JP2004303872A - 熱電変換モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】半田と熱電半導体素子側面の接触を防ぎ、熱電半導体素子の優れた特性を生かし、製造ばらつきを抑え、高い性能を有する生産性に優れた熱電変換モジュールを提供する。
【解決手段】熱電変換モジュールにおいて複数個のP型およびN型熱電半導体素子を電極に半田で接合し、前記熱電半導体素子と電極間にNiを主成分とする金属層と半田層を有する構造であって、前記金属層が前記熱電半導体素子の側面より熱電半導体素子の一辺に対して少なくとも80%の領域において出っ張っていることを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱電変換モジュールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱電変換モジュール50は図1に示すように、P(Positive)型の熱電半導体素子1とN(Negative)型の熱電半導体素子2とをπ字形あるいは逆π字形に交互に配置し、電気的には直列に熱的には並列に接続している。電極5により電気的に直列に繋がった熱電半導体素子1,2にリード線6,7を介して矢印で示す方向に電気を流すことにより、絶縁基板3、4間で熱の移動が起こって温度差を得たり(ペルチェ効果)、その逆に絶縁基板3と絶縁基板4との間に温度差をつけることにより、リード線6,7から熱起電力を得たり(ゼーベック効果)することが出来る。ペルチェ効果を利用した熱電変換モジュールは、医療用や工業用の実験器具の温度コントロール、アウトドア用保温庫、ホテルの冷蔵庫やパソコンのCPUの冷却用などに使用されている。近年、インターネットの世界的な普及に伴い、高速かつ大容量の光通信網の需要が高まってきており、光通信関連の主要部品であるレーザーモジュールの温度制御に熱電変換モジュールが使用され始め、小型で高性能、高信頼性の熱電変換モジュールの要求が高まってきている。
【0003】
ペルチェ効果により電気エネルギーを熱エネルギーに変換したり、ゼーベック効果により熱エネルギーを電気エネルギーに変換したりする熱電半導体は、主に、溶解した原料を方向性凝固させたブロック状、または粉末材料を成形,焼結したブロック状の熱電半導体をスライサー等によって所定の寸法に切断することによって作製している。熱電半導体は、その利用温度域で物質固有の定数であるゼーベック係数αと比抵抗ρと熱伝導率κによって表される性能指数Z=α/(ρ・κ)の大きな材料が用いられる。多くの熱電半導体は結晶構造に起因した熱電特性の異方性を持ち、性能指数Zが結晶方位により異なることが知られている。一般に用いられる熱電半導体の材料ははBiTe、SbTeおよびBiSeの混晶系であるが、同材の単結晶はC面内に結晶軸を持つ方向が最も優れた熱電特性を示し、C面内方向に電気を流すと最も効率の良い熱電変換ができる。このため、BiTe、SbTeおよびBiSeの混晶系を使った多結晶溶製材や粉末焼結材も高い熱電特性を得るために、C面が特定の軸あるいは特定の面に配向するように作られている。
【0004】
熱電変換モジュール絶縁基板の吸熱側から放熱側への熱の移動は、熱電半導体内に流れる電流密度が高くなるほど増加する。しかし、熱電半導体の持っている固有の抵抗によって発生するジュール熱も増大するため、温度差によって生じる放熱側から吸熱側への熱の逆流も起こる。結果これらのペルチェ効果、ジュール熱および熱の逆流のバランスにより放熱側と吸熱側の温度差が決まるものである。前記熱バランスにより、熱電変換モジュールの放熱側と吸熱側の温度差は、熱電変換モジュールに流す電流に対して極大値を取り、この時の温度差の値を最大温度差と言う。最大温度差が得られる電流値を最大電流値と言い、最大電流値で吸熱出来る量を最大吸熱量と言う。一般に熱電変換モジュールの性能は、最大温度差および最大吸熱量が高いほど高性能と言われる。
【0005】
高性能な熱電変換モジュールを得るために、熱電半導体の性能指数Zの大きな材料を使い、最適な熱電半導体素子の寸法,配置設計を行うことが必要である。特に、熱電半導体素子の寸法は熱電変換モジュールを作る上で重要であり、出来るだけ高い電流密度で最大温度差が得られるように、用いる熱電半導体の性能指数Zに合った素子寸法を設計することが求められる。
