JP2008050465A - 水性接着剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】生分解性を備え、木材内部に浸透せずに接着層を形成し、ヤニ成分により阻害されずに優れた接着性能が得られる水性接着剤組成物を提供する。
【解決手段】ポリ乳酸エマルジョン、水性高分子、充填剤を含む主剤と、硬化剤と、一般式(1)で表される化合物(A)とを含む。主剤の全量に対し、ポリ乳酸エマルジョンは5〜70重量%含まれ、水性高分子は固形分として0.2〜30重量%含まれ、充填剤は5〜55重量%含まれる。主剤100重量部に対し、硬化剤は2〜30重量部含まれ、化合物(A)は、0.2〜20重量部含まれる。ポリ乳酸エマルジョンは、ポリ乳酸を5〜70重量%含む。水性高分子は、水溶性高分子、水溶性高分子水溶液、水性ラテックス、水性エマルジョンからなる選択される。
−(CH−CH(R)−O)−R ・・・・(1)
【選択図】 なし

Description

本発明は、生分解性を備える水性接着剤組成物に関するものである。さらに詳しくはヤニ成分の多い木材の接着に用いられる水性接着剤組成物に関するものである。尚、本明細書において、「ヤニ」との用語は木材に含まれるロジン等の天然樹脂を意味する。
従来、木材用水性接着剤組成物として、ホルムアルデヒド系接着剤、酢酸ビニルエマルジョン接着剤、EVAエマルジョン接着剤、アクリル樹脂系エマルジョン接着剤、水溶性樹脂系接着剤、水性高分子−イソシアネート系接着剤が知られている。
一方、近年では環境の負荷を低減するために、生分解性接着剤が検討されており、例えば本出願人によりタンニンを含む接着剤が提案されている(特許文献1参照)。
また、前記生分解性高分子としてポリ乳酸が知られており、ポリ乳酸系エマルジョンも提案されている(特許文献2,3参照)。そこで、ポリ乳酸系エマルジョン自体を接着剤とすることが考えられる。ところが、ポリ乳酸系エマルジョン自体を接着剤としたのでは、木材に対する塗布性が低く、十分な接着力が得られないという問題がある。
前記問題を解決するために、ポリ乳酸と、水性高分子と、硬化剤とを含む接着剤が提案されており、該接着剤は紙、繊維質素材からなる織布または不織布に用いることができるとされている(特許文献4参照)。
しかしながら、紙、繊維質素材、木材等は、多孔質であって、表面にマクロまたはミクロの凹凸があるため、前記接着剤は紙、繊維質素材、木材等の内部に浸透して、接着層を形成することが難しく、十分な接着力が得られないという不都合がある。
また、カバ材等のようにラワン材よりヤニ成分の多い木材からなる集成材を接着する際には、十分な接着力を得ることができないという不都合がある。また、カラマツ、ダフリカカラマツ、アカマツ等のマツ系統のようなヤニ成分の多い木材を構造用集成材に使用する際には、脱脂処理を施すことが前提となっているが、十分な脱脂処理が困難なために十分な接着力を得ることができないことがあるという不都合がある。
特開2004−231814号公報 特開2003−113247号公報 特開2004−285144号公報 特開2004−331847号公報
本発明は、かかる不都合を解消して、生分解性を備えると共に、被着体が木材であっても内部に浸透することなく接着層を形成して、接着性能がヤニ成分により阻害されることなく、優れた接着性能を得ることができる水性接着剤組成物を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明の水性接着剤組成物は、ポリ乳酸エマルジョンと、水性高分子と、充填剤とからなる主剤と、硬化剤と、一般式(1)で表される構造を有する化合物(A)とを含むことを特徴とする。
Figure 2008050465
本発明の水性接着剤組成物は、木材を被着材とするものである。本発明の水性接着剤組成物は、木材に塗布された後、他の被着材を重ね合わせて放置すると、まず水分が蒸散し、ポリ乳酸、水性高分子、充填剤、硬化剤により、皮膜状の接着層が形成される。このとき、本発明の水性接着剤組成物によれば、前記充填剤が、ポリ乳酸エマルジョン、水性高分子、硬化剤の木材内部への浸透を妨げ、木材のマクロまたはミクロの凹凸表面で確実に前記接着層を形成することができる。本発明の水性接着剤組成物では、前記接着層が形成されると、次いで前記硬化剤が前記水性高分子等と反応することにより接着力が発現し、木材に対して優れた接着性能を得ることができる。
ところが、ヤニ成分の多い木材を接着しようとするときには、接着性能がヤニ成分により阻害され、十分な接着力を得ることが難しい。そこで、本発明の水性接着剤組成物は、前記主剤に一般式(1)で表される構造を有する化合物(A)を配合することにより、該化合物(A)がヤニ成分を溶解し、該ヤニ成分を水性接着剤組成物および被着体である集成材などの木材に分散させる。この結果、本発明の水性接着剤組成物は、前記主剤に本来の接着性能を発揮させることができ、ヤニ成分の多い木材に対しても優れた接着力を得ることができる。
また、本発明の水性接着剤組成物は、前記接着層に前記ポリ乳酸を含むので、自然界に放置されると該ポリ乳酸が微生物等の作用により分解される。従って、本発明の接着剤組成物によれば、環境に対する負荷を軽減することができる。
本発明の水性接着剤組成物において、前記ポリ乳酸エマルジョンは、前記主剤の全量に対して5〜70重量%の範囲で含まれることが好ましい。前記ポリ乳酸エマルジョンの含有量が、前記主剤の全量に対して5重量%未満では十分な生分解性が得られないことがある。また、前記ポリ乳酸エマルジョンの含有量が、前記主剤の全量に対して70重量%を超えると、相対的に前記水性高分子の含有量が低減し、十分な接着性能が得られないことがある。
また、本発明の水性接着剤組成物において、前記水性高分子は、固形分として前記主剤の全量に対して0.2〜30重量%の範囲で含まれることが好ましい。前記水性高分子の固形分としての含有量が、前記主剤の全量に対して0.2重量%未満では十分な接着性能が得られないことがある。また、前記水性高分子の固形分としての含有量が、前記主剤の全量に対して30重量%を超えると、前記接着剤組成物の粘度が上昇し、塗布性が低減することがある。
