JP2004329394A - ミシンの送り装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】種々の縫製状況や作業者の熟練度・好みに応じて送り量を自在に調整することができ、操作性に優れたミシンの送り装置を提供する。
【解決手段】送り歯11を揺動させて布地に接離せしめることにより布地を所定方向に搬送する送り伝動機構20と、送り伝動機構20の送り量を変更する角駒30と、角駒30を駆動するステッピングモータ50と、送り量を変更させるようにステッピングモータ50の駆動量を制御するCPU80と、を備えたミシンの送り装置において、所定の操作可能範囲Saを有する操作レバー6と、操作レバー6の操作量を検出するポテンショメータ70と、操作レバー6の操作量と送り量との対応関係を設定する送り量設定プログラム110と、を備える。CPU80は、送り量設定プログラム110で設定された対応関係に基づいて、操作レバー6の操作量に対応させて送り量を変更させるようにステッピングモータ50の駆動量を制御する。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミシンの送り装置に関し、特に、自在な送り量制御を可能にして優れた操作性を有するミシンの送り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のミシンには、所定の縫製作業を行う際に被縫製物(布地)を所定の方向に送る送り装置が設けられている。近年においては、被縫製物を送る送り歯の移動軌跡を変更させる送り調節機構を備えた布送り装置が提案され、実用化されている(例えば、特許文献1参照。)。このような送り調節機構は、ソレノイドや角駒によって送り歯の移動軌跡を変更することにより、送り量を変更するものである。
【0003】
前記した送り調節機構に備えられる角駒は、その傾斜角度の変更により送り量を変更するように機能する。従来は、角駒の傾斜角度を変更するために、角駒にステッピングモータを接続していた。そして、ミシン頭部に設けた操作パネルのスイッチを操作して送り量の上限値(例えば5mm)及び下限値(例えば−4mm)を設定し、ミシンの制御部がステッピングモータを駆動制御して角駒の傾斜角度を変更することにより、前記した設定範囲内で送り量を自動的に変更するようにしていた。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−248389号公報(第1頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記した従来の送り装置においては、操作パネルのスイッチの操作による設定範囲内(上限値と下限値との間)で送り量が自動的に変更されてしまうため、種々の縫製状況や作業者の熟練度・好みに応じて送り量を微調整することができなかった。
【0006】
本発明の課題は、種々の縫製状況や作業者の熟練度・好みに応じて、送り量を自在に調整することができ、操作性に優れたミシンの送り装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、請求項1記載の発明は、例えば図3〜図7及び図9に示すように、
送り歯(11)を揺動させて被縫製物に接離せしめることにより、前記被縫製物を所定方向に搬送する送り手段(送り伝動機構20)と、
前記送り手段の送り量を変更する送り量調整手段(角駒30)と、
前記送り量調整手段を駆動して前記送り量を変更させる駆動手段(ステッピングモータ50)と、
前記送り量を変更させるように前記駆動手段の駆動量を制御する制御手段(CPU80)と、を備えたミシンの送り装置において、
所定の操作可能範囲(Sa)を有する操作手段(操作レバー6)と、
前記操作手段の操作量を検出する操作量検出手段(ポテンショメータ70)と、
前記操作手段の操作量と前記送り量との対応関係を設定する送り量設定手段(送り量設定プログラム110)と、を備え、
前記制御手段は、
前記送り量設定手段で設定された対応関係に基づいて、前記操作手段の操作量に対応させて送り量を変更させるように駆動手段の駆動量を制御することを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、所定の操作可能範囲を有する操作手段と、この操作手段の操作量を検出する操作量検出手段と、この操作量検出手段により検出された操作手段の操作量と送り量との対応関係を設定する送り量設定手段と、を備えている。そして、制御手段は、送り量設定手段で設定された対応関係に従って、操作手段の操作量に対応させて送り量を変更させるように駆動手段の駆動量を制御する。すなわち、送り量設定手段で操作量と送り量との対応関係を自在に設定することにより、操作手段の操作に対応する送り量の変化の態様を自在に設定することができる。この結果、種々の縫製状況や作業者の熟練度・好みに応じて送り量を自在に調整することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミシンの送り装置において、例えば図1、図6及び図9に示すように、
前記送り量の少なくとも上限値(Pu)及び下限値(Pd)を設定する調整幅設定手段(操作スイッチ8a)を備え、
前記送り量設定手段は、
前記上限値及び前記下限値を前記操作手段の操作可能範囲(Sa)の両端に対応させるように設定することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、送り量の少なくとも上限値及び下限値を設定する調整幅設定手段を備えている。そして、送り量設定手段は、設定された送り量の上限値及び下限値が操作手段の操作可能範囲の両端に対応するように設定する。従って、操作手段の操作開始と同時に送り量を変更させることができるため操作性に優れ、作業者が初心者である場合においても、送り量を変更させるための操作が把握し易いという利点がある。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1に記載のミシンの送り装置において、例えば図1、図6及び図11に示すように、
前記送り量の少なくとも上限値(Pu)及び下限値(Pd)を設定する調整幅設定手段(操作スイッチ8a)を備え、
前記送り量設定手段は、
