JP2004314697A - 車両用ドア - Google Patents
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Abstract
【課題】ドア本体の下部に強度を備えた車両用ドアを提供すること。
【解決手段】アウタパネル2は、ドア本体1の下部に設けられ車両の前後方向に伸びる下部フレーム16と、この下部フレーム16の車外側で車体表面を形成する外板部2a、および更にこの外板部2aの下端で折り返されて下部フレーム16の車内側に伸びる内板部2bとを備えている。下部フレーム16とアウタパネル2とは、互いに接合されることによって、ドア本体1の下部に閉断面を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】アウタパネル2は、ドア本体1の下部に設けられ車両の前後方向に伸びる下部フレーム16と、この下部フレーム16の車外側で車体表面を形成する外板部2a、および更にこの外板部2aの下端で折り返されて下部フレーム16の車内側に伸びる内板部2bとを備えている。下部フレーム16とアウタパネル2とは、互いに接合されることによって、ドア本体1の下部に閉断面を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、剛性を備えた車両用ドアに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の剛性を備えた軽量の車両用ドアとしては、ドア本体の前縁を形成する前枠部材(ドアインナ前方部材)と、ドア本体の後縁を形成する後枠部材(ドアインナ後方部材)と、前記前枠部材と後枠部材とを連結したアッパフレーム(ウエスト補強部材)および下部フレーム(シル押出材)とからなるドア骨格構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このドア骨格構造における下部フレーム(シル押出材)は、アルミニウムやマグネシウム等の軽合金または軽合金の押し出し成形品で形成された板状ものからなる。その下部フレーム(シル押出材)は、ドア本体に対して車体の前後方向に延設されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−341529号公報(第4頁および第6頁、図1および図17)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の車両用ドア構造において、ドア本体は、下部フレーム(シル押出材)のみではドア本体の下部に剛性を確保することができないため、更にドア本体中央部と下部フレーム(シル押出材)の近傍にサイドガードバーを設置して補強しなければならないという問題点があった。
【0005】
特に、軽量化された車両用ドアは、衝突時の対応としてドア本体の下部に、強度を備えていることが望まれている。
【0006】
本発明は、ドア本体の下部に強度を備えた車両用ドアを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の車両用ドアは、ドア本体の下部に設けられ車両の前後方向に伸びる下部フレームと、この下部フレームの車外側で車体表面を形成する外板部、およびこの外板部の下端で折り返されて前記下部フレームの車内側に伸びる内板部を備えるアウタパネルと、を有し、前記下部フレームと前記アウタパネルとは、互いに接合されることによって、前記ドア本体の下部に閉断面を形成することを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、ドア本体は、車両の前後方向に伸びる下部フレームと、この下部フレームの車外側で車体表面を形成する外板部、およびこの外板部の下端で折り返されて前記下部フレームの車内側に伸びる内板部を備えるアウタパネルとを有する。このアウタパネルの外板部および内板部と、下部フレームとは、ドア本体の下部に閉断面を形成することにより、ドアの下部が補強される。例えば、車両が衝突してドアに衝突荷重が負荷された場合、ドア本体は、下部フレームとアウタパネルからなる閉断面を形成した箇所を有することにより、この閉断面の箇所が衝突時の圧縮荷重、引張荷重および捩れ荷重を受けるため、ドアの下部に剛性が備わる。
【0009】
請求項2に記載の車両用ドアは、車両の前方側に設けた前枠部材、車両の後方側に設けた後枠部材、および前記前枠部材と前記後枠部材とを連結する下部フレームとを備えるドア本体と、前記下部フレームの車外側で車体表面を形成する外板部、およびこの外板部の下端で折り返されて前記下部フレームの車内側に伸びる内板部を備えるアウタパネルとを有し、前記下部フレームと前記アウタパネルとは、互いに接合されることによって、前記ドア本体の下部に閉断面を形成することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、ドア本体は、前枠部材、後枠部材、および前枠部材と後枠部材とを連結する下部フレームとを備えるドア本体と、下部フレームの車外側で車体表面を形成する外板部、およびこの外板部の下端で折り返されて下部フレームの車内側に伸びる内板部を備えるアウタパネルとを有することにより、ドア本体を骨格構造にすることができる。このため、ドア本体は、アルミニウムやマグネシウム等のプレス成形性に劣る材料であってもそれら部材を連結してドアを容易に作ることができる。これにより、ドアは、軽合金で形成することが可能となり、車両全体の軽量化と燃費の向上を図ることができる。
また、アウタパネルの外板部および内板部と下部フレームとは、ドア本体の下部に閉断面を形成することにより、ドアの下部が補強される。例えば、車両が衝突してドアに衝突荷重が負荷された場合、ドア本体は、下部フレームとアウタパネルからなる閉断面を形成する箇所を有することにより、この閉断面の箇所が衝突時の圧縮荷重、引張荷重および捩れ荷重を受け止めることができる。このため、ドア本体は、骨格構造をしている場合、その骨格構造部が座屈することを阻止する。したがって、ドアは、閉断面が形成された箇所によって補強され、剛性が備わる。
【0011】
請求項3に記載の車両用ドアは、請求項1または請求項2に記載の車両用ドアであって、前記下部フレームは、前記内板部に固定される内側フランジ部と、前記外板部に相対変位可能に連結される外側フランジ部とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、下部フレームは、外側フランジ部が外板部に相対変位可能に連結したことにより、溶接や締結部材等の固定手段によって外板部に固定されていない。このため、外板部の車外側の面には、溶接跡や締結部材等を設置するときに発生する変形を防止することができ、綺麗な仕上げ面にすることができる。
【0013】
請求項4に記載の車両用ドアは、請求項3に記載の車両用ドアであって、前記外側フランジ部は、前記外板部に接着性シール部材によって連結されることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、外側フランジ部は、外板部に接着性シール部材によって連結することにより、簡単な手段によって、外側フランジ部を相対変位可能に連結することができる。また、外側フランジ部は、アウタパネルの外板部に接着性シール部材によって連結したことにより、外板部の車外側の面が連結する部材によって変形することがないため、外板部の車外側の面を綺麗に仕上げることができる。
【0015】
請求項5に記載の車両用ドアは、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車両用ドアであって、前記内側フランジ部は、前記内板部に沿って上方に伸びて形成されることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、下部フレームの内側フランジ部は、内板部に沿って上方に伸びて形成されていることにより、内側フランジ部が下部フレームとアウタパネルとで形成する閉断面部の上方に配置されることになる。このため、内側フランジ部をドア本体に固定する作業を行うとき、内側フランジ部は、閉断面部の上にあって、固定作業が行い易い状態に配置される。
また、その内側フランジ部は、アウタパネルの内板部に重ねて配置されることにより、その重ねた箇所の強度が向上するため、その重ね箇所にウインドレギュレータ等の他の部品を設置するための設置スペースとして利用することも可能となる。