また、本発明の水性接着剤組成物において、前記充填剤は、前記主剤の全量に対して5〜55重量%の範囲で含まれることが好ましい。前記充填剤の含有量が、前記主剤の全量に対して5重量%未満では、前記ポリ乳酸エマルジョン、水性高分子、硬化剤の木材内部への浸透を妨げる効果が不十分となり、前記接着層を形成することができず、十分な接着性能が得られないことがある。また、前記充填剤の含有量が、前記主剤の全量に対して55重量%を超えると前記水性接着剤組成物の粘度が上昇し、塗布性が低減することがある。
また、本発明の水性接着剤組成物において、前記硬化剤は、前記主剤100重量部に対して、2〜30重量部の範囲で含まれることが好ましい。前記硬化剤の含有量が、前記主剤100重量部に対して2重量部未満では、前記接着層を硬化させる効果が不十分となり、十分な接着性能が得られないことがある。また、前記硬化剤の含有量が、前記主剤100重量部に対して30重量部を超えると、前記水性接着剤組成物の粘度が上昇し、塗布性が低減することがある。
また、本発明の水性接着剤組成物は、前記ヤニ成分の多い木材に対しても優れた接着力と、優れた耐水性、耐熱性、耐久性とを得るために、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物(A)を、前記主剤100重量部に対して、0.2〜20重量部の範囲で含むことが好ましい。前記一般式(1)で表される構造を有する化合物(A)の含有量が、前記主剤100重量部に対して20重量部を超えると、前記主剤の安定性を低下させることがあり、あるいは前記水性接着剤組成物の粘度を変化させ塗布作業性が低減することがある。また、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物(A)の含有量が、前記主剤100重量部に対して0.2重量部未満では、ヤニ成分を溶解させる効果が十分に得られないことがある。
前記ポリ乳酸エマルジョンは、ポリ乳酸を5〜70重量%の範囲で含むことが好ましい。前記ポリ乳酸の含有量が5重量%未満では、前記ポリ乳酸エマルジョンを前記水性接着剤組成物に配合したときに、十分な生分解性を得ることができないことがある。また、前記ポリ乳酸の含有量が70重量%を超えると凝集して沈殿することがあり、エマルジョンを形成することが難しくなる。
前記水性高分子は、水溶性高分子、水溶性高分子水溶液、水性ラテックス、水性エマルジョンからなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。
次に、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
本実施形態の木材用接着剤組成物は、ポリ乳酸エマルジョンと、水性高分子と、充填剤とを含む主剤と、硬化剤と、下記一般式(1)で表される化合物(A)とを含む。
Figure 2008050465
前記主剤は、その全量に対して、5〜70重量%の範囲のポリ乳酸エマルジョンと、0.2〜30重量%の範囲の水性高分子(固形分として)と、5〜55重量%の範囲の充填剤とを含んでいる。また、前記硬化剤は、前記主剤100重量部に対して、2〜30重量部の範囲で含まれている。また、化合物(A)は、前記主剤100重量部に対して、0.2〜20重量部の範囲で含まれている。また、前記ポリ乳酸エマルジョンは、ポリ乳酸を、5〜70重量%の範囲で含んでいる。
前記ポリ乳酸エマルジョンは、ポリ乳酸を、高分子分散剤、アニオン系分散剤、ノニオン系分散剤、ポリカルボン酸系分散剤等の分散剤を用いて水中に分散させたものである。
前記ポリ乳酸は、末端にカルボン酸基を有する樹脂であり、分子量や原料である乳酸の種類等に由来して、ガラス転移点や融点の異なる複数の種類がある。前記ポリ乳酸は、前記複数の種類のいずれか1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。また、前記ポリ乳酸は、未反応モノマー、オリゴマー、ポリマーの混合物であってもよい。
前記水性高分子は、水溶性高分子、水溶性高分子水溶液、水性ラテックス、水性エマルジョンからなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。
前記水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、アミノ化ポリビニルアルコール、カルボキシル化ポリビニルアルコール、カチオン化ポリビニルアルコール、アニオン化ポリビニルアルコール、澱粉、蛋白質、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、マレイン酸イミド共重合体等を挙げることができる。前記水溶性高分子は、水溶液として用いてもよい。
また、水性ラテックスまたは水性エマルジョンとしては、スチレン、ブタジエン、アクリルアミド、アクリロニトリル、クロロプレン、1,3−ヘキサジエン、イソプレン、イソブテン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチルビニルエーテルからなる群から選ばれる1種の化合物の水性ラテックスまたは水性エマルジョン、または前記群から選ばれる共重合可能な2種以上の不飽和単量体からなる水性ラテックスまたは水性エマルジョンを挙げることができる。前記水性ラテックスまたは水性エマルジョンは、カルボキシル基、N−メチロール基、N−アルコキシメチル基、グリシジル基、β−メチルグリシジル基、水酸基、アミノ基、酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性基を備える不飽和単量体を乳化重合させた変性ラテックスまたは変性エマルジョンであってもよい。
前記充填剤としては、小麦粉、大豆粉、血粉、木粉、クルミ殻粉等の有機系充填剤、クレー、カオリン、ゼオライト、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、酸化アルミニウム等の無機系充填剤等を挙げることができる。前記充填剤は、そのいずれか1種を単独で、または2種以上混合して用いることができる。
前記主剤は、前記ポリ乳酸エマルジョン、前記水性高分子、前記充填剤の他、該充填剤の分散剤等を含んでいてもよい。前記充填剤の分散剤としては、メタリン酸ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム等の無機系分散剤、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の高分子系分散剤等を挙げることができる。前記充填剤の分散剤は、そのいずれか1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
