JP2004311830A - 積層型コモンモードチョークコイル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】結合係数が高いバイファイラ型ソレノイド巻きとした積層型コモンモードチョークコイルを提供すること。
【解決手段】磁性体の周面に形成された第1コイル21及び第2コイル22が磁性体の厚さtと直交する横巻方向のバイファイラー巻きに形成されているコイル形成層20と、該コイル形成層20の上下両面にそれぞれ形成された絶縁体層12とを備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】磁性体の周面に形成された第1コイル21及び第2コイル22が磁性体の厚さtと直交する横巻方向のバイファイラー巻きに形成されているコイル形成層20と、該コイル形成層20の上下両面にそれぞれ形成された絶縁体層12とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器に侵入するコモンモードノイズを除去する積層型コモンモードチョークコイル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、パーソナルコンピュータやその周辺機器で採用されているUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)及びLDVS(Low Voltage Differential Signaling)といった高速の差動伝送方式のラインに流れるコモンモードノイズを除去するために、コモンモードチョークコイルが使用されている。
【0003】
このコモンモードチョークコイルは、2つ以上のコイルを磁気的に組み合わせたコイルのことであり、電流の伝導方向におけるノーマルモードの成分には影響を与えないようにしてコモンモードの成分のみを除去するように構成したものである。すなわち、ノーマルモードのインピーダンスを最小限に抑えて、コモンモードのインピーダンスをできるだけ大きくすることが必要となる。
【0004】
従来のコモンモードチョークコイルとしては、積層体の厚み方向において互いに異なる層に、平面視で重なるよう第1及び第2のコイル電極(縦巻き)を形成したものがある。(たとえば、特許文献1参照)
【0005】
また、他の従来技術として、表面に導体線路を形成した複数の磁性体シートを積層し、各導体線路を連結することにより所定のパターンにした横巻きのコイルをひとつ形成した磁性体シート積層体を、絶縁体シートを介して接合したものがある。このような構成とすれば、絶縁体シートを隔ててその両面側に巻数及び巻回方向が同一の一対(2個)のコイルが形成されるため、一方のコイルで発生した磁界の大部分が他方のコイルと結合し、2つのコイル間の結合係数が大きくなる。(たとえば、特許文献2参照)
【0006】
【特許文献1】
特開平8−335517号公報(段落番号0017−0029、図1−図3)
【特許文献2】
特開平5−347215号公報(段落番号0013−0034、図1−図4)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した特許文献1記載の従来技術は、積層体の厚み方向において二つのコイルが平面視で重なるように形成するものであるから、大きな結合係数を得るためには二つのコイル間にずれを生じないよう積層する必要がある。このため、製造時には高精度に積層させる必要があるため、製造工程が複雑になるなどして手間や製造コストがかかるという不都合がある。
【0008】
また、特許文献2記載の従来技術は、複数の磁性体シートを積層して所定のコイルパターンをひとつだけ形成した一対の磁性体シート積層体間に、絶縁シートを介在させて接合したものである。しかしながら、この場合のコイルは、左右分離型ソレノイド巻きとなるため、結合係数が低いという問題がある。また、コイルが露出しているため、耐環境性が低いという問題もある。さらに、コイルが左右分離型であることから、アレイ化することによりチップの厚さが大きくなるという問題もある。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、結合係数が高いバイファイラ型ソレノイド巻きとした積層型コモンモードチョークコイル及びその製造方法の提供を目的としている。
また、積層型コモンモードチョークコイルにおいて、その耐環境性を向上させると共に、アレイ化しても薄くできるものの提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
請求項1に記載の積層型コモンモードチョークコイルは、磁性体の周面に形成された第1及び第2のコイル状導体線路が前記磁性体の厚さと直交する横巻方向のバイファイラー巻きに形成されているコイル形成層と、該コイル形成層の上面及び下面にそれぞれ形成された絶縁体層とを備えていることを特徴とするものである。
【0011】
このような積層型コモンモードチョークコイルによれば、磁性体の周面に形成された第1及び第2のコイル状導体線路が前記磁性体の厚さと直交する横巻方向のバイファイラー巻きに形成されているコイル形成層と、該コイル形成層の上面及び下面にそれぞれ形成された絶縁体層とを備えており、コイル形成層の外側に積層された絶縁体層が第1及び第2のコイル状導体線路により形成された磁束の漏れを防いで、結合係数を向上させることができる。