【0017】
請求項6に記載の車両用ドアは、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の車両用ドアであって、前記アウタパネルは、プレス成形されたことを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、アウタパネルがプレス成形されることにより、アウタパネルを機械的性質が優れているプレス材とすることができるため、閉断面部の剛性を更に高くすることができるとともに、生産性を向上させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態に係る車両用ドアを説明する。
なお、本発明の実施形態では、「前」は車両の進行方向側、「後」は車両の後退方向側、「上」は鉛直上方側、「下」は鉛直下方側、「左右」は車幅方向側とする。
【0020】
まず、図1および図2を参照してドアについて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す図で、一部断面を有するドアの側面図である。図2は、本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す分解斜視図である。
【0021】
図1および図2に示すように、ドアDは、例えば、車体の左右または後端部に配置されるヒンジ式ドアやスライド式ドアやガルウイング式ドア等からなる。なお、このドアDの形式は、特に限定しない。
以下、ヒンジを中心として回動して後開きする左前のヒンジ式のドアDを例にして本発明を説明する。
【0022】
図2に示すように、ドアDは、ドア本体1と、このドア本体1の車外側に設置されるアウタパネル2と、ドア本体1に設置され、窓ガラス31を昇降させるためのウインド装置3と、ドア本体1の車内側に設置されるライニング4と、このライニング4に設置されるインサイドハンドル5と、ドアDを施錠・解錠するドアロック装置6と、スピーカ7と、ドアDに設置されたスピーカ7やウインド装置3等の電装品を電気的に接続するためのハーネス類8と、ドアDの全周に設置されるゴム枠9等とを備えてなる。
【0023】
次に、図2〜図5を参照してドア本体1を説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す図で、車外側から見たドア本体の拡大斜視図である。図4は、本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す図で、車内側から見たドア本体の拡大斜視図である。図5は、本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す図で、ドア本体とアウタパネルの一部断面を有する拡大分解斜視図である。
【0024】
図2に示すように、ドア本体1は、ドアDの骨格となる部材であり、例えば、アルミニウム合金やマグネシウム合金等の軽金属から形成されている。
図3〜図5に示すように、ドア本体1は、車両の前方側に設けた前枠部材11と、車両の後方側に設けた後枠部材12と、前枠部材11と後枠部材12とを連結して車内側に設けられるアッパインナフレーム13と、アッパインナフレーム13の車外側に設けられるアッパアウタフレーム14と、窓ガラス31(図2参照)を支持する外側ドアサッシ15と、前枠部材11と後枠部材12とを連結する下部フレーム16と、ドア本体1の補強部材としてのドアビーム17と、ドア本体1を車体に回動自在に設置するためのヒンジ部材18,18とから構成されている。ドア本体1は、前枠部材11と、後枠部材12と、アッパインナフレーム13およびアッパアウタフレーム14と、下部フレーム16とで井桁状の枠体を形成している。ドア本体1のこの井桁状の枠体箇所の周縁部には、ヘミング加工と構造用接着剤S(図9および図10参照)とを併用してアウタパネル2が固着されている。
【0025】
次に、ドア本体1を構成する各部材を説明する。まず、図3〜図5を参照して前枠部材11を説明する。
図5に示すように、前枠部材11は、ドア本体1の前側の骨格を構成する部材であり、例えば、アルミダイキャスト型で成形したアルミダイキャスト品等の軽金属により形成されている。この前枠部材11は、外側ドアサッシ15が固着されるサッシ取付部11aと、アッパインナフレーム13が固着される係合溝11bと、アッパアウタフレーム14およびアウタパネル2(図2参照)が固着される固着面11cと、ドアビーム17が固着されるブラケット19と、下部フレーム16が固着される連結部11eと、ヒンジ部材18,18が設けられる前側面11fと、アウタパネル2(図2参照)が固着される外側周縁部11hとを有してなる。前枠部材11の上端部には、サッシ取付部11a、係合溝11b、固着面11c、ブラケット19および上側のヒンジ部材18が配設され、前枠部材11の下端部には、連結部11eおよび下側のヒンジ部材18が配設され、前枠部材11の前側最端および下端には、外側周縁部11hが配設されている。
【0026】
サッシ取付部11aは、外側ドアサッシ15の前側下端部15aが前枠部材11の上端部に係合され、構造用接着剤S(図9および図10参照)で固着される箇所である。そのサッシ取付部11aには、外側ドアサッシ15の前側下端部15aが嵌入される切欠部11gが形成されている。このサッシ取付部11aには、構造用接着剤Sが塗付され、この構造用接着剤Sによって外側ドアサッシ15が固定されている。
なお、構造用接着剤S(図9および図10参照)とは、例えば、エポキシ系等のアルミニウム合金用接着剤である。
係合溝11bは、前記サッシ取付部11aの近傍の下側後方部に形成された略U字状の溝であり、この係合溝11bには、アッパインナフレーム13の前端部13aが構造用接着剤Sを介して嵌着されるとともに、さらにリベット10(図7〜図10参照)を併用して固着されている。
固着面11cは、前記係合溝11bの前側に形成される平らな面であり、この固着面11cには、アッパアウタフレーム14の前端部14aおよびアウタパネル2の上端部2cが構造用接着剤Sを介して接着されるとともに、さらにリベット10により固着されている。
【0027】
図6は、本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す図で、ドアの下端部中央の一部断面を有する拡大部分正面図である。図7は、図6のA−A拡大断面図である。図8は、図6のB−B拡大断面図である。図9は、図6のC部拡大斜視図である。
【0028】
図5および図6に示すように、連結部11eは、前枠部材11の下端部から後枠部材12に向けて突出形成され、下部フレーム16とアウタパネル2とに固着されている。
図7に示すように、連結部11eは、アウタパネル2の外板部2aから折り返されて伸びる内板部2bの上面との接着代S1(図6および図9のハッチング箇所)に構造用接着剤Sを塗布し、さらにリベット10を併用して固着されている。
図8に示すように、連結部11eは、下部フレーム16の前端部16aとアウタパネル2の内板部2bとの接着代S2,S3(図6および図9のハッチング箇所)に構造用接着剤Sを塗布し、さらにリベット10を併用して固着されている。
前側面11fは、ドア本体1の前側側面を形成する箇所であり、この前側面11fには、上下に2つのヒンジ部材18がねじ止めされている。
外側周縁部11hは、ドア本体1の前側最端および前側下端に位置する箇所であり、この外側周縁部11hには、アウタパネル2(図2参照)が構造用接着剤Sおよびヘミング加工によって取り付けられる。
ブラケット19は、前枠部材11の係合溝11bの下方に溶接等によって一体に固着され、このブラケット19には、ドアビーム17の前端部17aが溶接等によって固着されている。
【0029】
次に、図3〜図5を参照して後枠部材12を説明する。
図3に示すように、後枠部材12は、ドア本体1の後側の骨格を形成する部材であり、例えば、アルミダイキャスト型で成形したアルミダイキャスト品等の軽金属により形成されている。この後枠部材12は、外側ドアサッシ15が固着されるサッシ取付部12aと、アッパインナフレーム13が固着される係合溝12bと、ドアビーム17が固着される固着面12cと、下部フレーム16が固着される連結部12dとを有してなる。後枠部材12は、上端部にサッシ取付部12a、係合溝12bが配設され、下端部に固着面12cおよび連結部12dが配設されている。