【0006】
熱電変換モジュールは熱電半導体素子を電極に半田付けを行って作製されるが、熱電変換モジュールの性能は半田層厚および熱電半導体の端面に付加された金属層厚にも影響される。金属層は熱電半導体と半田の接合を助けるために、熱電半導体端面に無電解めっきで形成されている。金属層はニッケル(Ni)を主成分とする金属であり、半田接合作業時にニッケル表面に酸化物が生成されないように、ニッケルめっき層の上に薄く金(Au)めっきを施した2層構造となっている。半田層および金属層は電極から熱電半導体へ電流を流す導電体の役割と熱電半導体から伝えられる熱を伝達する役割がある。半田層および金属層が厚くなると熱の伝達が悪くなり、熱電変換モジュールの性能が落ちることになる。そのため、半田層および金属層の厚みは可能な限り薄くすることが求められる。本明細書では、熱電半導体に金属層を付加したものを熱電半導体素子と称している。
【0007】
【発明の解決しようとする課題】
高い性能指数Zを有する熱電半導体材料を使って最適な熱電半導体素子の寸法、配置設計を行っても、図7に示すように半田付けの際に起こる半田と熱電半導体側面の接触により、熱電変換モジュールの性能が低下するだけでなく熱電変換モジュール間で特性のばらつきが生じた。熱電半導体12に金属層8が付加され熱電半導体素子30が形成されている。絶縁基板3に設けられた電極5と熱電半導体素子30が半田9で電気的、熱的に接続されている。熱電半導体12の側面と金属層8の端面が同一であるので、半田9は盛り上がり熱電半導体12の対向側面に接触するものである。熱電半導体側面に半田が接触すると、電流の一部が熱電半導体より電気抵抗が低い半田へ流れ熱電半導体素子内部に流れる電流が減少することとなる。熱電半導体内の電流密度の減少により、最大温度差や最大吸熱量が低下してしまうため、性能の低下やばらつきが発生することが判った。
【0008】
半田と熱電半導体側面の接触を防ぐ方法として、半田付け性を良くする目的で熱電半導体素子に付ける金属層の膜厚を厚くする方法が考えられる。しかし金属層をあまり厚くすると、熱伝導が悪くなり熱電半導体に電気を流すことによって移動してきた熱が伝わり難くなり、最大温度差や最大吸熱量も低下する。また、金属層を厚くすることは無電解めっきの時間が長くなることであり、製造コストの面でもデメリットが多い。
【0009】
本発明は、高い熱電半導体の性能指数を生かし、高性能でばらつきが少なく生産性に優れた熱電変換モジュールを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱電変換モジュールは、上下一対の絶縁基板の対向面の各々のパターンを有する電極を形成し、上下端面に金属層を形成した複数のP型およびN型熱電半導体素子に、P型およびN型では上下逆方向に電流が流れるように、前記電極間で挟持するように半田で電極に接合する構造であって前記金属層が前記熱電半導体素子の側面より熱電半導体素子端面の一辺当り少なくとも80%の領域において出っ張っていることが望ましい。
【0011】
熱電変換モジュールを構成するP型およびN型熱電半導体素子は、BiTeやSbTe、BiSe等の混晶系の結晶材あるいは焼結材の熱電半導体の材料ブロックを所定の厚みにスライスした後、金属層としてNi−PやNi−B等の無電解めっきを行ったのち、金めっきを施し、所定の寸法に切断加工することにより得る。無電解めっきではなくNiの電解めっきを使用することもできる。金属層を付加した熱電半導体の材料ブロックを所定の熱電半導体素子寸法に切断する時、ワイヤーソーを用い、切断加工条件を制御することで、金属層を熱電半導体の側面より出っ張らすことが容易に出来る。切断加工にワイヤーソーを用いることが好ましいが、金属層を熱電半導体側面より所定量出っ張らせることが出来れば、ワイヤーソー加工に限定されるものではない。
【0012】