前記硬化剤としては、アセトアセチル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等と反応する化合物を用いることができる。前記アセトアセチル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の官能基は、前記水性高分子に含まれるものでもよく、本実施形態の水性接着剤組成物の他の成分に含まれるものであってもよい。
前記アセトアセチル基と反応する前記硬化剤としては、アミノ化合物、ヒドラジン化合物等を挙げることができる。前記アミノ化合物としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ポリアミドアミン、ポリアミン等を挙げることができる。前記ヒドラジン化合物としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジド、カルボジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、カルボン酸低級アルキルエステル含有低重合体をヒドラジンまたはヒドラジン水化物と反応させたポリヒドラジド等を挙げることができる。
前記カルボキシル基と反応する前記硬化剤としては、オキサゾリン化合物含有高分子、エポキシ化合物、アジリジン化合物、ヒドラジン化合物、イソシアネート化合物等を挙げることができる。
前記硬化剤である前記オキサゾリン化合物含有高分子としては、例えば、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンを含有する水性ラテックスまたは水性エマルジョン等を挙げることができる。
前記硬化剤である前記エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアネート型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、それらのハロゲン化物、水素添加物等を挙げることができる。また、前記エポキシ化合物として、エピクロルヒドリンとポリアミン及びポリアミドとの混合物、第3級アミノ窒素原子を有する4官能エポキシ化合物であるN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1−(N,N−ジグリシジルアミノメチル)1,5,5−トリメチル−3−(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,4−フェニレンジアミン、(N,N,N’,N’−テトラグリシジル)ジアミノトルエン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−キシレンジアミン、そのハロゲン2置換体、ビス(N,N−ジグリシジルアミノフェノール)スルホン、4’−(N,N−ジグリシジルアミノ)ベンゼンスルホン酸の4’−(N,N−ジグリシジルアミノ)フェニルエステル、ビス(N,N−ジグリシジルアミノトリメチレン)アルキレングリコール等を挙げることができるが、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等を好適に用いることができる。
前記硬化剤である前記イソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、フェニレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添トリメチルキシリレンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、4,4−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネートと1,4−キシリレンジイソシアネートとの混合物、リジントリイソシアネート等の脂肪族化合物に生分解性を有すエステル結合と2分子以上のイソシアネートを含む脂肪族イソシアネート、等を挙げることができる。
前記硬化剤である前記イソシアネート化合物としては、さらに、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート単量体から誘導されたダイマー、トリマー、ビューレット体、炭酸ガスとポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート単量体とから得られる2,4,6−オキサゾリジントリオン環を有するポリイソシアネート、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、へキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等の低分子量ポリオールとポリイソシアネートとの付加体、或いはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等とポリイソシアネートとの高分子ポリオール等との付加体等のNCO末端化合物及び、これらの2種以上の混合物を挙げることができる。
前記アミノ基と反応する前記硬化剤としては、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、カルボキシル化合物等を挙げることができる。前記エポキシ化合物、前記イソシアネート化合物としては、前記硬化剤であるエポキシ化合物、前記硬化剤であるイソシアネート化合物と同一のものを挙げることができる。
前記エポキシ基と反応する前記硬化剤としては、アミノ化合物、カルボキシル化合物等を挙げることができる。前記アミノ化合物としては、前記と同一のものを挙げることができる。
前記硬化剤は、前記化合物のいずれか1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
次に、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物(A)としては、アルコール系化合物、エステル系化合物、エーテル系化合物を挙げることができる。