サッシ取付部12aには、外側ドアサッシ15の後側下端部15bに形成した接合面12eが後枠部材12の上端部に接合され、構造用接着剤Sで接着されるとともに、さらにリベットによって強固に固着されている。このサッシ取付部12aに固着された外側ドアサッシ15の後端部15bには、アッパアウタフレーム14がマスチックシーラ等の接着性シール部材によって固着されている。
係合溝12bは、前記サッシ取付部12aの近傍の前方部に形成された略U字状の溝であり、この係合溝12bには、アッパインナフレーム13の後端部13bが嵌合されるとともに、構造用接着剤Sによって固着されている。
固着面12cは、後枠部材12の下側前端部に形成された平らな面であり、この固着面12cには、ドアビーム17の後端部17bが構造用接着剤Sによって固着されている。
図5に示すように、連結部12dは、前記した連結部11eと対称な形状をしたものであり、後枠部材12の下端部から前枠部材11に向けて突出形成され、下部フレーム16とアウタパネル2とに固着されている。
図10は、図6のH部拡大斜視図である。
図10に示すように、連結部12dは、アウタパネル2の外板部2aから折り返されて伸びる内板部2bの上面との接着代S4(図6および図10のハッチング箇所)に構造用接着剤Sを塗布して接着されるとともに、さらにリベット10を併用して固着されている。
【0030】
次に、図5および図8を参照して下部フレーム16を説明する。
下部フレーム16は、アルミニウム合金やマグネシウム合金等の軽合金からなる圧延板材をプレス成形したもの、または押し出し成形材である。この下部フレーム16は、車両の前後方向に延設された板材であり、井桁状のドア本体1の下枠部分を構成している。下部フレーム16は、前端部16aと、後端部16bと、内側フランジ部16cと、外側フランジ部16dとを有する。下部フレーム16は、前端部16aを前枠部材11に、後端部16bを後枠部材12にそれぞれ構造用接着剤Sとリベット10とを併用して固着されている。
図8に示すように、下部フレーム16は、下面をアウタパネル2の内板部2bによって覆われ、ドア本体1の下部に筒状の閉断面を形成している。
内側フランジ部16cは、アウタパネル2の内板部2bの先端部2cに沿って上方に伸ばして形成され、その内板部2bの接着代S3(図6参照)を構造用接着剤Sとリベット10とを併用して固着されている。
外側フランジ部16dは、アウタパネル2の外板部2aとの接着代M1(図6参照)を接着性シール部材Mによって相対変位可能に連結されている。
なお、接着性シール部材Mは、例えば、マスチックシーラやホットメルト等からなる。
【0031】
次に、図5を参照してアッパインナフレーム13を説明する。
図5に示すように、アッパインナフレーム13は、アルミニウム合金またはマグネシウム合金等の軽合金の押し出し型材等からなる。このアッパインナフレーム13は、前枠部材11に固着される前端部13aと、後枠部材12に固着される後端部13bと、車幅方向の車外側に開放する開口部13cと、断面が略C字状に形成された緩衝部13dと、前記開口部13cに臨んで上下幅方向の内方に互いに伸びる一対の内向きのフランジ部13e,13fと、車内側に湾曲して形成された屈曲部13g,13hと、上端に形成された窓ガラス31(図1参照)のガイド部13kとを一体形成している。このアッパインナフレーム13は、一端を前枠部材11に連結し、他端を後枠部材12に連結すると共に、車体の前後方向に延設されている。
【0032】
次に、図5を参照してアッパアウタフレーム14を説明する。
図5に示すように、アッパアウタフレーム14は、例えば、車体の前後方向に延設されたアルミニウム合金の押し出し型材等からなる部材で、アッパインナフレーム13の車外側に略平行に配置されている。アッパアウタフレーム14は、前枠部材11に固着される前端部14aと、後枠部材12に固着される後端部14bと、アウタパネル2をヘミング加工して取り付ける上端部14cと、複数箇所に設けられた接着性シール部材Mによってアウタパネル2に固着される下端部14dとを有してなる。
【0033】
次に、図5を参照して外側ドアサッシ15を説明する。
図5に示すように、外側ドアサッシ15は、アルミニウム合金の押し出し型材等の軽金属からなる上側サッシ部材151と後側サッシ部材152とを上端で溶接によって連結してなる。なお、この上側サッシ部材151と後側サッシ部材152とは、一体形成されたものであってもよい。また、後側サッシ部材152は、後枠部材12の上方に一体形成したものであってもよい。
【0034】
次に、図5を参照してドアビーム17を説明する。
図5に示すように、ドアビーム17は、例えば、アルミニウム合金等の軽金属からなる補強部材であり、このドアビーム17は、ドア本体1に対して斜めに配置した断面が略四角形な管状部材から形成されている。ドアビーム17は、前端部17aが後端部17bより高くして前枠部材11に連結され、後端部17bが後枠部材12に連結されている。
【0035】
次に、図2を参照してアウタパネル2を説明する。
図2に示すように、アウタパネル2は、例えば、アルミニウム合金等の軽合金からなる圧延板材からなり、プレス加工によって成形されている。このアウタパネル2は、ドア本体1の井桁状の枠部分の周縁にヘミング加工と構造用接着剤Sとを併用して取り付けられる。アウタパネル2は、外板部2aと、内板部2bと、上端部2dと、前端部2eと、後端部2fとをプレス成形により一体成形してなる。
図8に示すように、外板部2aは、アウタパネル2の下部フレーム2がある車外側から下方に延設されるとともに、下部フレーム16の外側フランジ部16dおよびドアビーム17を接着性シール部材Mによって連結されている。
図6に示すように、内板部2bは、この外板部2aの上方に折り返されて下部フレーム16の車内側に延設されるとともに、前枠部材11の連結部11eと後枠部材12の連結部12dと下部フレーム16とに構造用接着剤Sとリベット10を併用して固着されている。
図2に示すように、上端部2dは、アッパアウタフレーム14にヘミング加工と構造用接着剤Sを併用して固着されている。
前端部2eは、前枠部材11にヘミング加工と構造用接着剤Sを併用して固着されている。
後端部2fは、後枠部材12にヘミング加工と構造用接着剤Sを併用して固着されている。
【0036】
次に、図2を参照してウインド装置3を説明する。
ウインド装置3は、ドア本体1の車内側に設置され、窓ガラス31と、この窓ガラス31を支持するガイド部材32,33と、窓ガラス31の昇降をガイドするガイドレール34と、窓ガラス31を昇降させるためのウインドレギュレータ装置35とからなる。ガイド部材32は、アルミニウム合金等の軽金属からなり、前枠部材11の車内側に固着されている。ガイド部材33は、アルミニウム合金等の軽金属からなり、後枠部材12の車内側に固着されている。ガイドレール34は、アルミニウム合金等の軽金属からなり、上端がアッパインナフレーム13に固着され、下端が下部フレーム16に固着されている。ウインドレギュレータ装置35は、ガイドレール34に設置されている。
【0037】
次に、図2を参照してライニング4を説明する。
ライニング4は、ドアDの内装を構成する板材であり、このライニング4には、インサイドハンドル5、スピーカ7およびハーネス類8が設置され、ドア本体1の車内側に固着されている。ドアロック装置6は、ドア本体1に予め取付けられており、ライニング4の組付け時にインサイドハンドル5、ハーネス類8が接続される。
【0038】
次に、図1、図3、図4および図8を参照して発明の実施の形態に係る車両用ドアの作用を説明する。
例えば、図3に示すように、車両が正面衝突してドアDに車両前方向(矢印E方向)から衝突荷重が負荷された場合、ドアDには、圧縮荷重、捩れ荷重あるいは引張荷重が負荷される。それらの荷重は、特にドア本体1に前後方向を向いて配設されたアッパインナフレーム13、アッパアウタフレーム14、下部フレーム16およびドアビーム17に負荷される。
【0039】
ドアDは、ドア本体1に下部フレーム16を設置したことにより、前枠部材11と、後枠部材12と、アッパアインナフレーム13と、アッパアウタフレーム14、下部フレーム16とからなる井桁状の枠体を形成していることにより補強されている。このため、ドア本体1は、剛性を増すことができる。下部フレーム16は、前枠部材11と後枠部材12との間に、荷重の方向(矢印E方向)と同じ車両の前後方向に向けて配設されているとともに、その前枠部材11と後枠部材12とに連結されている。このため、下部フレーム16は、前枠部材11の下方に負荷された矢印E方向の荷重を受け止める突支棒の役目を果す。
