JP2004323022A - 結晶性ポリエステル容器 - Google Patents
結晶性ポリエステル容器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004323022A JP2004323022A JP2003116200A JP2003116200A JP2004323022A JP 2004323022 A JP2004323022 A JP 2004323022A JP 2003116200 A JP2003116200 A JP 2003116200A JP 2003116200 A JP2003116200 A JP 2003116200A JP 2004323022 A JP2004323022 A JP 2004323022A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- flange portion
- container
- mold
- concave
- crystalline
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)
- Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
- Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
Abstract
【課題】概ね結晶質であることにより耐熱性、剛性およびガスバリア性であるが、熱シール性も良好な実質的に単層のポリエステル容器を与える。
【解決手段】実質的に単層のポリエステルシートからなる内容物収容のための凹部と該凹部周縁に存在するフランジ部とからなり、凹部は概ね結晶質であるが、フランジ部の少なくとも上面層は非晶質もしくは低結晶質である結晶性ポリエステル容器。該容器を、フランジ部の部分冷却及び凹部の加熱を行う金型を用いて、絞り成形により製造する。
【選択図】 図3
【解決手段】実質的に単層のポリエステルシートからなる内容物収容のための凹部と該凹部周縁に存在するフランジ部とからなり、凹部は概ね結晶質であるが、フランジ部の少なくとも上面層は非晶質もしくは低結晶質である結晶性ポリエステル容器。該容器を、フランジ部の部分冷却及び凹部の加熱を行う金型を用いて、絞り成形により製造する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、概ね結晶質のポリエステルシートからなる内容物収容のための凹部と周縁フランジ部とからなる、通常「トレイ」と称されるタイプの結晶性ポリエステル容器、その製造方法、製造のための金型、ならび該結晶性ポリエステル容器を底材とし、これと蓋材との組合せからなる包装容器及びその包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートをはじめとする熱可塑性ポリエステルは、優れた物理的および機械的性質に加えて、化学的にも安定であり、食品に対する安全性も認められているため、薄肉容器あるいは包装材料として広く用いられている。
【0003】
このような包装容器の一つの形態として、内容物(商品)を収容するための凹部と周縁フランジ部を有する絞り成形容器、いわゆるトレイ容器があり、ポリエステル製のトレイ容器も広く用いられはじめている。このようなトレイ容器は、一般に、これを底材として、紙、樹脂あるいはアルミ箔複合樹脂などの各種材料からなる概ね平坦なシートないしフィルム形状の蓋材により内容物を覆う形態で、商品陳列棚に置かれる。蓋材の底材への固定は、古くは、ホチキス(登録商標)や粘着テープなどの係止材を用いて行われていたが、近年は、蓋材の底材フランジ部との接触面を変性ポリオレフィンなどの熱シール性材料により構成しポリエステル製底材のフランジ(つば)部に直接熱シールする形態が採られている。
これにより食品等の内容物の気密による保存性が改善された絞り包装が可能となり、また内容物の保存性の一層の改善のためには内容物とともに多くは窒素、酸素、二酸化炭素等のガスを封入する「ガスパック包装」と称される包装形態が可能となる。封入ガスの窒素は長期保存、酸素は生肉などの色調(赤味)保持、二酸化炭素は静菌(菌の増殖抑制)効果、を目的として使用される。
【0004】
他方、通常の非晶質ポリエステルに比べて、耐熱性、剛性、ガスバリア性の向上した結晶性ないしは結晶質ポリエステルを底材として用いる気密な絞り包装(ないしガスパック包装)も提案されている。しかしながら結晶質ポリエステルを気密な絞り包装の底材として用いることには、非晶質ポリエステル底材に比べて蓋材との熱シール性が著しく低下するという問題がある。そこで結晶質ポリエステル底材を用いる場合には、少なくともそのフランジ部に変性ポリオレフィンなどの熱シール層を設ける構成が採られる。しかし、このような熱シール層の付設は、単に経済的に不利であるばかりでなく、ポリエステル底材のリサイクルの観点でも好ましいものではない。
【0005】
なお、後述する本発明に関連する従来技術として、結晶性絞り容器を非晶質ポリエステルシートの成形過程で結晶化することにより製造する技術(特開平5−192990号公報)および結晶性絞り容器の結晶化度を局部的に異ならせる技術(特開平5−278138号公報)があるが、いずれもフランジ部を非晶質に止めて熱シール性を改善する技術ではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の主要な目的は、概ね結晶質であるがフランジ部の熱シール性の良好な実質的に単層のポリエステルシートからなる結晶性ポリエステル容器(絞り容器)を提供することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、上記結晶性ポリエステル容器の効率的な製造方法、そのための金型を提供することにある。
【0008】
本発明の更なる目的は、上記結晶性ポリエステル容器を底材とし、熱シール性蓋材と組合せた絞り包装容器ならびに内容物も含めた絞り包装体を与えることにある。なお、本明細書でいう絞り成形、絞り包装あるいは絞り容器には、いわゆる「深絞り」の場合と、「浅絞り」の場合、のいずれも含まれる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らの研究の結果、上述の目的の達成のためには、実質的に単層の非晶質ポリエステルシートを絞り容器を成形するに際して、あるいは成形後にフランジ部の一部又は全部を残して容器の凹部を選択的に結晶化することが極めて有効であることが見出された。
【0010】
上述の知見に基づき、本発明は、第1に実質的に単層のポリエステルシートからなる内容物収容のための凹部と該凹部周縁に存在するフランジ部とからなり、凹部は概ね結晶質であるが、フランジ部の少なくとも上面層は非晶質もしくは低結晶質である結晶性ポリエステル容器を提供するものである。
【0011】
第2に、本発明は、非晶質ポリエステルシートを凹部と該凹部周縁に存在するフランジ部とを有する容器形状に加熱し、絞り成形するに際して、あるいは成形後、フランジ部の結晶化を抑制しつつ凹部を結晶化させることを特徴とする結晶性ポリエステル容器の製造方法を提供するものである。
【0012】
更に本発明は、周縁フランジ部を有する凹状金型上に必要に応じて加熱軟化した非晶質ポリエステルシートを載置し、該凹状金型からの真空吸引または/およびポリエステルシート上面からの圧縮空気圧により、ポリエステルシートを該凹状金型に密着させて凹部と該凹部周縁に存在するフランジ部とを有する容器形状に成形するに際して、あるいは成型後、該凹状金型の周縁フランジ部の温度を相対的に低く抑えつつ成形ポリエステルシート凹部を結晶化させることを特徴とする結晶性ポリエステル容器の製造方法を提供するものである。いわゆる真空または圧空シート成形法であり、絞り成形に適する。
【0013】
更に、本発明は、それぞれ周縁フランジ部を有し互いに嵌合関係にある凹状金型とプラグとの間に非晶質ポリエステルシートを挟み、一定時間保持して該ポリエステルシートを結晶化させつつ凹部と該凹部周縁に存在するフランジ部とを有する容器形状に成形するに際して、少なくともプラグのフランジ部の温度を相対的に低く抑えることにより接触するポリエステルシートの結晶化を抑制することを特徴とする結晶性ポリエステル容器の製造方法を提供するものである。いわゆるプラグアシストシート成形法であり、深絞り成形に適する。
【0014】
