JP2004315632A - 高品質ポリトリメチレンテレフタレートの製造方法 - Google Patents

高品質ポリトリメチレンテレフタレートの製造方法 Download PDF

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Katsuhiro Fujimoto
克宏 藤本
Muneaki Aminaka
宗明 網中
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Abstract

【課題】ポリトリメチレンテレフタレートを製造するに際し、着色が少なく、微小異物の少ない高品質ポリマーを工業的に安定して高い生産性にて製造する方法を提供する。
【解決手段】ポリトリメチレンテレフタレートを製造する際に、溶融ポリマーを移送する配管内の溶融ポリマーの移送速度及び温度を適正化した連続重合を行う。
【選択図】 選択図なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリトリメチレンテレフタレートの製造方法に関するものであり、更に詳しくは、色調に優れ、且つ、微小異物の少ない高品質ポリトリメチレンテレフタレートを工業的に安定して製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年ポリトリメチレンテレフタレート(以下「PTT」と略すこともある。)は、繊維化した場合、低弾性率から由来する柔らかい風合、優れた弾性回復性、易染性といったナイロン繊維に類似した性質と、ウォッシュアンドウェアー性、寸法安定性、耐黄変性といったポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略すこともある。)繊維に類似した性質を併せ持つ画期的な繊維となり、その特徴を活かして、カーペットや衣料等へ応用のできる素材として注目され始めている。また、低吸湿性、耐黄変性といったナイロンにない特徴や、易成形性といったポリブチレンテレフタレート(以下「PBT」と略すこともある。)にない特徴を利用して、優れた成形材料となることも予想される。今後、このような特徴を生かして更に用途を拡大していくためには、品質の高いポリマーを安定して工業的に高い生産性にて製造できる方法が求められている。
【0003】
PTTは、テレフタル酸またはテレフタル酸ジメチル(以下「DMT」と略すこともある。)のようなテレフタル酸の低級アルコールジエステルと、トリメチレングリコール(以下「TMG」と略すこともある。)とを、無触媒あるいは金属カルボン酸塩、チタンアルコキサイド等の触媒存在下で加熱してエステル交換反応または直接エステル化反応させてビス(3−ヒドロキシプロピル)テレフタレート(以下「BHPT」と略すこともある。)を得た後、該BHPTをチタンアルコキサイドやアンチモン酸化物等の触媒存在下、溶融状態にて加熱して副生するTMGを系外に抜き出しながら重縮合反応させることにより得られることが知られている。
【0004】
このような重合において、生産性を高め、一定品質のポリマーを得るためには、原料を反応器に連続して供給し、溶融状態で重合させ、連続して抜き出す、いわゆる「連続重合」を行うことが望ましい。しかしながら、連続重合にて長期間運転していると、得られるポリマーが部分的に着色したり、微小な異物が発生したりし易い。この原因は定かではないが、PTTが、PETやPBTなどの他のポリエステルに比べて熱分解しやすいためではないかと考えられる。ポリマーが着色すると希望とする色調の繊維や成形体が得られなくなってしまう。また、微小な異物が発生すると紡糸時や繊維の後加工時に糸切れの原因となってしまう。異物を取り除くためには、しばしばフィルターが用いられるが、微小な異物を取り除くためにはフィルターメッシュを小さくする必要がある。このため、押し出すために高い圧力が必要となったり、フィルターライフが短くなったりしてしまい、高価な設備が必要になったり、ロスが多量発生したりしてしまう。このような問題は、強度の高い成形品を得るための高い重合度を有したポリマー場合、特に顕著となる。
【0005】
PTTを連続重合する技術としては、重合反応器の壁面温度を制御するために用いる加熱用熱媒の温度が300℃、好ましくは290℃を越えないようにして熱分解を抑える方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、複数の反応器を用いる連続重合方法において、各反応器を適正な温度、滞留時間とすることにより熱分解による副生成物であるアクロレイン等の発生量を少なくし、且つ、高い分子量のポリマーを得る技術も提案されている(例えば、特許文献2、3参照。)。
