JP2004306587A - 光記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 蒸発速度の速い溶媒への溶解性が高く、光に対して安定であるシアニン色素、特にCD−R、DVD−R用等の光ディスク用の光吸収色素を用いて生産性を向上し、かつ耐光性に優れた光記録媒体、特にCD−R、DVD−Rの光ディスクを提供すること。
【解決手段】 下記式(1)で表される置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンを対イオンとするシアニン色素を含有する記録層を有する光記録媒体。
【化1】
Figure 2004306587

【選択図】 なし

Description

本発明は、色素膜を記録層として有する光記録媒体に関し、特に製造工程中の色素塗布工程において、蒸発速度の高い溶剤を用いることができる光安定化シアニン系色素を用いた追記型の光記録媒体、特に光ディスクに関する。
近年、大容量情報担持媒体として、追記型や書き換え可能型などの各種光記録ディスクが大量に使用されている。このような光記録ディスクのなかに、色素を主成分とする色素膜を記録層として用いるものがある。また、構造的には従来から色素膜上に空気層を設けたいわゆるエアーサンドイッチ構造のものや、コンパクトディスク(CD)規格に対応した再生が可能なものとして、色素膜からなる記録層上に金などの反射層を密着して設けて反射率を高めるよう設計したもの(CD−R)が提案されている(例えば、非特許文献1及び2参照)。このCD−Rは近年特に需要が高まり、生産が需要に追いつかないほどの使用量の急増により、短時間にいかに多くの製品を供給することが可能であるかという生産性が重要な課題となっている。
また、さらに高密度記録への要求が高まり、記録用レーザーの短波長化が必要となり、次の世代の記録媒体として規格化が進んでいる635nm程度の波長のレーザーに対応したDVD(デジタル ビデオ ディスク)が商品化されようとしている。また、一回記録用として色素を用いたDVD−Rの開発も進められている。この場合、用いる色素も短波長用となる。
上記における記録層は、通常、色素塗布液を用い、塗布により設層している。
このような記録層を、CD−R,DVD−Rに対応させたものとする場合、用いる色素をシアニン色素とすれば、波長の変更が容易で、大きな屈折率を得られる等の光学上の利点を有していて好ましい。一方、このシアニン色素は光に対する安定性に欠けるという欠点を有している。また、フタロシアニン色素は光に対する安定性は優れているが、短波長化できないため、DVD−Rに使用することは困難である。
シアニン色素の安定化として、本発明者らは一重項酸素クエンチャであるベンゼンジチオール金属錯体アニオンとシアニン色素カチオンとの塩形成色素(イオン結合体)が格段と光に対して安定となり、耐光性が向上し、再生劣化が減少することを見いだし、実用化している(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、塩形成色素を溶解させるのに適した溶剤であるシクロヘキサノンは、ポリカーボネート基板を侵すために使用できない。したがって、ジアセトンアルコール等の乾燥速度のかなり遅い溶剤を使用せざるを得なかった。このように、溶剤の乾燥速度が遅いため、光ディスク一枚あたりに要する塗布時間を多く必要とし、生産性の向上を妨げる要因となっていた。シアニン色素そのものは、例えばTFP(2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール)にはかなりの濃度で溶解するが、塩形成色素はほとんど溶解性を失ってしまうことが多い。また、溶解しても必要な膜厚を得るだけの濃度を得られないことが多い。
さらに、従来のクエンチャアニオンを用いたシアニン色素のイオン結合体は、短波長用のトリメチンおよびモノメチンシアニン色素に対する効果が、従来の長波長用のヘプタメチンシアニンやペンタメチンシアニン色素に対する効果と比較して劣っているという問題があった。
特許第1551668号公報 日経エレクトロニクス1989年1月23日号,No.465,P107 社団法人近畿化学協会機能性色素部会,1989年3月3日,大阪科学技術センター、PROCEEDINGS SPIE-THE INTERNATIONAL SOCIETY FOR OPTICAL ENGINEERING VOL.1078 PP80-87," OPTICAL DATA STORAGE TOPICAL MEETING"17-19,JANUARY 1989 LOS ANGELES
本発明の目的は、蒸発速度の速い溶媒への溶解性が高く、光に対して安定であるシアニン色素、特にCD−R、DVD−R用等の光ディスク用の光吸収色素を用いて生産性を向上し、かつ耐光性に優れた光記録媒体、特にCD−R、DVD−Rの光ディスクを提供することである。
このような目的は、下記(1)〜(4)の本発明によって達成される。
(1) 下記式(1)で表される置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンを対イオンとするシアニン色素を含有する記録層を有する光記録媒体。
Figure 2004306587
(2) 基板を有し、基板上に設けられた記録層が含有するシアニン色素が、下記式(3)で表されるシアニン色素カオチンと、式(1)で表される置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとの塩からなる色素である上記(1)の光記録媒体。
Figure 2004306587
[式中、Q1およびQ2は、それぞれ縮合環を有してもよい5員の含窒素ヘテロ環を形成するための原子群を表す。R21およびR22はそれぞれアルキル基を表す。
Lはシアニン色素を完成させるためのメチン鎖を表す。]
(3) 前記記録層は25℃の蒸気圧が5.3Torr以上の溶媒を用いた溶液を塗布して形成されている上記(1)または(2)の光記録媒体。
(4) 前記記録層は、さらに1種類以上の他の色素を含有する請求項1〜3(上記(1)〜(3))のいずれかの光記録媒体。
本発明によれば、光記録媒体は、記録層に上記の式(1)で表される置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンと、シアニン色素カチオンとのイオン結合体である光安定化シアニン色素を有する。
また、下記式(1)で表される置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンと、下記式(2)で表されるシアニン色素カチオンの対イオン結合体である光安定化シアニン色素を提供する。
Figure 2004306587
ベンゼンジチオール金属錯体は一重項酸素クエンチャとして知られている。そして、配位子であるベンゼンジチオールのベンゼン環の所定位置に−SO2R(ここで、Rは式(1)中のR01、R02の場合と同義である。)を結合させることにより、シアニン色素の耐光性が格段と向上し、その退色が防止される。また、スルファモイル基や含窒素複素環スルホニル基、あるいはベンゼンスルホニル基の置換基の効果により、TFP(2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール)等の蒸発速度の速い溶剤への溶解度が非常に高く、スピンコートなどの塗布時間が半減され、生産性が向上する。また、光学定数上重要な役割を果たす色素部分がシアニン色素であるために、設計上の自由度が極めて高く、フタロシアニン色素のように対応できる波長帯域についての制約がほとんどない。上記の式(1)で表される置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンを対イオンとして有し、式(2)で表されるシアニン色素カチオンを有するシアニン色素は新規化合物である。
なお、本発明者の一人が出願した、特開昭60−118748号公報(特許第1551667号)、同60−118749号公報(特許第1551668号)、同60−203488号公報(特許第1717195号)等には塩形成色素および光記録媒体が開示されており、このような塩形成色素を使用することで、格段の耐光性の向上が得られる点について記載されている。しかしながら、これらの色素では、溶剤の蒸発速度による塗布時間の点で不十分であり、短波長域での耐久性や再生劣化の点で不十分である。
