[実施の形態1]
本発明の第1の実施の形態に係るアンテナの構成を図1(a)及び図1(b)に示す。図1(a)に示すように、第1の実施の形態に係るアンテナは、円形の平面導体である平面エレメント101と、当該平面エレメント101に併置されるグランドパターン102と、高周波電源103とにより構成される。平面エレメント101は、高周波電源103と給電点101aにて接続されている。給電点101aは、平面エレメント101とグランドパターン102との距離が最短となる位置に設けられている。
また、給電点101aを通る直線111に対して平面エレメント101とグランドパターン102とは左右対称となっている。従って、平面エレメント101の円周上の点からグランドパターン102までの最短距離についても、直線111に対して左右対称となっている。すなわち、直線111からの距離が同じであれば、平面エレメント101の円周上の点からグランドパターン102までの最短距離L11及びL12は、同じになる。
本実施の形態では、平面エレメント101に面するグランドパターン102の辺102aは直線となっている。従って、平面エレメント101の下側円弧上の任意の点とグランドパターン102の辺102aとの最短距離は、給電点101aから遠ざかると共に円弧に従って曲線的に増加するようになっている。
また本実施の形態では、図1(b)に示す側面図のように、平面エレメント101は、グランドパターン102の中心線112上に配置されている。従って、本実施の形態においては平面エレメント101とグランドパターン102とが同一平面内に配置されている。但し、必ずしも同一平面内に配置しなくともよく、例えば互いの面が平行又はほぼ平行といった形で配置しても良い。
なお、本実施の形態において、グランドパターン102は、平面エレメント101を囲むことなく、グランドパターン102側と平面エレメント101側とが上下に分かれるように形成されている。すなわち、ある程度の大きさは必要ではあるが、グランドパターン102を、平面エレメント101の大きさに依存することなく形成することができる。さらに電気的な絶縁層を設けることによりグランドパターン102上に他の部品を配置することもできる。よって、平面エレメント101の大きさによってアンテナの実質的な大きさが決定されることになる。また、平面エレメント101の下側円弧の反対側の上側円弧は、グランドパターン102に直接対向しない縁部分であり、アンテナの設置場所等にもよるが、この部分の少なくとも一部はグランドパターン102により覆われることなく、グランドパターン102に設けられる開口部の方向に向くように配置される。
図1(a)及び図1(b)に示したアンテナの動作原理としては、図2に示すように給電点101aから平面エレメント101の円周に向けて放射状に広がる各電流路113がそれぞれ共振点を形成するため連続的な共振特性を得ることができ、広帯域化が実現される。図1(a)及び図1(b)の例では、平面エレメント101の直径に相当する電流路が最も長いため、直径の長さを1/4波長とする周波数がほぼ下限周波数となり、当該下限周波数以上において連続的な共振特性が得られる。このため、図2に示すように、平面エレメント101上に流れる電流による電磁界結合117が、グランドパターン102との間に発生する。すなわち、より周波数が低い場合には、放射に寄与する電流路113がグランドパターン102の辺102aに対して垂直に立っているために広範囲にグランドパターン102との結合を生じ、より高い周波数の場合には、電流路が水平に傾いていくため、狭い範囲にてグランドパターン102との結合が生じる。グランドパターン102との結合については、アンテナのインピーダンス等価回路における容量成分Cと考えられ、高周波帯域と低周波帯域では電流路の傾き加減によって容量成分Cが変化する。容量成分Cの値が変化すれば、アンテナのインピーダンス特性に大きく影響を与えることになる。より具体的には、容量成分Cは平面エレメント101とグランドパターン102との距離に関係している。これに対し、グランド面に対して垂直に円板を立設する場合には、グランド面と円板との距離を微妙に制御することはできない。図1(a)及び図1(b)に示すように平面エレメント101とグランドパターン102とを併置する場合には、グランドパターン102の形状を変更すれば、アンテナのインピーダンス等価回路における容量成分Cを変更することができるため、より好ましいアンテナ特性を得るように設計することができる。
また、グランド面に対して垂直に円板を立設する場合に比して本実施の形態の方がより広帯域化できるという効果もある。図3に、平面エレメント101を従来技術のようにグランド面に対して垂直に立設した場合のインピーダンス特性と、本実施の形態に係るアンテナのインピーダンス特性のグラフを示す。図3において、縦軸はVSWRを示し、横軸は周波数(GHz)を示す。太線122で表された従来技術に係るアンテナのVSWRの値は、明らかに8GHz以上の高周波帯域において悪化している。一方、実線121で表された本実施の形態に係るアンテナのVSWRの値は、一部の周波数帯域では2を若干上回るが、この帯域を除けば、約2.7GHzから10GHzを超える高周波帯域まで2を下回る。このように、単に平面エレメント101とグランドパターン102との距離が制御しやすくなるというだけではなく、平面エレメント101とグランドパターン102の「併置」により安定的に広帯域化できるという効果もある。
なお、平面エレメント101は、モノポールアンテナの放射導体であるとも考えられる。一方で、本実施の形態におけるアンテナは、グランドパターン102も放射に寄与している部分もあるので、ダイポールアンテナであるとも言える。但し、ダイポールアンテナは通常同一形状を有する2つの放射導体を用いるため、本実施の形態におけるアンテナは、非対称型ダイポールアンテナとも呼べる。さらに、本実施の形態におけるアンテナは、進行波アンテナとも言える。このような考え方は以下で述べる全ての実施の形態に適用可能である。
[実施の形態2]
本発明の第2の実施の形態に係るアンテナの構成を図4に示す。第1の実施の形態と同様に、円形の平面導体である平面エレメント201と、当該平面エレメント201と併置されるグランドパターン202と、平面エレメント201の給電点201aと接続する高周波電源203とにより構成される。給電点201aは、平面エレメント201とグランドパターン202との距離が最短となる位置に設けられる。
また、給電点201aを通る直線211に対して平面エレメント201とグランドパターン202とは左右対称となっている。さらに、平面エレメント201の円周上の点から直線211に平行にグランドパターン202まで降ろした線分の長さ(以下距離と呼ぶ)についても、直線211に対して左右対称となっている。すなわち、直線211からの距離が同じであれば、平面エレメント201の円周上の点からグランドパターン202までの距離L21及びL22は同じになる。
本実施の形態では、平面エレメント201に面するグランドパターン202の辺202a及び202bは、直線211から遠くなるほど平面エレメント201とグランドパターン202の距離が、さらに漸増するように傾けられている。すなわち、グランドパターン202には、平面エレメント201の給電点201aに対して先細り形状が形成されている。よって、平面エレメント201とグランドパターン202の距離は、円弧で規定される曲線以上に急激に増加するようになっている。なお、辺202a及び202bの傾きについては、所望のアンテナ特性を得るために調整する必要がある。
すなわち、第1の実施の形態でも述べたが、平面エレメント201とグランドパターン202の距離を変更することにより、アンテナのインピーダンス等価回路における容量成分Cを変更することができる。図4に示すように外側に向けて平面エレメント201とグランドパターン202の距離は広がっており、第1の実施の形態に比して容量成分Cの大きさは小さくなる。従って、インピーダンス等価回路における誘導成分Lが比較的大きく効くようになる。このようにしてインピーダンス制御を行うことにより、所望のアンテナ特性を得ることができるようになる。図4に示したアンテナも広帯域化を実現している。
本実施の形態においても、グランドパターン202は平面エレメント201を囲むことなく、グランドパターン202側と平面エレメント201側とが上下に分かれるように形成されている。また、平面エレメント201の下側円弧の反対側の上側円弧は、グランドパターン202に直接対向しない縁部分であり、アンテナの設置場所にもよるが、この部分の少なくとも一部はグランドパターン202に覆われることはない。
また本実施の形態に係るアンテナの側面の構成については、図1(b)とほぼ同じである。すなわち、本実施の形態においては平面エレメント201とグランドパターン202とが同一平面内に配置されている。但し、必ずしも両者を同一平面内に配置しなくともよく、例えば互いの面が平行又はほぼ平行といった形で配置しても良い。
[実施の形態3]
本発明の第3の実施の形態に係るアンテナの構成を図5に示す。本実施の形態に係るアンテナは、半円形の平面導体である平面エレメント301と、当該平面エレメント301と併置されるグランドパターン302と、平面エレメント301の給電点301aと接続する高周波電源303とにより構成される。給電点301aは、平面エレメント301とグランドパターン302との距離が最短となる位置に設けられる。
また、給電点301aを通る直線311に対して平面エレメント301とグランドパターン302とは左右対称となっている。従って、平面エレメント301の円弧上の点からグランドパターン302までの最短距離についても、直線311に対して左右対称となっている。すなわち、直線311からの距離が同じであれば、平面エレメント301の円弧上の点からグランドパターン302までの最短距離は同じになる。
本実施の形態では、平面エレメント301に面するグランドパターン302の辺302aは直線となっている。従って、平面エレメント301の円弧上の任意の点とグランドパターン302の辺302aとの最短距離は、給電点301aから遠ざかると共に円弧に沿って曲線的に増加するようになっている。
また本実施の形態に係るアンテナの側面の構成については、図1(b)とほぼ同じである。すなわち、本実施の形態においては平面エレメント301とグランドパターン302とが同一平面内に配置されている。但し、必ずしも両者を同一平面内に配置しなくともよく、例えば互いの面が平行又はほぼ平行といった形で配置しても良い。
本実施の形態においても、グランドパターン302は、平面エレメント301を囲むことなく、グランドパターン302側と平面エレメント301側とが上下に分かれるように形成されている。また、平面エレメント301の下側円弧の反対側の直線部分は、グランドパターン302に直接対向しない縁部分であり、アンテナの設置場所にもよるが、グランドパターン302には、少なくともこの部分のためにアンテナ外部に対する開口が形成される。
本実施の形態におけるアンテナの周波数特性は、平面エレメント301の半径及び平面エレメント301とグランドパターン302の距離によって制御することができる。平面エレメント301の半径によって、ほぼ下限周波数が決定される。なお、第2の実施の形態と同様にグランドパターン302の形状を変形してテーパーを付すようにしても良い。本実施の形態におけるアンテナについても広帯域化を実現している。
[実施の形態4]