【0040】
図1および図8に示すように、下部フレーム16は、その下部フレーム16の下方にアウタパネル2の外板部2aと内板部2bとによって筒状の閉断面を形成している。このため、下部フレーム16は、矢印E方向(図3参照)の圧縮荷重や捩れ荷重や引張荷重を受けたときに、屈曲し難く、剛性を備えている。
【0041】
そして、図4に示すように、アッパインナフレーム13の前端部13aの近傍には、前枠部材11と後枠部材12との間に斜めに下がるようにドアビーム17が配設されている。このため、ドア本体1は、このドアビーム17があることにより、ドアビーム17によっても矢印E方向の圧縮荷重や捩れ荷重や引張荷重の負荷に対して、更に剛性を有する。したがって、矢印E方向の荷重を受けたとしても、ドア本体1の井桁状の枠形状が崩され難くなり、下部フレーム16や外側ドアサッシ15を補強して、衝撃によってそれらが変形することを防止することができる。
【0042】
例えば、図1および図8に示すように、車両が側面衝突して車幅方向の車外側から車内方向(矢印F方向)にドアDの下方に衝突荷重が負荷された場合、ドアDには、まず、アウタパネル2に荷重が負荷される。次に、衝突荷重は、下部フレーム16、ドアビーム17、前枠部材11および後枠部材12等に負荷される。そして、ドア本体1の下部には、下部フレーム16とアウタパネル2の外板部2aおよび内板部2bとでなる閉断面部が形成されていることにより、この閉断面部が衝突荷重で車内方向に変形することを受け止めることができるため、乗員Gを保護することができる。
【0043】
また、図8に示すように、下部フレーム16は、内側フランジ部16cが内板部2bに固着され、外側フランジ部16dが外板部2aに相対変位可能に連結されていることにより、外側フランジ部16dが相対変位する弾性を有するため、衝撃を緩衝して、乗員Gを衝撃から保護することができる。
【0044】
このように、ドアDを構成する各部材は、ドア本体1を構成する下部フレーム16等が剛性を有するとともに、ドア本体1が前枠部材11、後枠部材12、アッパアウタフレーム14および下部フレーム16からなる枠体を構成していることにより、ドアDが骨格構造になっているため、このドアDをアルミニウム合金やマグネシウム合金等の軽合金によって容易に形成することができる。ドアDは、アルミニウム合金やマグネシウム合金等の軽合金から形成することにより、スチール製のドアと比較してドアD全体の重量を約2/3に減量することができるため、車体全体の軽量化および燃費の向上に寄与する。また、リサイクルに当たっては、アルミニウムが鉄よりも少ないエネルギーでリサイクルが可能であるなど地球環境への負荷が低減できる。
【0045】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されものではなく、その技術思想の範囲内で種々の改造および変更が可能であり、本発明はこれら改造および変更された発明にも及ぶことは勿論である。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に記載の車両用ドアによれば、ドアは、アウタパネルの外板部および内板部と下部フレームとにより、ドアの下部に閉断面を形成するため、ドアの下部を補強して剛性を増すことができる。これにより、例えば、車両が衝突してドアに衝突荷重が負荷された場合、ドア本体は、前記閉断面を形成した箇所で補強されたことにより、この閉断面の箇所が衝突時の圧縮荷重、引張荷重および捩れ荷重を受けるため、ドアの下部に剛性を持たせることができる。
【0047】
本発明の請求項2に記載の車両用ドアによれば、ドア本体は、前枠部材、後枠部材、および前枠部材と後枠部材とを連結する下部フレームとを備えるドア本体と、下部フレームの車外側で車体表面を形成する外板部、およびこの外板部の下端で折り返されて下部フレームの車内側に伸びる内板部を備えるアウタパネルとを有することにより、ドア本体を骨格構造にすることができる。このため、ドア本体は、アルミニウムやマグネシウム等のプレス成形性に劣る材料であってもそれら部材を連結してドアを容易に作ることができる。これにより、ドアは、軽合金で形成することが可能となり、車両全体の軽量化と燃費の向上を図ることができる。
また、アウタパネルの外板部および内板部と下部フレームとは、ドア本体の下部に閉断面を形成することにより、ドアの下部が補強される。これにより、例えば、車両が衝突してドアに衝突荷重が負荷された場合、ドアは、前記閉断面を形成した箇所を有することにより、この閉断面の箇所が衝突時の圧縮荷重、引張荷重および捩れ荷重を受けるため、ドアの下部に剛性を持たせることができる。このため、ドア本体は、その骨格構造部が座屈することを防止することができる。
【0048】
本発明の請求項3に記載の車両用ドアによれば、下部フレームは、外側フランジ部が外板部に相対変位可能に連結したことにより、溶接や締結部材等の固定手段によって外板部に固定されていない。このため、外板部の車外側の面には、溶接跡や締結部材等を設置するときに発生する変形を防止することができ、綺麗な仕上げ面にすることができる。
【0049】
本発明の請求項4に記載の車両用ドアによれば、外側フランジ部は、外板部に接着性シール部材によって連結することにより、簡単な手段によって、外側フランジ部を相対変位可能に連結することができる。また、外側フランジ部は、アウタパネルの外板部に接着性シール部材によって連結したことにより、外板部の車外側の面が連結する部材によって変形することがないため、外板部の車外側の面を綺麗に仕上げることができる。
【0050】
本発明の請求項5に記載の車両用ドアによれば、下部フレームの内側フランジ部は、内板部に沿って上方に伸びて形成されていることにより、内側フランジ部が下部フレームとアウタパネルとで形成する閉断面部の上方に配置されることになる。このため、内側フランジ部をドア本体に固定する作業を行うとき、内側フランジ部は、閉断面部の上にあって、固定作業が行い易い状態に配置される。
また、その内側フランジ部は、アウタパネルの内板部に重ねて配置されることにより、その重ねた箇所の強度が向上するため、その重ね箇所にウインドレギュレータ等の他の部品を設置するための設置スペースとして利用することも可能となる。
【0051】
本発明の請求項5に記載の車両用ドアによれば、アウタパネルがプレス成形されることにより、アウタパネルを機械的性質が優れているプレス材とすることができるため、閉断面部の剛性を更に高くすることができるとともに、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す図で、一部断面を有するドアの側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す分解斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す図で、車外側から見たドア本体の拡大斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す図で、車内側から見たドア本体の拡大斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す図で、ドア本体とアウタパネルの一部断面を有する拡大分解斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す図で、ドアの下端部中央の一部断面を有する拡大部分正面図である。
【図7】図6のA−A拡大断面図である。
【図8】図6のB−B拡大断面図である。
【図9】図6のC部拡大斜視図である。
【図10】図6のH部拡大斜視図である。
【符号の説明】
1 ドア本体
2 アウタパネル
2a 外板部
2b 内板部
11 前枠部材
12 後枠部材
16 下部フレーム
16c 内側フランジ部
16d 外側フランジ部
D ドア