前記操作手段の操作量と前記送り量との対応関係に係る初期設定を有するとともに、前記操作手段の操作量が、前記上限値に対応する操作量(Su)と前記下限値に対応する操作量(Sd)との間の範囲(有効操作範囲Se)内にある場合に前記初期設定を有効にする一方、前記操作手段の操作量が前記有効操作範囲(Se)外にある場合に前記初期設定を無効にして前記送り量を前記上限値又は前記下限値に設定することを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、送り量の少なくとも上限値及び下限値を設定する調整幅設定手段を備えている。そして、送り量設定手段は、操作手段の操作量と送り量との対応関係に係る初期設定を有しており、操作手段の操作量が有効操作範囲(初期設定において上限値に対応する操作量と下限値に対応する操作量との間の範囲)内にある場合に初期設定を有効にする。一方、送り量設定手段は、操作手段の操作量が有効操作範囲外にある場合に初期設定を無効にして送り量を上限値又は下限値に設定する。
【0013】
従って、例えば、操作レバーと角駒とを機械的に連結して構成した従来の機械式送り調節機構における設定を送り量設定手段の初期設定として採用することができる。そして、送り量設定手段により、操作手段の操作位置が有効領域外にある場合に送り量が変化しないようにすることができる。このため、上限値及び下限値を所望の値に設定することにより「あそび」(不感帯)を自在に設定することができ、「あそび」の量を適切に設定することにより、従来の機械式送り調節機構と同様の操作感覚で操作することができる。この結果、従来の機械式送り調節機構の操作に熟練した作業者も好適に使用することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のミシンの送り装置において、例えば図1に示すように、
送り量の少なくとも上限値(Pu)及び下限値(Pd)を設定する調整幅設定手段(操作スイッチ8a)を備え、
前記送り量設定手段は、
前記操作手段の操作量と前記送り量との対応関係に係る初期設定を有するとともに、前記上限値及び前記下限値が前記操作手段の操作可能範囲の両端に対応するように設定する第1設定パターンと、前記操作手段の操作量が、前記上限値に対応する操作量(Su)と前記下限値に対応する操作量(Sd)との間の範囲(有効操作範囲Se)内にある場合に前記初期設定を有効にする一方、前記操作手段の操作量が前記有効操作範囲(Se)外にある場合に前記初期設定を無効にして前記送り量を前記上限値又は前記下限値に設定する第2設定パターンと、の双方を実現可能とし、
前記第1設定パターンと前記第2設定パターンとの何れか一方を選択する選択手段(操作スイッチ8a)を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、送り量の少なくとも上限値及び下限値を設定する調整幅設定手段を備えている。そして、送り量設定手段は、操作手段の操作位置と送り量との対応関係に係る初期設定を有するとともに、設定された送り量の上限値及び下限値が操作手段の操作可能範囲の両端に対応するように設定する第1設定パターンと、操作手段の操作量が有効操作範囲内にある場合に初期設定を有効にする一方、操作手段の操作量が有効操作範囲外にある場合に初期設定を無効にして送り量を上限値又は下限値に設定する第2設定パターンと、の双方を実現可能としている。さらに、送り量設定手段により実現可能な第1設定パターンと第2設定パターンとの何れか一方を選択する選択手段を備えている。
【0016】
従って、種々の縫製状況や作業者の熟練度・好みに応じて送り量を自在に調整することができる。例えば、作業者が初心者である場合には、選択手段により第1設定パターンを選択することができ、作業者が従来の機械式送り調節機構の操作に熟練した者である場合には、選択手段により第2設定パターンを選択することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか一項に記載のミシンの送り装置において、
主軸モータ(4)の回転速度を検出する速度検出手段(4a)と、
前記速度検出手段により検出された前記主軸モータの回転速度が所定の上限速度を超える場合に、前記送り量の変更動作の禁止又は主軸モータの減速を実現させる制限手段(CPU80、第1制限プログラム120)と、
を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、速度検出手段により検出された主軸モータの回転速度が所定の上限速度を超える場合に、制限手段により、送り量の変更動作の禁止又は主軸モータの減速を実現させることができる。従って、主軸モータの回転速度が所定の上限速度を超えているときに作業者が誤って操作手段を操作した場合においても、送り量の変更動作を禁止するか主軸モータを減速させることができる。この結果、ミシンの脱調を未然に防止することができ、安定的な縫製作業を実現させることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5の何れか一項に記載のミシンの送り装置において、
主軸の回転角度を検出する角度検出手段(9)と、
前記角度検出手段により検出された前記主軸の回転角度が所定の角度領域内にある場合に、前記送り量の変更動作の禁止する送り量変更禁止手段(CPU80、第2制限プログラム130)と、を備えることを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、角度検出手段により検出された主軸の回転角度が所定の角度領域内にある場合に、送り量変更禁止手段により、送り量の変更動作の禁止することができる。従って、主軸の回転角度が所定の角度領域(例えば、針を被縫製物に刺さる位置まで下降させる角度の前後領域)内にあるときに作業者が操作手段を操作した場合においても、送り量の変更動作を禁止することができる。この場合には、針が下降した状態における送り量の変更を禁止することができるので、針の折損や曲がりを未然に防止することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
本実施の形態に係るミシンは、図1に示すように、ミシン脚卓Z上に載置され、上面に針板が設けられたベッド部1(破線)と、ベッド部1の上方においてベッド部1と略平行に延在するアーム部2、アーム部2の前端部から下方に延出して上下動自在な針棒3、図示していない上軸(主軸)及びクランク機構を介して針棒3を上下動させる主軸モータ4、ベッド部1上に載置された布地を送る布送り装置、ミシン全体の動作を統合制御する制御装置5、布送り装置を操作するための手動操作可能な返し縫い用(止め縫い用)の操作レバー6、踏込み量によって主軸モータ4の回転速度を調節する操作ペダル7、送り装置の送り量の上限値や下限値等の設定を行うための各種スイッチを有する操作パネル8、等を備えて構成されている。このミシンは、針棒3の先端に装着された針を主軸モータ4で上下動させながら送り装置により布地を所定の方向に送ることで、布地に縫い目を施すものである。