本発明の第4の実施の形態に係るアンテナの構成を図6に示す。本実施の形態に係るアンテナは、半円形の平面導体であり且つ切欠部414が設けられている平面エレメント401と、平面エレメント401と併置されるグランドパターン402と、平面エレメント401の給電点401aと接続される高周波電源403とにより構成される。平面エレメント401の直径L41は例えば20mmであり、切欠部414の間口L42は例えば10mmであり、平面エレメント401の天頂部401b(給電点401aから最も遠い縁部)からグランドパターン402側に例えば深さL43(=5mm)くぼんでいる。給電点401aは、平面エレメント401とグランドパターン402との距離が最短となる位置に設けられる。
また、給電点401aを通る直線411に対して平面エレメント401とグランドパターン402とは左右対称となっている。切欠部414についても直線411に対して対称となっている。また、平面エレメント401の円弧上の点からグランドパターン402までの最短距離についても、直線411に対して左右対称となっている。すなわち、直線411からの距離が同じであれば、平面エレメント401の円弧上の点からグランドパターン402までの最短距離は同じになる。
本実施の形態では、平面エレメント401に面するグランドパターン402の辺402aは直線となっている。従って、平面エレメント401の円弧上の任意の点とグランドパターン402の辺402aとの最短距離は、給電点401aから遠ざかると共に円弧に沿って曲線的に漸増するようになっている。すなわち、本実施の形態に係るアンテナには、平面エレメント401とグランドパターン402との距離が連続的に変化する連続変化部が設けられている。このような連続変化部を設けることにより、平面エレメント401とグランドパターン402との結合度合いを調整している。この結合度合いを調整することにより、特に高周波側の帯域を延ばす効果がある。
また本実施の形態に係るアンテナの側面は、図1(b)とほぼ同じであり、平面エレメント401は、グランドパターン402の中心線上に配置されている。すなわち、本実施の形態においては平面エレメント401とグランドパターン402とが同一平面内に配置されている。但し、必ずしも両者を同一平面内に配置しなくともよく、例えば互いの面が平行又はほぼ平行といった形で配置しても良い。
さらに本実施の形態では、平面エレメント401は、当該平面エレメント401に設けられた切欠部414及び天頂部401b以外の縁部がグランドパターン402に対向するように配置される。逆にいえば、切欠部414が設けられた縁部は、グランドパターン402に対向せず、またグランドパターン402に囲まれない。すなわち、平面エレメント401の部分とグランドパターン402の部分が上下に分かれるため、無駄なグランドパターン402の領域を設ける必要がなく、小型化が容易になる。さらに、グランドパターン402の部分と平面エレメント401の部分が分かれていれば、グランドパターン402上に他の部品を載せることも可能となるため、全体としても小型化を図ることができるようになる。
次に本実施の形態に係るアンテナの動作原理を考える。第1の実施の形態と比べると、円形から半円形に基本形状が変更されているため、電流路の長さは円形の場合に比して短くなってしまう。円の半径より長い電流路も存在するが、円の半径の長さを1/4波長とする周波数がほぼ下限周波数となってしまい、小型化の影響で特に低周波域の特性が落ちてしまうという問題が生ずる。
そこで本実施の形態のように平面エレメント401に切欠部414を設けると、電流は給電点401aから天頂部401bまでを切欠部414のため直線的には流れることができず、図7に示すように切欠部414を迂回するようになる。このように、電流路413は切欠部414を迂回するような形で構成されるため長くなり、放射の下限周波数を低くすることができる。従って、広帯域化が実現できるようになる。
本実施の形態におけるアンテナは、切欠部414の形状及び平面エレメント401とグランドパターン402との距離によりそのアンテナ特性を制御し得るようになっている。但し、従来技術のように放射導体をグランド面に対して垂直に立設するようなアンテナでは、切欠部ではアンテナ特性を制御することができないことが知られている(非特許文献1参照のこと)。本実施の形態のように、平面エレメント401とグランドパターン402を併置することにより、切欠部414によりアンテナ特性を制御できるようになる。
図8に、平面エレメント401を従来技術のようにグランド面に対して垂直に立設した場合のインピーダンス特性と、図6に示す本実施の形態に係るアンテナのインピーダンス特性をグラフにして示す。図8において、縦軸はVSWRを示し、横軸は周波数(GHz)を示す。実線421で表された本実施の形態に係るアンテナのVSWRの値は、約2.8GHzから約5GHzの周波数帯域では2を下回り、約5GHzから約7GHzの周波数帯域では若干2を上回るが、約7GHzから約11GHzを超えるまでの周波数帯域ではほぼ2程度となっている。一方、太線422で表された従来技術に係るアンテナのVSWRの値は、約5GHzより低い周波数帯域では本実施の形態に係るアンテナよりも悪い。また11GHzより高い周波数帯域でも急激に悪化している。すなわちこのグラフは、本実施の形態のアンテナの方が低周波帯域及び高周波帯域でインピーダンス特性がよいという顕著な効果を示している。
このように単に平面エレメント401とグランドパターン402との距離が制御しやすくなるというだけではなく、平面エレメント401とグランドパターン402の「併置」により安定的に広帯域化できるという効果もある。そして、切欠部414により平面エレメント401の小型化も可能となっている。
なお図示はしないが、平面エレメント401に対向する、グランドパターン402の上縁部については、テーパーを付してもよい。切欠部414だけではなくグランドパターン402の上縁部の形状によっても、アンテナ特性を制御することができる。
さらに、切欠部414の形状は矩形に限定されるものではない。例えば、逆三角形の切欠部414を採用するようにしても良い。その場合には、例えば給電点401aと逆三角形の1つの頂点が直線411上に載るように配置する。さらに、切欠部414は、台形であってもよい。台形の場合には、その底辺を上辺より長くすると、電流路が切欠部414を迂回する長さが長くなるので平面エレメント401における電流路をより長くすることができる。また、切欠部414の角を丸める場合もある。
[実施の形態5]
本発明の第5の実施の形態に係るアンテナの構成を図9に示す。本実施の形態では、半円形の平面導体であり且つ切欠部514が設けられている平面エレメント501及びグランドパターン502を誘電率2から5のプリント基板(FR−4、テフロン(登録商標)などを素材とする樹脂基板)に形成した場合の例を説明する。
第5の実施の形態に係るアンテナは、平面エレメント501と、当該平面エレメント501と併置されるグランドパターン502と、平面エレメント501に接続される高周波電源とから構成される。なお図9において高周波電源は省略されている。平面エレメント501には、高周波電源に接続され且つ給電点を構成する突起部501aと、グランドパターン502の辺502aに対向する曲線部501bと、天頂部501dからグランドパターン502の方向に窪ませた矩形の切欠部514と、低周波用の電流路を確保するための腕部501cとが設けられている。なお、側面の構成については図1(b)とほぼ同じである。すなわち、平面エレメント501とグランドパターン502とが完全には重ならず、互いの面が平行又は実質的に平行に設けられる。
グランドパターン502には、平面エレメント501の突起部501aを収容するための窪み515が設けられている。従って、平面エレメント501に対向する辺502aは、一直線になっておらず、2つの辺に分割されている。なお、給電位置となる突起部501aの中心を通る直線511にて、本実施の形態に係るアンテナは左右対称となっている。すなわち、切欠部514も左右対称である。平面エレメント501の曲線501bとグランドパターン502の辺502aとの距離は、直線511から離れるほど次第に長くなっている。
本実施の形態においても、グランドパターン502は、平面エレメント501を囲むことなく、突起部501aと窪み515の部分を除き、グランドパターン502側と平面エレメント501側とが上下に分かれるように形成されている。また、平面エレメント501の切欠部514及び天頂部501dは、グランドパターン502に直接対向しない縁部分であり、アンテナの設置場所にもよるが、グランドパターン502には、少なくともこの部分のためにアンテナ外部に対する開口が形成される。
なお、切欠部514の形状は矩形に限定されるものではない。第4の実施の形態において述べたような切欠部の形状を採用するようにしても良い。
図10に本実施の形態のアンテナのインピーダンス特性を示す。図10において、縦軸はVSWRを、横軸は周波数(GHz)を表す。VSWRが2.5以下の周波数帯域は、約2.9GHzから約9.5GHzと広帯域になっている。約6GHzで一旦VSWRが2近くになっているが、許容できる範囲である。VSWRが2.5となる周波数が約2.9GHzと非常に低くなっているのは切欠部514を設けたためである。
[実施の形態6]
本発明の第6の実施の形態に係るアンテナの構成を図11に示す。本実施の形態では、矩形の平面導体であり且つ切欠部614が設けられている平面エレメント601及びグランドパターン602を誘電率2から5のプリント基板(FR−4、テフロン(登録商標)などを素材とする樹脂基板)に形成した場合の例を説明する。
第6の実施の形態に係るアンテナは、平面エレメント601と、当該平面エレメント601と併置されるグランドパターン602と、平面エレメント601に接続される高周波電源とから構成される。なお図11において高周波電源は省略されている。平面エレメント601には、高周波電源に接続し且つ給電点を構成する突起部601aと、グランドパターン602の辺602aに対向する底辺601aと、当該底辺601aに対して垂直に接続されている側辺部601bと、天頂部601dからグランドパターン602の方向に窪ませた矩形の切欠部614と、低周波用の電流路を確保するための腕部601cとが設けられている。
グランドパターン602には、平面エレメント601の突起部601aを収容するための窪み615が設けられている。従って、平面エレメント601に対向する辺602aは、一直線になっておらず、2つの辺に分割されている。なお、給電位置となる突起部601aの中心を通る直線611にて、本実施の形態に係るアンテナは左右対称となっている。従って、切欠部614も左右対称となっている。
本実施の形態においても、グランドパターン602は、平面エレメント601を囲むことなく、グランドパターン602側と平面エレメント601側とが上下に分かれるように形成されている。すなわち、グランドパターン602は、平面エレメント601の全ての縁部を囲うことなく、且つ切欠部614を含む平面エレメント601の縁部の少なくとも一部に対して開口が設けられるように形成される。
また、側面の構成は図1(b)とほぼ同じである。すなわち、平面エレメント601の面とグランドパターン602の面とは平行又は実質的に平行となるように配置されている。
なお、切欠部614の形状は矩形に限定されるものではない。第4の実施の形態において述べたような切欠部の形状を採用するようにしても良い。
