JP2004325316A - 電子時計 - Google Patents
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Abstract
【課題】時刻修正を簡単な構成で迅速に行える電子時計を提供する。
【解決手段】電子時計では、竜頭を操作すると、操作検出手段40は、時刻修正を行う旨の信号Sを制御手段32に出力する。すると、制御手段32は、周波数が高い早送りパルスでステップモータ10を駆動して秒針を早送り運針する。このため、秒針を12時位置の手前まで早送り運針した後、早送り運針を停止し、再び通常パルスで運針すれば、秒針が通常の運針速度で12時位置まで来るのを待つ必要がなく、時刻修正に要する時間を短縮できる。また、ステップモータ10を1つしか設けていないことに加え、竜頭により早送り運針させるため、特別な部材を新たに設ける必要がなく、構成を簡略にできる。秒針を早送り運針させる構成なので、秒単位で時刻修正できる。
【選択図】 図3
【解決手段】電子時計では、竜頭を操作すると、操作検出手段40は、時刻修正を行う旨の信号Sを制御手段32に出力する。すると、制御手段32は、周波数が高い早送りパルスでステップモータ10を駆動して秒針を早送り運針する。このため、秒針を12時位置の手前まで早送り運針した後、早送り運針を停止し、再び通常パルスで運針すれば、秒針が通常の運針速度で12時位置まで来るのを待つ必要がなく、時刻修正に要する時間を短縮できる。また、ステップモータ10を1つしか設けていないことに加え、竜頭により早送り運針させるため、特別な部材を新たに設ける必要がなく、構成を簡略にできる。秒針を早送り運針させる構成なので、秒単位で時刻修正できる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、秒針、分針、時針を有する3針タイプの電子時計に関する。
【0002】
【背景技術】
従来、秒針、分針、時針を有する3針タイプの電子時計の時刻修正を行う際には、一般的に以下の手順により行っていた。先ず、秒針が12時位置に来るまで待ち、秒針が12時位置に来たら例えば竜頭の操作により運針を停止させる。そして、時報と同時に竜頭の操作により運針を再開させることで時刻修正を行っていた。
一方で、秒針を運針させるモータと、分針および時針を運針させるモータとを別々に設けることで、時刻修正を容易にかつ迅速に行える電子時計の構成が知られている。このような電子時計では、通常計時モードから時刻修正モードに切り替えると、秒針を運針させるモータのみが駆動し、秒針を12時位置に早送り運針させて停止させる。そして、分針および時針を運針させるモータを駆動させることで、時刻修正をしていた。このため、秒針を短時間の間に12時位置に早送り運針させることができ、時刻修正を迅速に行える。また、時刻修正を、迅速に行える電子時計の別の構成も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1の電子時計は、分針および時針を有する2針タイプのものであり、時刻修正をする際には、竜頭を引き出し通常計時モードから時刻修正モードに切り替えた後、ボタンスイッチを押すことにより表示針を早送り運針させる。そして、必要に応じて表示針の早送り運針を停止させた後、修正パルスにより時刻修正をする。このため、上述した複数のモータを有する電子時計と同じ作用により、時刻修正を迅速に行える。
【0004】
【特許文献1】
特開昭64−10195号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、3針タイプの電子時計では、秒針が12時位置に来るまで待つ必要があり、この待つ時間が無駄になるという問題がある。
また、秒針を運針させるモータと、分針および時針を運針させるモータとを別々に設ける構成の電子時計では、複数のモータを設けるために、構成が複雑になるという問題がある。
また、特許文献1の電子時計は、分針および時針が早送り運針される構成なので、分単位でしか時刻修正できないという問題に加え、表示針を早送り運針させるためのボタンスイッチを備えているので、構成部材が多くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、時刻修正を簡単な構成で迅速に行える3針タイプの電子時計を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、秒針、分針、時針を運針させる輪列と、この輪列を駆動させる1つのステップモータと、このステップモータの駆動を制御する制御手段と、前記秒針、分針、時針の時刻修正操作を外部より行う外部操作部材とを備えた電子時計であって、前記外部操作部材の操作状態を検出し、この検出した操作に応じた信号を前記制御手段に出力する操作検出手段を備え、前記制御手段は、前記操作検出手段から当該電子時計の時刻修正を行う旨の前記信号を受信した場合に、通常計時のために出力される通常パルスよりも高い周波数の早送りパルスで、前記秒針、分針、時針を早送り運針することを特徴とする電子時計である。
【0008】
この発明によれば、時刻修正を行うために外部操作部材を操作をすると、操作検出手段は、この操作を検出し時刻修正を行う旨の信号を制御手段に出力する。すると、制御手段は、受信した信号を認識し、通常パルスよりも周波数が高い早送りパルスによりステップモータを駆動し、輪列を通常よりも速く駆動して秒針を早送り運針させる。このため、例えば、秒針を12時の手前の任意の位置まで早送り運針させた後、一度運針を停止させ、その後再び通常パルスで運針させて、12時位置になったときに運針を停止させることにより、通常の運針速度で秒針を12時位置まで来るのを待つ必要がなく、秒針を12時位置にするまでの時間が短縮される。
そして、ステップモータを1つしか設けていないことに加え、外部操作部材の操作により早送り運針させる構成のため特別な部材を新たに設ける必要がないので、電子時計の構成が簡略になる。
さらに、秒針を早送り運針させる構成なので、秒単位での時刻修正が可能になる。
以上のことから、時刻修正を簡単な構成で迅速に行える電子時計の提供が可能になる。
【0009】
本発明では、前記早送りパルスの周波数は、64Hz以下であることが望ましい。