更に、本発明は、冷却手段を備えたフランジ部金型部材と、加熱手段および排気手段を備えた凹状金型部材とを有する非晶質ポリエステルシート成形結晶化用凹状金型を提供するものである。いわゆる真空または圧空シート成形金型である。
【0015】
更に、本発明は、それぞれフランジ部を有し互いに嵌合関係にあるプラグと、凹状金型とからなり、プラグのフランジ部には冷却手段を有する非晶質ポリエステルシート成形結晶化用金型を提供するものである。いわゆるプラグアシストシート成形金型である。
【0016】
更に、本発明は、上記結晶性ポリエステル容器と、該結晶性ポリエステル容器のフランジ部に接触するように配置される概ね平坦な蓋材とからなり、該蓋材の結晶性ポリエステル容器のフランジ部との接触面が熱シール性樹脂からなる包装容器を提供するものである。
【0017】
更に、本発明は、上記結晶性ポリエステル容器の凹部に内容物を収容したのち、該結晶性ポリエステル容器のフランジ部と蓋材とを熱シールしてなる包装体を提供するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の結晶性ポリエステル容器(絞り容器)1は、代表的に図1(斜視図)に示すような形状を有し、凹部1aと周縁フランジ部1bとからなる。凹部1aの開口平面形状は、図示のような矩形のほか、正方形あるいは円形などある程度任意性がある。
【0019】
また図2は、上記結晶性ポリエステル容器からなる底材1と、蓋材2の組合せからなる絞り包装容器の正断面図である。フランジ部1bとこれと接触する蓋材2との間で熱シールされるが内容物は図示していない。
【0020】
容器1を構成する底材ポリエステルシートは、当初非晶質であるが加熱絞り成形過程あるいは成形後に結晶化される結晶性ポリエステルからなる。このような結晶性ポリエステルとしては、テレフタル酸とエチレングリコールとの間の飽和ポリエステルであるポリエチレンテレフタレートが代表的であるが、テレフタル酸とエチレングリコール以外の他のジカルボン酸成分および/またはジオール成分をそれぞれ20モル%以下の量で共重合させることにより結晶性を幾分低下させたものでもよい。
【0021】
テレフタル酸以外の共重合に用いられるジカルボン酸成分の例としては、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。
【0022】
エチレングリコール以外の共重合に用いられるジオール成分の例としては、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドカメチレングリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオール等が挙げられる。
【0023】
必要に応じて、三官能以上または単官能のカルボン酸および/またはアルコール成分を2モル%程度まで混入することもできる。
【0024】
結晶性ポリエステルは、溶融成形性および機械的強度を良好に保つために、o−クロロフェノール中で25℃で測定した極限粘度[η]が、0.5〜1.5dl/g、好ましくは0.6〜1.3dl/g、より好ましくは0.8〜1.2dl/gの範囲であるものが好ましく用いられる。
【0025】
また、融点は、通常210℃〜265℃、好ましくは220〜260℃、ガラス転移点は、通常50〜120℃、好ましくは60〜100℃であるものが好適に用いられる。
【0026】
結晶性ポリエステルにはその結晶性を促進するために必要に応じてタルクや芳香族アミド化合物等の結晶核剤や、核発生後の結晶化促進剤、例えばポリエーテル、ポリエステル、安息香酸エステルなど、を配合することができるほか、非晶質部と結晶質部の色の違いを緩和する等の目的のために顔料を配合することもできる。
【0027】
本発明の結晶性ポリエステル容器のフランジ部1bの厚み(すなわち成形前の非晶質ポリエステルシートの厚み)は、200〜1000μm、好ましくは300〜700μm程度である。
【0028】
本発明の結晶性ポリエステル容器のフランジ部は、その少なくとも上面層(蓋材と接触する層)が非晶質もしくは低結晶質であることを特徴とするものであるが、これには図3(容器部分断面図)の(a)に示すようにフランジ部でほぼ全厚みに亘って非晶質もしくは低結晶質である場合と、(b)に示すように熱シールに関与するその上層部1bb(例えば厚み100μm程度)のみが非晶質もしくは低結晶質である場合とがある。図3の(a)は製造がより簡単である利点があり、これでも凹部1aの結晶化による特性改善と、フランジ部の熱シール性の調和という本発明の目的は達成可能である。図3(b)の上面層のみが非晶質もしくは低結晶質である場合は、結晶化した下層が耐熱変形性を与えるため、内容物のレンジ加熱が予定される用途におけるフランジ部の熱変形防止のためにはより適している。
【0029】
本発明の結晶性ポリエステル容器のフランジ部の少なくとも上面層は、熱シール性を維持するために非晶質もしくは低結晶質である必要があるが、そのための結晶化度は、10%未満、特に5%以下であることが好ましい。また、シールのための非晶質もしくは低結晶質表面層の厚さは50μm以上、特に100μm以上あることが好ましい。またフランジ部の下面層を結晶化するときは、その結晶質層厚みは50μm以上、特に100μm以上が適当である。非晶質層、結晶質層のいずれにおいても、その厚みを50μmより薄くすると、厚みのコントロールが難しくなる。
【0030】
他方、本発明の結晶性ポリエステル容器の凹部は、概ね全厚みに亘って結晶質とされる。好ましい結晶化度は、10%以上、特に18%以上の範囲である。結晶化度が10%未満では、耐熱性、剛性およびガスバリア性の向上という結晶化に伴う特性向上が充分に得られない。
【0031】
次に上述したような本発明の結晶性ポリエステル容器の製造方法を、用いる金型の図面を参照しつつ説明する。
【0032】
図4は、比較的浅絞りの結晶性ポリエステル容器を製造するための真空または/および圧空成形金型(凹状金型)の正断面図である。該金型は、凹部面を形成する加熱ヒータ4cを備えた加熱金型部材4aと、フランジ部を構成する冷却水(水道水)導入孔4dを備えた冷却金型部材4bとを備え、両金型部材間には、断熱材4gの層が配置されている。加熱金型部材4a中には、排気孔4fが設けられ、ノズル4eへと連通されている。そして金型全体は、架台4h上に保持されている。
【0033】
成形に当っては、金型のフランジ部4bの上面に接するように常温または加熱軟化された非晶質ポリエステルシート(図示せず)を載置し、上部面板(図示せず)により金型フランジ部4bとの間で気密に挟持し、真空系に連通されたノズル4eから該ポリエステルシートを吸引するか(真空成形)あるいは上記面板(図示せず)に設けた圧縮空気導入孔より圧縮空気を導入してポリエステルシートを加熱金型4aに押し付ける(圧空成形)かして、加熱成形(賦形)した後、容器形状に成形されたポリエステルシートを加熱金型4aおよび冷却金型4bと接触保持して、容器のフランジ部の結晶化を防止しつつ凹部の結晶化を進めた後、離型して本発明の結晶性ポリエステル容器を得る。
【0034】
上記において、加熱金型4aの温度は約150〜200℃、特に160〜180℃の温度に維持し、冷却金型4bの温度はポリエステルのTg以下、好ましくは室温〜60℃程度の温度に維持される。また上記温度に保持された金型との接触保持時間は、一般に2〜15秒、好ましくは3〜9秒程度とって、容器凹部のポリエステルシートの選択的結晶化を促進する。
【0035】
図5は、比較的深絞りの結晶性ポリエステル容器を製造するためのプラグアシストシート成形金型の正断面図である。この金型は、凹状金型4とプラグ5とからなり、凹状金型4は、冷却金型部材を含まず全体として加熱金型部材4aからなる点を除いて図4で説明した凹状金型と同様である。他方、プラグ5は、加熱ヒータを備えた加熱プラグ部5aと、冷却水導入孔5cを備えたフランジ部5bとからなる。
【0036】
成形に当っては、凹状金型上に、常温または加熱軟化された非晶質ポリエステルシート(図示せず)を導入し、加熱されたプラグ部5aを含むプラグ5を下降させてポリエステルシートを凹状金型4に押し付けて成形する。この際通常は、排気ノズル4eから真空吸引するか、プラグ部5aを通して導入した圧縮空気によりシートを金型4に押し付けて成形を行う。
【0037】
上記において、加熱金型4aおよびプラグ部5aの加熱温度、および冷却フラグ5bの温度、ならびに賦形後の保持時間は、図4の金型を用いて行う成形とほぼ同じである。