また、特願平8−219408号、および特願平8−219409号明細書には、上記置換ベンゼンジチオール金属錯体を製造する方法が記載されており、シアニン色素の耐光性の向上について記載されている。しかし、このベンゼンジチオール金属錯体を用いたシアニン色素との塩形成についての記載はない。また、このベンゼンジチオール金属錯体は融点が置換基によっては室温付近のものもあり、この錯体とシアニン色素とを含有する混合系の記録層ではピットの変形が予想されるなどの安定性に課題がある。
本発明によれば、耐光性に優れ、記録再生特性に優れた光記録媒体が得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の光安定化シアニン色素は、対イオンとして下記式(1)で表される置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンと、式(2)で表されるシアニン色素カチオンとを有する。なお、式(2)については、本発明の光記録媒体に用いられる光安定化シアニン色素を構成する好ましいシアニン色素カチオンと同じであるので、後述する。
Figure 2004306587
ここで、R01,R02としては、ジアルキルアミノ基が挙げられ、このジアルキルアミノ基に結合するアルキル基(R11,R12)としては、総炭素数1〜4の直鎖ないし分岐の置換基を有していてもよいアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の非置換のものが好ましい。また、R11,R12はフェニル基であってもよく、フェニル基にはハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基が結合していてもよい。これら、ジアルキルアミノ基のほか、上記の通りR01,R02は4〜7員、特に6員(m=5)のイミノ環、あるいはモルホリノ環から誘導される環状イミノ基、あるいはモルホリノ基であってもよい。さらに、R01,R02はフェニル基であつてもよい。フェニル基としては非置換であっても、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基やハロゲン原子が置換したものであってもよい。
また式(1)においてMは遷移金属元素であるが、遷移金属元素としては特に限定されるものではないが、例えばFe,Co,Ni,Cu,Ptを挙げることができる。これらのうち、Cu,Fe,Co,Niが好ましく、Cuが最も好ましい。
なお、上記式(1)で表される置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンの好ましい具体例として、下記の表1のQ1〜Q20が挙げられる。ここでは、式(1)のR01,R02、Mの組合せで表示している。
Figure 2004306587
次に、上述の式(1)で表される置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンの製造方法について説明する。この金属錯体アニオンは、第4級アンモニウム塩とのイオン結合体として得られる。式(1)で表される置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンを有する錯体は、1,2−ジブロモベンゼンを出発原料として、これから合成される中間体を経て合成することができる。以下に製造方法を工程毎に具体的に説明する。
(工程1)
この工程では、溶媒中で1,2−ジブロモベンゼンを発煙硫酸と反応させ、3,4−ジブロモベンゼンスルホン酸を合成する。
ここで用いる発煙硫酸の量は、SO3を基準として1,2−ジブロモベンゼンに対して1.0〜2.0倍モルに設定するのが好ましく、1.1〜1.5倍モルに設定するのがより好ましい。またこの反応で用いられる溶媒は、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−エチレンジクロライド等のハロゲン化炭化水素溶媒が好ましい。
反応時の温度は、50〜100℃、特に65〜80℃の範囲に設定するのが好ましい。また反応時間は、反応温度により最適条件が異なるが、通常1〜4時間である。
(工程2)
工程1で得られた3,4−ジブロモベンゼンスルホン酸に塩化チオニルを反応させて3,4−ジブロモベンゼンスルホニルクロライドを合成する。ここで用いる塩化チオニルの使用量は、通常、3,4−ジブロモベンゼンスルホン酸に対して1.0〜2.5倍モル、好ましくは1.5〜2.2倍モルである。
この反応の際には、工程1の場合と同様にクロロホルム、四塩化炭素、1,2−エチレンジクロライド等のハロゲン化炭化水素溶媒やベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒が好ましく用いられる。ここで、工程1の場合と同様の溶媒を用いると、本工程2と連続して実施することができるため、作業効率性や収率などの点で有利である。また、反応温度は、50〜100℃に設定するのが好ましく、65〜80℃に設定するのがより好ましい。反応時間は、反応温度により最適条件が異なるが、通常1〜4時間である。
(工程3)
工程2で得られた3,4−ジブロモベンゼンスルホニルクロライドに下記の式(a)、(b)で示されるアミンもしくは環状イミン、(c)で示されるモルホリン、あるいは(d)で示されるベンゼン(R5は、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す)を反応させ、4−置換スルホニル−1,2−ジブロモベンゼン(置換ジブロモベンゼン化合物)を合成する。なお、式(a)中のR11,R12、(b)中のmは上記の式(1)の場合と同義である。
Figure 2004306587
ここで、4−N,N−ジアルキルスルファモイル−1,2−ベンゼンジチオール金属錯体を製造する場合には、式(a)のジアルキルアミンを用いる。また、4−ピペリジルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオール金属錯体を製造する場合には、式(b)の化合物として、mが5であるピペリジンを用いる。さらに、4−モルホリノスルホニル−1,2−ベンゼンジチオール金属錯体を製造する場合には、式(c)で示されるモルホリンを用いる。この反応の際に用いられる式(a)、(b)または(c)で示される化合物の使用量は、通常工程(2)で用いた3,4−ジブロモベンゼンスルホン酸に対して1.5〜4.0倍モル、好ましくは2.0〜3.0倍モルである。また、4−フェニルスルホニル−1,2ベンゼンジチオール金属錯体を製造する場合には、上記式(d)の化合物として、ベンゼンを用いる。この反応の際に用いられる式(d)で示される化合物の使用量は、通常工程(2)で得られた3,4−ジブロモベンゼンスルホニルクロライド対して1.0倍モル以上であるが、上述のように溶媒として用いられることもあり、その場合を考慮すると8.0〜15.0倍モルに設定することが好ましい。
この反応の際には、工程2の場合と同様に、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−エチレンジクロライド等のハロゲン化炭化水素溶媒が好ましく用いられる。
ここで、工程2の場合と同様の溶媒を用いると、本工程3と連続して実施することができるため、作業効率性や収率などの点で有利である。また、反応温度は、15〜40℃に設定するのが好ましく、20〜30℃に設定するのがより好ましい。反応時間は、反応温度により最適条件が異なるが、通常1〜3時間である。
この工程において得られる4−置換スルホニル−1,2−ジブロモベンゼンは下記の式(4)で示される。ここで、式(4)中のR0は、式(1)のR01,R02の場合と同義である。
Figure 2004306587
(工程4)
工程3で得られた4−置換スルホニル−1,2−ジブロモベンゼンのブロモ基をメルカプト基に置換し、下記の式(5)で示される4−置換スルホニル−1,2−ベンゼンジチオールを合成する。ここで、式(5)中のR0は、式(1)のR01,R02場合と同義である。
Figure 2004306587
この工程では、例えば特開平6−25151号公報や特開平5−117225号公報に記載された方法に従って、ブロモ基とメルカプト基の置換を行うことができる。具体的には、工程3で得られた、4−置換スルホニル−1,2−ジブロモベンゼンを、鉄粉と硫黄粉末とを触媒として水硫化ナトリウムと反応させると、臭素基がメルカプト基と置換され、目的とする4−置換スルホニル−1,2−ベンゼンジチオールを得ることができる。
ここで用いられる水硫化ナトリウムの使用量は、通常、4−置換スルホニル−1,2−ジブロモベンゼンに対して1.5〜4.0倍モル、好ましくは1.8〜2.5倍モルである。また、触媒として用いる鉄粉の使用量は、通常4−置換スルホニル−1,2−ジブロモベンゼンに対して0.4〜2.0倍モル、好ましくは0.5〜1.0倍モルである。触媒として用いる硫黄粉末の使用量は、4−置換スルホニル−1,2−ジブロモベンゼンに対して、通常1.0〜20.0重量%、好ましくは1.0〜5.0重量%である。