この発明によれば、早送りパルスの周波数を64Hz以下にするので、秒針は通常パルスによる運針速度よりも速く運針するが、その速度は秒針の運針状態を目で追えるものになる。このため、早送り運針中の秒針の動作にタイミングを合わせ損ない、秒針が目的の位置を通過してしまうという誤操作を抑えられる。
【0010】
本発明では、一度の早送り運針時に出力される前記早送りパルスの最大パルス数は、59パルス以下であることが望ましい。
この発明によれば、一度の早送り運針時に出力される前記早送りパルスの最大パルス数を、59パルス以下にするので、秒針は当該早送りパルスにより1周せずに停止する。このため、例えば、時刻修正を行うにあたって、秒針が目的の位置をわずかに通過して停止したとしても、その通過量によっては、秒針を再び早送り運針させ、早送りパルスを最大数出力させて自動的に停止させることにより、秒針を目的の位置の手前に停止させたり、目的の位置ちょうどに停止させることができ、時刻修正が一層容易にかつ迅速に行える。
【0011】
本発明では、前記早送りパルスの周波数は、前記外部操作部材の操作により複数段階に可変可能であることが望ましい。
この発明によれば、早送りパルスの周波数を、外部操作部材の操作により複数段階に可変可能にしたので、必要に応じて秒針を高速で早送り運針させることができ、時刻修正に費やす時間がより短縮される。
【0012】
本発明では、前記早送りパルスは、前記通常パルスの周波数を高くすることにより生成されていることが望ましい。
この発明によれば、早送りパルスを、通常パルスの周波数を高くすることにより生成するので、早送りパルスのみを発生させる別の手段を設ける必要がなく、構成が簡略になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る電子時計のムーブメントの内部を示す平面図であり、図2は、輪列の構成を模式的に示す斜視図であり、図3は、電子時計の概略構成を示すブロック図である。
【0014】
[電子時計の構成]
図1において、2は電子時計1のムーブメントであり、このムーブメント2は、モータパルスにより駆動するステップモータ10と、このステップモータ10により駆動される輪列20と、ステップモータ10にモータパルスを出力する制御手段としてのIC32を有する回路ブロック30と、外部操作手段としての竜頭(図示せず)の操作状態に応じた竜頭操作検出信号S(図3)を出力する操作検出手段40(図3)とを備えている。
【0015】
輪列20は、図2に示すように、ステップモータ10のロータ11により駆動される五番車21と、この五番車21により駆動され秒針22Aを有する四番車22と、この四番車22により駆動される三番車23と、この三番車23により駆動され分針24Aを有する二番車24と、この二番車24により駆動される日の裏車25と、この日の裏車25により駆動され時針26Aを有する筒車26とを備えている。
【0016】
回路ブロック30は、電池60から供給される電力によりステップモータ10を駆動させたり、操作検出手段40からの竜頭操作検出信号Sによりステップモータ10を制御するIC32を備えている。この回路ブロック30には、図1に示すように、水晶発振部31が接続されている。
【0017】
操作検出手段40は、巻真50を介して伝達される竜頭の操作状態を検出し、この検出した操作状態を竜頭操作検出信号Sに変換して回路ブロック30に出力する。具体的には、巻真50が竜頭により操作されていない状態(以下、0段と称す)から、竜頭の操作により引き出された状態(以下、1段と称す)になったときに、回路ブロック30に竜頭操作検出信号Sを出力する。そして、巻真50が1段から0段になったときには、竜頭操作検出信号Sの出力を停止する。なお、この竜頭操作検出信号Sは、おしどり71やかんぬき72と連動して動作する回路ブロック30上の図示しないスイッチのON、OFFにより、出力または出力を停止する。
【0018】
以下には、本実施形態の最も特徴的な構成を説明する。
回路ブロック30のIC32は、図3に示すように、信号認識手段321と、パルス制御回路322とを備えている。
【0019】
信号認識手段321は、図示しないタイマーを備えている。そして、この信号認識手段321は、所定時間内に操作検出手段40から受信する竜頭操作検出信号Sの状態から、竜頭の操作により伝達された要求が、通常計時モード、時刻修正モード、準高速早送りモード、高速早送りモードのいずかであるかを認識し、この要求を制御信号に変換してパルス制御回路322に出力する。
【0020】
パルス制御回路322は、信号認識手段321から出力される制御信号を受信し、この制御信号に対応するモータパルスをステップモータ10に出力する。そして、このパルス制御回路322には、ステップモータ10に出力するモータパルスの数を計数するカウンタ(図示せず)が設けられている。
このパルス制御回路322は、信号認識手段321から通常計時モードの制御信号を受信したときには、水晶発振部31から受信した発振信号を分周することにより、ステップモータ10に1Hzのモータパルスを出力する。また、信号認識手段321から時刻修正モードの制御信号を受信したときには、ステップモータ10へのパモータルスの出力を停止する。さらに、信号認識手段321から準高速早送りモードおよび高速早送りモードの制御信号を受信したときには、水晶発振部31から受信した発振信号を分周することにより、ステップモータ10に1Hzより高い周波数のモータパルスを50パルス出力する。
【0021】
[電子時計の動作]
図3のブロック図に基づいて、電子時計1を計時させる際の通常計時モード、電子時計1の時刻修正の際に用いられる時刻修正モード、準高速早送りモード、および、高速早送りモードにおける動作について説明する。ここで、時刻修正モードは、従来と同様の時刻修正を行う際のモードであり、準高速早送りモードは、秒針22Aを速い速度で運針させることにより、秒針22Aを任意の位置まで運針させる時間を短縮するモードであり、高速早送りモードは、秒針22Aを準高速早送りモードよりも速い速度で運針させることにより、秒針22Aを任意の位置まで運針させる時間をさらに短縮するモードである。
【0022】
〔通常計時モード〕
