JP2004308122A - 建設機械及び旋回体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性の低下や製造コストの増大を招くことなく、機械全体の幅方向寸法の制約に対応する。
【解決手段】幅を輸送時の規制幅に縮小し得る機能を有する走行体1と、この走行体1上に旋回装置3,28を介して旋回可能に設けられ、走行体1における輸送時の規制幅に相当する幅を有する旋回体2と、旋回装置3,28の旋回中心から旋回体2の幅方向の一方側に偏倚して旋回体2の長手方向の一方側に設けた多関節型のフロント装置と、旋回体2の長手方向一方側の幅方向の他方側における旋回体2上に設置した運転席と、旋回体2上に設けたエンジン14、燃料タンク22、作動油タンク26、バッテリ23等の機器とを備える。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、旋回体に多関節型のフロント装置を俯仰動可能に支持した建設機械に関し、さらに詳しくは、生産性の低下や製造コストの増大を招くことなく、機械全体の幅方向寸法を輸送時の規制幅に納まるように構成した例えば新規の大型の建設機械及びこれに用いる旋回体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
油圧ショベル、クローラクレーン等の自走式の建設機械は、無限軌道履帯やタイヤで構成される走行手段を備えた走行体上に、原動機(エンジン)や運転室(キャブ)を備えた旋回体を旋回可能に設け、さらにこの旋回体の前端部に例えばブーム等を含むフロント装置を俯仰動可能に連結して構成されている。このとき旋回体は、走行体のトラックフレームの径方向中心部に旋回輪(ベアリング機構)を設けるとともに、旋回体側に取りつけた旋回用油圧モータのギアを上記旋回輪の走行体側固定部に設けた内歯に噛合させることにより、走行体に対して旋回駆動される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このとき、旋回体は、その基礎下部構造をなすフレーム(旋回フレーム)に上記旋回用油圧モータを取付けている。従来、車体重量40トンを超える油圧ショベルにあっては、上記フレームの車幅方向中心位置を、上記旋回輪の径方向中心位置(言い換えれば上記旋回体が旋回運動するときの旋回中心位置)とほぼ等しくしている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−90111号公報(第2図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
建設機械は、世界中のありとあらゆる場所で稼働可能であり、その稼働箇所における固有の自然環境、社会環境、法的環境等に対応することがしばしば求められる。例えば、通常、建設機械は、稼動現場まではトレーラ等に車載されて運搬されるが、歴史的建造物が多い国家(ヨーロッパ等)においては、輸送時に通過する道路の道幅に余裕がなく、特別の安全処置(例えば先導車をつける等)なしで通常通りの運搬を行うためには、機械全体の幅方向寸法を所定の規制値(例えば約3.0m)以内とすることが法規上要求される場合がある。
【0006】
従来の車体重量40トンを超える油圧ショベル等では、旋回体の車幅方向寸法が走行体の縮小した(例えば、輸送時の)車幅方向寸法よりも大きいのが一般的であるため、走行体がぎりぎり上記制限内に入っても旋回体側がわずかに上記制限外となる場合があった。このため、結局メーカ側としては、上記法規上の要求を満足するために、旋回体及び走行体共にわずかに小さい機種を用意しなければならない。この場合、小型化によって掘削力が低下し好ましくないばかりか、上記国家用に特殊仕様の旋回体及び走行体を新規に開発生産しなければならず、生産性が低下するとともに製造コストの増大を招いていた。
【0007】
本発明は、上記の事柄に基づいてなされたものであり、生産性の低下や製造コストの増大を招くことなく、機械全体の幅方向寸法の制約に対応可能な建設機械及びこれに用いる旋回体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明の建設機械は、幅を輸送時の規制幅に縮小し得る機能を有する走行体と、この走行体上に旋回装置を介して旋回可能に設けられ、前記走行体における輸送時の規制幅に相当する幅を有する旋回体と、前記旋回装置の旋回中心から前記旋回体の幅方向の一方側に偏倚して前記旋回体の長手方向の一方側に設けた多関節型のフロント装置と、前記旋回体の長手方向一方側の幅方向の他方側における前記旋回体上に設置した運転席と、前記旋回体上に設けたエンジン、燃料タンク、作動油タンク、バッテリ等の機器とを備える。
【0009】
通常、建設機械は、稼動現場まではトレーラ等に車載されて運搬されるが、歴史的建造物が多い国家(ヨーロッパ等)においては、輸送時に通過する道路の道幅に余裕がなく、特別の安全処置(例えば先導車をつける等)なしで通常通りの運搬を行うためには、機械全体の幅方向寸法を所定の規制値以内とすることが法規上要求される場合がある。例えば上記制限内にある機種の走行体がぎりぎり入っている場合には、そのままその従来(既存)の機種の走行体を使用すれば足りる。
【0010】
しかしながら、旋回体については、上記従来の機種のものは前述したように車幅方向最大寸法が走行体より大きい場合があり、上記制限外となることからそのままでは使えず、何らかの変更をした新規な構成としなければならない。このとき、上記従来機種では、旋回体の旋回フレームの車幅方向中心位置と旋回輪の径方向中心位置(=旋回中心位置)が略一致しており、この状態で、旋回体のうち旋回フレーム車幅方向中心位置より左側部分も、右側部分も、ほぼ同じ寸法分だけ走行体車幅方向最大寸法よりはみ出している。したがって、この旋回フレーム車幅方向中心位置を旋回中心位置と略一致させたまま上記変更を行おうとすると、旋回体の上記左側部分と上記右側部分の両方について寸法の縮小を行わなければならず、大幅な変更となってしまう。