前記アルコール系化合物は、前記エステル系化合物または前記エーテル系化合物に比較してヤニ成分を最もよく溶解することができ、もちろん沸点によっても異なるが低沸点の化合物ほどヤニ成分をよく溶解する。従って、前記アルコール系化合物を含有する本実施形態の水性接着剤組成物は、ヤニ成分を多く含有する木材からなる集成材に対しても優れた接着力を得ることができる。
しかし、前記アルコール系化合物は、硬化剤の前記イソシアネート化合物と反応する可能性があり、硬化剤と主剤との反応を低減させる可能性がある。従って、前記アルコール系化合物は、前記硬化剤と主剤との反応を低減させる可能性を考慮して、本実施形態の水性接着剤組成物に対する配合量を決定する必要がある。
前記エステル系化合物は、前記アルコール系化合物と同様にヤニ成分をよく溶解することができ、もちろん沸点によっても異なるが低沸点の化合物ほどヤニ成分をよく溶解する。従って、前記エステル系化合物を含有する本実施形態の水性接着剤組成物は、ヤニ成分を多く含有する木材からなる集成材に対しても優れた接着力を得ることができる。
しかし、前記エステル系化合物は分解する可能性がある。従って、前記エステル系化合物は、それ自体が分解する可能性を考慮して、本実施形態の水性接着剤組成物の調製時に、pHなどの調製条件に注意が必要である。
前記エーテル系化合物は、前記アルコール系化合物、前記エステル系化合物に比較するとヤニ成分を溶解し難いが、本実施形態の水性接着剤組成物に配合するには十分なヤニ成分の溶解性を備えている。前記エーテル系化合物は、もちろん沸点によっても異なるが低沸点の化合物ほどヤニ成分をよく溶解し、ヤニ成分を多く含有する木材からなる集成材に対しても優れた接着力を得ることができる。
上述のように前記アルコール系化合物、エステル系化合物、エーテル系化合物は、それぞれ異なる特性を備えているので、それぞれの特性に応じて、いずれか1種を単独で、または2種以上混合して用いることができる。
前記アルコール系化合物としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどを挙げることができる。
また、前記エステル系化合物としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテ−ト、ジエチレングリコールn−ブチルエーテルアセテ−ト、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテ−トなどを挙げることができる。
そして、前記エーテル系化合物としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテルなどを挙げることができる。
本実施形態の水性接着剤組成物は、その接着性能、生分解性を損なわない範囲で、さらに分散剤、消泡剤、防腐剤、防火剤、防蟻剤、防カビ剤、防虫剤、整泡剤、起泡剤、防錆剤、湿潤剤、濡れ性改質剤等の添加剤を含んでいてもよい。
本実施形態の水性接着剤組成物は、例えば、まず前記主剤を調製し、該主剤に前記化合物(A)を添加し、さらに前記硬化剤を添加することにより得ることができる。前記主剤は、前記ポリ乳酸エマルジョンに前記水性高分子、前記充填剤を添加し、さらに所望により該充填剤の分散剤を添加して、混合することにより調製する。
前記硬化剤は、前記水性接着剤組成物を被着材に塗布する直前に、前記主剤に添加、混合することが好ましい。前記硬化剤は、予め前記主剤に添加、混合しておいてもよいが、この場合には前記水性接着剤組成物の保存安定性が低減することがある。
本発明の水性接着剤組成物は、生分解性であるので環境を汚染する虞が無く、優れた耐水接着力を備え、加熱下、或いは高温多湿の環境下、長期に亘って耐水接着力を維持することができる。従って、本発明の水性接着剤組成物は、合板、LVL、突板、化粧板、集成材、パーティクルボード等の木質繊維板、家具、建具、運動具その他の木工製品製造用の木材用接着剤として好適に用いることができる。
また、本発明の水性接着剤組成物は、木材同士の他、木材と異種の素材とを接着する場合にも適用することができる。前記異種の素材としては、段ボール、紙、布、金属、陶磁器、ガラス、木毛板、プラスチック板(塩化ビニル樹脂板、ABS板、FRP板、スチレン樹脂板等)、無機板(アスベスト、ロックウール等の鉱物質繊維板等)、セメント系無機板(石綿スレート板、パルプセメント板、コンクリート板等)等を挙げることができる。
さらに、本発明の水性接着剤組成物は、コーティング用、塗料用組成物としても用いることができる。
次に、本発明の実施例及び比較例を示す。
本実施例では、まず、ポリ乳酸を50重量%含有するポリ乳酸エマルジョン(第一工業製薬株式会社製、商品名:プラセマL110)70重量部に、水溶性高分子としてカルボキシメチルセルロース(第一工業製薬株式会社製、商品名:ファインガムHE−600)0.2重量部を加え溶解した。次に、前記ポリ乳酸エマルジョンとカルボキシメチルセルロースとの混合液に、さらに、充填剤として炭酸カルシウム(東洋ファインケミカル株式会社製、商品名:ホワイトンP−30)30重量部、該充填剤の分散剤としてメタリン酸ナトリウム0.5重量部を添加、混合して主剤を調製した。
次に、前記主剤100重量部に対して、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物(A)としてジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(化合物A1)5重量部を添加した。
次に、前記主剤100重量部に、硬化剤のイソシアネート化合物として、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートと、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名:スミジュール44V)15重量部を添加、撹拌して、木材用水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、「JIS K 6806」に基づいて、接着性能を試験した。
