JP3943987B2 - ミシンの布送り装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミシンの布送り装置に関し、特に、送り歯の送りピッチを変更するパルスモータの脱調を防止して安定的な縫製作業を実現させるミシンの布送り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、所定の縫製作業を行う際に被縫製物たる布地を所定の方向に送る布送り装置が種々提案され、実用化されている。従来の布送り装置としては、針板上に出没して布地を送る送り歯と、この送り歯の移動軌跡を変更させる機能を果たす角駒と、を備えるものが提案されている。かかる布送り装置においては、所定の基準位置に対する角駒の傾斜角度を変更することによって、送り歯の移動軌跡を変更し、もって送りピッチを変更するようにしている。
【0003】
角駒の傾斜角度を変更する手段の一例としては、図9に示したように、ミシン頭部200に設けた操作レバー210と、ミシンベッド300内に配置した角駒310と、を所定のリンク機構400によって機械的に接続し、止め縫いなどを行う際にこの操作レバー210を操作することによって、周知の送り調節ダイヤル220によりあらかじめ設定されている角駒310の傾斜角度を変更する手段が提案されている。
【0004】
また、この角駒の傾斜角度をパルスモータの駆動力により変更可能に構成し、操作手段の操作を電気的に検出して、止め縫いを行う際のオペレータによる操作手段に基づいて、パルスモータを駆動して角駒を所定の傾斜角度に設定することにより送りピッチを変更する手段も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、角駒は、ミシンの下軸に連結機構を介して接続されており、角駒の傾斜角度をパルスモータで変更して送りピッチを変更する場合、パルスモータには、下軸の回転駆動力によりミシンの回転速度に応じた負荷がかかる。通常、オペレータが止め縫いを行う場合、ミシンペダルの操作によりミシン速度を低下させてから行うため、問題とはならないが、オペレータが誤ってミシンの高速回転中に前記操作手段を操作した場合には、パルスモータが脱調し、その後所望の送りピッチでの縫製ができなくなるという問題があった。
【0006】
その対策として、操作手段が操作された際に、パルスモータにより角駒の傾斜角度を変更する前に、ミシン速度を低下させて角駒への負荷が少なくなってから角駒の傾斜角度を変更してパルスモータの脱調を防止することも考えられている。しかし、その場合、誤って操作手段を操作されるたびにミシンが低速に落とされるとともに、被縫製物に不必要な止め縫いの縫目が形成されてしまうという新たな不具合が発生することとなる。
【0007】
本発明の課題は、送りピッチ変更用パルスモータの脱調を防止して、安定的な縫製作業を実現させることができるミシンの布送り装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、請求項1記載の発明は、例えば図1から図7に示すように、
主軸モータ(4)により駆動される主軸に機械的に連動して針板(12)上に出没して布地を送る送り歯(11)と、
所定の基準位置に対する傾斜角度を変更することにより前記送り歯の移動軌跡を変更して送りピッチを変更する角駒(30)と、
前記角駒の前記傾斜角度を変更するパルスモータ(50)と、
を有するミシンの布送り装置において、
前記送りピッチを変更するための指令信号を出力する操作手段(操作レバー6および操作スイッチ7)と、
前記主軸モータの回転速度を検出する速度検出手段(4a)と、
前記操作手段が操作された際の前記主軸モータの回転速度が所定の上限速度以下であるか否かを判別する判別手段(CPU80および判別プログラム110)と、
前記主軸モータの回転速度が前記所定の上限速度以下であると判別された場合に前記操作手段の操作による指令信号を有効として前記パルスモータを駆動して前記送りピッチを変更する一方、前記主軸モータの回転速度が前記所定の上限速度より高いと判別された場合に前記操作手段の操作による指令信号を無効とする制御手段(CPU80)と、