【0038】
上記の操作を通じてプラグアシストシート成形により、図3(b)の結晶化度分布を有する本発明の結晶性ポリエステル容器が得られる。なお上記操作において、凹状金型4のフランジ部に冷却金型部材を配置して、図4の金型と同様の構成を採れば、図3(a)の結晶化度分布を有する結晶性ポリエステル容器が得られる。
【0039】
上記図5を用いて説明したプラグアシスト成形において、プラグ部5aの加熱および加熱機構は必ずしも必要ではない。従ってプラグ5は全体として、また特にプラグ部5aは、木材等の伝熱性の悪い材料で形成することもできる。
【0040】
また上記図4および図5の金型を用いる本発明の結晶性ポリエステル容器の製造法の例においては、同一金型内で、容器の成形とその凹部の結晶化を行っているが、一旦ほぼ同様な形状の非晶質または低結晶質容器を別途成形しておいて、これを図4あるいは図5の金型中に装入し、凹部の結晶化を行うことにより、本発明の結晶性ポリエステル容器を製造することもできる。
【0041】
上記のようにして得られた本発明の結晶性ポリエステル容器は、そのままトレイ状の容器として用いるかあるいはホチキスあるいは粘着テープなどにより係止される蓋材と組合せて使用することもできるが、その非晶質もしくは低結晶質フランジ部の熱シール性を利用して、熱シール性層を有する蓋材と組合せて使用することが好ましい。
【0042】
このような熱シール性蓋材は、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メタアクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、アイオノマーなどのエチレン系共重合体樹脂、これらのマイレン酸などの不飽和酸による変成物、超低密度ポリエチレン(VLDPE)およびこのマイレン酸変成物、あるいはこれらの混合物、更には共重合ポリエステルなどからなる非または低結晶性ポリエステル樹脂などからなる熱シール性樹脂層を、任意の基材層上に表層として設けた、通常は積層体のシートないしフィルム(以下、特に厚みを限定する意図でなく「フィルム」と総称する)の形状で与えられる。表層としての熱シール層の形成は、溶液あるいはエマルジョン塗布、熱溶融ラミネート接着剤層を介しての貼布などの慣用法によることができるほか、基材層自体を熱可塑性樹脂として、共押出しによりフィルム化することも一般的である。蓋材積層体には、必要に応じてアルミ箔あるいはエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリグリコール酸(PGA)などのバリア性熱可塑性樹脂からなる(ガス)バリア層を含めることにより、内容物の変質を防止することもできる。更に熱可塑性樹脂積層物からなるフィルムを延伸することにより、熱収縮性蓋材フィルムを形成すれば内容物を底材容器に入れ、蓋材フィルムでシールする際に、あるいはシール後に蓋材フィルムを熱収縮させて内容物に密着した美麗な包装体を形成することもできる。
【0043】
本発明の熱シール性フランジ部を有する結晶性ポリエステル容器との組合せにおいては、蓋材に設ける熱シール層は、5μm以上、特に10μm以上の厚さで設けることが適当であり、熱シール後に、好ましくは2N/15mm以上、より好ましくは3N/15mm以上、更に好ましくは5N/15mm以上のシール強度を与えることができる。
【0044】
蓋材との組合せによる本発明の包装容器は、特に密封性の良い構造を与えることができるため、必要に応じてガスパック包装形態も含めて、食品等の保存安定性を要する内容物の包装容器として好適に用いられる。また結晶性ポリエステル容器の耐熱性も優れるため、そのまま内容物をレンジ加熱可能であるという利点がある。
【0045】
更に、蓋材を除去して内容物を取り出した後の結晶性ポリエステル容器は、ポリエステル単層からなり、夾雑物が少ないため、リサイクル適性に優れている。
【0046】
〔実施例〕
以下、実施例、比較例により、更に具体的に説明する。以下の例を含めて、本明細書に記載した物性の代表的なものは次の方法による測定値に基づくものである。
【0047】
<結晶化度>
試料樹脂(粒状物あるいはシートないしフィルムの微細化物)について、DSC装置(パーキンエルマー社製「DSC7」)を用い、10℃/分のスキャン速度にて結晶化熱(ΔCr)および融解熱(ΔH)を測定し、次式により結晶化度を算出した。ここでポリエチレンテレフタレート(PET)の完全結晶融解エネルギーは136.1(J/g)( H.M.Starkweather, et.al; J. Polym. Sci., Phys., Ed. 21, 295, (1983)に準拠)とした。
結晶化度=(ΔH(J/g)−ΔCr(J/g))/136.1(J/g)
<シール強度>
得られた包装体(パック品)の底材シートと蓋材フィルムとがシールされているフランジ部を帯状シール部と直交する方向に幅15mmの短冊状にカッターによりサンプルを切り出し、引張試験機(オリエンテック社製「RTC−1210」)にて常温、引張速度200mm/分の条件でT−剥離強度を測定してシール強度(g−f/15mm)とした。
【0048】
<酸素ガス透過度>
対応結晶化度を有するように結晶化したポリエステルシートについてASTMD3985−81に準じて、モコン社製OXTRAN2/20型にて、30℃、80% RHの条件下にて測定。
【0049】
<落体強度>
ハムを110g充填した容器を5℃冷蔵庫中にて正落下(容器底部を下に向けて落下)させ、容器割れ、ピンホール発生を見た。結果は以下の基準により判定した。
A;容器割れ、ピンホールなし。C;容器割れ、またはピンホール有り。
【0050】
<保存性>
ハムを充填したガスパック(窒素100%)容器を10℃冷蔵庫中、2000Luxの照明で20日間保管後、ハムの退色度合いを見た。結果は目視により以下の基準で測定した。A;赤味を保持。C;退色大。
以下の実施例、比較例においては、以下の略称で示す樹脂材料を、底材(ポリエステル容器)および蓋材の形成に用いた。
【0051】
<底材>
・A−PETシート:厚さ500μmの非晶質ポリエチレンテレフタレート(東洋紡社製「PETMAX C560SZ1R」;Tg=74℃、結晶化度=4%)
【0052】
<蓋材>
・Co−PET:共重合ポリエステル(カネボウ社製「ベルペットIFG−8L」;Tm=228℃、極限粘度=0.80)、
・Tie:変性低密度ポリエチレン樹脂(三井化学社製「アドマー3F730」;(メルトインデックス(MI)=2.7g/10分)、
・Ny:6−66共重合ナイロン(宇部興産社製「UBEナイロン5034B」;Tm=195℃、相対粘度=4.5)、
・EVOH:エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(クラレ社製「エバールEP−G156B」;Tm=160℃、MI=6.5g/10分)、
・M−EVA:変性エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(三井デュポン社製「CMPS V7022」;MI=10.5g/10分、Tm=93℃)
【0053】
(実施例1)
A−PETシート(500μm)を図4に断面構造を示す金型を備えた絞り成形機を用いて真空シート成形を行い凹部1aが縦×横×深さ=123×192×40(mm)で、フランジ部1bの幅が約20mmの概ね図1に示す箱形の絞り容器を形成した。この際、金型のフランジ部4bを水冷し、凹部4aを170℃に加熱し、成形したシートを6秒間接触保持して凹部1aが結晶化し、フランジ部1bが低結晶化した結晶性ポリエステル容器を作成した。
【0054】
得られた容器を、ガスパック包装機(西原社製「TV−336」)の金型、チャンバー内などを改造して得たトレイ用ガスパック包装機にかけ、蓋材としてCo−PET/Tie/Ny/EVOH/Tie/M−EVA(シーラント)の層構成を有し、シーラント厚み=39μm、総厚み=70μmの延伸収縮性フィルム(90℃熱水収縮率=5〜10%)を用いて、幅5mmのシールバーを用いてシール温度140℃、2秒、2kg−fの条件で熱シールを行いながら、ハム110gを充填し、窒素置換したガスパック包装体を作成した。
【0055】
得られた包装体の底材(トレイ)の底部およびフランジ部の結晶化度、底部の酸素透過度を測定し、更に包装体のシール強度、保存性および落体強度を測定した。結果を下記実施例および比較例についての測定結果とまとめて後記表1に示す。