すなわち、磁性体どうしが積層された場合に生じる磁束の漏れを、絶縁体層を設けることで防止している。
【0012】
請求項1記載の積層型コモンモードチョークコイルにおいては、前記絶縁体層の上面及び下面にそれぞれ磁性体層を備えていることが好ましく、これにより、磁束はより一層大きくなる。
【0013】
請求項1または2記載の積層型コモンモードチョークコイルにおいては、前記コイル形成層の側面に絶縁層を形成することが好ましく、これにより、側面に露出するスルーホール等の導電体が保護されて耐環境性を向上させることができる。
【0014】
請求項4記載の積層型コモンモードチョークコイルの製造方法は、請求項1から3のいずれかに記載の積層型コモンモードチョークコイルの製造方法であって、前記コイル形成層の上面及び下面にそれぞれ絶縁体層を設けて積層する工程を備えていることを特徴とするものである。
【0015】
このような積層型コモンモードチョークコイルの製造方法によれば、コイル形成層の上面及び下面にそれぞれ絶縁体層を設けて積層する工程を備えているので、磁束の漏れが少なくなり、大きな結合係数を有するものの製造が可能となる。
【0016】
請求項4記載の積層型コモンモードチョークコイルの製造方法においては、前記コイル形成層の側面に絶縁層を形成する工程を備えていることが好ましく、これにより、導電体を保護して優れた耐環境性を有するものの製造が可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による積層型コモンモードチョークコイル及びその製造方法の一実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
最初に、本発明に係る積層型コモンモードチョークコイルの第1の実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。なお、図1は本実施形態における積層型コモンモードチョークコイルの分解斜視図、図2は図1の完成状態を示す積層型コモンモードチョークコイルの外観斜視図である。
【0018】
図1及び図2において、図中の符号10は積層型コモンモードチョークコイルを示している。この積層型コモンモードチョークコイル10は、シート状とした磁性体層11と、同じくシート状とした絶縁体層12と、コイル形成層20とを積層して一体化した構成とされる。図示の構成では、コイル形成層20の上面及び下面に絶縁体層12が積層され、さらに、絶縁体層12の上面及び下面に磁性体層11が積層された略直方体形状の積層体とされ、その対向する2側面には、後述する2組のコイル状導体線路と電気的に接続されている2組(合計4カ所)の外部電極13,14が分配して設けられている。
【0019】
コイル形成層20は、たとえば略直方体形状とした磁性体の周面に電気的に接続された第1のコイル状導体線路(以下、「第1コイル」と呼ぶ)21及び第2のコイル状導体線路(以下、「第2コイル」と呼ぶ)22が、その厚さtと直交する横巻き方向のバイファイラー巻きに形成されたものである。
コイル形成層20の基材となる磁性体は、たとえばNi−Znフェライト、Ni−Zn−Cuフェライト等のシート状材料を複数積層したものであり、その上面20a及び下面20bには、第1コイル21及び第2コイル22を形成する複数(図示の例では8本)の直線導体が等ピッチで平行に配列されている。これらの直線導体は、たとえば銀などの導電体を印刷やメッキなど周知の方法により形成したものである。
【0020】
第1コイル21は、上面20a及び下面20bにそれぞれ形成された直線導体間がそれぞれ第1スルーホール23を介して電気的に接続され、渦巻状に連続するものである。また、第1コイル21の両端部は、それぞれが外部電極13と電気的に接続されている。
第2コイル22は、上面20a及び下面20bにそれぞれ形成された直線導体間がそれぞれ第2スルーホール24を介して電気的に接続され、渦巻状に連続するものである。また、第2コイル22の両端部は、それぞれが外部電極14と電気的に接続されている。
【0021】
この結果、コイル形成層20の周面には、第1コイル21及び第2コイル22よりなる1組のコイルがバイファイラー巻きに形成され、それぞれのコイル端部は、外部電極13,14を備えている。なお、スルーホール23,24は、磁性体の対向する側面に露出して設けられている。
【0022】
このように構成されたコイル形成層20の上面20a及び下面20bに積層される絶縁体層12としては、たとえばアルミナ、ムライトなどのセラミックス材料、シリカ等のガラス材料、ポリイミド樹脂などの樹脂材料等をシート状とした非磁性絶縁材料が使用される。
また、絶縁体層12の外側(上面及び下面)に積層される磁性体層11は、たとえばNi−Znフェライト、Ni−Zn−Cuフェライト等のシート状材料を複数積層したものが使用される。なお、この磁性体層11については、必ず設ける必要はなく、諸条件に応じて適宜設ければよい。
【0023】
また、上述した積層型コモンモードチョークコイル10の製造方法では、周知の方法でコイル成形層20の周囲に第1コイル21及び第2コイル22を形成する。