M 接着性シール部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、剛性を備えた車両用ドアに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の剛性を備えた軽量の車両用ドアとしては、ドア本体の前縁を形成する前枠部材(ドアインナ前方部材)と、ドア本体の後縁を形成する後枠部材(ドアインナ後方部材)と、前記前枠部材と後枠部材とを連結したアッパフレーム(ウエスト補強部材)および下部フレーム(シル押出材)とからなるドア骨格構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このドア骨格構造における下部フレーム(シル押出材)は、アルミニウムやマグネシウム等の軽合金または軽合金の押し出し成形品で形成された板状ものからなる。その下部フレーム(シル押出材)は、ドア本体に対して車体の前後方向に延設されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−341529号公報(第4頁および第6頁、図1および図17)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の車両用ドア構造において、ドア本体は、下部フレーム(シル押出材)のみではドア本体の下部に剛性を確保することができないため、更にドア本体中央部と下部フレーム(シル押出材)の近傍にサイドガードバーを設置して補強しなければならないという問題点があった。
【0005】
特に、軽量化された車両用ドアは、衝突時の対応としてドア本体の下部に、強度を備えていることが望まれている。
【0006】
本発明は、ドア本体の下部に強度を備えた車両用ドアを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の車両用ドアは、ドア本体の下部に設けられ車両の前後方向に伸びる下部フレームと、この下部フレームの車外側で車体表面を形成する外板部、およびこの外板部の下端で折り返されて前記下部フレームの車内側に伸びる内板部を備えるアウタパネルと、を有し、前記下部フレームと前記アウタパネルとは、互いに接合されることによって、前記ドア本体の下部に閉断面を形成することを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、ドア本体は、車両の前後方向に伸びる下部フレームと、この下部フレームの車外側で車体表面を形成する外板部、およびこの外板部の下端で折り返されて前記下部フレームの車内側に伸びる内板部を備えるアウタパネルとを有する。このアウタパネルの外板部および内板部と、下部フレームとは、ドア本体の下部に閉断面を形成することにより、ドアの下部が補強される。例えば、車両が衝突してドアに衝突荷重が負荷された場合、ドア本体は、下部フレームとアウタパネルからなる閉断面を形成した箇所を有することにより、この閉断面の箇所が衝突時の圧縮荷重、引張荷重および捩れ荷重を受けるため、ドアの下部に剛性が備わる。
【0009】
請求項2に記載の車両用ドアは、車両の前方側に設けた前枠部材、車両の後方側に設けた後枠部材、および前記前枠部材と前記後枠部材とを連結する下部フレームとを備えるドア本体と、前記下部フレームの車外側で車体表面を形成する外板部、およびこの外板部の下端で折り返されて前記下部フレームの車内側に伸びる内板部を備えるアウタパネルとを有し、前記下部フレームと前記アウタパネルとは、互いに接合されることによって、前記ドア本体の下部に閉断面を形成することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、ドア本体は、前枠部材、後枠部材、および前枠部材と後枠部材とを連結する下部フレームとを備えるドア本体と、下部フレームの車外側で車体表面を形成する外板部、およびこの外板部の下端で折り返されて下部フレームの車内側に伸びる内板部を備えるアウタパネルとを有することにより、ドア本体を骨格構造にすることができる。このため、ドア本体は、アルミニウムやマグネシウム等のプレス成形性に劣る材料であってもそれら部材を連結してドアを容易に作ることができる。これにより、ドアは、軽合金で形成することが可能となり、車両全体の軽量化と燃費の向上を図ることができる。
また、アウタパネルの外板部および内板部と下部フレームとは、ドア本体の下部に閉断面を形成することにより、ドアの下部が補強される。例えば、車両が衝突してドアに衝突荷重が負荷された場合、ドア本体は、下部フレームとアウタパネルからなる閉断面を形成する箇所を有することにより、この閉断面の箇所が衝突時の圧縮荷重、引張荷重および捩れ荷重を受け止めることができる。このため、ドア本体は、骨格構造をしている場合、その骨格構造部が座屈することを阻止する。したがって、ドアは、閉断面が形成された箇所によって補強され、剛性が備わる。
【0011】
請求項3に記載の車両用ドアは、請求項1または請求項2に記載の車両用ドアであって、前記下部フレームは、前記内板部に固定される内側フランジ部と、前記外板部に相対変位可能に連結される外側フランジ部とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、下部フレームは、外側フランジ部が外板部に相対変位可能に連結したことにより、溶接や締結部材等の固定手段によって外板部に固定されていない。このため、外板部の車外側の面には、溶接跡や締結部材等を設置するときに発生する変形を防止することができ、綺麗な仕上げ面にすることができる。
【0013】
請求項4に記載の車両用ドアは、請求項3に記載の車両用ドアであって、前記外側フランジ部は、前記外板部に接着性シール部材によって連結されることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、外側フランジ部は、外板部に接着性シール部材によって連結することにより、簡単な手段によって、外側フランジ部を相対変位可能に連結することができる。また、外側フランジ部は、アウタパネルの外板部に接着性シール部材によって連結したことにより、外板部の車外側の面が連結する部材によって変形することがないため、外板部の車外側の面を綺麗に仕上げることができる。
【0015】
請求項5に記載の車両用ドアは、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車両用ドアであって、前記内側フランジ部は、前記内板部に沿って上方に伸びて形成されることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、下部フレームの内側フランジ部は、内板部に沿って上方に伸びて形成されていることにより、内側フランジ部が下部フレームとアウタパネルとで形成する閉断面部の上方に配置されることになる。このため、内側フランジ部をドア本体に固定する作業を行うとき、内側フランジ部は、閉断面部の上にあって、固定作業が行い易い状態に配置される。
また、その内側フランジ部は、アウタパネルの内板部に重ねて配置されることにより、その重ねた箇所の強度が向上するため、その重ね箇所にウインドレギュレータ等の他の部品を設置するための設置スペースとして利用することも可能となる。
【0017】
請求項6に記載の車両用ドアは、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の車両用ドアであって、前記アウタパネルは、プレス成形されたことを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、アウタパネルがプレス成形されることにより、アウタパネルを機械的性質が優れているプレス材とすることができるため、閉断面部の剛性を更に高くすることができるとともに、生産性を向上させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態に係る車両用ドアを説明する。
なお、本発明の実施形態では、「前」は車両の進行方向側、「後」は車両の後退方向側、「上」は鉛直上方側、「下」は鉛直下方側、「左右」は車幅方向側とする。
【0020】
まず、図1および図2を参照してドアについて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す図で、一部断面を有するドアの側面図である。図2は、本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す分解斜視図である。
【0021】
図1および図2に示すように、ドアDは、例えば、車体の左右または後端部に配置されるヒンジ式ドアやスライド式ドアやガルウイング式ドア等からなる。なお、このドアDの形式は、特に限定しない。