通常計時モードにおいては、巻真50は0段のままのため、操作検出手段40は竜頭操作検出信号Sを出力せず、信号認識手段321は、パルス制御回路322に通常計時モードの制御信号を出力する。すると、パルス制御回路322は、ステップモータ10に1Hzのモータパルス(以下、この1Hzのモータパルスを、通常パルスと称す)を出力する。そして、この通常パルスにより駆動するステップモータ10により、輪列20を駆動させ、秒針22Aを1秒あたり文字盤における1秒分だけ運針させる。つまり、電子時計1に通常の運針を行わせる。
【0023】
〔時刻修正モードでの時刻修正〕
電子時計1を通常計時モードから時刻修正モードに切り替える際には、竜頭の操作により巻真50を0段から1段にする。巻真50をこのように操作すると、操作検出手段40から信号認識手段321に、竜頭操作検出信号Sが出力される。すると、この竜頭操作検出信号Sを受信した信号認識手段321は、竜頭の操作により伝達された要求が時刻修正モードであることを認識し、時刻修正モードの制御信号をパルス制御回路322に出力する。そして、この制御信号を受信したパルス制御回路322は、ステップモータ10への通常パルスの出力を停止し、秒針22Aの運針を停止させる。また、このとき、巻真50の操作により、規正レバー75が五番車21の歯車に当接し、これにより、ロータ11の停止位置がずれるのを防止している。
【0024】
巻真50を1段にすると、おしどり71が回動し、この回動に伴いかんぬき72が回動することにより、つづみ車73が巻真50の竜頭と逆の方向(電子時計1の中央側)に移動し小鉄車74に係合する。この小鉄車74は、日の裏車25に係合されているため、竜頭の回転操作を、巻真50および小鉄車74を介して輪列20の日の裏車25に伝達できるようになる。また、五番車21の歯車とかなの間にはスリップ機構が設けられており、規正レバー75が五番車21の歯車に当接した状態では、時刻修正時の各車21〜26の回転がステップモータ10のロータ11に伝達されないようになっている。このような構成において、竜頭を回転操作することにより、日の裏車25を介して二番車24および筒車26を回転させて、分針24Aおよび時針26Aの針合わせを行い、これらの表示針24A,26Aを目的の時刻に合わせる。
【0025】
なお、時刻修正モードでは、秒針22Aが、例えば12時位置に来るのを待ち、12時位置に来たときに巻真50を0段から1段にすることで秒針22Aの運針を停止させ、この後に、竜頭の回転操作により、分針24Aおよび時針26Aの針合わせを行えば、従来と同じように時刻修正することが可能である。
【0026】
一方で、秒針22Aを、例えば12時位置に短時間で合わせたいときには、秒針22Aが通常計時モードよりも速く運針する準高速早送りモードや、この準高速早送りモードよりもさらに速く運針する高速早送りモードを用いることにより、秒針22Aを12時位置まで運針する時間を短縮できる。以下には、各モードでの時刻修正について説明する。
【0027】
〔準高速早送りモードでの時刻修正〕
準高速早送りモードにより、秒針22Aを早送りするには、竜頭の操作により巻真50を、0段から1段にした後に再度0段に戻す。そして、この一連の操作を、例えば5秒程度の所定時間内に行う(引き出し、引き戻し操作を5秒以内に行う)。ただし、5秒に限らず、5秒よりも長くしても良いし短くしても良い。このとき、操作検出手段40は、巻真50が0段から1段になったときに、信号認識手段321に竜頭操作検出信号Sを出力した後、1段から0段なったときに竜頭操作検出信号Sの出力を停止する。すると、信号認識手段321は、竜頭操作検出信号Sが出力された後、所定時間内に出力が停止したと判断し、伝達された要求が準高速早送りモードであることを認識し、準高速早送りモードの制御信号をパルス制御回路322に出力する。そして、この制御信号を受信したパルス制御回路322は、水晶発振部31から受信した発振信号を分周することにより、ステップモータ10に通常パルス(1Hz)よりも高い周波数である例えば8Hzの準高速早送りパルスを最大で50パルス出力する。
【0028】
ステップモータ10が受信した準高速早送りパルスにより、輪列20を駆動させると、秒針22Aは、輪列20の駆動により1秒あたり8秒分(ぶん)進む速度で運針する。そして、この準高速早送りモードにより、秒針22Aを、例えば12時の手前の任意の位置まで準高速早送り運針させたときに、巻真50を1段にして準高速早送りモードを解除し、秒針22Aを停止させる。そして、巻真を0段にして通常運針モードにし、秒針22Aを12時位置まで運針させた後、再び1段にして秒針22Aの運針を停止させる。この後、時刻修正モードと同様の操作により、時刻修正する。
【0029】
なお、準高速早送りモードを行うにあたって、秒針22Aを停止させたとき(竜頭を0段から1段にしたとき)、秒針22Aが、12時位置から10秒だけ通過した位置に停止した状態にある場合には、この状態から準高速早送りモードで運針すれば、準高速早送りパルスは最大50パルスしか出力されないので、準高速早送りモードを意図的に解除しなくても、ちょうど12時位置で秒針22Aの運針が停止して、準高速早送りモードが自動的に解除される。また、秒針22Aの12時位置での停止状態は、竜頭を再び1段にしてから0段に戻すことで解除され通常の運針に戻る。また、準高速早送りモードを行うにあたって、秒針22Aを停止させたとき、秒針22Aが、12時位置より数秒だけ通過した位置に停止した状態にある場合には、この準高速早送りモードを実行して最大50パルスを出力させることで、秒針22Aは12時位置の手前数秒の位置に自動的に停止する。この停止状態を解除する方法は、前述のそれと同様である。
【0030】
〔高速早送りモードでの時刻修正〕
高速早送りモードにより、秒針22Aを運針するには、竜頭の操作により巻真50を、0段から1段にした後に0段に戻し、さらに1段にした後に0段に戻す操作を、例えば5秒程度の所定時間内に行う(引き出し、引き戻し操作を5秒以内に2回繰り返す)。すると、信号認識手段321は、竜頭操作検出信号Sが所定時間内に2回出力されたと判断し、伝達された要求が高速早送りモードであることを認識し、高速早送りモードの制御信号をパルス制御回路322に出力する。そして、この制御信号を受信したパルス制御回路322は、水晶発振部31から受信した発振信号を分周することにより、準高速早送りモードにおける周波数より高い周波数である例えば16Hzの高速早送りパルスを最大で50パルス出力する。
【0031】