図12に本実施の形態のアンテナのインピーダンス特性を示す。図12において、縦軸はVSWRを、横軸は周波数(GHz)を表す。全体的に好ましい特性を示していないが、これはグランドパターン602の辺602aと平面エレメント601の底辺601aが平行になっており、インピーダンスの調整が行われていないためである。但し、楕円621で囲んだ部分では、切欠部614による効果が現れており、VSWRカーブの低下度合いが比較的大きくなっている。
本実施の形態のように、グランドパターン602の辺602aと平面エレメント601の底辺601aを平行にせず、グランドパターン602と平面エレメント601との間隔が外側から給電点601aに向かって連続的に短くなるように、グランドパターン602をカットするようにしても良い。カットの方式としては、直線的であっても、曲線的であっても良い。
[実施の形態7]
本発明の第7の実施の形態に係るアンテナの構成を図13(a)及び図13(b)に示す。第7の実施の形態に係るアンテナは、切欠部714を有する導体の平面エレメント701を内部に含み且つ誘電率約20の誘電体基板705と、誘電体基板705にL71(=1.0mm)の間隔をおいて併置され且つ誘電体基板705の給電点701aに対して先細り形状が形成されたグランドパターン702と、例えばプリント基板(より具体的には例えば、FR−4、テフロン(登録商標)などを素材とする樹脂基板)である基板704と、平面エレメント701の給電点701aに接続される高周波電源703とにより構成される。誘電体基板705のサイズは、およそ8mm×10mm×1mmとなっている。また、給電点701aを通る直線711に対して平面エレメント701の底辺701bは垂直になっており、辺701cは直線711に平行になっている。平面エレメント701の底辺701bの角は隅切されており、辺701fが設けられ、底辺701bはこの辺701fを介して辺701cに接続している。また、平面エレメント701の天頂部701dには矩形の切欠部714が設けられている。切欠部714は、天頂部701dからグランドパターン702側に矩形に窪ませることにより形成されている。給電点701aは底辺701bの中点に設けられている。
また、給電点701aを通る直線711に対して平面エレメント701とグランドパターン702とは左右対称となっている。従って、切欠部714も左右対称となっている。また、平面エレメント701の底辺701b上の点から直線711に平行にグランドパターン702まで降ろした線分の長さ(以下距離と呼ぶ)についても、直線711に対して左右対称となっている。
本実施の形態においても、グランドパターン702は、平面エレメント701を含む誘電体基板705を囲むことなく、グランドパターン702側と誘電体基板705側とが上下に分かれるように形成されている。すなわち、グランドパターン702は、平面エレメント701の全ての縁部を囲うことなく、且つ切欠部714を含む平面エレメント701の縁部の少なくとも一部に対して開口が設けられるように形成される。
図13(b)は側面図であり、基板704の上にグランドパターン702と、誘電体基板705とが設けられている。基板704とグランドパターン702が一体形成される場合もある。なお、本実施の形態では、誘電体基板705の内部に平面エレメント701が形成されている。すなわち、誘電体基板705は、セラミックス・シートを積層して形成され、そのうちの一層として導体の平面エレメント701も形成される。従って、実際は上から見ても図13(a)のようには見えない。誘電体基板705内部に平面エレメント701を構成すれば、露出させた場合に比して誘電体の効果が若干強くなるため小型化でき、さびなどに対する信頼性も増す。但し、誘電体基板705表面に平面エレメント701を形成するようにしてもよい。また、誘電率も変更することができ、単層、多層のいずれであってもよい。単層ならば基板704上に平面エレメント701を形成することになる。なお、本実施の形態において、誘電体基板705の面はグランドパターン702の面と平行又は実質的に平行に配置されている。この配置により、誘電体基板705の一層に含まれる平面エレメント701の面もグランドパターン702の面と平行又は実質的に平行になる。
このように平面エレメント701を誘電体基板705で覆うような形で形成すると、誘電体により平面エレメント701周辺の電磁界の様子が変化する。具体的には、誘電体の中の電界密度が増す効果と波長短縮効果が得られるため、平面エレメント701を小型化することができるようになる。また、これらの効果により電流路の打ち上げ角度が変化し、アンテナのインピーダンス等価回路における誘導成分L及び容量成分Cが変化する。即ち、インピーダンス特性に大きな影響が出てくる。このインピーダンス特性への影響を踏まえた上で所望の帯域で所望のインピーダンス特性を得るように平面エレメント701の形状及びグランドパターン702の形状の最適化を行う。
本実施の形態において、グランドパターン702の上縁部702a及び702bは、グランドパターン702の幅が20mmのところ、側端部において長さL72(=2乃至3mm)だけ直線711との交点より下に下がっている。すなわち、グランドパターン702は平面エレメント701に対して上縁部702a及び702bからなる先細り形状を有している。平面エレメント701の底辺701bは直線711に対して垂直になっているので、平面エレメント701の底辺701bとグランドパターン702との距離は、側端部に向けて連続的且つ線形に増加する。すなわち、本実施の形態に係るアンテナには、平面エレメント701とグランドパターン702との距離が連続的に変化する連続変化部が設けられている。このような連続変化部を設けることにより、平面エレメント701とグランドパターン702との結合度合いを調整している。この結合度合いを調整することにより、特に高周波側の帯域を延ばす効果がある。
本実施の形態に係る平面エレメント701の形状は、より小型化を図ると共に、図14に示すように所望の周波数帯域(特に低周波域)を得るための電流路713を確保するため、矩形の切欠部714を有する形状となっている。この切欠部714の形状によってアンテナ特性を調整することができる。
[実施の形態8]
本発明の第8の実施の形態に係るアンテナは、図15に示すように、平面エレメント801を内部に含み且つ誘電率約20の誘電体基板805と、誘電体基板805と併置され且つその上端部802a及び802bが上に凸の曲線であるグランドパターン802と、例えばプリント基板である基板804と、平面エレメント801の給電点801aに接続される高周波電源803とにより構成される。誘電体基板805のサイズは、およそ8mm×10mm×1mmとなっている。また、給電点801aを通る直線811に対して平面エレメント801の底辺801bは垂直になっており、当該底辺801bに接続される辺801cは直線811に平行になっている。また、平面エレメント801の天頂部801dには切欠部814が設けられている。切欠部814は、天頂部801dからグランドパターン802側へ矩形に窪ませることにより形成されている。給電点801aは底辺801bの中点に設けられている。なお、第7の実施の形態に係る誘電体基板705に含まれる平面エレメント701と本実施の形態に係る誘電体基板805に含まれる平面エレメント801との差は、底辺の隅切りの有無である。
平面エレメント801とグランドパターン802とは、給電点801aを通る直線811に対して、左右対称となっている。また、平面エレメント801の底辺801b上の点から直線811に平行にグランドパターン802まで降ろした線分の長さ(以下距離と呼ぶ)についても、直線811に対して左右対称となっている。
グランドパターン802の上縁部802a及び802bが上に凸の曲線(例えば円弧)となっているため、グランドパターン802の側端部に向かって、平面エレメント801とグランドパターン802との距離は漸増してゆく。逆に言えば、鋭角ではないがグランドパターン802には平面エレメント801の給電点801aに対して先細り形状が形成されている。
本実施の形態においても、グランドパターン802は、平面エレメント801を含む誘電体基板805を囲むことなく、グランドパターン802側と誘電体基板805側とが上下に分かれるように形成されている。すなわち、グランドパターン802は、誘電体基板805の全ての側面を囲うことなく、且つ切欠部814を含む、平面エレメント801の縁部に近接する誘電体基板805の側面の少なくとも一部に対して開口が設けられるように形成される。
また、側面の構成については図13(b)と同様である。すなわち、平面エレメント801を含む誘電体基板805の面と、グランドパターン802の面とは平行又は実質的に平行となるように配置されている。
グランドパターン802の上縁部802a及び802bの曲線についてはその曲率を調整することにより、所望の周波数帯において所望のインピーダンス特性を得ることができる。
[実施の形態9]
本発明の第9の実施の形態に係るアンテナは、図16に示すように、第8の実施の形態と同じ形状の平面エレメント801を含む誘電体基板805と、当該誘電体基板805に併置され且つその上縁部902a及び902bがそれぞれ下向きの飽和曲線となっているグランドパターン902と、誘電体基板805及びグランドパターン902が設置される例えばプリント基板である基板904と、平面エレメント801の給電点801aと接続される高周波電源903とから構成される。
平面エレメント801とグランドパターン902とは、給電点801aを通る直線911に対して、左右対称となっている。また、平面エレメント801の底辺801b上の点から直線911に平行にグランドパターン902まで降ろした線分の長さ(以下距離と呼ぶ)についても、直線911に対して左右対称となっている。
グランドパターン902の上縁部902a及び902bが、それぞれ直線911との交点を起点とする下向きの飽和曲線、すなわち下に凸の曲線となっているため、平面エレメント801とグランドパターン902との距離は次第に所定の値に漸近するようになる。見方を変えれば、グランドパターン902には、誘電体基板805に対して先細り形状が形成されている。
本実施の形態においても、グランドパターン902は、平面エレメント801を含む誘電体基板805を囲むことなく、グランドパターン902側と誘電体基板805側とが上下に分かれるように形成されている。すなわち、グランドパターン902は、平面エレメント801の全ての縁部を囲うことなく、且つ切欠部を含む、平面エレメント801の縁部の少なくとも一部に対して開口が設けられるように形成される。
なお、側面の構成については、ほぼ図13Bと同じである。すなわち、平面エレメント801を含む誘電体基板805の面と、グランドパターン902の面とは平行又は実質的に平行となるように配置されている。
グランドパターン902の上縁部902a及び902bの曲線についてはその曲率を調整することにより、所望の周波数帯域において所定のインピーダンス特性を得ることができる。
[実施の形態10]
本発明の第8の実施の形態に係るアンテナのように、給電点801aを通る直線811に対して左右対称にグランドパターン802を形成できる場合は良いが、誘電体基板805の実装位置が例えば基板804の隅になってしまうと、グランドパターン802を左右対称に形成できない場合もある。ここでは、このようにグランドパターンが左右対称にできない場合の最適化例を示す。図17(a)に示すように、誘電体基板805を基板1004の左隅に配置しなければならない場合、グランドパターン1002は、誘電体基板805の中心線1011から左部分の辺1002aについては水平に、右部分の辺1002bについては傾斜を付けて、さらに辺1002aからL101(=3mm)下がった位置から右側の辺1002cについては水平になるような形状を有している。但し、グランドパターン1002には、誘電体基板805に対しては先細り形状が形成されている。なお、グランドパターン1002の横幅L103は20mmで、右端の辺の長さL102は35mmである。また、誘電体基板805のサイズは第8の実施の形態と同じで、8mm×10mm×1mmである。