前記試験では、カバ材よりヤニ成分の多い材料を想定して、含水率6〜8%、比重0.72〜0.75の10mm厚のカバ柾目挽板に対し、ロジン含有エタノール溶液(ロジン濃度25重量%)を片面に35g/mの量で塗布し、20℃で15分乾燥したものを被着材とした。次に、前記被着材に、本実施例で得られた水性接着剤組成物を250g/mの量で塗布し、開放堆積時間20℃にて1分以内、閉鎖堆積時間20℃にて10分以内、20℃にて1.2N/cmの圧力で24時間圧締した後、解圧し、20℃にて7日間養生したものを試験片とした。そして、前記各試験片の圧縮せん断接着強さを、常態、耐温水、煮沸繰り返しの3通りの条件で、測定した。
試験結果を表1に示す。試験結果は、「JIS K 6806」に定める試験機により試験片が破断するまでの最大荷重を測定し、実測した接着面積で除した接着強さ(N/cm)で示す。
「JIS K 6806」に基づく接着性能試験において、「常態」とは試験片作成後、直ちに試験に供するもので、耐水性に関わらない接着力を示す。また、「耐温水」とは試験片を60±3℃の温水中に3時間浸漬した後、室温の水中に冷めるまで浸し、濡れたままの状態で試験に供するもので、耐水性及び耐熱性の指標となるものである。また、「煮沸繰り返し」とは試験片を沸騰水中に4時間浸漬した後、60±3℃の空気中で20時間乾燥し、さらに沸騰水中に4時間浸漬してから、室温の水中に冷めるまで浸し、濡れたままの状態で試験に供するもので、耐久性の指標となるものである。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物の塗布性能を試験した。
前記試験では、カバ材よりヤニ成分の多い材料を想定して、含水率6〜8%、比重0.72〜0.75の10mm厚のカバ柾目挽板に対し、ロジン含有エタノール溶液(ロジン濃度25重量%)を片面に35g/mの量で塗布し、20℃で15分乾燥したものを被着材とした。次に、前記被着材に、本実施例で得られた水性接着剤組成物を250g/mの量で塗布して、目視で塗布された状態を観察し、塗布性能を評価した。前記塗布性能は、前記水性接着剤組成物が前記カバ柾目挽板に均一に塗布されている状態を○、均一に塗布されているが塗布層が薄い状態を△、均一に塗布されていない状態を×として評価した。試験結果を表1に併せて示す。
本実施例では、水溶性高分子としてカルボキシメチルセルロース0.5重量部を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表1に示す。
本実施例では、水溶性高分子としてカルボキシメチルセルロース0.8重量部を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表1に示す。
本実施例では、水溶性高分子としてカルボキシメチルセルロース1.0重量部を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表1に示す。
〔比較例〕
本比較例では、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物(A)としてジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(化合物A1)を全く添加しなかった以外は、実施例4と全く同一にして、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表1に示す。
Figure 2008050465
表1から、ポリ乳酸エマルジョン、水溶性高分子としてのカルボキシメチルセルロース、充填剤として炭酸カルシウム、硬化剤のイソシアネート化合物として、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートと、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物(A)としてジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(化合物A1)を含む実施例1〜4の水性接着剤組成物によれば、化合物Aを含まない比較例1の水性接着剤組成物に比較して優れた接着性能を得ることができることが明らかである。
また、表1から、実施例1〜4の水性接着剤組成物は、充填剤として炭酸カルシウムを30重量%含み、水溶性高分子としてのカルボキシメチルセルロースを固形分で0.2〜1.0重量%の範囲で含むことにより、前記ロジンを塗布したカバ柾目挽板に対し均一に塗布できる塗布性能を備えており、優れた接着性能を得ることができることが明らかである。
本実施例では、まず、ポリ乳酸を50重量%含有するポリ乳酸エマルジョン(第一工業製薬株式会社製、商品名:プラセマL110)10重量部に、水60重量部を添加、混合して、ポリ乳酸を7.1重量%含有するポリ乳酸エマルジョンを調製し、水溶性高分子としてカルボキシメチルセルロース(第一工業製薬株式会社製、商品名:ファインガムHE−600)0.8重量部を加え溶解した。次に、前記ポリ乳酸エマルジョンとカルボキシメチルセルロースとの混合液に、さらに、充填剤として炭酸カルシウム(東洋ファインケミカル株式会社製、商品名:ホワイトンP−30)30重量部、該充填剤の分散剤としてメタリン酸ナトリウム0.5重量部を添加、混合して主剤を調製した。
次に、前記主剤100重量部に対して、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物(A)としてジエチレングリコールジエチルエーテル(化合物A12)5重量部を添加した。
次に、前記主剤100重量部に、硬化剤のイソシアネート化合物として、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートと、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名:スミジュール44V)15重量部を添加、撹拌して、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表2に示す。
本実施例では、まず、ポリ乳酸を50重量%含有するポリ乳酸エマルジョン(第一工業製薬株式会社製、商品名:プラセマL110)20重量部に、水50重量部を添加、混合して、ポリ乳酸を14.3重量%含有するポリ乳酸エマルジョンを調製した。
次に、本実施例で調製したポリ乳酸エマルジョンを用いた以外は、実施例5と全く同一にして得られた水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表2に示す。
