
つまり、本発明の溶液を、基体の表面に塗布し、溶媒を蒸発させることにより、基体の表面に、樹脂組成物から成る被膜を形成することができる。
【0048】
また、本発明の溶液は、含有する樹脂組成物の組成を変えることにより、溶液の粘度を調整することができる。
つまり、樹脂組成物中で、A成分の配合量に対するB成分の配合量の比率を低くするほど、本発明の溶液の粘度を高くすることができる。
【0049】
従って、例えば、本発明の溶液を用いてインキを製造する場合には、含有する樹脂組成物の組成を変化させることにより、インキの粘度を、印刷条件(インキの塗工条件)に合わせて制御することができる。
・本発明の溶液は、例えば、インキ用バインダー、レットダウンエマルジョン、トップコートニス、アンダーコートニス、オーバープリントニス等に使用することができる。
【0050】
・前記溶液の溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどのエステル類、エタノール、メタノール、イソプロパノール等のアルコール類、エチレングリコール類、セロソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等を単独で、あるいは、2種以上を混合したものを使用することができる。
(11)請求項11の発明は、
前記請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物から成る粒子を含有することを特徴とする分散液を要旨とする。
【0051】
本発明の分散液は、例えば、前記請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物からなる被膜を、基体(例えば、プラスチックフィルム、シート、紙、成形材)の表面に形成するために使用することができる。
つまり、本発明の分散液を、基体の表面に塗布し、分散媒を蒸発させることにより、基体の表面に、樹脂組成物から成る被膜を形成することができる。
【0052】
また、本発明の分散液は、含有する樹脂組成物の組成を変えることにより、分散液の粘度を調整することができる。
つまり、樹脂組成物中のA成分(澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物)の比率を高くするほど、本発明の分散液の粘度を高くすることができる。
【0053】
従って、例えば、本発明の分散液を用いてインキを製造する場合には、含有する樹脂組成物の組成を変化させることにより、インキの粘度を、印刷条件(インキの塗工条件)に合わせて制御することができる。
・本発明の分散液は、例えば、インキ用バインダー、レットダウンエマルジョン、トップコートニス、アンダーコートニス、オーバープリントニス、等に使用することができる。
【0054】
・前記分散液の分散媒としては、例えば、水、アルカリ(アンモニア、苛性ソーダなど)水および分散剤などの併用・非併用系で水中に分散した水系分散媒がある。
・本発明の分散液は、例えば、樹脂組成物及び他の添加剤、分散剤等を加えた混合物を高剪断力を有する分散機によって水中に分散させる方法により製造することができる。
【0055】
または、樹脂組成物を各種溶剤に溶解させたものを水中にて予備分散させた後、添加剤、分散剤等を加え、各種分散機によって分散させてから、溶剤を除去する方法により製造することができる。
上記高剪断力を有する分散機としては、例えば、高速回転遠心放射型攪拌機、高速回転剪断型攪拌機、コロイドミル、メディア式分散機、高圧噴射式乳化分散機、超音波乳化分散機等が使用できる。
【0056】
尚、分散を行う時の条件としては、減圧下、大気圧下、加圧下のいずれでもよい。
・本発明の分散液は、必要に応じて、分散物を安定して存在させるため、適当量の塩基性物質(例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、及びアミン等の水中で塩基として作用するもの)を配合してもよい。
(12)請求項12の発明は、
前記粒子の粒径が1μm以下であることを特徴とする前記請求項11に記載の分散液を要旨とする。
【0057】
本発明の分散液は、含有する樹脂組成物粒子の粒径が1μm以下であることにより、塗膜のフィルム形成性、強度、透明性に優れ、印刷用に使用した場合、印刷版での目詰まりを起こしにくく、再溶解性が良いという利点を有する。
特に、含有する樹脂組成物粒子の粒径が0.5μm以下であることが、分散液を各種基材への塗工剤、インキとして使用するために望ましい。
【0058】
更に、含有する樹脂組成物粒子の粒径が0.05μm以下であることが、分散液をグラビア印刷用のインキとして用いる場合に、優れたグラビア印刷適性を得るために望ましい。
・平均粒径0.5μm以下の分散物を得る方法としては、樹脂組成物の溶融粘度が100mPa以下(100℃)となる樹脂組成物を使用し、高温下、高圧噴射式乳化分散機にて溶融乳化分散することが望ましい。
【0059】
また、粒子の粒径を小さくする(例えば0.05μm以下とする)ためには、例えば、樹脂組成物を構成するA成分とB成分との重量比が、8:2〜5:5の範囲にあることが望ましい。
尚、含有する樹脂組成物の組成比が上記範囲にある分散液を用いてインキを製造した場合には、インキの基体への接着性及び塗膜強度の点でも優れた特性が得られる。
【0060】
・グラビア印刷適性とは、印刷のムラ、ドクターブレード筋、版かぶり(非画線部の汚れ)、版とられ(版、セルにインキが残る)等の現象を起こさず、版の再現性良く、所定の印刷速度で印刷できることをいう。
(13)請求項13の発明は、
前記請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物、前記請求項10に記載の溶液、前記請求項11又は12に記載の分散液のいずれかを含有することを特徴とするインキ用バインダーを要旨とする。