ステップモータ10が受信した高速早送りパルスにより、輪列20を駆動させると、秒針22Aは、輪列20の駆動により1秒あたり16秒分(ぶん)進む速度で運針する。つまり、高速早送りモードでは、秒針22Aを準高速早送りモードよりも速い速度で運針させることができる。そして、この高速早送りモードにより、秒針22Aを、例えば12時の手前の任意の位置まで高速早送り運針させたときに、巻真50を1段にして高速早送りモードを解除し、秒針22Aの高速早送り運針を停止させる。そして、巻真を0段にして通常運針モードにして、秒針22Aを12時位置まで運針させた後、再び1段にして秒針22Aの運針を停止させる。この後、時刻修正モードと同様の操作により時刻修正する。
【0032】
なお、準高速早送りモードでの時刻修正時と同様に、秒針22Aを、12時位置から10秒だけ通過した位置から高速早送りモードで運針させれば、高速早送りパルスは最大50パルスしか出力されないので、高速早送りモードを解除しなくても、ちょうど12時位置で秒針22Aの運針が停止する。また、秒針22Aを、12時位置から数秒だけ通過した位置から高速早送りモードで運針させれば、12時位置の手前数秒の位置に自動的に停止する。これらの停止状態を解除する方法は、準高速早送りモードのそれと同様である。
【0033】
このような一実施形態によれば、以下に示すような効果がある。
(1)電子時計1では、例えば準高速早送りモードで時刻修正を行うために竜頭を操作すると、操作検出手段40は、この操作を検出し、秒針22Aを準高速早送り運針する旨の竜頭操作検出信号Sを信号認識手段321に出力する。すると、この竜頭操作検出信号Sを受信した信号認識手段321は、準高速早送りモードの制御信号をパルス制御回路322に出力する。そして、パルス制御回路322は、受信した制御信号に基づいて、ステップモータ10に通常計時モードにおける通常パルス(1Hz)よりも周波数が高い8Hzの準高速早送りパルスを最大で50パルス出力する。このため、輪列20は、ステップモータ10からの準高速早送りパルスにより、通常計時モードのときよりも速く駆動し、秒針22Aは準高速早送りモードで運針する。
このような構成により、例えば秒針22Aを12時位置の手前の任意の位置まで準高速早送りモードで運針させた後、準高速早送りモードを解除し、再び通常計時モードで運針させて、12時位置になったときに運針を停止させることにより、通常の運針速度で秒針22Aを12時位置まで来るのを待つ必要がなくなる。したがって、秒針22Aを12時位置にするまでの時間を準高速早送りモードによって短縮でき、時刻修正を容易にできる。
そして、ステップモータ10を1つしか設けていないことに加え、竜頭の操作により秒針22Aを早送り運針させる構成のため、特別な部材を新たに設ける必要がなく、電子時計1の構成を簡略にできる。
さらに、秒針22Aを早送り運針させる構成なので、秒単位で時刻修正できる。
【0034】
(2)準高速早送りパルスおよび高速早送りパルスの周波数を、それぞれ64Hz以下の8Hzおよび16Hzにしたので、秒針22Aは通常計時モードでの運針速度よりも速い速度で運針するが、その速度は秒針22Aの運針状態を目で追えるものになる。したがって、各早送り運針中の秒針22Aの動作にタイミングを合わせ損ない、秒針22Aが目的の位置を通過してしまうという誤操作を抑えることができる。
【0035】
(3)一度の準高速早送りおよび高速早送り運針時に出力される早送りパルス数を、最大50パルスにしたので、秒針22Aは当該早送りパルスにより、意図的に停止させなくても、50秒分を越えて運針されることがない。このため、時刻修正を行うにあたって、例えば秒針22Aの動作にタイミングを合わせ損ない、秒針22Aが目的の位置を通過して停止したとしても、その通過量が10秒以内であれば、秒針22Aを再び準高速早送り運針、または、高速早送り運針し自動的に停止させることにより、秒針22Aを目的の位置の手前に停止させたり、目的の位置ちょうどに停止させることができ、時刻修正を一層容易にかつ迅速にできる。
【0036】
(4)準高速早送りパルスおよび高速早送りパルスの周波数は、竜頭の操作により複数段階に可変可能であるため、必要に応じて秒針22Aを準高速や高速で早送り運針させることができ、時刻修正に費やす時間をより短縮でき、使い勝手を良好にできる。
【0037】
(5)通常パルス、準高速早送りパルス、および高速早送りパルスは、水晶発振部31から受信した発振信号を分周することにより生成されているので、通常パルス生成用の水晶発振部31の他に、各早送りパルスのみを発生させる別の発振部を設ける必要がなく、構成を簡略にできる。
【0038】
なお、本発明は前記一実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を達成できるものであれば、次に示すような変形形態も適用されるものである。
例えば、準高速早送りパルスおよび高速早送りパルスの周波数を、それぞれ8Hzおよび16Hzにしたが、秒針22Aの運針状態を目で追える程度であれば他の周波数にしても良い。
また、一度の各早送り運針時に出力される早送りパルスのパルス数を50パルスにしたが、最大で59パルスであれば他の数にしても良い。
また、電子時計1の時刻修正の際に用いられる早送りモードを、準高速早送りモードおよび高速早送りモードの2段階にしたが、2段階に限らず、例えばさらに超高速早送りモードを設けたり、準高速早送りモードおよび高速早送りモードのいずれか一方だけにする構成にしても良い。
通常計時モードから準高速早送りモードまたは高速早送りモードに切り替える際の竜頭の操作は、上述したものに限らず、他の方法であっても良い。
【0039】
本発明を実施するための最良の構成、方法等は、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質等を限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質等の限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子時計のムーブメントの構成を示す平面図。
【図2】前記一実施形態に係る輪列の構成を示す斜視図。
【図3】前記一実施形態に係るムーブメントの概略構造を示すブロック図。
【符号の説明】