【0011】
そこで本発明では、少しでも変更範囲を小さくすることを目指し、旋回装置の旋回中心から、旋回体の幅方向の一方側に偏倚して多関節型のフロント装置を設ける。具体的には、フロント装置は旋回フレームの車幅方向中心位置に取りつけられるから、旋回フレームを、例えば旋回体のうちその車幅方向中心位置より右側部分の寸法が左側部分の寸法よりも小さくなるように、旋回体の下部に配設する。そしてさらに、旋回輪を、その径方向中心位置が、前記右側部分の寸法と前記左側部分の寸法との差に応じた寸法だけ旋回フレームの車幅方向中心位置より左側に偏心するように、旋回体と走行体との間に配設する。
【0012】
このような構造とすることにより、例えば旋回体の上記左側部分についてはほぼ上記従来機種のものをそのまま流用し、右側部分だけを大規模に縮小変更するようにすることで、上記旋回体左側部分について小型化変更しないものを流用する分、旋回フレームを旋回中心に対して右側に偏心させることで上記旋回体左側部分が走行体車幅外方へ突出するのを防止する。そして、このように右側へ大きく旋回フレームがずれ全体として旋回体が右側へ大きくずれる分は、旋回体右側部分を大規模に縮小変更して上記左側部分の寸法よりも小さくなるようにし、かつこの寸法大小関係に応じ旋回フレームを旋回輪径方向中心に対し右側に偏心させて配置する。
【0013】
言い換えれば、旋回体全体の幅方向寸法を走行体に合致させるために縮小変更するにあたり、左右均等に縮小変更するのではなく右側のみを縮小変更し、そのままでは幅方向中心位置が走行体に対し左側にずれてしまう分を、旋回フレームを旋回輪に対し右偏心配置することで補償したものである。
【0014】
以上のようにして、本発明では、従来機種を変更するに際し、走行体については従来機種のものをそのまま流用し、さらに旋回体の左側部分についても従来機種のものをほぼ流用でき、実際に変更すべき部分は旋回体の右側部分のみに限定することができる。この結果、特殊仕様の旋回体及び走行体を新規に開発生産する場合のような生産性の低下や製造コストの増大を招くことなく、機械全体の車幅方向寸法の制約に対応することができる。
【0015】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記旋回体における長手方向の他方側に配置した油圧ポンプ、この油圧ポンプを駆動するエンジン、及びこのエンジンの冷却水を冷却するラジエータを有するエンジン室と、前記旋回体における長手方向の一方側で、その幅方向の一方側に配置したバッテリとを備える。
【0016】
建設機械、特に油圧ショベルの旋回体では、例えば左前部に運転室、後部に油圧ポンプ、エンジン、ラジエータを備えたエンジン室が横置きに配置され、これらを除いた各機器のうち適宜のものが残りの右前部に配置されるのが一般的であり、エンジン起動用バッテリは上記横置きエンジンのさらに右側に配置されることが多かった。本発明においては、このバッテリを敢えて右前方部(幅方向の一方側)に移し、エンジン室右側に位置した上記従来のバッテリ配置スペースを省略することで、上記(1)で説明した旋回体右側部分の大幅な縮小変更を確実に行えるようにしたものである。
【0017】
(3)上記(2)において、さらに好ましくは、前記旋回体上における前記バッテリと前記エンジン室との間に設けた燃料タンクをさらに備える。
【0018】
(4)上記(3)において、さらに好ましくは、前記旋回体上における前記運転室と前記エンジン室との間に設けた作動油タンクをさらに備える。。
【0019】
(5)上記(4)において、さらに好ましくは、前記輸送時の規制幅は、略3000mmである。
【0020】
(6)上記(1)乃至(5)のいずれかにおいて、また好ましくは、前記旋回装置は、前記走行体に設けた旋回輪歯車と、この旋回輪歯車と噛み合うように前記旋回体の幅方向の一方側に偏倚して設けた小歯車と、この小歯車に連結し、前記旋回体に設けたモータとを備える。
【0021】
上記(1)で説明したように旋回体右側部分の寸法と旋回体左側部分の寸法との差に応じ旋回フレームを旋回輪に対し右側に偏心配置する場合、旋回フレームに取りつける旋回用油圧モータも右側に移動する。この結果、旋回用油圧モータのギアとこれに噛合する旋回輪の走行体側固定部との相対位置関係も変化する。そこで、本発明においては、旋回用油圧モータの小歯車(ピニオン)を、旋回輪歯車(旋回輪の内輪の内歯車)と噛み合うように旋回体の幅方向の一方側(右側)に偏倚して設ける。具体的には、例えば旋回用油圧モータの配設角度をずらし、その前後方向軸心線が旋回フレームの前後方向に対し所定の角度だけ斜めになるようにする。これにより、上記したギアと旋回輪中心との位置関係の変化に対応し、旋回用油圧モータのギアと旋回輪の走行体側固定部との噛合関係を確実に維持することができる。
【0022】
(7)上記(1)乃至(5)のいずれかにおいて、また好ましくは、前記旋回装置は、前記走行体に設けた旋回輪歯車と、この旋回輪歯車と噛み合うように前記旋回体の幅方向の一方側に偏倚して設けた2つの小歯車と、これらの小歯車にそれぞれ連結し、前記旋回体に設けたモータとを備える。
【0023】
旋回用油圧モータを旋回フレームに取りつける場合、その外周部をボルトを介し旋回フレームに固定することが一般的である。そして、旋回体を旋回させるのに2つの旋回用油圧モータを隣接配置して用いる場合には、上記の外周部を互いに突き合わせるように隣接配置する。その際、各外周部の一部を欠き取るようにしてボルトのない突き合わせ部分を形成し、突き合わせ部分の突き合わせ線が、旋回フレームの前後方向に一致するように旋回フレームに固定することがある。