【0061】
本発明のインキ用バインダーを用いたインキは、各種のプラスチックフィルム、プラスチックシート、紙、成形材料等の基体に対して、高い密着性を有する。
また、このインキは、含有する樹脂組成物中の、A成分とB成分との含有比率を変えることにより、インキの塗膜強度、再溶解性等の特性を制御することができる。
【0062】
例えば、樹脂組成物中のA成分の含有量に対するB成分の含有量の比率を高くすることにより、再溶解性を高めることができる。
逆に、樹脂組成物中のA成分の含有量に対するB成分の含有量の比率を低くすることにより、塗膜強度を高くすることができる。
【0063】
更に、本発明のインキは、その成分であるA成分とB成分との両方が生分解性を有しているので、インキ自体も生分解性を有する。
・本発明のインキは、水性インキと、溶剤系インキのどちらであってもよい。 また、本発明のインキは、例えば、グラビアインキ、フレキソインキ、オフセットインキ、平版インキ、凸版インキ等に使用することができる。
(14)請求項14の発明は、
前記請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物、前記請求項10に記載の溶液、前記請求項11又は12に記載の分散液のいずれかを含有することを特徴とするレットダウンエマルジョンを要旨とする。
【0064】
本発明のレットダウンエマルジョンを用いて製造したインキは、各種の基体に対して、高い密着性を有する。
また、本発明のレットダウンエマルジョンは、含有する樹脂組成物中の、A成分とB成分との含有比率を変えることにより、このレットダウンエマルジョンを用いて製造したインキの塗膜強度、再溶解性等の特性を制御することができる。
【0065】
更に、本発明のレットダウンエマルジョンは、その成分であるA成分とB成分との両方が生分解性を有しているので、レットダウンエマルジョンを用いて製造したインキも生分解性を有するものとすることができる。
・前記レットダウンエマルジョンとは、インキの顔料成分(コンクベース)に後添加して印刷適正、インキの各種性能(各種基材への密着性を含む)を向上させるために用いられるエマルジョンをいう。
(15)請求項15の発明は、
前記請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物、前記請求項10に記載の溶液、前記請求項11又は12に記載の分散液のいずれかを含有することを特徴とするニスを要旨とする。
【0066】
本発明のニスは、幅広い基体に対して高い密着性を有しており、また、含有する樹脂組成物中の、A成分とB成分との含有比率を変えることにより、塗膜強度、再溶解性等の特性を制御することができる。
更に、本発明のニスは、その成分であるA成分とB成分との両方が生分解性を有しているので、ニス自体も生分解性を有する。
【0067】
・本発明のニスは、水性ニス、溶剤系ニスのいずれであってもよく、例えば、グラビア、フレキソ、オフセット、平版、凸版の印刷用ニスとして使用することができる。
・本発明のニスは、例えば、トップコートニス、アンダーコートニス、オーバープリントニスとして使用することができる。
(16)請求項16の発明は、
前記請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物、前記請求項10に記載の溶液、前記請求項11又は12に記載の分散液のいずれかを含有することを特徴とするヒートシール剤を要旨とする。
【0068】
本発明のヒートシール剤は、幅広い基体に対して高い密着性を有しており、また、含有する樹脂組成物中の、A成分とB成分との含有比率を変えることにより、ヒートシール性を制御することができる。
更に、本発明のヒートシール剤は、その成分であるA成分とB成分との両方が生分解性を有しているので、ヒートシール剤自体も生分解性を有する。
【0069】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の樹脂組成物、樹脂組成物溶液、樹脂組成物分散液、インキ、ヒートシール剤、密着剤、レッドダウンエマルジョン、ニスの実施の形態の例(実施例)を説明する。
(実施例1)
次の(i)〜(iv)の様にして、エステル化セラック(B成分:エステル化天然樹脂)と澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物(A成分)との混合ワニス(樹脂組成物溶液)を製造した。
【0070】
(i)エステル化セラックの合成
(i−a)セラック200重量部を氷酢酸400重量部に溶解させた。
(i−b)上記(i−a)の溶液に、無水酢酸172重量部を加え、120℃の条件下で、3時間エステル化反応を進行させた。
【0071】
(i−c)減圧蒸留により、酢酸及び未反応の無水酢酸を留去し、エステル化セラック270重量部を得た。
(ii)エステル化セラックワニスの調製
前記(i)で得たエステル化セラック100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とからなる混合溶媒に溶解し、エステル化セラックワニス300重量部を得た。
【0072】
(iii)澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスの調製
澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物(DSが0.3〜2.8で、熱可塑性を有している、澱粉もしくは澱粉分解物のエステル化物、商品名コーンポール樹脂CPR−D2061;日本コーンスターチ株式会社製)100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とからなる混合溶媒に溶解し、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス300重量部を得た。