この工程での反応時の温度は、60〜140℃、特に70〜120℃の範囲に設定するのが好ましい。
(工程5)
工程4で得られた4−置換スルホニル−1,2−ベンセンジチオールを低級アルコール中において、遷移金属の塩および第4級アンモニウム塩と反応させて、置換ベンゼンジチオール金属錯体とする。
ここで用いられる低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール等を挙げることができる。このうち経済性の点でメタノールを用いることが好ましい。
また、遷移金属の塩としては、目的とする置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンの式(1)中に含まれる遷移金属(M)の塩が用いられ、このような塩の具体例としては、塩化銅(II)、塩化コバルト、塩化ニッケル(II)、塩化鉄(III)、ヘキサクロロ白金(IV)酸、臭化銅(II)、臭化コバルト、ヨウ化コバルト、およびヨウ化ニッケル等の遷移金属ハロゲン化物、硝酸銅、硝酸コバルトなどの硝酸塩、硫酸銅、硫酸コバルト等の硫酸塩、酢酸銅、酢酸コバルト等の酢酸塩を挙げることができる。なお、遷移金属の塩として好ましいものは、経済性、反応性の点でハロゲン化物、特に塩化物である。
遷移金属の塩の使用量は、4−置換スルホニル−1,2−ベンゼンジチオールに対して、0.3〜10倍モルに設定することが好ましい。0.3倍モル未満の場合には収率が低く、逆に10倍モルを超えて使用しても収率は向上せず不経済である。
第4級アンモニウム塩としては、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラフェニルアンモニウムブロマイド、テトラフェニルアンモニウムクロライド、テトラベンジルアンモニウムブロマイド、テトラベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等が挙げられ、中でも経済性、反応性等の点で、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライドが好ましい。
このような第4級アンモニウム塩の使用量は、4−置換スルホニル−1,2−ベンゼンジチオールに対して、0.3〜1.0倍モル、特に0.4〜0.9倍モルに設定することが好ましい。0.3倍モル未満の場合には収率が低く、逆に1.0倍モルを超えて使用しても収率は向上せず不経済である。
なお、この工程での反応は、収率を高めることができることから、アルコキシドの存在下で実施することが好ましい。ここで利用可能なアルコキシドとしては、例えばナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウム−tert−ブチラート等が挙げられ、経済性の点でナトリウムメチラートを用いることが好ましい。
このようなアルコキシドを用いる場合の使用量は、4−置換スルホニル−1,2−ベンゼンジチオールに対して、1.5〜10倍モル、特に2.0〜3.0倍モルに設定することが好ましい。1.5倍モル未満の場合には収率が低く、逆に10倍モルを超えて使用しても収率は向上せず不経済である。
この工程での反応時の温度は、15〜100℃、特に20〜95℃の範囲に設定するのが好ましい。また反応時間は、反応温度により最適条件が異なるが、通常1〜3時間である。
本発明の光記録媒体は、基板上の記録層に、色素として上記式(1)の置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンと、好ましくは下記式(3)のシアニン色素カチオンとの塩である光安定化シアニン色素を含有する。
Figure 2004306587
式中、Q1およびQ2は、互いに同じであっても異なっていてもよく、それぞれ縮合環を有してもよい5員の含窒素ヘテロ環を生成させるための原子群を表す。このようなヘテロ環としては、インドレニン環、4,5−ベンゾインドレニン環、5,6−ベンゾインドレニン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ピリジン環、キノリン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、セレナゾール環、ベンゾセレナゾール環、ピリミジン環等がある。これらの環には、ハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノスルファミド基、アルキルアミノ基またはアリール基等が置換していてもよい。
アルキル基としては、総炭素数1〜5のものが好ましく、直鎖状であっても分岐を有していてもよく、場合によってはシクロアルキル基を有するものであってもよい。さらには置換基を有していてもよく、このような置換基としてはハロゲン基(フルオロ基、クロロ基等)などが好ましい。アルキル基としては、特に、総炭素数1〜4の直鎖ないし分岐の置換基を有していてもよいアルキル基が好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、アルキル部分の炭素数が1〜4のものが好ましく、ハロゲン基(フルオロ基等)などで置換されていてもよい。このようなアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、テトラフルオロプロポキシ基等が挙げられる。
アルキルアミノスルファミド基としては、アルキル部分の炭素数が1〜4のものが好ましく、メチルアミノスルファミド基、エチルアミノスルファミド基、プロピルアミノスルファミド基、ブチルアミノスルファミド基等が挙げられる。
アルキルアミノ基としては、アルキル部分の炭素数が1〜4のものが好ましく、モノアルキルアミノ基でもジアルキルアミノ基でもよく、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基等が挙げられる。
アリール基としては、単環であっても縮合環を有するものであってもよく、さらには置換基を有するものであってもよい。また総炭素原子数は6〜20であることが好ましい。具体的には、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基等が好ましい。これらは、さらに置換基を有していてもよく、このような置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、スルファモイル基等が挙げられ、なかでも炭素原子数1〜5のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、neo−ペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基)、アリール基(例えばフェニル基、トリル基、ビフェニル基、ナフチル基)、ハロゲン基(例えばF、Cl、Br,I、好ましくはF,Br)
等が好ましい。
21およびR22は互いに同じであっても異なっていてもよく、それぞれアルキル基を表す。これらの炭素原子数は1〜8であることが好ましく、分岐であってもよい。これらにはヒドロキシ基、ハロゲン基(例えば、F、Cl、Br、I等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)等が置換していてもよい。Lはシアニン色素を完成させるためのメチン鎖を表す。この場合、−(CH=CH)n−CH=であることが好ましく、nは0〜3、特に1〜2であることが好ましい。
これらのうちより好ましいシアニン色素としては、下記式(2)のインドレニン系のものである。すなわち、本発明の光安定化シアニン色素を構成するカチオンと同じものである。
Figure 2004306587
式中、Z1およびZ2は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ縮合ベンゼン環、または縮合ナフタレン環を表し、Z1およびZ2によって完成される環は、インドレニン環、4,5−ベンゾインドレニン環(6,7−ベンゾインドレニン環も含む)または5,6−ベンゾインドレニン環となる。これらの環は前記の置換基が結合していてもよい。R21,R22は前記と同義であり、nは1または2である。
式(2)のシアニン色素カチオンの好適な具体例を、以下に示す。ここでは、式(D−1)〜式(D−8)の表示等に従って示しているものもある。
Figure 2004306587