【0006】
しかしながら、本発明者らの検討によると、上記技術を用いた場合は熱分解を抑えてアクロレイン等の発生量を少なくすることはできても、長期間運転する際に、部分的な着色を十分抑制したり、微小な異物の発生を抑制したりすることは困難である。また、反応器の温度や滞留時間に関する記載はあるものの、ポリマーを移送する配管の温度や移送速度に関しては全く記載されていない。
この他に、触媒に由来する異物を抑制する技術としていくつかの提案があるものの、これらの技術を用いて本発明の課題であるポリマーの熱分解に由来すると考えられる微小異物の発生を抑制することはできない(例えば、特許文献1、4および5参照。)。
すなわち、長期間運転しても着色や微小異物の発生が少ないPTTの製造法はこれまでに全く知られていない。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第6277947号明細書
【特許文献2】
国際公開第2000/158980号パンフレット
【特許文献3】
国際公開第2000/158981号パンフレット
【特許文献4】
特開2000−293909号公報
【特許文献5】
特開2000−187942号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、PTTを製造するに際し、着色が少なく、微小異物の少ない高品質ポリマーを工業的に安定して製造する方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を進めた結果、PTTを製造する際に、溶融ポリマーを移送する配管内の溶融ポリマーの移送速度及び温度を適正化する事によりその目的を達成できる事を見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
【0010】
1.1基以上の反応器を用いて溶融状態にて連続的にポリトリメチレンテレフタレートを重合する方法において、重合途中または重合終了後の溶融ポリマーを配管で移送する際の移送速度が、0.3m/分以上100m/分以下であり、且つ、該配管を加熱している熱媒及び/又はヒーターの温度が230〜285℃の範囲であることを特徴とするポリトリメチレンテレフタレートの製造方法。
2.上記1に記載の方法によって得られたポリトリメチレンテレフタレート。
3.該ポリトリメチレンテレフタレートにおいて、ポリマーをo−クロロフェノールで溶解し、液中微粒子計測器で測定した1μmから10μmの範囲の微小異物が、ポリマー1g当たり100個以下であることを特徴とする上記2に記載のポリトリメチレンテレフタレート。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明にて製造するPTTとは、80モル%以上がトリメチレンテレフタレート繰返し単位から構成されるPTTである。ここでPTTとは、テレフタル酸を酸成分としトリメチレングリコールをジオール成分としたポリエステルである。本発明にて製造するPTTには20モル%以下で1種類以上の他の共重合成分を含有することも含む。そのような共重合成分としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、3,5−ジカルボン酸ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボン酸ベンゼンスルホン酸トリブチルメチルホスホニウム塩、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、アジピン酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等のエステル形成性モノマーが挙げられる。
【0012】
また、本発明にて製造するPTTは、優れた成形品を得るために極限粘度[η]が0.5〜3.0dl/gの範囲、色調はL*値が70以上、b*値が−5〜20であることが好ましく、より好ましくはそれぞれL*値が75以上、b*値が−3〜15である。また、PTT中に含まれる微小異物は、該PTTポリマーをo−クロロフェノールで溶解し液中微粒子計測器で測定した1μmから10μmの範囲の微小異物がポリマー1g当たり100個以下であることが好ましく、50個以下であることがより好ましく、20個以下であることが更に好ましい。もちろん少なければ少ないほど良い。なお、本発明でいう微小異物とは、ポリマーに溶けない異物の総称であり、大部分は重合途中に熱分解などで生じた炭化物やゲル状物であると考えられる。
【0013】
