JP2004328694A - アンテナ及び無線通信カード - Google Patents
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Abstract
【解決手段】給電位置1aにおいて給電されるアンテナ用エレメント1と、アンテナ用エレメント1と併置され、アンテナ用エレメント1の給電位置1aに対して先細り形状(2a及び2b)が形成されたグランドパターン2とを含む。このようにグランドパターン2に先細り形状を設けることにより、アンテナ用エレメント1との結合度合いを適切に調整することができ、広帯域化が可能となる。また、アンテナ用エレメント1とグランドパターン2が併置されるので、小型化も可能となる。なお、誘電体基板7にアンテナ用エレメント1が一体形成されれば、さらに小型化される。さらに、切欠部5が設けられているので、低周波域の特性が向上する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、広帯域アンテナ及び広帯域アンテナを用いた無線通信カードに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば特開昭57−142003号公報には以下のようなアンテナが開示されている。すなわち、図16(a−1)及び(a−2)に示すように、円盤状の形状を有する平板である輻射素子1001がアース板又は大地1002に対して垂直に立設されたモノポールアンテナが開示されている。このモノポールアンテナにおいては、高周波電源1004と輻射素子1001とは給電線1003で接続されており、輻射素子1001の頂部が1/4波長の高さになるように構成されている。また、図16(b−1)及び(b−2)に示すように、上部周縁が所定の放物線に沿った形状を有する平板である輻射素子1005がアース板又は大地1002に対して垂直に立設されたモノポールアンテナも開示されている。さらに、図16(c)に示すように、図16(a−1)及び(a−2)に示したモノポールアンテナの輻射素子1001を2つ対称配置して構成されるダイポールアンテナも開示されている。また、図16(d)に示すように、図16(b−1)及び(b−2)に示したモノポールアンテナの輻射素子1005を2つ対称配置して構成されるダイポールアンテナも開示されている。
【0003】
また例えば特開昭55−4109号公報には以下のようなアンテナが開示されている。すなわち、図16(e)に示すように、シート状に形成された楕円形のアンテナ1006が、反射面1007に対して、その長軸が平行に位置するように垂直に立設されており、給電は同軸給電線1008を通じて行われる。また、ダイポール式に構成した場合の例を図16(f)に示す。ダイポール式の場合には、シート状楕円形アンテナ1006aを、同一平面上に、且つそれらの短軸が同一直線上に位置するよう配置し、平衡給電線1009を接続するために両者に若干の間隔が設けられている。
【0004】
さらに「B−77 半円形状素子と線状素子の組み合わせによる超広帯域アンテナ」井原泰介,木島誠,常川光一,pp77,1996年電子情報通信学会総合大会(以下非特許文献1と呼ぶ)には、図16(g)に示すようなモノポールアンテナが開示されている。図16(g)では、半円状のエレメント1010を、地板1011に対して垂直に立設し、エレメント1010の円弧において地板1011に最も近い点を給電部1012としている。非特許文献1には、円の半径がほぼ1/4波長となる周波数fLが下限となることが示されている。また、非特許文献1には、図16(h)に示すように、図16(g)に示したエレメント1010に切り欠きを設けたエレメント1013を、地板1011に対して垂直に立設した例も説明されている。この非特許文献1では図16(g)のモノポールアンテナと図16(h)のモノポールアンテナとはVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)特性はほとんど変わらないとしている。さらに非特許文献1では図16(i)に示すように、図16(h)のように切り欠きを設けたエレメントに、fL以下で共振するエレメント1014aをメアンダモノポール構造として接続したエレメント1014を、地板1011に対して垂直に立設した例も示されている。なおエレメント1014aは、切り欠き部分に収まるように設置されている。エレメント1014aのためfLより低い周波数で共振しているが、VSWR特性は悪い。なお、非特許文献1に関係して、「B−131 円板モノポールアンテナの整合改善」本田聡、伊藤猷顯、関一、神保良夫,2−131,1992年電子情報通信学会春季大会(以下非特許文献2)、「広帯域円板モノポールアンテナについて」本田聡,伊藤猷顯,神保良夫,関一,テレビジョン学会技術報告Vol.15,No.59, pp.25−30, 1991.10.24(以下非特許文献3)にも円板モノポールアンテナについての記述がある。
【0005】
以上説明したアンテナは、グランド面に対して様々な形状の平板導体を垂直に立設したモノポールアンテナ及び同一形状を有する平板導体を2つ用いる対称型ダイポールアンテナである。
【0006】
また米国特許第6351246号公報(以下特許文献3と呼ぶ)には、図17に示すような特殊な対称型ダイポールアンテナが示されている。すなわち、導体であるバランス・エレメント1101及び1102の間にグランド・エレメント1103が設けられ、バランス・エレメント1101及び1102の最下部の端子1104及び1105は、同軸ケーブル1106及び1107に接続されている。バランス・エレメント1101には、同軸ケーブル1106及び端子1104を介して、ネガティブ・ステップ電圧が供給される。一方、バランス・エレメント1102には、同軸ケーブル1107及び端子1105を介して、ポジティブ・ステップ電圧が供給される。このアンテナ1100において、グランド・エレメント1103とバランス・エレメント1101又は1102の距離は、端子1104又は1105から外側方向に漸増するようになっているが、バランス・エレメント1101及び1102には上記のような異なる信号を入力しなければならず、且つ所望の特性を得るためには必ずバランス・エレメント1101及び1102並びにグランド・エレメント1103の3つのエレメントを用いなければならない。