【0056】
(実施例2)
実施例1と同じA−PETシートを図5に示す断面構造を有する金型を備えた絞り成形機を用いてプラグアシストシート成形により、実施例1と同じ形状の箱形の絞り容器を成形した。この際、プラグのフランジ部5bを冷却しながら凹状金型を170℃に保持して、賦形後6秒間保持した。
【0057】
得られた容器を用いる以外は、実施例1と同様の蓋材を用いてガスパック包装体を作成し、各種物性測定を行った。フランジ部の結晶化度については、容器のフランジ部の蓋材とのシール面に相当する上層部を約100μmの厚さに亘ってカッター刃で削り取りDSC測定に供した。
【0058】
(比較例1)
実施例1と同様に図4に示す断面構造を有するが全面加熱の金型を用いて、A−PETシートを100℃に加熱し、真空絞り成形にて容器を作成し、保持時間をとることなく、実施例1と同様の形状の箱型絞り容器を形成し、実施例1と同様にガスパック包装体を形成し、各種測定を行った。
【0059】
(比較例2)
比較例1と同様に全面加熱金型を用いてA−PETシートを100℃に加熱し、真空絞り成形にて容器を作成し、そのまま170℃で6秒間保持することによりフランジ部も含めて結晶化した絞り容器を形成し、以後実施例1と同様にガスパック包装体を形成し各種測定を行った。
【0060】
(実施例3)
蓋材フィルムとして、EVOH/Tie/M−EVA(シーラント)の層構成を有し、シーラント厚み=20μm、総厚み=50μmのT−ダイキャストフィルムを形成し、実施例1で形成したと同じ絞り容器のフランジ部を切り出し、そのシール面に上記蓋材のシーラント面を合せて、幅5mmのシールバーを用いて、140℃、4秒、2kg−fの条件で熱シールを行い、シール強度を測定したところ、4.5N/15mmの結果が得られた。
【0061】
(比較例3)
比較例2と同様にして得られた容器の結晶質フランジ部の切り出し片を用いる以外は実施例3と同様の蓋材フィルムを用いて熱シールを行い、シール強度を測定したところ、1.9N/15mmの値が得られた。
【0062】
以上の実施例および比較例の測定結果をまとめて、次の表1に記す。
【表1】
【0063】
上記表1の結果を見れば明らかなように、本発明に従いフランジ部の結晶化を抑制し凹部(底部)を選択的に結晶化して得られた結晶性ポリエステル絞り容器は、結晶化に伴うガスバリア性および保存性の向上効果を得つつ、フランジ部の熱シール強度も良好に維持されている。
【0064】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、概ね結晶質であることにより良好な耐熱性、剛性およびガスバリア性を保持しながら、フランジ部の熱シール性の良好な実質的に単層のポリエステルシートからなる結晶性ポリエステル容器(絞り容器)が与えられ、これを熱シール性の良好な蓋材を組合せることにより密閉性、従ってガスバリア性の良好な絞り包装容器が可能となる。また、上記結晶性ポリエステル容器の効率的な製造方法およびそのための金型も与えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の結晶性ポリエステル容器の一実施態様の概略形状を示す斜視図。
【図2】図1の結晶性ポリエステル容器を底材とし蓋材と組合せた絞り包装容器の正断面図。
【図3】(a)および(b)は、それぞれ本発明の結晶性ポリエステル容器における結晶化度分布の例を示す部分模式断面図。
【図4】本発明の結晶性ポリエステル容器の製造に適した真空および/または圧空シート成形用金型の一例の正断面図。
【図5】本発明の結晶性ポリエステル容器の製造に適したプラグアシストシート成形用金型の一例の正断面図。
【符号の説明】
1 結晶性ポリエステル容器
1a 凹部
1b フランジ部
1bb フランジ部上層の非晶質もしくは低結晶質部
2 蓋材
4 凹状金型
4a 加熱部
4b 冷却部
4c ヒータ
4d 冷却水導入孔
4f 排気孔
4g 断熱材
4e 排気ノズル
5 プラグ
5a 加熱部
5b 冷却部
5c 冷却水導入孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、概ね結晶質のポリエステルシートからなる内容物収容のための凹部と周縁フランジ部とからなる、通常「トレイ」と称されるタイプの結晶性ポリエステル容器、その製造方法、製造のための金型、ならび該結晶性ポリエステル容器を底材とし、これと蓋材との組合せからなる包装容器及びその包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートをはじめとする熱可塑性ポリエステルは、優れた物理的および機械的性質に加えて、化学的にも安定であり、食品に対する安全性も認められているため、薄肉容器あるいは包装材料として広く用いられている。
【0003】
このような包装容器の一つの形態として、内容物(商品)を収容するための凹部と周縁フランジ部を有する絞り成形容器、いわゆるトレイ容器があり、ポリエステル製のトレイ容器も広く用いられはじめている。このようなトレイ容器は、一般に、これを底材として、紙、樹脂あるいはアルミ箔複合樹脂などの各種材料からなる概ね平坦なシートないしフィルム形状の蓋材により内容物を覆う形態で、商品陳列棚に置かれる。蓋材の底材への固定は、古くは、ホチキス(登録商標)や粘着テープなどの係止材を用いて行われていたが、近年は、蓋材の底材フランジ部との接触面を変性ポリオレフィンなどの熱シール性材料により構成しポリエステル製底材のフランジ(つば)部に直接熱シールする形態が採られている。
これにより食品等の内容物の気密による保存性が改善された絞り包装が可能となり、また内容物の保存性の一層の改善のためには内容物とともに多くは窒素、酸素、二酸化炭素等のガスを封入する「ガスパック包装」と称される包装形態が可能となる。封入ガスの窒素は長期保存、酸素は生肉などの色調(赤味)保持、二酸化炭素は静菌(菌の増殖抑制)効果、を目的として使用される。
【0004】
他方、通常の非晶質ポリエステルに比べて、耐熱性、剛性、ガスバリア性の向上した結晶性ないしは結晶質ポリエステルを底材として用いる気密な絞り包装(ないしガスパック包装)も提案されている。しかしながら結晶質ポリエステルを気密な絞り包装の底材として用いることには、非晶質ポリエステル底材に比べて蓋材との熱シール性が著しく低下するという問題がある。そこで結晶質ポリエステル底材を用いる場合には、少なくともそのフランジ部に変性ポリオレフィンなどの熱シール層を設ける構成が採られる。しかし、このような熱シール層の付設は、単に経済的に不利であるばかりでなく、ポリエステル底材のリサイクルの観点でも好ましいものではない。
【0005】
なお、後述する本発明に関連する従来技術として、結晶性絞り容器を非晶質ポリエステルシートの成形過程で結晶化することにより製造する技術(特開平5−192990号公報)および結晶性絞り容器の結晶化度を局部的に異ならせる技術(特開平5−278138号公報)があるが、いずれもフランジ部を非晶質に止めて熱シール性を改善する技術ではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の主要な目的は、概ね結晶質であるがフランジ部の熱シール性の良好な実質的に単層のポリエステルシートからなる結晶性ポリエステル容器(絞り容器)を提供することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、上記結晶性ポリエステル容器の効率的な製造方法、そのための金型を提供することにある。
【0008】
本発明の更なる目的は、上記結晶性ポリエステル容器を底材とし、熱シール性蓋材と組合せた絞り包装容器ならびに内容物も含めた絞り包装体を与えることにある。なお、本明細書でいう絞り成形、絞り包装あるいは絞り容器には、いわゆる「深絞り」の場合と、「浅絞り」の場合、のいずれも含まれる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らの研究の結果、上述の目的の達成のためには、実質的に単層の非晶質ポリエステルシートを絞り容器を成形するに際して、あるいは成形後にフランジ部の一部又は全部を残して容器の凹部を選択的に結晶化することが極めて有効であることが見出された。
【0010】
上述の知見に基づき、本発明は、第1に実質的に単層のポリエステルシートからなる内容物収容のための凹部と該凹部周縁に存在するフランジ部とからなり、凹部は概ね結晶質であるが、フランジ部の少なくとも上面層は非晶質もしくは低結晶質である結晶性ポリエステル容器を提供するものである。