【0023】
まず、図2〜図5を用いて、本実施の形態に係る送り装置の機械的構成について説明する。送り装置は、下軸10、下軸10の回転運動を送り歯11に伝動する送り伝動機構20、送り歯11の送り量を変更する角駒30、角駒30を嵌め込む送り調節軸40、送り量設定用の駆動モータであるステッピングモータ50等を備えている。送り伝動機構20は本発明における送り手段であり、角駒30は本発明における送り量調整手段であり、ステッピングモータ50は本発明における駆動手段である。
【0024】
図2は図1のII−II部分の断面におけるベッド部1の断面図であり、ベッド部1の内部を図1における紙面下側から見た状態を示している。ベッド部1内には、図2に示すように、前後方向に延在する軸心を中心に回転自在とされた下軸10が取り付けられている。下軸10は、図示されていないリンク機構を介して主軸モータ4の駆動取出軸に連結されている。このため、主軸モータ4が駆動されると、リンク機構を介して下軸10も回転するように構成されている。
【0025】
下軸10の前側端部には、図示していない布押え足の下方に配置されるとともに針板に対して出没可能に設けられ、布を送るための送り歯11が取り付けられている。下軸10の後方には、下軸10の回転運動を送り歯11に伝達して送り歯11を駆動する送り伝動機構20が取り付けられている。
【0026】
図3は、図2のIII−III部分の断面図であり、ベッド部1の上側を紙面上側に配置した状態を示している。送り伝動機構20は、水平送りカム21、水平送りロッド22、水平送り連結桿23、水平送り腕24、水平送り軸25、送り台腕26、送り台27、上下送りリンク28等を備えている。
【0027】
水平送りカム21は、下軸10に対して偏心した偏心カムを有しており、この偏心カムは、ベアリングを介して回転自在に水平送りロッド22の上側端部に連結している。水平送りロッド22の下側端部は、回転自在に水平送り連結桿23の左右中間部に連結している。
【0028】
水平送り連結桿23の右側端部は、水平送り腕24の下側端部に回転自在に連結されている。水平送り腕24の上側端部は水平送り軸25の後側端部に固定されている。水平送り軸25は、前後方向の軸心を中心に回転自在とされた状態でベッド部1に取り付けられており、水平送り軸25の前側端部は、送り台腕26の下側端部に固定されている。送り台腕26の上側端部は、送り台27の右側端部に回転自在に連結されている。
【0029】
送り台27上には送り歯11が固定されている。送り台27の左側端部は、上下送りリンク28の上側端部に回転自在に連結されている。上下送りリンク28の下側端部は下軸10の前側端部に回転自在に連結されている。一方、水平送り連結桿23の左側端部には角駒30が連結されている。
【0030】
角駒30は、所定の基準位置に対する傾斜角度(回動角度)を変更することによって送り歯11の移動軌跡を変更して送り量を変更するという機能を果たすものである。角駒30は、送り調節軸40の前後中間部に形成された溝40aに嵌め込まれており、所定の基準位置から一定角度の回動が可能とされており、所定の送り調節蓋によって、溝40aから抜けないように構成されている。
【0031】
図4は、図2に示したベッド部1に備えられたステッピングモータ50の近傍部分を矢印IVの方向から見た場合の一部透視図であり、ベッド部1の上側を紙面上側に配置した状態を示している。送り調節軸40は、前後方向の軸心を中心にして回転自在にベッド部1に取り付けられている。送り調節軸40の後側端部には、第1送り調節リンク41の上側端部が固定されている。第1送り調節リンク41の下側端部は、第2送り調節リンク42の左側端部に回転自在に連結されている。第2送り調節リンク42の右側端部は、第3送り調節リンク43の上側端部に回転自在に連結されている。第3送り調節リンク43の下側端部は、ステッピングモータ50の駆動取出軸51に固定されている。
【0032】
図5は、図1のアーム部2を矢印Vの方向から見た場合の一部透視図であり、図5(a)は布送り装置の操作レバー6を操作する前の状態(非操作状態)を、図5(b)は図5(a)の状態から操作レバー6を下方に押し下げた状態を、各々示している。
【0033】
操作レバー6は、本発明における操作手段であり、アーム部2に軸部材6aで回動可能に取り付けられている。軸部材6aには、操作レバー6とともに回動する第1連結部材6bが回動可能に取り付けられており、この第1連結部材6bは付勢手段であるコイルスプリング60によって下方に付勢されている。このため、操作レバー6は上方に回動するように付勢されているが、上方当接部6cによって上方への回動が阻止されている。また、アーム部2内には、操作レバー6の操作量(下方への押し下げ量)を規制するための下方当接部6dが設けられている。
【0034】
軸部材6aには、操作レバー6および第1連結部材6bとともに回動する第2連結部材6eが回動可能に取り付けられており、この第2連結部材6eの上方端部には、第3連結部材6fの上方端部が回動自在に連結されている。第3連結部材6fの下方端部には、その回動位置を検出するポテンショメータ70が接続されている。
【0035】
操作レバー6を下方に押し下げて、第2、第3連結部材6e、6fを順次図5における反時計周りに回動させると、第3連結部材6eの回動位置がポテンショメータ70によって検出される。この結果、操作レバー6の操作量がポテンショメータ70によって間接的に検出されることとなる。
【0036】
ポテンショメータ70は、このように検出された操作レバー6の操作量を所定の電気信号である操作信号に変換し、後述するCPU80に出力する。この際の操作信号は、操作レバー6の操作量の増加に伴って送り量を「負方向」に変更するものである。すなわち、ポテンショメータ70は、本発明における操作量検出手段である。
【0037】
なお、送り量を「負方向」に変更するとは、送り歯11が正送り運動を行う状態から逆送り運動を行う方向へと漸次送り量を変更することを意味する。すなわち、本実施の形態においては、操作レバー6が図5(a)に示した初期状態(非操作状態)にあるときには、送り歯11が正送り運動を行うようにあらかじめ設定されている。そして、操作レバー6を下方に押し下げるに従って送り歯11の正送り運動の送り量の絶対値が漸次減少し、送り量ゼロの状態を経て逆送り運動の送り量の絶対値が漸次増加する方向へ向かうように構成されている。
