JP2003326027A - ミシンの布送り装置 - Google Patents

ミシンの布送り装置

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JP2003326027A
JP2003326027A JP2002138661A JP2002138661A JP2003326027A JP 2003326027 A JP2003326027 A JP 2003326027A JP 2002138661 A JP2002138661 A JP 2002138661A JP 2002138661 A JP2002138661 A JP 2002138661A JP 2003326027 A JP2003326027 A JP 2003326027A
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Fumio Ito
文夫 伊藤
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Juki Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の解決しようとする課題は、下軸一回
転当たりの布送り量を一定に保持しておくことである。 【解決手段】 布送り装置7は伝動機構30及び送り歯
20を具備する。伝動機構30は、ミシンモータ47に
よって回転される下軸10に連結しており、下軸10の
回転運動を送り歯20の楕円運動又は円運動として伝動
する。伝動機構30に角駒22が連結されており、角駒
22の傾斜角度がモータ28の動力で変化することで送
り歯20の軌道が変化し、布送りピッチが変化する。布
送り装置7の回転速度検出装置41でミシンモータ47
の回転速度を検出し、布送り装置7の制御装置8がミシ
ンモータ47の回転速度に基づいてモータ28に流れる
保持電流のレベルを制御することで、ミシンモータ47
から角駒22に作用する力と、伝動機構30から角駒2
2に作用する慣性力が釣り合って、布送りピッチが一定
に保たれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、送り歯で布を送る
布送り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のミシンには、送り歯で布を送る布
送り装置が設けられている。布送り装置は、針を上下に
駆動する駆動源であるミシンモータの動力で作動する。
つまり、布送り装置は下軸に連結する伝動機構を備えて
おり、ミシンモータが下軸を回転駆動し、下軸の回転運
動が伝動機構によって送り歯に伝動する。詳細には、伝
動機構は、下軸の回転運動を二つに分解して、一方を送
り歯の上下往復動の成分として伝動し、他方を送り歯の
水平往復動の成分として伝動する。これにより、送り歯
が上下往復動と水平往復動の合成による楕円運動又は円
運動を行い、これにより送り歯と布押えに挟まれた布が
送られる。
【0003】また、伝動機構には角駒が連結しており、
角駒の傾斜角度が変化することで送り歯の軌道が変化
し、送り歯の楕円運動又は円運動の軌跡が水平方向に広
がったり逆に縮んだりする。これにより、下軸一回転当
たりの布送り量が変化する。
【0004】角駒の傾斜角度の変化は手動で行われる場
合もあるが、近年の電子化されたミシンではモータによ
って行われる。つまり、モータが作動することによって
角駒が回転し、これにより角駒の傾斜角度が変化し、伝
動機構による送り歯の軌道が変化する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一様な縫い
目を形成するために、下軸一回転当たりの布送り量をミ
シンの縫製中において一時的に又は常に一定に保持して
おく必要がある。そのためには、角駒の傾斜角度を一定
に保持しておき、角駒に連結するモータの動力取出軸を
停止した状態を保持しておく必要がある。ここで、モー
タに電流が流れていない場合モータの動力取出軸にトル
クが発生していないため、伝動機構や送り歯の自重等に
よってモータの動力取出軸が回転してしまうことがあ
る。これにより、角駒の傾斜角度も変化してしまい、下
軸一回転当たりの布送り量を一時的又は常に一定に保持
しておくのは無理である。そこで、伝動機構や送り歯の
自重等によってモータの動力取出軸が回転しないため
に、ある程度のレベル(大きさ)の電流(保持電流)を
モータに流して、動力取出軸に停止トルクを発生させる
必要がある。しかし、モータに流れる保持電流のレベル
が大きくなりすぎると、モータが加熱してしまったり、
モータから大きな音が発生したりすることがある。一
方、モータに流れる保持電流のレベルが小さくなりすぎ
ると、伝動機構や送り歯の自重等によってモータの動力
取出軸が回転してしまい、下軸一回転当たりの布送り量
を一時的又は常に一定に保持しておくのは無理である。
そこで、本発明の解決しようとする課題は、モータに流
れる電流を最適に保ちつつ、下軸一回転当たりの布送り
量を一定に保持しておくことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、請求項1記載の発明に係る布送り装置は、例えば
図1〜図8に示すように、布(例えば布90)を送るた
めの送り歯(例えば送り歯20)と、ミシンモータ(例
えばミシンモータ47)によって回転される下軸(例え
ば下軸10)の回転運動を前記送り歯に伝動して、前記
送り歯を布送り運動する送り伝動機構(例えば送り伝動
機構30)と、前記送り伝動機構に連結するとともに、
傾斜角度が変わることで前記送り歯の布送り運動の軌跡
を変更して、前記下軸一回転当たりの前記送り歯による
布送り量を変更する角駒(例えば角駒22)と、前記角
駒の傾斜角度を変更する駆動モータ(例えば送り調節モ