Figure 2004306587
Figure 2004306587
Figure 2004306587
Figure 2004306587
Figure 2004306587
Figure 2004306587
このような、シアニン色素カチオンは通常ClO4 -、BF4 -、I-等を対イオンとするシアニン色素として存在する。そしてこのようなシアニン色素等と、上記式(1)で表される金属錯体アニオンの4級アンモニウム塩等とを用いて、本発明の光安定化色素が得られる。
具体的には、まずシアニン色素と、金属錯体(4級アンモニウム塩)とを有機溶媒、好ましくはジクロロエタン、ジクロロメタン等に溶解したものを用いる。これに、洗浄用の蒸留水を加えて、混合、分離を好ましくは3回以上行い、洗浄し、不要なイオン成分を除去する。その後、脱水剤、好ましくは無水塩化カルシウム等を加えて脱水し、脱水剤を濾別した後、濃縮し、メタノール等のアルコール系溶剤を加えて本発明の光安定化色素を析出、結晶化させる。
これらの色素は、元素分析、可視吸収スペクトル、赤外吸収スペクトル、マススペクトル、核磁気共鳴吸収スペクトル等によって同定することができる。これらの色素のλmax(80nm厚の色素薄膜で測定)は500〜750nm程度であり、その融点(mp)は80〜280℃程度である。
下記の表2に本発明に用いる光安定化色素の具体例を示す。ここでは、シアニン色素カチオンと置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとの組合せで示しており、具体例には本発明の光安定化色素を含む。
Figure 2004306587
上記の光安定化色素を用いた記録層は、追記型の光記録ディスク(DVD−R、CD−R、CD−RII)に用いることが好ましく、特に上記化合物No.23〜27はCD−Rに好ましく用いることができる。また光安定化色素は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。このような記録層は、上記の色素を含有する塗布液を用いてスピンコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法等により設層することが好ましい。特に、回転する基板上に塗布液を展開塗布するスピンコート法によることが好ましい。
このときの塗布溶媒として、具体的には、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、TFP(2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール)等のアルコール系が好ましく、特に蒸発速度の速いTFP、エチレングリコールモノエチルエーテル等の25℃の蒸気圧が好ましくは、5.3Torr以上、特に5.3〜110Torrのアルコール等が好ましい。これらの溶媒に対する本発明の光安定化シアニン色素の溶解度は極めて高い。これらの溶媒は、各々1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
上記のようなスピンコートの後、必要に応じて塗膜を乾燥させる。このようにして形成される記録層の厚さは、目的とする反射率などに応じて適宜設定されるものであるが、通常、その厚さは、平均で50〜300nm、特に80〜300nm程度が好ましい。
本発明の光記録媒体は、記録層が上記光安定化シアニン色素に加え、さらに1種以上の他の色素や、クエンチャー等の安定剤、あるいはバインダーなどを含有してもよい。また、上記光安定化色素の層と他の色素の層を積層した記録層としてもよい。
このような他の色素のうち、本発明と対アニオンが異なるシアニン色素が好ましく、チアゾール系、オキサゾール系、イミダゾール系、キノリン系、ピリミジン系、インドレニン系、ベンゾインドレニン系等の骨格の種類にかかわらず用いることが可能であり、2種の環を持つ非対称構造であってもよい。また、N−置換基および環置換基にも特に制約はない。また、連結基も非置換または置換されていてもよいモノメチン、ジメチン鎖、トリメチン鎖、ペンタメチン鎖、ヘプタメチン鎖、あるいは5員環または6員環もしくは2個以上の環が縮合した構造のメチン鎖でもよい。これらのうち、特に、対イオンをClO4 -、BF4 -、I-等とするインドレニン系色素が好ましく用いられる。これらの他の色素の添加量は色素全体に対して、60wt%以下、50wt%以下であることが好ましい。
安定性、溶解性などの点から、このようなインドレニン系、およびベンゾインドレニン系シアニン色素が最も適している。波長の調整上、および溶解性から非対称構造としてもよい。また、N側鎖の炭素を1〜5まで調節することで、波長の微妙な調整、および溶解性のさらなる改善が可能となる。この場合、枝分かれの多いアルキル基として溶解性をさらに向上させることもできる。
なお、塗布液における色素含有量は、色素膜の膜厚等に応じて選択すればよく、好ましくは0.5〜5wt% 、さらに好ましくは0.8〜2.5wt% とするのがよい。本発明の光安定化シアニン色素は溶解性が良好であるため、塗布液に対する含有量を容易に調整することができる。なお、塗布液には安定剤のほか、適宜バインダー、分散剤等を含有させてもよい。
基板は、ディスク状のものであり、基板の裏面側からの記録および再生を可能とするために、記録光および再生光(波長500〜900nm程度、とりわけ波長600〜800nm程度、さらには波長630〜690nm程度または750〜800nm程度に対し、実質的に透明(好ましくは透過率88%以上)な樹脂あるいはガラスを用いて形成するのがよい。また、大きさは、直径64〜200mm程度、厚さ0.6〜1.2mm程度のものとする。
基板の記録層形成面には、トラッキング用のグルーブが形成される。
基板は、材質的には、樹脂を用いることが好ましく、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、アモルファスポリオレフィン、ポリスチレン系樹脂等の各種熱可塑性樹脂が好適である。そして、このような樹脂を用いて射出成形等の公知の方法に従って製造することができる。グルーブは、基板の成形時に形成することが好ましい。なお、基板製造後に2P法等によりグルーブを有する樹脂層を形成してもよい。また、場合によってはガラス基板を用いてもよい。
記録層上には、直接密着して反射層が設層される。反射層としては、Au、Ag、Cu、AgCu等の高反射率金属ないし合金を用いるのがよく、特にAu、Agが好ましい。また、これらの金属を積層したものでもよい。反射層の厚さは500A 以上であることが好ましく、蒸着、スパッタ等により設層すればよい。
反射層上には、保護膜が設層される。保護膜は、例えば紫外線硬化樹脂等の各種樹脂材質から、通常は、0.5〜100μm 程度の厚さに設層すればよい。保護膜は、層状であってもシート状であってもよい。保護膜は、スピンコート、グラビア塗布、スプレーコート、ディッピング等の通常の方法により形成すればよい。
DVD−Rのディスク構造は2枚張り合わせ型で、1枚0.6mm厚の基板(通常ポリカーボネート樹脂)上に上記と同様の構成の層を設層し、保護膜同士を接着剤(熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等)で貼り合わせたものである。
このものの基板は前記したCDのものに準じるが、グルーブの深さは0.1〜0.25μm 、幅0.2〜0.4μm 、グルーブピッチは0.5〜1.0μm である。
また記録層の厚さは500〜3000A であり、635nmにおける複素屈折率はn=2.0〜2.6、k=0.02〜0.20である。
本発明の光記録媒体は、密着型の光記録ディスクに限らず、色素を含有する記録層を有するものであれば、いずれであってもよい。このようなものとしては、エアーサンドイッチ構造のピット形成型光記録ディスク等が挙げられ、本発明を適用することによって、同様の効果が得られる。
以下、本発明の具体的実施例を比較例とともに示し、本発明をさらに詳細に説明する。
まず、本発明の光安定化シアニン色素の合成に用いる置換ベンゼンチオール金属錯体の塩の合成例を示す。
合成例1
(置換ベンゼンジチオール金属錯体Q1のアンモニウム塩の合成)
攪拌装置、冷却器および温度計を装着した300mlの四つ口フラスコを用意し、これに1,2−エチレンジクロライド120g および1,2−ジブロモベンゼン76g(0.32モル)を加えて窒素ガスを緩やかに通じながら60%発煙硫酸56g(0.42モル)を滴下し、70℃で2時間反応させた。反応生成液を冷却後に濾過して乾燥し、95g の粗3,4−ジブロモベンゼンスルホン酸を得た。