この後、コイル形成層20の上面20a及び下面20bに絶縁体層12を設けて積層する工程を実施する。
さらに、必要に応じて、絶縁体層12の外側に磁性体層11を設けて積層する工程を実施して、コイル形成層20の上下に少なくとも磁性体層12が積層された積層体となる。
【0024】
この積層体は、たとえば焼成炉に入れて所定時間、所定温度の環境にさらすことで一体的に焼成される。
こうして得られた積層体の焼成体は、第1コイル21及び第2コイル22の両端部にそれぞれ電気的に接続される外部電極13,14が形成され、積層型コモンモードチョークコイル10となる。
【0025】
このような積層型コモンモードチョークコイル10とすれば、第1コイル21及び第2コイル22が厚さtと直交する横巻方向のバイファイラー巻きに形成されているコイル形成層20と、コイル形成層20の上面20a及び下面20bにそれぞれ形成された絶縁体層12とを備えているので、コイル形成層20の外側に積層された絶縁体層12が第1コイル21及び第2コイル22により形成された磁束の漏れを防いで、結合係数を向上させることができる。特に、磁性体層11を設ける場合には、同じ磁性体どうしのコイル形成層20及び磁性体層11が接触して積層された場合に磁束の漏れが生じて結合係数を低下させているが、このような磁束の漏れは、両磁性体間に絶縁体層12の層を設けることで防止される。
従って、結合係数が大きくなり、図2において矢印Z1で示す方向に磁束が形成されるため、ノーマルモードにおけるインピーダンスを最小限に抑えることができる。
【0026】
また、第1コイル21及び第2コイル22は、印刷やメッキ等により形成した表面電極からなり、電極幅に比べ電極高さが小さいため、シート内で隣接する第1コイル21及び第2コイル22の対向面積は小さく、浮遊容量が小さくなる。なお、浮遊容量が小さくなると、積層型コモンモードチョークコイル10の高周波領域でのコモンモードインピーダンスは低下することなく、高周波特性が向上する。
【0027】
また、上述した積層型コモンモードチョークコイル10において、絶縁体層12の上面及び下面にそれぞれ磁性体層11を設けると、矢印Z1方向に磁束を集約させやすく、その結果、第1コイル21及第2コイル22のそれぞれが形成していた非結合の磁束(磁束漏れ)を低減することにより、第1コイル21及び第2コイル22の結合に寄与する磁束の割合が大きくなる。
【0028】
<第2の実施形態>
続いて、本発明に係る積層型コモンモードチョークコイルの第2の実施形態を図3及び図4に基づいて説明する。なお、図3は本実施形態における積層型コモンモードチョークコイルの分解斜視図、図4は図3の完成状態を示す積層型コモンモードチョークコイルの外観斜視図である。なお、上述した第1の実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0029】
この実施形態の積層型コモンモードチョークコイル10Aにおいては、コイル形成層20の側面に絶縁層30を形成してある。この絶縁層30は、たとえばガラスペーストをディップ法により形成したもので、スルーホール23,24を被覆するようにして設けられている。すなわち、絶縁層30を形成する工程を加えて、成形層20の4つの側面の内、外部電極13,14が形成される面を除いた2面を覆うようにすればよい。
【0030】
このような絶縁層30を形成すると、スルーホール23,24の導電体が被覆されるため、外気と接触することなく保護されて耐環境性が向上する。従って、積層型コモンモードチョークコイル10Aの信頼性や耐久性を向上させることができる。
【0031】
<第3の実施形態>
続いて、本発明に係る積層型コモンモードチョークコイルの第3の実施形態を図5及び図6に基づいて説明する。なお、図5は本実施形態における積層型コモンモードチョークコイルの分解斜視図、図6は図5の完成状態を示す積層型コモンモードチョークコイルの外観斜視図である。なお、上述した第1及び第2の実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0032】
この実施形態の積層型コモンモードチョークコイル10Bは、第2の実施形態に示した積層型コモンモードチョークコイル10Bをアレイ化したものであり、第1のコイル形成層20Aと第2のコイル形成層20Bとの間に、中間の絶縁体層12が設けられている。
【0033】
この場合の積層型コモンモードチョークコイル10Bは、上層から順に、第1の磁性体層11と、第1の絶縁体層12と、第1のコイル形成層20Aと、中間の絶縁体層12と、第2のコイル形成層20Bと、第2の絶縁体層12と、第2の磁性体層11とが積層されている。すなわち、上下に重ねたコイル形成層20A,20Bの上下面間に絶縁体層12を挟んだ状態として積層し、アレイ化したものである。なお、図示の例では、側面の絶縁層30を設けて耐環境性を向上させているが、第1の実施形態のようにスルーホール23,24を露出させた構成としてもよい。
【0034】
このような構成のアレイ化を行うことにより、積層型コモンモードチョークコイル用の外部電極13,14を左右(幅方向)に配列した左右分離型アレイ化が可能となり、高さの低い薄型として低背化することができる。
【0035】