ータ28)と、前記下軸一回転当たりの前記送り歯によ
る布送り量を設定する設定手段(例えば送り量設定装置
44:ステップS4又はステップS5)と、前記設定手
段によって設定された布送り量に対応する傾斜角度に前
記角駒を前記駆動モータが保持する際に前記駆動モータ
に流れる保持電流のレベルを、前記設定手段によって設
定された布送り量に基づき制御する制御手段(例えば制
御装置8:ステップ9又はステップS15)と、を具備
することを特徴とする。
【0007】下軸一回転当たりの送り歯による布送り量
が大きく設定されると、角駒の傾斜角度も大きく設定さ
れ、これにより下軸から送り伝動機構を介して角駒に作
用する慣性力も大きくなる。ところが、請求項1記載の
発明では、設定手段で設定された布送り量(布送り量は
角駒の傾斜角度と線形関係にある。)に基づき、駆動モ
ータに流れる保持電流のレベルを制御しているため、駆
動モータから角駒に作用する力と慣性力を釣り合わせる
ことができ、更に、駆動モータに流れる電流のレベルを
適正にすることができる。そのため、下軸一回転当たり
の布送り量を一定に保持しておくことができ、更に、駆
動モータの発熱や駆動モータからの音の発生を極力抑え
ることができる。
【0008】請求項2記載の発明に係る布送り装置は、
例えば図1〜図8に示すように、布(例えば布90)を
送るための送り歯(例えば送り歯20)と、ミシンモー
タ(例えばミシンモータ47)によって回転される下軸
(例えば下軸10)の回転運動を前記送り歯に伝動し
て、前記送り歯を布送り運動する送り伝動機構(例えば
送り伝動機構30)と、前記送り伝動機構に連結すると
ともに、傾斜角度が変わることで前記送り歯の布送り運
動の軌跡を変更して、前記下軸一回転当たりの前記送り
歯による布送り量を変更する角駒(例えば角駒22)
と、前記角駒の傾斜角度を変更する駆動モータ(例えば
送り調節モータ28)と、前記下軸一回転当たりの前記
送り歯による布送り量を設定する設定手段(例えば送り
量設定装置44:ステップS4又はステップS5)と、
前記ミシンモータの回転速度を検出する速度検出手段
(例えば回転速度検出装置41)と、前記設定手段によ
って設定された布送り量に対応する傾斜角度に前記角駒
を前記駆動モータが保持する際に前記駆動モータに流れ
る保持電流のレベルを、前記速度検出手段によって検出
された回転速度に基づき制御する制御手段(例えば制御
装置8:ステップS11又はステップS17)と、を具
備することを特徴とする。
【0009】ミシンモータの回転速度が高くなると、下
軸から送り伝動機構を介して角駒に作用する慣性力も大
きくなる。ところが、請求項2記載の発明では、設定手
段で設定された布送り量に対応する傾斜角度に角駒を保
持する際に、検出したミシンモータの回転速度に基づき
駆動モータに流れる保持電流のレベルを制御しているた
め、駆動モータから角駒に作用する力と慣性力を釣り合
わせることができ、更に、駆動モータに流れる電流のレ
ベルを適正にすることができる。
【0010】請求項3記載の発明に係る布送り装置は、
例えば図1〜図8に示すように、押え部材(例えば布押
え6)に押さえられた布(例えば布90)を送るための
送り歯(例えば送り歯20)と、ミシンモータ(例えば
ミシンモータ47)によって回転される下軸(例えば下
軸10)の回転運動を前記送り歯に伝動して、前記送り
歯を布送り運動する送り伝動機構(例えば送り伝動機構
30)と、前記送り伝動機構に連結するとともに、傾斜
角度が変わることで前記送り歯の布送り運動の軌跡を変
更して、前記下軸一回転当たりの前記送り歯による布送
り量を変更する角駒(例えば角駒22)と、前記角駒の
傾斜角度を変更する駆動モータ(例えば送り調節モータ
28)と、前記下軸一回転当たりの前記送り歯による布
送り量を設定する設定手段(例えば送り量設定装置4
4:ステップS4又はステップS5)と、前記押え部材
が前記布を押さえる押え圧を検出する押え圧検出手段
(例えば押え圧検出装置48)と、前記設定手段によっ
て設定された布送り量に対応する傾斜角度に前記角駒を
前記駆動モータが保持する際に前記駆動モータに流れる
保持電流のレベルを、前記押え圧検出手段によって検出
された押え圧に基づき制御する制御手段(例えば制御装
置8:ステップS13又はステップS19)と、を具備
することを特徴とする。
【0011】布押えによって布が押されると送り歯にも
押え圧が作用する。ここで、押え圧が大きくなると、下
軸から送り伝動機構を介して角駒に作用する慣性力も大
きくなる。ところが、請求項3記載の発明では、設定手
段で設定された布送り量に対応する傾斜角度に角駒を保
持する際に、検出した押え部材の押え圧に基づき駆動モ
ータに流れる保持電流のレベルを制御しているため、駆
動モータから角駒に作用する力と慣性力を釣り合わせる
ことができ、更に、駆動モータに流れる電流のレベルを
適正にすることができる。
【0012】請求項4記載の発明に係る布送り装置は、
例えば図1〜図8に示すように、布(例えば布90)を
送るための送り歯(例えば送り歯20)と、ミシンモー
タ(例えばミシンモータ47)によって回転される主軸
(例えば主軸49)に連動して回転する下軸(例えば下
軸10)の回転運動を前記送り歯に伝動して、前記送り
歯を布送り運動する送り伝動機構(例えば送り伝動機構
30)と、前記送り伝動機構に連結するとともに、傾斜
角度が変わることで前記送り歯の布送り運動の軌跡を変
更して、前記下軸一回転当たりの前記送り歯による布送
り量を変更する角駒(例えば角駒22)と、前記角駒の
傾斜角度を変更する駆動モータ(例えば送り調節モータ
28)と、前記下軸一回転当たりの前記送り歯による布
送り量を設定する設定手段(例えば送り量設定装置4
4:ステップS4又はステップS5)と、前記主軸の角