【0073】
(iv)エステル化セラックワニスと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとの混合
前記(ii)で得たエステル化セラックワニスと、前記(iii)で得た澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとを、1:9、2:8、3:7、4:6、5:5、6:4、7:3、8:2、9:1の比率(重量比)でそれぞれ混合することにより、エステル化セラックと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との混合ワニスを9種類調製した。
【0074】
この混合ワニスは、基体の表面に塗布することにより、ニスとして使用することができる。又、この混合ワニスは、2つの部材の接触面に塗布することにより、ヒートシール剤として、あるいは、密着剤として使用することができる。
(実施例2)
基本的には、前記実施例1と同様にして、エステル化セラックと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との混合ワニスを調製した。
【0075】
ただし、この実施例2では、エステル化セラックを次の(i)〜(iii)のようにして製造した。
(i)セラック200重量部を酸無水物(例えば無水酢酸、無水プロピオン等)400重量部に溶解させた。
【0076】
(ii)前記(i)の溶液を、120℃に加温し、2時間エステル化反応を進行させた。
(iii)減圧蒸留により、酢酸及び未反応の酸無水物を留去し、エステル化セラック270重量部を得た。
【0077】
この混合ワニスは、前記実施例1の混合ワニスと同様に、ニス、ヒートシール剤、密着剤として使用することができる。
(実施例3)
次の(i)〜(iv)の様にして、マレイン化ダンマル(B成分:グラフト化天然樹脂)と澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との混合ワニス(樹脂組成物溶液)を製造した。
【0078】
(i)マレイン化ダンマルの合成
(i−a)ダンマル200重量部をトルエン400重量部に溶解させて、溶液aを調製した。
(i−b)ジクミルパーオキサイド10重量部及び無水マレイン酸133重量部を、トルエン250重量部に溶解させて、溶液bを調製した。
【0079】
(i−c)圧力3Kg/cm2、温度140℃の下、溶液bを2時間かけて、徐々に溶液aに加えた。
(i−d)90分間、温度140℃の下で保温後、トルエンを減圧蒸留した。
(i−e)蒸留後残った固型樹脂をアセトンで溶解後濾過してから、アセトンを蒸留で留去して、マレイン化ダンマルを得た。
【0080】
(ii)マレイン化ダンマルワニスの調製
前記(i)で得たマレイン化ダンマル100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60部とから成る混合溶媒に溶解し、マレイン化ダンマルのワニスを得た。
【0081】
(iii)澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスの調製
コーンポール樹脂CPR−D2061(澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物)100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とからなる混合溶媒に溶解し、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス300重量部を得た。
【0082】
(iv)マレイン化ダンマルと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との混合ワニスの調製
前記(ii)で得たマレイン化ダンマルワニスと、前記(iii)で得た澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとを、1:9、2:8、3:7、4:6、5:5、6:4、7:3、8:2、9:1の比率(重量比)でそれぞれ混合することにより、マレイン化ダンマルと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との混合ワニスを9種類調製した。
【0083】
この混合ワニスは、前記実施例1の混合ワニスと同様に、ニス、ヒートシール剤、密着剤として使用することができる。
(実施例4)
次のようにして、マレイン化ロジンのモノエステル化合物(B成分:グラフト化天然樹脂)と、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との混合ワニスを調製した。
【0084】
(i)マレイン化ロジン100重量部に、イソプロパノール200重量部を加え、82℃の下、3時間反応させ、マレイン化ロジンのモノエステル化合物120重量部を得た。
(ii)マレイン化ロジンのモノエステル化合物ワニスの調製
前記(i)で得たマレイン化ロジンのモノエステル化合物100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とからなる混合溶媒に溶解し、マレイン化ロジンのモノエステル化合物ワニス300重量部を得た。
【0085】
(iii)澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスの調製
コーンポール樹脂CPR−D2061(澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物)100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とからなる混合溶媒に溶解し、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス300重量部を得た。