【0024】
ここで、上記(1)で説明したように旋回体右側部分の寸法と旋回体左側部分の寸法との差に応じ旋回フレームを旋回輪に対し右側に偏心配置する場合、旋回フレームに取りつける2つの旋回用油圧モータも右側に移動する。この結果、2つの旋回用油圧モータの小歯車(ピニオン)とこれに噛合する旋回輪の走行体側固定部との相対位置関係も変化する。そこで、本発明においては、上記2つの旋回用油圧モータの2つの小歯車を、旋回輪歯車と噛み合うように旋回体の幅方向の一方側(右側)に偏倚して設ける。具体的には、例えば上記2つの旋回用油圧モータの配設角度をそれぞれずらし、突き合わせ部分の突き合わせ線が、旋回フレームの前後方向に対し所定の角度だけ斜めになるようにする。これにより、上記したギアと旋回輪中心との位置関係の変化に対応し、2つの旋回用油圧モータのギアと旋回輪の走行体側固定部との噛合関係を確実に維持することができる。
【0025】
特に、上記のように突き合わせ部分を設けて2つの旋回用油圧モータを密着隣接配置する場合、突き合わせ部分にはボルトがないため、外周部のうち突き合わせ部分以外の部分にあるボルトは、その分も加えた大きな駆動反力に耐えられるようにその周方向配置間隔や配置位置が通常設定されている。この設定にあたっては、上記ピニオンの歯と旋回輪の走行体側固定部の内歯との間での噛合時における力の伝達関係に基づき、2つの旋回用油圧モータと旋回輪の径方向中心(=旋回中心)との相対位置が所定の関係となるように予め設定されている。
【0026】
本発明においては、上記2つの旋回用油圧モータの突き合わせ部分の突き合わせ線を旋回フレームの前後方向に対し斜めにすることにより、上述したように2つの旋回用油圧モータを旋回輪に対し相対移動させるときに、上記2つの旋回用油圧モータと旋回輪の径方向中心(=旋回中心)との相対位置関係を上記の設定に保持したままの状態で移動することができる。したがって、上記したようなボルトのない突き合わせ部分を備えた既存の構造の旋回用油圧モータをそのまま用いても、外周部のボルトは引き続き大きな駆動反力に耐えることができる。すなわち、ボルトの強度を強化したり、別構造の旋回用油圧モータを新たに用意する必要なく、配置角度や位置をずらすだけで足りるので、変更時の生産性低下やコスト増大をさらに確実に防止することができる。
【0027】
(8)上記目的を達成するために、また本発明の建設機械の旋回体装置は、幅を輸送時の規制幅に縮小し得る機能を有する走行体上に、旋回装置を介して旋回可能に設けられ、前記走行体における輸送時の規制幅に相当する幅を有する旋回体と、前記旋回装置の旋回中心から前記旋回体の幅方向の一方側に偏倚して前記旋回体の長手方向の一方側に設けた多関節型のフロント装置と、前記旋回体の長手方向一方側の幅方向の他方側における前記旋回体上に設置した運転席と、前記旋回体上に設けたエンジン、燃料タンク、作動油タンク、バッテリ等の機器とを備える。
【0028】
(9)上記(8)において、好ましくは、前記旋回体における長手方向の他方側に配置した油圧ポンプ、この油圧ポンプを駆動するエンジン、及びこのエンジンの冷却水を冷却するラジエータを有するエンジン室と、前記旋回体における長手方向の一方側で、その幅方向の一方側に配置したバッテリとを備える。
【0029】
(10)上記(9)において、さらに好ましくは、前記旋回体上における前記バッテリと前記エンジン室との間に設けた燃料タンクをさらに備える。
【0030】
(11)上記(10)において、さらに好ましくは、前記旋回体上における前記運転室と前記エンジン室との間に設けた作動油タンクをさらに備える。
【0031】
(12)上記(11)において、さらに好ましくは、前記輸送時の規制幅は、略3000mmである。
【0032】
(13)上記(8)乃至(12)のいずれかにおいて、また好ましくは、前記旋回体は、前記旋回装置を構成する旋回輪歯車と噛み合うように前記旋回体の幅方向の一方側に偏倚して設けた小歯車と、この小歯車に連結し、前記旋回体に設けたモータとを備える。
【0033】
(14)上記(8)乃至(12)のいずれかにおいて、また好ましくは、前記旋回体は、前記旋回体装置を構成する旋回輪歯車と噛み合うように前記旋回体の幅方向の一方側に偏倚して設けた2つの小歯車と、これらの小歯車にそれぞれ連結し、前記旋回体に設けたモータとを備える。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。本実施の形態は、建設機械の一例として、油圧ショベルを例にとった実施の形態である。
【0035】
図1は、本発明の建設機械の一実施の形態としての油圧ショベルの全体構造(但しフロント装置は図示省略)を表す側面図であり、図2は、図1中A方向から見た本発明の建設機械の一実施の形態としての油圧ショベルの矢視正面図である。なお、以降、油圧ショベルが図1に示す状態にて操作者が運転室(後述)の運転席に着座した場合における操作者の前側(図1中左側)、後側(図1中右側)、左側(図1中紙面に向かって手前側)、右側(図1中紙面に向かって奥側)を、単に前側、後側、左側、右側と称する。
【0036】
これら図1及び図2において、油圧ショベルは、走行体(下部走行体)1と、この走行体1の上部に旋回可能に設けた旋回体(上部旋回体)2と、この旋回体2の前端部に上下方向に俯仰動可能に設けた多関節型のフロント装置(図示せず)と、走行体1と旋回体2との間に配設され旋回体2を旋回自在に支持する旋回輪(旋回台軸受)3とを有している。なお、旋回輪3は、後述の旋回用油圧モータ28とともにこの油圧ショベルの旋回装置を構成するものである。
【0037】