度を検出する角度検出手段(例えば回転角度検出装置4
2)と、前記設定手段によって設定された布送り量に対
応する傾斜角度に前記角駒を前記駆動モータが保持する
際に前記駆動モータに流れる保持電流のレベルを、前記
角度検出手段によって検出された角度に基づき制御する
制御手段(例えば制御装置8:ステップS12又はステ
ップS18)と、を具備することを特徴とする。
【0013】ミシンの主軸の角度が変化すると、下軸か
ら送り伝動機構を介して角駒に作用する慣性力も主軸の
角度に対応して変化する。ところが、請求項4記載の発
明では、設定手段で設定された布送り量に対応する傾斜
角度に角駒を保持する際に、検出した主軸の角度に基づ
き駆動モータに流れる保持電流のレベルを制御している
ため、駆動モータから角駒に作用する力と慣性力を釣り
合わせることができ、更に、駆動モータに流れる電流の
レベルを適正にすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、図面を用いて本発明の具
体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲を図示例に
限定するものではない。
【0015】図1に示すように、ミシン1は、上面に針
板(図示略)が設けられたベッド部2と、ベッド部2の
上方においてベッド部2と略平行に延在するアーム部3
と、アーム部3の前端部から下方に延出する上下動自在
な針棒4と、針棒4の下端に設けられた針5と、アーム
部3内に設けられた主軸49とクランク機構(図示略)
を介して針棒4を上下に駆動するミシンモータ47(図
6に図示)と、ベッド部2に載置された布90を押さえ
る布押え6と、ミシンモータ47に駆動されることによ
って送り歯20で布90を送る布送り装置7(図3に主
に図示)と、ミシン1全体を制御する制御装置8(図6
に図示)と、を具備し、針5をミシンモータ47で上下
動しつつ布90を布送り装置7で送ることで、布90に
縫い目を施すものである。なお、制御装置8は、布送り
装置7の制御装置も兼ねている。
【0016】押え部材としての布押え6は、アーム部3
から下方へ延出する押え棒9の下端に設けられており、
図示しないバネによって押え棒9とともに下方に付勢さ
れる。これにより、ベッド部2に載置された布90は、
布押え6と送り歯20との間に挟持される。
【0017】図2に示すように、ベッド部2内におい
て、下軸10が前後に延在している。下軸10は回転自
在となってベッド部2に取り付けられており、前後方向
の軸心回りの一軸にのみ回転できるようになっている。
下軸10は伝動機構に連結しており、この伝動機構が主
軸49に連結しており、主軸49はミシンモータ47の
動力取出軸に連結している。従い、ミシンモータ47が
回転駆動していると、主軸49及び伝動機構を介して下
軸10も回転するようになっている。
【0018】布送り装置7は、布押え6の下方に配され
るとともに針板に対して出没可能に設けられ、布を送る
ための送り歯20と、下軸10の回転運動を送り歯20
に伝動して送り歯20を駆動する送り伝動機構30と、
送り伝動機構30に連結した角駒22と、下軸10一回
転当たりの送り歯20による布送り量を変更するために
角駒22の傾斜角度を変更する送り調節モータ(駆動モ
ータ)28等を具備する。以下、布送り装置7について
詳述する。
【0019】図2〜4に示すように、布送り装置7の送
り伝動機構30は、水平送りカム11、水平送りロッド
13、水平送り連結桿14、水平送り腕15、水平送り
軸16、送り台腕17、送り台18、上下送りリンク1
9等を具備する。なお、図4では、図2における破断線
B−Bから矢印方向に見た図と、図2における破断線
B’−B’から矢印方向に見た図を合成することで、布
送り装置7の送り伝動機構30の主要部を主に示してい
る。以下のように構成されている。
【0020】布送り装置7は、これら部材11〜19に
よって以下のように構成されている。即ち、水平送りカ
ム11が下軸10に固定されている。水平送りカム11
は、下軸10に対して偏心した偏心カム11aを有して
おり、偏心カム11aはベアリング12によって回転自
在となって水平送りロッド13の一端部に連結してい
る。水平送りロッド13の他端部は、段ネジ31によっ
て回転自在となって水平送り連結桿14の左右中間部1
4aに連結している。
【0021】水平送り連結桿14の一端部14cは、段
ネジ32によって回転自在となって水平送り腕15の一
端部に連結している。水平送り腕15の他端部は水平送
り軸16の後端部に固定されている。水平送り軸16
は、回転自在となってベッド部2に取り付けられてお
り、前後方向の軸心回りの一軸にのみ回転できるように
なっている。水平送り軸16の前端部は、送り台腕17
の一端部に固定されている。送り台腕17の他端部は、
送り台軸21によって回転自在となって送り台18の一
端部に連結している。
【0022】送り台18上には送り歯20が固定されて
いる。送り台18の他端部は、段ネジ33によって回転
自在となって上下送りリンク19の一端部に連結してい
る。上下送りリンク19の他端部は、回転自在となって
下軸10の前端部に連結している。
【0023】一方、図2〜図5に示すように、水平送り
連結桿14の他端部14bには、角駒ピン23によって
回転自在となって角駒22,22が連結している。
【0024】角駒22は、送り調節軸24に摺動自在に
嵌められている。つまり、送り調節軸24の前後中間部
に溝24aが形成されており、溝24aに角駒22が嵌
められており、溝24aは、送り調節軸24に固定され
た送り調節蓋36によって蓋されている。従って、角駒
22は、溝24aに沿って送り調節軸24に対して上下
方向に摺動できるようになっている。
【0025】送り調節軸24は、回転自在となってベッ