【0086】
(iv)マレイン化ロジンのモノエステル化合物ワニスと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとの混合
前記(ii)で得たマレイン化ロジンのモノエステル化合物ワニスと、前記(iii)で得た澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとを、それぞれ、1:9、2:8、3:7、4:6、5:5、6:4、7:3、8:2、9:1の比率(重量比)で混合することにより、マレイン化ロジンのモノエステル化合物と澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との混合ワニスを9種類調製した。
【0087】
この混合ワニスは、前記実施例1の混合ワニスと同様に、ニス、ヒートシール剤、密着剤として使用することができる。
(実施例5)
次の様にして、脱色セラック(B成分:天然樹脂)と澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物とから成る樹脂組成物の水分散液(樹脂組成物の分散液)を製造した。
【0088】
即ち、以下の原料を、高圧噴射式乳化分散機により、65℃の下で1時間処理後、90℃にて酢酸エチル及び水を留去し、固型分20%、平均粒子径0.1μmの安定な分散液を得た。
脱色セラック:3重量部
コーンポール樹脂CPR−D2061(澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物):7重量部
ポリビニルアルコール:1重量部
48%苛性ソーダ水溶液:0.1重量部
酢酸エチル:40重量部
水:50重量部
この分散液は、前記実施例1の混合ワニスと同様に、ニス、ヒートシール剤、密着剤として使用することができる。
(実施例6)
次の様にして、マレイン化ダンマル(B成分:グラフト化天然樹脂)と澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物とから成る樹脂組成物の水分散液(樹脂組成物の分散液)を製造した。
【0089】
即ち、以下の原料を、高圧噴射式乳化分散機により、65℃の下で1時間処理後、90℃にて酢酸エチル及び水を留去し、固型分20%、平均粒子径0.1μmの安定な分散液を得た。
マレイン化ダンマル:3重量部
コーンポール樹脂CPR−D2061(澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物)
:7重量部
ポリビニルアルコール:1重量部
48%苛性ソーダ水溶液:0.1重量部
酢酸エチル:40重量部
水:50重量部
尚、マレイン化ダンマルは、前記実施例3と同様にして製造した。
【0090】
この分散液は、前記実施例1の混合ワニスと同様に、ニス、ヒートシール剤、密着剤として使用することができる。
(実施例7)
次の様にして、マレイン化ダンマル、脱色セラック、及び澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物から成る組成物の水分散液(樹脂組成物分散液)を製造した。
【0091】
即ち、以下の原料を、高圧噴射式乳化分散機により、90℃の下で1時間処理後、90℃にて酢酸エチル及び水を留去し、固型分20%、平均粒子径0.1μmの安定な分散液を得た。
マレイン化ダンマル:2重量部
脱色セラック:2重量部
コーンポール樹脂CPR−D2061(澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物)
:6重量部
ポリビニルアルコール:1重量部
48%苛性ソーダ水溶液:0.1重量部
酢酸エチル:40重量部
水:50重量部
尚、マレイン化ダンマルは、前記実施例3と同様にして製造した。
【0092】
この分散液は、前記実施例1の混合ワニスと同様に、ニス、ヒートシール剤、密着剤として使用することができる。
(実施例8)
次の様にして、マレイン化ダンマル、脱色セラック(天然樹脂)、及び澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物から成る組成物と、可塑剤(エポキシ化アルキルエステル)とを含む水分散液(樹脂組成物分散液)を製造した。
【0093】
即ち、以下の原料を、高圧噴射式乳化分散機により、130℃の下で1時間処理後、急冷し、固型分20%、平均粒子径0.05μmの安定な分散液を得た。
マレイン化ダンマル:2重量部
脱色セラック:2重量部
コーンポール樹脂CPR−D2061(澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物):6重量部
エポキシ化アルキルエステル:2重量部
48%苛性ソーダ水溶液:0.1重量部
酢酸エチル:40重量部
水:50重量部
尚、マレイン化ダンマルは、前記実施例3と同様にして製造した。
【0094】
この分散液は、前記実施例1の混合ワニスと同様に、ニス、ヒートシール剤、密着剤として使用することができる。
(実施例9)
以下に示す原料を、ペイントシェーカーで練肉して青色インキを調製した。
【0095】
シアニンブルー(山陽色素株式会社製 Cyanine Blue 4044):100重量部
実施例1で製造した混合ワニス(澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとエステル化セラックワニスとの混合比=7:3): 60重量部
酢酸エチル:21重量部
イソプロピルアルコール:9重量部
(実施例10)レットダウンエマルジョン
以下に示す原料を、常法に従って混合することにより、レットダウンエマルジョンを製造した。