1…電子時計、10…ステップモータ、20…輪列、22A…秒針、24A…分針、26A…時針、32…IC(制御手段)、40…操作検出手段、S…竜頭操作検出信号(信号)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、秒針、分針、時針を有する3針タイプの電子時計に関する。
【0002】
【背景技術】
従来、秒針、分針、時針を有する3針タイプの電子時計の時刻修正を行う際には、一般的に以下の手順により行っていた。先ず、秒針が12時位置に来るまで待ち、秒針が12時位置に来たら例えば竜頭の操作により運針を停止させる。そして、時報と同時に竜頭の操作により運針を再開させることで時刻修正を行っていた。
一方で、秒針を運針させるモータと、分針および時針を運針させるモータとを別々に設けることで、時刻修正を容易にかつ迅速に行える電子時計の構成が知られている。このような電子時計では、通常計時モードから時刻修正モードに切り替えると、秒針を運針させるモータのみが駆動し、秒針を12時位置に早送り運針させて停止させる。そして、分針および時針を運針させるモータを駆動させることで、時刻修正をしていた。このため、秒針を短時間の間に12時位置に早送り運針させることができ、時刻修正を迅速に行える。また、時刻修正を、迅速に行える電子時計の別の構成も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1の電子時計は、分針および時針を有する2針タイプのものであり、時刻修正をする際には、竜頭を引き出し通常計時モードから時刻修正モードに切り替えた後、ボタンスイッチを押すことにより表示針を早送り運針させる。そして、必要に応じて表示針の早送り運針を停止させた後、修正パルスにより時刻修正をする。このため、上述した複数のモータを有する電子時計と同じ作用により、時刻修正を迅速に行える。
【0004】
【特許文献1】
特開昭64−10195号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、3針タイプの電子時計では、秒針が12時位置に来るまで待つ必要があり、この待つ時間が無駄になるという問題がある。
また、秒針を運針させるモータと、分針および時針を運針させるモータとを別々に設ける構成の電子時計では、複数のモータを設けるために、構成が複雑になるという問題がある。
また、特許文献1の電子時計は、分針および時針が早送り運針される構成なので、分単位でしか時刻修正できないという問題に加え、表示針を早送り運針させるためのボタンスイッチを備えているので、構成部材が多くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、時刻修正を簡単な構成で迅速に行える3針タイプの電子時計を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、秒針、分針、時針を運針させる輪列と、この輪列を駆動させる1つのステップモータと、このステップモータの駆動を制御する制御手段と、前記秒針、分針、時針の時刻修正操作を外部より行う外部操作部材とを備えた電子時計であって、前記外部操作部材の操作状態を検出し、この検出した操作に応じた信号を前記制御手段に出力する操作検出手段を備え、前記制御手段は、前記操作検出手段から当該電子時計の時刻修正を行う旨の前記信号を受信した場合に、通常計時のために出力される通常パルスよりも高い周波数の早送りパルスで、前記秒針、分針、時針を早送り運針することを特徴とする電子時計である。
【0008】
この発明によれば、時刻修正を行うために外部操作部材を操作をすると、操作検出手段は、この操作を検出し時刻修正を行う旨の信号を制御手段に出力する。すると、制御手段は、受信した信号を認識し、通常パルスよりも周波数が高い早送りパルスによりステップモータを駆動し、輪列を通常よりも速く駆動して秒針を早送り運針させる。このため、例えば、秒針を12時の手前の任意の位置まで早送り運針させた後、一度運針を停止させ、その後再び通常パルスで運針させて、12時位置になったときに運針を停止させることにより、通常の運針速度で秒針を12時位置まで来るのを待つ必要がなく、秒針を12時位置にするまでの時間が短縮される。
そして、ステップモータを1つしか設けていないことに加え、外部操作部材の操作により早送り運針させる構成のため特別な部材を新たに設ける必要がないので、電子時計の構成が簡略になる。
さらに、秒針を早送り運針させる構成なので、秒単位での時刻修正が可能になる。
以上のことから、時刻修正を簡単な構成で迅速に行える電子時計の提供が可能になる。
【0009】
本発明では、前記早送りパルスの周波数は、64Hz以下であることが望ましい。
この発明によれば、早送りパルスの周波数を64Hz以下にするので、秒針は通常パルスによる運針速度よりも速く運針するが、その速度は秒針の運針状態を目で追えるものになる。このため、早送り運針中の秒針の動作にタイミングを合わせ損ない、秒針が目的の位置を通過してしまうという誤操作を抑えられる。
【0010】
本発明では、一度の早送り運針時に出力される前記早送りパルスの最大パルス数は、59パルス以下であることが望ましい。
この発明によれば、一度の早送り運針時に出力される前記早送りパルスの最大パルス数を、59パルス以下にするので、秒針は当該早送りパルスにより1周せずに停止する。このため、例えば、時刻修正を行うにあたって、秒針が目的の位置をわずかに通過して停止したとしても、その通過量によっては、秒針を再び早送り運針させ、早送りパルスを最大数出力させて自動的に停止させることにより、秒針を目的の位置の手前に停止させたり、目的の位置ちょうどに停止させることができ、時刻修正が一層容易にかつ迅速に行える。
【0011】
本発明では、前記早送りパルスの周波数は、前記外部操作部材の操作により複数段階に可変可能であることが望ましい。
この発明によれば、早送りパルスの周波数を、外部操作部材の操作により複数段階に可変可能にしたので、必要に応じて秒針を高速で早送り運針させることができ、時刻修正に費やす時間がより短縮される。
【0012】
本発明では、前記早送りパルスは、前記通常パルスの周波数を高くすることにより生成されていることが望ましい。
この発明によれば、早送りパルスを、通常パルスの周波数を高くすることにより生成するので、早送りパルスのみを発生させる別の手段を設ける必要がなく、構成が簡略になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る電子時計のムーブメントの内部を示す平面図であり、図2は、輪列の構成を模式的に示す斜視図であり、図3は、電子時計の概略構成を示すブロック図である。