走行体1は、詳細な説明を省略するが、掘削時に比べ輸送時における車幅方向寸法が縮小可能な公知の伸縮機構を備えている。そして、これによって輸送時の車幅方向寸法x(図2参照)が規制幅(後述する旋回体2の車幅方向最大寸法とほぼ等しい)となっており、略H字形状のトラックフレーム4と、このトラックフレーム4の左・右両側の後端近傍に回転自在に支持された駆動輪5と、これら駆動輪5をそれぞれ駆動する左・右走行用油圧モータ6と、トラックフレーム4の左・右両側の前端近傍に回転自在に支持された従動輪(アイドラ)7と、これら駆動輪5及び従動輪7にそれぞれ巻き回した走行手段としての左・右の無限軌道履帯(クローラ)8とを備えている。
【0038】
旋回体2は、車幅方向最大寸法(後述するx+x)が規制幅となっており(走行体1の輸送時の車幅方向寸法とほぼ等しい)、その基礎下部構造をなすフレーム(旋回フレーム)9と、この旋回フレーム9の左前方側(旋回体2全体の左前方部)に配設され操作者が搭乗する運転室(キャブ)10と、旋回体2のうちこの運転室10以外の大部分を覆う上部カバー(建屋)11と、旋回フレーム9の後部に配置されフロント装置との重量バランスをとるためのカウンタウエイト12とを備えている。
【0039】
フロント装置は、通常のこの種の油圧ショベルに備えられる公知のものであり、図示及び詳細な説明を省略するが、その基端側が旋回フレーム9の先端部に設けたブームブラケット30La,30Ra(後述)に水平軸方向を中心にして回動可能に結合されたブームと、ブームの先端側にその基端側が回動可能に結合されたアームと、アームの先端側にその基端側が回動可能に結合されたバケットとを備えている。そして、これらブーム、アーム、およびバケットは、それぞれブーム用油圧シリンダ、アーム用油圧シリンダ、およびバケット用油圧シリンダによって駆動される。
【0040】
図3は、図2中B方向から見た本発明の建設機械の一実施の形態としての油圧ショベルの一部透視矢視上面図である。
【0041】
この図3、前述の図1及び図2において、旋回フレーム9上の上部カバー11の内部には、上記各油圧アクチュエータの駆動源(動力源)を構成する機器を含む各種機器が収納配置され、いわゆる機械室(パワーユニット)を形成している。すなわち、旋回フレーム9上の後方側(図3中上側)の領域には、油圧ポンプ13と、横置き(図3中左右方向)に配置され上記油圧ポンプ13を駆動する原動機としてのエンジン14と、このエンジン14及び後述の熱交換器装置18を冷却する冷却ファン15と、エンジン14の冷却水を冷却するラジエータ16及び作動油を冷却するオイルクーラ17を備えた熱交換器装置18とが、油圧ショベルの幅方向左側(図3中右側)から幅方向右側(図3中左側)に向かってこの順序で並設されており、これらは一括してカウンターウェイト12の前側に形成されたエンジン室19内に配設されている。
【0042】
このような後方領域の機器構成において、エンジン14を起動すると油圧ポンプ13が駆動される。その一方、エンジン14の駆動力によって冷却ファン15が回転し、上部カバー11外部の空気が吸気孔(図示せず)から内部空間に導入され、冷却風となって熱交換器装置18を冷却した後、冷却ファン15に流入する。さらに冷却ファン15から吹き出された冷却風は、エンジン14、マフラ(図示せず)、油圧ポンプ13等を冷却した後、排気孔(図示せず)から大気放出される。またこのとき、エンジン14からの排気ガスは、エンジン14の排気マニホールド(図示せず)からマフラ(図示せず)に流入して消音された後、マフラに接続された排気ガス管(尾管)20から大気中に放出される。なお熱交換器装置18の前側(図3中下側)には、エンジン14への吸入空気を清浄化するエアクリーナ21が設けられている。
【0043】
一方、旋回フレーム9の右前側(図3中左下側)の領域には、燃料タンク22、バッテリ23、給脂装置24が、この順序で後側(図3中上側)から前側(図3中下側)へ向かって配設されている。燃料タンク22は、エンジン14の燃料を貯留するもので、給油口22aを介し外部より給油可能となっている。バッテリ23は、主にエンジン14の起動用の電流を供給するものである。給脂装置24は、例えばフロント装置の各結合部、旋回輪3、走行体1に設けた無限軌道履帯8の張り調整機構(図示せず)等に対し、図示しない給脂配管を介してグリス等の潤滑材の供給を行うものである。
【0044】
また、旋回フレーム9の幅方向中心部のエンジン14より前側(図3中下側)の領域には、制御弁装置25が設けられている。制御弁装置25は、油圧ポンプ13から上記した油圧アクチュエータ(左・右走行用油圧モータ6、ブーム用油圧シリンダ、アーム用油圧シリンダ、バケット用油圧シリンダ、後述の旋回用油圧モータ28)への圧油の流れを制御する複数のコントロールバルブ(左・右走行用コントロールバルブ、ブーム用コントロールバルブ、アーム用コントロールバルブ、バケット用コントロールバルブ、旋回用コントロールバルブ)を備えている。
【0045】
さらに、旋回フレーム9の左前側(図3中右下側)の領域には、作動油タンク26、収納スペース27、上記運転室10が、この順序で後側(図3中上側)から前側(図3中下側)へ向かって配設されている。
作動油タンク26は、給油口26aを備え、上記油圧ポンプ13から前述の油圧アクチュエータへ供給する作動油を貯留するものであり、収納スペース27は、例えばメンテナンス用の工具箱等を収納するスペースである。
【0046】
運転室10は、操作者が搭乗し図示しない座席に着座して操作を行うための空間であり、上記左・右走行用コントロールバルブを切り換え操作して左・右走行用油圧モータ6の駆動速度を制御するための操作手段(例えば左・右走行用操作レバー)や、上記ブーム用コントロールバルブ・アーム用コントロールバルブ・バケット用コントロールバルブ・旋回用コントロールバルブをそれぞれ切換操作してブーム用油圧シリンダ・アーム用油圧シリンダ・バケット用油圧シリンダ・旋回用油圧モータ28(後述)の駆動速度を制御するための操作手段(例えば左・右作業用操作レバー)が設けられている。