金属層の出っ張りとは、熱電半導体の側面よりも前記金属層が突出していることを指している。金属層の出っ張りは熱電半導体素子と電極を半田付けする際に半田が熱電半導体の側面へ流れ込むのを堰き止める役割を担う。半田はSn−Pb系の有鉛半田、Sn−Sb系、Sn−Ag−Cu系、Au−Sn系等の無鉛半田を使用することが出来る。金属層の出っ張りにより、半田と熱電半導体側面の接触を防ぐことが出来るので、半田との接触による熱電半導体に流れる電流が減ぜられることがなく、熱電変換モジュールの性能低下を防ぐことができる。また、長期間に渡る熱電変換モジュールの使用中に半田成分が熱電半導体中に拡散すると、熱電半導体の特性である性能指数の低下を起こし、熱電変換モジュールの性能低下や信頼性が低下する。特に半田成分のSnの影響が大きいため、無鉛半田を用いても半田と熱電半導体が接触する限り、性能低下や信頼性の低下は防ぐことができないものである。本発明の金属層を熱電半導体側面より出っ張らせ、半田の堰き止め効果を得ることは、性能低下防止だけでなく、信頼性の向上にも好ましいものである。
【0013】
金属層の出っ張りが溶融した半田の流れ込みを堰き止める役割を十分果たすには、熱電半導体端面の一辺当り80%以上の領域が出っ張っていることが望ましい。一つの未出っ張り領域は熱電半導体端面の一辺の長さの1/10未満であることが好ましいが、1/5未満であれば半田の堰き止め効果は得られる。複数の未出っ張り領域が存在している場合は、総未出っ張り領域長が熱電半導体端面の一辺に対して20%未満であれば良いものである。
【0014】
金属層の出っ張り部の厚みは一様である必要はなく、例えば外側にかけて厚みが薄くなっても十分役割を果たすことが出来る。
【0015】
本発明の熱電変換モジュールは、金属層の出っ張り量は1μm以上で、最大出っ張り量は熱電変換モジュールにおける隣接する熱電半導体間距離の1/4以下であることが望ましい。
【0016】
金属層の出っ張り量eは、次の様に定義される。熱電半導体端面の各辺の略中央部で出っ張っている量aからdを測定し、出っ張り量e=(a+b+c+d)/4で求める。各辺の略中央部が未出っ張り部であった場合は、近傍の出っ張り部で測定する。金属層の出っ張り量eが1μmよりも短い場合、溶融した半田の流れ込みを十分に堰き止めることが出来ず、半田と熱電半導体素子側面が接触し熱電変換モジュールの性能が低下することになる。
【0017】
金属層の出っ張り量は大きいほど溶融した半田の流れ込みを堰き止める効果は大きいが、大き過ぎると他の電極や隣接する熱電半導体と接触しショートする問題がある。隣接する熱電半導体との間隔fとは、電極側から見て一つの熱電半導体の上下左右、斜め上下に配された熱電半導体間の間隔を言い、金属層間の間隔ではない。熱電半導体を碁盤目に配した場合、間隔fは上下左右、斜め上下で異なる値を持つことになる。
【0018】
最大出っ張り量は、間隔fの1/2未満であれば他の熱電半導体素子と接触しないことになるが、半田量のばらつきや熱電半導体素子の配置位置のばらつき、電極寸法、位置のばらつきがあるため、接触する危険性は排除できない。前述ばらつきを考慮すると、最大出っ張り量隣接する熱電半導体との間隔fの1/4以下であることが望ましい。同一電極に取り付けられる側の熱電半導体の金属層の出っ張りは間隔fの1/4に係わらず、大きくても構わないものである。最悪隣接素子の金属層と接触しても良い。しかし、他方の側は隣接素子とは別電極に接続されることとなるため、金属層の出っ張りは前述間隔fの1/4以下が望ましい。熱電半導体の金属層と接する面の大きさは0.8mm角程度であるので、金属層の出っ張り量を測定しながら、同一電極に接合される側か別電極に接合される側か判断して区分けする方がコスト的にはかかってしまう。そのため、同一電極側も別電極側も同じ様に金属層の出っ張りは、間隔の1/4と規定するほうが製造的にはメリットがある。
【0019】
本発明の熱電変換モジュールは、金属層の熱電半導体側面からの出っ張り部の、電極側への反り量gは5μm以下とすることが望ましい。
【0020】
金属層の電極側への反りとは、金属層の出っ張り部が半田と接合する方へ反っていることを言い、反り量gは金属層表面に対して垂直方向への飛び出し量を指すものである。金属層の熱電半導体側への反り量は特に規定する必要はないものである。ただし、金属層が折れ曲がり金属層先端部が熱電半導体と接触することは避ける必要がある。金属層先端部が熱電半導体と接触すると電気抵抗の小さい金属層に電流が流れ、熱電半導体に流れる電流の低下を招くことになる。これは、半田が熱電半導体に接触した状態と同じで、熱電変換モジュールの性能を低下させることとなる。