図7は、上述したアレイ化の変形例を示すもので、実質的には第2の実施形態で説明した積層型コモンモードチョークコイル10Aを一対上下に重ね合わせ、両チョークコイル10A,10Aの接合面間に中間の絶縁体層12を介在させて積層し、アレイ化したものである。
【0036】
この場合の積層型コモンモードチョークコイル10Cは、上層から順に、第1の磁性体層11と、第1の絶縁体層12と、第1のコイル形成層20Aと、第2の絶縁体層12と、第2の磁性体層11と、中間の絶縁体層12と、第3の磁性体層11と、第3の絶縁体層12と、第2のコイル形成層20Bと、第4の絶縁体層12と、第4の磁性体層11とが積層されている。
すなわち、第1の磁性体層11、第1の絶縁体層12、第1のコイル形成層20A、第2の絶縁体層12及び第2の磁性体層11により上側(第1)の積層型コモンモードチョークコイル10Caが形成され、第3の磁性体層11、第3の絶縁体層12、第2のコイル形成層20B、第4の絶縁体層12及び第4の磁性体層11により下側(第2)の積層型コモンモードチョークコイル10Cbが形成されており、上下に重ねた二つのチョークコイル10Ca,10Cbの間に絶縁体層12を挟んだ状態として積層し、アレイ化したものである。なお、図示の例では、側面の絶縁層30を設けて耐環境性を向上させているが、第1の実施形態のようにスルーホール23,24を露出させた構成としてもよい。
【0037】
このような構成のアレイ化を行っても、積層型コモンモードチョークコイル用の外部電極13,14を左右(幅方向)に配列した左右分離型アレイ化が可能となり、高さの低い薄型として低背化することができる。しかも、図5に示したものと比較して、両チョークコイル10Ca,10Cbの接合面間には、中間の絶縁体層12に加えて、磁性体層11及び絶縁体層12がそれぞれ一対設けられているので、絶縁体層12による磁束漏れがより一層低減されて結合係数を大きくし、かつ、磁性体層11により磁気干渉が低減されるためそれぞれの磁束を大きくし、良好なノイズ除去特性を得ることができる。
なお、本発明の構成は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【0038】
【発明の効果】
請求項1記載の積層型コモンモードチョークコイルによれば、磁性体の周面に形成された第1及び第2のコイル状導体線路が磁性体の厚さと直交する横巻方向のバイファイラー巻きに形成されているコイル形成層と、該コイル形成層の上面及び下面にそれぞれ形成された絶縁体層とを備えており、コイル形成層の外側に積層された絶縁体層が第1及び第2のコイル状導体線路により形成された磁束の漏れを防いで、結合係数を向上させることができる。
また、第1コイル及び第2コイルは、表面電極からなり、電極幅に比べ電極高さが小さいため、シート内で隣接する第1コイル及び第2コイルの対向面積は小さく、浮遊容量が小さくなる。従って、優れたノイズ除去特性を有する積層型コモンモードチョークコイルとなる。
【0039】
特に、絶縁体層の上面及び下面にそれぞれ磁性体層を設けた構成とすれば、磁束がより一層大きくなってノイズ除去特性を向上させる。
そして、コイル形成層の側面に絶縁層を形成することにより、導電体が保護されて耐環境性が向上するので、信頼性や耐久性の面でも優れたものとなる。
【0040】
請求項4記載の積層型コモンモードチョークコイルの製造方法によれば、コイル形成層の上面及び下面にそれぞれ絶縁体層を設けて積層する工程を備えているので、磁束の漏れが少なくなり、大きな結合係数を有するものの製造が可能になって、優れたノイズ除去特性を有する積層型コモンモードチョークコイルを提供することができる。
この場合、コイル形成層の側面に絶縁層を形成する工程を加えることにより、導電体を保護して優れた耐環境性を有し、信頼性や耐久性が向上した積層型コモンモードチョークコイルを製造することができる。
【0041】
また、上述した本発明の積層型コモンモードチョークコイルは、アレイ化した場合においても、チップが低背化されて回路中への組み込みが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層型コモンモードチョークコイルの第1の実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】図1の完成状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る積層型コモンモードチョークコイルの第2の実施形態を示す分解斜視図である。
【図4】図3の完成状態を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る積層型コモンモードチョークコイルの第3の実施形態としてアレイ化した状態を示す分解斜視図である。
【図6】図5の完成状態を示す斜視図である。
【図7】図5の変形例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
10,10A,10B,10C コモンモードチョークコイル
11 磁性体層
12 絶縁体層
13,14 外部電極
20,20A,20B コイル形成層
21 第1コイル(第1のコイル状導体経路)
22 第2コイル(第2のコイル状導体経路)
23,24 スルーホール