【0047】
ここで、旋回フレーム9の幅方向中心部の制御弁装置25よりさらに前側(図3中下側)には、走行体1に対し旋回フレーム9を旋回駆動する駆動力を発生する(この例では2個の)旋回用油圧モータ28が設けられている。
【0048】
図4は、本発明の建設機械の一実施の形態を構成する上記旋回用油圧モータ28の取付部分の詳細構造を表す図3中要部拡大図である。
【0049】
この図4及び図3において、旋回フレーム9は、その中央部に位置して前後方向(図4中上下方向)に延びたセンタフレーム部9Aを備える。このセンタフレーム部9Aは、例えば厚肉の鋼板等で平板状に形成された底板29と、この底板29の上面側に溶接手段を用いて立設され前後方向に延びた左・右の縦板30L,30Rとで構成されている。そして、縦板30L,30Rの前側(図4中下側)には、上記ブームの基端側が回動可能に結合されるブームブラケット30La,30Raがそれぞれ設けられている。これらブームブラケット30La,30Raの間には補強用の横板31が溶接により接合されており、この横板31のさらに後方側には、縦板30L,30Rを掛け渡すように油圧モータ取付け部32が設けられている。また、ブームブラケット30La,30Raの前側には、上記ブーム用油圧シリンダのボトム側がそれぞれ回動可能に結合されるシリンダブラケット30Lb,30Rbがそれぞれ設けられている。
【0050】
なお、図示を省略するが、縦板30L,30Rの後側(図4中上側)には、その縦断面が例えばI字形状(Iフランジ構造)等であるウエイト取り付け部がそれぞれ設けられており、これらウエイト取り付け部の上側に上記カウンタウエイト12が載置されボルト等を用いて着脱可能に取り付けられるようになっている。
【0051】
図5は、本発明の建設機械の一実施の形態を構成する旋回用油圧モータの詳細取付構造を表す側断面図である。
【0052】
この図5及び前述の図1において、旋回用油圧モータ(油圧モータ装置)28は、旋回フレーム9の上記油圧モータ取付け部32に上・下方向に立設されたハウジング33と、旋回フレーム9の上方に位置し上記ハウジング33に支持されたモータ本体34と、上記モータ本体34の回転軸(図示せず)の回転を減速して出力する公知の遊星歯車減速機構(図示せず)とを有している。
【0053】
モータ本体34は、外部から圧油が給排されることにより回転駆動する油圧モータ(例えばアキシャルピストン型油圧モータ、ラジアルピストン型油圧モータ)によって構成されており、シリンダ、ピストン等を内蔵したモータケース34Aと、該モータケース34Aの軸中心を上・下方向に延び、下端側が外部に突出した回転軸(図示せず)と、モータケース34Aの下端側に拡径して設けられ、ハウジング33に対する取付面をなすフランジ部34Bと、モータケース34Aの上部側面に突出して設けられ、リリーフ弁(安全弁)等を含む弁装置の一部を構成する突起部34Cとを備えている。
【0054】
なお、モータケース34Aには、ハウジング33内に潤滑油を供給するための給油パイプ35と、ハウジング33内の潤滑油の量を調べるオイルゲージ36とが設けられている。
【0055】
ハウジング33は、下側ハウジング37と上側ハウジング38とによってほぼ円筒状に形成されている。
【0056】
下側ハウジング37には、下端側外周に下側フランジ部37Aが拡径して形成され、上端側外周に上側フランジ部37Bが拡径して形成されている。下側フランジ部37Aは、図4に示されるように旋回用油圧モータ28の設置状態で最も外周側に張り出して位置する外周部を構成している。この下側フランジ部37Aは、複数本のモータ取付用ボルト41によって略円環状(又は部分円環状)の座板40を挟みつつ旋回フレームモータ取付け部32に固定されている。このとき、2つの旋回用油圧モータ28,28は、それぞれ下側フランジ部37Aの互いに向かい合う部分が切り欠かれた形状となっており(図4参照)、この切り欠き部が突き合わせるように隣接密着配置されて突き合わせ部Sを形成している。このとき、突き合わせ部Sには上記モータ取付用ボルト41は設置できないことから、モータ取付用ボルト41は、その分を補いつつ旋回駆動反力を全体で受けることが可能なように(旋回時に加わる大きな滑り力に各ボルト41が耐えられるように)、下側フランジ部37Aの外周部の突き合わせ部S以外の部分に予め定められた所定の態様で(不等ピッチで)配設されている。なお、下側ハウジング37には、ハウジング33内の潤滑油を排出するための排油パイプ(図示せず)が設けられている。
【0057】
上側ハウジング38は、その下端部が下側ハウジング37の上側フランジ部37Bに係合しており、その上端部がモータ本体フランジ部34Bに係合している。そして、下側ハウジング37と上側ハウジング38とは、例えば図示しない複数本のボルトで締結固定されることで一体的に組立てられており、また上側ハウジング38は、モータ本体フランジ部34Bと複数本のボルト39で締結固定されることにより、モータ本体34を支持している。
【0058】
遊星歯車減速機構によって減速された回転は、ハウジング33内に回転可能に設けられた図示しない出力軸に伝えられる。この出力軸は、ハウジング33内を上・下方向に延設されており、その下端側(図示せず)がハウジング33から下向きに突出している。そして、その出力軸の下端側にピニオン(小歯車)42が一体的に設けられており、このピニオンが旋回輪3の内輪44(後述)に形成された内歯車44A(後述)に噛合している。