実施例1で製造した混合ワニス(澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとエステル化セラックワニスとの混合比=7:3):45重量部
セラック(界面活性剤として):5重量部
水:450重量部
(比較例1)
セラック100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とから成る混合溶媒に溶解し、セラックのワニス300重量部を得た。
(比較例2)
次の様にして、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物の水分散液(樹脂組成物分散液)を製造した。
【0096】
即ち、以下の原料を、高圧噴射式乳化分散機により、65℃の下で1時間処理後、90℃にて酢酸エチル及び水を留去し、固型分20%、平均粒子径1.0μmの安定な分散液を得た。
コーンポール樹脂CPR−D2061(澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物)
:10重量部
ポリビニルアルコール:1重量部
酢酸エチル:40重量部
水:50重量部
(比較例3)
前記実施例1の様にして製造したエステル化セラック100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とから成る混合溶媒に溶解し、エステル化セラックのワニス300重量部を得た。
(比較例4)
前記実施例3の様にして製造したマレイン化ダンマル100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とから成る混合溶媒に溶解し、マレイン化ダンマルのワニス300重量部を得た。
(比較例5)
前記実施例4の様にして製造したマレイン化ロジンのモノエステル化物100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とから成る混合溶媒に溶解し、マレイン化ロジンのモノエステル化物300重量部を得た。
(比較例6)
ダンマル100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とから成る混合溶媒に溶解し、ダンマルのワニス300重量部を得た。
(比較例7)
マレイン化ロジン100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とから成る混合溶媒に溶解し、マレイン化ロジンのワニス300重量部を得た。
(比較例8)
コーンポール樹脂CPR−D2061(澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物)100重量部を、酢酸エチル140重量部とイソプロピルアルコール60重量部とから成る混合溶媒に溶解し、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物のワニス300重量部を得た。
(実験例1)
実施例5〜8及び比較例2で製造した水分散液をフィルム上に塗工して成る塗工皮膜(樹脂組成物の層)の接着性を以下(i)〜(iv)の様にして評価した。
【0097】
(i)フィルム上に、各水分散液を、バーコーターNo.5の装置を用いて、2.3g/cm2の密度で塗布した。
フィルムとしては、表面処理をしたポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、表面処理をした延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、表面処理をした延伸ナイロンフィルム(ONY)をそれぞれ用いた。
【0098】
(ii)塗布したフィルムを、熱風乾燥機を用いて、70℃で30秒間乾燥させた。
(iii)塗工面にセロファンテープを貼り付けてから、急速に引き剥がし、塗工皮膜がどの程度剥がれるかによって、接着性の5段階評価を行った。尚、5段階評価は、以下の基準に従った。
【0099】
5:剥がれる部分の割合が5%以下
4:剥がれる部分の割合が5〜20%
3:剥がれる部分の割合が20〜50%
2:剥がれる部分の割合が50〜90%
1:剥がれる部分の割合が90%以上
(iv)試験結果を表1に示す。
【0100】
【表1】
表1に示す様に、実施例5〜8の水分散液を塗工して成る塗工皮膜は、比較例2の水分散液を塗工して成る塗工皮膜よりも接着性に優れていた。
【0101】
特に、実施例7,8の水分散液を塗工して成る塗工皮膜は、いずれのフィルムに対しても優れた接着性を有していた。
(実験例2)
実施例1及び実施例3で製造した混合ワニスにおける、エステル化天然樹脂ワニス又はグラフト化天然樹脂ワニスと、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとの相溶性を以下の3段階で評価した。
【0102】
また、比較例1で製造したセラックワニスと、比較例8で製造した澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとを混合したワニスについても同様に相溶性を評価した。
(相溶性の基準)
○:エステル化天然樹脂ワニス又はグラフト化天然樹脂ワニスと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとの混合後、粘度の増加が生じない。
【0103】
△:混合後において粘度の増加が生じる。
×:混合後において分離、ゲル化が生じる。
結果を表2に示す。
【0104】
【表2】
表2に示す様に、実施例1及び実施例3の混合ワニスは、混合比によらず、相溶性が良好であった。
【0105】
一方、セラックワニスと、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとを混合したワニスについては、いずれの混合比においても、相溶性が不良であった。
(実験例3)