【0007】
また、特開平8−213820号公報(以下、特許文献4)に開示されている自動車電話用ガラスアンテナ装置を図18に示す。図18では、窓ガラス1032上に、扇形状の放射用パターン1033と矩形状の接地用パターン1034とが形成され、給電点Aは同軸ケーブル1035の芯線1035aに接続され、接地点Bは同軸ケーブル1035の外側導体1035bに接続される。この特許文献4では、放射用パターン1033の形状は、二等辺三角形でも多角形でもよいとされている。
【0008】
さらに、米国特許公開公報2002−122010A1(以下特許文献5と呼ぶ)には、図19に示すように、グランド・エレメント1021内部に、テーパー付きの空領域1023と、給電点1025に伝送線1024が接続された駆動エレメント1022とが設けられたアンテナ1020が開示されている。なお、駆動エレメント1022において給電点1025の反対側でグランド・エレメント1021と駆動エレメント1022の間隔が最大となり、給電点1025付近でその間隔は最小となっている。駆動エレメント1022の給電点1025の反対側には窪みが設けられているが、窪み自体がグランド・エレメント1021と対向しており、駆動エレメント1022とグランド・エレメント1021との間隔を調整する一つの手段となっている。
【0009】
【特許文献1】
特開昭57−142003号
【特許文献2】
特開昭55−4109号
【特許文献3】
米国特許第6351246号
【特許文献4】
特開平8−213820号
【特許文献5】
米国特許公開公報2002−122010A1
【非特許文献1】
「B−77 半円形状素子と線状素子の組み合わせによる超広帯域アンテナ」井原泰介,木島誠,常川光一,pp77,1996年電子情報通信学会総合大会
【非特許文献2】
「B−131 円板モノポールアンテナの整合改善」本田聡、伊藤猷顯、関一、神保良夫,2−131,1992年電子情報通信学会春季大会
【非特許文献3】
「広帯域円板モノポールアンテナについて」本田聡,伊藤猷顯,神保良夫,関一,テレビジョン学会技術報告Vol.15,No.59, pp.25−30, 1991.10.24
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来から様々なアンテナが存在しているが、従来の垂直設置型モノポールアンテナではサイズが大きくなってしまい、放射導体とグランド面との距離を制御するのが困難であり、アンテナ特性の制御が難しくなるという問題がある。また、従来の対称型ダイポールアンテナも放射導体同士の距離は放射導体の形が同じであるため制御するのが困難であるためアンテナ特性の制御が難しくなるという問題がある。
【0011】
また、特許文献3の特殊な対称型ダイポールアンテナでは、多くのエレメントを用意し、エレメントに供給する信号についても2種類用意しなければならないと言う実装上の問題がある。また、グランド・エレメント1103はバランス・エレメント1101及び1102に対向しているが、バランス・エレメント1101及び1102に対向している辺は直線である。
【0012】
また、特許文献4の自動車電話用ガラスアンテナ装置では、接地用パターン1034の外形を加工することについては示唆も記載もされていない。
【0013】
また、特許文献5記載のアンテナは、小型化を指向しているが、グランド・エレメントの内側に駆動エレメントを設ける構造ではグランド・エレメントの分だけ小型化できない。また、グランド・エレメントの形状は駆動エレメントに対して先細り形状を有してはいない。
【0014】
以上のような問題に鑑み、本発明の目的は、小型化が可能であり且つより広帯域化が可能な新規な形状のアンテナ及び当該アンテナを用いた無線通信カードを提供することである。
【0015】
また本発明の他の目的は、小型化が可能であり且つアンテナ特性を制御し易くする新規な形状のアンテナ及び当該アンテナを用いた無線通信カードを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様に係るアンテナは、給電される面状のアンテナ用エレメントと、アンテナ用エレメントと併置されたグランドパターンとを具備し、グランドパターンを切り欠くことにより、アンテナ用エレメントとグランドパターンとの距離が連続的に変化する連続変化部が設けられたものである。
【0017】
このように連続変化部を設けることにより、アンテナ用エレメントとの結合度合いを適切に調整することができ、広帯域化が可能となる。また、アンテナ用エレメントとグランドパターンが併置されるので、小型化も可能となる。
【0018】
本発明の第2の態様に係るアンテナは、給電位置において給電されるアンテナ用エレメントと、アンテナ用エレメントと併置され、アンテナ用エレメントの給電位置に対して先細り形状が形成されたグランドパターンとを含む。
【0019】
このようにグランドパターンに先細り形状を設けることにより、アンテナ用エレメントとの結合度合いを適切に調整することができ、広帯域化が可能となる。
【0020】
また、上記先細り形状が、線分で構成される縁部と上に凸の曲線で構成される縁部と下に凸の曲線で構成される縁部とのうち少なくともいずれかにより構成されるようにしてもよい。アンテナ用エレメントの形状や所望の特性に応じて先細り形状を構成するためである。
【0021】
さらに、上記先細り形状が、アンテナ用エレメントの給電位置を通る直線に対して左右対称であるような構成でもよい。さらに、上記先細り形状の先端に、アンテナ用エレメントの給電位置に給電を行うための部分を収容するための窪みを設けるようにしてもよい。
【0022】
また、上記アンテナ用エレメントが誘電体基板上又は内部に形成され、グランドパターンが樹脂基板上又は内部に形成され、誘電体基板が樹脂基板上に載置されるようにしてもよい。アンテナ用エレメントを誘電体基板上又は内部に形成すると、アンテナの大きさをさらに小型化することができる。なお、アンテナ用エレメントを誘電体基板上又は内部に形成すると、グランドパターンとの結合が強くなるが、先細り形状を採用することによりグランドパターンとの結合度合いを調整することができ、広帯域化が実現できるようになる。
【0023】