以下、ヒンジを中心として回動して後開きする左前のヒンジ式のドアDを例にして本発明を説明する。
【0022】
図2に示すように、ドアDは、ドア本体1と、このドア本体1の車外側に設置されるアウタパネル2と、ドア本体1に設置され、窓ガラス31を昇降させるためのウインド装置3と、ドア本体1の車内側に設置されるライニング4と、このライニング4に設置されるインサイドハンドル5と、ドアDを施錠・解錠するドアロック装置6と、スピーカ7と、ドアDに設置されたスピーカ7やウインド装置3等の電装品を電気的に接続するためのハーネス類8と、ドアDの全周に設置されるゴム枠9等とを備えてなる。
【0023】
次に、図2〜図5を参照してドア本体1を説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す図で、車外側から見たドア本体の拡大斜視図である。図4は、本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す図で、車内側から見たドア本体の拡大斜視図である。図5は、本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す図で、ドア本体とアウタパネルの一部断面を有する拡大分解斜視図である。
【0024】
図2に示すように、ドア本体1は、ドアDの骨格となる部材であり、例えば、アルミニウム合金やマグネシウム合金等の軽金属から形成されている。
図3〜図5に示すように、ドア本体1は、車両の前方側に設けた前枠部材11と、車両の後方側に設けた後枠部材12と、前枠部材11と後枠部材12とを連結して車内側に設けられるアッパインナフレーム13と、アッパインナフレーム13の車外側に設けられるアッパアウタフレーム14と、窓ガラス31(図2参照)を支持する外側ドアサッシ15と、前枠部材11と後枠部材12とを連結する下部フレーム16と、ドア本体1の補強部材としてのドアビーム17と、ドア本体1を車体に回動自在に設置するためのヒンジ部材18,18とから構成されている。ドア本体1は、前枠部材11と、後枠部材12と、アッパインナフレーム13およびアッパアウタフレーム14と、下部フレーム16とで井桁状の枠体を形成している。ドア本体1のこの井桁状の枠体箇所の周縁部には、ヘミング加工と構造用接着剤S(図9および図10参照)とを併用してアウタパネル2が固着されている。
【0025】
次に、ドア本体1を構成する各部材を説明する。まず、図3〜図5を参照して前枠部材11を説明する。
図5に示すように、前枠部材11は、ドア本体1の前側の骨格を構成する部材であり、例えば、アルミダイキャスト型で成形したアルミダイキャスト品等の軽金属により形成されている。この前枠部材11は、外側ドアサッシ15が固着されるサッシ取付部11aと、アッパインナフレーム13が固着される係合溝11bと、アッパアウタフレーム14およびアウタパネル2(図2参照)が固着される固着面11cと、ドアビーム17が固着されるブラケット19と、下部フレーム16が固着される連結部11eと、ヒンジ部材18,18が設けられる前側面11fと、アウタパネル2(図2参照)が固着される外側周縁部11hとを有してなる。前枠部材11の上端部には、サッシ取付部11a、係合溝11b、固着面11c、ブラケット19および上側のヒンジ部材18が配設され、前枠部材11の下端部には、連結部11eおよび下側のヒンジ部材18が配設され、前枠部材11の前側最端および下端には、外側周縁部11hが配設されている。
【0026】
サッシ取付部11aは、外側ドアサッシ15の前側下端部15aが前枠部材11の上端部に係合され、構造用接着剤S(図9および図10参照)で固着される箇所である。そのサッシ取付部11aには、外側ドアサッシ15の前側下端部15aが嵌入される切欠部11gが形成されている。このサッシ取付部11aには、構造用接着剤Sが塗付され、この構造用接着剤Sによって外側ドアサッシ15が固定されている。
なお、構造用接着剤S(図9および図10参照)とは、例えば、エポキシ系等のアルミニウム合金用接着剤である。
係合溝11bは、前記サッシ取付部11aの近傍の下側後方部に形成された略U字状の溝であり、この係合溝11bには、アッパインナフレーム13の前端部13aが構造用接着剤Sを介して嵌着されるとともに、さらにリベット10(図7〜図10参照)を併用して固着されている。
固着面11cは、前記係合溝11bの前側に形成される平らな面であり、この固着面11cには、アッパアウタフレーム14の前端部14aおよびアウタパネル2の上端部2cが構造用接着剤Sを介して接着されるとともに、さらにリベット10により固着されている。
【0027】
図6は、本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す図で、ドアの下端部中央の一部断面を有する拡大部分正面図である。図7は、図6のA−A拡大断面図である。図8は、図6のB−B拡大断面図である。図9は、図6のC部拡大斜視図である。
【0028】
図5および図6に示すように、連結部11eは、前枠部材11の下端部から後枠部材12に向けて突出形成され、下部フレーム16とアウタパネル2とに固着されている。
図7に示すように、連結部11eは、アウタパネル2の外板部2aから折り返されて伸びる内板部2bの上面との接着代S1(図6および図9のハッチング箇所)に構造用接着剤Sを塗布し、さらにリベット10を併用して固着されている。
図8に示すように、連結部11eは、下部フレーム16の前端部16aとアウタパネル2の内板部2bとの接着代S2,S3(図6および図9のハッチング箇所)に構造用接着剤Sを塗布し、さらにリベット10を併用して固着されている。
前側面11fは、ドア本体1の前側側面を形成する箇所であり、この前側面11fには、上下に2つのヒンジ部材18がねじ止めされている。
外側周縁部11hは、ドア本体1の前側最端および前側下端に位置する箇所であり、この外側周縁部11hには、アウタパネル2(図2参照)が構造用接着剤Sおよびヘミング加工によって取り付けられる。
ブラケット19は、前枠部材11の係合溝11bの下方に溶接等によって一体に固着され、このブラケット19には、ドアビーム17の前端部17aが溶接等によって固着されている。
【0029】
次に、図3〜図5を参照して後枠部材12を説明する。
図3に示すように、後枠部材12は、ドア本体1の後側の骨格を形成する部材であり、例えば、アルミダイキャスト型で成形したアルミダイキャスト品等の軽金属により形成されている。この後枠部材12は、外側ドアサッシ15が固着されるサッシ取付部12aと、アッパインナフレーム13が固着される係合溝12bと、ドアビーム17が固着される固着面12cと、下部フレーム16が固着される連結部12dとを有してなる。後枠部材12は、上端部にサッシ取付部12a、係合溝12bが配設され、下端部に固着面12cおよび連結部12dが配設されている。
サッシ取付部12aには、外側ドアサッシ15の後側下端部15bに形成した接合面12eが後枠部材12の上端部に接合され、構造用接着剤Sで接着されるとともに、さらにリベットによって強固に固着されている。このサッシ取付部12aに固着された外側ドアサッシ15の後端部15bには、アッパアウタフレーム14がマスチックシーラ等の接着性シール部材によって固着されている。
係合溝12bは、前記サッシ取付部12aの近傍の前方部に形成された略U字状の溝であり、この係合溝12bには、アッパインナフレーム13の後端部13bが嵌合されるとともに、構造用接着剤Sによって固着されている。
固着面12cは、後枠部材12の下側前端部に形成された平らな面であり、この固着面12cには、ドアビーム17の後端部17bが構造用接着剤Sによって固着されている。
図5に示すように、連結部12dは、前記した連結部11eと対称な形状をしたものであり、後枠部材12の下端部から前枠部材11に向けて突出形成され、下部フレーム16とアウタパネル2とに固着されている。
図10は、図6のH部拡大斜視図である。
図10に示すように、連結部12dは、アウタパネル2の外板部2aから折り返されて伸びる内板部2bの上面との接着代S4(図6および図10のハッチング箇所)に構造用接着剤Sを塗布して接着されるとともに、さらにリベット10を併用して固着されている。
【0030】
次に、図5および図8を参照して下部フレーム16を説明する。