実施例1で製造した混合ワニスをフィルム上に塗工して成る塗工皮膜(樹脂組成物の層)の、フィルムに対する接着性を以下(i)〜(iv)の様にして評価した。
【0106】
(i)フィルム上に、実施例1のそれぞれの混合比の混合ワニスを、バーコーターNo.5の装置を用いて、2.3g/cm2の密度で塗布した。
また、比較例8で製造した澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス、比較例3で製造したエステル化セラックワニス、比較例1で製造したセラックワニスについても、同様に塗布を行った。
【0107】
フィルムとしては、表面処理をした延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、表面処理をしたポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、表面処理をした延伸ナイロンフィルム(ONY)、ポリ脂肪族エステル、ポリ乳酸をそれぞれ用いた。
【0108】
(ii)塗布後、それぞれのワニスを、熱風乾燥機を用いて、70℃で30秒間乾燥させた。
(iii)塗工面にセロファンテープを貼り付けてから、急速に引き剥がし、塗工皮膜がどの程度剥がれるかによって、5段階評価を行った。尚、5段階評価は、前記実験例1と同様の基準に従った。
【0109】
(iv)試験結果を表3に示す。
【0110】
【表3】
表3に示す様に、実施例1の混合ワニスを塗工して成る塗工皮膜は、比較例8の澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス、比較例3のエステル化セラックワニス、及び比較例1のセラックワニスを塗工して成る塗工皮膜と比べて、同等以上の接着性を有していた。
【0111】
特に、実施例1の混合ワニスのうち、エステル化セラックワニスと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとの混合比が、1:9〜6:4のものは、いずれのフィルムに対しても優れた接着性を有していた。
(実験例4)
実施例3で製造した混合ワニスをフィルム上に塗工して成る塗工皮膜(樹脂組成物の層)の接着性を前記実験例3と同様にして評価した。
【0112】
また、比較例8で製造した澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス、比較例4で製造したマレイン化ダンマルワニス、比較例6で製造したダンマルワニスについても、同様に評価を行った。
評価結果を表4に示す。
【0113】
【表4】
表4に示す様に、実施例3の混合ワニスを塗工して成る塗工皮膜は、比較例8の澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス、比較例4のマレイン化ダンマルワニス、及び比較例6ダンマルワニスを塗工して成る塗工皮膜と比べて、同等以上の接着性を有していた。
【0114】
特に、実施例3の混合ワニスのうち、マレイン化ダンマルワニスと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとの混合比が、1:9〜4:6のものは、いずれのフィルムに対しても優れた接着性を有していた。
(実験例5)
実施例4で製造した混合ワニスをフィルム上に塗工して成る塗工皮膜(樹脂組成物の層)の接着性を前記実験例3と同様にして評価した。
【0115】
また、比較例8で製造した澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス、比較例5で製造したマレイン化ロジンのモノエステル化合物ワニス、比較例7で製造したマレイン化ロジンワニスについても、同様に評価を行った。
評価結果を表5に示す。
【0116】
【表5】
表5に示す様に、実施例4の混合ワニスを塗工して成る塗工皮膜は、比較例8の澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス、比較例5のマレイン化ロジンのモノエステル化合物ワニス、及び比較例7のマレイン化ロジンワニスを塗工して成る塗工皮膜と比べて、同等以上の接着性を有していた。
【0117】
特に、実施例4の混合ワニスのうち、マレイン化ロジンのモノエステル化合物ワニスと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとの混合比が、1:9〜6:4のものは、いずれのフィルムに対しても優れた接着性を有していた。
(実験例6)
実施例1の混合ワニスのうち、エステル化セラックワニスと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニスとの混合比が、2:8のものについて、前記実験例1と同様に、接着性試験を行った。ただし、フィルムとしては、処理ナイロン、未処理ナイロン、処理CPP(無延伸ポリプロピレン)、未処理CPP(無延伸ポリプロピレン)、及びLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)を用いた。
【0118】
評価結果を表6に示す。
【0119】
【表6】
表6に示す様に、実施例1の混合ワニスを塗工して成る塗工皮膜は、処理ナイロン、未処理ナイロン、処理CPPに対して、良好な接着性を示した。
(実験例7)
実施例9で製造した青色インキを、酢酸エチルとイソプロビルアルコールとを7:3の割合で混合した溶剤を用いて、所定の粘度となるように希釈した。この所定の粘度とは、粘度測定装置(ザーンカップNo.4)において、流出に要する時間が15秒となる粘度をいう。
【0120】
そして、希釈した青インキをOPPフィルム、PETフィルムに塗工した。
塗工した青インキを、前記実験例3と同様にして、接着性を評価したところ、いずれのフィルムに対しても、良好な接着性(実験例3の基準で5)を示した。