ド部2に取り付けられており、前後方向の軸心回りの一
軸にのみ回転できるようになっている。送り調節軸24
の後端部に第一送り調節リンク25の一端部が固定され
ている。第一送り調節リンク25の他端部は、ピン34
によって回転自在となって第二送り調節リンク26の一
端部に連結している。第二送り調節リンク26の他端部
は、ピン35によって回転自在となって第三送り調節リ
ンク27の一端部に連結している。第三送り調節リンク
27の他端部は、送り調節モータ28の動力取出軸28
aに固定されている。
【0026】以上の構成では、下軸10が回転すると、
下軸10の回転運動が水平送りカム11、水平送りロッ
ド13、水平送り連結桿14及び水平送り腕15によっ
て水平送り軸16の往復回動運動として伝動し、水平送
り軸16が往復回動運動することによって送り台腕17
が水平送り軸16を支点にして左右に揺動し、これによ
り、下軸10の回転運動が送り台18及び送り歯20の
左右往復運動に伝動する。一方、下軸10の回転運動が
上下送りリンク19によって送り台18に伝動すると、
送り台18が送り台軸21を支点にして上下に揺動し、
これにより、下軸10の回転運動が送り歯20の上下往
復運動に伝動する。従い、送り歯20は、上下往復運動
と左右往復運動の合成により鉛直面に沿った楕円運動又
は円運動を行うことで、布押え6に押された布を送る布
送り運動を行う。
【0027】ここで、送り歯20が、針板から上方へ突
出している間に右から左へ移動するように楕円運動又は
円運動を行うと、布押え6に押さえられた布は正送りさ
れる。一方、送り歯20が、針板から上方へ突出してい
る間に左から右へ移動するように楕円運動又は円運動を
行うと、布押え6に押さえられた布は逆送りされる。送
り歯20の正送りと逆送りの変換は、下軸10の回転位
相に対する水平送り軸16の回動位相を変更することで
行われるが、下軸10の回転位相や水平送り軸16の回
動位相の変更は角駒22の傾斜角度(つまり、基準角度
に対する送り調節軸24の回転角度)が変更されること
で為される。
【0028】つまり、図4の図示方向に見て、角駒22
の傾斜角度が基準角度より時計回りへ回転した角度であ
る場合には、角駒22が溝24aに沿って左下に摺動し
ており、水平送り軸16が時計回りに回転した状態とな
っている。従って、下軸10が回転すると、送り台腕1
7が左へ揺動している際には送り台18が上へ揺動する
から、送り歯20が正送りの運動を行う。一方、角駒2
2の傾斜角度が基準角度より反時計回りへ回転した角度
である場合には、角駒22が溝24aに沿って左上に摺
動しており、水平送り軸16が反時計回りに回転した状
態となっている。従って、下軸10が回転すると、送り
台腕17が右へ揺動している際には送り台18が上へ揺
動するから、送り歯20が逆送りの運動を行う。
【0029】また、送り歯20が正送りする場合でも逆
送りする場合でも、送り歯20の運動軌跡は上述したよ
うに楕円形状又は円形状であるが、左右方向の径が変更
されることで、一周期当たり(下軸10の一回転当た
り)の布送り量(以下、単に布送りピッチという。)が
変更される。つまり、一周期当たりの水平送り軸16を
支点とした送り台腕17の回動角度の範囲が変更される
ことで、送り台18及び送り歯20の運動軌跡における
左右方向の径が変更されて、これにより、布送りピッチ
が変更される。ここで、図4の図示方向に見て、角駒2
2の傾斜角度が基準角度より時計回りに回転した角度が
大きくなるにつれて、水平送り軸16を支点とした送り
台腕17の揺動範囲が大きくなり、従って、正布送りピ
ッチが大きくなる。同様に、角駒22の傾斜角度が基準
角度より反時計回りに回転した角度が大きくなるにつれ
て逆布送りピッチが大きくなる。一方、角駒22の傾斜
角度が基準角度に近づくにつれて水平送り軸16を支点
とした送り台腕17の揺動範囲が小さくなり、正布送り
ピッチ及び逆布送りピッチが小さくなる。
【0030】以上のように角駒22の傾斜角度(つま
り、基準角度に対する送り調節軸24の回転角度)が変
更されることで送り歯20の運動軌跡が変更されて、送
り歯20の布送りピッチの変更、送り歯20の送り方向
の変換が為されるが、角駒22の傾斜角度の変更は送り
調節モータ28によって行われる。つまり、図5の図示
の方向に見て、送り調節モータ28が作動して動力取出
軸28aが時計回りに回転すると、第一送り調節リンク
25が送り調節軸24を支点として反時計回りに回る。
一方、動力取出軸28aが反時計回りに回転すると、第
一送り調節リンク25が送り調節軸24を支点として時
計回りに回転する。このように、送り調節モータ28が
調節リンク27,26,25を介して送り調節軸24を
回転駆動することで、角駒22の傾斜角度が変更され
る。
【0031】ミシン1の縫製中において、布送りピッチ
を変更しない場合には、送り調節モータ28が停止した
状態を維持するが、送り調節モータ28が停止している
場合でも停止トルクを得るために送り調節モータ28に
保持電流が流れる。下軸10が回転して送り伝動機構3
0が運動することで送り伝動機構30から角駒22へ慣
性力が作用した場合でも、送り調節モータ28に保持電
流が流れることで送り調節モータ28に停止トルクが発
生すると、送り調節モータ28の停止トルクが慣性力に
釣り合って、角駒22の傾斜角度が一定に保持される。
角駒22の傾斜角度が一定に保持されることで、布送り
ピッチが一定に保持される。
【0032】ここで、送り伝動機構30から角駒22へ
作用する慣性力の大きさが、ミシンモータ47の回転速
度(単位時間当たりの回転数)、ミシンの主軸49の回
転角度、布送りピッチ(角駒22の傾斜角度に比例す
る)、布押え6による押圧力等に影響されることが、発
明者の計測によって見いだされた。
【0033】ところで、送り調節モータ28に流れる保