さらに、上記アンテナ用エレメントが、給電位置から最も遠い縁部分からグランドパターン側に切欠きが設けられているような構成であってもよい。アンテナ用エレメントを小型化する場合でも切欠きを設けることにより、アンテナ用エレメント上の電流路の長さを十分に確保して低周波側の帯域を伸ばすものである。
【0024】
また、上記アンテナ用エレメントが、グランドパターンに対向する辺を底辺とし、当該底辺に対して垂直又は実質的に垂直に側辺が設けられ、上辺に切欠きが設けられた形状を有するようにしてもよい。アンテナ用エレメントについては低周波域の特性を確保するため小型化に限界があるが、上で述べた構成のアンテナ用エレメントを用いれば小型化且つ広帯域化が可能となる。なお、その際グランドパターンの先細り形状により、インピーダンス特性を全体的に向上させることができる。
【0025】
さらに、上記樹脂基板の上端部には、アンテナ用エレメントが形成された誘電体基板を載置するようにしてもよい。
【0026】
また、上記樹脂基板の上端部には、アンテナ用エレメントが形成された誘電体基板を載置し、グランドパターンを誘電体基板の左側及び右側のうち少なくともいずれかに伸びた領域を有するように形成してもよい。このような領域をグランドパターンに設けることにより低周波側の帯域を伸ばすことができるようになる。
【0027】
さらに、上記樹脂基板の右上端部と左上端部のうち少なくともいずれかには、アンテナ用エレメントが形成された誘電体基板を載置し、グランドパターンが誘電体基板が載置されるサイドとは反対サイドに伸びた領域を有するように形成してもよい。
【0028】
本発明の第3の態様に係るアンテナは、アンテナ用エレメントが一体として形成された誘電体基板と、誘電体基板が設置され且つ当該誘電体基板と併置されるグランドパターンが形成された基板とを具備し、グランドパターンには、アンテナ用エレメントの給電位置に対して先細り形状が形成されており、アンテナ用エレメントには、給電位置から最も遠い縁部分から、併置される前記グランドパターン側に切欠きが設けられるものである。
【0029】
また、誘電体基板が、基板の上端部に設置され、グランドパターンには、誘電体基板の左又は右のうち少なくともいずれかに伸びた領域が設けられるようにしてもよい。さらに、2つの誘電体基板が、基板の右上端部と左上端部に1/4波長離して配置され、グランドパターンには、2つの誘電体基板を分離するための領域が設けられるようにしてもよい。
【0030】
本発明の第4の態様に係るアンテナは、アンテナ用エレメントが一体として形成された誘電体基板と、誘電体基板が設置され且つ当該誘電体基板と併置されるグランドパターンが形成された基板とを具備し、グランドパターンには、アンテナ用エレメントの給電位置に対して先細り形状が形成されており、アンテナ用エレメントには、給電位置から最も遠い縁部分から、併置されるグランドパターン側に切欠きが設けられるものである。
【0031】
なお、グランドパターンとアンテナ用エレメント又は誘電体基板とは、非対向状態であり、互いの面が平行又は実質的に平行である、とも言える。また、グランドパターンとアンテナ用エレメント又は誘電体基板とは、完全には重なることなく、互いの面が平行又は実質的に平行であるとも言える。
【0032】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
本発明の第1の実施の形態に係るアンテナの構成を図1(a)及び(b)に示す。第1の実施の形態に係るアンテナは、切欠部5を有する導体の平面エレメント1を内部に含み且つ誘電率約20の誘電体基板7と、誘電体基板7にL1(=1.0mm)の間隔をおいて併置され且つ誘電体基板7の給電点1aに対して先細り形状が形成されたグランドパターン2と、例えばプリント基板(より具体的には例えば、FR−4、テフロン(登録商標)などを素材とする樹脂基板)である基板6と、平面エレメント1の給電点1aに接続される高周波電源3とにより構成される。誘電体基板7のサイズは、およそ8mm×10mm×1mmとなっている。また、給電点1aを通る直線4に対して平面エレメント1の底辺1bは垂直になっており、辺1cは直線4に平行になっている。平面エレメント1の底辺1bの角は隅切されており、辺1fが設けられ、底辺1bはこの辺1fを介して辺1cに接続している。また、平面エレメント1の天頂部1dには矩形の切欠部5が設けられている。切欠部5は、天頂部1dからグランドパターン2側に矩形に窪ませることにより形成されている。給電点1aは底辺1bの中点に設けられている。
【0033】
また、給電点1aを通る直線4に対して平面エレメント1とグランドパターン2とは左右対称となっている。従って、切欠部5も左右対称となっている。また、平面エレメント1の底辺1b上の点から直線4に平行にグランドパターン2まで降ろした線分の長さ(以下距離と呼ぶ)についても、直線4に対して左右対称となっている。
【0034】
図1(b)は側面図であり、基板6の上にグランドパターン2と、誘電体基板7とが設けられている。基板6とグランドパターン2が一体形成される場合もある。なお、本実施の形態では、誘電体基板7の内部に平面エレメント1が形成されている。すなわち、誘電体基板7は、セラミックス・シートを積層して形成され、そのうちの一層として導体の平面エレメント1も形成される。従って、実際は上から見ても図1(a)のようには見えない。誘電体基板7内部に平面エレメント1を構成すれば、露出させた場合に比して誘電体の効果が若干強くなるため小型化でき、さびなどに対する信頼性も増す。但し、誘電体基板7表面に平面エレメント1を形成するようにしてもよい。また、誘電率も変更することができ、単層、多層のいずれであってもよい。単層ならば基板6上に平面エレメント1を形成することになる。なお、本実施の形態において、誘電体基板7はグランドパターン2と平行又は実質的に平行に配置されている。この配置により、誘電体基板7の一層に含まれる平面エレメント1もグランドパターン2と平行又は実質的に平行になる。
【0035】
このように平面エレメント1を誘電体基板7で覆うような形で形成すると、誘電体により平面エレメント1周辺の電磁界の様子が変化する。具体的には、誘電体の中の電界密度が増す効果と波長短縮効果が得られるため、平面エレメント1を小型化することができるようになる。また、これらの効果により電流路の打ち上げ角度が変化し、アンテナのインピーダンス等価回路における誘導成分L及び容量成分Cが変化する。即ち、インピーダンス特性に大きな影響が出てくる。このインピーダンス特性への影響を踏まえた上で所望の帯域で所望のインピーダンス特性を得るように平面エレメント1の形状及びグランドパターン2の形状の最適化を行う。