本実施の形態においても、グランドパターン1002は、平面エレメントを含む誘電体基板805を囲むことなく、グランドパターン1002側と誘電体基板805側とが上下に分かれるように形成されている。すなわち、グランドパターン1002は、平面エレメントの全ての縁部を囲うことなく、且つ切欠部を含む平面エレメントの縁部の少なくとも一部に対して開口が設けられるように形成される。
このようなグランドパターン1002を形成することにより左右対称の構成とほぼ同様のインピーダンス特性を得ることができるようになった。
なお、比較の対象となるアンテナ構成を図17(b)に示す。図17(b)の例では、誘電体基板805は図17(a)と同じものである。グランドパターン1022の側端部の長さは35mm(=L102)で、横幅は20mm(=L103)となっている。また、グランドパターン1022の上縁部は2本の線分で構成されており、誘電体基板805に対して先細り形状が形成されている。グランドパターン1022の上縁部の最も高い部分から最も低い部分までの差は3mm(=L101)である。
図17(a)のアンテナのインピーダンス特性を図18に示す。図18のグラフは、縦軸がVSWRを、横軸が周波数(GHz)を示している。例えばVSWRが2.5以下となる周波数帯域は、およそ3GHzから7.8GHzとなり、広帯域化が実現されている。一方、図17(b)のアンテナのインピーダンス特性を図19に示す。図19のグラフも、縦軸がVSWRを、横軸が周波数(GHz)を示している。例えばVSWRが2.5以下となる周波数帯域は、およそ3.1GHzから7.8GHzとなり、図18と図19ではほぼ同様のインピーダンス特性を得ることができるようになっている。
[実施の形態11]
本発明の第11の実施の形態に係るアンテナの構成を図20に示す。本実施の形態では、矩形の平面導体であり且つ切欠部1114が設けられている平面エレメント1101を誘電率約20の誘電体基板1105に形成した場合の例を説明する。本実施の形態に係るアンテナは、平面エレメント1101を内部に含み且つ外部電極1105aが外部に設けられている誘電体基板1105と、図示しない高周波電源と接続して平面エレメント1101に給電し且つ誘電体基板1105の外部電極1105aと接続するための給電部1107と、給電部1107を収容するための窪み1115を先端に有しており且つ平面エレメント1101の給電位置に対して先細り形状が形成されたグランドパターン1102とにより構成される。なお、誘電体基板1105は、例えばプリント基板である基板1104上に設置され、グランドパターン1102は当該基板1104の内部又は表面に形成される。
外部電極1105aは、平面エレメント1101の突起部1101aと接続しており、誘電体基板1105の裏面(点線部分)まで伸びている。給電部1107は、誘電体基板1105の側面端部及び裏面に設けられた外部電極1105aと接触し、点線部分で重なっている。
平面エレメント1101には、外部電極1105aと接続する突起部1101aと、グランドパターン1102の辺1102a及び1102bに対向する辺1101bと、低周波用の電流路を確保するための腕部1101cと、天頂部1101dからグランドパターン1102方向に窪ませた矩形の切欠部1114とが設けられている。また、辺1101bと側辺部1101gとは隅切りにより設けられた辺1101hを介して接続している。なお、平面エレメント1101を含む誘電体基板1105は、グランドパターン1102に対して併置されている。
なお、本実施の形態では、誘電体基板1105の内部に平面エレメント1101が形成されている。すなわち、誘電体基板1105は、セラミックス・シートを積層して形成され、そのうちの一層として導体の平面エレメント1101も形成される。従って、実際は上から見ても図20のようには見えない。但し、誘電体基板1105表面に平面エレメント1101を形成するようにしてもよい。
グランドパターン1102において辺1102a及び1102bで構成され且つ先細り形状を有する先端には、給電部1107を収容するための窪み1115が設けられているため、平面エレメント1101に対向するグランドパターン1102の縁部は、一直線になっておらず、2つの辺1102a及び1102bに分割されている。なお、給電位置となる給電部1107の中心を通る直線1111にて、本実施の形態に係るアンテナは左右対称となっている。矩形の切欠部1114及びグランドパターン1102の先細り形状部分も左右対称となっている。また、平面エレメント1101の辺1101bとグランドパターン1102の辺1102a及び1102bとの距離が直線1111から離れるほど直線的に長くなるように、辺1102a及び1102bには傾斜が設けられている。
本実施の形態においても、グランドパターン1102は、平面エレメント1101を含む誘電体基板1105を囲むことなく、グランドパターン1102側と誘電体基板1105側とが上下に分かれるように形成されている。すなわち、グランドパターン1102は、平面エレメント1101の全ての縁部を囲うことなく、且つ切欠部1114を含む、平面エレメント1101の縁部の少なくとも一部に対して開口が設けられるように形成される。
なお、側面の構成については、給電部1107及び外部電極1105aの部分を除きほぼ図13(b)と同じである。すなわち、平面エレメント1101を含む誘電体基板1105の面と、グランドパターン1102の面とは平行又は実質的に平行となるように配置されている。
図21に本実施の形態のアンテナのインピーダンス特性を示す。図21において、縦軸はVSWRを、横軸は周波数(GHz)を表す。VSWRが2.5以下の周波数帯域は、約3.1GHzから約7.6GHzとなっている。VSWRの値は、高周波帯域では大きく変動する部分があるが、約3.1GHzでVSWRが2.5となるように低周波側の帯域が拡大しており、上でも述べたように切欠部を有する平面エレメントにより低周波帯域側のインピーダンス特性を改善している。
[実施の形態12]
本発明の第12の実施の形態に係るアンテナの構成を図22に示す。本実施の形態では、グランドパターン1202と対向する部分が円弧となっている平面エレメント1201を誘電率約20の誘電体基板1205に形成した場合の例を説明する。第12の実施の形態に係るアンテナは、導体の平面エレメント1201を内部に含み且つ外部電極1205aが外部に設けられている誘電体基板1205と、図示しない高周波電源と接続して平面エレメント1201に給電し且つ誘電体基板1205の外部電極1205aと接続するための給電部1207と、給電部1207を収容するための窪み1215を有しており且つプリント基板等の基板1204に形成されたグランドパターン1202とにより構成される。外部電極1205aは、平面エレメント1201の突起部1201aと接続しており、誘電体基板1205の裏面(点線部分)まで伸びている。給電部1207は、誘電体基板1205の側面端部及び裏面に設けられた外部電極1205aと接触し、点線部分で重なっている。
平面エレメント1201には、外部電極1205aと接続する突起部1201aと、グランドパターン1202の辺1202aに対向する曲線部1201bと、低周波用の電流路を確保するための腕部1201cと、天頂部1201dからグランドパターン1202方向に窪ませた矩形の切欠部1214とが設けられている。平面エレメント1201を含む誘電体基板1205は、グランドパターン1202に対して併置されている。
なお、本実施の形態では、誘電体基板1205の内部に平面エレメント1201が形成されている。すなわち、誘電体基板1205は、セラミックス・シートを積層して形成され、そのうちの一層として導体の平面エレメント1201も形成される。従って、実際は上から見ても図22のようには見えない。誘電体基板1205内部に平面エレメント1201を構成すれば、露出させた場合に比して誘電体の効果が若干強くなるため小型化でき、さびなどに対する信頼性も増す。但し、誘電体基板1205表面に平面エレメント1201を形成するようにしてもよい。
グランドパターン1202には、給電部1207を収容するための窪み1215が設けられているため、平面エレメント1201に対向する辺1202aは、一直線になっておらず、2つの辺に分割されている。なお、給電位置となる給電部1207の中心を通る直線1211にて、本実施の形態に係るアンテナは左右対称となっている。矩形の切欠部1214も左右対称である。平面エレメント1201の曲線部1201bとグランドパターン1202の辺1202aとの距離は、曲線部1201bに沿って直線1211から離れるほど次第に長くなっている。また、直線1211に対して左右対称である。なお、側面の構成については、給電部1207及び外部電極1205aの部分以外はほぼ図13(b)と同じである。すなわち、平面エレメント1201を含む誘電体基板1205の面と、グランドパターン1202の面とは平行又は実質的に平行となるように配置されている。
本実施の形態においても、グランドパターン1202は、平面エレメント1201を含む誘電体基板1205を囲むことなく、グランドパターン1202側と誘電体基板1205側とが上下に分かれるように形成されている。すなわち、グランドパターン1202は、平面エレメント1201の全ての縁部を囲うことなく、且つ切欠部1214を含む、平面エレメント1201の縁部の少なくとも一部に対して開口が設けられるように形成される。
図23に本実施の形態のアンテナのインピーダンス特性を示す。図23において、縦軸はVSWRを、横軸は周波数(GHz)を表す。VSWRが2.5以下の周波数帯域は、約3.2GHzから約8.2GHzとなっている。第11の実施の形態に係るインピーダンス特性(図21)と本実施の形態に係るインピーダンス特性(図23)とを比較すると、低周波域の特性がほぼ変わらないのに対し、高周波域の特性は大きく異なっている。第11の実施の形態に係る平面エレメント1101の形状と本実施の形態に係る平面エレメント1201の形状とでは、矩形の切欠部が存在する部分は同じであり、図21と図23の比較からも、矩形の切欠部が低周波域の特性改善に寄与していることが分かる。一方、第11の実施の形態に係る平面エレメント1101の形状と本実施の形態に係る平面エレメント1201の形状とでは、平面エレメントとグランドパターンとの距離という点において異なっており、この異なる部分は図21及び図23の比較などから全周波数帯域に影響し、特に高周波域においてその影響が顕著であることが分かる。
[実施の形態13]
以下の実施の形態13乃至16では、グランド形状の最適化例及び無線通信カードへの適用例を示す。基本的には第11の実施の形態(図20)に示した誘電体基板1105及び平面エレメント1101並びにグランドパターン1102の形状を用いる。このような形状を採用することにより、約3GHzから12GHzという超広帯域アンテナを実現することができる。特に、グランドパターン1102には平面エレメント1101の給電位置1101aに対して先細り形状が形成されているので、平面エレメント1101とグランドパターン1102との結合度合いを調整することができ、結果として好ましいインピーダンス特性に得ることができるようになる。なお、図20に示した平面エレメント1101の底辺部分に設けられた辺1101hについては設けなくともよい。