本実施例では、まず、ポリ乳酸を50重量%含有するポリ乳酸エマルジョン(第一工業製薬株式会社製、商品名:プラセマL110)40重量部に、水30重量部を添加、混合して、ポリ乳酸を28.6重量%含有するポリ乳酸エマルジョンを調製した。
次に、本実施例で調製したポリ乳酸エマルジョンを用いた以外は、実施例5と全く同一にして得られた水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表2に示す。
本実施例では、まず、ポリ乳酸を50重量%含有するポリ乳酸エマルジョン(第一工業製薬株式会社製、商品名:プラセマL110)60重量部に、水10重量部を添加、混合して、ポリ乳酸を42.8重量%含有するポリ乳酸エマルジョンを調製した。
次に、本実施例で調製したポリ乳酸エマルジョンを用いた以外は、実施例5と全く同一にして得られた水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表2に示す。
Figure 2008050465
表2から、ポリ乳酸を7.1〜42.8重量%の範囲で含むポリ乳酸エマルジョンを用いる実施例5〜8の水性接着剤組成物によれば、優れた接着性能を得ることができることが明らかである。また、表2から、実施例5〜8の水性接着剤組成物は、前記ロジンを塗布したカバ柾目挽板に対し優れた塗布性能を備えていることが明らかである。
本実施例では、まず、ポリ乳酸を50重量%含有するポリ乳酸エマルジョン(第一工業製薬株式会社製、商品名:プラセマL110)40重量部に、水溶性高分子水溶液としてポリビニルアルコール(日本合成化学株式会社製、商品名:ゴーセノールT−330)を15重量%水溶液としたもの30量部、充填剤として炭酸カルシウム(東洋ファインケミカル株式会社製、商品名:ホワイトンP−30)30重量部、該充填剤の分散剤としてメタリン酸ナトリウム0.5重量部を添加、混合して主剤を調製した。
次に、前記主剤100重量部に対して、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物(A)としてジエチレングリコールジエチルエーテル(化合物A2)0.5重量部を添加した。
次に、前記主剤100重量部に、硬化剤のイソシアネート化合物として、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートと、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名:スミジュール44V)15重量部を添加、撹拌して、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表3に示す。
本実施例では、前記主剤100重量部に対するジエチレングリコールジエチルエーテル(化合物A2)の添加量を1重量部とした以外は、実施例9と全く同一にして水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表3に示す。
本実施例では、前記主剤100重量部に対するジエチレングリコールジエチルエーテル(化合物A2)の添加量を2.5重量部とした以外は、実施例9と全く同一にして水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表3に示す。
本実施例では、前記主剤100重量部に対するジエチレングリコールジエチルエーテル(化合物A2)の添加量を5重量部とした以外は、実施例9と全く同一にして水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表3に示す。
本実施例では、前記主剤100重量部に対するジエチレングリコールジエチルエーテル(化合物A2)の添加量を10重量部とした以外は、実施例9と全く同一にして水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表3に示す。
本実施例では、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物(A)として、実施例9で用いたジエチレングリコールジエチルエーテル(化合物A2)に代えて、ジエチレングリコールジブチルエーテル(化合物A3)を用い、前記主剤100重量部に対するジエチレングリコールジブチルエーテル(化合物A3)の添加量を5重量部とした以外は、実施例9と全く同一にして木材用水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表3に示す。
本実施例では、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物(A)として、実施例9で用いたジエチレングリコールジエチルエーテル(化合物A2)に代えて、エチレングリコールベンジルエーテル(化合物A4)を用い、前記主剤100重量部に対するエチレングリコールベンジルエーテル(化合物A4)の添加量を2重量部とした以外は、実施例9と全く同一にして水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表3に示す。
本実施例では、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物(A)として、実施例9で用いたジエチレングリコールジエチルエーテル(化合物A2)に代えて、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(化合物A1)を用い、前記主剤100重量部に対するジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(化合物A1)の添加量を2重量部とした以外は、実施例9と全く同一にして水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表3に示す。
本実施例では、前記主剤100重量部に対するジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(化合物A1)の添加量を5重量部とした以外は、実施例16と全く同一にして水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表3に示す