次に攪拌装置、冷却器および温度計を装着した500mlの四つ口フラスコを用意し、これに得られた粗3,4−ジブロモベンゼンスルホン酸95g 、1,2−エチレンジクロライド225g 、N,N−ジメチルホルムアミド28.5g を加え、さらに塩化チオニル73g(0.61モル)を滴下して60〜65℃で1時間反応させた。この反応生成液を室温にまで冷却した後に水460g 中に滴下し、0〜10℃で0.5時間攪拌した。
得られた反応生成液を分液し、水層を除去して得られた有機層290g にジエチルアミン58g(0.79モル)を滴下して室温で1時間反応させた。これに水200g をさらに添加し、分液して水層を除去した後に溶媒を減圧留去して4−N,N−ジエチルスルファモイル−1,2−ジブロモベンゼン87g を得た。
収率は73%であった。
得られた4−N,N−ジエチルスルファモイル−1,2−ジブロモベンゼン10g にN,N−ジメチルホルムアミド50g 、鉄粉1.2g(0.022モル)および硫黄末0.4g(0.013モル)を加え、さらに70%水硫化ナトリウム5.0g(0.062モル)を、N,N−ジメチルホルムアミド50g に溶解させた液を滴下し、95℃で2時間反応させた。
この溶液に、10%ナトリウムメチラート−メタノール溶液30g(ナトリウムメチラートとして0.056モル)を滴下して1時間攪拌した後、塩化第二銅・2水和物2.3g(0.014モル)をメタノール10g に溶解させた溶液をさらに滴下して、72℃で1時間反応させた。反応液を室温にまで冷却した後に、31%テトラブチルアンモニウムブロマイド−メタノール溶液14.6g(テトラブチルアンモニウムブロマイドとして0.014モル)を滴下し、室温で2時間攪拌して反応させた。
得られた反応液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。留分を濃縮し、目的とする濃緑色の4−N,N−ジエチルスルファモイル−1,2−ベンゼンジチオール銅錯体の固体4.8g を得た。収率は4−N,N−ジエチルスルファモイル−1,2−ジブロモベンゼンに対して、42%であった。なお、得られた4−N,N−ジエチルスルファモイル−1,2−ベンゼンジチオール銅錯体の構造は以下の通りである。
Figure 2004306587
得られた4−N,N−ジエチルスルファモイル−1,2−ベンゼンジチオール銅錯体の分析値および物性を表3に示す。
Figure 2004306587
合成例2
(置換ベンゼンジチオール金属錯体Q10のアンモニウム塩の合成)
合成例1において用いた塩化第二銅・2水和物2.3g(0.014モル)の代わりに、塩化ニッケル(II)6水和物3.2g(0.014モル)を用いた以外は合成例1と同様の操作を行い、4−N,N−ジエチルスルファモイル−1,2−ベンゼンジチオールニッケル錯体の固体5.2g を得た。収率は、4−N,N−ジエチルスルファモイル−1,2−ジブロモベンゼンに対し45%であった。なお、得られた4−N,N−ジエチルスルファモイル−1,2−ベンゼンジチオールニッケル錯体の構造は以下の通りである。
Figure 2004306587
得られた4−N,N−ジエチルスルファモイル−1,2−ベンゼンジチオールニッケル錯体の分析値および物性を表4に示す。
Figure 2004306587
合成例3
(置換ベンゼンジチオール金属錯体Q12のアンモニウム塩の合成)
攪拌装置、冷却器および温度計を装着した300mlの四つ口フラスコを用意し、これに1,2−エチレンクロライド90g および1,2−ジブロモベンゼン45g(0.19モル)を加えて窒素ガスを緩やかに通じながら30%発煙硫酸53.5g(0.20モル)を滴下し、70℃で2時間反応させた。反応生成液を冷却後に濾過して乾燥し、57g の粗3,4−ジブロモベンゼンスルホン酸を得た。
次に攪拌装置、冷却器および温度計を装着した500mlの四つ口フラスコを用意し、これに得られた粗3,4−ジブロモベンゼンスルホン酸57g 、1,2−エチレンジクロライド155g 、N,N−ジメチルホルムアミド18g を加え、さらに塩化チオニル38g(0.32モル)を滴下して60〜65℃で1時間反応させた。この反応生成液を室温にまで冷却した後に水300g 中に滴下し、0〜10℃で0.5時間攪拌した。
得られた反応生成液を分液し、水層を除去して得られた有機層191g にピペリジン35.7g(0.42モル)を滴下して室温で1時間反応させた。これに水150g をさらに添加し、分液して水層を除去した後に溶媒を減圧留去して4−ピペリジルスルホニル−1,2−ジブロモベンゼン53.5g を得た。収率は73%であった。
得られた4−ピペリジルスルホニル−1,2−ジブロモベンゼン10g(0.26モル)にN,N−ジメチルホルムアミド50g 、鉄粉0.8g(0.014モル)および硫黄末0.4g(0.013モル)を加え、さらに70%水硫化ナトリウム4.6g(0.057モル)を、N,N−ジメチルホルムアミド50g に溶解させた液を滴下し、100℃で2時間反応させた。
この溶液に、10%ナトリウムメチラート−メタノール溶液31.2g(ナトリウムメチラートとして0.057モル)を滴下して1時間攪拌した後、塩化ニッケル(II)・6水和物3.4g(0.014モル)をメタノール10g に溶解させた溶液をさらに滴下して、室温で1時間反応させた。その後、32%テトラブチルアンモニウムブロマイド−メタノール溶液14.6g(テトラブチルアンモニウムブロマイドとして0.015モル)を滴下し、室温で2時間攪拌して反応させた。
得られた反応液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。留分を濃縮し、目的とする濃緑色の4−ピペリジルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオールニッケル錯体の固体1.8g を得た。収率は4−ピペリジルスルホニル−1,2−ジブロモベンゼンに対して、16%であった。なお、得られた4−ピペリジルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオールニッケル錯体の構造は以下の通りである。
Figure 2004306587
得られた4−ピペリジルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオールニッケル錯体の分析値および物性を表5に示す。
Figure 2004306587
合成例4
(置換ベンゼンジチオール金属錯体Q3のアンモニウム塩の合成)
合成例3において用いた塩化ニッケル(II)6水和物3.4g(0.014モル)の代わりに、塩化第二銅・2水和物2.5g(0.015モル)を用いた以外は合成例3と同様の操作を行い、4−ピペリジルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオール銅錯体の固体5.1g を得た。収率は、4−ピペリジルスルホニル−1,2−ジブロモベンゼンに対し45%であった。なお、得られた4−ピペリジルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオール銅錯体の構造は以下の通りである。
Figure 2004306587
得られた4−ピペリジルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオール銅錯体の分析値および物性を表6に示す。
Figure 2004306587
合成例5
(置換ベンゼンジチオール金属錯体Q14のアンモニウム塩の合成)
攪拌装置、冷却器および温度計を装着した300mlの四つ口フラスコを用意し、これに1,2−エチレンジクロライド80g および1,2−ジブロモベンゼン51g(0.22モル)を加えて窒素ガスを緩やかに通じながら60%発煙硫酸38g(0.29モル)を滴下し、70℃で2時間反応させた。反応生成液を冷却後に濾過して乾燥し、51g の粗3,4−ジブロモベンゼンスルホン酸を得た。
次に攪拌装置、冷却器および温度計を装着した500mlの四つ口フラスコを用意し、これに得られた粗3,4−ジブロモベンゼンスルホン酸51g 、ベンゼン155g(1.98モル)、N,N−ジメチルホルムアミド20g を加え、さらに塩化チオニル27g(0.23モル)を滴下して60〜65℃で1時間反応させた。この反応生成液を室温にまで冷却した後に水300g 中に滴下し、0〜10℃で0.5時間攪拌した。
得られた反応生成液を分液し、水層を除去して得られた有機層280g に塩化アルミニウム28g(0.21モル)を滴下して75℃で1時間反応させた。これに水300g をさらに添加し、分液して水層を除去した後に溶媒を減圧留去して4−フェニルスルホニル−1,2−ジブロモベンゼン38g を得た。収率は47%であった。