【0021】
反り量gが5μmを越えた場合、半田による電極との接合の際に半田層の中に気泡が入り込み半田の熱伝導性を著しく低下させ、熱電変換モジュールの性能を低下させることがある。気泡が半田層に入り込むと熱電半導体素子と電極の接合強度が減少し、最悪剥れてしまうことがある。また、反り量gが大きいと半田層厚みを大きくしてしまうことにもなり、これもまた熱電変換モジュールの性能を低下させることとなる。これらのことから、電極側への反り量gは5μm以下とすることが望ましい。
【0022】
本発明による熱電変換モジュールは、金属層を熱電半導体側面から出っ張らせることにより半田と熱電半導体側面の接触を防止することができるため熱電半導体の性能指数を最大限に引き出すことが可能となり、1段構造の熱電変換モジュールで最大温度差90℃以上の特性が得られる。
【0023】
1段構造の熱電変換モジュールとは、電極パターン付の絶縁基板2枚の間にP型およびN型の熱電半導体素子をそれぞれπ字形あるいは逆π字形に交互に配置して、電極に半田接合た熱電変換モジュールを指す。2段以上の多段構造の熱電変換モジュールは、電極パターン付の絶縁基板を3枚以上使用しそれぞれの基板の間に熱電半導体素子を配置した熱電変換モジュールを指し、1段構造の熱電変換モジュールを複数重ねたような構造となる。この多段構造の熱電変換モジュールは、最大温度差をより高くしたい場合に有効であるが、多段構造にすると1段構造に比べ熱電変換モジュールの厚みが厚くなる。特に小型のレーザーモジュールやノート型パソコンのCPUの冷却等々取り付け場所、容量に制約がある場合には使えない。そのため、1段構造の熱電変換モジュールで高い最大温度差を得ることは、非常に有益である。
【0024】
ここで言う最大温度差とは、真空度1Pa以下の真空容器内の恒温装置に熱電変換モジュールの放熱側を固定し、放熱側の温度を50℃一定に保った状態にして、電流を徐々に流して行き放熱側の温度と吸熱側の温度の差が一番大きくなった時の温度差を指す。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明する。一段構造の熱電変換モジュールの全体構成と外観構造は従来例と同一であるので、図1を用いて全体構成を説明する。図2は熱電半導体素子と半田、電極の接合を詳細に説明する部分拡大図である。説明を判り易くするため、同一の部品、部位には同じ符号を用いている。図1に示す熱電変換モジュール50は、略平行に配されたセラミックス等からなる電極5を有する絶縁基板3および4と絶縁基板3および4の間に略直方体形状の複数のP型熱電半導体素子1およびN型熱電半導体素子2を挟持する構造とした。P型およびN型熱電半導体素子1,2(以降、P型、N型と特に区別せず熱電半導体素子30と記す)は電極5に半田(図示せず)で電気的、熱的に接合されている。電極端はリード線6,7に接続され、リード線6からリード線7に矢印に従い直流電流を流し熱電変換をおこなっている。
【0026】
図2に本発明の熱電半導体素子30と電極5を半田付けした状態を示す。図3に図2のk部拡大断面図を示す。図2は、熱電変換モジュールの熱電半導体素子部を切断して観察したもので、100個の観察結果を図示している。図3は、熱電半導体素子のほぼ中央で切断して観察したものであり、50個の観察結果を図示したものである。図2の熱電半導体素子30と電極5の間にある半田9は、全ての部位で金属層8からはみ出した状態となっている。電極8の端部と金属層8が接する部位mは、はみ出した半田9は主に電極側面付着固化している。電極8に端部がないn部では、半田9は金属層8側に盛り上がり固化しているが、半田9は熱電半導体12の側面に接触せず金属層8で堰き止められていることが判る。図3で出っ張った金属層8が半田9を堰き止めている状態がわかる。図3a)は金属層8が熱電半導体12から反らずに出っ張っている。半田9は金属層8の熱電半導体12側p面に僅か乗り上げているが、熱電半導体12には接していない。