【0038】
次に、送り装置の機械的動作について説明する。ミシンのペダル7を踏み込んで主軸モータ4を駆動することによって下軸10を回転させると、この下軸10の回転運動が水平送りカム21、水平送りロッド22、水平送り連結桿23および水平送り腕24を介して水平送り軸25に伝達され、水平送り軸25が往復回動運動を行う。そして、水平送り軸25の往復回動運動が送り台腕26および送り台27を介して送り歯11に伝達され、送り歯11の左右方向の往復運動が実現することとなる。
【0039】
一方、下軸10の回転運動が上下送りリンク28を介して送り台27に伝達されることによって、送り台27上に固定された送り歯11の上下方向の往復運動が実現することとなる。
【0040】
この結果、送り歯11は、左右方向の往復運動と上下方向の往復運動との合成により円ないし楕円運動を行うことで、布押え足によって上方から押えられた布地を所定の方向に送る布送り運動を行う。
【0041】
ここで、送り歯11が、針板から上方へ突出している間に図3において左から右へ移動するように円ないし楕円運動を行うと、布押え足に押えられた布は正送りされる。一方、送り歯11が、針板から上方へ突出している間に図3において右から左へ移動するように円ないし楕円運動を行うと、布押え足に押えられた布は逆送りされる。
【0042】
送り歯11の正送りと逆送りの変換は、下軸10の回転位相に対する水平送り軸25の回動位相を変更することで行われるが、下軸10の回転位相や水平送り軸25の回動位相の変更は角駒30の傾斜角度(所定の基準位置に対する回動角度)が変更されることで実現される。すなわち、角駒30が図3に示した初期位置からA方向へ回動した場合には、送り歯11が正送りの運動を行い、角駒30が図3に示した初期位置からB方向へ回動した場合には、送り歯11が逆送りの運動を行う。
【0043】
また、送り歯11が正送りする場合でも逆送りする場合でも、送り歯11の運動軌跡は前記したように円形状ないし楕円形状であるが、左右方向の径が変更されることで、送り量が変更される。すなわち、下軸10一回転当たりの水平送り軸25を支点とした送り台腕26の回動角度の範囲が変更されることで、送り台27および送り歯11の運動軌跡における左右方向の径が変更され、これにより、送り量が変更される。具体的には、角駒30の回動角度が大きくなるにつれて下軸10一回転当たりの正逆送り量が大きくなる。
【0044】
以上のように角駒30の傾斜角度(所定の基準位置からの回動角度)が変更されることによって、送り歯11の送り方向や送り量の変更を行うことができる。角駒30の傾斜角度の変更は、ステッピングモータ50によって行われる。
【0045】
すなわち、操作レバー6を操作することによって図4に示したステッピングモータ50を作動させ、駆動取出軸51を図4における時計回りに回転させると、第3、第2、第1送り調節リンク43、42、41を順次介して、送り調節軸40がA方向に回動する。一方、駆動取出軸51が反時計回りに回転すると、第3、第2、第1送り調節リンク43、42、41を順次介して、送り調節軸40がB方向に回動する。このように、ステッピングモータ50が第3、第2、第1送り調節リンク43、42、41を介して送り調節軸40を回動させることにより、角駒30の傾斜角度を変更して、送り歯11の送り方向や送り量を変更することができる。
【0046】
次いで、本実施の形態に係る送り装置の電気的な構成について、図6及び図7を用いて説明する。
【0047】
制御装置5は、図6に示すように、CPU(Central Processing Unit)80、RAM(Random Access Memory)90、ROM(Read Only Memory)100等を備えており、ROM100に格納された各種制御プログラムに基づいてミシン全体の動作を統合制御するという機能を果たす。
【0048】
制御装置5は、図示していない入力インターフェースを介して操作レバー6、操作ペダル7、操作パネル8等と電気的に接続されている。操作レバー6の操作量は、ポテンショメータ70によって間接的に検出されて電気的な指令信号に変換された上でCPU80に伝送される。また、操作ペダル7の操作量も電気的な指令信号に変換された上でCPU80に伝送され、操作パネル8に設けられた各種操作スイッチ8aの押下操作に伴う設定信号もCPU80に伝送される。
【0049】
操作ペダル7の操作量に係る指令信号を受けたCPU80は、図示していない駆動回路を介して主軸モータ4を駆動し、上軸を回転駆動して針棒3を上下動させ、所定の縫製作業を行う。この際、速度検出手段4aによって検出された主軸モータ4の回転速度に係る信号と、角度検出手段9によって検出された主軸の回転角度に係る信号と、がCPU80に伝送される。
【0050】
また、CPU80は、操作レバー6の操作量に係る指令信号や、操作パネル8による各種設定信号に基づいて、図示していない駆動回路を介してステッピングモータ50を駆動してその回転位置を制御する。CPU80によってステッピングモータ50が回転駆動されることにより、第3、第2、第1送り調節リンク43、42、41を順次介して角駒30の傾斜角度が変更し、送り歯11の送り量が変更することとなる。
【0051】
ROM100には、図7に示すように送り量設定プログラム110が記録されている。この送り量設定プログラム110には、操作レバー6の操作量と送り量との対応関係が設定されている。CPU80は、送り量設定プログラム110で設定された対応関係に基づいて、操作レバー6の操作位置に対応させて送り量を変更させるようにステッピングモータ50の駆動量を制御する。すなわち、CPU80は、本発明における制御手段である。
【0052】
なお、本実施の形態においては、操作レバー6の操作量と送り量との対応関係に係る初期設定(デフォルト)として、従来の機械式送り伝動機構と同様の設定を採用している。すなわち、送り量の上限値を5mm、下限値を−4mmに設定し、送り量の上限値(5mm)と操作レバー6の非操作位置(図5(a)参照)とを対応させるとともに、送り量の下限値(−4mm)と操作レバー6の最大操作位置(図5(b)参照)とを対応させている。
【0053】
また、送り量設定プログラム110は、操作スイッチ8aにより設定された送り量の上限値及び下限値が操作レバー6の操作可能範囲の両端に対応するように設定する「第1設定パターン」を実現させることができる。CPU80は、操作スイッチ8aにより送り量の上限値及び下限値を設定し、送り量設定プログラム110を実行することにより、この第1設定パターンに従って送り量を調整することができる。