持電流が大きすぎると、保持された場合でも送り調節モ
ータ28が発熱してしまったり、送り調節モータ28か
ら異音が発生したりすることがある。一方、送り調節モ
ータ28に流れる保持電流が小さすぎると、停止トルク
が小さすぎる結果角駒22が慣性力によって動いてしま
い、布送りピッチが保持されないことがある。そこで、
送り調節モータ28に流れる保持電流のレベルを適正に
制御する必要がある。
【0034】そこで本実施形態では、ミシン1の縫製中
に、ミシンモータ47の回転速度(主軸49の回転速度
と同じか比例関係にある。)、ミシンモータ47の回転
角度(主軸49の回転角度と同じであるか比例関係にあ
る。)、布送りピッチ、布押えによる押圧力に基づい
て、送り調節モータ28に流れる保持電流のレベルを制
御装置8によって制御する。制御装置8によって制御す
るために、布送り装置7の制御系は以下に説明するよう
な構成となっている。
【0035】即ち、図6に示すように、布送り装置7
は、回転速度検出装置41と、回転角度検出装置42
と、送り駆動指令装置43と、送り量設定装置44と、
ミシンモータドライバ45と、送り調節モータ電流制御
回路46と、押え圧検出装置48と、を備え、これらが
信号入出力可能に制御装置8に接続されている。
【0036】回転速度検出装置41は、ミシンモータ4
7の回転速度(言い換えれば、ミシンモータ47の角速
度或いは単位時間当たりの回転数)を検出するものであ
り、例えばエンコーダで検出する。また、回転速度検出
装置41は、検出した回転速度を制御装置8に出力す
る。なお、ミシンモータ47の回転速度を直接検出しな
くても良く、主軸49或いは下軸10の回転速度を回転
速度検出装置41で検出することで、ミシンモータ47
の回転速度を間接的に検出しても良い。
【0037】回転角度検出装置42は、ミシンの主軸4
9の回転角度を検出するものであり、例えばエンコーダ
で検出する。また、回転角度検出装置42は、検出した
回転速度を制御装置8に出力する。
【0038】送り駆動指令装置43は、縫製中に止め縫
い(返し縫い)を行う際に、ユーザ等によって操作され
ることで制御装置8に信号を出力することによって、布
送りピッチの切替を指令するものであり、例えばスイッ
チ等で構成される。この送り駆動指令装置43が操作さ
れた際の布送りピッチの変更は、後述する送り量設定装
置44により行われる。
【0039】押え圧検出装置48は、布押え6から布9
0に作用する押え圧を検出するものであり、例えば押え
棒9とともに布押え6を布90に付勢するバネの荷重を
検出することで押え圧を検出する。また、押え圧検出装
置48は、検出した押え圧を制御装置8に出力する。な
お、押え圧検出装置48は、布押え6や送り歯20に設
けられた圧電素子であっても良い。
【0040】送り量設定装置44は、縫製に先立ってユ
ーザ等によって操作されることで制御装置8に信号を出
力することで送りピッチを設定するものであり、前記送
り駆動指令装置43が操作されない場合の通常の布送り
ピッチαと、送り量駆動指令装置43が操作された時の
返し縫い布送りピッチβとを設定することができ、例え
ばスイッチやボタン、表示部から構成される操作パネル
である。
【0041】ミシンモータドライバ45は、制御装置8
から出力される信号に従ってミシンモータ47の回転速
度を制御したり、ミシンモータ47を作動或いは停止し
たりするものである。
【0042】送り調節モータ電流制御回路46は、制御
装置8から出力される信号に従って送り調節モータ28
に流れる保持電流のレベルを制御することによって、送
り調節モータ28を作動或いは停止したり、送り調節モ
ータ28の回転角度を制御したり、送り調節モータ28
に停止トルクを発生させたりするものである。
【0043】制御装置8は、CPUと、RAMと、RO
Mと、インターフェースと、これらを接続するシステム
バスとを具備する演算処理装置を基本構成としている。
制御装置8のROMには、ミシンモータ47、送り調節
モータ28を制御して縫製動作及び縫製に付随する動作
をミシン1に行わせるための制御プログラム及びこの制
御プログラムで使用される制御データ等が格納されてい
る。
【0044】制御装置8のROMに格納された制御デー
タについて説明する。図7に示すように、制御データ
は、(a)〜(d)のデータテーブルから構成されてい
る。(a)のデータテーブルでは、回転速度に対して補
正値が対応づけられている。(b)のデータテーブルで
は、布送りピッチに対して補正値が対応づけられてい
る。(c)のデータテーブルでは、押え圧に対して補正
値が対応づけられている。(d)のデータテーブルで
は、回転角度に対して補正値が対応づけられている。こ
こで、補正値は、例えば、ミシンモータ47の回転速度
が0rpmで、布送りピッチが0で、ミシンモータ47
の回転角度が0°で、布押え6から布90の押え圧が0
である際に角駒22の傾斜角度が保持されるように送り
調節モータ28に流れる保持電流のレベルを1とした場
合の倍率で表されている。また、データテーブルの補正
値は、計測した慣性力に釣り合う停止トルクになるよう
な保持電流のレベルに基づき予め算出したものである。
なお、図7に示される数値は一例であるため、このよう
な数値に限定する必要は必ずしもない。
【0045】制御装置8のCPUは、RAMを作業領域
としてROMに格納された制御プログラムに従った演算
を行える。また、制御装置8のCPUは、回転速度検出
装置41、回転角度検出装置42、押え圧検出装置48
及び送り量設定装置44から出力される信号に基づき演
算を行う。そして、制御装置8のCPUが演算結果に応
じた信号をミシンモータドライバ45、送り調節モータ
電流制御回路46に出力することで、制御装置8がミシ
ンモータ47、送り調節モータ28を制御することがで