半田とのぬれ性を良くするために付けているAuめっき層はq面にはあるが、P面およびr面にはないため半田のぬれ性が悪いためp面の一部で止まったと考えられる。図3b)は金属層8が電極側に反って出っ張っている。反り量gは約4μmであった。図3a)と同様、p面の一部で半田9は堰き止められている。図3c)は金属層8が熱電半導体12側に反っているものである。熱電半導体12側に反っているとp面まで半田9は盛り上がらずr面で堰き止められていた。いずれもr面もしくはp面の一部で半田は堰き止められていることが確認できた。半田が堰き止められるのは、金属層が出っ張っていることとr面とp面の半田のぬれ性によるものと言える。100個の熱電半導体素子のほぼ中央で切断して観察したが、半田は全て図3a)からc)の状態で堰き止められており、熱電半導体12に接触しているものは1個も無かった。
【0027】
本発明の熱電半導体素子の製造方法に付いて述べる。図4に示す工程に従い説明する。図4a)は熱電半導体の材料ブロック61である。材料は、Bi−Te−Sb−Se系の原料をゾーンメルト炉でP型とN型を別々に作製し、約φ20mmで50mm長のインゴット得た。組成は重量比で、P型がBi15%−Te55%−Sb29%−Se1%、N型はBi50%−Te45%−Sb3%−Se2%で、キャリア濃度調整のためヨウ素を500ppm添加した。図4b)は熱電半導体の材料ブロック61を、熱電半導体の長さに合わせて、1.2mmにスライス加工したウェファー62である。加工には内周スライサーやワイヤーソーを用いることができるが、本実施例ではワイヤーソーを用いた。図4c)で、1.2mmにスライスされた熱電半導体のウェファー62に金属層となるめっき膜63を形成した。めっきは無電解めっき法を採用した。まずNiPのめっき膜を6〜8μm形成したのち、Auのめっき膜0.05μmを形成した。めっきは全面につけ、熱電半導体のめっき付ウェファー64を得た。
【0028】
図4d)で、熱電半導体のめっき付ウェファー64の厚み方向に碁盤目状に切断して、熱電半導体1,2の両端面に金属層8が付加された0.8mm角で1.2mm長の熱電半導体素子30を得た。切断にはワイヤーソーを用いている。金属層を熱電半導体の側面から出っ張らすには、ワイヤーソーが最も適していることがわかった。ワイヤーソーのワイヤーは径φ0.16mmとし、砥粒は平均10μm径の炭化珪素(SiC)を用いた。種々検討したところ、金属層の出っ張り量は、ワイヤーソーのワイヤー送り速度と砥粒径、金属層の厚みに関係する事が判った。金属層の厚みが厚くなるほど出っ張り量を大きくすることができるが、金属層を厚くすることは熱の伝達を悪くすることになり、熱電変換モジュールの特性を落すことになるため、金属層の厚みを厚くすることは好ましくないものである。また、砥粒径を大きくすることで金属層の出っ張りを大きくすることができるが、熱電半導体の側面の面粗さが粗くなるのと、欠けも増えるため余り望ましい方法ではない。ワイヤーソーの送り速度を遅くすることで出っ張りを大きくできる。送り速度を遅くすると切断時間もかかるが、小さな径の砥粒が使用できるので、欠け等も無く加工仕上がりは満足できるものである。そのため、本実施例ではワイヤーソーの送り速度を変えて金属層の出っ張り量を制御する方法を採用した。
【0029】
ワイヤーソーの送り速度を、1mm/hrから15mm/hrまで変えて、めっき膜の出っ張り量を変えて金属層の出っ張り量を1.0から25.7μmまで作製した。比較のため、ダイサーで切断して金属層の出っ張りの無いものも製作した。出っ張り量は、図5a)に示す様に熱電半導体の略中央部の出っ張り量aからdの平均値を出っ張り量eとしている。図5b)に示す様に略中央部で金属膜の出っ張りが無い場合は、近傍の出っ張り部を測定している。最大出っ張り量jは、各辺で最も出っ張っている一ヶ所で測定している。出っ張り量の近い熱電半導体素子を組合わせて、熱電変換のジュールを製作し、金属層の出っ張り量、反り量、最大出っ張り量と最大温度差、信頼性試験の関係を調べた。
【0030】