本実施の形態では、PCカードやコンパクトフラッシュ(登録商標)(CF)カードなどの、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)などのスロットに挿入して用いる無線通信カードに適用する場合の例を図24に示す。図24には、第11の実施の形態に係る誘電体基板と同じ誘電体基板1105と、給電位置1101aに接続される高周波電源1303と、グランドパターン1302とを有するプリント基板1304が示されている。誘電体基板1105は、プリント基板1304の右又は左上端部に、グランドパターン1302に対してL132(=1mm)離れて設置される。グランドパターン1302には、誘電体基板1105に対向する辺1302a及び1302bにより、給電位置1101aに対して先細り形状が形成されている。給電位置1101aに最も近い、グランドパターン1302の点とプリント基板1304の右側端部と辺1302aとが交わる点の高さの差L133は、2乃至3mmであるが、以下でインピーダンス特性を比較する際にはこの長さを変えた場合の特性を説明する。先細り形状は、給電位置1101aを通る直線に対して対称となっているが、辺1302bは、長さL133の垂直の辺1302cと接続しており、当該辺1302cは水平の辺1302dに接続している。図24では辺1302dは水平で、誘電体基板1105とグランドパターン1302はその領域が上下に分けられている。すなわち、グランドパターン1302は、誘電体基板1105に含まれる平面エレメントの全ての縁部を囲うことなく、且つ切欠部を含む平面エレメントの縁部の少なくとも一部に対して開口が設けられるように形成される。なお、長さL131は10mmである。
[実施の形態14]
本実施の形態に係る無線通信カードのプリント基板1404を図25に示す。本実施の形態に係るプリント基板1404は、第11の実施の形態に係る誘電体基板と同じ誘電体基板1105と、給電位置1101aに接続される高周波電源1403と、グランドパターン1402とを有する。誘電体基板1105は、プリント基板1404の右上端部に、グランドパターン1402に対してL132(=1mm)離れて設置される。グランドパターン1402には、誘電体基板1105に対向する辺1402a及び1402bにより、平面エレメント1101の給電位置1101aに対して先細り形状が形成されている。グランドパターン1402と誘電体基板1105の最短距離はL132となる。給電位置1101aに最も近い、グランドパターン1402の点とプリント基板1404の右側端部と辺1402aとが交わる点の高さの差L133は2乃至3mmである。辺1402a及び1402bにより構成される先細り形状は、給電位置1101aを通る直線に対して対称となっているが、辺1402bは、長さL133の垂直の辺1402cと接続しており、当該辺1402cは水平の辺1402dに接続している。本実施の形態では、辺1402dはさらに垂直の辺1402eに接続している。これにより、グランドパターン1402は、辺1402e、辺1402d、辺1402c、辺1402b、及び辺1402aにより誘電体基板1105を部分的に囲うように形成されている。すなわち、グランドパターン1402は、平面エレメント1101の全ての縁部を囲うことなく、且つ切欠部1114を含む、平面エレメント1101の縁部の少なくとも一部に対して開口が設けられるように形成される。本実施の形態では、平面エレメント1101の、切欠部1114を含む上縁部及び右側縁部に対向するグランドパターン1402は設けられておらず、プリント基板1404のカバーを考慮しなければ、開口が設けられていると言える。なお、L131は10mmである。また、図25では、右上端に誘電体基板1105を配置する一例を示しているが、左上端に誘電体基板1105を配置するようにしても良い。その際には、誘電体基板1105の右側にグランドパターン1402の領域が伸びるようになる。
図26にL133の長さによる差及び誘電体基板1105の左のグランド領域1402fの存在の有無の差によるインピーダンス特性の差を比較するための図を示す。図26において、縦軸はVSWRを、横軸は周波数(MHz)を示し、一点鎖線はL133を3mmとし且つグランド領域1402fを設けた場合の特性を、点線はL133を3mmとした場合の特性を、二点鎖線はL133を0mmとした場合の特性を、実線はL133を2mmとした場合の特性を、太線はL133を2.5mmとした場合の特性を示す。L133=0mmの特性を表す二点鎖線は、約7700MHz以降の特性が悪いことが分かる。また、L133=2mmの特性を表す実線は、約7800MHzに比較的大きいピークが発生している。L133=2.5mmの特性を表す太線においても、約7900MHzに実線よりは低いピークが発生している。L133=3mmの特性を表す点線を見ると、約6400MHzから約8000MHzにVSWRが2を上回る部分が有るが、ピークは低くなっており、約8000MHz以降の特性は12000MHz近くで再度VSWRが2を超えるまで良好な特性を示している。また、低周波帯域においてもL133=2.5mm以下のものよりもVSWRの値が低くなっている。L133=3mmでグランド領域1402fを追加した場合の特性を示す一点鎖線を見ると、約4500MHz部分に低いピークが発生していることを除けば、約3500MHz以降ずっとVSWRが2以下になっている。VSWRの閾値を2.4程度にすれば、約3000MHzから12000MHzという超広帯域を実現できている。このように誘電体基板1105の左側のグランド領域1402fを追加することにより、約6000MHzから9000MHzまでと低周波域の約3000MHzから4000MHzまでのVSWRが改善されるという効果がある。
[実施の形態15]
本実施の形態では、第14の実施の形態をダイバーシティ・アンテナに適用した場合の例を示す。通常スペース・ダイバーシティ・アンテナは、1/4波長離れた2つのアンテナを切り替えて使用する。従って、図27に示すように、2つの誘電体基板をプリント基板1504の左右の上端部に配置する。
第1のアンテナとしては、第11の実施の形態における誘電体基板と同じ誘電体基板1105と、給電位置1101aに接続される高周波電源1503aと、グランドパターン1502とを含む。誘電体基板1105は、プリント基板1504の右上端部に、グランドパターン1502に対して垂直方向に1mm離れて設置される。グランドパターン1502の辺1502a及び1502bにより、平面エレメント1101の給電位置1101aに対して先細り形状が形成される。給電位置1101aに最も近いグランドパターン1502の点とプリント基板1504の右側端部と辺1502aとが交わる点の高さの差は2乃至3mmである。辺1502a及び1502bにより構成される先細り形状は、給電位置1101aを通る直線に対して対称となっているが、辺1502bは垂直の辺1502cと接続しており、当該辺1502cは水平の辺1502dに接続している。辺1502dはさらに垂直の辺1502eに接続している。すなわち、グランドパターン1502に、誘電体基板1105の左側面に対向し且つ第2のアンテナから分離するための部分1502fが追加されている。これにより、グランドパターン1502は、辺1502e、辺1502d、辺1502c、辺1502b、及び辺1502aにより誘電体基板1105を部分的に囲う形状を有している。すなわち、グランドパターン1502は、平面エレメント1101の全ての縁部を囲うことなく、且つ切欠部1114を含む、平面エレメント1101の縁部の少なくとも一部に対して開口が設けられるように形成される。本実施の形態では、平面エレメント1101の、切欠部1114を含む上縁部及び右側縁部に対向するグランドパターン1502は設けられておらず、プリント基板1504のカバーを考慮しなければ、開口が設けられていると言える。
第2のアンテナとしては、誘電体基板1105と同じ誘電体基板1505と、給電位置1501aに接続される高周波電源1503bと、グランドパターン1502とを含む。誘電体基板1505は、プリント基板1504の左上端部に、グランドパターン1502に対して垂直方向に1mm離れて設置される。グランドパターン1502の辺1502g及び1502hにより、誘電体基板1505に含まれる平面エレメントの給電位置1501aに対して先細り形状が形成されている。給電位置1501aに最も近いグランドパターン1502の点とプリント基板1504の左側端部と辺1502gとが交わる点の高さの差は2乃至3mmである。辺1502g及び1502hにより構成される先細り形状は、給電位置1501aを通る直線に対して対称となっているが、辺1502hは垂直の辺1502iと接続しており、当該辺1502iは水平の辺1502jに接続している。辺1502jはさらに垂直の辺1502kに接続している。グランドパターン1502には、誘電体基板1505の右側面に対向し且つ第1のアンテナから分離するための部分1502fが存在している。これにより、グランドパターン1502は、辺1502g、辺1502h、辺1502i、辺1502j及び辺1502kにより誘電体基板1505を部分的に囲う形状を有している。すなわち、グランドパターン1502は、誘電体基板1505に含まれる平面エレメント1101の全ての縁部を囲うことなく、且つ切欠部1114を含む、平面エレメント1101の縁部の少なくとも一部に対して開口が設けられるように形成される。本実施の形態では、平面エレメント1101の、切欠部1114を含む上縁部及び左側縁部に対向するグランドパターン1502は設けられておらず、プリント基板1504のカバーを考慮しなければ、開口が設けられていると言える。基本的にこの無線通信カードのプリント基板1504は直線1511に対して左右対称となっている。
このようにすれば無線通信カードにおいてスペース・ダイバーシティ・アンテナを実装することができるようになる。
[実施の形態16]
本実施の形態では、第11の実施の形態に係るアンテナをスティック型カードに適用した場合の例を図28に示す。本実施の形態に係るプリント基板1604は、第11の実施の形態における誘電体基板と同じ誘電体基板1105と、給電位置1101aから接続される高周波電源1603と、グランドパターン1602とを有する。誘電体基板1105は、プリント基板1604の上端部に、グランドパターン1602に対してL162(=1mm)離れて設置される。グランドパターン1602には、辺1602a及び1602bにより、誘電体基板1105の給電位置1101aに対して先細り形状が形成されている。給電位置1101aに最も近いグランドパターン1602の点とプリント基板1604の側端部と辺1602a又は1602bとが交わる点の高さの差L163は2乃至3mmとなっている。また先細り形状が形成されたグランドパターン1602は、給電位置1101aを通る直線に対して対称となっている。なお、L161は10mmである。
本実施の形態においても、グランドパターン1602は、平面エレメント1101を含む誘電体基板1105を囲むことなく、グランドパターン1602側と誘電体基板1105側とが上下に分かれるように形成されている。すなわち、グランドパターン1602は、平面エレメント1101の全ての縁部を囲うことなく、且つ切欠部1114を含む平面エレメント1101の縁部の少なくとも一部に対して開口が設けられるように形成される。
このように誘電体基板1105を用いれば、小さなスティック型カードに実装可能となる。