【0011】
第2に、本発明は、非晶質ポリエステルシートを凹部と該凹部周縁に存在するフランジ部とを有する容器形状に加熱し、絞り成形するに際して、あるいは成形後、フランジ部の結晶化を抑制しつつ凹部を結晶化させることを特徴とする結晶性ポリエステル容器の製造方法を提供するものである。
【0012】
更に本発明は、周縁フランジ部を有する凹状金型上に必要に応じて加熱軟化した非晶質ポリエステルシートを載置し、該凹状金型からの真空吸引または/およびポリエステルシート上面からの圧縮空気圧により、ポリエステルシートを該凹状金型に密着させて凹部と該凹部周縁に存在するフランジ部とを有する容器形状に成形するに際して、あるいは成型後、該凹状金型の周縁フランジ部の温度を相対的に低く抑えつつ成形ポリエステルシート凹部を結晶化させることを特徴とする結晶性ポリエステル容器の製造方法を提供するものである。いわゆる真空または圧空シート成形法であり、絞り成形に適する。
【0013】
更に、本発明は、それぞれ周縁フランジ部を有し互いに嵌合関係にある凹状金型とプラグとの間に非晶質ポリエステルシートを挟み、一定時間保持して該ポリエステルシートを結晶化させつつ凹部と該凹部周縁に存在するフランジ部とを有する容器形状に成形するに際して、少なくともプラグのフランジ部の温度を相対的に低く抑えることにより接触するポリエステルシートの結晶化を抑制することを特徴とする結晶性ポリエステル容器の製造方法を提供するものである。いわゆるプラグアシストシート成形法であり、深絞り成形に適する。
【0014】
更に、本発明は、冷却手段を備えたフランジ部金型部材と、加熱手段および排気手段を備えた凹状金型部材とを有する非晶質ポリエステルシート成形結晶化用凹状金型を提供するものである。いわゆる真空または圧空シート成形金型である。
【0015】
更に、本発明は、それぞれフランジ部を有し互いに嵌合関係にあるプラグと、凹状金型とからなり、プラグのフランジ部には冷却手段を有する非晶質ポリエステルシート成形結晶化用金型を提供するものである。いわゆるプラグアシストシート成形金型である。
【0016】
更に、本発明は、上記結晶性ポリエステル容器と、該結晶性ポリエステル容器のフランジ部に接触するように配置される概ね平坦な蓋材とからなり、該蓋材の結晶性ポリエステル容器のフランジ部との接触面が熱シール性樹脂からなる包装容器を提供するものである。
【0017】
更に、本発明は、上記結晶性ポリエステル容器の凹部に内容物を収容したのち、該結晶性ポリエステル容器のフランジ部と蓋材とを熱シールしてなる包装体を提供するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の結晶性ポリエステル容器(絞り容器)1は、代表的に図1(斜視図)に示すような形状を有し、凹部1aと周縁フランジ部1bとからなる。凹部1aの開口平面形状は、図示のような矩形のほか、正方形あるいは円形などある程度任意性がある。
【0019】
また図2は、上記結晶性ポリエステル容器からなる底材1と、蓋材2の組合せからなる絞り包装容器の正断面図である。フランジ部1bとこれと接触する蓋材2との間で熱シールされるが内容物は図示していない。
【0020】
容器1を構成する底材ポリエステルシートは、当初非晶質であるが加熱絞り成形過程あるいは成形後に結晶化される結晶性ポリエステルからなる。このような結晶性ポリエステルとしては、テレフタル酸とエチレングリコールとの間の飽和ポリエステルであるポリエチレンテレフタレートが代表的であるが、テレフタル酸とエチレングリコール以外の他のジカルボン酸成分および/またはジオール成分をそれぞれ20モル%以下の量で共重合させることにより結晶性を幾分低下させたものでもよい。
【0021】
テレフタル酸以外の共重合に用いられるジカルボン酸成分の例としては、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。
【0022】
エチレングリコール以外の共重合に用いられるジオール成分の例としては、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドカメチレングリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオール等が挙げられる。
【0023】
必要に応じて、三官能以上または単官能のカルボン酸および/またはアルコール成分を2モル%程度まで混入することもできる。
【0024】
結晶性ポリエステルは、溶融成形性および機械的強度を良好に保つために、o−クロロフェノール中で25℃で測定した極限粘度[η]が、0.5〜1.5dl/g、好ましくは0.6〜1.3dl/g、より好ましくは0.8〜1.2dl/gの範囲であるものが好ましく用いられる。
【0025】
また、融点は、通常210℃〜265℃、好ましくは220〜260℃、ガラス転移点は、通常50〜120℃、好ましくは60〜100℃であるものが好適に用いられる。
【0026】
結晶性ポリエステルにはその結晶性を促進するために必要に応じてタルクや芳香族アミド化合物等の結晶核剤や、核発生後の結晶化促進剤、例えばポリエーテル、ポリエステル、安息香酸エステルなど、を配合することができるほか、非晶質部と結晶質部の色の違いを緩和する等の目的のために顔料を配合することもできる。
【0027】
本発明の結晶性ポリエステル容器のフランジ部1bの厚み(すなわち成形前の非晶質ポリエステルシートの厚み)は、200〜1000μm、好ましくは300〜700μm程度である。
【0028】
本発明の結晶性ポリエステル容器のフランジ部は、その少なくとも上面層(蓋材と接触する層)が非晶質もしくは低結晶質であることを特徴とするものであるが、これには図3(容器部分断面図)の(a)に示すようにフランジ部でほぼ全厚みに亘って非晶質もしくは低結晶質である場合と、(b)に示すように熱シールに関与するその上層部1bb(例えば厚み100μm程度)のみが非晶質もしくは低結晶質である場合とがある。図3の(a)は製造がより簡単である利点があり、これでも凹部1aの結晶化による特性改善と、フランジ部の熱シール性の調和という本発明の目的は達成可能である。図3(b)の上面層のみが非晶質もしくは低結晶質である場合は、結晶化した下層が耐熱変形性を与えるため、内容物のレンジ加熱が予定される用途におけるフランジ部の熱変形防止のためにはより適している。
【0029】
本発明の結晶性ポリエステル容器のフランジ部の少なくとも上面層は、熱シール性を維持するために非晶質もしくは低結晶質である必要があるが、そのための結晶化度は、10%未満、特に5%以下であることが好ましい。また、シールのための非晶質もしくは低結晶質表面層の厚さは50μm以上、特に100μm以上あることが好ましい。またフランジ部の下面層を結晶化するときは、その結晶質層厚みは50μm以上、特に100μm以上が適当である。非晶質層、結晶質層のいずれにおいても、その厚みを50μmより薄くすると、厚みのコントロールが難しくなる。
【0030】
他方、本発明の結晶性ポリエステル容器の凹部は、概ね全厚みに亘って結晶質とされる。好ましい結晶化度は、10%以上、特に18%以上の範囲である。結晶化度が10%未満では、耐熱性、剛性およびガスバリア性の向上という結晶化に伴う特性向上が充分に得られない。
【0031】
次に上述したような本発明の結晶性ポリエステル容器の製造方法を、用いる金型の図面を参照しつつ説明する。
【0032】
図4は、比較的浅絞りの結晶性ポリエステル容器を製造するための真空または/および圧空成形金型(凹状金型)の正断面図である。該金型は、凹部面を形成する加熱ヒータ4cを備えた加熱金型部材4aと、フランジ部を構成する冷却水(水道水)導入孔4dを備えた冷却金型部材4bとを備え、両金型部材間には、断熱材4gの層が配置されている。加熱金型部材4a中には、排気孔4fが設けられ、ノズル4eへと連通されている。そして金型全体は、架台4h上に保持されている。
【0033】
成形に当っては、金型のフランジ部4bの上面に接するように常温または加熱軟化された非晶質ポリエステルシート(図示せず)を載置し、上部面板(図示せず)により金型フランジ部4bとの間で気密に挟持し、真空系に連通されたノズル4eから該ポリエステルシートを吸引するか(真空成形)あるいは上記面板(図示せず)に設けた圧縮空気導入孔より圧縮空気を導入してポリエステルシートを加熱金型4aに押し付ける(圧空成形)かして、加熱成形(賦形)した後、容器形状に成形されたポリエステルシートを加熱金型4aおよび冷却金型4bと接触保持して、容器のフランジ部の結晶化を防止しつつ凹部の結晶化を進めた後、離型して本発明の結晶性ポリエステル容器を得る。