(実験例8)
ダンマル、ロジン、コーパル、バルサム、サンダラックの各天然樹脂を基にして、前記実施例1又は3と同様にして、エステル化天然樹脂又はグラフト化天然樹脂の混合ワニスを製造した。
【0121】
これらの混合ワニスについて、前記実験例3と同様に接着性試験を行ったところ、いずれの基体に対しても、優れた接着性を示した。
(実験例9)
実施例1で製造した混合ワニスから、溶媒を留去することにより、エステル化セラックと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物とから成る樹脂組成物を得た。
【0122】
この樹脂組成物の生分解性について、JIS K 6950(プラスチック活性汚泥による好気性生分解性試験法)に基づき、検体の60%が分解されるまでに要した日数を計測した。
また、セラック、及び澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物についても、同様に生分解性を評価した。
【0123】
その結果、エステル化セラックと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物とから成る樹脂組成物は、セラック及び澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物と同等の生分解性を有していた。
(実験例10)
実施例1の混合ワニス、比較例8の澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス、比較例3のエステル化セラックワニス、及び比較例1のセラックワニスをそれぞれ試験片に塗布して成る樹脂組成物塗膜についての、塗膜強度、及びヒートシール性を以下のようにして評価した。
【0124】
塗膜強度の評価法:前記実験例3と同様にして、接着性試験を行い、塗膜自体が破壊されるものを×、一部破壊されるものを△、破壊されないものを○とした。
ヒートシール性の評価法:一対の試験片(235g/cm2のコート紙)の両方に、それぞれ、評価するワニスを塗布し、塗布面同士を密着させる。密着面をヒートシールテスターを用いて80℃、1.5Kg/cm2にて5秒間ヒートシールした後、引き離す方向に力をかけて、試験片を剥離させる。剥離に要する力が、300g/cm2を超える場合には、ヒートシール性を○とし、50g/cm2以上300g/cm2以下場合は△とし、50g/cm2未満の場合には×とする。
【0125】
また、実施例1の混合ワニス、比較例8の澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス、比較例3のエステル化セラックワニス、及び比較例1のセラックワニスを、それぞれ、不揮発分が20%になるように調整してから、混合ワニスの粘度を、25℃の下で、B型粘度計を用いて測定した。
【0126】
評価結果を表7に示す。
【0127】
【表7】
表7に示す様に、実施例1の混合ワニスのうち、エステル化セラックと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との混合比が、3:7〜8:2の範囲のものでは、塗膜強度と、ヒートシール性の両方において、○又は△の評価結果が得られた。
【0128】
また、実施例1の混合ワニスの溶液粘度については、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物の比率を小さくするほど、粘度を低くすることができた。
(実験例11)
実施例3の混合ワニス、比較例8の澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス、比較例4のマレイン化ダンマルワニス、及び比較例6のダンマルワニスについて、前記実験例10と同様に、塗膜強度、ビートシール性、及び溶液粘度を測定した。
【0129】
結果を表8に示す。
【0130】
【表8】
表8に示す様に、実施例3の混合ワニスのうち、マレイン化ダンマルと澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との混合比が、3:7〜8:2の範囲のものでは、塗膜強度と、ヒートシール性の両方において、○又は△の評価結果が得られた。
【0131】
また、実施例3の混合ワニスの溶液粘度については、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物の比率を小さくするほど、粘度を低くすることができた。
(実験例12)
実施例4の混合ワニス、比較例8の澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物ワニス、比較例5のマレイン化ロジンのモノエステル化合物のワニス、及び比較例7のマレイン化ロジンのワニスについて、前記実験例10と同様に、塗膜強度、ビートシール性、及び溶液粘度を測定した。
【0132】
結果を表9に示す。
【0133】
【表9】
表9に示す様に、実施例4の混合ワニスのうち、マレイン化ロジンのモノエステル化合物と澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物との混合比が、3:7〜8:2の範囲のものでは、塗膜強度と、ヒートシール性の両方において、○又は△の評価結果が得られた。
【0134】
また、実施例4の混合ワニスの溶液粘度については、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物の比率を小さくするほど、粘度を低くすることができた。
尚、本発明は上記の形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
【0135】