【0036】
本実施の形態において、グランドパターン2の上縁部2a及び2bは、グランドパターン2の幅が20mmのところ、側端部において長さL2(=2乃至3mm)だけ直線4との交点より下に下がっている。すなわち、グランドパターン2は平面エレメント1に対して上縁部2a及び2bからなる先細り形状を有している。平面エレメント1の底辺1bは直線4に対して垂直になっているので、平面エレメント1の底辺1bとグランドパターン2との距離は、側端部に向けて連続的且つ線形に増加する。すなわち、本実施の形態に係るアンテナには、平面エレメント1とグランドパターン2との距離が連続的に変化する連続変化部が設けられている。このような連続変化部を設けることにより、平面エレメント1とグランドパターン2との結合度合いを調整している。この結合度合いを調整することにより、特に高周波側の帯域を延ばす効果がある。
【0037】
本実施の形態に係る平面エレメント1の形状は、より小型化を図ると共に、図2に示すように所望の周波数帯域(特に低周波域)を得るための電流路8を確保するため、矩形の切欠部5を有する形状となっている。この切欠部5の形状によってアンテナ特性を調整することができる。
【0038】
なお、平面エレメント1は、従来技術と同様にモノポールアンテナの放射導体であるとも考えられる。一方で、本実施の形態におけるアンテナは、グランドパターン2も放射に寄与している部分もあるので、ダイポールアンテナであるとも言える。但し、ダイポールアンテナは通常同一形状を有する2つの放射導体を用いるため、本実施の形態におけるアンテナは、非対称型ダイポールアンテナとも呼べる。さらに、本実施の形態におけるアンテナは、進行波アンテナとも言える。このような考え方は以下で述べる全ての実施の形態に適用可能である。
【0039】
[実施の形態2]
本発明の第2の実施の形態に係るアンテナは、図3に示すように、平面エレメント11を内部に含み且つ誘電率約20の誘電体基板17と、誘電体基板17と併置され且つその上端部12a及び12bが上に凸の曲線であるグランドパターン12と、例えばプリント基板である基板16と、平面エレメント11の給電点11aに接続される高周波電源13とにより構成される。誘電体基板17のサイズは、およそ8mm×10mm×1mmとなっている。また、給電点11aを通る直線14に対して平面エレメント11の底辺11bは垂直になっており、当該底辺11bに接続される辺11cは直線14に平行になっている。また、平面エレメント11の天頂部11dには切欠部15が設けられている。切欠部15は、天頂部11dからグランドパターン12側へ矩形に窪ませることにより形成されている。給電点11aは底辺11bの中点に設けられている。なお、第1の実施の形態に係る誘電体基板7の平面エレメント1と本実施の形態に係る誘電体基板17の平面エレメント11との差は、底辺の隅切りの有無である。
【0040】
平面エレメント11とグランドパターン12とは、給電点11aを通る直線14に対して、左右対称となっている。また、平面エレメント11の底辺11b上の点から直線14に平行にグランドパターン12まで降ろした線分の長さ(以下距離と呼ぶ)についても、直線14に対して左右対称となっている。
【0041】
グランドパターン12の上縁部12a及び12bが上に凸の曲線(例えば円弧)となっているため、グランドパターン12の側端部に向かって、平面エレメント11とグランドパターン12との距離は漸増してゆく。逆に言えば、鋭角ではないがグランドパターン12には平面エレメント11の給電点11aに対して先細り形状が形成されている。側面の構成については図1(b)と同様である。
【0042】
グランドパターン12の上縁部12a及び12bの曲線についてはその曲率を調整することにより、所望の周波数帯において所望のインピーダンス特性を得るようにすることができる。
【0043】
[実施の形態3]
本発明の第3の実施の形態に係るアンテナは、図4に示すように、第2の実施の形態と同じ形状の平面エレメント11を含む誘電体基板17と、当該誘電体基板17に併置され且つその上縁部22a及び22bがそれぞれ下向きの飽和曲線となっているグランドパターン22と、誘電体基板17及びグランドパターン22が設置される例えばプリント基板である基板26と、平面エレメント11の給電点11aと接続される高周波電源23とから構成される。
【0044】
平面エレメント11とグランドパターン22とは、給電点11aを通る直線24に対して、左右対称となっている。また、平面エレメント11の底辺11b上の点から直線24に平行にグランドパターン22まで降ろした線分の長さ(以下距離と呼ぶ)についても、直線24に対して左右対称となっている。
【0045】
グランドパターン22の上縁部22a及び22bが、それぞれ直線24との交点を起点とする下向きの飽和曲線、すなわち下に凸の曲線となっているため、平面エレメント11とグランドパターン22との距離は次第に所定の値に漸近するようになる。見方を変えれば、グランドパターン22には、誘電体基板17に対して先細り形状が形成されている。
【0046】
グランドパターン22の上縁部22a及び22bの曲線についてはその曲率を調整することにより、所望の周波数帯域において所定のインピーダンス特性を得るようにすることができる。
【0047】
[実施の形態4]
本発明の第2の実施の形態に係るアンテナのように、給電点11aを通る直線14に対して左右対称にグランドパターン12を形成できる場合は良いが、誘電体基板17の実装位置が例えば基板16の隅になってしまうと、グランドパターン12を左右対称に形成できない場合もある。ここでは、このようにグランドパターンが左右対称にできない場合の最適化例を示す。図5(a)に示すように、誘電体基板17を基板36の左隅に配置しなければならない場合、グランドパターン38は、誘電体基板17の中心線39から左部分の辺38aについては水平に、右部分の辺38bについては傾斜を付けて、さらに辺38aからL3(=3mm)下がった位置から右側の辺38cについては水平になるような形状を有している。但し、グランドパターン38には、誘電体基板17に対しては先細り形状が形成されている。なお、グランドパターン38の横幅L5は20mmで、右端の辺の長さL4は35mmである。また、誘電体基板17のサイズは第2の実施の形態と同じで、8mm×10mm×1mmである。