【0034】
上記において、加熱金型4aの温度は約150〜200℃、特に160〜180℃の温度に維持し、冷却金型4bの温度はポリエステルのTg以下、好ましくは室温〜60℃程度の温度に維持される。また上記温度に保持された金型との接触保持時間は、一般に2〜15秒、好ましくは3〜9秒程度とって、容器凹部のポリエステルシートの選択的結晶化を促進する。
【0035】
図5は、比較的深絞りの結晶性ポリエステル容器を製造するためのプラグアシストシート成形金型の正断面図である。この金型は、凹状金型4とプラグ5とからなり、凹状金型4は、冷却金型部材を含まず全体として加熱金型部材4aからなる点を除いて図4で説明した凹状金型と同様である。他方、プラグ5は、加熱ヒータを備えた加熱プラグ部5aと、冷却水導入孔5cを備えたフランジ部5bとからなる。
【0036】
成形に当っては、凹状金型上に、常温または加熱軟化された非晶質ポリエステルシート(図示せず)を導入し、加熱されたプラグ部5aを含むプラグ5を下降させてポリエステルシートを凹状金型4に押し付けて成形する。この際通常は、排気ノズル4eから真空吸引するか、プラグ部5aを通して導入した圧縮空気によりシートを金型4に押し付けて成形を行う。
【0037】
上記において、加熱金型4aおよびプラグ部5aの加熱温度、および冷却フラグ5bの温度、ならびに賦形後の保持時間は、図4の金型を用いて行う成形とほぼ同じである。
【0038】
上記の操作を通じてプラグアシストシート成形により、図3(b)の結晶化度分布を有する本発明の結晶性ポリエステル容器が得られる。なお上記操作において、凹状金型4のフランジ部に冷却金型部材を配置して、図4の金型と同様の構成を採れば、図3(a)の結晶化度分布を有する結晶性ポリエステル容器が得られる。
【0039】
上記図5を用いて説明したプラグアシスト成形において、プラグ部5aの加熱および加熱機構は必ずしも必要ではない。従ってプラグ5は全体として、また特にプラグ部5aは、木材等の伝熱性の悪い材料で形成することもできる。
【0040】
また上記図4および図5の金型を用いる本発明の結晶性ポリエステル容器の製造法の例においては、同一金型内で、容器の成形とその凹部の結晶化を行っているが、一旦ほぼ同様な形状の非晶質または低結晶質容器を別途成形しておいて、これを図4あるいは図5の金型中に装入し、凹部の結晶化を行うことにより、本発明の結晶性ポリエステル容器を製造することもできる。
【0041】
上記のようにして得られた本発明の結晶性ポリエステル容器は、そのままトレイ状の容器として用いるかあるいはホチキスあるいは粘着テープなどにより係止される蓋材と組合せて使用することもできるが、その非晶質もしくは低結晶質フランジ部の熱シール性を利用して、熱シール性層を有する蓋材と組合せて使用することが好ましい。
【0042】
このような熱シール性蓋材は、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メタアクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、アイオノマーなどのエチレン系共重合体樹脂、これらのマイレン酸などの不飽和酸による変成物、超低密度ポリエチレン(VLDPE)およびこのマイレン酸変成物、あるいはこれらの混合物、更には共重合ポリエステルなどからなる非または低結晶性ポリエステル樹脂などからなる熱シール性樹脂層を、任意の基材層上に表層として設けた、通常は積層体のシートないしフィルム(以下、特に厚みを限定する意図でなく「フィルム」と総称する)の形状で与えられる。表層としての熱シール層の形成は、溶液あるいはエマルジョン塗布、熱溶融ラミネート接着剤層を介しての貼布などの慣用法によることができるほか、基材層自体を熱可塑性樹脂として、共押出しによりフィルム化することも一般的である。蓋材積層体には、必要に応じてアルミ箔あるいはエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリグリコール酸(PGA)などのバリア性熱可塑性樹脂からなる(ガス)バリア層を含めることにより、内容物の変質を防止することもできる。更に熱可塑性樹脂積層物からなるフィルムを延伸することにより、熱収縮性蓋材フィルムを形成すれば内容物を底材容器に入れ、蓋材フィルムでシールする際に、あるいはシール後に蓋材フィルムを熱収縮させて内容物に密着した美麗な包装体を形成することもできる。
【0043】
本発明の熱シール性フランジ部を有する結晶性ポリエステル容器との組合せにおいては、蓋材に設ける熱シール層は、5μm以上、特に10μm以上の厚さで設けることが適当であり、熱シール後に、好ましくは2N/15mm以上、より好ましくは3N/15mm以上、更に好ましくは5N/15mm以上のシール強度を与えることができる。
【0044】
蓋材との組合せによる本発明の包装容器は、特に密封性の良い構造を与えることができるため、必要に応じてガスパック包装形態も含めて、食品等の保存安定性を要する内容物の包装容器として好適に用いられる。また結晶性ポリエステル容器の耐熱性も優れるため、そのまま内容物をレンジ加熱可能であるという利点がある。
【0045】
更に、蓋材を除去して内容物を取り出した後の結晶性ポリエステル容器は、ポリエステル単層からなり、夾雑物が少ないため、リサイクル適性に優れている。
【0046】
〔実施例〕
以下、実施例、比較例により、更に具体的に説明する。以下の例を含めて、本明細書に記載した物性の代表的なものは次の方法による測定値に基づくものである。
【0047】
<結晶化度>
試料樹脂(粒状物あるいはシートないしフィルムの微細化物)について、DSC装置(パーキンエルマー社製「DSC7」)を用い、10℃/分のスキャン速度にて結晶化熱(ΔCr)および融解熱(ΔH)を測定し、次式により結晶化度を算出した。ここでポリエチレンテレフタレート(PET)の完全結晶融解エネルギーは136.1(J/g)( H.M.Starkweather, et.al; J. Polym. Sci., Phys., Ed. 21, 295, (1983)に準拠)とした。
結晶化度=(ΔH(J/g)−ΔCr(J/g))/136.1(J/g)
<シール強度>
得られた包装体(パック品)の底材シートと蓋材フィルムとがシールされているフランジ部を帯状シール部と直交する方向に幅15mmの短冊状にカッターによりサンプルを切り出し、引張試験機(オリエンテック社製「RTC−1210」)にて常温、引張速度200mm/分の条件でT−剥離強度を測定してシール強度(g−f/15mm)とした。
【0048】
<酸素ガス透過度>
対応結晶化度を有するように結晶化したポリエステルシートについてASTMD3985−81に準じて、モコン社製OXTRAN2/20型にて、30℃、80% RHの条件下にて測定。
【0049】
<落体強度>
ハムを110g充填した容器を5℃冷蔵庫中にて正落下(容器底部を下に向けて落下)させ、容器割れ、ピンホール発生を見た。結果は以下の基準により判定した。
A;容器割れ、ピンホールなし。C;容器割れ、またはピンホール有り。
【0050】
<保存性>
ハムを充填したガスパック(窒素100%)容器を10℃冷蔵庫中、2000Luxの照明で20日間保管後、ハムの退色度合いを見た。結果は目視により以下の基準で測定した。A;赤味を保持。C;退色大。
以下の実施例、比較例においては、以下の略称で示す樹脂材料を、底材(ポリエステル容器)および蓋材の形成に用いた。
【0051】
<底材>
・A−PETシート:厚さ500μmの非晶質ポリエチレンテレフタレート(東洋紡社製「PETMAX C560SZ1R」;Tg=74℃、結晶化度=4%)
【0052】
<蓋材>
・Co−PET:共重合ポリエステル(カネボウ社製「ベルペットIFG−8L」;Tm=228℃、極限粘度=0.80)、
・Tie:変性低密度ポリエチレン樹脂(三井化学社製「アドマー3F730」;(メルトインデックス(MI)=2.7g/10分)、
・Ny:6−66共重合ナイロン(宇部興産社製「UBEナイロン5034B」;Tm=195℃、相対粘度=4.5)、