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器に侵入するコモンモードノイズを除去する積層型コモンモードチョークコイル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、パーソナルコンピュータやその周辺機器で採用されているUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)及びLDVS(Low Voltage Differential Signaling)といった高速の差動伝送方式のラインに流れるコモンモードノイズを除去するために、コモンモードチョークコイルが使用されている。
【0003】
このコモンモードチョークコイルは、2つ以上のコイルを磁気的に組み合わせたコイルのことであり、電流の伝導方向におけるノーマルモードの成分には影響を与えないようにしてコモンモードの成分のみを除去するように構成したものである。すなわち、ノーマルモードのインピーダンスを最小限に抑えて、コモンモードのインピーダンスをできるだけ大きくすることが必要となる。
【0004】
従来のコモンモードチョークコイルとしては、積層体の厚み方向において互いに異なる層に、平面視で重なるよう第1及び第2のコイル電極(縦巻き)を形成したものがある。(たとえば、特許文献1参照)
【0005】
また、他の従来技術として、表面に導体線路を形成した複数の磁性体シートを積層し、各導体線路を連結することにより所定のパターンにした横巻きのコイルをひとつ形成した磁性体シート積層体を、絶縁体シートを介して接合したものがある。このような構成とすれば、絶縁体シートを隔ててその両面側に巻数及び巻回方向が同一の一対(2個)のコイルが形成されるため、一方のコイルで発生した磁界の大部分が他方のコイルと結合し、2つのコイル間の結合係数が大きくなる。(たとえば、特許文献2参照)
【0006】
【特許文献1】
特開平8−335517号公報(段落番号0017−0029、図1−図3)
【特許文献2】
特開平5−347215号公報(段落番号0013−0034、図1−図4)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した特許文献1記載の従来技術は、積層体の厚み方向において二つのコイルが平面視で重なるように形成するものであるから、大きな結合係数を得るためには二つのコイル間にずれを生じないよう積層する必要がある。このため、製造時には高精度に積層させる必要があるため、製造工程が複雑になるなどして手間や製造コストがかかるという不都合がある。
【0008】
また、特許文献2記載の従来技術は、複数の磁性体シートを積層して所定のコイルパターンをひとつだけ形成した一対の磁性体シート積層体間に、絶縁シートを介在させて接合したものである。しかしながら、この場合のコイルは、左右分離型ソレノイド巻きとなるため、結合係数が低いという問題がある。また、コイルが露出しているため、耐環境性が低いという問題もある。さらに、コイルが左右分離型であることから、アレイ化することによりチップの厚さが大きくなるという問題もある。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、結合係数が高いバイファイラ型ソレノイド巻きとした積層型コモンモードチョークコイル及びその製造方法の提供を目的としている。
また、積層型コモンモードチョークコイルにおいて、その耐環境性を向上させると共に、アレイ化しても薄くできるものの提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
請求項1に記載の積層型コモンモードチョークコイルは、磁性体の周面に形成された第1及び第2のコイル状導体線路が前記磁性体の厚さと直交する横巻方向のバイファイラー巻きに形成されているコイル形成層と、該コイル形成層の上面及び下面にそれぞれ形成された絶縁体層とを備えていることを特徴とするものである。
【0011】
このような積層型コモンモードチョークコイルによれば、磁性体の周面に形成された第1及び第2のコイル状導体線路が前記磁性体の厚さと直交する横巻方向のバイファイラー巻きに形成されているコイル形成層と、該コイル形成層の上面及び下面にそれぞれ形成された絶縁体層とを備えており、コイル形成層の外側に積層された絶縁体層が第1及び第2のコイル状導体線路により形成された磁束の漏れを防いで、結合係数を向上させることができる。
すなわち、磁性体どうしが積層された場合に生じる磁束の漏れを、絶縁体層を設けることで防止している。
【0012】
請求項1記載の積層型コモンモードチョークコイルにおいては、前記絶縁体層の上面及び下面にそれぞれ磁性体層を備えていることが好ましく、これにより、磁束はより一層大きくなる。
【0013】
請求項1または2記載の積層型コモンモードチョークコイルにおいては、前記コイル形成層の側面に絶縁層を形成することが好ましく、これにより、側面に露出するスルーホール等の導電体が保護されて耐環境性を向上させることができる。
【0014】
請求項4記載の積層型コモンモードチョークコイルの製造方法は、請求項1から3のいずれかに記載の積層型コモンモードチョークコイルの製造方法であって、前記コイル形成層の上面及び下面にそれぞれ絶縁体層を設けて積層する工程を備えていることを特徴とするものである。
【0015】