【0048】
このようなグランドパターン38を形成することにより左右対称の構成とほぼ同様のインピーダンス特性を得ることができるようになった。
【0049】
なお、比較の対象となるアンテナ構成を図5(b)に示す。図5(b)の例では、誘電体基板17は同じであり、グランドパターン32の側端部の長さが35mm(=L4)で、横幅が20mm(=L5)となっている。また、グランドパターン32の上縁部は最も高い部分から側端部までの高さが3mm(=L3)になるように2本の線分で構成されており、先細り形状が形成されている。
【0050】
図5(a)のアンテナのインピーダンス特性を図6に示す。図6のグラフは、縦軸がVSWRを、横軸が周波数(GHz)を示している。例えばVSWRが2.5以下となる周波数帯域は、およそ3GHzから7.8GHzとなり、広帯域化が実現されている。一方、図5(b)のアンテナのインピーダンス特性を図7に示す。図7のグラフも、縦軸がVSWRを、横軸が周波数(GHz)を示している。例えばVSWRが2.5以下となる周波数帯域は、およそ3.1GHzから7.8GHzとなり、図6と図7ではほぼ同様のインピーダンス特性を得ることができるようになっている。
【0051】
[実施の形態5]
本発明の第5の実施の形態に係るアンテナの構成を図8に示す。本実施の形態では、矩形の導体平板であり且つ切欠部45が設けられている平面エレメント41を誘電率約20の誘電体基板46に形成した場合の例を説明する。本実施の形態に係るアンテナは、平面エレメント41を内部に含み且つ外部電極46aが外部に設けられている誘電体基板46と、図示しない高周波電源と接続して平面エレメント41に給電し且つ誘電体基板46の外部電極46aと接続するための給電部48と、給電部48を収容するための窪み47を先端に有しており且つ平面エレメント41の給電位置に対して先細り形状が形成されたグランドパターン42とにより構成される。なお、誘電体基板46は、例えばプリント基板である基板49上に設置され、グランドパターン42は当該基板49の内部又は表面に形成される。
【0052】
外部電極46aは、平面エレメント41の突起部41aと接続しており、誘電体基板46の裏面(点線部分)まで伸びている。給電部48は、誘電体基板46の側面端部及び裏面に設けられた外部電極46aと接触し、点線部分で重なっている。
【0053】
平面エレメント41には、外部電極46aと接続する突起部41aと、グランドパターン42の辺42a及び42bに対向する辺41bと、低周波用の電流路を確保するための腕部41cと、天頂部41dからグランドパターン42方向に窪ませた矩形の切欠部45とが設けられている。また、辺41bと側辺部41gとは隅切りにより設けられた辺41hを介して接続している。なお、平面エレメント41を含む誘電体基板46は、グランドパターン42に対して併置されている。
【0054】
なお、本実施の形態では、誘電体基板46の内部に平面エレメント41が形成されている。すなわち、誘電体基板46は、セラミックス・シートを積層して形成され、そのうちの一層として導体の平面エレメント41も形成される。従って、実際は上から見ても図8のようには見えない。但し、誘電体基板46表面に平面エレメント41を形成するようにしてもよい。
【0055】
グランドパターン42において辺42a及び42bで構成され且つ先細り形状を有する先端には、給電部48を収容するための窪み47が設けられているため、平面エレメント41に対向するグランドパターン2の縁部は、一直線になっておらず、2つの辺42a及び42bに分割されている。なお、給電位置となる給電部48の中心を通る直線44にて、本実施の形態に係るアンテナは左右対称となっている。矩形の切欠部45及びグランドパターン42の先細り形状部分も左右対称となっている。平面エレメント41の辺41bとグランドパターン42の辺42a及び42bとの距離が、直線44から離れるほど直線的に長くなるように辺42a及び42bには傾斜が設けられている。なお、側面の構成については、給電部48及び外部電極46aの部分を除きほぼ図1(b)と同じである。
【0056】
図9に本実施の形態のアンテナのインピーダンス特性を示す。図9において、縦軸はVSWRを、横軸は周波数(GHz)を表す。VSWRが2.5以下の周波数帯域は、約3.1GHzから約7.6GHzとなっている。
【0057】
[実施の形態6]
以下の実施の形態6乃至9では、グランド形状の最適化例及び無線通信カードへの適用例を示す。基本的には第5の実施の形態(図8)に示した誘電体基板46及び平面エレメント41並びにグランドパターン42の形状を用いる。このような形状を採用することにより、約3GHzから12GHzという超広帯域アンテナを実現することができる。特に、グランドパターン42には平面エレメント41の給電位置41aに対して先細り形状が形成されているので、平面エレメント41とグランドパターン42との結合度合いを調整することができ、結果として好ましいインピーダンス特性に得ることができるようになる。なお、図8に示した平面エレメント41の底辺部分に設けられた辺41hについては設けなくともよい。
【0058】
本実施の形態では、PCカードやコンパクトフラッシュ(登録商標)(CF)カードなどの、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)などのスロットに挿入して用いる無線通信カードに適用する場合の例を図10に示す。図10には、第5の実施の形態に係る誘電体基板と同じ誘電体基板46と、給電位置41aに接続される高周波電源53と、グランドパターン52とを有するプリント基板59が示されている。誘電体基板46は、プリント基板59の右又は左上端部に、グランドパターン52に対してL7(=1mm)離れて設置される。誘電体基板46に対向する辺52a及び52bにより、給電位置41aに対して先細り形状が形成されている。給電位置41aに最も近い、グランドパターン52の点とプリント基板59の右側端部と辺52aとが交わる点の高さの差L8は、2乃至3mmであるが、以下でインピーダンス特性を比較する際にはこの長さを変えた場合の特性を説明する。先細り形状は、給電位置41aを通る直線に対して対称となっているが、辺52bは、長さL8の垂直の辺52cと接続しており、当該辺52cは水平の辺52dに接続している。図10では辺52dは水平で、誘電体基板46とグランドパターン52はその領域が上下に分けられている。なお、長さL6は10mmである。