【0059】
図5及び前述の図2において、旋回輪3は、走行体1のトラックフレーム4の径方向中心側上部に設けた丸胴部43に固定した走行体側固定部としての内輪44と、旋回体2の径方向中心側下部に相当する旋回フレームモータ取付け部32の下面に固着された旋回体側回転部としての外輪45と、内輪44と外輪45との間に配設された複数個の鋼球46とによって構成されている。内輪44の内周側には全周に亘って内歯車(旋回輪歯車)44Aが形成されており、この内歯車44Aが上記出力軸のピニオン42に噛合されている。図6は、この噛合状態を表す図5の部分透視図である。
【0060】
以上のような構成により、旋回用油圧モータ28のモータ本体34に外部から圧油を給排してその回転軸を回転駆動すると、この回転がハウジング33内で遊星歯車減速機構によって減速され出力軸に高いトルクの回転力が伝達され、ピニオン42が内輪44に沿って自転しつつ公転し、このときの公転力がハウジング33を介して旋回体2の旋回フレーム9に伝達されることにより、内輪44の周囲で外輪45を回転させつつ旋回体2が走行体1上で旋回するようになっている。
【0061】
ここで、本実施の形態の最も大きな特徴は、旋回体2及び走行体1の車幅方向最大寸法をともに規制幅としたことと、これを実現するための旋回体2、走行体1、旋回輪3の相対位置関係、及びそれぞれの構成にある。
【0062】
すなわち、例えば輸送幅規制が厳しい地域(例えばヨーロッパ等)の国家における機械全体の車幅方向寸法の制限内にある機種の走行体1がぎりぎり入っていたとしても、従来は走行体1の輸送時の車幅方向寸法が旋回体2の車幅方向最大寸法よりも小さい場合があるため、旋回体2については上記既存の機種のものは上記制限外になってしまうことからそのままでは使えず、何らかの変更をしなければならない。このとき、上記従来機種では、旋回体2の旋回フレーム9の車幅方向中心位置と旋回輪2の径方向中心位置(=旋回装置の旋回中心位置)が略一致しており、この状態で、旋回体2のうち旋回フレーム中心線kより左側部分も、右側部分も、ほぼ同じ寸法分だけ走行体1の輸送時の車幅方向寸法よりはみ出している。したがって、この旋回フレーム中心線kを旋回中心と略一致させたまま上記変更を行おうとすると、旋回体2の上記左側部分と上記右側部分の両方について寸法の縮小を行わなければならず、大幅な変更となってしまう。
【0063】
そこで本実施の形態では、少しでも変更範囲を小さくすることを目指し、旋回体2の上記左側部分についてはほぼ上記従来機種のものをそのまま流用し、右側部分だけを大規模に縮小変更するようにしたものである。
【0064】
すなわち、旋回体2の左側部分について小型化変更しないものを流用する分、旋回フレーム9を旋回中心に対して右側に偏心させることで上記旋回体2左側部分が走行体1車幅外方へ突出するのを防止する。そして、このように右側へ大きく旋回フレーム9がずれ全体として旋回体2が右側へ大きくずれる分は、旋回体2右側部分を大規模に縮小変更して上記左側部分の寸法よりも大幅に小さくなるようにしたものである。
【0065】
上記旋回体2右側部分の変更を具体的に説明すると、前述したような上部カバー11内の機器配置において、従来、エンジン室19の側方近傍(詳細には熱交換器装置18の外方)に配設しているバッテリ23を旋回体2の右前方部に配設してその分のバッテリ配置スペースを省略し、バッテリ23とエンジン室19との間に燃料タンク22を配設し、反対の左前方部の運転室10とエンジン室19との間に作動油タンク27を配設する。このとき、バッテリ23が右前方部に配設されることによる燃料タンク22の容量確保の面については、タンク前側壁面を既存のものより前側に移動するとともに、タンク後側壁面を既存のものより後ろ側に移動する等の変更をすることで、容量を確保できる。これらにより、旋回フレーム9の車幅方向中心位置(以下、旋回フレーム中心線という)kより右側部分の寸法xが左側部分の寸法xよりも小さくなる(言い換えれば旋回フレーム9が旋回体2の車幅方向中心位置になく、それよりも右側に偏心して配置されている)ようなレイアウトを実現している。なお、前述のように多関節型のフロント装置はブームブラケット30La,30Raに取りつけられており、このブームブラケット30La,30Raは車幅方向中心位置に設けられている(いいかえればブームブラケット30La,30Raの中心線が旋回フレーム中心線kに一致していることから、上記多関節型のフロント装置が、旋回装置の旋回中心から旋回体2の幅方向一方側(右側)に偏倚して設けられていることとなる。
【0066】
また上記旋回フレーム9の偏心配置について、具体的には、上記の寸法大小関係に応じ旋回フレーム9は旋回輪3径方向中心に対し右側に偏心させて配置されている。すなわち、旋回輪3の径方向中心位置Pが、上記した旋回体2の右側部分の寸法xと左側部分xの寸法との差に応じた寸法Lだけ、旋回フレーム中心線kより左側に偏心するように配設されている(旋回輪3の径方向中心位置Pを通る前後方向の直線(=旋回輪中心線)kと上記旋回フレーム中心線kとがLだけずれている)。言い換えれば、走行体1の車幅方向中心位置は、旋回輪3の径方向中心位置Pに等しいことから、旋回体2の車幅方向中心と走行体1の車幅方向中心がLだけずれていることになる。
【0067】
すなわち、上記本実施の形態の走行体1及び旋回体2の配設についての技術思想を端的に言うと、旋回体2全体の幅方向寸法を走行体1に合致させるために縮小変更するにあたり、左右均等に縮小変更するのではなく右側のみを縮小変更し、そのままでは幅方向中心位置が走行体1に対し左側にずれてしまう分を、旋回フレーム9を旋回輪3に対し右偏心配置することで補償したものである。
【0068】