【0054】
また、送り量設定プログラム110は、操作レバー6の操作量が、操作スイッチ8aにより設定された送り量の上限値に対応する操作量と下限値に対応する操作量との間の範囲(有効操作範囲)内にある場合に、前記した初期設定(デフォルト)を有効にする一方、操作レバー6の操作量が有効操作範囲外にある場合に、初期設定を無効にして送り量を上限値又は下限値に設定する「第2設定パターン」を実現させることができる。CPU80は、操作スイッチ8aにより送り量の上限値及び下限値を設定し、送り量設定プログラム110を実行することにより、この第2設定パターンに従って送り量を調整することもできる。
【0055】
なお、これら第1設定パターン及び第2設定パターンの制御動作については、後に詳述することとする。
【0056】
また、ROM100には、図7に示すように、速度検出手段4aにより検出された主軸モータ4の回転速度が所定の上限速度を超える場合に、送り量の変更動作を禁止する第1制限プログラム120が記録されている。CPU80が第1制限プログラム120を実行すると、主軸モータ4の回転速度が所定の上限速度を超える場合に、操作レバー6の操作量にかかわらず送り量の変更動作が自動的に禁止される。すなわち、CPU80及び第1制限プログラム120は、本発明における制限手段である。なお、本実施の形態においては、所定の上限速度を「3000rpm」としている。
【0057】
また、ROM100には、図7に示すように、角度検出手段9により検出された主軸の回転角度が所定の角度領域内にある場合に、送り量の変更動作の禁止を指令するための第2制限プログラム130が記録されている。CPU80が第2制限プログラム120を実行すると、主軸の回転角度が所定の領域を超える場合に、操作レバー6の操作位置にかかわらず送り量の変更動作が自動的に禁止される。すなわち、CPU80及び第2制限プログラム130は、本発明における送り量変更禁止手段である。
【0058】
なお、本実施の形態においては、第2制限プログラム130が送り量の変更動作を禁止する「所定の角度領域」を「70°以上110°以下」に設定している。かかる領域は、針を被縫製物に刺さる位置まで下降させるときの角度(約100°)の前後領域である。
【0059】
操作パネル8に設けられた操作スイッチ8aは、その押下操作によって、送り量の上限値及び下限値を設定することができる。すなわち、操作スイッチ8aは、本発明における調整幅設定手段である。また、操作スイッチ8aは、その押下操作によって、前記した送り量設定プログラムの第1設定パターンと第2設定パターンとの何れか一方を選択することができる。すなわち、操作スイッチ8aは、本発明における選択手段としても機能する。
【0060】
続いて、本実施の形態に係る送り装置の制御動作について、図8〜図11のフローチャート及びグラフを用いて説明する。
【0061】
<第1設定パターンに係る制御動作>
最初に、操作パネル8の操作スイッチ8aにより設定された送り量の上限値及び下限値が操作レバー6の操作可能範囲の両端に対応するように設定する「第1設定パターン」に係る制御動作について、図8のフローチャート及び図9のグラフを用いて説明する。なお、図9においては、縦軸に送り歯11の送り量(mm)を、横軸に操作レバー6の操作量を、各々とっている。
【0062】
まず、ミシンの電源スイッチを投入して制御装置5を起動する。次いで、操作パネル8の操作スイッチ8aを操作して、所望の送り量の上限値Pu及び下限値Pdを設定する(制限値設定工程:S1)。次いで、制御装置5のCPU80は、操作スイッチ8aにより設定された上限値Pu及び下限値Pdを読み込む(制限値読込工程:S2)。
【0063】
次いで、作業者が「第1設定パターン」を選択するために操作パネル8の操作スイッチ8aを操作すると、CPU80は、ROM100内の送り量設定プログラム110を起動させ、送り量設定プログラム110内の「第1設定パターン」を実行する(第1設定パターン選択工程:S3)。
【0064】
送り量設定プログラム110内の「第1設定パターン」が実行されると、制限値読込工程S2で読み込まれた上限値Pu及び下限値Pdが、操作レバー6の操作可能範囲(全ストローク)Saの両端に対応するように設定される(相対値設定工程:S4)。
【0065】
次いで、作業者が操作レバー6を操作すると、操作レバー6の操作量がポテンショメータ70により間接的に検出される。CPU80は、ポテンショメータ70により検出された操作レバー6の操作量に係る操作信号を読み込み(操作量読込工程:S5)、操作量Sbに対応する送り量(以下、「対応送り量」という)Paを算出する(対応送り量算出工程:S6)。
【0066】
なお、対応送り量算出工程S6におけるPaの算出式は、以下のように定めることができる。
Pa=Pu−(Pu−Pd)Sb/Sa
例えば、Pu=4、Pd=0、Sa=8、Sb=4と設定した場合には、対応送り量Pa=2と算出されることとなる(図9(a)参照)。また、Pu=3、Pd=−3、Sa=6、Sb=2と設定した場合には、対応送り量Pa=1と算出される(図9(b)参照)。
【0067】
対応送りピッチ算出工程S5を経た後、CPU80は、ステッピングモータ50を駆動して、ステッピングモータ50の回転位置を対応送り量Paに対応する回転位置に設定して制御動作を終了する(対応送り量設定工程:S7)。
【0068】
<第2設定パターンに係る制御動作>
次に、操作レバー6の操作量が有効操作範囲Se内にある場合に初期設定を有効にする一方、操作レバー6の操作位置が有効領域Se外にある場合に初期設定を無効にして送り量を上限値又は下限値に設定する「第2設定パターン」に係る制御動作について、図10のフローチャート及び図11のグラフを用いて説明する。なお、図11においては、縦軸に送り歯11の送り量(mm)を、横軸に操作レバー6の操作量を、各々とっている。また、「有効操作範囲Se」とは、送り量の上限値Puに対応する操作量Suと、下限値Pdに対応する操作量Sdと、の間の範囲(図11参照)を意味する。
【0069】
まず、ミシンの電源スイッチを投入して制御装置5を起動する。次いで、操作パネル8の操作スイッチ8aを操作して、所望の送り量の上限値Pu及び下限値Pdを設定する(制限値設定工程:S11)。次いで、制御装置5のCPU80は、操作スイッチ8aにより設定された上限値Pu(例えば4mm)及び下限値Pd(例えば0mm)を読み込む(制限値読込工程:S12)。
【0070】