前記操作手段により変更された送りピッチに応じて前記所定の上限速度を切り替える上限速度切替手段(CPU80および上限速度切替プログラム120)と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、角駒の傾斜角度を変更するための駆動源としてパルスモータを採用しており、送りピッチを変更するための指令信号を出力する操作手段と、主軸モータの回転速度を検出する速度検出手段と、操作手段が操作された際の主軸モータの回転速度が所定の上限速度以下であるか否かを判別する判別手段と、主軸モータの回転速度が所定の上限速度以下であると判別された場合に操作手段の操作による指令信号を有効としてパルスモータを駆動して送りピッチを変更する一方、主軸モータの回転速度が所定の上限速度より高いと判別された場合に操作手段の操作による指令信号を無効とする制御手段と、を備えるので、主軸モータの回転速度が所定の上限速度より高い場合に操作手段を操作しても、かかる操作手段の操作による指令信号を、制御手段によって容易に無効にすることができる。
【0010】
従って、オペレータが誤ってミシンの高速回転中に操作手段を操作した場合におけるパルスモータの脱調を、未然に防止することができ、安定的な縫製作業を実現させることができる。しかも、従来のように、誤って操作手段を操作されるたびにミシンが低速に落とされることがないので、被縫製物に不必要な止め縫いの縫目が形成されるのを未然に防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る布送り装置を備えたミシンの全体構成を説明するための概略図である。図2は、図1のII−II部分の断面図であり、ミシンのベッド部1内に設けられた布送り装置の構成要素を説明するためのものである。図3は、図2のIII−III部分の断面図であり、布送り装置を構成する送り伝動機構の構成を説明するためのものであり、図4は、布送り装置を構成するパルスモータ近傍の構成を説明するための説明図である。図5は、布送り装置を構成する操作手段である操作レバー6の近傍の構成を説明するための説明図である。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態に係るミシンは、ミシン脚卓Z上に載置され上面に針板12が設けられた(破線で示した)ベッド部1と、ベッド部1の上方においてベッド部1と略平行に延在するアーム部2と、アーム部2の前端部から下方に延出して上下動自在な針棒3と、図示していない上軸およびクランク機構を介して針棒3を上下動させる主軸モータ(ミシンモータ)4と、ベッド部1上に載置された布地を送る布送り装置と、ミシンの全ての動作を統合制御する制御装置5と、布送り装置を操作するための操作手段である操作レバー6および操作スイッチ7(以下、操作レバー6および操作スイッチ7を総称して「操作部材13」と称する:図6参照)と、踏込み量によってミシンモータ4の回転速度を調節する操作ペダル8と、縫製データやミシンモータ4の回転速度などを表示する操作パネル9と、ミシンモータ4の回転速度を検出する速度検出手段4a(図6参照)と、を備えている。このミシンは、針棒3の先端に装着された針をミシンモータ4で上下動させながら布送り装置により布地を所定の方向に送ることで、布地に縫い目を施すものである。なお、制御装置5は、布送り装置の制御装置を兼ねている。
【0014】
まず、図2ないし図5を用いて、本実施の形態に係る布送り装置の構成について説明する。布送り装置は、下軸10、下軸10の回転運動を送り歯11に伝動する送り伝動機構20、送り歯11の送りピッチ(下軸10一回転当たりの送り歯11による布送り量)を変更する角駒30、角駒30を嵌め込む送り調節軸40、角駒の傾斜角度を変更するパルスモータ50等を備えている。
【0015】
図2は、ベッド部1の内部を図1における紙面下側から見た図である。図2に示すように、ベッド部1内には、前後方向に延在する軸心を中心に回転自在とされた下軸10が取り付けられている。下軸10は、図示されていないリンク機構を介してミシンモータ4の駆動取出軸に連結されている。このため、ミシンモータ4が駆動されると、リンク機構を介して下軸10も回転するように構成されている。
【0016】