【0059】
[実施の形態7]
本実施の形態に係る無線通信カードのプリント基板66を図11に示す。本実施の形態に係るプリント基板66は、第5の実施の形態に係る誘電体基板と同じ誘電体基板46と、給電位置41aに接続される高周波電源63と、グランドパターン62とを有する。誘電体基板46は、プリント基板66の右上端部に、グランドパターン62に対してL7(=1mm)離れて設置される。誘電体基板46に対向する辺62a及び62bにより、平面エレメント41の給電位置41aに対して先細り形状が形成されている。グランドパターン62と誘電体基板46の最短距離はL7となる。給電位置41aに最も近い、グランドパターン62の点とプリント基板66の右側端部と辺62aとが交わる点の高さの差L8は2乃至3mmである。辺62a及び62bにより構成される先細り形状は、給電位置41aを通る直線に対して対称となっているが、辺62bは、長さL8の垂直の辺62cと接続しており、当該辺62cは水平の辺62dに接続している。本実施の形態では、辺62dはさらに垂直の辺62eに接続している。これにより、グランドパターン62は、辺62e、辺62d、辺62c、辺62b、及び辺62aにより誘電体基板46を部分的に囲うように形成されている。すなわち、グランドパターン62は、平面エレメント41の全ての縁部を囲うことなく、且つ切欠部45を含む、平面エレメント41の縁部の少なくとも一部に対して開口が設けられるように形成される。本実施の形態では、平面エレメント41の、切欠部45を含む上縁部及び右側縁部に対向するグランドパターン62は設けられておらず、プリント基板66のカバーを考慮しなければ、開口が設けられていると言える。なお、L6は10mmである。また、図11では、右上端に誘電体基板46を配置する一例を示しているが、左上端に誘電体基板46を配置するようにしても良い。その際には、誘電体基板46の右側にグランドパターン62の領域が伸びるようになる。
【0060】
図12にL8の長さによる差及び誘電体基板46の左のグランド領域62fの存在の有無の差によるインピーダンス特性の差を比較するための図を示す。図12において、縦軸はVSWRを、横軸は周波数(MHz)を示し、一点鎖線はL8を3mmでグランド領域62fを設けた場合の特性を、点線はL8を3mmとした場合の特性を、二点鎖線はL8を0mmとした場合の特性を、実線はL8を2mmとした場合の特性を、太線はL8を2.5mmとした場合の特性を示す。L8=0mmの特性を表す二点鎖線は、約7700MHz以降の特性が悪いことが分かる。また、L8=2mmの特性を表す実線は、約7800MHzに比較的大きいピークが発生している。L8=2.5mmの特性を表す太線においても、約7900MHzに実線よりは低いピークが発生している。L8=3mmの特性を表す点線を見ると、約6400MHzから約8000MHzにVSWRが2を上回る部分が有るが、ピークは低くなっており、約8000MHz以降の特性は12000MHz近くで再度VSWRが2を超えるまで良好な特性を示している。また、低周波帯域においてもL8=2.5mm以下のものよりもVSWRの値が低くなっている。L8=3mmでグランド領域62fを追加した場合の特性を示す一点鎖線を見ると、約4500MHz部分に低いピークが発生していることを除けば、約3500MHz以降ずっとVSWRが2以下になっている。VSWRの閾値を2.4程度にすれば、約3000MHzから12000MHzという超広帯域を実現できている。このように誘電体基板46の左側のグランド領域62fを追加することにより、約6000MHzから9000MHzまでと低周波域の約3000MHzから4000MHzまでのVSWRが改善されるという効果がある。
【0061】
[実施の形態8]
本実施の形態では、第7の実施の形態をダイバーシティ・アンテナに適用した場合の例を示す。通常スペース・ダイバーシティ・アンテナは、1/4波長離れた2つのアンテナを切り替えて使用する。従って、図13に示すように、2つの誘電体基板をプリント基板76の左右の上端部に配置する。
【0062】
第1のアンテナとしては、第5の実施の形態における誘電体基板と同じ誘電体基板46と、給電位置41aに接続される高周波電源73aと、グランドパターン72とを含む。誘電体基板46は、プリント基板76の右上端部に、グランドパターン72に対して垂直方向に1mm離れて設置される。グランドパターン72の辺72a及び72bにより、平面エレメント41の給電点41aに対して先細り形状が形成される。給電位置41aに最も近いグランドパターン72の点とプリント基板76の右側端部と辺72aとが交わる点の高さの差は2乃至3mmである。辺72a及び72bにより構成される先細り形状は、給電位置41aを通る直線に対して対称となっているが、辺72bは垂直の辺72cと接続しており、当該辺72cは水平の辺72dに接続している。辺72dはさらに垂直の辺72eに接続している。すなわち、グランドパターン72に、誘電体基板46の左側面に対向し且つ第2のアンテナから分離するための部分72fが追加されている。これにより、グランドパターン72は、辺72e、辺72d、辺72c、辺72b、及び辺72aにより誘電体基板46を部分的に囲う形状を有している。すなわち、グランドパターン72は、平面エレメント41の全ての縁部を囲うことなく、且つ切欠部45を含む、平面エレメント41の縁部の少なくとも一部に対して開口が設けられるように形成される。本実施の形態では、平面エレメント41の、切欠部45を含む上縁部及び右側縁部に対向するグランドパターン72は設けられておらず、プリント基板76のカバーを考慮しなければ、開口が設けられていると言える。
【0063】