【0014】
[電子時計の構成]
図1において、2は電子時計1のムーブメントであり、このムーブメント2は、モータパルスにより駆動するステップモータ10と、このステップモータ10により駆動される輪列20と、ステップモータ10にモータパルスを出力する制御手段としてのIC32を有する回路ブロック30と、外部操作手段としての竜頭(図示せず)の操作状態に応じた竜頭操作検出信号S(図3)を出力する操作検出手段40(図3)とを備えている。
【0015】
輪列20は、図2に示すように、ステップモータ10のロータ11により駆動される五番車21と、この五番車21により駆動され秒針22Aを有する四番車22と、この四番車22により駆動される三番車23と、この三番車23により駆動され分針24Aを有する二番車24と、この二番車24により駆動される日の裏車25と、この日の裏車25により駆動され時針26Aを有する筒車26とを備えている。
【0016】
回路ブロック30は、電池60から供給される電力によりステップモータ10を駆動させたり、操作検出手段40からの竜頭操作検出信号Sによりステップモータ10を制御するIC32を備えている。この回路ブロック30には、図1に示すように、水晶発振部31が接続されている。
【0017】
操作検出手段40は、巻真50を介して伝達される竜頭の操作状態を検出し、この検出した操作状態を竜頭操作検出信号Sに変換して回路ブロック30に出力する。具体的には、巻真50が竜頭により操作されていない状態(以下、0段と称す)から、竜頭の操作により引き出された状態(以下、1段と称す)になったときに、回路ブロック30に竜頭操作検出信号Sを出力する。そして、巻真50が1段から0段になったときには、竜頭操作検出信号Sの出力を停止する。なお、この竜頭操作検出信号Sは、おしどり71やかんぬき72と連動して動作する回路ブロック30上の図示しないスイッチのON、OFFにより、出力または出力を停止する。
【0018】
以下には、本実施形態の最も特徴的な構成を説明する。
回路ブロック30のIC32は、図3に示すように、信号認識手段321と、パルス制御回路322とを備えている。
【0019】
信号認識手段321は、図示しないタイマーを備えている。そして、この信号認識手段321は、所定時間内に操作検出手段40から受信する竜頭操作検出信号Sの状態から、竜頭の操作により伝達された要求が、通常計時モード、時刻修正モード、準高速早送りモード、高速早送りモードのいずかであるかを認識し、この要求を制御信号に変換してパルス制御回路322に出力する。
【0020】
パルス制御回路322は、信号認識手段321から出力される制御信号を受信し、この制御信号に対応するモータパルスをステップモータ10に出力する。そして、このパルス制御回路322には、ステップモータ10に出力するモータパルスの数を計数するカウンタ(図示せず)が設けられている。
このパルス制御回路322は、信号認識手段321から通常計時モードの制御信号を受信したときには、水晶発振部31から受信した発振信号を分周することにより、ステップモータ10に1Hzのモータパルスを出力する。また、信号認識手段321から時刻修正モードの制御信号を受信したときには、ステップモータ10へのパモータルスの出力を停止する。さらに、信号認識手段321から準高速早送りモードおよび高速早送りモードの制御信号を受信したときには、水晶発振部31から受信した発振信号を分周することにより、ステップモータ10に1Hzより高い周波数のモータパルスを50パルス出力する。
【0021】
[電子時計の動作]
図3のブロック図に基づいて、電子時計1を計時させる際の通常計時モード、電子時計1の時刻修正の際に用いられる時刻修正モード、準高速早送りモード、および、高速早送りモードにおける動作について説明する。ここで、時刻修正モードは、従来と同様の時刻修正を行う際のモードであり、準高速早送りモードは、秒針22Aを速い速度で運針させることにより、秒針22Aを任意の位置まで運針させる時間を短縮するモードであり、高速早送りモードは、秒針22Aを準高速早送りモードよりも速い速度で運針させることにより、秒針22Aを任意の位置まで運針させる時間をさらに短縮するモードである。
【0022】
〔通常計時モード〕
通常計時モードにおいては、巻真50は0段のままのため、操作検出手段40は竜頭操作検出信号Sを出力せず、信号認識手段321は、パルス制御回路322に通常計時モードの制御信号を出力する。すると、パルス制御回路322は、ステップモータ10に1Hzのモータパルス(以下、この1Hzのモータパルスを、通常パルスと称す)を出力する。そして、この通常パルスにより駆動するステップモータ10により、輪列20を駆動させ、秒針22Aを1秒あたり文字盤における1秒分だけ運針させる。つまり、電子時計1に通常の運針を行わせる。
【0023】
〔時刻修正モードでの時刻修正〕
電子時計1を通常計時モードから時刻修正モードに切り替える際には、竜頭の操作により巻真50を0段から1段にする。巻真50をこのように操作すると、操作検出手段40から信号認識手段321に、竜頭操作検出信号Sが出力される。すると、この竜頭操作検出信号Sを受信した信号認識手段321は、竜頭の操作により伝達された要求が時刻修正モードであることを認識し、時刻修正モードの制御信号をパルス制御回路322に出力する。そして、この制御信号を受信したパルス制御回路322は、ステップモータ10への通常パルスの出力を停止し、秒針22Aの運針を停止させる。また、このとき、巻真50の操作により、規正レバー75が五番車21の歯車に当接し、これにより、ロータ11の停止位置がずれるのを防止している。
【0024】
巻真50を1段にすると、おしどり71が回動し、この回動に伴いかんぬき72が回動することにより、つづみ車73が巻真50の竜頭と逆の方向(電子時計1の中央側)に移動し小鉄車74に係合する。この小鉄車74は、日の裏車25に係合されているため、竜頭の回転操作を、巻真50および小鉄車74を介して輪列20の日の裏車25に伝達できるようになる。また、五番車21の歯車とかなの間にはスリップ機構が設けられており、規正レバー75が五番車21の歯車に当接した状態では、時刻修正時の各車21〜26の回転がステップモータ10のロータ11に伝達されないようになっている。このような構成において、竜頭を回転操作することにより、日の裏車25を介して二番車24および筒車26を回転させて、分針24Aおよび時針26Aの針合わせを行い、これらの表示針24A,26Aを目的の時刻に合わせる。