このような積層型コモンモードチョークコイルの製造方法によれば、コイル形成層の上面及び下面にそれぞれ絶縁体層を設けて積層する工程を備えているので、磁束の漏れが少なくなり、大きな結合係数を有するものの製造が可能となる。
【0016】
請求項4記載の積層型コモンモードチョークコイルの製造方法においては、前記コイル形成層の側面に絶縁層を形成する工程を備えていることが好ましく、これにより、導電体を保護して優れた耐環境性を有するものの製造が可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による積層型コモンモードチョークコイル及びその製造方法の一実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
最初に、本発明に係る積層型コモンモードチョークコイルの第1の実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。なお、図1は本実施形態における積層型コモンモードチョークコイルの分解斜視図、図2は図1の完成状態を示す積層型コモンモードチョークコイルの外観斜視図である。
【0018】
図1及び図2において、図中の符号10は積層型コモンモードチョークコイルを示している。この積層型コモンモードチョークコイル10は、シート状とした磁性体層11と、同じくシート状とした絶縁体層12と、コイル形成層20とを積層して一体化した構成とされる。図示の構成では、コイル形成層20の上面及び下面に絶縁体層12が積層され、さらに、絶縁体層12の上面及び下面に磁性体層11が積層された略直方体形状の積層体とされ、その対向する2側面には、後述する2組のコイル状導体線路と電気的に接続されている2組(合計4カ所)の外部電極13,14が分配して設けられている。
【0019】
コイル形成層20は、たとえば略直方体形状とした磁性体の周面に電気的に接続された第1のコイル状導体線路(以下、「第1コイル」と呼ぶ)21及び第2のコイル状導体線路(以下、「第2コイル」と呼ぶ)22が、その厚さtと直交する横巻き方向のバイファイラー巻きに形成されたものである。
コイル形成層20の基材となる磁性体は、たとえばNi−Znフェライト、Ni−Zn−Cuフェライト等のシート状材料を複数積層したものであり、その上面20a及び下面20bには、第1コイル21及び第2コイル22を形成する複数(図示の例では8本)の直線導体が等ピッチで平行に配列されている。これらの直線導体は、たとえば銀などの導電体を印刷やメッキなど周知の方法により形成したものである。
【0020】
第1コイル21は、上面20a及び下面20bにそれぞれ形成された直線導体間がそれぞれ第1スルーホール23を介して電気的に接続され、渦巻状に連続するものである。また、第1コイル21の両端部は、それぞれが外部電極13と電気的に接続されている。
第2コイル22は、上面20a及び下面20bにそれぞれ形成された直線導体間がそれぞれ第2スルーホール24を介して電気的に接続され、渦巻状に連続するものである。また、第2コイル22の両端部は、それぞれが外部電極14と電気的に接続されている。
【0021】
この結果、コイル形成層20の周面には、第1コイル21及び第2コイル22よりなる1組のコイルがバイファイラー巻きに形成され、それぞれのコイル端部は、外部電極13,14を備えている。なお、スルーホール23,24は、磁性体の対向する側面に露出して設けられている。
【0022】
このように構成されたコイル形成層20の上面20a及び下面20bに積層される絶縁体層12としては、たとえばアルミナ、ムライトなどのセラミックス材料、シリカ等のガラス材料、ポリイミド樹脂などの樹脂材料等をシート状とした非磁性絶縁材料が使用される。
また、絶縁体層12の外側(上面及び下面)に積層される磁性体層11は、たとえばNi−Znフェライト、Ni−Zn−Cuフェライト等のシート状材料を複数積層したものが使用される。なお、この磁性体層11については、必ず設ける必要はなく、諸条件に応じて適宜設ければよい。
【0023】
また、上述した積層型コモンモードチョークコイル10の製造方法では、周知の方法でコイル成形層20の周囲に第1コイル21及び第2コイル22を形成する。
この後、コイル形成層20の上面20a及び下面20bに絶縁体層12を設けて積層する工程を実施する。
さらに、必要に応じて、絶縁体層12の外側に磁性体層11を設けて積層する工程を実施して、コイル形成層20の上下に少なくとも磁性体層12が積層された積層体となる。
【0024】
この積層体は、たとえば焼成炉に入れて所定時間、所定温度の環境にさらすことで一体的に焼成される。
こうして得られた積層体の焼成体は、第1コイル21及び第2コイル22の両端部にそれぞれ電気的に接続される外部電極13,14が形成され、積層型コモンモードチョークコイル10となる。
【0025】
このような積層型コモンモードチョークコイル10とすれば、第1コイル21及び第2コイル22が厚さtと直交する横巻方向のバイファイラー巻きに形成されているコイル形成層20と、コイル形成層20の上面20a及び下面20bにそれぞれ形成された絶縁体層12とを備えているので、コイル形成層20の外側に積層された絶縁体層12が第1コイル21及び第2コイル22により形成された磁束の漏れを防いで、結合係数を向上させることができる。特に、磁性体層11を設ける場合には、同じ磁性体どうしのコイル形成層20及び磁性体層11が接触して積層された場合に磁束の漏れが生じて結合係数を低下させているが、このような磁束の漏れは、両磁性体間に絶縁体層12の層を設けることで防止される。