Figure 2008050465
表3から、前記主剤100重量部に対して、前記一般式(1)で表される構造を有する各種化合物A1〜A4を、0.5〜10重量部の範囲で含む実施例9〜17の水性接着剤組成物によれば、優れた接着性能を得ることができることが明らかである。また、表3から、実施例9〜17の水性接着剤組成物は、前記ロジンを塗布したカバ柾目挽板に対し優れた塗布性能を備えていることが明らかである。
本実施例では、まず、ポリ乳酸を50重量%含有するポリ乳酸エマルジョン(第一工業製薬株式会社製、商品名:プラセマL110)25重量部に、水溶性高分子水溶液としてポリビニルアルコール(日本合成化学株式会社製、商品名:ゴーセノールT−330)を15重量%水溶液としたもの25量部、水性エマルジョンとして固形分50重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(住友化学工業株式会社製、商品名:スミカフレックス400HQ)20重量部、充填剤として炭酸カルシウム(東洋ファインケミカル株式会社製、商品名:ホワイトンP−30)30重量部、該充填剤の分散剤としてメタリン酸ナトリウム0.5重量部を添加、混合して主剤を調製した。
次に、前記主剤100重量部に対して、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物(A)としてジエチレングリコールジエチルエーテル(化合物A2)5重量部を添加した。
次に、前記主剤100重量部に、硬化剤のイソシアネート化合物として、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートと、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名:スミジュール44V)15重量部を添加、撹拌して、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表4に示す。
本実施例では、前記主剤の組成において、ポリ乳酸エマルジョンを20重量部とし、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を25重量部とした以外は、実施例18と全く同一にして水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表4に示す。
本実施例では、前記主剤の組成において、ポリ乳酸エマルジョンを15重量部とし、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を30重量部とした以外は、実施例18と全く同一にして水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表4に示す。
本実施例では、前記主剤の組成において、ポリ乳酸エマルジョンを10重量部とし、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を35重量部とした以外は、実施例18と全く同一にして水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表4に示す。
本実施例では、前記主剤の組成において、ポリ乳酸エマルジョンを5重量部とし、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を40重量部とした以外は、実施例18と全く同一にして水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表4に示す。
Figure 2008050465
表4から、水性高分子として水溶性高分子水溶液と、水性エマルジョンとを、固形分として前記主剤の全量に対して13.75〜23.75重量%の範囲で含む主剤に、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物(A)を混合した水性接着剤組成物によれば、優れた接着性能を得ることができることが明らかである。また、表4から、実施例19〜22の水性接着剤組成物は、前記ロジンを塗布したカバ柾目挽板に対し優れた塗布性能を備えていることが明らかである。
本実施例では、まず、ポリ乳酸を50重量%含有するポリ乳酸エマルジョン(第一工業製薬株式会社製、商品名:プラセマL110)25重量部に、水溶性高分子水溶液としてポリビニルアルコール(日本合成化学株式会社製、商品名:ゴーセノールT−330)を15重量%水溶液としたもの25量部、水性エマルジョンとして固形分50重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(住友化学工業株式会社製、商品名:スミカフレックス400HQ)20重量部、充填剤として炭酸カルシウム(東洋ファインケミカル株式会社製、商品名:ホワイトンP−30)30重量部、該充填剤の分散剤としてメタリン酸ナトリウム0.5重量部を添加、混合して主剤を調製した。
次に、前記主剤100重量部に対して、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物(A)としてジエチレングリコールジブチルエーテル(化合物A3)5重量部を添加した。
次に、前記主剤100重量部に、硬化剤として、オキサゾリン化合物含有高分子のエマルジョン(株式会社日本触媒製、商品名:エポクロスK−2010E)5重量部を添加、撹拌して、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表5に示す。
本実施例では、まず、ポリ乳酸を50重量%含有するポリ乳酸エマルジョン(第一工業製薬株式会社製、商品名:プラセマL110)40重量部に、水溶性高分子水溶液としてポリビニルアルコール(日本合成化学株式会社製、商品名:ゴーセノールT−330)を15重量%水溶液としたもの30量部、充填剤として炭酸カルシウム(東洋ファインケミカル株式会社製、商品名:ホワイトンP−30)30重量部、該充填剤の分散剤としてメタリン酸ナトリウム0.5重量部を添加、混合して主剤を調製した。