本発明のPTTの製造法は、原料であるテレフタル酸またはDMTのようなテレフタル酸の低級アルコールジエステルとTMGとを無触媒あるいは金属カルボン酸塩、チタンアルコキサイド等の触媒存在下で加熱してエステル交換反応または直接エステル化反応させてBHPTを得た後、該BHPTをチタンアルコキサイド等の触媒存在下、溶融状態にて加熱して副生するTMGを系外に抜き出しながら重縮合反応させる方法である。また、本発明では上記のように原料より重合を行う方法以外に、中間体であるBHPTや低重合度のポリマーより所望の重合度のポリマーを得る方法も含む。
【0014】
本発明の製造法は、原料、中間体あるいは低重合度ポリマーを反応器に連続して投入し、重合させたポリマーを連続的に抜き出す、いわゆる連続重合であることが重要である。連続重合とすることで、一定品質のポリマーを得ることが容易となるとともに、生産性を大幅に高めることができる。
このような連続重合で用いる重合反応器の数は1基以上必要であるが、原料であるテレフタル酸またはDMTのようなテレフタル酸の低級アルコールジエステルとTMGとから重合を行う場合は3基以上、BHPTや低重合度のポリマーから重合を行う場合は2基以上であることが好ましい。用いる重合器に特に制限はなく、例えば、縦型攪拌反応器、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、1軸又は2軸の攪拌翼を有した横型攪拌反応器、支持体に沿わせてポリマーを落下させながら重合させる反応器、棚段を有する自然流下式の薄膜反応器、傾斜した平面を自然流下する薄膜反応器、二軸押出機型反応器などを用いることができ、もちろんこれらを併用することもできる。重合器の材質についても特に制限はなく、通常、FC(鉄)やステンレススチールが主に用いられる。
【0015】
PTTの製造においては、複数の重合器を用いて重合する際に次の重合器に移送するためや、重合終了後に重合器から排出したり、ポリマーミキサーや押出機等に移送したりするために、配管を用いて重合途中及び重合終了後の溶融ポリマーを移送する必要がある。ここで溶融ポリマーとは溶融状態にあるPTT及びPTTプレポリマーの総称であり、PTTプレポリマーとはテレフタル酸又はテレフタル酸の低級アルコールジエステルとTMGとから重合の中間段階に得られる、最終製品より分子量の低い反応物を意味する。
【0016】
PTTを製造する際、反応器の温度を適正範囲内に保つことによりポリマーの着色が抑制できることはこれまでにも知られていた。しかしながら、微小異物の生成あるいは混入の原因については、ほとんど明らかになっておらず、異物を低減するためには、フィルターにより生成した異物を除去する方法が主にとられてきた。ところが本発明者らが鋭意検討した結果、意外にも溶融ポリマーの移送速度を適切に設定することにより、長期間製造を続けても、着色が少なく、しかも微小異物の少ない高品質PTTを製造できることが明らかになったのである。
【0017】
本発明では、溶融ポリマーの配管での移送速度が0.3m/分以上である必要がある。このような移送速度とすることで、得られるポリマーの部分的な着色や、微小な異物の発生や混入を抑制することが可能となる。原因は定かではないが、移送速度が遅いと壁面の微小な凹凸部にあるポリマーがほとんど動かずに熱分解し、着色したり、異物化したりするためではないかと考えられる。移送速度は、0.5m/分以上が好ましく、1m/分以上が特に好ましい。移送速度の上限に特に制限はないが、配管の圧力が大きくなりすぎず工業的に可能な範囲で選択するのが好ましく、通常、100m/分以下が好ましく、50m/分以下がより好ましく、20m/分以上が特に好ましい。
【0018】
更に、溶融ポリマーの極限粘度[η]が低い場合は移送速度を早くすることが好ましく、具体的には溶融ポリマーの極限粘度[η]が0.4dl/g未満では0.4m/分以上とすることが好ましく、0.7m/分以上がより好ましく、1.0m/分以上が特に好ましい。
溶融ポリマーの移送速度を本発明の範囲内とするための移送手段には特に制限はないが、通常ギアポンプ、プランジャーポンプ、スクリューポンプ、渦巻きポンプ、モーノポンプ、ダイヤフラムポンプ等の移送ポンプを用いて移送する。不活性ガス等で加圧して圧送によって移送することも可能である。このうち、高温にて安定して使用でき、移送速度を安定にするために、ギアポンプやプランジャーポンプを用いることが好ましい。
【0019】
本発明の移送速度は、m/分の単位で表されるいわゆる線速度であり、m/分で表される体積速度を配管の断面積(m)で割った値である。従って、体積速度が一定であっても、配管の断面積を選択することによって、溶融ポリマーの移送速度を本発明の範囲内にすることができる。