きる。
【0046】詳細には、制御装置8は、縫製中に、回転
速度検出装置41から入力した回転速度に対応する補正
値を(a)のデータテーブルから検索して、その補正値
を読み出しその補正値に従ったレベルの保持電流を送り
調節モータ28に流す制御を行う。また、制御装置8
は、縫製中に、送り量設定装置44で設定された送り量
に対応する補正値を(b)のデータテーブルから検索し
て、その補正値を読み出しその補正値に従ったレベルの
保持電流を送り調節モータ28に流す制御を行う。ま
た、制御装置8は、縫製中に、押え圧検出装置48から
入力した押え圧に対応する補正値を(c)のデータテー
ブルから検索して、その補正値を読み出しその補正値に
従ったレベルの保持電流を送り調節モータ28に流す制
御を行う。また、制御装置8は、縫製中に、回転角度検
出装置42から入力した回転角度に対応する補正値を
(d)のデータテーブルから検索して、その補正値を読
み出しその補正値に従ったレベルの保持電流を送り調節
モータ28に流す制御を行う。
【0047】補正値に従ったレベルの保持電流が送り調
節モータ28に流れると、送り伝動機構30から角駒2
2へ作用する慣性力に対して送り調節モータ28から角
駒22へ作用する力が釣り合い、角駒22の傾斜角度が
一定に保持される。ここで、送り調節モータ28に流れ
る保持電流のレベルは縫製中一定ではなく、回転速度検
出装置41で検出した縫製中の回転速度、送り量設定装
置44で設定された縫製中の送り量、押え圧検出装置4
8で検出した縫製中の押え圧、又は回転角度検出装置4
2で検出した縫製中の回転角度のうちの少なくとも一つ
に基づいて制御装置8によって決定されている。従っ
て、送り調節モータ28に流れる保持電流のレベルが適
正に制御されるから、送り調節モータ28を確実に停止
した状態を維持することができ、更に、送り調節モータ
28の発熱や音発生を抑えることができる。
【0048】次に、図8のフローチャートを参照して制
御装置8の処理の流れについて説明する。まず、ミシン
モータ47が停止していない場合には、制御装置8がミ
シンモータ47を停止し(ステップS1)、送り調節モ
ータ28を停止する(ステップ2)。次に、ユーザが送
り量設定装置44を操作して前記通常布送りピッチαを
入力すると、制御装置8が通常布送りピッチαに設定す
る(ステップS3)。そして、制御装置8は、通常布送
りピッチαに対応する補正値を(b)のデータテーブル
から読み出す(ステップS4)。同様に、ユーザが送り
量設定装置44を操作して前記返し縫い布送りピッチβ
を入力すると、制御装置8は返し縫い布送りピッチβに
設定し(ステップS5)、返し縫い布送りピッチβに対
応する補正値を読み出す(ステップS6)。
【0049】次いで、制御装置8は、ミシンモータ47
の回転を開始する(ステップS7)とともに、送り調節
モータ28に駆動電流を流して駆動することで通常布送
りピッチαとなるような傾斜角度に角駒22を傾ける
(ステップS8)。通常布送りピッチαとなるような傾
斜角度に角駒22が傾いたら、制御装置8は送り調節モ
ータ28を停止し、データテーブル(b)から通常布送
りピッチαに対応する補正値を読み出して、読み出した
補正値に従ったレベルの保持電流を送り調節モータ28
に印加する(ステップS9)。
【0050】次いで、制御装置8は送り駆動指令装置4
3がOnされたか否かを判定し(ステップS10)、ユ
ーザが送り駆動指令装置43をOnした場合には(ステ
ップS10:Yes)制御装置8の処理はステップS1
4に移行し、ユーザが送り駆動指令装置43をOnしな
い場合には(ステップS10:No)制御装置8の処理
はステップS11に移行する。
【0051】ステップS11において、制御装置8は、
回転速度検出装置41から出力されたミシンモータ47
の回転速度に応じた補正値を(a)のデータテーブルか
ら読み出し、前記した通常布送りピッチαに従ったレベ
ル(電流値)に、データテーブル(a)から読み出した
補正値を乗じて、算出された補正値に従ったレベルの保
持電流を送り調節モータ28に印加する。
【0052】また、制御装置8は、回転角度検出装置4
2から出力されたミシンの主軸49の回転角度に応じた
補正値を(d)のデータテーブルから読み出し、ステッ
プS11で補正されたレベルに、データテーブル(d)
から読み出された補正値を乗じて、算出された補正値に
従ったレベルの保持電流を送り調節モータ28に印加す
る(ステップS12)。
【0053】また、制御装置8は、押え圧検出装置48
から出力された押え圧に応じた補正値を(c)のデータ
テーブルから読み出し、ステップS12で補正されたレ
ベルに、データテーブル(c)から読み出された補正値
を乗じて、算出された補正値に従ったレベルの保持電流
を送り調節モータ28に印加する(ステップS13)。
【0054】以上のように、ミシン1の縫製中において
(ステップS11〜ステップS13)、送り調節モータ
28に保持電流が印加されても送り調節モータ28は回
転せず、布送りピッチαに対応する一定の傾斜角度に角
駒22が保持される。そして、ステップS13後、制御
装置8の処理はステップS10に移行する。
【0055】一方、ユーザが送り駆動指令装置43をO
nすると(ステップS10:Yes)、制御装置8は、
送り調節モータ28に駆動電流を流して駆動することで
返し縫い布送りピッチβとなるような傾斜角度に角駒2
2を傾ける(ステップS14)。そして、返し縫い布送
りピッチβとなるような傾斜角度に角駒22が傾いた
ら、制御装置8は送り調節モータ28を停止し、データ
テーブル(b)から返し縫い布送りピッチβに対応する
補正値を読み出して、読み出した補正値に従ったレベル
の保持電流を送り調節モータ28に印加する(ステップ
S15)。
【0056】次いで、制御装置8は送り駆動指令装置4