得られた4−フェニルスルホニル−1,2−ジブロモベンゼン5.1g(0.014モル)にN,N−ジメチルホルムアミド35g 、鉄粉0.7g(0.013モル)および硫黄末0.3g(0.0094モル)を加え、さらに70%水硫化ナトリウム2.5g(0.031モル)を、N,N−ジメチルホルムアミド25g に溶解させた液を滴下し、95℃で2時間反応させた。
この溶液に、11%ナトリウムメチラート−メタノール溶液15.6g(ナトリウムメチラートとして0.0285モル)を滴下して1時間攪拌した後、ニッケル(II)6水和物1.7g(0.0072モル)をメタノール6g に溶解させた溶液をさらに滴下して、72℃で1時間反応させた。反応液を室温にまで冷却後、25%テトラブチルアンモニウムブロマイド−メタノール溶液9.3g(テトラブチルアンモニウムブロマイドとして0.0071モル)を滴下し、室温で2時間攪拌して反応させた。
得られた反応液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。留分を濃縮し、目的とする濃緑色の4−フェニルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオールニッケル錯体の固体2.8g を得た。収率は4−フェニルスルホニル−1,2−ジブロモベンゼンに対して、48%であった。なお、得られた4−フェニルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオールニッケル錯体の構造は以下の通りである。
Figure 2004306587
得られた4−フェニルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオールニッケル錯体の分析値および物性を表7に示す。
Figure 2004306587
合成例6
(置換ベンゼンジチオール金属錯体Q4のアンモニウム塩の合成)
合成例5において用いた塩化ニッケル(II)6水和物1.7g(0.0072モル)の代わりに、塩化第二銅・2水和物1.2g(0.0070モル)を用いた以外は合成例1と同様の操作を行い、4−フェニルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオール銅錯体の固体3.3g を得た。収率は、4−フェニルスルホニル−1,2−ジブロモベンゼンに対し57%であった。なお、得られた4−フェニルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオール銅錯体の構造は以下の通りである。
Figure 2004306587
得られた4−フェニルスルホニル−1,2−ベンゼンジチオール銅錯体の分析値および物性を表8に示す。
Figure 2004306587
合成例7
(置換ベンゼンジチオール金属錯体Q9のアンモニウム塩の合成)
攪拌装置、冷却器および温度計を装着した300mlの四つ口フラスコを用意し、これに1,2−エチレンジクロライド90g および1,2−ジブロモベンゼン45g(0.19モル)を加えて窒素ガスを緩やかに通じながら30%発煙硫酸53.5g(0.20モル)を滴下し、70℃で2時間反応させた。反応生成液を冷却後に濾過して乾燥し、57g の粗3,4−ジブロモベンゼンスルホン酸を得た。
次に攪拌装置、冷却器および温度計を装着した500mlの四つ口フラスコを用意し、これに得られた粗3,4−ジブロモベンゼンスルホン酸57g 、1,2−エチレンジクロライド155g 、N,N−ジメチルホルムアミド18g を加えて塩化チオニル38g(0.32モル)を滴下し、60〜65℃で1時間反応させた。この反応生成液を室温まで冷却した後に水300g 中に滴下し、0〜10℃で0.5時間攪拌した。
得られた反応生成液を分液し、水層を除去して得られた有機層191g にモルホリン36.6g(0.42モル)を滴下して室温で1時間反応させた。さらに水150g を添加し、分液して水層を除去した後に溶媒を減圧留去し、4−モルホリノスルホニル−1,2−ジブロモベンゼン54.9g を得た。収率は75%であった。
得られた4−モルホリノスルホニル−1,2−ジブロモベンゼン10g(0.
026モル)にN,N−ジメチルホルムアミド50g 、鉄粉0.8g(0.014モル)および硫黄末0.4g(0.013モル)を加え、さらに70%水硫化ナトリウム4.6g(0.057モル)を、N,N−ジメチルホルムアミド50g に溶解させた液を滴下して100℃で2時間反応させた。
この溶液に、10%ナトリウムメチラート−メタノール溶液31.2g(ナトリウムメチラートとして0.057モル)を滴下して1時間攪拌した後、塩化第二銅・2水和物2.5g(0.015モル)をメタノール10g に溶解させた溶液をさらに滴下して室温で1時間反応させた。その後、32%テトラブチルアンモニウムブロマイド−メタノール溶液14.6g(テトラブチルアンモニウムブロマイドとして0.015モル)を滴下し、室温で2時間攪拌して反応させた。
得られた反応液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。留分を濃縮し、目的とする濃緑色の4−モルホリノスルホニル−1,2−ベンゼンジチオール銅錯体の固体4.8g を得た。収率は4−モルホリノスルホニル−1,2−ジブロモベンゼンに対して42%であった。なお、得られた4−モルホリノスルホニル−1,2−ベンゼンジチオール銅錯体の構造式は下記の通りである。
Figure 2004306587
得られた4−モルホリノスルホニル−1,2−ベンゼンジチオール銅錯体の分析値および物性値を表9に示す。
Figure 2004306587
実施例1
(光安定化シアニン色素の合成)
<例示化合物No.1の合成>
上記例示のシアニン色素カチオンD−8−6のClO4 -塩および上記合成例1の金属錯体アニオンQ1(置換基R=−N(C252)のテトラブチルアンモニウム塩それぞれ0.001mol を1,2−エチレンジクロライド20mlに溶解した。分液ロートを用いて蒸留水20mlとよく振った後、水層を分離して捨てた。この1,2−エチレンジクロライド層をさらに20mlの蒸留水で2回洗浄した後、1,2−エチレンジクロライド層に粒状の無水塩化カルシウムを加えて脱水した。これを一晩放置した後、塩化カルシウムを濾過し、濾液をエバポレータで濃縮した後、メタノールを加えて目的の塩形成色素(例示化合物No.1)を析出、結晶化させた。
<例示化合物No.2〜5、7、18、27、69、92、94、105〜107の合成>
例示化合物No.1と同様にして、対応するシアニン色素カチオンの塩と金属錯体アニオンの塩とから合成した。
なお、表2中の他の例示化合物も同様に合成することができた。
(比較の色素の合成)
例示化合物No.1と同様にして、下記の金属錯体の塩(Q21塩、Q22塩)を用い、色素カチオンD−1−1、D−8−6、D−6−1、D−3−4と下記のように組み合わせて、比較の色素化合物No.201〜203、205を合成した。なお、化合物No.204として色素カチオンD−6−1のClO4 -塩も用意した。
Figure 2004306587
Figure 2004306587
これらのシアニン色素は、吸収極大波長とモル吸光係数、中心金属の定量分析によって同定することができた。
上記で合成した本発明の光安定化色素は、溶剤に対する溶解性が改善されており、特に蒸発速度の速いTFP等への溶解度が非常に高くなっている。また、置換ベンゼンジチオール金属錯体そのもの(テトラブチルアンモニウム塩)の融点が一般に低いのに対し、シアニン色素を用いて塩形成させたものは、一部の例外を除き多くの場合融点が高くなり、安定化されている。以下の表10に金属錯体の融点と、シアニン色素を用いて塩形成させた後の本発明の化合物No.1〜5、105、87の融点を示す。
Figure 2004306587
実施例2
(光記録層を設層したサンプルの作製)
ポリカーボネートを射出成形し、120mm径、厚さ1.2mmの基板を得た。基板の記録層形成面には、グルーブは設けなかった。
<サンプル11>
この樹脂基板上に、本発明の置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンQ1と、シアニン色素カチオンD−1−1とのイオン結合体(化合物No.7)を用い、実施例1と同様にして得た光安定化シアニン色素の2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール1.0wt% 溶液を用いてスピンコート法により塗布を行い、乾燥して色素膜100nmを得た。塗布時間は20秒であった。この膜に膜面上で80,000lux のキセノンランプ(Xeランプ)の光を照射したが、100時間後でも、97%の色素が残存していた(色素残存率97%)。