・EVOH:エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(クラレ社製「エバールEP−G156B」;Tm=160℃、MI=6.5g/10分)、
・M−EVA:変性エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(三井デュポン社製「CMPS V7022」;MI=10.5g/10分、Tm=93℃)
【0053】
(実施例1)
A−PETシート(500μm)を図4に断面構造を示す金型を備えた絞り成形機を用いて真空シート成形を行い凹部1aが縦×横×深さ=123×192×40(mm)で、フランジ部1bの幅が約20mmの概ね図1に示す箱形の絞り容器を形成した。この際、金型のフランジ部4bを水冷し、凹部4aを170℃に加熱し、成形したシートを6秒間接触保持して凹部1aが結晶化し、フランジ部1bが低結晶化した結晶性ポリエステル容器を作成した。
【0054】
得られた容器を、ガスパック包装機(西原社製「TV−336」)の金型、チャンバー内などを改造して得たトレイ用ガスパック包装機にかけ、蓋材としてCo−PET/Tie/Ny/EVOH/Tie/M−EVA(シーラント)の層構成を有し、シーラント厚み=39μm、総厚み=70μmの延伸収縮性フィルム(90℃熱水収縮率=5〜10%)を用いて、幅5mmのシールバーを用いてシール温度140℃、2秒、2kg−fの条件で熱シールを行いながら、ハム110gを充填し、窒素置換したガスパック包装体を作成した。
【0055】
得られた包装体の底材(トレイ)の底部およびフランジ部の結晶化度、底部の酸素透過度を測定し、更に包装体のシール強度、保存性および落体強度を測定した。結果を下記実施例および比較例についての測定結果とまとめて後記表1に示す。
【0056】
(実施例2)
実施例1と同じA−PETシートを図5に示す断面構造を有する金型を備えた絞り成形機を用いてプラグアシストシート成形により、実施例1と同じ形状の箱形の絞り容器を成形した。この際、プラグのフランジ部5bを冷却しながら凹状金型を170℃に保持して、賦形後6秒間保持した。
【0057】
得られた容器を用いる以外は、実施例1と同様の蓋材を用いてガスパック包装体を作成し、各種物性測定を行った。フランジ部の結晶化度については、容器のフランジ部の蓋材とのシール面に相当する上層部を約100μmの厚さに亘ってカッター刃で削り取りDSC測定に供した。
【0058】
(比較例1)
実施例1と同様に図4に示す断面構造を有するが全面加熱の金型を用いて、A−PETシートを100℃に加熱し、真空絞り成形にて容器を作成し、保持時間をとることなく、実施例1と同様の形状の箱型絞り容器を形成し、実施例1と同様にガスパック包装体を形成し、各種測定を行った。
【0059】
(比較例2)
比較例1と同様に全面加熱金型を用いてA−PETシートを100℃に加熱し、真空絞り成形にて容器を作成し、そのまま170℃で6秒間保持することによりフランジ部も含めて結晶化した絞り容器を形成し、以後実施例1と同様にガスパック包装体を形成し各種測定を行った。
【0060】
(実施例3)
蓋材フィルムとして、EVOH/Tie/M−EVA(シーラント)の層構成を有し、シーラント厚み=20μm、総厚み=50μmのT−ダイキャストフィルムを形成し、実施例1で形成したと同じ絞り容器のフランジ部を切り出し、そのシール面に上記蓋材のシーラント面を合せて、幅5mmのシールバーを用いて、140℃、4秒、2kg−fの条件で熱シールを行い、シール強度を測定したところ、4.5N/15mmの結果が得られた。
【0061】
(比較例3)
比較例2と同様にして得られた容器の結晶質フランジ部の切り出し片を用いる以外は実施例3と同様の蓋材フィルムを用いて熱シールを行い、シール強度を測定したところ、1.9N/15mmの値が得られた。
【0062】
以上の実施例および比較例の測定結果をまとめて、次の表1に記す。
【表1】
【0063】
上記表1の結果を見れば明らかなように、本発明に従いフランジ部の結晶化を抑制し凹部(底部)を選択的に結晶化して得られた結晶性ポリエステル絞り容器は、結晶化に伴うガスバリア性および保存性の向上効果を得つつ、フランジ部の熱シール強度も良好に維持されている。
【0064】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、概ね結晶質であることにより良好な耐熱性、剛性およびガスバリア性を保持しながら、フランジ部の熱シール性の良好な実質的に単層のポリエステルシートからなる結晶性ポリエステル容器(絞り容器)が与えられ、これを熱シール性の良好な蓋材を組合せることにより密閉性、従ってガスバリア性の良好な絞り包装容器が可能となる。また、上記結晶性ポリエステル容器の効率的な製造方法およびそのための金型も与えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の結晶性ポリエステル容器の一実施態様の概略形状を示す斜視図。
【図2】図1の結晶性ポリエステル容器を底材とし蓋材と組合せた絞り包装容器の正断面図。
【図3】(a)および(b)は、それぞれ本発明の結晶性ポリエステル容器における結晶化度分布の例を示す部分模式断面図。
【図4】本発明の結晶性ポリエステル容器の製造に適した真空および/または圧空シート成形用金型の一例の正断面図。
【図5】本発明の結晶性ポリエステル容器の製造に適したプラグアシストシート成形用金型の一例の正断面図。
【符号の説明】
1 結晶性ポリエステル容器
1a 凹部
1b フランジ部
1bb フランジ部上層の非晶質もしくは低結晶質部
2 蓋材
4 凹状金型
4a 加熱部
4b 冷却部
4c ヒータ
4d 冷却水導入孔
4f 排気孔
4g 断熱材
4e 排気ノズル
5 プラグ
5a 加熱部
5b 冷却部
5c 冷却水導入孔
Claims (14)
- 実質的に単層のポリエステルシートからなる内容物収容のための凹部と該凹部周縁に存在するフランジ部とからなり、凹部は概ね結晶質であるが、フランジ部の少なくとも上面層は非晶質もしくは低結晶質である結晶性ポリエステル容器。
- フランジ部の全厚みが非晶質もしくは低結晶質である請求項1に記載の結晶性ポリエステル容器。
- フランジ部の上面層のみが非晶質もしくは低結晶質である請求項1に記載の結晶性ポリエステル容器。
- フランジ部の少なくとも上面層の結晶化度が10%未満である請求項1〜3のいずれかに記載の結晶性ポリエステル容器。
- 非晶質ポリエステルシートを凹部と該凹部周縁に存在するフランジ部とを有する容器形状に絞り成形するに際して、あるいは成形後、フランジ部の結晶化を抑制しつつ凹部を結晶化させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の結晶性ポリエステル容器の製造方法。
- 周縁フランジ部を有する凹状金型上に必要に応じて加熱軟化した非晶質ポリエステルシートを載置し、該凹状金型からの真空吸引または/およびポリエステルシート上面からの圧縮空気圧により、ポリエステルシートを該凹状金型に密着させて凹部と該凹部周縁に存在するフランジ部とを有する容器形状に成形するに際して、あるいは成形後、該凹状金型の周縁フランジ部の温度を相対的に低く抑えつつ成形されたポリエステルシート凹部を結晶化させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の結晶性ポリエステル容器の製造方法。
- それぞれ周縁フランジ部を有し互いに嵌合関係にある凹状金型とプラグとの間に非晶質ポリエステルシートを挟み、一定時間保持して該ポリエステルシートを結晶化させつつ凹部と該凹部周縁に存在するフランジ部とを有する容器形状に成形するに際して、あるいは成形後、少なくともプラグのフランジ部の温度を相対的に低く抑えることにより接触するポリエステルシートの結晶化を抑制することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の結晶性ポリエステル容器の製造方法。
- 冷却手段を備えたフランジ部金型部材と、加熱手段および排気手段を備えた凹状金型部材とを有する非晶質ポリエステルシート成形結晶化用凹状金型。
- フランジ部金型部材と、凹状金型部材との間に断熱材を配置してなる請求項8に記載の金型。
- それぞれフランジ部を有し互いに嵌合関係にあるプラグと、凹状金型とからなり、プラグのフランジ部には冷却手段を有する非晶質ポリエステルシート成形結晶化用金型。