なお、以上のようなレイアウトにより、旋回体2が旋回輪3の中心位置P(=旋回中心)を基準として旋回するときに、旋回体2が通常の位置(図1や図3に示す基準位置)から旋回していくときに旋回体右前方部が描く最大円弧の半径(最大旋回半径)R1が、旋回体左前方部が描く最大旋回半径R2より小さくなっている(図3参照)。この結果、操作者は旋回体2の左前方部を旋回の基準とすれば、右前方部がまわりの障害物に干渉することは避けられることとなる。
【0069】
一方、上記で説明したように旋回体2右側部分の寸法xと旋回体2左側部分xの寸法との差に応じ旋回フレーム9を旋回輪3に対し右側に偏心配置する場合、旋回フレームモータ取付け部32に取りつける旋回用油圧モータ28も右側に移動する。この結果、そのままでは旋回用油圧モータ28のピニオン42とこれに噛合する旋回輪3の内輪44Aとの相対位置関係も変化してしまう。そこで本実施の形態では、上記のような旋回輪3側と旋回フレーム9側との中心ずれに対応して、旋回用油圧モータ28の位置も通常とは異なって配設されている。
【0070】
すなわち、2つの旋回用油圧モータ28,28の車幅方向位置は、上記した旋回体2における右側部分の寸法xと左側部分の寸法xとの差x−xに応じた寸法だけ、旋回輪中心線kより右側に偏心するように旋回フレームモータ取付け部32に配設されている。そしてさらに、2つの旋回用油圧モータ28,28がそれぞれの下側フランジ部37Aで形成する突き合わせ部Sの突き合わせ線が、旋回フレーム9の前後方向(言い換えれば旋回フレーム中心線k)に対し上記旋回体2の偏心の程度に応じた(右側部分の寸法xと左側部分の寸法xとの差に応じた)所定の角度αだけ斜めになるように固定されている(言い換えれば、旋回用油圧モータ28の前後方向軸心線(この例ではリリーフ弁等を含む突起部34の軸心線)kが旋回フレーム中心線kに対し角度αだけ斜めになるように設けられている。図4参照)。
【0071】
上記の結果、旋回用油圧モータ28,28は、それぞれの出力軸中心Q,Qと旋回輪中心Pとでなす二等辺三角形PQが、通常の旋回フレーム中心線kと旋回輪中心線kが略一致している構造における同様の二等辺三角形を、単に上記角度αだけ点Pまわりに回転させたものとなるように、配設されている。この結果、旋回輪3との旋回用油圧モータ28,28の噛合位置関係は既存のものと同じとなっており、旋回用油圧モータ28のピニオン42と旋回輪3の内輪44Aとの噛合関係を確実に維持することができる。
【0072】
また、上記の二等辺三角形構造の維持は、以下のような意義もある。
【0073】
すなわち、従来より、2つの旋回用油圧モータ28を密着隣接配置させる場合には、下側フランジ部37Aにおいて突き合わせ部Sにはボルト41がないため、突き合わせ部S以外の部分にあるボルト41はその分も加えた大きな駆動反力に耐えられるようにその周方向配置間隔や配置位置が設定されている。この設定にあたっては、上記ピニオン42の歯と旋回輪3の内歯44Aとの間での噛合時における力の伝達関係に基づき、2つの旋回用油圧モータ28,28と旋回輪3の旋回中心との相対位置が所定の関係となるように予め設定されている。
【0074】
本実施の形態では、上述したように上記従来の二等辺三角形構造を角度αだけ点Pまわりに回転させた構成とすることで、旋回用油圧モータ28,28と旋回輪3の旋回中心との相対位置関係を上記の設定に保持したままの状態で移動することができる。したがって、従来の旋回用油圧モータ28をそのまま用いても、ボルト41は引き続き大きな駆動反力(滑り力)に耐えることができ、同等の信頼性を確保できる。すなわち、折損防止のためにボルト41の強度を強化したり、別構造の旋回用油圧モータ28を新たに用意する必要なく、配置角度や位置をずらすだけで足りる。この意味で、変更時の生産性低下やコスト増大をさらに確実に防止することができる。
【0075】
以上説明したように、本実施の形態によれば、旋回体2及び走行体1の車幅方向寸法をともに輸送幅規制が厳しい地域(例えばヨーロッパ等)の国家における機械全体の車幅方向寸法の制限とするにあたり、走行体1についてはもともと規制幅にぎりぎり入っているの既存機種のものをそのまま流用でき、また旋回体2の左側部分についても当該機種のものをほぼ流用でき、実際に変更すべき部分は旋回体2の右側部分のみに限定することができる。この結果、特殊仕様の旋回体2及び走行体1を新規に開発生産する場合のような生産性の低下や製造コストの増大を招くことなく、機械全体の車幅方向寸法の制約に対応することができる。
【0076】
なお、以上においては、走行手段として無限軌道履帯8を備えたいわゆるクローラタイプの油圧ショベルを例にとって説明したが、これに限られず、走行手段としてタイヤを備えたいわゆるホイールタイプの油圧ショベルに対しても適用でき、この場合も同様の効果を得る。
【0077】
また、建設機械の例として油圧ショベルを例にとって説明したが、これに限られず、旋回体が走行体上に旋回可能に設けられるものであれば他の建設機械、例えばクローラクレーン等に対しても適用でき、この場合も同様の効果を得る。
【0078】
本発明の実施の形態によれば、従来機種を変更するに際し、走行体については従来機種のものをそのまま流用し、さらに旋回体の左側部分についても従来機種のものをほぼ流用でき、実際に変更すべき部分は旋回体の右側部分のみに限定することができる。この結果、特殊仕様の旋回体及び走行体を新規に開発生産する場合のような生産性の低下や製造コストの増大を招くことなく、機械全体の車幅方向寸法の制約に対応することができる。
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば掘削力を低下させることなく、輸送時の車幅規制にも対応することができる建設機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の建設機械の一実施の形態としての油圧ショベルの全体構造を表す側面図である。