第2のアンテナとしては、誘電体基板46と同じ誘電体基板77と、給電位置71aに接続される高周波電源73bと、グランドパターン72とを含む。誘電体基板77は、プリント基板76の左上端部に、グランドパターン72に対して垂直方向に1mm離れて設置される。グランドパターン72の辺72g及び72hにより、誘電体基板77に含まれる平面エレメントの給電位置71aに対して先細り形状が形成されている。給電位置71aに最も近いグランドパターン72の点とプリント基板76の左側端部と辺72gとが交わる点の高さの差は2乃至3mmである。辺72g及び72hにより構成される先細り形状は、給電位置71aを通る直線に対して対称となっているが、辺72hは垂直の辺72iと接続しており、当該辺72iは水平の辺72jに接続している。辺72jはさらに垂直の辺72kに接続している。グランドパターン72には、誘電体基板77の右側面に対向し且つ第1のアンテナから分離するための部分72fが存在している。これにより、グランドパターン72は、辺72g、辺72h、辺72i、辺72j及び辺72kにより誘電体基板77を部分的に囲う形状を有している。すなわち、グランドパターン72は、平面エレメント77の全ての縁部を囲うことなく、且つ切欠部を含む、平面エレメントの縁部の少なくとも一部に対して開口が設けられるように形成される。本実施の形態では、平面エレメントの、切欠部を含む上縁部及び左側縁部に対向するグランドパターン72は設けられておらず、プリント基板76のカバーを考慮しなければ、開口が設けられていると言える。基本的にこの無線通信カードのプリント基板76は直線74に対して左右対称となっている。
【0064】
このようにすれば無線通信カードにおいてスペース・ダイバーシティ・アンテナを実装することができるようになる。
【0065】
[実施の形態9]
本実施の形態では、第5の実施の形態に係るアンテナをスティック型カードに適用した場合の例を図14に示す。本実施の形態に係るプリント基板86は、第5の実施の形態における誘電体基板と同じ誘電体基板46と、給電位置41aから接続される高周波電源83と、グランドパターン82とを有する。誘電体基板46は、プリント基板86の上端部に、グランドパターン82に対してL10(=1mm)離れて設置される。グランドパターン82には、辺82a及び82bにより、誘電体基板46の給電位置41aに対して先細り形態が形成されている。給電位置41aに最も近いグランドパターン82の点とプリント基板86の側端部と辺82a又は82bとが交わる点の高さの差L11は2乃至3mmとなっている。また先細り形状が形成されたグランドパターン82は、給電位置41aを通る直線に対して対称となっている。なお、L9は10mmである。
【0066】
このように誘電体基板46を用いれば、小さなスティック型カードに実装可能となる。
【0067】
[実施の形態10]
以上述べた実施の形態では、誘電体基板に平面エレメントが一体形成されている場合を述べたが、必ずしも平面エレメントは誘電体基板に一体形成されねばならないわけではない。以下、誘電体基板を用いないアンテナの例を示す。
【0068】
本発明の第10の実施の形態に係るアンテナの構成を図15(a)及び(b)に示す。導体で円形の平面エレメント91と、当該平面エレメントと併置されるグランドパターン92と、平面エレメント91の給電点91aと接続する高周波電源93とにより構成される。給電点91aは、平面エレメント91とグランドパターン92との距離が最短となる位置に設けられる。
【0069】
また、給電点91aを通る直線94に対して平面エレメント91とグランドパターン92とは左右対称となっている。さらに、平面エレメント91の円周上の点から直線94に平行にグランドパターン92まで降ろした線分の長さ(以下距離と呼ぶ)についても、直線94に対して左右対称となっている。すなわち、直線94からの距離が同じであれば、平面エレメント91の円周上の点からグランドパターン92までの距離D11及びD12は同じになる。
【0070】
本実施の形態では、平面エレメント91に対向するグランドパターン92の辺92a及び92bは、直線94から遠くなるほど平面エレメント91とグランドパターン92の距離が、より長くなるように傾けられている。すなわち、グランドパターン92には、平面エレメント91の給電点91aに対して先細り形状が形成されている。なお、辺92a及び92bの傾きについては、所望のアンテナ特性を得るために調整する必要がある。誘電体基板を用いる場合に比して、グランドパターン92との結合度合いは低くなっているので、あまり大きな傾きを設けると高周波域の特性が悪くなる。
【0071】
このように、平面エレメント91とグランドパターン92の距離を変更することにより、アンテナのインピーダンス等価回路における容量成分Cを変更することができる。図15(a)に示すように外側に向けて平面エレメント91とグランドパターン92の距離は広がっており、容量成分Cの大きさも外側に向かって小さくなる。従って、インピーダンス等価回路における誘導成分Lが比較的大きく効くようになる。
【0072】
また本実施の形態では、図15(b)で示すように、平面エレメント91は、グランドパターン92の中心線95上に配置されている。従って、本実施の形態においては平面エレメント91とグランドパターン92とが同一平面内に配置されている。但し、必ずしも同一平面内に配置しなくともよく、例えば互いの面が平行又はほぼ平行といった形で配置しても良い。
【0073】
さらに平面エレメント91の形状は、必ずしも円形に限定されず、逆三角形や、例えば円弧部分をグランドパターンに対向させ且つ直径部分からグランドパターン側に矩形の切欠部を設けた半円形などであってもよい。半円も完全な円を半分にしたものではなく、楕円を半分にしたものであっても良い。その際にも、グランドパターンに、平面エレメント91の給電位置に対して先細り形状を形成すれば、その形状によりインピーダンス特性の調整を行うことができる。
【0074】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、平面エレメントの切欠部の形状は矩形を代表例として述べたが、場合によっては台形その他の多角形を採用する場合もある。また、切欠部の角を丸くするような加工を行う場合もある。グランドパターンの先細り形状についても、給電のための電極を収容するための窪みを設ける例を示したが、先端が鋭角である必要は必ずしもない。また、平面エレメントとグランドパターンとは完全には重なることは無いが、その一部が重なることはあり得る。