下部フレーム16は、アルミニウム合金やマグネシウム合金等の軽合金からなる圧延板材をプレス成形したもの、または押し出し成形材である。この下部フレーム16は、車両の前後方向に延設された板材であり、井桁状のドア本体1の下枠部分を構成している。下部フレーム16は、前端部16aと、後端部16bと、内側フランジ部16cと、外側フランジ部16dとを有する。下部フレーム16は、前端部16aを前枠部材11に、後端部16bを後枠部材12にそれぞれ構造用接着剤Sとリベット10とを併用して固着されている。
図8に示すように、下部フレーム16は、下面をアウタパネル2の内板部2bによって覆われ、ドア本体1の下部に筒状の閉断面を形成している。
内側フランジ部16cは、アウタパネル2の内板部2bの先端部2cに沿って上方に伸ばして形成され、その内板部2bの接着代S3(図6参照)を構造用接着剤Sとリベット10とを併用して固着されている。
外側フランジ部16dは、アウタパネル2の外板部2aとの接着代M1(図6参照)を接着性シール部材Mによって相対変位可能に連結されている。
なお、接着性シール部材Mは、例えば、マスチックシーラやホットメルト等からなる。
【0031】
次に、図5を参照してアッパインナフレーム13を説明する。
図5に示すように、アッパインナフレーム13は、アルミニウム合金またはマグネシウム合金等の軽合金の押し出し型材等からなる。このアッパインナフレーム13は、前枠部材11に固着される前端部13aと、後枠部材12に固着される後端部13bと、車幅方向の車外側に開放する開口部13cと、断面が略C字状に形成された緩衝部13dと、前記開口部13cに臨んで上下幅方向の内方に互いに伸びる一対の内向きのフランジ部13e,13fと、車内側に湾曲して形成された屈曲部13g,13hと、上端に形成された窓ガラス31(図1参照)のガイド部13kとを一体形成している。このアッパインナフレーム13は、一端を前枠部材11に連結し、他端を後枠部材12に連結すると共に、車体の前後方向に延設されている。
【0032】
次に、図5を参照してアッパアウタフレーム14を説明する。
図5に示すように、アッパアウタフレーム14は、例えば、車体の前後方向に延設されたアルミニウム合金の押し出し型材等からなる部材で、アッパインナフレーム13の車外側に略平行に配置されている。アッパアウタフレーム14は、前枠部材11に固着される前端部14aと、後枠部材12に固着される後端部14bと、アウタパネル2をヘミング加工して取り付ける上端部14cと、複数箇所に設けられた接着性シール部材Mによってアウタパネル2に固着される下端部14dとを有してなる。
【0033】
次に、図5を参照して外側ドアサッシ15を説明する。
図5に示すように、外側ドアサッシ15は、アルミニウム合金の押し出し型材等の軽金属からなる上側サッシ部材151と後側サッシ部材152とを上端で溶接によって連結してなる。なお、この上側サッシ部材151と後側サッシ部材152とは、一体形成されたものであってもよい。また、後側サッシ部材152は、後枠部材12の上方に一体形成したものであってもよい。
【0034】
次に、図5を参照してドアビーム17を説明する。
図5に示すように、ドアビーム17は、例えば、アルミニウム合金等の軽金属からなる補強部材であり、このドアビーム17は、ドア本体1に対して斜めに配置した断面が略四角形な管状部材から形成されている。ドアビーム17は、前端部17aが後端部17bより高くして前枠部材11に連結され、後端部17bが後枠部材12に連結されている。
【0035】
次に、図2を参照してアウタパネル2を説明する。
図2に示すように、アウタパネル2は、例えば、アルミニウム合金等の軽合金からなる圧延板材からなり、プレス加工によって成形されている。このアウタパネル2は、ドア本体1の井桁状の枠部分の周縁にヘミング加工と構造用接着剤Sとを併用して取り付けられる。アウタパネル2は、外板部2aと、内板部2bと、上端部2dと、前端部2eと、後端部2fとをプレス成形により一体成形してなる。
図8に示すように、外板部2aは、アウタパネル2の下部フレーム2がある車外側から下方に延設されるとともに、下部フレーム16の外側フランジ部16dおよびドアビーム17を接着性シール部材Mによって連結されている。
図6に示すように、内板部2bは、この外板部2aの上方に折り返されて下部フレーム16の車内側に延設されるとともに、前枠部材11の連結部11eと後枠部材12の連結部12dと下部フレーム16とに構造用接着剤Sとリベット10を併用して固着されている。
図2に示すように、上端部2dは、アッパアウタフレーム14にヘミング加工と構造用接着剤Sを併用して固着されている。
前端部2eは、前枠部材11にヘミング加工と構造用接着剤Sを併用して固着されている。
後端部2fは、後枠部材12にヘミング加工と構造用接着剤Sを併用して固着されている。
【0036】
次に、図2を参照してウインド装置3を説明する。
ウインド装置3は、ドア本体1の車内側に設置され、窓ガラス31と、この窓ガラス31を支持するガイド部材32,33と、窓ガラス31の昇降をガイドするガイドレール34と、窓ガラス31を昇降させるためのウインドレギュレータ装置35とからなる。ガイド部材32は、アルミニウム合金等の軽金属からなり、前枠部材11の車内側に固着されている。ガイド部材33は、アルミニウム合金等の軽金属からなり、後枠部材12の車内側に固着されている。ガイドレール34は、アルミニウム合金等の軽金属からなり、上端がアッパインナフレーム13に固着され、下端が下部フレーム16に固着されている。ウインドレギュレータ装置35は、ガイドレール34に設置されている。
【0037】
次に、図2を参照してライニング4を説明する。
ライニング4は、ドアDの内装を構成する板材であり、このライニング4には、インサイドハンドル5、スピーカ7およびハーネス類8が設置され、ドア本体1の車内側に固着されている。ドアロック装置6は、ドア本体1に予め取付けられており、ライニング4の組付け時にインサイドハンドル5、ハーネス類8が接続される。
【0038】
次に、図1、図3、図4および図8を参照して発明の実施の形態に係る車両用ドアの作用を説明する。
例えば、図3に示すように、車両が正面衝突してドアDに車両前方向(矢印E方向)から衝突荷重が負荷された場合、ドアDには、圧縮荷重、捩れ荷重あるいは引張荷重が負荷される。それらの荷重は、特にドア本体1に前後方向を向いて配設されたアッパインナフレーム13、アッパアウタフレーム14、下部フレーム16およびドアビーム17に負荷される。
【0039】
ドアDは、ドア本体1に下部フレーム16を設置したことにより、前枠部材11と、後枠部材12と、アッパアインナフレーム13と、アッパアウタフレーム14、下部フレーム16とからなる井桁状の枠体を形成していることにより補強されている。このため、ドア本体1は、剛性を増すことができる。下部フレーム16は、前枠部材11と後枠部材12との間に、荷重の方向(矢印E方向)と同じ車両の前後方向に向けて配設されているとともに、その前枠部材11と後枠部材12とに連結されている。このため、下部フレーム16は、前枠部材11の下方に負荷された矢印E方向の荷重を受け止める突支棒の役目を果す。
【0040】
図1および図8に示すように、下部フレーム16は、その下部フレーム16の下方にアウタパネル2の外板部2aと内板部2bとによって筒状の閉断面を形成している。このため、下部フレーム16は、矢印E方向(図3参照)の圧縮荷重や捩れ荷重や引張荷重を受けたときに、屈曲し難く、剛性を備えている。
【0041】
そして、図4に示すように、アッパインナフレーム13の前端部13aの近傍には、前枠部材11と後枠部材12との間に斜めに下がるようにドアビーム17が配設されている。このため、ドア本体1は、このドアビーム17があることにより、ドアビーム17によっても矢印E方向の圧縮荷重や捩れ荷重や引張荷重の負荷に対して、更に剛性を有する。したがって、矢印E方向の荷重を受けたとしても、ドア本体1の井桁状の枠形状が崩され難くなり、下部フレーム16や外側ドアサッシ15を補強して、衝撃によってそれらが変形することを防止することができる。
【0042】
例えば、図1および図8に示すように、車両が側面衝突して車幅方向の車外側から車内方向(矢印F方向)にドアDの下方に衝突荷重が負荷された場合、ドアDには、まず、アウタパネル2に荷重が負荷される。次に、衝突荷重は、下部フレーム16、ドアビーム17、前枠部材11および後枠部材12等に負荷される。そして、ドア本体1の下部には、下部フレーム16とアウタパネル2の外板部2aおよび内板部2bとでなる閉断面部が形成されていることにより、この閉断面部が衝突荷重で車内方向に変形することを受け止めることができるため、乗員Gを保護することができる。