下軸10の前側端部には、(図示していない)布押えの下方に配置されるとともに針板12に対して出没可能に設けられ、布を送るための送り歯11が取り付けられている。下軸10の後方には、下軸10の回転運動を送り歯11に伝達して送り歯11を駆動する送り伝動機構20が取り付けられている。
【0017】
図3は、図2のIII−III部分の断面図であり、ベッド部1の上側を紙面上側に配置した状態を示している。送り伝動機構20は、水平送りカム21、水平送りロッド22、水平送り連結桿23、水平送り腕24、水平送り軸25、送り台腕26、送り台27、上下送りリンク28等を備えている。
【0018】
水平送りカム21は、下軸10に対して偏心した偏心カムを有しており、この偏心カムは、ベアリングを介して回転自在に水平送りロッド22の上側端部に連結している。水平送りロッド22の下側端部は、回転自在に水平送り連結桿23の左右中間部に連結している。
【0019】
水平送り連結桿23の右側端部は、水平送り腕24の下側端部に回転自在に連結されている。水平送り腕24の上側端部は水平送り軸25の後側端部に固定されている。水平送り軸25は、前後方向の軸心を中心に回転自在とされた状態でベッド部1に取り付けられており、水平送り軸25の前側端部は、送り台腕26の下側端部に固定されている。送り台腕26の上側端部は、送り台27の右側端部に回転自在に連結されている。
【0020】
送り台27上には送り歯11が固定されている。送り台27の左側端部は、上下送りリンク28の上側端部に回転自在に連結されている。上下送りリンク28の下側端部は下軸10の前側端部に回転自在に連結されている。一方、水平送り連結桿23の左側端部には角駒30が連結されている。
【0021】
角駒30は、所定の基準位置に対する傾斜角度(回動角度)を変更することによって送り歯11の移動軌跡を変更して送りピッチを変更するように機能するものである。角駒30は、送り調節軸40の前後中間部に形成された溝40aに嵌め込まれており、所定の基準位置から一定角度の回動が可能とされており、所定の送り調節蓋によって、溝40aから抜けないように構成されている。角駒30の傾斜角度は、後述するパルスモータ50によって変更される。
【0022】
図4は、図2に示したベッド部1に備えられたパルスモータ50近傍部分を矢印IVの方向から見た場合の一部透視図であり、ベッド部1の上側を紙面上側に配置した状態を示している。送り調節軸40は、前後方向の軸心を中心にして回転自在にベッド部1に取り付けられている。送り調節軸40の後側端部には、第1送り調節リンク41の上側端部が固定されている。第1送り調節リンク41の下側端部は、第2送り調節リンク42の左側端部に回転自在に連結されている。第2送り調節リンク42の右側端部は、第3送り調節リンク43の上側端部に回転自在に連結されている。第3送り調節リンク43の下側端部は、パルスモータ50の駆動取出軸51に固定されている。
【0023】
図5は、図1のアーム部2を矢印Vの方向から見た場合の一部透視図であり、図5(a)は布送り装置の操作レバー6を操作する前の状態を、図5(b)は図5(a)の状態から操作レバー6を下方に押し下げた状態を、各々示している。
【0024】
操作レバー6は、アーム部2に軸部材6aで回動可能に取り付けられている。軸部材6aには、操作レバー6とともに回動する第1連結部材6bが回動可能に取り付けられており、この第1連結部材6bは付勢手段であるコイルスプリング60によって下方に付勢されている。このため、操作レバー6は上方に回動するように付勢されているが、上方当接部6cによって上方への回動が阻止されている。また、アーム部2内には、操作レバー6の操作量(下方への押し下げ量)を規制するための下方当接部6dが設けられている。
【0025】
軸部材6aには、操作レバー6および第1連結部材6bとともに回動する第2連結部材6eが回動可能に取り付けられており、この第2連結部材6eの上方端部には、第3連結部材6fの上方端部が回動自在に連結されている。第3連結部材6fの下方端部には、その回動角度を検出するエンコーダ70が接続されている。
【0026】
操作レバー6を下方に押し下げて、第2、第3連結部材6e、6fを順次図5における反時計周りに回動させると、第3連結部材6eの回動角度がエンコーダ70によって検出される。この結果、操作レバー6の操作量がエンコーダ70によって間接的に検出されることとなる。エンコーダ70によって検出された操作レバー6の操作量は、電気的な指令信号に変換されて制御手段5に伝送される。制御手段5に設けられた後述するCPU80は、エンコーダ70からの指令信号を受けて、パルスモータ50を駆動する。