次いで、作業者が「第2設定パターン」を選択するために操作パネル8の操作スイッチ8aを操作すると、CPU80は、ROM100内の送り量設定プログラム110を起動させ、送り量設定プログラム110内の「第2設定パターン」を実行する(第2設定パターン選択工程:S13)。
【0071】
送り量設定プログラム110内の「第2設定パターン」が実行されると、初期設定(デフォルト)に係る制御動作が可能になる(初期設定工程:S14)。すなわち、有効操作範囲Se内では初期設定に従って、操作レバー6の操作量に対応する対応送り量Paが算出される。初期設定では、操作レバー6が非操作状態(図5(a)参照)にある時の送り量(初期上限値Ph:5mm)と、最大操作状態(図5(b)参照)にある時の送り量(初期下限値Pl:−4mm)と、を用いて線形演算によって任意の操作位置における送り量を求めることとしている(図11参照)。
【0072】
次いで、作業者が操作レバー6を操作すると、操作レバー6の操作量がポテンショメータ70により間接的に検出される。CPU80は、ポテンショメータ70により検出された操作レバー6の操作量Sbに係る操作信号を読み込み(操作量読込工程:S15)、操作量Sbに対応する送り量(対応送り量)Paを算出する(対応送り量算出工程:S16)。
【0073】
次いで、CPU80は、対応送り量算出工程S16で算出された対応送り量Paが、上限値Pu以上であるか否かを判定する(第1次送り量判定工程:S17)。第1次送り量判定工程S17において対応送り量Paが上限値Pu以上であると判定された場合には、CPU80は、ステッピングモータ50の回転位置を上限値Puに対応する回転位置に維持する(上限値設定工程:S18)。その後、制御動作を終了する。
【0074】
一方、第1次送り量判定工程S17において対応送り量Paが上限値Puより小さいと判定された場合には、CPU80は、対応送り量Paが下限値Pd以上であるか否かを判定する(第2次送り量判定工程:S19)。
【0075】
第2次送り量判定工程S19において対応送り量Paが下限値Pd以上であると判定された場合には、CPU80は、ステッピングモータ50を駆動して、ステッピングモータ50の回転位置を対応送り量Paに対応する回転位置に設定する(対応送り量設定工程:S20)。その後、制御動作を終了する。
【0076】
一方、第2次送り量判定工程S19において対応送り量Paが下限値Pdより小さいと判定された場合には、CPU80は、ステッピングモータ50の回転位置を下限値Pdに対応する回転位置に設定する(下限値設定工程:S21)。その後、制御動作を終了する。
【0077】
すなわち、第2設定パターンにおいては、操作レバー6の操作量が有効操作範囲Se内にある場合に、初期設定どおりの制御がなされる。一方、操作レバー6の操作量が有効操作範囲Se外にある場合には、初期設定が無効にされて送り量が上限値Pu(4mm)又は下限値Pd(0mm)に設定されることとなる。
【0078】
<第1制限制御動作>
続いて、ROM100内の第1制限プログラム120の実行による制御動作(第1制限制御動作)について説明する。
【0079】
まず、ミシンの電源スイッチを投入し、操作ペダル7を踏み込んで主軸モータ4を駆動させ、上軸やクランク機構を介して針棒3を上下動させて所定の縫製動作を行う。そして、CPU80は、速度検出手段4aによって検出された主軸モータ4の回転速度を読み込む。次いで、CPU80は、ROM100に記録された第1制限プログラム120を起動させ、読み込まれた回転速度が所定の上限速度(3000rpm)以下であるか否かを判別する。
【0080】
主軸モータ4の回転速度が所定の上限速度以下であると判別された場合には、CPU80は、操作レバー6の操作を有効としてステッピングモータ50を駆動して送り量を変更する。一方、主軸モータ4の回転速度が所定の上限速度を超えると判別された場合には、CPU80は、操作レバー6の操作を無効とし、ステッピングモータ50の駆動を行わずに制御動作を終了する。すなわち、主軸モータ4の回転速度が所定の上限速度を超えると判別された場合には、送り量の変更動作を禁止する。
【0081】
なお、第1制限プログラム120を書き換えることにより、主軸モータ4の回転速度が所定の上限速度を超えると判別された場合に、主軸モータ4が自動的に所定の上限速度以下まで減速されるように制御することもできる。
【0082】
<第2制限制御動作>
続いて、ROM100内の第2制限プログラム130の実行による制御動作(第2制限制御動作)について説明する。
【0083】
まず、ミシンの電源スイッチを投入し、操作ペダル7を踏み込んで主軸モータ4を駆動させ、上軸やクランク機構を介して針棒3を上下動させて所定の縫製動作を行う。そして、CPU80は、角度検出手段9によって検出された主軸の回転角度を読み込む。次いで、CPU80は、ROM100に記録された第2制限プログラム130を起動させ、読み込まれた回転角度が所定の角度領域(70°〜110°)内にあるか否かを判別する。
【0084】
主軸の回転角度が所定の角度領域内にないと判別された場合には、CPU80は、操作レバー6の操作を有効としてステッピングモータ50を駆動して送り量を変更する。一方、主軸の回転角度が所定の角度領域内にあると判別された場合には、CPU80は、操作レバー6の操作を無効とし、ステッピングモータ50の駆動を行わずに制御動作を終了する。すなわち、主軸の回転角度が所定の角度領域にあると判別された場合には、送り量の変更動作を禁止する。
【0085】
以上説明した実施の形態に係るミシンの送り装置においては、所定の操作可能範囲Saを有する操作レバー6と、この操作レバー6の操作量を検出するポテンショメータ70と、このポテンショメータ70により検出された操作レバー6の操作量と送り量との対応関係を設定する送り量設定プログラム110と、を備えている。また、送り量の上限値Pu及び下限値Pdを設定する操作スイッチ8aを備えている。
【0086】
そして、制御装置5のCPU80が送り量設定プログラム110の第1設定パターンを実行することにより、送り量の上限値Pu及び下限値Pdが操作レバー6の操作可能範囲Saの両端に対応するように設定することができる(図9参照)。従って、操作レバー6の操作開始と同時に送り量を変更させることができるため操作性に優れ、作業者が初心者である場合においても、送り量を変更させるための操作が把握し易いという利点がある。
【0087】