【0043】
また、図8に示すように、下部フレーム16は、内側フランジ部16cが内板部2bに固着され、外側フランジ部16dが外板部2aに相対変位可能に連結されていることにより、外側フランジ部16dが相対変位する弾性を有するため、衝撃を緩衝して、乗員Gを衝撃から保護することができる。
【0044】
このように、ドアDを構成する各部材は、ドア本体1を構成する下部フレーム16等が剛性を有するとともに、ドア本体1が前枠部材11、後枠部材12、アッパアウタフレーム14および下部フレーム16からなる枠体を構成していることにより、ドアDが骨格構造になっているため、このドアDをアルミニウム合金やマグネシウム合金等の軽合金によって容易に形成することができる。ドアDは、アルミニウム合金やマグネシウム合金等の軽合金から形成することにより、スチール製のドアと比較してドアD全体の重量を約2/3に減量することができるため、車体全体の軽量化および燃費の向上に寄与する。また、リサイクルに当たっては、アルミニウムが鉄よりも少ないエネルギーでリサイクルが可能であるなど地球環境への負荷が低減できる。
【0045】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されものではなく、その技術思想の範囲内で種々の改造および変更が可能であり、本発明はこれら改造および変更された発明にも及ぶことは勿論である。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に記載の車両用ドアによれば、ドアは、アウタパネルの外板部および内板部と下部フレームとにより、ドアの下部に閉断面を形成するため、ドアの下部を補強して剛性を増すことができる。これにより、例えば、車両が衝突してドアに衝突荷重が負荷された場合、ドア本体は、前記閉断面を形成した箇所で補強されたことにより、この閉断面の箇所が衝突時の圧縮荷重、引張荷重および捩れ荷重を受けるため、ドアの下部に剛性を持たせることができる。
【0047】
本発明の請求項2に記載の車両用ドアによれば、ドア本体は、前枠部材、後枠部材、および前枠部材と後枠部材とを連結する下部フレームとを備えるドア本体と、下部フレームの車外側で車体表面を形成する外板部、およびこの外板部の下端で折り返されて下部フレームの車内側に伸びる内板部を備えるアウタパネルとを有することにより、ドア本体を骨格構造にすることができる。このため、ドア本体は、アルミニウムやマグネシウム等のプレス成形性に劣る材料であってもそれら部材を連結してドアを容易に作ることができる。これにより、ドアは、軽合金で形成することが可能となり、車両全体の軽量化と燃費の向上を図ることができる。
また、アウタパネルの外板部および内板部と下部フレームとは、ドア本体の下部に閉断面を形成することにより、ドアの下部が補強される。これにより、例えば、車両が衝突してドアに衝突荷重が負荷された場合、ドアは、前記閉断面を形成した箇所を有することにより、この閉断面の箇所が衝突時の圧縮荷重、引張荷重および捩れ荷重を受けるため、ドアの下部に剛性を持たせることができる。このため、ドア本体は、その骨格構造部が座屈することを防止することができる。
【0048】
本発明の請求項3に記載の車両用ドアによれば、下部フレームは、外側フランジ部が外板部に相対変位可能に連結したことにより、溶接や締結部材等の固定手段によって外板部に固定されていない。このため、外板部の車外側の面には、溶接跡や締結部材等を設置するときに発生する変形を防止することができ、綺麗な仕上げ面にすることができる。
【0049】
本発明の請求項4に記載の車両用ドアによれば、外側フランジ部は、外板部に接着性シール部材によって連結することにより、簡単な手段によって、外側フランジ部を相対変位可能に連結することができる。また、外側フランジ部は、アウタパネルの外板部に接着性シール部材によって連結したことにより、外板部の車外側の面が連結する部材によって変形することがないため、外板部の車外側の面を綺麗に仕上げることができる。
【0050】
本発明の請求項5に記載の車両用ドアによれば、下部フレームの内側フランジ部は、内板部に沿って上方に伸びて形成されていることにより、内側フランジ部が下部フレームとアウタパネルとで形成する閉断面部の上方に配置されることになる。このため、内側フランジ部をドア本体に固定する作業を行うとき、内側フランジ部は、閉断面部の上にあって、固定作業が行い易い状態に配置される。
また、その内側フランジ部は、アウタパネルの内板部に重ねて配置されることにより、その重ねた箇所の強度が向上するため、その重ね箇所にウインドレギュレータ等の他の部品を設置するための設置スペースとして利用することも可能となる。
【0051】
本発明の請求項5に記載の車両用ドアによれば、アウタパネルがプレス成形されることにより、アウタパネルを機械的性質が優れているプレス材とすることができるため、閉断面部の剛性を更に高くすることができるとともに、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す図で、一部断面を有するドアの側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す分解斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す図で、車外側から見たドア本体の拡大斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す図で、車内側から見たドア本体の拡大斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す図で、ドア本体とアウタパネルの一部断面を有する拡大分解斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る車両用ドアを示す図で、ドアの下端部中央の一部断面を有する拡大部分正面図である。
【図7】図6のA−A拡大断面図である。
【図8】図6のB−B拡大断面図である。
【図9】図6のC部拡大斜視図である。
【図10】図6のH部拡大斜視図である。
【符号の説明】
1 ドア本体
2 アウタパネル
2a 外板部
2b 内板部
11 前枠部材
12 後枠部材
16 下部フレーム
16c 内側フランジ部
16d 外側フランジ部
D ドア
M 接着性シール部材
Claims (6)
- ドア本体の下部に設けられ車両の前後方向に伸びる下部フレームと、この下部フレームの車外側で車体表面を形成する外板部、およびこの外板部の下端で折り返されて前記下部フレームの車内側に伸びる内板部を備えるアウタパネルと、を有し、
前記下部フレームと前記アウタパネルとは、互いに接合されることによって、前記ドア本体の下部に閉断面を形成することを特徴とする車両用ドア。 - 車両の前方側に設けた前枠部材、車両の後方側に設けた後枠部材、および前記前枠部材と前記後枠部材とを連結する下部フレームとを備えるドア本体と、前記下部フレームの車外側で車体表面を形成する外板部、およびこの外板部の下端で折り返されて前記下部フレームの車内側に伸びる内板部を備えるアウタパネルと、を有し、
前記下部フレームと前記アウタパネルとは、互いに接合されることによって、前記ドア本体の下部に閉断面を形成することを特徴とする車両用ドア。 - 前記下部フレームは、前記内板部に固定される内側フランジ部と、前記外板部に相対変位可能に連結される外側フランジ部と、を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用ドア。
- 前記外側フランジ部は、前記外板部に接着性シール部材によって連結されることを特徴とする請求項3に記載の車両用ドア。
- 前記内側フランジ部は、前記内板部に沿って上方に伸びて形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車両用ドア。
- 前記アウタパネルは、プレス成形されたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の車両用ドア。
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