- プラグは、冷却手段を備えたフランジ部材と、加熱手段を備えた凸状部材とからなり、両部材間には断熱材を配置してなる請求項10に記載の金型。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の結晶性ポリエステル容器と、該結晶性ポリエステル容器のフランジ部に接触するように配置される概ね平坦な蓋材とからなり、該蓋材の結晶性ポリエステル容器のフランジ部との接触面が熱シール性樹脂からなる包装容器。
- 請求項12に記載の結晶性ポリエステル容器の凹部に内容物を収容したのち、該結晶性ポリエステル容器のフランジ部と蓋材とを熱シールしてなる包装体。
- フランジ部と蓋材間のシール強度が2N/15mm以上である請求項13に記載の包装体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003116200A JP2004323022A (ja) | 2003-04-21 | 2003-04-21 | 結晶性ポリエステル容器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003116200A JP2004323022A (ja) | 2003-04-21 | 2003-04-21 | 結晶性ポリエステル容器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004323022A true JP2004323022A (ja) | 2004-11-18 |
Family
ID=33496525
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003116200A Pending JP2004323022A (ja) | 2003-04-21 | 2003-04-21 | 結晶性ポリエステル容器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004323022A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006062353A (ja) * | 2004-07-27 | 2006-03-09 | Toyo Seikan Kaisha Ltd | フランジ部の加熱処理方法、フランジ部の加熱処理装置及びフランジ付き樹脂製容器の製造方法 |
JP2011031751A (ja) * | 2009-07-31 | 2011-02-17 | Kyoraku Co Ltd | 車両用空調ダクトおよびその製造方法 |
JP2011051345A (ja) * | 2010-10-08 | 2011-03-17 | Yoshino Kogyosho Co Ltd | 合成樹脂製カップ状容器 |
WO2018134900A1 (ja) * | 2017-01-18 | 2018-07-26 | 本田技研工業株式会社 | 樹脂成形装置 |
CN114619657A (zh) * | 2022-01-22 | 2022-06-14 | 东莞市思纯塑胶制品有限公司 | 一种pla膜内一次结晶方法及其结晶模具、结晶设备 |
-
2003
- 2003-04-21 JP JP2003116200A patent/JP2004323022A/ja active Pending
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006062353A (ja) * | 2004-07-27 | 2006-03-09 | Toyo Seikan Kaisha Ltd | フランジ部の加熱処理方法、フランジ部の加熱処理装置及びフランジ付き樹脂製容器の製造方法 |
JP4561519B2 (ja) * | 2004-07-27 | 2010-10-13 | 東洋製罐株式会社 | フランジ部の加熱処理方法、フランジ部の加熱処理装置及びフランジ付き樹脂製容器の製造方法 |
JP2011031751A (ja) * | 2009-07-31 | 2011-02-17 | Kyoraku Co Ltd | 車両用空調ダクトおよびその製造方法 |
JP2011051345A (ja) * | 2010-10-08 | 2011-03-17 | Yoshino Kogyosho Co Ltd | 合成樹脂製カップ状容器 |
WO2018134900A1 (ja) * | 2017-01-18 | 2018-07-26 | 本田技研工業株式会社 | 樹脂成形装置 |
JPWO2018134900A1 (ja) * | 2017-01-18 | 2019-07-25 | 本田技研工業株式会社 | 樹脂成形装置 |
CN110167733A (zh) * | 2017-01-18 | 2019-08-23 | 本田技研工业株式会社 | 树脂成型装置 |
US20200031022A1 (en) * | 2017-01-18 | 2020-01-30 | Honda Motor Co., Ltd. | Resin molding apparatus |
US10967543B2 (en) | 2017-01-18 | 2021-04-06 | Honda Motor Co., Ltd. | Resin molding apparatus |
CN110167733B (zh) * | 2017-01-18 | 2021-06-25 | 本田技研工业株式会社 | 树脂成型装置 |
CN114619657A (zh) * | 2022-01-22 | 2022-06-14 | 东莞市思纯塑胶制品有限公司 | 一种pla膜内一次结晶方法及其结晶模具、结晶设备 |
CN114619657B (zh) * | 2022-01-22 | 2024-08-23 | 东莞市思纯塑胶制品有限公司 | 一种pla餐盘一次结晶方法及其结晶模具、结晶设备 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN107000878B (zh) | 用于包装产品的设备和过程 | |
US20190016487A1 (en) | Heating head for packaging assembly, packaging apparatus and process, manufacturing process for making a heating head | |
AU2004270547B2 (en) | Packaging bag for microwave oven | |
JP4476804B2 (ja) | 生分解性耐熱性硬質樹脂成形容器 | |
NZ576037A (en) | Deep drawing container with a lid and a bottom each with a thermally shrinkable multi-layered film | |
JP5776325B2 (ja) | カップ型紙容器およびその製造方法 | |
JP2007276323A (ja) | 易開封性多層フィルム | |
JP2004323022A (ja) | 結晶性ポリエステル容器 | |
JP2015101357A (ja) | カップ型紙容器およびその製造方法 | |
JP2003341752A (ja) | 複合容器 | |
JP5887758B2 (ja) | 電子レンジ調理用包装容器 | |
JPH02258577A (ja) | ヒートシール容器 | |
JP5772218B2 (ja) | カップ型紙容器 | |
JPH10218235A (ja) | 複合容器及びその製造方法 | |
JP4710271B2 (ja) | 容器蓋材 | |
JP2000263730A (ja) | 多層シート及び容器 | |
JP2007062389A (ja) | ガスパック包装用複合フィルム及び容器 | |
JP2000264331A (ja) | 複合トレー容器 | |
JP6613633B2 (ja) | 深絞り用多層フィルム | |
JP2001322212A (ja) | 複合フィルム及び容器 | |
JP2004276964A (ja) | 包装容器 | |
JP2011006074A (ja) | 液体用紙製容器 | |
JP2770294B2 (ja) | プルタブ付き蓋材 | |
JP2000296587A (ja) | 積層体及び密封容器 | |
JP2000238197A (ja) | トレー状複合容器及びその製造方法 |