3がOffされたか否かを判定し(ステップS16)、
ユーザが送り駆動指令装置43をOffした場合には
(ステップS16:Yes)制御装置8の処理はステッ
プS8に移行し、ユーザが送り駆動指令装置43をOf
fしない場合には(ステップS16:No)制御装置8
の処理はステップS17に移行する。
【0057】ステップS17において、制御装置8は、
回転速度検出装置41から出力されたミシンモータ47
の回転速度に応じた補正値を(a)のデータテーブルか
ら読み出し、前記した返し縫い布送りピッチβに従った
レベル(電流値)にデータテーブル(a)から読み出し
た補正値を乗じて、算出された補正値に従ったレベルの
保持電流を送り調節モータ28に印加する。
【0058】また、制御装置8は、回転角度検出装置4
2から出力されたミシンの主軸49の回転角度に応じた
補正値を(d)のデータテーブルから読み出し、ステッ
プS17で補正された電流値に、データテーブル(d)
から読み出された補正値を乗じて、算出された補正値に
従ったレベルの保持電流を送り調節モータ28に印加す
る(ステップS18)。
【0059】また、制御装置8は、押え圧検出装置48
から出力された押え圧に応じた補正値を(c)のデータ
テーブルから読み出し、ステップS18で補正された電
流値に、データテーブル(d)から読み出された補正値
を乗じて、算出された補正値に従ったレベルの保持電流
を送り調節モータ28に印加する(ステップS19)。
【0060】以上のように、ミシン1の縫製中において
(ステップS11〜ステップS13)、送り調節モータ
28に保持電流が印加されても送り調節モータ28は回
転せず、布送りピッチβに対応する一定の傾斜角度に角
駒22が保持される。そして、ステップS19後、制御
装置8の処理はステップS20に移行する。ステップS
20では制御装置8はミシンモータ47を停止するか否
かを判断し、停止しない場合には制御装置8の処理がス
テップS16に移行し、停止する場合には制御装置8の
処理がステップS1に移行して縫製が終了する。
【0061】以上のように本実施の形態では、設定され
た布送りピッチα,βとなるような傾斜角度に送り調節
モータ28が角駒22を保持する際に、送り調節モータ
28に流れる保持電流のレベルを、回転速度検出装置4
1で検出した縫製中の回転速度、送り量設定装置44で
設定された縫製中の送り量、押え圧検出装置48で検出
した縫製中の押え圧、又は回転角度検出装置42で検出
した縫製中の回転角度に基づいて制御装置8によって制
御されている。従って、送り調節モータ28に流れる保
持電流のレベルが慣性力に応じて適正に制御されるか
ら、送り調節モータ28を確実に停止した状態を維持す
ることができ、更に、送り調節モータ28の発熱や送り
調節モータ28からの音の発生を抑えることができる。
【0062】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
ることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、
種々の改良及び設計の変更を行っても良い。例えば、下
軸10の回転運動を送り歯20に伝動する伝動機構は、
下軸10の回転運動を送り歯20を楕円運動又は円運動
に伝動するような構成であれば、上述のような構成の伝
動機構30に限らない。但し、伝動機構に角駒が連結さ
れて、角駒の傾斜角度が変化することで布送りピッチが
変化するような構成は必要である。
【0063】また、制御装置8のROMに格納される制
御データは、図7のような各データテーブルに限定され
ない。また、上記実施形態では回転速度に対応づけられ
たデータ、押え圧に対応づけられたデータ、布送りピッ
チに対応づけられたデータ、回転角度に対応づけられた
データは補正値であったが、対応づけられたデータが送
り調節モータ28に流す保持電流のレベルであっても良
い。この場合、布送りピッチ、回転速度、押え圧、回転
角度の全ての組み合わせのデータを持つことになる。
【0064】また、制御装置8のROMに格納される制
御データを図7のようなデータテーブルとし、これらを
順次乗じることによって送り調節モータ28の停止位置
を保持する際の電流値を算出したが、回転速度vを変数
とした関数f(v)で補正値又は電流のレベルを表して
も良いし、回転角度θを変数とした関数g(θ)で補正
値又は電流のレベルを表しても良いし、布送りピッチp
を変数とした関数F(p)で補正値又は電流のレベルを
表しても良いし、押え圧qを変数とした関数G(q)で
補正値又は電流のレベルを表しても良いし、回転速度v
と回転角度θと布送りピッチpと押え圧qを変数とした
関数K(v,θ,p,q)で補正値又は電流のレベルを
表しても良い。制御装置8は、回転速度検出装置41で
検出した縫製中の回転速度、送り量設定装置44で設定
された縫製中の送り量、押え圧検出装置48で検出した
縫製中の押え圧、回転角度検出装置42で検出した縫製
中の回転角度これら関数に代入することで、保持電流の
レベルを算出し、そのレベルの保持電流を送り調節モー
タ28に流すように制御する。
【0065】また、ミシンモータ47は、針棒4を上下
に駆動する駆動源を兼ねているが、下軸10のみを回転
駆動するものでも良く、この場合には針棒4を上下に駆
動するモータをミシン1に別個設ける。また、制御装置
8のROMに格納された制御プログラム或いは制御デー
タが制御装置8に接続された外部記憶装置に格納されて
いても良い。また、前記した実施の形態では、角駒の傾
斜角度を保持する際の電流値(レベル)を、布送りピッ
チ、ミシンモータの回転速度、押さえ部材の押え圧、及
びミシン主軸の回転角度、の条件により補正したが、少
なくともこれらの条件の何れか一つの条件で電流値(レ