[実施の形態17]
本発明の第17の実施の形態に係るアンテナの構成を図29(a)及び図29(b)に示す。図29(a)に示すように、本実施の形態に係るアンテナは、平面エレメント1701を内部に含み且つ誘電率が約20の誘電体基板1705と、誘電体基板1705に併置されるグランドパターン1702と、例えばプリント基板(より具体的には例えば、FR−4、テフロン(登録商標)などを素材とする樹脂基板)である基板1704と、平面エレメント1701の給電点1701aに接続される高周波電源1703とにより構成される。平面エレメント1701は、T字に類似した形状を有しており、誘電体基板1705の端部に沿った底辺1701bと上方に伸びる辺1701cと第1の傾斜角を有する辺1701dと第1の傾斜角より大きな傾斜角を有する辺1701eと天頂部1701fとにより構成される。給電点1701aは、誘電体基板1705の端部に沿った底辺1701bの中点に設けられている。本実施の形態では誘電体基板1705とグランドパターン1702との距離L171は、1.5mmである。また、グランドパターン1702の幅は20mmである。
また、給電点1701aを通る直線1711に対して平面エレメント1701とグランドパターン1702とは左右対称となっている。また、平面エレメント1701の辺1701c、1701d及び1701e上の点から直線1711に平行にグランドパターン1702まで降ろした線分の長さ(以下、距離と呼ぶ)についても、直線1711に対して左右対称となっている。すなわち、直線1711との間隔が同じであれば、距離は同じになる。
本実施の形態では、誘電体基板1705に面するグランドパターン1702の辺1702aは直線となっている。従って、距離は、辺1701c、1701d及び1701eの任意の点が当該辺1701c、1701d及び1701eを移動するにつれて漸次増加するようになっている。すなわち、上記の任意の点が直線1711から離れる程、距離は増加する。
辺1701c、1701d及び1701eを接続することにより構成される折れ線は曲線ではないものの、距離が飽和的に増加するように傾きが段階的に変更されている。言い換えれば、直線1711から離れると最初は急激に距離が増加するが次第に増加率が減少している。すなわち、直線1711からみて同じ側にある天頂部1701fの端点と底辺1701bの端点を結ぶ直線から内側に削ったような形状になっている。
本実施の形態では、グランドパターン1702の辺1702aに対向する平面エレメント1701の側縁部は1701c、1701d及び1701eの3つの線分で構成されている。しかし、距離が飽和的に増加するという条件を満たしていれば、この側縁部の形状はこれに限定されない。辺1701c、1701d及び1701eの代わりに、2以上の任意数の線分で構成される折れ線を採用してもよい。また、辺1701c、1701d及び1701eの代わりに、直線1711からみて同じ側にある天頂部1701fの端点と底辺1701bの端点を結ぶ直線に対して上に凸の曲線であってもよい。すなわち、平面エレメント1701から見れば、内側に凸の曲線である。
いずれの形状を採用するにせよ、直線1711から離れるに従って距離は連続的に変化し、この連続変化部分の存在により下限周波数以上において連続的な共振特性を得ることができる。なお、下限周波数の調整は平面エレメント1701の高さを変更することによって行う。但し、天頂部1701fの長さや、逆円弧状の側縁部の形状・長さによっても制御可能である。
本実施の形態においても、グランドパターン1702は、平面エレメント1701を含む誘電体基板1705を囲むことなく、グランドパターン1702側と誘電体基板1705側とが上下に分かれるように形成されている。すなわち、グランドパターン1702は、平面エレメント1701の全ての縁部を囲うことなく、平面エレメント1701の縁部の少なくとも一部に対して開口が設けられるように形成される。
図29(b)は側面図であり、基板1704の上にグランドパターン1702と、誘電体基板1705とが設けられている。基板1704とグランドパターン1702が一体形成される場合もある。なお、本実施の形態では、誘電体基板1705の内部に平面エレメント1701が形成されている。すなわち、誘電体基板1705は、セラミックス・シートを積層して形成され、そのうちの一層として導体の平面エレメント1701も形成される。従って、実際は上から見ても図29(a)のようには見えない。誘電体基板1705内部に平面エレメント1701を構成すれば、露出させた場合に比して誘電体の効果が若干強くなるため小型化でき、さびなどに対する信頼性も増す。但し、誘電体基板1705表面に平面エレメント1701を形成するようにしてもよい。また、誘電率も変更することができ、単層基板、多層基板のいずれを用いてもよい。単層基板ならば誘電体基板1705上に平面エレメント1701を形成することになる。なお、本実施の形態において、誘電体基板1705の面はグランドパターン1702の面と平行又は実質的に平行に配置されている。この配置により、誘電体基板1705の一層に含まれる平面エレメント1701の面もグランドパターン1702の面と平行又は実質的に平行になる。
このように平面エレメント1701を誘電体基板1705で覆うような形で形成すると、誘電体により平面エレメント1701周辺の電磁界の様子が変化する。具体的には、誘電体の中の電界密度が増す効果と波長短縮効果が得られるため、平面エレメント1701を小型化することができるようになる。また、これらの効果により電流路の打ち上げ角度が変化し、アンテナのインピーダンス等価回路における誘導成分L及び容量成分Cが変化する。即ち、インピーダンス特性に大きな影響が出てくる。このインピーダンス特性への影響を踏まえた上で4.9GHzから5.8GHzの帯域で所望のインピーダンス特性を得るように形状の最適化を行うと図29(a)に示したような形状となった。この帯域幅は従来に比して非常に広い。
[実施の形態18]
本発明の第18の実施の形態に係るアンテナの構成を図30に示す。図30に示すように、本実施の形態に係るアンテナは、平面エレメント1801を内部に含み且つ誘電率が約20の誘電体基板1805と、誘電体基板1805に併置されるグランドパターン1802と、例えばプリント基板である基板1804と、平面エレメント1801の給電点1801aに接続される高周波電源1803とにより構成される。平面エレメント1801及び誘電体基板1805は、第17の実施の形態における平面エレメント1701及び誘電体基板1705と同じである。本実施の形態では誘電体基板1805とグランドパターン1802との距離L181は、1.5mmである。また、グランドパターン1802の幅は20mmである。
また、給電点1801aを通る直線1811に対して平面エレメント1801とグランドパターン1802とは左右対称となっている。また、平面エレメント1801の辺1801c、1801d及び1801e上の点から直線1811に平行にグランドパターン1802まで降ろした線分の長さ(以下、距離と呼ぶ)についても、直線1811に対して左右対称となっている。すなわち、直線1811との間隔が同じであれば、距離は同じになる。
本実施の形態では、誘電体基板1805に面するグランドパターン1802の辺1802a及び1802bは、直線1811から遠くなるほど平面エレメント1801とグランドパターン1802の距離が、より長くなるように傾けられている。本実施の形態では、側端部において長さL182(=2乃至3mm)だけ直線1811との交点より下に下がっている。すなわち、グランドパターン1802は誘電体基板1805に対して上縁部1802a及び1802bからなる先細り形状を有している。
本実施の形態においても、グランドパターン1802は、平面エレメント1801を含む誘電体基板1805を囲むことなく、グランドパターン1802側と誘電体基板1805側とが上下に分かれるように形成されている。すなわち、グランドパターン1802は、平面エレメント1801の全ての縁部を囲うことなく、平面エレメント1801の縁部の少なくとも一部に対して開口が設けられるように形成される。
また、側面の構成については図29(b)とほぼ同様である。すなわち、平面エレメント1801を含む誘電体基板1805の面と、グランドパターン1802の面とは平行又は実質的に平行となるように配置されている。
本実施の形態のようにグランドパターン1802の辺1802a及び1802bを傾けることにより、4.9GHz乃至5.8GHzの帯域においては、第17の実施の態様に係るアンテナより、インピーダンス特性が良くなっていることが確認されている。
[実施の形態19]
本発明の第19の実施の形態に係るアンテナの構成を図31に示す。本実施の形態では、5GHz帯の広域アンテナの例を説明する。第19の実施の形態に係るアンテナは、T型に類似した形状の平面エレメント1901を内部に含み且つ外部電極1905aが外部に設けられている誘電体基板1905と、図示が省略された高周波電源と接続して平面エレメント1901に給電し且つ誘電体基板1905の外部電極1905aと接続するための給電部1907と、給電部1907を収容するための窪み1915を有しており且つプリント基板等に形成されたグランドパターン1902とにより構成される。外部電極1905aは、平面エレメント1901の下部と接続しており、誘電体基板1905の裏面(点線部分)まで伸びている。給電部1907は、誘電体基板1905の側面端部及び裏面の外部電極1905aと接触し、点線部分で重なっている。
平面エレメント1901には、外部電極1905aと接続する端部と、グランドパターン1902の辺1902aに対向する曲線1901bと、天頂部1901cとが設けられている。なお、平面エレメント1901を含む誘電体基板1905は、グランドパターン1902に対して併置されている。
なお、本実施の形態では、誘電体基板1905の内部に平面エレメント1901が形成されている。すなわち、誘電体基板1905は、セラミックス・シートを積層して形成され、そのうちの一層として導体の平面エレメント1901も形成される。従って、実際は上から見ても図31のようには見えない。但し、誘電体基板1905表面に平面エレメント1901を形成するようにしてもよい。
グランドパターン1902には、給電部1907を収容するための窪み1915が設けられているため、平面エレメント1901に対向する辺1902aは、一直線になっておらず、2つの辺に分割されている。なお、給電位置となる給電部1907の中心を通る直線1911にて、本実施の形態に係るアンテナは左右対称となっている。平面エレメント1901の曲線1901bとグランドパターン1902の辺1902aとの距離は、直線1911から離れるほど曲線に従って長くなっている。また、距離についても直線1911について左右対称となっている。但し、曲線1901bは、平面エレメント1901の内側に凸となっているため、その距離は直線1911から離れるほど飽和的になっている。言い換えれば、直線1911から離れると最初は急激に距離が増加するが次第に増加率が減少している。なお、側面の構成については、外部電極1905aと給電部1907と窪み1915の部分を除けば図29(b)と同じである。すなわち、平面エレメント1901を含む誘電体基板1905の面と、グランドパターン1902の面とは平行又は実質的に平行となるように配置されている。すなわち、グランドパターン1902と平面エレメント1901とは互いに完全には重なることなく、それらの面は互いに平行又は実質的に平行である。