なお、色素残存率(%)は、光照射前の初期透過率T0(%)と光照射後の透過率T(%)を測定し、下記式に従って算出したものである。以下においても同じである。
色素残存率(%)=(100−T)×100/(100−T0
結果を表11に示す。
<サンプル12>
サンプル11と同様にして、置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンQ1と、シアニン色素カチオンD−8−6の光安定化シアニン色素(化合物No.1)を用い、塗布を行い、乾燥して色素膜100nmを得た。塗布時間は20秒であった。この膜に80,000lux のXeランプの光を照射したが、100時間後でも、98%の色素が残存していた。結果を表11に示す。
<サンプル13>
サンプル11と同様にして、置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンQ2と、シアニン色素カチオンD−8−6の光安定化シアニン色素(化合物No.2)を用い、塗布を行い、乾燥して色素膜100nmを得た。塗布時間は20秒であった。この膜に80,000lux のXeランプの光を照射したが、100時間後でも、98%の色素が残存していた。結果を表11に示す。
<サンプル14>
サンプル11と同様にして、置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンQ3と、シアニン色素カチオンD−8−6の光安定化シアニン色素(化合物No.3)を用い、塗布を行い、乾燥して色素膜100nmを得た。塗布時間は20秒であった。この膜に80,000lux のXeランプの光を照射したが、100時間後でも、99%の色素が残存していた。結果を表11に示す。
<サンプル15>
置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンQ1と、シアニン色素カチオンD−8−6の光安定化シアニン色素(化合物No.1)のエチルセロソルブ2.3wt% 溶液を用いてスピンコート法により塗布を行い、乾燥して色素膜100nmを得た。塗布時間は40秒であった。この膜に80,000lux のXeランプの光を照射したが、100時間後でも、98%の色素が残存していた。結果を表11に示す。
<サンプル16>
サンプル15と同様にして、置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンQ2と、シアニン色素カチオンD−8−6の光安定化シアニン色素(化合物No.2)を用い、塗布を行い、乾燥して色素膜100nmを得た。塗布時間は40秒であった。この膜に80,000lux のXeランプの光を照射したが、100時間後でも、97%の色素が残存していた。結果を表11に示す。
<サンプル17>
サンプル11と同様にして、置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンQ1と、シアニン色素カチオンD−3−4の光安定化シアニン色素(化合物No.18)を用い、塗布を行い、乾燥して色素膜100nmを得た。塗布時間は20秒であった。この膜に80,000lux のXeランプの光を照射したが、100時間後でも、98%の色素が残存していた。結果を表11に示す。
<サンプル18>
サンプル11と同様にして、置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンQ2と、シアニン色素カチオンD−3−4の光安定化シアニン色素(化合物No.106)を用い、塗布を行い、乾燥して色素膜100nmを得た。塗布時間は20秒であった。この膜に80,000lux のXeランプの光を照射したが、100時間後でも、97%の色素が残存していた。結果を表11に示す。
Figure 2004306587
表11から明らかなように、本発明の光安定化シアニン色素は、DVD−RやCD−R等の光ディスクに用いることにより、きわめて短時間に光記録層を形成することができ、製造効率を格段に向上させることができる。また、物理的に安定した特性を示し、記録再生特性も良好であることが予想される。なお、上記サンプルNo.11〜16は特にDVD−R用に、サンプルNo.17,18は特にCD−R用にそれぞれ適している。
比較例1
(光記録層を設層したサンプルの作製)
<サンプル21>
実施例2と同様にして、基板上に上記金属錯体アニオンQ21とシアニン色素カチオンD−1−1とのシアニン色素塩(上記比較化合物No.201)の、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール(TFP)溶液を用い、スピンコート法により塗布を行おうとしたところ、塩形成色素はほとんどTFPに溶解しないため塗布できなかった。結果を表12に示す。
<サンプル22>
サンプル21と同様にして、上記金属錯体アニオンQ21とシアニン色素カチオンD−8−6とのシアニン色素塩(上記比較化合物No.202)の、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール(TFP)溶液を用い、塗布を行おうとしたところ、塩形成色素の溶解度が低いため塗布できなかった。結果を表12に示す。
<サンプル23>
サンプル21と同様にして、溶解性の高い上記金属錯体の塩(Q22塩)を構成するアニオンQ22とシアニン色素カチオンD−6−1とのシアニン色素塩(上記比較化合物No.203)の、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール(TFP)溶液を用い、塗布を行おうとしたところ、塩形成色素は0.5wt%しか溶解せず、十分な膜厚を得ることができなかった。結果を表12に示す。
<サンプル24>
サンプル21と同様にして、シアニン色素カチオンD−6−1の過塩素酸塩(ClO4)(上記比較化合物No.204)の、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール(TFP)3wt%溶液を用い、塗布を行い、乾燥して色素膜190nmを得た。塗布時間は30秒であった。この膜に80,000lux のXeランプの光を照射したが、20時間で無色透明に脱色してしまった。結果を表12に示す。
<サンプル25>
サンプル21と同様にして、溶解性の高い上記金属錯体の塩(Q22塩)とシアニン色素カチオンD−3−4とのシアニン色素塩(上記比較化合物No.205)の、ジアセトンアルコール溶液を用い、塗布を行い、乾燥して均一な色素膜200nmを得た。塗布時間は60秒を要した。この膜に80,000lux のXeランプの光を照射したが、100時間後でも、95wt%の色素が残存していた。結果を表12に示す。
<サンプル26>
サンプル21と同様にして、溶解性の高い上記金属錯体の塩(Q22塩)を構成するアニオンQ22とシアニン色素カチオンD−6−1とのシアニン色素塩(上記比較化合物No.203)の、ジアセトンアルコール溶液を用い、塗布を行い、乾燥して均一な色素膜190nmを得た。塗布時間は60秒を要した。この膜に80,000lux のXeランプの光を照射したところ、100時間後で、45%の色素しか残存しなかった。結果を表12に示す。
Figure 2004306587
表11、表12から明らかなように、従来、ジアセトンアルコールなど蒸発速度の遅い溶剤でのみ塗布可能であったものが、本発明の光安定化シアニン色素はTFP等の蒸発速度の速い溶剤にも容易に溶解し、塗布時間は1/2と大幅に短縮されている。特に今後使用が期待されている短波長記録用色素の一つであるモノメチンシアニン色素とトリメチンシアニン色素に対して、従来のクエンチャアニオンを対イオンとする光安定化色素より耐光性を格段に向上させることができた。また対イオンがClO4 -、BF4 -、I-等のシアニン色素はTFPにきわめて溶けやすいが、光照射によって容易に退色、劣化してしまい実用に耐えない。
なお、表2の他の本発明の例示化合物でも同等の結果を得た。
実施例5
〔光記録ディスク(CD−R用)の作成〕
ポリカーボネートを射出成形し、120mm径、厚さ1.2mmの基板を得た。基板の記録層形成面には、グルーブピッチ1.6μm 、グルーブ幅0.48μm 、グルーブ深さ160nmのトラッキング用のグルーブを形成した。
上記ポリカーボネート樹脂基板上に、スピンコート法により例示化合物No.