【図2】図1中A方向から見た本発明の建設機械の一実施の形態としての油圧ショベルの矢視正面図である。
【図3】図2中B方向から見た本発明の建設機械の一実施の形態としての油圧ショベルの一部透視矢視上面図である。
【図4】本発明の建設機械の一実施の形態を構成する上記旋回用油圧モータの取付部分の詳細構造を表す図3中要部拡大図である。
【図5】本発明の建設機械の一実施の形態を構成する旋回用油圧モータの詳細取付構造を表す側断面図である。
【図6】本発明の建設機械の一実施の形態を構成する内歯車の出力軸のピニオンへの噛合状態を表す図5の部分透視図である。
【符号の説明】
1 走行体
2 旋回体
3 旋回輪
5 駆動輪
7 従動輪
8 無限軌道履帯
9 旋回フレーム
10 運転室
13 油圧ポンプ
14 エンジン
16 ラジエータ
22 燃料タンク
23 バッテリ
26 作動油タンク
28 旋回用油圧モータ
37A 下側フランジ部(外周部)
44 内輪(走行体側固定部)
L 旋回輪中心位置のずれ寸法
S 突き合わせ部
旋回体の左側部分の寸法
旋回体の右側部分の寸法
+x 旋回体の車幅方向最大寸法
走行体の輸送時の車幅方向寸法

Claims (14)

  1. 幅を輸送時の規制幅に縮小し得る機能を有する走行体と、
    この走行体上に旋回装置を介して旋回可能に設けられ、前記走行体における輸送時の規制幅に相当する幅を有する旋回体と、
    前記旋回装置の旋回中心から前記旋回体の幅方向の一方側に偏倚して前記旋回体の長手方向の一方側に設けた多関節型のフロント装置と、
    前記旋回体の長手方向一方側の幅方向の他方側における前記旋回体上に設置した運転席と、
    前記旋回体上に設けたエンジン、燃料タンク、作動油タンク、バッテリ等の機器とを備えたことを特徴とする建設機械。
  2. 前記旋回体における長手方向の他方側に配置した油圧ポンプ、この油圧ポンプを駆動するエンジン、及びこのエンジンの冷却水を冷却するラジエータを有するエンジン室と、
    前記旋回体における長手方向の一方側で、その幅方向の一方側に配置したバッテリとを備えたことを特徴とする請求項1記載の建設機械。
  3. 前記旋回体上における前記バッテリと前記エンジン室との間に設けた燃料タンクをさらに備えたことを特徴とする請求項2記載の建設機械。
  4. 前記旋回体上における前記運転室と前記エンジン室との間に設けた作動油タンクをさらに備えたことを特徴とする請求項3記載の建設機械。
  5. 前記輸送時の規制幅は、略3000mmであることを特徴とする請求項4記載の建設機械。
  6. 前記旋回装置は、
    前記走行体に設けた旋回輪歯車と、
    この旋回輪歯車と噛み合うように前記旋回体の幅方向の一方側に偏倚して設けた小歯車と、
    この小歯車に連結し、前記旋回体に設けたモータと
    を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の建設機械。
  7. 前記旋回装置は、
    前記走行体に設けた旋回輪歯車と、
    この旋回輪歯車と噛み合うように前記旋回体の幅方向の一方側に偏倚して設けた2つの小歯車と、
    これらの小歯車にそれぞれ連結し、前記旋回体に設けたモータと
    を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の建設機械。
  8. 幅を輸送時の規制幅に縮小し得る機能を有する走行体上に、旋回装置を介して旋回可能に設けられ、前記走行体における輸送時の規制幅に相当する幅を有する旋回体と、
    前記旋回装置の旋回中心から前記旋回体の幅方向の一方側に偏倚して前記旋回体の長手方向の一方側に設けた多関節型のフロント装置と、
    前記旋回体の長手方向一方側の幅方向の他方側における前記旋回体上に設置した運転席と、
    前記旋回体上に設けたエンジン、燃料タンク、作動油タンク、バッテリ等の機器とを備えたことを特徴とする建設機械の旋回体装置。
  9. 前記旋回体における長手方向の他方側に配置した油圧ポンプ、この油圧ポンプを駆動するエンジン、及びこのエンジンの冷却水を冷却するラジエータを有するエンジン室と、
    前記旋回体における長手方向の一方側で、その幅方向の一方側に配置したバッテリとを備えたことを特徴とする請求項8記載の建設機械の旋回体装置。
  10. 前記旋回体上における前記バッテリと前記エンジン室との間に設けた燃料タンクをさらに備えたことを特徴とする請求項9記載の建設機械の旋回体装置。
  11. 前記旋回体上における前記運転室と前記エンジン室との間に設けた作動油タンクをさらに備えたことを特徴とする請求項10記載の建設機械の旋回体装置。
  12. 前記輸送時の規制幅は、略3000mmであることを特徴とする請求項11記載の建設機械の旋回体装置。
  13. 前記旋回体は、
    前記旋回装置を構成する旋回輪歯車と噛み合うように前記旋回体の幅方向の一方側に偏倚して設けた小歯車と、
    この小歯車に連結し、前記旋回体に設けたモータと
    を備えたことを特徴とする請求項8乃至12のいずれかに記載の建設機械の旋回体装置。
  14. 前記旋回体は、
    前記旋回体装置を構成する旋回輪歯車と噛み合うように前記旋回体の幅方向の一方側に偏倚して設けた2つの小歯車と、
    これらの小歯車にそれぞれ連結し、前記旋回体に設けたモータと
    を備えたことを特徴とする請求項8乃至12のいずれかに記載の建設機械の旋回体装置。
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