【0075】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、小型化が可能であり且つより広帯域化が可能な新規な形状のアンテナを提供することができる。
【0076】
また他の側面として、小型化が可能であり且つアンテナ特性を制御し易くする新規な形状のアンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は第1の実施の形態におけるアンテナの構成を示す正面図、(b)は側面図である。
【図2】第1の実施の形態におけるアンテナの動作原理を説明するための図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態におけるアンテナの構成を示す図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態におけるアンテナの構成を示す図である。
【図5】(a)は、本発明の第4の実施の形態における第1のアンテナの構成を示す図、(b)は第2の構成を示す図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態における第1のアンテナのインピーダンス特性を示す図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態における第2のアンテナのインピーダンス特性を示す図である。
【図8】第5の実施の形態におけるアンテナの構成を示す図である。
【図9】第5の実施の形態におけるアンテナのインピーダンス特性を示す図である。
【図10】本発明の第6の実施の形態におけるアンテナの構成を示す図である。
【図11】本発明の第7の実施の形態におけるアンテナの構成を示す図である。
【図12】本発明の第6及び第7の実施の形態におけるアンテナのインピーダンス特性の変化を示すための図である。
【図13】本発明の第8の実施の形態におけるスペース・ダイバーシティ・アンテナの構成例を示す図である。
【図14】本発明の第9の実施の形態におけるスティック型無線通信カードにおけるアンテナ形状を示す図である。
【図15】(a)は、本発明の第10の実施の形態におけるアンテナの正面図、(b)は側面図である。
【図16】(a)乃至(i)は従来のアンテナの構成を示す図である。
【図17】従来のアンテナの構成を示す図である。
【図18】従来のアンテナの構成を示す図である。
【図19】従来のアンテナの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 平面エレメント
2 グランドパターン
3 高周波電源
4 対称線
5 切欠部
6 プリント基板
7 誘電体基板
Claims (12)
- 給電される面状のアンテナ用エレメントと、
前記アンテナ用エレメントと併置されたグランドパターンとを具備し、
前記グランドパターンを切り欠くことにより、前記アンテナ用エレメントと前記グランドパターンとの距離が連続的に変化する連続変化部が設けられたアンテナ。 - 給電位置において給電されるアンテナ用エレメントと、
前記アンテナ用エレメントと併置され、前記アンテナ用エレメントの給電位置に対して先細り形状が形成されたグランドパターンと、
を含むアンテナ。 - 前記先細り形状が、線分で構成される縁部と上に凸の曲線で構成される縁部と下に凸の曲線で構成される縁部とのうち少なくともいずれかにより構成される
ことを特徴とする請求項2記載のアンテナ。 - 前記先細り形状が、前記アンテナ用エレメントの給電位置を通る直線に対して左右対称であることを特徴とする請求項2記載のアンテナ。
- 前記先細り形状の先端に、前記アンテナ用エレメントの給電位置に給電を行うための部分を収容するための窪みが設けられていることを特徴とする請求項2記載のアンテナ。
- 前記アンテナ用エレメントは誘電体基板上又は内部に形成され、前記グランドパターンは樹脂基板上又は内部に形成され、前記誘電体基板が前記樹脂基板上に載置されることを特徴とする請求項2記載のアンテナ。
- 前記アンテナ用エレメントが、
前記グランドパターンに対向する辺を底辺とし、当該底辺に対して垂直又は実質的に垂直に側辺が設けられ、上辺に切欠きが設けられた形状を有する
ことを特徴とする請求項6記載のアンテナ。 - 前記樹脂基板の上端部には前記アンテナ用エレメントが形成された誘電体基板が載置され、前記グランドパターンが前記誘電体基板の左及び右のうち少なくともいずれかに伸びた領域を有するように形成されることを特徴とする請求項6記載のアンテナ。
- 前記樹脂基板の右上端部と左上端部のうち少なくともいずれかには前記アンテナ用エレメントが形成された誘電体基板が載置され、前記グランドパターンが前記誘電体基板が載置されるサイドとは反対サイドに伸びた領域を有するように形成されることを特徴とする請求項6記載のアンテナ。
- アンテナ用エレメントが一体として形成された誘電体基板と、
前記誘電体基板が設置され且つ当該誘電体基板と併置されるグランドパターンが形成された基板と、
を具備し、
前記グランドパターンには、前記アンテナ用エレメントの給電位置に対して先細り形状が形成されており、
前記アンテナ用エレメントには、前記給電位置から最も遠い縁部分から、併置される前記グランドパターン側に切欠きが設けられている
ことを特徴とするアンテナ。 - 2つの前記誘電体基板が、前記基板の右上端部と左上端部に1/4波長離して配置され、
前記グランドパターンには、2つの前記誘電体基板を分離するための領域が設けられている
ことを特徴とする請求項10記載のアンテナ。 - アンテナ用エレメントが一体として形成された誘電体基板と、
前記誘電体基板が設置され且つ当該誘電体基板と併置されるグランドパターンが形成された基板と、
を具備し、
前記グランドパターンには、前記アンテナ用エレメントの給電位置に対して先細り形状が形成されており、
前記アンテナ用エレメントには、前記給電位置から最も遠い縁部分から、併置される前記グランドパターン側に切欠きが設けられている
ことを特徴とする無線通信カード。
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