本発明において、溶融ポリマーを移送するための配管の合計距離は、通常用いられる範囲内においては特に制限はないが、通常200m以下であり、100m以下であることが好ましく、50m以下であることが更に好ましい。配管の形状についても特に制限はないが、局所的に溶融ポリマーが滞留しない構造であることが望ましく、丸断面が最も好ましい。
上記した配管を加熱している熱媒及び/又はヒーターの温度は230〜285℃の範囲である必要がある。熱分解を抑え、ポリマーの着色や微小な異物の発生を抑えるためには285℃以下とする必要があり、280℃以下が好ましく、275℃以下がより好ましい。一方、粘性の増大や固化を防ぐためには230℃以上とする必要があり、235℃以上が好ましく、240℃以上がより好ましい。る。
【0020】
次に本発明のPTT製造法として原料より重合を行う方法を例示するが、本発明はこの方法に限定されるものではない。
PTTの製造法は原料の違いにより大きく分けて、テレフタル酸の低級アルコールジエステルとTMGとをエステル交換反応させ、PTTの中間体であるビスBHPTを得た後、該BHPTを重縮合反応させてPTTプレポリマーを製造する方法(以下「エステル交換法」と略す)と、テレフタル酸とTMGとをエステル化反応させ、BHPTを得た後、第一の方法と同様に、該BHPTを重縮合反応させてPTTプレポリマーを製造する方法(以下「直接エステル化法」と略す)がある。ここでBHPTとは、BHPT以外にテレフタル酸、テレフタル酸の低級アルコールエステル、TMG及びPTTオリゴマーが含まれるものも含む。
【0021】
エステル交換法ではテレフタル酸の低級アルコールジエステルの一種であるDMTとTMGとをエステル交換触媒の存在下150〜240℃の温度でエステル交換させてBHPTを得る。反応時間を短くし、且つ、原料の逸散を抑えるために、テレフタル酸の低級アルコールジエステルとTMGの仕込み時のモル比は1:1.3〜1:4が好ましく、1:1.5〜1:2.5がより好ましい。
エステル交換法ではエステル交換触媒を用いることが望ましく、好ましい例としては例えばチタンテトラブトキシドやチタンテトライソプロポキシドに代表されるチタンアルコキサイド、酢酸コバルト、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛等が挙げられ。なかでもチタンテトラブトキシドが続いて行う重縮合反応触媒としても働くので好ましい。エステル交換触媒量はテレフタル酸ジエステルに対して0.02〜1重量%が好ましく、0.05〜0.5重量%がより好ましく、0.08〜0.2重量%が更に好ましい。
【0022】
直接エステル化法ではテレフタル酸とTMGを150〜240℃の温度でエステル化反応させてBHPTを得る。反応時間を短くし、且つ、原料の逸散を抑えるために、テレフタル酸とTMGの仕込み時のモル比は1:1.05〜1:3が好ましく、1:1.1〜1:2がより好ましい。
直接エステル化法ではテレフタル酸から遊離するプロトンが触媒として働くためにエステル化触媒は必ずしも必要ではないが、反応速度を高めるためにはエステル化触媒を用いることが好ましい。好ましい触媒としてはチタンテトラブトキシドやチタンテトライソプロポキシドに代表されるチタンアルコキサイドや2−エチルヘキサン酸錫に代表される錫化合物等が挙げられる。添加量は用いるテレフタル酸に対して0.02〜1重量%が好ましく、0.05〜0.5重量%がより好ましく、0.08〜0.2重量%が更に好ましい。
BHPTを得るための反応雰囲気はエステル交換法、直接エステル化法ともに10kPa程度の微減圧から0.5MPa程度の加圧状態の間で、適宜選択して行うのが好ましい。
【0023】
上記した方法で得られたBHPTは続いて重縮合反応させてポリマーとする。
BHPTを重縮合反応させるには触媒を用いることが望ましい。触媒を用いることで反応時間を短くすることができる。触媒の好ましい例としてはチタンテトラブトキシドやチタンテトライソプロポキシドに代表されるチタンアルコキサイド、二酸化チタンや二酸化チタンと二酸化珪素の複塩、三酸化二アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモン化合物、2−エチルヘキサン酸錫、ブチル錫酸、ブチル錫トリス(2−エチルヘキソエート)等の錫化合物等が挙げられる。反応速度が速く、色調を良好にできる点でチタンテトラブトキシドや2−エチルヘキサン酸錫が好ましい。これらの触媒は1種だけで用いても、2種以上を組み合わせて用いても良い。触媒量は得られるポリマーの重量に対して0.001〜1重量%となるように添加することが好ましく、0.005〜0.5重量%添加することがより好ましく、0.01〜0.2重量%添加することが特に好ましい。BHPTを得る過程で触媒としても作用する化合物を用いた場合は、該化合物の量を含めて上記した量となるようにすれば良い。