【0025】
なお、時刻修正モードでは、秒針22Aが、例えば12時位置に来るのを待ち、12時位置に来たときに巻真50を0段から1段にすることで秒針22Aの運針を停止させ、この後に、竜頭の回転操作により、分針24Aおよび時針26Aの針合わせを行えば、従来と同じように時刻修正することが可能である。
【0026】
一方で、秒針22Aを、例えば12時位置に短時間で合わせたいときには、秒針22Aが通常計時モードよりも速く運針する準高速早送りモードや、この準高速早送りモードよりもさらに速く運針する高速早送りモードを用いることにより、秒針22Aを12時位置まで運針する時間を短縮できる。以下には、各モードでの時刻修正について説明する。
【0027】
〔準高速早送りモードでの時刻修正〕
準高速早送りモードにより、秒針22Aを早送りするには、竜頭の操作により巻真50を、0段から1段にした後に再度0段に戻す。そして、この一連の操作を、例えば5秒程度の所定時間内に行う(引き出し、引き戻し操作を5秒以内に行う)。ただし、5秒に限らず、5秒よりも長くしても良いし短くしても良い。このとき、操作検出手段40は、巻真50が0段から1段になったときに、信号認識手段321に竜頭操作検出信号Sを出力した後、1段から0段なったときに竜頭操作検出信号Sの出力を停止する。すると、信号認識手段321は、竜頭操作検出信号Sが出力された後、所定時間内に出力が停止したと判断し、伝達された要求が準高速早送りモードであることを認識し、準高速早送りモードの制御信号をパルス制御回路322に出力する。そして、この制御信号を受信したパルス制御回路322は、水晶発振部31から受信した発振信号を分周することにより、ステップモータ10に通常パルス(1Hz)よりも高い周波数である例えば8Hzの準高速早送りパルスを最大で50パルス出力する。
【0028】
ステップモータ10が受信した準高速早送りパルスにより、輪列20を駆動させると、秒針22Aは、輪列20の駆動により1秒あたり8秒分(ぶん)進む速度で運針する。そして、この準高速早送りモードにより、秒針22Aを、例えば12時の手前の任意の位置まで準高速早送り運針させたときに、巻真50を1段にして準高速早送りモードを解除し、秒針22Aを停止させる。そして、巻真を0段にして通常運針モードにし、秒針22Aを12時位置まで運針させた後、再び1段にして秒針22Aの運針を停止させる。この後、時刻修正モードと同様の操作により、時刻修正する。
【0029】
なお、準高速早送りモードを行うにあたって、秒針22Aを停止させたとき(竜頭を0段から1段にしたとき)、秒針22Aが、12時位置から10秒だけ通過した位置に停止した状態にある場合には、この状態から準高速早送りモードで運針すれば、準高速早送りパルスは最大50パルスしか出力されないので、準高速早送りモードを意図的に解除しなくても、ちょうど12時位置で秒針22Aの運針が停止して、準高速早送りモードが自動的に解除される。また、秒針22Aの12時位置での停止状態は、竜頭を再び1段にしてから0段に戻すことで解除され通常の運針に戻る。また、準高速早送りモードを行うにあたって、秒針22Aを停止させたとき、秒針22Aが、12時位置より数秒だけ通過した位置に停止した状態にある場合には、この準高速早送りモードを実行して最大50パルスを出力させることで、秒針22Aは12時位置の手前数秒の位置に自動的に停止する。この停止状態を解除する方法は、前述のそれと同様である。
【0030】
〔高速早送りモードでの時刻修正〕
高速早送りモードにより、秒針22Aを運針するには、竜頭の操作により巻真50を、0段から1段にした後に0段に戻し、さらに1段にした後に0段に戻す操作を、例えば5秒程度の所定時間内に行う(引き出し、引き戻し操作を5秒以内に2回繰り返す)。すると、信号認識手段321は、竜頭操作検出信号Sが所定時間内に2回出力されたと判断し、伝達された要求が高速早送りモードであることを認識し、高速早送りモードの制御信号をパルス制御回路322に出力する。そして、この制御信号を受信したパルス制御回路322は、水晶発振部31から受信した発振信号を分周することにより、準高速早送りモードにおける周波数より高い周波数である例えば16Hzの高速早送りパルスを最大で50パルス出力する。
【0031】
ステップモータ10が受信した高速早送りパルスにより、輪列20を駆動させると、秒針22Aは、輪列20の駆動により1秒あたり16秒分(ぶん)進む速度で運針する。つまり、高速早送りモードでは、秒針22Aを準高速早送りモードよりも速い速度で運針させることができる。そして、この高速早送りモードにより、秒針22Aを、例えば12時の手前の任意の位置まで高速早送り運針させたときに、巻真50を1段にして高速早送りモードを解除し、秒針22Aの高速早送り運針を停止させる。そして、巻真を0段にして通常運針モードにして、秒針22Aを12時位置まで運針させた後、再び1段にして秒針22Aの運針を停止させる。この後、時刻修正モードと同様の操作により時刻修正する。
【0032】
なお、準高速早送りモードでの時刻修正時と同様に、秒針22Aを、12時位置から10秒だけ通過した位置から高速早送りモードで運針させれば、高速早送りパルスは最大50パルスしか出力されないので、高速早送りモードを解除しなくても、ちょうど12時位置で秒針22Aの運針が停止する。また、秒針22Aを、12時位置から数秒だけ通過した位置から高速早送りモードで運針させれば、12時位置の手前数秒の位置に自動的に停止する。これらの停止状態を解除する方法は、準高速早送りモードのそれと同様である。
【0033】
このような一実施形態によれば、以下に示すような効果がある。
(1)電子時計1では、例えば準高速早送りモードで時刻修正を行うために竜頭を操作すると、操作検出手段40は、この操作を検出し、秒針22Aを準高速早送り運針する旨の竜頭操作検出信号Sを信号認識手段321に出力する。すると、この竜頭操作検出信号Sを受信した信号認識手段321は、準高速早送りモードの制御信号をパルス制御回路322に出力する。そして、パルス制御回路322は、受信した制御信号に基づいて、ステップモータ10に通常計時モードにおける通常パルス(1Hz)よりも周波数が高い8Hzの準高速早送りパルスを最大で50パルス出力する。このため、輪列20は、ステップモータ10からの準高速早送りパルスにより、通常計時モードのときよりも速く駆動し、秒針22Aは準高速早送りモードで運針する。