【0027】
操作スイッチ7は、通常、返し縫いスイッチまたはタッチバックスイッチと称される周知のスイッチであり、操作された際には、操作レバー6と同様に送りピッチを変更する指令信号が出力されるものである。操作スイッチ7が操作されると、操作レバー6と異なり、常に所定の一定の送りピッチとなるようにパルスモータ50が駆動される。
【0028】
次に、布送り装置の機械的な動作について説明する。ミシンのペダル7を踏み込んでミシンモータ4を駆動することによって下軸10を回転させると、この下軸10の回転運動が水平送りカム21、水平送りロッド22、水平送り連結桿23および水平送り腕24を介して水平送り軸25に伝達され、水平送り軸25が往復回動運動を行う。そして、水平送り軸25の往復回動運動が送り台腕26および送り台27を介して送り歯11に伝達され、送り歯11の左右方向の往復運動が実現することとなる。
【0029】
一方、下軸10の回転運動が上下送りリンク28を介して送り台27に伝達されることによって、送り台27上に固定された送り歯11の上下方向の往復運動が実現することとなる。
【0030】
この結果、送り歯11は、左右方向の往復運動と上下方向の往復運動との合成により円ないし楕円運動を行うことで、布押えによって上方から押さえられた布地を所定の方向に送る布送り運動を行う。
【0031】
ここで、送り歯11が、針板から上方へ突出している間に左から右へ移動するように円ないし楕円運動を行うと、布押えに押さえられた布は正送りされる。一方、送り歯11が、針板から上方へ突出している間に右から左へ移動するように円ないし楕円運動を行うと、布押えに押さえられた布は逆送りされる。
【0032】
送り歯11の正送りと逆送りの変換は、下軸10の回転位相に対する水平送り軸25の回動位相を変更することで行われるが、下軸10の回転位相や水平送り軸25の回動位相の変更は角駒30の傾斜角度(所定の基準位置に対する回動角度)が変更されることで実現される。すなわち、角駒30が図3に示した初期位置からA方向へ回動した場合には、送り歯11が正送りの運動を行い、角駒30が図3に示した初期位置からB方向へ回動した場合には、送り歯11が逆送りの運動を行う。
【0033】
また、送り歯11が正送りする場合でも逆送りする場合でも、送り歯11の運動軌跡は前記したように円形状ないし楕円形状であるが、左右方向の径が変更されることで、送りピッチ(下軸10一回転当たりの送り歯11による布送り量)が変更される。すなわち、下軸10一回転当たりの水平送り軸25を支点とした送り台腕26の回動角度の範囲が変更されることで、送り台27および送り歯11の運動軌跡における左右方向の径が変更され、これにより、送りピッチが変更される。具体的には、角駒30の回動角度が大きくなるにつれて下軸10一回転当たりの正逆布送り量(送りピッチ)が大きくなる。
【0034】
以上のように角駒30の傾斜角度(所定の基準位置からの回動角度)が変更されることによって、送り歯11の送り方向や送りピッチの変更を行うことができる。角駒30の傾斜角度の変更は、パルスモータ50によって行われる。
【0035】
すなわち、操作部材13を操作することによって図4に示したパルスモータ50を作動させ、駆動取出軸51を図4における時計回りに回転させると、第3、第2および第1送り調節リンク43、42および41を順次介して、送り調節軸40がA方向に回動する。一方、駆動取出軸51が反時計回りに回転すると、第3、第2および第1送り調節リンク43、42および41を順次介して、送り調節軸40がB方向に回動する。このように、パルスモータ50が第3、第2および第1送り調節リンク43、42および41を介して送り調節軸40を回動させることにより、角駒30の傾斜角度が変更される。
【0036】
次いで、本実施の形態に係る布送り装置の電気的な構成について、図6および図7を用いて説明する。図6は、本実施の形態に係る布送り装置を備えたミシンの電気的な構成を説明するためのブロック図であり、図7は、図6の制御装置に備えられるROM100に格納されたプログラムを説明するための説明図である。