本実施の形態においても、グランドパターン1902は、平面エレメント1901を含む誘電体基板1905を囲むことなく、グランドパターン1902側と誘電体基板1905側とが上下に分かれるように形成されている。すなわち、グランドパターン1902は、平面エレメント1901の全ての縁部を囲うことなく、平面エレメント1901の縁部の少なくとも一部に対して開口が設けられるように形成される。
[実施の形態20]
本発明の第20の実施の形態に係るアンテナは、2.4GHz帯と5GHz帯のデュアルバンドアンテナである。本デュアルバンドアンテナは、図32に示すように、平面導体の第1エレメント2001と第1エレメント2001の天頂中央から伸びる共振エレメントである第2エレメント2006とを内部に含む誘電体基板2005と、誘電体基板2005と間隔L202(=1.5mm)を隔てて併置され且つ誘電体基板2005に対して上縁部が先細り形状を有するグランドパターン2002と、誘電体基板2005とグランドパターン2002とが設置される基板2004と、第1エレメント2001の底辺中央部に設けられた給電点2001aと接続される高周波電源2003とにより構成される。誘電体基板2005のサイズは、例えば8mm×4.5mm×1mmである。
第1エレメント2001は、T字に類似した形状を有しており、より具体的には図29(a)に示した平面エレメント1701と同様の形状を有する。この第1エレメント2001の高さL201により、5GHz帯の帯域制御を行う。但し、天頂部の辺の長さや、逆円弧状の側縁部の形状・長さによっても制御可能である。
グランドパターン2002は、幅20mmのところ、給電点2001aを通る直線2011との交点から両側端部に向かってL203(=2乃至3mm)下がっている。すなわち、グランドパターン2002は誘電体基板2005に対して上縁部2002a及び2002bからなる先細り形状を有している。
なお、側面の構成については第2エレメント2006の部分を除けば図29(b)とほぼ同じである。すなわち、第1エレメント2001及び第2エレメント2006を含む誘電体基板2005の面と、グランドパターン2002の面とは平行又は実質的に平行となるように配置されている。但し、第2エレメント2006は第1エレメント2001と同層に設けられている。
第1エレメント2001とグランドパターン2002は、直線2011に対して左右対称となっている。また、第1エレメント2001の側縁部上の点から直線2011に平行にグランドパターン2002まで降ろした線分の長さ(以下、距離と呼ぶ)も、直線2011に対して左右対称となっている。さらに、上記の距離は、第1エレメント2001の側縁部を直線2011から離れるように移動するにつれて漸次増加するようになっている。
このような第1エレメント2001とグランドパターン2002の形状により、インピーダンス特性を制御する。また、2.4GHz帯の共振周波数は、第1エレメント2001との接続部から開放端までの第2エレメント2006の長さを調整することにより制御する。なお、第2エレメント2006の形状は、第1エレメント2001の特性に悪影響を及ぼさないように小型化を図るため、折り曲げられている。
このような形状を採用することにより、5GHz帯と2.4GHz帯の電気的特性を個別に制御できるようになる。5GHz帯と2.4GHz帯は、無線LAN(Local Area Network)の規格で用いられる帯域であり、その両方の周波数帯に対応できる本実施の形態は非常に有用である。
[実施の形態21]
本発明の第21の実施の形態に係るアンテナは、2.4GHz帯と5GHz帯のデュアルバンドアンテナである。本デュアルバンドアンテナは、図33に示すように、平面導体の第1エレメント2101と第1エレメント2101の天頂中央から伸びる共振エレメントである第2エレメント2106とを内部に含む誘電体基板2105と、誘電体基板2105と間隔L212(=1.5mm)を隔てて併置され且つ誘電体基板2105に対して上縁部が先細り形状を有するグランドパターン2102と、誘電体基板2105とグランドパターン2102とが設置される基板2104と、第1エレメント2101の底辺中央部に設けられた給電点2101aと接続される高周波電源2103とにより構成される。誘電体基板2105のサイズは、例えば10mm×5mm×1mmである。
第1エレメント2101は、T字に類似した形状を有しており、より具体的には図29(a)に示した平面エレメント1701と同様の形状を有する。この第1エレメント2101の高さL211により、5GHz帯の帯域制御を行う。但し、天頂部の辺の長さや、逆円弧状の側縁部の形状・長さによっても制御可能である。
グランドパターン2102は、幅20mmのところ、給電点2101aを通る直線2111との交点から両側端部に向かってL213(=2乃至3mm)下がっている。すなわち、グランドパターン2102は誘電体基板2105に対して上縁部2102a及び2102bからなる先細り形状を有している。側面の構成については第2エレメント2106の部分を除けば図29(b)とほぼ同じである。すなわち、第1エレメント2101及び第2エレメント2106を含む誘電体基板2105の面と、グランドパターン2102の面とは平行又は実質的に平行となるように配置されている。但し、第2エレメント2106は第1エレメント2101と同層に設けられている。
第1エレメント2101、第2エレメント2106及びグランドパターン2102は、直線2111に対して左右対称となっている。また、第1エレメント2101の側縁部上の点から直線2111に平行にグランドパターン2102まで降ろした線分の長さ(以下、距離と呼ぶ)も、直線2111に対して左右対称となっている。さらに、上記の距離は、第1エレメント2101の側縁部を直線2111から離れるように移動するにつれて漸次増加するようになっている。
このような第1エレメント2101とグランドパターン2102の形状により、インピーダンス特性を制御する。また、2.4GHz帯の共振周波数は、第1エレメント2101との接続部から開放端までの第2エレメント2106の長さを調整することにより制御する。なお、第2エレメント2106のミアンダ部分は上寄りに形成されている。これは、第1エレメント2101の特性に悪影響を与えないようにしながら、限られたスペースの中で効率的な配置を行うためである。図34に示すように、スペース2116は、第1エレメント2101の特性に悪影響を及ぼす部分であり、この部分に第2エレメント2106が配置されないような構成となっている。また、第2エレメント2106は、少なくとも点線2121より第1エレメント2101側の領域には配置されない。この点線2121は、給電点2101aから遠い方の第1エレメント2101の側縁部の端点を始点として直線2111に対して平行に給電点2101aの方向に伸ばした半直線である。
このような形状を採用することにより、5GHz帯と2.4GHz帯の電気的特性を個別に制御できるようになる。5GHz帯と2.4GHz帯は、無線LANの規格で用いられる帯域であり、その両方の周波数帯に対応できる本実施の形態は非常に有用である。
例えば図35(a)及び図35(b)に示すような実装形態を採用した場合のアンテナ特性を示しておく。図35(a)及び図35(b)に示すように、図33に示したものと同じ誘電体基板2105は、上縁部が水平のグランドパターン2108と1.5mm隔てて併置される。図33で示したように、誘電体基板2105は、そのサイズが10mm×5mm×1mmであり、第1エレメント2101と第2エレメント2106とを含む。一方、グランドパターン2108のサイズは、高さ47mm、幅12mmである。基板2104の厚さは0.8mmである。なお、図35(a)において示されている図はXY平面であり、図35(b)において示されている図はXZ平面であるものとする。
このとき、第2エレメント2106のインピーダンス特性は図36に示すようになる。図36において縦軸はVSWRであり、横軸は周波数(GHz)である。最もVSWRが小さい周波数は約2.45GHzであり、VSWRが2以下の周波数帯は、約2.20GHzから2.67GHzといったように、約470MHz程度確保されている。一方、第1エレメント2101のインピーダンス特性は図37に示すようになる。最もVSWRが小さい周波数は約5.2GHzであり、VSWRが2以下の周波数帯は、約4.6GHzから6GHz以上であり、少なくとも1.4GHz確保されている。このように、第2エレメント2106も第1エレメント2101も広帯域が実現されている。すなわち、本実施の形態に係るアンテナが、デュアルバンドアンテナとして十分な機能を有することを示している。なお、グランドパターン2108には、誘電体基板2105に向けてテーパーを付してもよい。
また、図35(a)及び図35(b)に示したアンテナの指向性についても図38(a)乃至図38(f)に示す。図38(a)は、送信側アンテナから2.45GHzの電波を送信し、図35(a)及び図35(b)に示した受信側アンテナをXY平面を測定面として回転させた際の放射パターンを示す。なお、同心円については、中心が−45dBi、一番外側の円が5dBi、各円の間隔が10dBiである。ここで内側の実線は送信側アンテナから垂直偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを、外側の太線は送信側アンテナから水平偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを示す。水平偏波の方が全ての方向においてゲインが大きいことが分かる。また、垂直偏波の場合0°、−90°及び180°方向に指向性があるように見える。なお、右上の絵は、図35(a)及び図35(b)のアンテナを示している。黒塗りの部分が、誘電体基板2105が設置される位置である。垂直矢印は0°の方向を示しており、+θの方向に角度が増加するようになっている。
同様に、図38(b)は、送信側アンテナから2.45GHzの電波を送信し、図35(a)及び図35(b)に示した受信側アンテナをYZ平面を測定面として回転させた際の放射パターンを示す。上と同様に実線は送信側アンテナから垂直偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを、太線は送信側アンテナから水平偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを示す。水平偏波の方は0°及び180°方向に指向性があるように見える。また、垂直偏波の方は0°、90°及び180°方向に指向性があるように見える。なお、右上の絵の意味は同じである。
図38(c)は、送信側アンテナから2.45GHzの電波を送信し、図35(a)及び図35(b)に示した受信側アンテナをXZ平面を測定面として回転させた際の放射パターンを示す。上と同様に実線は送信側アンテナから垂直偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを、太線は送信側アンテナから水平偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを示す。水平偏波の方は0°及び180°方向に指向性があるように見える。また、垂直偏波の方は無指向性を示している。なお、右上の絵の意味は同じである。