また、本実施の形態に係るミシンの送り装置においては、送り量設定プログラム110が、操作レバー6の操作量と送り量との対応関係に係る初期設定(デフォルト)を有している。そして、CPU80が送り量設定プログラム110の第2設定パターンを実行することにより、操作レバー6の操作量が有効操作範囲Se内にある場合に初期設定を有効にする一方、操作レバー6の操作量が有効操作範囲Se外にある場合に初期設定を無効にして送り量を上限値Pu又は下限値Pdに設定する(図11参照)。
【0088】
従って、操作レバー6の操作量が有効操作範囲外にある場合に送り量が変化しないようにすることができる。このため、上限値Pu及び下限値Pdを所望の値に設定することにより「あそび」(不感帯)を自在に設定することができ、「あそび」の量を適切に設定することにより、従来の機械式送り調節機構と同様の操作感覚で操作することができる。この結果、作業者が従来の機械式送り調節機構の操作に熟練した者である場合にも、好適に使用することができる。
【0089】
また、本実施の形態に係るミシンの送り装置においては、送り量設定プログラム110の第1設定パターンと第2設定パターンとの何れか一方を選択するための操作スイッチ8aを備えている。従って、種々の縫製状況や作業者の熟練度・好みに応じて送り量を自在に調整することができる。例えば、作業者が初心者である場合には、操作スイッチ8aにより第1設定パターンを選択することができ、作業者が従来の機械式送り調節機構の操作に熟練した者である場合には、操作スイッチ8aにより第2設定パターンを選択することができる。
【0090】
また、本実施の形態に係るミシンの送り装置においては、CPU80で第1制限プログラム120を実行することにより、速度検出手段4aにより検出された主軸モータ4の回転速度が所定の上限速度(3000rpm)を超える場合に、送り量の変更動作の禁止を実現させることができる。従って、主軸モータ4の回転速度が所定の上限速度を超えているときに作業者が誤って操作レバー6を操作した場合においても、送り量の変更動作を禁止することができる。この結果、ミシンの脱調を未然に防止することができ、安定的な縫製作業を実現させることができる。
【0091】
また、本実施の形態に係るミシンの送り装置においては、CPU80で第2制限プログラム120を実行することにより、角度検出手段9により検出された主軸の回転角度が所定の角度領域(70°〜110°)内にある場合に、送り量の変更動作の禁止を実現させることができる。このため、針が下降した状態における送り量の変更を禁止することができるので、針の折損や曲がりを未然に防止することができる。
【0092】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、適宜変更可能であるのは勿論である。例えば、本実施の形態においては操作手段として操作レバー6(図5参照)を採用した例を示したが、操作レバー6に代えて操作ダイヤルを採用することもできる。
【0093】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、所定の操作可能範囲を有する操作手段と、この操作手段の操作量を検出する操作量検出手段と、この操作量検出手段により検出された操作手段の操作量と送り量との対応関係を設定する送り量設定手段と、を備えている。そして、制御手段は、送り量設定手段で設定された対応関係に従って、操作手段の操作量に対応させて送り量を変更させるように駆動手段の駆動量を制御する。すなわち、送り量設定手段によって操作量と送り量との対応関係を自在に設定することにより、操作手段の操作に対応する送り量の変化の態様を自在に設定することができる。この結果、種々の縫製状況や作業者の熟練度・好みに応じて送り量を自在に調整することができる。
【0094】
請求項2に記載の発明によれば、送り量の少なくとも上限値及び下限値を設定する調整幅設定手段を備えている。そして、送り量設定手段は、設定された送り量の上限値及び下限値が操作手段の操作可能範囲の両端に対応するように設定する。従って、操作手段の操作開始と同時に送り量を変更させることができるため操作性に優れ、作業者が初心者である場合においても、送り量を変更させるための操作が把握し易いという利点がある。
【0095】
請求項3に記載の発明によれば、送り量の少なくとも上限値及び下限値を設定する調整幅設定手段を備えている。そして、送り量設定手段は、操作手段の操作量と送り量との対応関係に係る初期設定を有しており、操作手段の操作量が、上限値に対応する操作量と下限値に対応する操作量との間の範囲(有効操作範囲)内にある場合に初期設定を有効にする。一方、送り量設定手段は、操作手段の操作量が有効操作範囲外にある場合に初期設定を無効にして送り量を上限値又は下限値に設定する。
【0096】
従って、例えば、操作レバーと角駒とを機械的に連結して構成した従来の機械式送り調節機構における設定を送り量設定手段の初期設定として採用することができる。そして、送り量設定手段により、操作手段の操作量が有効操作範囲外にある場合に送り量が変化しないようにすることができる。このため、上限値及び下限値を所望の値に設定することにより「あそび」(不感帯)を自在に設定することができ、「あそび」の量を適切に設定することにより、従来の機械式送り調節機構と同様の操作感覚で操作することができる。この結果、従来の機械式送り調節機構の操作に熟練した作業者も好適に使用することができる。
【0097】
請求項4に記載の発明によれば、送り量の少なくとも上限値及び下限値を設定する調整幅設定手段を備えている。そして、送り量設定手段は、操作手段の操作量と送り量との対応関係に係る初期設定を有するとともに、設定された送り量の上限値及び下限値が操作手段の操作可能範囲の両端に対応するように設定する第1設定パターンと、操作手段の操作量が有効操作範囲内にある場合に初期設定を有効にする一方、操作手段の操作量が有効操作範囲外にある場合に初期設定を無効にして送り量を上限値又は下限値に設定する第2設定パターンと、の双方を実現可能としている。さらに、送り量設定手段により実現可能な第1設定パターンと第2設定パターンとの何れか一方を選択する選択手段を備えている。
【0098】
従って、種々の縫製状況や作業者の熟練度・好みに応じて送り量を自在に調整することができる。例えば、作業者が初心者である場合には、選択手段により第1設定パターンを選択することができ、作業者が従来の機械式送り調節機構の操作に熟練した者である場合には、選択手段により第2設定パターンを選択することができる。
【0099】