【0037】
制御装置5は、CPU(Central Processing Unit)80、RAM(Random Access Memory)90、ROM(Read Only Memory)100等を備えており、ROM100に格納された各種制御プログラムに基づいてミシン全体の動作を統合制御するという機能を果たす。
【0038】
制御装置5は、図示していない入力インターフェースを介して操作レバー6、操作スイッチ7、操作ペダル8、操作パネル9等と電気的に接続されている。操作レバー6の操作量は、エンコーダ70によって検出されて電気的な指令信号に変換された上でCPU80に伝送される。また、操作ペダル7の操作量も、図示していないエンコーダによって電気的な指令信号に変換された上でCPU80に伝送される。
【0039】
操作ペダル7の操作量に係る指令信号を受けたCPU80は、図示していない駆動回路を介して主軸モータ4を駆動し、上軸を回転駆動して針棒3を上下動させ、所定の縫製作業を行う。この際、速度検出手段4aによって検出された主軸モータ4の回転速度に係る信号は、CPU80に伝送される。
【0040】
また、操作部材13に係る指令信号を受けたCPU80は、図示していない駆動回路を介してパルスモータ50を駆動し、第3、第2および第1送り調節リンク43、43および41を順次介して角駒30の傾斜角度を変更する。この操作により、送り歯11の送りピッチを変更することができる。
【0041】
また、CPU80は、縫製作業中に速度検出手段4aによって検出され伝送された主軸モータ4の回転速度や、縫製パターンや、縫製条件の設定状態等を操作パネル9に表示する。
【0042】
ROM100には、図7に示すように、操作部材13の操作時における主軸モータ4の回転速度が所定の上限速度以下であるか否かを判別するための判別プログラム110が記録されている。この判別プログラム110をCPU80が読み込んで起動させることによって、操作部材13が操作された際の主軸モータ4の回転速度が所定の上限速度以下であるか否かを判別することができる。すなわち、ROM100内の判別プログラム110およびCPU80は、判別手段である。
【0043】
CPU80は、ROM100内の判別プログラム110を実行させた結果、主軸モータ4の回転速度が所定の上限速度以下であると判別された場合には、操作部材13の操作を有効としてパルスモータ50を駆動して送りピッチを変更するという機能を果たす。一方、CPU80は、ROM100内の判別プログラム110を実行させた結果、主軸モータ4の回転速度が所定の上限速度より高いと判別された場合には、操作部材13の操作を無効とするという機能をも果たす。すなわち、CPU80は、本発明における制御手段である。
【0044】
また、ROM100には、図7に示すように、操作部材13の操作により変更された送りピッチに応じて、判別プログラム110が参照する所定の上限速度を切り替える上限速度切替プログラム120が記録されている。この上限速度切替プログラム120をCPU80が読み込んで判別プログラム110と協働させることにより、送りピッチに応じた上限速度によって、前記した判別動作を行うことができる。すなわち、ROM100内の上限速度切替プログラム120およびCPU80は、上限速度切替手段である。
【0045】
続いて、本発明に係る布送り装置の制御動作について、フローチャートを用いて説明する。
【0046】
本実施の形態においては、判別手段における上限速度を一定(2000rpm)とした場合における制御動作について、図8のフローチャートを用いて説明する。まず、ミシンの電源スイッチを投入し、操作ペダル8を踏み込んで主軸モータ4を駆動させ、上軸やクランク機構を介して針棒3を上下動させて所定の縫製動作を行う。この縫製動作中に、CPU80が、エンコーダ70によって検出された操作レバー6の操作量および操作スイッチ7の操作状態を読み込む(操作量読込工程:S1)。
【0047】
操作部材13の操作量が検出された場合には、CPU80が、速度検出手段4aによって検出された主軸モータ4の回転速度を読み込む(ミシン速度読込工程:S2)。一方、操作部材13の操作量が検出されなかった場合には、ミシン速度読込工程S2に進むことなく、制御動作を終了する。
【0048】