従って、結合係数が大きくなり、図2において矢印Z1で示す方向に磁束が形成されるため、ノーマルモードにおけるインピーダンスを最小限に抑えることができる。
【0026】
また、第1コイル21及び第2コイル22は、印刷やメッキ等により形成した表面電極からなり、電極幅に比べ電極高さが小さいため、シート内で隣接する第1コイル21及び第2コイル22の対向面積は小さく、浮遊容量が小さくなる。なお、浮遊容量が小さくなると、積層型コモンモードチョークコイル10の高周波領域でのコモンモードインピーダンスは低下することなく、高周波特性が向上する。
【0027】
また、上述した積層型コモンモードチョークコイル10において、絶縁体層12の上面及び下面にそれぞれ磁性体層11を設けると、矢印Z1方向に磁束を集約させやすく、その結果、第1コイル21及第2コイル22のそれぞれが形成していた非結合の磁束(磁束漏れ)を低減することにより、第1コイル21及び第2コイル22の結合に寄与する磁束の割合が大きくなる。
【0028】
<第2の実施形態>
続いて、本発明に係る積層型コモンモードチョークコイルの第2の実施形態を図3及び図4に基づいて説明する。なお、図3は本実施形態における積層型コモンモードチョークコイルの分解斜視図、図4は図3の完成状態を示す積層型コモンモードチョークコイルの外観斜視図である。なお、上述した第1の実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0029】
この実施形態の積層型コモンモードチョークコイル10Aにおいては、コイル形成層20の側面に絶縁層30を形成してある。この絶縁層30は、たとえばガラスペーストをディップ法により形成したもので、スルーホール23,24を被覆するようにして設けられている。すなわち、絶縁層30を形成する工程を加えて、成形層20の4つの側面の内、外部電極13,14が形成される面を除いた2面を覆うようにすればよい。
【0030】
このような絶縁層30を形成すると、スルーホール23,24の導電体が被覆されるため、外気と接触することなく保護されて耐環境性が向上する。従って、積層型コモンモードチョークコイル10Aの信頼性や耐久性を向上させることができる。
【0031】
<第3の実施形態>
続いて、本発明に係る積層型コモンモードチョークコイルの第3の実施形態を図5及び図6に基づいて説明する。なお、図5は本実施形態における積層型コモンモードチョークコイルの分解斜視図、図6は図5の完成状態を示す積層型コモンモードチョークコイルの外観斜視図である。なお、上述した第1及び第2の実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0032】
この実施形態の積層型コモンモードチョークコイル10Bは、第2の実施形態に示した積層型コモンモードチョークコイル10Bをアレイ化したものであり、第1のコイル形成層20Aと第2のコイル形成層20Bとの間に、中間の絶縁体層12が設けられている。
【0033】
この場合の積層型コモンモードチョークコイル10Bは、上層から順に、第1の磁性体層11と、第1の絶縁体層12と、第1のコイル形成層20Aと、中間の絶縁体層12と、第2のコイル形成層20Bと、第2の絶縁体層12と、第2の磁性体層11とが積層されている。すなわち、上下に重ねたコイル形成層20A,20Bの上下面間に絶縁体層12を挟んだ状態として積層し、アレイ化したものである。なお、図示の例では、側面の絶縁層30を設けて耐環境性を向上させているが、第1の実施形態のようにスルーホール23,24を露出させた構成としてもよい。
【0034】
このような構成のアレイ化を行うことにより、積層型コモンモードチョークコイル用の外部電極13,14を左右(幅方向)に配列した左右分離型アレイ化が可能となり、高さの低い薄型として低背化することができる。
【0035】
図7は、上述したアレイ化の変形例を示すもので、実質的には第2の実施形態で説明した積層型コモンモードチョークコイル10Aを一対上下に重ね合わせ、両チョークコイル10A,10Aの接合面間に中間の絶縁体層12を介在させて積層し、アレイ化したものである。
【0036】
この場合の積層型コモンモードチョークコイル10Cは、上層から順に、第1の磁性体層11と、第1の絶縁体層12と、第1のコイル形成層20Aと、第2の絶縁体層12と、第2の磁性体層11と、中間の絶縁体層12と、第3の磁性体層11と、第3の絶縁体層12と、第2のコイル形成層20Bと、第4の絶縁体層12と、第4の磁性体層11とが積層されている。
すなわち、第1の磁性体層11、第1の絶縁体層12、第1のコイル形成層20A、第2の絶縁体層12及び第2の磁性体層11により上側(第1)の積層型コモンモードチョークコイル10Caが形成され、第3の磁性体層11、第3の絶縁体層12、第2のコイル形成層20B、第4の絶縁体層12及び第4の磁性体層11により下側(第2)の積層型コモンモードチョークコイル10Cbが形成されており、上下に重ねた二つのチョークコイル10Ca,10Cbの間に絶縁体層12を挟んだ状態として積層し、アレイ化したものである。なお、図示の例では、側面の絶縁層30を設けて耐環境性を向上させているが、第1の実施形態のようにスルーホール23,24を露出させた構成としてもよい。