請求項5に記載の発明によれば、速度検出手段により検出された主軸モータの回転速度が所定の上限速度を超える場合に、制限手段により、送り量の変更動作の禁止又は主軸モータの減速を実現させることができる。従って、主軸モータの回転速度が所定の上限速度を超えているときに作業者が誤って操作手段を操作した場合においても、送り量の変更動作を禁止するか主軸モータを減速させることができる。この結果、ミシンの脱調を未然に防止することができ、安定的な縫製作業を実現させることができる。
【0100】
請求項6に記載の発明によれば、角度検出手段により検出された主軸の回転角度が所定の角度領域内にある場合に、送り量変更禁止手段により、送り量の変更動作の禁止を実現させることができる。従って、主軸の回転角度が所定の角度領域(例えば、針を被縫製物に刺さる位置まで下降させる角度の前後領域)内にあるときに作業者が操作手段を操作した場合においても、送り量の変更動作を禁止することができる。この場合には、針が下降した状態における送り量の変更を禁止することができるので、針の折損や曲がりを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る送り装置を備えたミシンの全体構成を説明するための概略図である。
【図2】図1のII−II部分の断面図である。
【図3】図2のIII−III部分の断面図である。
【図4】本実施の形態に係る送り装置のステッピングモータ近傍の構成を説明するための説明図である。
【図5】本実施の形態に係る送り装置の操作レバー近傍の構成を説明するための説明図である。
【図6】本実施の形態に係る送り装置を備えたミシンの電気的な構成を説明するためのブロック図である。
【図7】図6の制御装置内のROMに記録されたプログラムを説明するための説明図である。
【図8】本実施の形態に係る送り装置を使用した第1設定パターンに係る制御動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】本実施の形態に係る送り装置を使用した第1設定パターンに係る制御動作における操作レバーの操作量と送りピッチとの相関関係を示すグラフである。
【図10】本実施の形態に係る送り装置を使用した第2設定パターンに係る制御動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】本実施の形態に係る送り装置を使用した第2設定パターンに係る制御動作における操作レバーの操作量と送りピッチとの相関関係を示すグラフである。
【符号の説明】
4 主軸モータ
4a 速度検出手段
6 操作レバー(操作手段)
8a 操作スイッチ(調整幅設定手段、選択手段)
9 角度検出手段
11 送り歯
20 送り伝動機構(送り手段)
30 角駒(送り量調整手段)
50 ステッピングモータ(駆動手段)
70 ポテンショメータ(操作量検出手段)
80 CPU(制御手段、制限手段、送り量変更禁止手段)
110 送り量設定プログラム(送り量設定手段)
120 第1制限プログラム(制限手段)
130 第2制限プログラム(送り量変更禁止手段)

Claims (6)

  1. 送り歯を揺動させて被縫製物に接離せしめることにより、前記被縫製物を所定方向に搬送する送り手段と、
    前記送り手段の送り量を変更する送り量調整手段と、
    前記送り量調整手段を駆動して前記送り量を変更させる駆動手段と、
    前記送り量を変更させるように前記駆動手段の駆動量を制御する制御手段と、を備えたミシンの送り装置において、
    所定の操作可能範囲を有する操作手段と、
    前記操作手段の操作量を検出する操作量検出手段と、
    前記操作手段の操作量と前記送り量との対応関係を設定する送り量設定手段と、を備え、
    前記制御手段は、
    前記送り量設定手段で設定された対応関係に基づいて、前記操作手段の操作量に対応させて送り量を変更させるように駆動手段の駆動量を制御することを特徴とするミシンの送り装置。
  2. 前記送り量の少なくとも上限値及び下限値を設定する調整幅設定手段を備え、
    前記送り量設定手段は、
    前記上限値及び前記下限値を、前記操作手段の操作可能範囲の両端に対応させるように設定することを特徴とする請求項1に記載のミシンの送り装置。
  3. 前記送り量の少なくとも上限値及び下限値を設定する調整幅設定手段を備え、
    前記送り量設定手段は、
    前記操作手段の操作量と前記送り量との対応関係に係る初期設定を有するとともに、前記操作手段の操作量が、前記上限値に対応する操作量と前記下限値に対応する操作量との間の範囲(有効操作範囲)内にある場合に前記初期設定を有効にする一方、前記操作手段の操作量が前記有効操作範囲外にある場合に前記初期設定を無効にして前記送り量を前記上限値又は前記下限値に設定することを特徴とする請求項1に記載のミシンの送り装置。
  4. 送り量の少なくとも上限値及び下限値を設定する調整幅設定手段を備え、
    前記送り量設定手段は、
    前記操作手段の操作量と前記送り量との対応関係に係る初期設定を有するとともに、前記上限値及び前記下限値が前記操作手段の操作可能範囲の両端に対応するように設定する第1設定パターンと、前記操作手段の操作量が、前記上限値に対応する操作量と前記下限値に対応する操作量との間の範囲(有効操作範囲)内にある場合に前記初期設定を有効にする一方、前記操作手段の操作量が前記有効操作範囲外にある場合に前記初期設定を無効にして前記送り量を前記上限値又は前記下限値に設定する第2設定パターンと、の双方を実現可能とし、
    前記第1設定パターンと前記第2設定パターンとの何れか一方を選択する選択手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のミシンの送り装置。
  5. 主軸モータの回転速度を検出する速度検出手段と、
    前記速度検出手段により検出された前記主軸モータの回転速度が所定の上限速度を超える場合に、前記送り量の変更動作の禁止又は主軸モータの減速を実現させる制限手段と、を備えることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のミシンの送り装置。
  6. 主軸の回転角度を検出する角度検出手段と、
    前記角度検出手段の検出された前記主軸の回転角度が所定の角度領域内にある場合に、前記送り量の変更動作の禁止する送り量変更禁止手段と、を備えることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のミシンの送り装置。
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