ミシン速度読込工程S2において、主軸モータ4の回転速度を読みこんだ後、CPU80は、ROM100に記録された判別プログラム110を起動させ、読み込まれた回転速度が所定の上限速度以下であるか否かを判別する(速度判別工程:S3)。本実施の形態においては、前記したように、所定の上限速度を2000rpmに設定している。
【0049】
速度判別工程S3において、主軸モータ4の回転速度が所定の上限速度(2000rpm)以下であると判別された場合には、CPU80は、操作部材13の操作を有効としてパルスモータ50を駆動して送りピッチを変更する(送りピッチ変更工程:S4)。一方、速度判別工程S3において、主軸モータ4の回転速度が所定の上限速度(2000rpm)より高いと判別された場合には、CPU80は、操作部材13の操作を無効として、パルスモータ50の駆動を行わずに制御動作を終了する。
【0050】
本実施の形態に係るミシンの布送り装置においては、角駒の傾斜角度を変更する手段としてパルスモータ50を採用しており、送りピッチを変更するための指令信号を出力する操作手段である操作部材13と、主軸モータ4の回転速度を検出する速度検出手段4aと、操作部材13が操作された際の主軸モータ4の回転速度が所定の上限速度以下であるか否かを判別する判別手段であるCPU80および判別プログラム110と、主軸モータ4の回転速度が所定の上限速度(2000rpm)以下であると判別された場合に操作部材13の操作による指令信号を有効としてパルスモータ50を駆動して送りピッチを変更する一方、主軸モータ4の回転速度が所定の上限速度(2000rpm)より高いと判別された場合に操作部材13の操作による指令信号を無効とする制御手段であるCPU80と、を備えるので、主軸モータ4の回転速度が所定の上限速度(2000rpm)より高い場合に操作部材13を操作しても、かかる操作部材13の操作により出力される指令信号を、CPU80によって容易に無効にすることができる。
【0051】
従って、オペレータが誤ってミシンの高速回転中に操作部材13を操作した場合におけるパルスモータ50の脱調を、未然に防止することができ、安定的な縫製作業を実現させることができる。しかも、従来のように、誤って操作部材13を操作されるたびにミシンが低速に落とされることがないので、被縫製物に不必要な止め縫いの縫目が形成されるのを未然に防止することができる。
【0052】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、適宜変更可能であるのは勿論である。
【0053】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、角駒の傾斜角度を変更するための駆動源としてパルスモータを採用しており、送りピッチを変更するための指令信号を出力する操作手段と、主軸モータの回転速度を検出する速度検出手段と、操作手段が操作された際の主軸モータの回転速度が所定の上限速度以下であるか否かを判別する判別手段と、主軸モータの回転速度が所定の上限速度以下であると判別された場合に操作手段の操作による指令信号を有効としてパルスモータを駆動して送りピッチを変更する一方、主軸モータの回転速度が所定の上限速度より高いと判別された場合に操作手段の操作による指令信号を無効とする制御手段と、を備えるので、主軸モータの回転速度が所定の上限速度より高い場合に操作手段を操作しても、かかる操作手段の操作による指令信号を、制御手段によって容易に無効にすることができる。
【0054】
従って、オペレータが誤ってミシンの高速回転中に操作手段を操作した場合におけるパルスモータの脱調を、未然に防止することができ、安定的な縫製作業を実現させることができる。しかも、従来のように、誤って操作手段が操作されるたびにミシンが低速に落とされることがないので、被縫製物に不必要な止め縫いの縫目が形成されるのを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る布送り装置を備えたミシンの全体構成を説明するための概略図である。
【図2】図1のII−II部分の断面図である。
【図3】図2のIII−III部分の断面図である。
【図4】本実施の形態に係る布送り装置のパルスモータ近傍の構成を説明するための説明図である。