27(D−3−8・Q1)を含有する記録層を2000A(200nm)の厚さに形成した。この場合の塗布液として、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール1.0wt% 溶液を用いた。次に、この記録層にAu反射膜を850A の厚さにスパッタ法により形成し、さらに紫外線硬化型のアクリル樹脂の透明な保護層(膜厚5μm)を形成し、これをディスクサンプルNo.31とした。
ディスクサンプルNo.31において、さらに、シアニン系色素として、D−3−8のClO4 -塩を前記色素に対し40wt%添加したものを用いて記録層を形成するほかは同様にしてディスクサンプルNo.32を作製した。
このようにして作製したディスクサンプルNo.31に対し、半導体レーザー(発振波長780nm)を使用して、線速1.2m/秒で記録特性を調べたところ、6.0mWのレーザーパワーで記録を行うことができた。また、半導体レーザー(発振波長780nm)を使用して、再生特性を調べたところ、反射率70%以上、変調度68%、Rtop 67%であった。これは、オレンジブック規格に準拠した良好な特性を示す光記録ディスクであることがわかった。
ディスクサンプルNo.32に対し、ディスクサンプルNo.31と同様にして記録特性を調べたところ、5.7mWのレーザーパワーで記録を行うことができた。また、ディスクサンプルNo.31と同様に再生特性を調べたところ、反射率70%以上、変調度70%、Rtop 68%であった。これは、オレンジブック規格に準拠した良好な特性を示す光記録ディスクであることがわかった。
実施例6
〔光記録ディスク(DVD−R用)の作成〕
ポリカーボネートを射出成形し、120mm径、厚さ0.6mmの基板を得た。基板の記録層形成面には、グルーブピッチ0.8μm 、グルーブ幅0.30μm 、グルーブ深さ140nmのトラッキング用のグルーブを形成した。
上記ポリカーボネート樹脂基板上に、スピンコート法により例示化合物No.103(D−7−7・Q9)を含有する記録層を1000A(100nm)の厚さに形成した。この場合の塗布液として、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール1.2wt% 溶液を用いた。次に、この記録層にAu反射膜を850A の厚さにスパッタ法により形成し、さらに紫外線硬化型のアクリル樹脂の透明な保護層(膜厚5μm)を形成し、この保護膜を内側にして接着剤を用いて貼り合わせ、これをディスクサンプルNo.33とした。
ディスクサンプルNo.33において、さらに、シアニン系色素として、D−8−6のClO4 -塩を前記色素に対し30wt%添加したものを用いて記録層を形成するほかは同様にしてディスクサンプルNo.34を作製した。
このようにして作製した光記録ディスクのディスクサンプルNo.33、No.34に対し、レーザー(発振波長635nm)を使用して、線速3.8m/秒で、記録再生特性を調べたところ良好な特性を示した。
実施例7
実施例5において、記録層を、本発明の光安定化シアニン色素とシアニン系色素とを表13のような組合せおよび量比で用いた2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール1.2wt%溶液を各々用いて形成するほかは同様にしてディスクサンプルを作製し、実施例5と同様の条件で記録・再生特性(ディスク特性)を調べた。
記録特性については、最適記録パワーを調べた。また、再生特性については、反射率、Rtop、変調度(I11Mod)、ジッター(Jitter)を調べた。反射率はいずれのサンプルについても70%以上であった。Rtop、変調度、ジッター、最適記録パワーについて表13に示す。ジッターについてはランド部とピット部の両方を示す。
Figure 2004306587
表13により、いずれもオレンジブック規格に準拠した良好な特性を示す光記録ディスクであることがわかった。
実施例8
実施例7において、Au反射膜の代わりにAg反射膜を用いるほかは同様にして、ディスクサンプルを作製し、実施例7と同様にして記録・再生特性を調べた。
反射率はいずれのサンプルについても70%以上であった。Rtop、変調度、ジッター、最適記録パワーについて表14に示す。
Figure 2004306587
表14より、いずれもオレンジブック規格に準拠した良好な特性を示す光記録ディスクであることがわかった。
実施例9
実施例7において、記録層を、本発明の光安定化色素とシアニン系色素とを以下に示すような組合せおよび量比で用いた2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール1.0wt%溶液を各々用いて形成するほかは同様にしてディスクサンプル(No.91〜94)を作製し、実施例7と同様にして記録・再生特性を調べたところ、実施例7と同様に良好な特性が得られることがわかった。
サンプルNo.
91 化合物No.87/化合物No.110/(D-4-6)・ClO4=60/10/30(重量比)、
92 化合物No.85/(D-4-6)・ClO4/(D-10-4)・ClO4=60/35/5(重量比)、
93 化合物No.94/(D-4-6)・BF4/(D-9-5)・ClO4=50/40/10(重量比)、
94 化合物No.94/(D-4-6)・ClO4/(D-9-5)・ClO4=65/35/10(重量比)。
実施例10
実施例9において、Au反射膜の代わりにAg反射膜を用いるほかは同様にして、ディスクサンプルを作製し、実施例7と同様にして記録・再生特性を調べたところ、実施例8と同様に良好な特性が得られることがわかった。

Claims (4)

  1. 下記式(1)で表される置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンを対イオンとするシアニン色素を含有する記録層を有する光記録媒体。
    Figure 2004306587
  2. 基板を有し、基板上に設けられた記録層が含有するシアニン色素が、下記式(3)で表されるシアニン色素カオチンと、式(1)で表される置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとの塩からなる色素である請求項1記載の光記録媒体。
    Figure 2004306587
    [式中、Q1およびQ2は、それぞれ縮合環を有してもよい5員の含窒素ヘテロ環を形成するための原子群を表す。R21およびR22はそれぞれアルキル基を表す。
    Lはシアニン色素を完成させるためのメチン鎖を表す。]
  3. 前記記録層は25℃の蒸気圧が5.3Torr以上の溶媒を用いた溶液を塗布して形成されている請求項1または2記載の光記録媒体。
  4. 前記記録層は、さらに1種類以上の他の色素を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の光記録媒体。
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