図38(d)は、送信側アンテナから5.4GHzの電波を送信し、図35(a)及び図35(b)に示した受信側アンテナをXY平面を測定面として回転させた際の放射パターンを示す。上と同様に実線は送信側アンテナから垂直偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを、太線は送信側アンテナから水平偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを示す。水平偏波の方は45°、135°、−45°及び−135°方向に指向性があるように見える。また、垂直偏波の方は90°方向を除き無指向性のように見える。なお、右上の絵の意味は同じである。
図38(e)は、送信側アンテナから5.4GHzの電波を送信し、図35(a)及び図35(b)に示した受信側アンテナをYZ平面を測定面として回転させた際の放射パターンを示す。上と同様に実線は送信側アンテナから垂直偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを、太線は送信側アンテナから水平偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを示す。水平偏波の方は45°、135°、−45°及び−135°方向に指向性があるように見える。また、垂直偏波の方は複雑な形状の指向性があるように見える。なお、右上の絵の意味は同じである。
図38(f)は、送信側アンテナから5.4GHzの電波を送信し、図35(a)及び図35(b)に示した受信側アンテナをXZ平面を測定面として回転させた際の放射パターンを示す。上と同様に実線は送信側アンテナから垂直偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを、太線は送信側アンテナから水平偏波の電波を送信した場合の受信側アンテナの放射パターンを示す。水平偏波の方は複雑な形状の指向性があるように見える。また、垂直偏波の方は−45°方向を除き無指向性のように見える。なお、右上の絵の意味は同じである。
図39に平均ゲインのデータをまとめておく。各平面につき、垂直偏波(V)と水平偏波(H)に対する2.45GHzの平均ゲイン及び5.4GHzの平均ゲインが示されている。さらに、2.45GHzと5.4GHzのトータルの平均ゲインも示されている。これを見ると、2.45GHzではXZ平面における垂直偏波のゲインが高く、水平偏波であれば、YZ平面又はXY平面でゲインが高い。また、5.4GHzではYZ平面又はXY平面の水平偏波のゲインが高く、垂直偏波であればXZ平面が比較的ゲインが高い。
[実施の形態22]
本発明の第22の実施の形態に係るアンテナは、2.4GHz帯と5GHz帯のデュアルバンドアンテナであって、ここでは第21の実施の形態に係る誘電体基板2105をさらに小型化するための工夫について説明する。本デュアルバンドアンテナは、図40(a)の側面図に示すように、誘電体基板2205の比較的下方の層に平面導体の第1エレメント2201と共振エレメントである第2エレメントの第1部分2206aを形成し、誘電体基板2205の比較的上方の層に第2エレメントの第2部分2206bを形成し、それらを2つの外部電極2205aにより接続する構造を有する。図40(b)に第1エレメント2201と第2エレメントの第1部分2206aとが形成されている層の構造を示す。第1エレメント2201の形状は第21の実施の形態に示したものと同じである。第2エレメントの第1部分2206aは、第1エレメント2201の天頂中央から伸びて、途中2方向に分かれ、誘電体基板2205の上端部に設けられた2つの外部電極2205aに接続している。図40(c)に第2エレメントの第2部分2206bが形成されている層の構造を示す。第2エレメントの第2部分2206bは、誘電体基板2205の上端部に設けられた外部電極2205aから誘電体基板2205の下端部方向に伸びた後、第21の実施の形態(図33)において示したミアンダ部分を含む構成を有している。この第2エレメントの第2部分2206bは、層は異なるようになっているが第1エレメント2201と上から見て重ならないように配置されている。少なくとも、第21の実施の形態における図34に示した配置と同様に、第1エレメント2201に悪影響を与える領域に上から見て重ならないように配置される。すなわち、第2エレメントの第2部分2206bと第1エレメント2201とをそれぞれが形成される層に対して平行な仮想平面に投影した際に、第2エレメントの第2部分2206bが、仮想平面に投影された第1エレメントの脇に定義された所定の領域に重なることなく配置されるということである。この所定の領域とは、図34で示した領域2116に対応する部分である。なお、本実施の形態における誘電体基板2205のサイズは、L221=1mm、L222=4mm、L223=10mmとなっている。
第2エレメントの共振周波数は、第1エレメント2201との接続部から開放端までの第2エレメントの長さを調整することにより制御する。第21の実施の形態と比較すると、第2エレメントの第1部分2206aとして外部電極2205aに向けて伸びている部分と外部電極2205aの部分と第2エレメントの第2部分2206bとして外部電極2205aから伸びている部分とが、第2エレメントの長さとして追加されることになる。よって、第2エレメントの第2部分2206bを短くしても2.4GHz帯の特性は、第21の実施の形態に係るアンテナと同レベルを維持できる。これにより誘電体基板2205の小型化が実現できる。
本実施の形態における5GHz帯のインピーダンス特性を図41に示す。図41において縦軸はVSWRを、横軸は周波数(GHz)を示す。第21の実施の形態に係る5GHz帯のインピーダンス特性を表す図37と比較すると、多少曲線の形は異なるが、VSWR2以下の帯域は、ほぼ同じとなっている。
本実施の形態における2.4GHz帯のインピーダンス特性を図42に示す。図42において縦軸はVSWRを、横軸は周波数(GHz)を示す。第21の実施の形態に係る2.4GHz帯のインピーダンス特性を表す図36と比較すると、VSWR2以下の帯域は、高周波側でむしろ小型化した場合を示す図42の方が約80MHz程度広くなっている。このように良好な特性を示すことが分かる。
[実施の形態23]
本発明の第23の実施の形態に係るアンテナは、2.4GHz帯と5GHz帯のデュアルバンドアンテナであって、ここでは第21の実施の形態に係る誘電体基板2105をさらに小型化するための工夫について説明する。本デュアルバンドアンテナは、図43(a)の側面図に示すように、誘電体基板2305の比較的下方の層に平面導体の第1エレメント2301と共振エレメントである第2エレメントの第1部分2306aを形成し、誘電体基板2305の比較的上方の層に第2エレメントの第2部分2306bを形成し、それらを1つの外部電極2305aにより接続する構造を有する。図43(b)に第1エレメント2301と第2エレメントの第1部分2306aが形成されている層の構造を示す。第1エレメント2301の形状は第21の実施の形態に示したものと同じである。第2エレメントの第1部分2306aは、第1エレメント2301の天頂中央から伸びて、直線的に誘電体基板2305の上端部に設けられた外部電極2305aに接続している。図43(c)に第2エレメントの第2部分2306bが形成されている層の構造を示す。第2エレメントの第2部分2306bは、誘電体基板2305の上端部に設けられた外部電極2305aから誘電体基板2305の下端部方向に伸びた後、第21の実施の形態(図33)において示した第2エレメント2106の第1エレメント2101と接続する部分を除くほとんどの部分を含む構成を有している。この第2エレメントの第2部分2306bは、層は異なるようになっているが第1エレメント2301と上から見て重ならないように配置されている。少なくとも、第21の実施の形態における図34に示した配置と同様に、第1エレメント2301に悪影響を与える領域に上から見て重ならないように配置される。
第2エレメントの共振周波数は、第1エレメント2301との接続部から開放端までの第2エレメントの長さを調整することにより制御する。第21の実施の形態と比較すると、第2エレメントの第1部分2306aとして外部電極2305aに向けて伸びている部分と外部電極2305aの部分と第2エレメントの第2部分2306bとして外部電極2305aから伸びている部分とが、第2エレメントの長さとして追加されることになる。よって、第2エレメントの第2部分2306bを短くしても2.4GHz帯の特性は第21の実施の形態に係るアンテナと同レベルを維持できる。これにより誘電体基板2305の小型化が実現できる。
[実施の形態24]
本発明の第24の実施の形態に係るアンテナは、2.4GHz帯と5GHz帯のデュアルバンドアンテナであって、ここでは第21の実施の形態に係る誘電体基板2105をさらに小型化するための工夫について説明する。本デュアルバンドアンテナは、図44(a)の側面図に示すように、誘電体基板2405の比較的下方の層に平面導体の第1エレメント2401と共振エレメントである第2エレメントの第1部分2406aを形成し、誘電体基板2405の比較的上方の層に第2エレメントの第2部分2406bを形成し、それらを2つの外部電極2405aにより接続する構造を有する。図44(b)に第1エレメント2401と第2エレメントの第1部分2406aが形成されている層の構造を示す。第1エレメント2401の形状は第21の実施の形態に示したものと同じである。第2エレメントの第1部分2406aは、第1エレメント2401の天頂中央から伸びて、途中2方向に分かれ、第1エレメント2401の横幅を超えて伸びた後に、誘電体基板2405の上端部に設けられた2つの外部電極2405aに接続している。図44(c)に第2エレメントの第2部分2406bが形成されている層の構造を示す。第2エレメントの第2部分2406bは、誘電体基板2405の上端部に設けられた外部電極2405aから誘電体基板2405の下端部方向に伸びた後、ミアンダ部分を含む構成を有している。この第2エレメントの第2部分2406bは、層は異なるようになっているが第1エレメント2401と上から見て重ならないように配置されている。少なくとも、第21の実施の形態における図34に示した配置と同様に、第1エレメント2401に悪影響を与える領域に上から見て重ならないように配置される。
第2エレメントの共振周波数は、第1エレメント2401との接続部から開放端までの第2エレメントの長さを調整することにより制御する。第21の実施の形態と比較すると、第2エレメントの第1部分2406aとして外部電極2405aに向けて伸びている部分と外部電極2405aの部分と第2エレメントの第2部分2406bとして外部電極2405aから伸びている部分とが、第2エレメントの長さとして追加されることになる。よって、第2エレメントの第2部分2406bを短くしても2.4GHz帯の特性は第21の実施の形態に係るアンテナと同レベルを維持できる。これにより誘電体基板2405の小型化が実現できる。
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、平面エレメント及び共振エレメントの形状は同様のアンテナ特性を得られるならば、別の形状を採用する場合もある。上でも述べたが、切欠部の形状は矩形に代わり、台形その他の多角形を採用する場合もある。また、切欠部の角を丸くするような加工を行う場合もある。グランドパターンの先細り形状についても、線分以外で構成しても良く、また給電のための電極を収容するための窪みを設ける例を示したが、先端が鋭角である必要は必ずしもない。また、平面エレメントとグランドパターンとは完全には重なることは無いが、その一部が重なることはあり得る。