次に、前記主剤100重量部に対して、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物(A)としてジエチレングリコールジブチルエーテル(化合物A3)5重量部を添加した。
次に、前記主剤100重量部に、硬化剤として、ポリアミドとエピクロルヒドリンとの混合物(星光PMC株式会社製、商品名:WS4020)10重量部を添加、撹拌して、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表5に示す。
本実施例では、まず、ポリ乳酸を50重量%含有するポリ乳酸エマルジョン(第一工業製薬株式会社製、商品名:プラセマL110)40重量部に、水溶性高分子水溶液としてポリビニルアルコール(日本合成化学株式会社製、商品名:ゴーセノールT−330)を15重量%水溶液としたもの30量部、充填剤として炭酸カルシウム(東洋ファインケミカル株式会社製、商品名:ホワイトンP−30)30重量部、該充填剤の分散剤としてメタリン酸ナトリウム0.5重量部を添加、混合して主剤を調製した。
次に、前記主剤100重量部に対して、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物(A)としてジエチレングリコールジブチルエーテル(化合物A3)5重量部を添加した。
次に、前記主剤100重量部に、硬化剤として、第3級アミノ窒素原子を有する4官能エポキシ化合物であるN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(三菱ガス化学株式会社製、商品名:TETRAD−X)20重量部を添加、撹拌して、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表5に示す。
本実施例では、まず、ポリ乳酸を50重量%含有するポリ乳酸エマルジョン(第一工業製薬株式会社製、商品名:プラセマL110)25重量部に、水性エマルジョンとして固形分50重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(住友化学工業株式会社製、商品名:スミカフレックス456HQ)40重量部、充填剤として炭酸カルシウム(東洋ファインケミカル株式会社製、商品名:ホワイトンP−30)30重量部、該充填剤の分散剤としてメタリン酸ナトリウム0.5重量部を添加、混合して主剤を調製した。
次に、前記主剤100重量部に対して、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物(A)としてジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(化合物A1)5重量部を添加した。
次に、前記主剤100重量部に、硬化剤のイソシアネート化合物として、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートと、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物(住化バイエルウレタン株式会社製、商品名:スミジュール44V)15重量部、硬化剤のポリアミドとエピクロルヒドリンとの混合物(星光PMC株式会社製、商品名:WS4020)5重量部を添加、撹拌して、水性接着剤組成物を調製、製糊した。
次に、本実施例で得られた水性接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして、接着性能と塗布性能とを試験した。結果を表5に示す。
Figure 2008050465
表5から、硬化剤として、ポリアミドとエピクロルヒドリンとの混合物(実施例23)、オキサゾリン基含有エマルジョン(実施例24)、第3級アミノ窒素原子を有する4官能エポキシ化合物(実施例25)、ポリアミドとエピクロルヒドリンとの混合物とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物であるイソシアネート化合物との2種混合物(実施例26)を5〜20重量部の範囲で含む実施例23〜26の水性接着剤組成物によれば、優れた接着性能を得ることができることが明らかである。また、表5から、実施例23〜26の水性接着剤組成物は、前記ロジンを塗布したカバ柾目挽板に対し優れた塗布性能を備えていることが明らかである。

Claims (8)

  1. ポリ乳酸エマルジョンと、水性高分子と、充填剤とを含む主剤と、
    硬化剤と、
    一般式(1)で表される構造を有する化合物(A)とを含むことを特徴とする水性接着剤組成物。
    Figure 2008050465
  2. 前記ポリ乳酸エマルジョンは、前記主剤の全量に対して5〜70重量%の範囲で含まれることを特徴とする請求項1記載の水性接着剤組成物。
  3. 前記水性高分子は、固形分として前記主剤の全量に対して0.2〜30重量%の範囲で含まれることを特徴とする請求項1または請求項2記載の水性接着剤組成物。
  4. 前記充填剤は、前記主剤の全量に対して5〜55重量%の範囲で含まれることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の水性接着剤組成物。
  5. 前記硬化剤は、前記主剤100重量部に対して、2〜30重量部の範囲で含まれることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の水性接着剤組成物。
  6. 前記一般式(1)で表される構造を有する化合物(A)は、前記主剤100重量部に対して、0.2〜20重量部の範囲で含まれることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の水性接着剤組成物。
  7. 前記ポリ乳酸エマルジョンは、ポリ乳酸を5〜70重量%の範囲で含むことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の水性接着剤組成物。
  8. 前記水性高分子は、水溶性高分子、水溶性高分子水溶液、水性ラテックス、水性エマルジョンからなる群から選択される少なくとも1種の高分子であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の水性接着剤組成物。
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