・実施例1において、氷酢酸の代わりに、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン、ピリジン類、ピラジン類、ピコリン類等の含窒素複素環状化合物及び酢酸、プロパン酸、酪酸などの有機酸を使用することができる。
・実施例3において、トルエンの代わりに、キシレン、シメン、クメン等を使用することができる。
【0136】
また、実施例3において、ジクミルパーオキサイドの代わりに、ベンゾイルパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドローパーオキサイド等を使用することができる。
・前記実施例1〜9において、澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物として、コーンポール樹脂CPR−D703、または、コーンポール樹脂CP−5を用いることができる。
Claims (16)
- A成分として、
(1)置換度(以下DS)が0.3〜2.8で、熱可塑性を有している、澱粉もしくは澱粉分解物のエステル化物
(2)エステル化と共に、ポリビニルエステルのグラフト化がなされている澱粉
(3)ポリエステルグラフト鎖を澱粉分子上に有し、前記グラフト鎖末端及び澱粉直結の水酸基の一部又は全てがエステル基により封鎖されているポリエステルグラフト重合澱粉と、前記ポリエステルグラフト鎖と同一構成単位を有し、末端水酸基の一部又は全てがエステル基により封鎖されている独立ポリエステルとが均一混合されてなるポリエステルグラフト重合澱粉アロイ
から選ばれる1又は2以上の澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物と、
B成分として、エステル化天然樹脂、グラフト化天然樹脂の中から選ばれる1又は2以上の成分と、
を含有することを特徴とする樹脂組成物。 - A成分として、
(1)置換度(以下DS)が0.3〜2.8で、熱可塑性を有している、澱粉もしくは澱粉分解物のエステル化物
(2)エステル化と共に、ポリビニルエステルのグラフト化がなされている澱粉
(3)ポリエステルグラフト鎖を澱粉分子上に有し、前記グラフト鎖末端及び澱粉直結の水酸基の一部又は全てがエステル基により封鎖されているポリエステルグラフト重合澱粉と、前記ポリエステルグラフト鎖と同一構成単位を有し、末端水酸基の一部又は全てがエステル基により封鎖されている独立ポリエステルとが均一混合されてなるポリエステルグラフト重合澱粉アロイ
から選ばれる1又は2以上の澱粉置換誘導体を含有する生分解性樹脂組成物と、
B成分として、ダンマル、ロジン、コーパル、バルザム、サンダラック、ヤッカガムの中から選ばれる1又は2以上の天然樹脂成分と、
を含有することを特徴とする樹脂組成物。 - 前記エステル化天然樹脂及び前記グラフト化天然樹脂は、セラック、ダンマル、ロジン、コーパル、バルザム、サンダラック、ヤッカガムの中から選ばれる1又は2以上の天然樹脂を変性して成るものであることを特徴とする前記請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記エステル化天然樹脂が、天然樹脂と、アシル化ハロゲン、モノーカルボン酸無水物、ジーカルボン酸無水物、カルボン酸ビニルエステルの中から選ばれるエステル化剤との反応により生じるエステル化物、またはこれらのエステル化物と、アルコール類、セロソルブ類、グリコール類の中から選ばれるものとの反応により生じるモノエステル化物であることを特徴とする前記請求項1又は3に記載の樹脂組成物。
- 前記グラフト化天然樹脂が、
(1)天然樹脂に、有機過酸化物とともに無水マレイン酸を加え、天然樹脂にマレイン酸をグラフトさせてなるグラフト化天然樹脂、
(2)または、上記(1)のグラフト化天然樹脂と、アルコール類、セロソルブ類、グリコール類の中から選ばれるものとの反応により生じるモノエステル化物であることを特徴とする前記請求項1、3、4のいずれかに記載の樹脂組成物。 - 前記A成分の含有量と、前記B成分の含有量との比率が、0.5:99.5〜99.5:0.5の範囲にあることを特徴とする前記請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 可塑剤、フィラー、ワックスのうちの1又は2以上の成分を含有することを特徴とする前記請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
- インキ用バインダー、ニス、及びヒートシール剤のうちのいずれかを用 途とする請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物を含有することを特徴とする密着剤。
- 前記請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物を含有することを特徴とする溶液。
- 前記請求項1〜8いずれかに記載の樹脂組成物から成る粒子を含有することを特徴とする分散液。
- 前記粒子の粒径が1μm以下であることを特徴とする前記請求項11記載の分散液。
- 前記請求項1〜8いずれかに記載の樹脂組成物、前記請求項10記載の溶液、前記請求項11又は12記載の分散液のいずれかを含有することを特徴とするインキ用バインダー。
- 前記請求項1〜8いずれかに記載の樹脂組成物、前記請求項10記載の溶液、前記請求項11は12記載の分散液のいずれかを含有することを特徴とするレットダウンエマルジョン。
- 前記請求項1〜8いずれかに記載の樹脂組成物、前記請求項10記載の溶液、前記請求項11は12記載の分散液のいずれかを含有することを特徴とするニス。
- 前記請求項1〜8いれかに記載の樹脂組成物、前記請求項10載の溶液、前記請求項11又は12に記載の分散液のいずれかを含有することを特徴とするヒートシール剤。
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