ベル)を補正しても良い。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、駆動モータに流れる保
持電流のレベルを制御しているため、駆動モータから角
駒に作用する力と慣性力を釣り合わせることができ、更
に、駆動モータに流れる電流のレベルを適正にすること
ができる。そのため、下軸一回転当たりの布送り量を一
定に保持しておくことができ、更に、駆動モータの発熱
や駆動モータからの音の発生を極力抑えることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る布送り装置を具備したミ
シンの正面図である。
【図2】図2は、図1の破断線A−Aから矢印方向に見
て示した下面図である。
【図3】図3は、布送り装置の分解斜視図である。
【図4】図4は、図2の破断線B−B及び破断線B’−
B’から矢印方向に見て示した図面である。
【図5】図5は、図2の破断線C−Cから矢印方向に見
て示した図面である。
【図6】図6は、布送り装置の制御系を示したブロック
図である。
【図7】図7は、布送り装置の制御装置のROMに格納
された制御データのデータテーブルの一例を示した図面
である。
【図8】図8は、布送り装置の制御装置の処理の流れを
示したフローチャートである。
【符号の説明】
1 ミシン 6 布押え(押え部材) 7 布送り装置 8 制御装置(制御手段) 10 下軸 20 送り歯 22 角駒 28 送り調節モータ(駆動モータ) 30 送り伝動機構 41 回転速度検出装置(速度検出手段) 42 回転角度検出装置(角度検出手段) 44 送り量設定装置(設定手段) 47 ミシンモータ 48 押え圧検出装置(押え圧検出手段) 49 主軸 90 布

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】布を送るための送り歯と、 ミシンモータによって回転される下軸の回転運動を前記
    送り歯に伝動して、前記送り歯を布送り運動する送り伝
    動機構と、 前記送り伝動機構に連結するとともに、傾斜角度が変わ
    ることで前記送り歯の布送り運動の軌跡を変更して、前
    記下軸一回転当たりの前記送り歯による布送り量を変更
    する角駒と、 前記角駒の傾斜角度を変更する駆動モータと、 前記下軸一回転当たりの前記送り歯による布送り量を設
    定する設定手段と、 前記設定手段によって設定された布送り量に対応する傾
    斜角度に前記角駒を前記駆動モータが保持する際に前記
    駆動モータに流れる保持電流のレベルを、前記設定手段
    によって設定された布送り量に基づき制御する制御手段
    と、 を具備することを特徴とするミシンの布送り装置。
  2. 【請求項2】布を送るための送り歯と、 ミシンモータによって回転される下軸の回転運動を前記
    送り歯に伝動して、前記送り歯を布送り運動する送り伝
    動機構と、 前記送り伝動機構に連結するとともに、傾斜角度が変わ
    ることで前記送り歯の布送り運動の軌跡を変更して、前
    記下軸一回転当たりの前記送り歯による布送り量を変更
    する角駒と、 前記角駒の傾斜角度を変更する駆動モータと、 前記下軸一回転当たりの前記送り歯による布送り量を設
    定する設定手段と、 前記ミシンモータの回転速度を検出する速度検出手段
    と、 前記設定手段によって設定された布送り量に対応する傾
    斜角度に前記角駒を前記駆動モータが保持する際に前記
    駆動モータに流れる保持電流のレベルを、前記速度検出
    手段によって検出された回転速度に基づき制御する制御
    手段と、 を具備することを特徴とするミシンの布送り装置。
  3. 【請求項3】押え部材に押さえられた布を送るための送
    り歯と、 ミシンモータによって回転される下軸の回転運動を前記
    送り歯に伝動して、前記送り歯を布送り運動する送り伝
    動機構と、 前記送り伝動機構に連結するとともに、傾斜角度が変わ
    ることで前記送り歯の布送り運動の軌跡を変更して、前
    記下軸一回転当たりの前記送り歯による布送り量を変更
    する角駒と、 前記角駒の傾斜角度を変更する駆動モータと、 前記下軸一回転当たりの前記送り歯による布送り量を設
    定する設定手段と、 前記押え部材が前記布を押さえる押え圧を検出する押え
    圧検出手段と、 前記設定手段によって設定された布送り量に対応する傾
    斜角度に前記角駒を前記駆動モータが保持する際に前記
    駆動モータに流れる保持電流のレベルを、前記押え圧検
    出手段によって検出された押え圧に基づき制御する制御
    手段と、 を具備することを特徴とするミシンの布送り装置。
  4. 【請求項4】布を送るための送り歯と、 ミシンモータによって回転される主軸に連動して回転す
    る下軸の回転運動を前記送り歯に伝動して、前記送り歯
    を布送り運動する送り伝動機構と、 前記送り伝動機構に連結するとともに、傾斜角度が変わ
    ることで前記送り歯の布送り運動の軌跡を変更して、前
    記下軸一回転当たりの前記送り歯による布送り量を変更
    する角駒と、 前記角駒の傾斜角度を変更する駆動モータと、 前記下軸一回転当たりの前記送り歯による布送り量を設
    定する設定手段と、 前記主軸の角度を検出する角度検出手段と、 前記設定手段によって設定された布送り量に対応する傾
    斜角度に前記角駒を前記駆動モータが保持する際に前記
    駆動モータに流れる保持電流のレベルを、前記角度検出
    手段によって検出された角度に基づき制御する制御手段
    と、 を具備することを特徴とするミシンの布送り装置。
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