【0024】
重縮合反応を行う温度は、熱分解や着色を抑える観点からは285℃以下であることが好ましく、重合速度を高める観点からは230℃以上であることが好ましい。より好ましくは232〜280℃であり、更に好ましくは235〜275℃である。重縮合反応は減圧あるいは不活性ガスを流通させながら行うことができるが、反応速度を高める為には減圧にて行うことが好ましい。更に、反応を効率的に進めるためには2基以上の反応器に分け、温度、減圧度等を変えて行うことが好ましい。
【0025】
本発明では、必要に応じて各種の添加剤、例えば艶消し剤、熱安定剤、難燃剤、帯電防止剤、消泡剤、整色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、増白剤などを共重合または混合する場合もある。これらの添加剤は重合の任意の段階で入れることができる。特に、本発明では熱安定剤を添加することが、得られる成形品の白度を向上させるために好ましい。この場合の安定剤としては、5価および/または3価のリン化合物やヒンダードフェノール系化合物が好ましく、もちろんこれらの安定剤を併用することも好ましい方法の一つである。
【0026】
本発明において、異物を低減させるためのフィルターは必ずしも必要ではないが、設置しても構わない。設置する場合は極限粘度が0.7dl/g以下といったあまり粘性の高くない状態の溶融ポリマーよりフィルターによって異物を除去することが好ましい。もちろん極限粘度の高いPTT中の異物をポリマーフィルター等によって除去しても構わないが、押出機の負荷を高めない範囲で実施することが好ましい。本発明の方法によれば異物の発生量を低減させることができるので、フィルターの目詰まりや押出機の負荷の高まりを抑えることが可能である。
【0027】
【実施例】
以下、実施例をもって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中の主な測定値は以下の方法で測定した。
(1)極限粘度[η]
極限粘度[η]は、オストワルド粘度計を用い、35℃、o−クロロフェノール中での比粘度ηspと濃度C(g/100ミリリットル)の比、ηsp/Cを濃度ゼロに外挿し、以下の式に従って求めた。
Figure 2004315632
【0028】
(2)色調(L値、b*値)
スガ試験機(株)のカラーコンピューターを用いて測定した。
(3)微小異物
PTTポリマーを1g当たり500mlのo−クロロフェノール溶媒に溶解し、液中微粒子計測器(HIAC/ROYCO MODEL346B Pacific Sciientific LTD社製)を用いて溶液中に含まれる1μmから10μmの範囲の微小異物数を測定した。
【0029】
(4)配管中の移送速度
移送する溶融ポリマーの体積速度V(m/分)と配管の断面積S(m)から、下式によって求めた。
移送速度=V/S
なお、体積速度Vは、流量計、又は移送ポンプのストローク数または回転数に対する流量の関係を表すあらかじめ作成された検量線を用いて求めた。
また、本発明の「重合途中」とは、エステル交換反応以後の反応プロセスをいう(図面および表1参照。)。
【0030】
【実施例1】
原料としてDMTとTMGを用いて、図1の装置により連続重合法により1日に1000kgのPTTポリマーを重合した。エステル交換反応器1及び第一重縮合反応器5はタービン状の攪拌翼を有した縦型攪拌反応器を、第二重縮合反応器9にはアンカー状攪拌翼を有した縦型攪拌反応器を用い、第三重縮合反応器13には1軸のディスク状攪拌翼を有した横型攪拌反応器を用いた。反応器及び配管の接液部は材質としてSUS316Lを用いた。
【0031】
重合は、まず1:1.5のモル比のDMT、TMG及びDMTに対して0.1重量%のチタンテトラブトキシドを200℃の熱媒で加熱したエステル交換反応器に連続投入し、常圧にて攪拌翼2で攪拌し、副生するメタノールをベント口3より抜き出しながらエステル交換反応を行った。その後、移送ポンプ4にて250℃の熱媒で加熱した第一重縮合反応器5に送液し、減圧下2000Paにて攪拌翼6で攪拌し、副生するTMG等をベント口7より抜き出しながら重縮合反応を行って低重合度のポリマーを得た。次いで、移送ポンプ8にて255℃の熱媒で加熱した第二重縮合反応器9に送液し、減圧下500Paにて攪拌翼10で攪拌し、副生するTMG等をベント口11より抜き出しながら重縮合反応を行って重合度を高め、最後に移送ポンプ12で260℃の熱媒で加熱した第三重縮合反応器13に送液し、減圧下100Paにて同様にして重縮合反応を行って目的とする重合度とした。この際、得られるポリマーに対してリン元素の量が20ppmとなるようにトリメチルフォスフェートを移送ポンプ4と第一重縮合反応器5の間より連続添加した。また触媒はエステル交換反応の時に添加したものをそのまま用いた。重合度を高めたポリマーは第三重縮合反応器13の排出口16、排出ポンプ17を通してストランド状に吐出させ冷却固化した後、カットしてチップとした(但し、排出ポンプ17以後は図示せず。)。