【図5】本実施の形態に係る布送り装置の操作レバー近傍の構成を説明するための説明図である。
【図6】本実施の形態に係る布送り装置を備えたミシンの電気的な構成を説明するためのブロック図である。
【図7】図6の制御装置に備えられるROMに記録されたプログラムを説明するための説明図である。
【図8】本実施の形態に係る布送り装置を備えたミシンの制御動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】従来の布送り装置の操作レバーと角駒とを接続するリンク機構を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 ベッド部
2 アーム部
3 針棒
4 主軸モータ
4a 速度検出手段
5 制御装置
6 操作レバー
6a 軸部材6a
6b 第1連結部材
6c 上方規制部
6d 下方規制部
6e 第2連結部材
6f 第3連結部材
7 操作スイッチ
8 操作ペダル
9 操作パネル
10 下軸
11 送り歯
12 針板
13 操作部材
20 送り連結機構
21 水平送りカム
22 水平送りロッド
23 水平送り連結桿
24 水平送り腕
25 水平送り軸
26 送り台腕
27 送り台
28 上下送りリンク
30 角駒
40 送り調節軸
40a 溝
41 第1送り調節リンク
42 第2送り調節リンク
43 第3送り調節リンク
50 パルスモータ
51 駆動取出軸
60 コイルスプリング
70 エンコーダ
80 CPU
90 RAM
100 ROM
110 判別プログラム
120 上限速度切替プログラム
200 ミシン頭部
210 操作レバー
220 送り調節ダイヤル
300 ミシンベッド
310 角駒
400 リンク機構
S1 操作量読込工程
S2 ミシン速度読込工程
S3 速度判別工程
S4 送りピッチ変更工程
Claims (1)
- 主軸モータにより駆動される主軸に機械的に連動して針板上に出没して布地を送る送り歯と、
所定の基準位置に対する傾斜角度を変更することにより前記送り歯の移動軌跡を変更して送りピッチを変更する角駒と、
前記角駒の前記傾斜角度を変更するパルスモータと、
を有するミシンの布送り装置において、
前記送りピッチを変更するための指令信号を出力する操作手段と、
前記主軸モータの回転速度を検出する速度検出手段と、
前記操作手段が操作された際の前記主軸モータの回転速度が所定の上限速度以下であるか否かを判別する判別手段と、
前記主軸モータの回転速度が前記所定の上限速度以下であると判別された場合に前記操作手段の操作による指令信号を有効として前記パルスモータを駆動して前記送りピッチを変更する一方、前記主軸モータの回転速度が前記所定の上限速度より高いと判別された場合に前記操作手段の操作による指令信号を無効とする制御手段と、
前記操作手段により変更された送りピッチに応じて前記所定の上限速度を切り替える上限速度切替手段と、
を備えることを特徴とするミシンの布送り装置。
Priority Applications (1)
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JP2002138394A JP3943987B2 (ja) | 2002-05-14 | 2002-05-14 | ミシンの布送り装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002138394A JP3943987B2 (ja) | 2002-05-14 | 2002-05-14 | ミシンの布送り装置 |
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Family Applications (1)
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-
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- 2002-05-14 JP JP2002138394A patent/JP3943987B2/ja not_active Expired - Lifetime
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