このような構成により、例えば秒針22Aを12時位置の手前の任意の位置まで準高速早送りモードで運針させた後、準高速早送りモードを解除し、再び通常計時モードで運針させて、12時位置になったときに運針を停止させることにより、通常の運針速度で秒針22Aを12時位置まで来るのを待つ必要がなくなる。したがって、秒針22Aを12時位置にするまでの時間を準高速早送りモードによって短縮でき、時刻修正を容易にできる。
そして、ステップモータ10を1つしか設けていないことに加え、竜頭の操作により秒針22Aを早送り運針させる構成のため、特別な部材を新たに設ける必要がなく、電子時計1の構成を簡略にできる。
さらに、秒針22Aを早送り運針させる構成なので、秒単位で時刻修正できる。
【0034】
(2)準高速早送りパルスおよび高速早送りパルスの周波数を、それぞれ64Hz以下の8Hzおよび16Hzにしたので、秒針22Aは通常計時モードでの運針速度よりも速い速度で運針するが、その速度は秒針22Aの運針状態を目で追えるものになる。したがって、各早送り運針中の秒針22Aの動作にタイミングを合わせ損ない、秒針22Aが目的の位置を通過してしまうという誤操作を抑えることができる。
【0035】
(3)一度の準高速早送りおよび高速早送り運針時に出力される早送りパルス数を、最大50パルスにしたので、秒針22Aは当該早送りパルスにより、意図的に停止させなくても、50秒分を越えて運針されることがない。このため、時刻修正を行うにあたって、例えば秒針22Aの動作にタイミングを合わせ損ない、秒針22Aが目的の位置を通過して停止したとしても、その通過量が10秒以内であれば、秒針22Aを再び準高速早送り運針、または、高速早送り運針し自動的に停止させることにより、秒針22Aを目的の位置の手前に停止させたり、目的の位置ちょうどに停止させることができ、時刻修正を一層容易にかつ迅速にできる。
【0036】
(4)準高速早送りパルスおよび高速早送りパルスの周波数は、竜頭の操作により複数段階に可変可能であるため、必要に応じて秒針22Aを準高速や高速で早送り運針させることができ、時刻修正に費やす時間をより短縮でき、使い勝手を良好にできる。
【0037】
(5)通常パルス、準高速早送りパルス、および高速早送りパルスは、水晶発振部31から受信した発振信号を分周することにより生成されているので、通常パルス生成用の水晶発振部31の他に、各早送りパルスのみを発生させる別の発振部を設ける必要がなく、構成を簡略にできる。
【0038】
なお、本発明は前記一実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を達成できるものであれば、次に示すような変形形態も適用されるものである。
例えば、準高速早送りパルスおよび高速早送りパルスの周波数を、それぞれ8Hzおよび16Hzにしたが、秒針22Aの運針状態を目で追える程度であれば他の周波数にしても良い。
また、一度の各早送り運針時に出力される早送りパルスのパルス数を50パルスにしたが、最大で59パルスであれば他の数にしても良い。
また、電子時計1の時刻修正の際に用いられる早送りモードを、準高速早送りモードおよび高速早送りモードの2段階にしたが、2段階に限らず、例えばさらに超高速早送りモードを設けたり、準高速早送りモードおよび高速早送りモードのいずれか一方だけにする構成にしても良い。
通常計時モードから準高速早送りモードまたは高速早送りモードに切り替える際の竜頭の操作は、上述したものに限らず、他の方法であっても良い。
【0039】
本発明を実施するための最良の構成、方法等は、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質等を限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質等の限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子時計のムーブメントの構成を示す平面図。
【図2】前記一実施形態に係る輪列の構成を示す斜視図。
【図3】前記一実施形態に係るムーブメントの概略構造を示すブロック図。
【符号の説明】
1…電子時計、10…ステップモータ、20…輪列、22A…秒針、24A…分針、26A…時針、32…IC(制御手段)、40…操作検出手段、S…竜頭操作検出信号(信号)。
Claims (5)
- 秒針、分針、時針を運針させる輪列と、この輪列を駆動させる1つのステップモータと、このステップモータの駆動を制御する制御手段と、前記秒針、分針、時針の時刻修正操作を外部より行う外部操作部材とを備えた電子時計であって、
前記外部操作部材の操作状態を検出し、この検出した操作に応じた信号を前記制御手段に出力する操作検出手段を備え、
前記制御手段は、前記操作検出手段から当該電子時計の時刻修正を行う旨の前記信号を受信した場合に、通常計時のために出力される通常パルスよりも高い周波数の早送りパルスで、前記秒針、分針、時針を早送り運針することを特徴とする電子時計。 - 請求項1に記載の電子時計であって、前記早送りパルスの周波数は、64Hz以下であることを特徴とする電子時計。
- 請求項1または請求項2に記載の電子時計であって、一度の早送り運針時に出力される前記早送りパルスの最大パルス数は、59パルス以下であることを特徴とする電子時計。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子時計であって、前記早送りパルスの周波数は、前記外部操作部材の操作により複数段階に可変可能であることを特徴とする電子時計。
- 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電子時計であって、前記早送りパルスは、前記通常パルスの周波数を高くすることにより生成されていることを特徴とする電子時計。
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