【0037】
このような構成のアレイ化を行っても、積層型コモンモードチョークコイル用の外部電極13,14を左右(幅方向)に配列した左右分離型アレイ化が可能となり、高さの低い薄型として低背化することができる。しかも、図5に示したものと比較して、両チョークコイル10Ca,10Cbの接合面間には、中間の絶縁体層12に加えて、磁性体層11及び絶縁体層12がそれぞれ一対設けられているので、絶縁体層12による磁束漏れがより一層低減されて結合係数を大きくし、かつ、磁性体層11により磁気干渉が低減されるためそれぞれの磁束を大きくし、良好なノイズ除去特性を得ることができる。
なお、本発明の構成は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【0038】
【発明の効果】
請求項1記載の積層型コモンモードチョークコイルによれば、磁性体の周面に形成された第1及び第2のコイル状導体線路が磁性体の厚さと直交する横巻方向のバイファイラー巻きに形成されているコイル形成層と、該コイル形成層の上面及び下面にそれぞれ形成された絶縁体層とを備えており、コイル形成層の外側に積層された絶縁体層が第1及び第2のコイル状導体線路により形成された磁束の漏れを防いで、結合係数を向上させることができる。
また、第1コイル及び第2コイルは、表面電極からなり、電極幅に比べ電極高さが小さいため、シート内で隣接する第1コイル及び第2コイルの対向面積は小さく、浮遊容量が小さくなる。従って、優れたノイズ除去特性を有する積層型コモンモードチョークコイルとなる。
【0039】
特に、絶縁体層の上面及び下面にそれぞれ磁性体層を設けた構成とすれば、磁束がより一層大きくなってノイズ除去特性を向上させる。
そして、コイル形成層の側面に絶縁層を形成することにより、導電体が保護されて耐環境性が向上するので、信頼性や耐久性の面でも優れたものとなる。
【0040】
請求項4記載の積層型コモンモードチョークコイルの製造方法によれば、コイル形成層の上面及び下面にそれぞれ絶縁体層を設けて積層する工程を備えているので、磁束の漏れが少なくなり、大きな結合係数を有するものの製造が可能になって、優れたノイズ除去特性を有する積層型コモンモードチョークコイルを提供することができる。
この場合、コイル形成層の側面に絶縁層を形成する工程を加えることにより、導電体を保護して優れた耐環境性を有し、信頼性や耐久性が向上した積層型コモンモードチョークコイルを製造することができる。
【0041】
また、上述した本発明の積層型コモンモードチョークコイルは、アレイ化した場合においても、チップが低背化されて回路中への組み込みが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層型コモンモードチョークコイルの第1の実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】図1の完成状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る積層型コモンモードチョークコイルの第2の実施形態を示す分解斜視図である。
【図4】図3の完成状態を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る積層型コモンモードチョークコイルの第3の実施形態としてアレイ化した状態を示す分解斜視図である。
【図6】図5の完成状態を示す斜視図である。
【図7】図5の変形例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
10,10A,10B,10C コモンモードチョークコイル
11 磁性体層
12 絶縁体層
13,14 外部電極
20,20A,20B コイル形成層
21 第1コイル(第1のコイル状導体経路)
22 第2コイル(第2のコイル状導体経路)
23,24 スルーホール
Claims (5)
- 磁性体の周面に形成された第1及び第2のコイル状導体線路が前記磁性体の厚さと直交する横巻方向のバイファイラー巻きに形成されているコイル形成層と、該コイル形成層の上面及び下面にそれぞれ形成された絶縁体層とを備えていることを特徴とする積層型コモンモードチョークコイル。
- 前記絶縁体層の上面及び下面にそれぞれ磁性体層を備えていることを特徴とする請求項1記載の積層型コモンモードチョークコイル。
- 前記コイル形成層の側面に絶縁層を形成したことを特徴とする請求項1または2記載の積層型コモンモードチョークコイル。
- 請求項1から3のいずれかに記載の積層型コモンモードチョークコイルの製造方法であって、
前記コイル形成層の上面及び下面にそれぞれ絶縁体層を設けて積層する工程を備えていることを特徴とする積層型コモンモードチョークコイルの製造方法。 - 前記コイル形成層の側面に絶縁層を形成する工程を備えていることを特徴とする請求項4記載の積層型コモンモードチョークコイルの製造方法。
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