【0032】
各反応器から配管に入る溶融ポリマーの極限粘度[η]及び配管での移送速度、配管を加熱している熱媒の温度を表1に示す。いずれの配管においても移送速度、熱媒温度ともに本発明の範囲内であった。運転開始より30日後に得られたチップの物性を表2に示す。極限粘度[η]は1.0dl/gと高く、色調に優れ、微小異物の少ない高品質のチップであった。
【0033】
【実施例2および3】
表1に示した条件以外は、実施例1と同様にして重合を行った。運転開始より30日後に得られたチップの物性を表2に示す。いずれの場合も配管での移送速度、熱媒温度ともに本発明の範囲内であった。得られたチップの極限粘度[η]は1.05dl/gと高く、色調に優れ、微小異物の少ない高品質のチップであった。
【0034】
【比較例1および2】
表1に示した条件以外は実施例1と同様にして重合を行った。運転開始より30日後に得られたチップの物性を表2に示す。比較例1の場合は、配管抵抗を下げるために口径の大きい配管を用いて本発明の範囲から外れる移送速度で重合を行ったところ、得られたチップは重合度が低く、黄色く着色し、微小異物が多い、品質の悪いポリマーであった。
比較例2の場合は、表1に示した条件、及び、第一重縮合反応器の温度を250℃、第二重縮合反応器の温度を280℃、第三重縮合反応器の温度を295℃とした以外は実施例1と同様にしてチップを得た。運転開始より3日後に得られたチップの物性を表2に示す。配管を加熱する熱媒の温度は本発明の範囲から外れており、得られたチップは重合度が低く、黄色く着色し、微小異物も多い、品質の悪いポリマーであった。
【0035】
【表1】
Figure 2004315632
【0036】
【表2】
Figure 2004315632
【0037】
【発明の効果】
本発明の製造法を用いることにより、着色が少なく、微小異物の少ない高品質PTTポリマーを工業的に安定して、生産性良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の重合装置の概略を示す模式図である。
【符号の説明】
1.エステル交換反応器
2.攪拌翼
3.ベント口
4.移送ポンプ
5.第一重縮合反応器
6.攪拌翼
7.ベント口
8.移送ポンプ
9.第二重縮合反応器
10.攪拌翼
11.ベント口
12.移送ポンプ
13.第三重縮合反応器
14.攪拌翼
15.ベント口
16.排出口
17.排出ポンプ

Claims (3)

  1. 1基以上の反応器を用いて溶融状態にて連続的にポリトリメチレンテレフタレートを重合する方法において、重合途中または重合終了後の溶融ポリマーを配管で移送する際の移送速度が、0.3m/分以上100m/分以下であり、且つ、該配管を加熱している熱媒及び/又はヒーターの温度が230〜285℃の範囲であることを特徴とするポリトリメチレンテレフタレートの製造方法。
  2. 請求項1に記載の方法によって得られたポリトリメチレンテレフタレート。
  3. 該ポリトリメチレンテレフタレートにおいて、ポリマーをo−クロロフェノールで溶解し、液中微粒子計測器で測定した1μmから10μmの範囲の微小異物が、ポリマー1g当たり100個以下であることを特徴とする請求項2に記載のポリトリメチレンテレフタレート。
JP2003110565A 2003-04-15 2003-04-15 高品質ポリトリメチレンテレフタレートの製造方法 Pending JP2004315632A (ja)

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WO2007017931A1 (ja) * 2005-08-09 2007-02-15 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha ポリエステル樹脂およびそれからなるポリエステル樹脂組成物並びにその用途
JP2009180332A (ja) * 2008-01-31 2009-08-13 Sumitomo Chemical Co Ltd 高温液状物の移送装置

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