P型およびN型の熱電半導体素子を各々30ヶ電極をパターニングした0.2mm厚の絶縁基板2枚の間に配置し、融点243℃のSn−Sb5%の半田で接合し1段構造の熱電変換モジュールを作製した。絶縁基板には6mmx10.2mmx0.2mm厚の窒化アルミニウムを用いていた。隣接する熱電半導体間距離は90μmとした。電極は銅10μm、ニッケル5μm、金0.2μmの3層構造としている。
【0031】
最大温度差は、真空度1Pa以下の真空容器内の恒温装置に熱電変換モジュールの放熱側を固定し、放熱側の温度を50℃一定に保った状態にして、電流を徐々に流して行き放熱側の温度と吸熱側の温度の差が一番大きくなった時の温度差を測定した。信頼性試験方法は、熱電変換モジュールに流す電流の方向を反転させ、吸熱と発熱を繰り返し、最大温度差と熱電変換モジュールの電気抵抗の変化を評価するものである。試験の条件と判定方法は次の通りである。温度25℃湿度20%大気中で、最大温度差を与える電流を流し30秒後に電流を反転する。この電流の反転を5万回繰り返し、初期と試験後の最大温度差と電気抵抗の変化率が2%以内のものを、信頼性試験合格と判定した。電流反転すると一方の絶縁基板は吸熱から発熱他方は発熱から吸熱になるが、熱電変換モジュール内の蓄熱の影響が出ないように、一方の絶縁基板面には温度制御できる様に温度制御装置を設けて測定した。
【0032】
表1 金属層出っ張り量と最大温度差、信頼性試験結果
Figure 2004303872
【0033】
金属層の出っ張り量が異なるサンプルAからNまで、各30個の熱電変換モジュール作製し、30個の最大温度差の平均値を表1に、図6には、30個のばらつき範囲を示している。信頼性試験結果は合格した熱電変換モジュール数を供試数30で除し百分率で表わしている。表1で出っ張り量および反り量、最大出っ張り量は範囲で示している。この範囲は、熱電変換モジュール当たり60個の熱電半導体素子を使うので、30個の熱電変換モジュールに使用した計1800個の熱電半導体素子の金属層測定値の、最小値と最大値を示している。表1からも判る様にサンプルAからHは、金属層の出っ張り量は1μm以上で反り量も5μm以下、最大出っ張り量も隣接する熱電半導体の間隔90μmの1/4以下の、21.5μmである。30個の熱電変換モジュールの最大温度差は平均で90℃を得ることができた。また、信頼性試験も全数合格している。サンプルIからMは金属膜の反り量が5μm以上であったり、最大出っ張り量が熱電半導体の間隔90μmの1/4の22.5μmを越えるものである。最大温度差はサンプルAからHに比べ、約7℃以上低下している。また、信頼性試験に合格する割合が半数以下に低下している。サンプルNは比較のため入れたダイサーで加工した金属層の出っ張りのないものであるが、最大温度差、信頼性試験結果は本発明の金属層の出っ張り範囲にあるサンプルAからHに比べ最大温度差で約7℃、信頼性試験合格率で83ポイントも下回っていることが判る。
【0034】
個別には数値で示していないが、信頼性試験後の熱電変換モジュールの電気抵抗変化率、最大温度差の変化率は、サンプルAからHでは0.5〜1.8%、サンプルI〜Nでは1.2〜5.0%であり、多くは2.2〜3.5%の値を示していた。信頼性試験で不合格になった熱電変換モジュールを調査したところ、サンプルNは従来例と同じ様に、図7に示す様に半田が熱電半導体の側面に接触していた。半田が接触していた熱電半導体の数は熱電変換モジュール当たり25〜75%にのぼっていた。サンプルIからMは半田の厚みが厚かったり、金属層と電極の間に空気が取り込まれていた。また、金属層の出っ張りが大き過ぎ異なる電極に取り付けられた隣接する熱電半導体素子と金属層が接触短絡しているものがあった。そのため、最大温度差の低下と熱電変換モジュール間でのばらつきが大きくなったものと判断できた。念のため、サンプルAからHも調査したが、半田と熱電半導体が接触しているものは無かった。このことからも、本発明の範囲内で金属層を熱電半導体側面から出っ張らすことで、半田を堰き止めるのに効果があり、半田を堰き止めることで90℃の最大温度差が得られ、信頼性の高い熱電変換モジュールを提供できることが確認された。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、金属層を熱電半導体素子の側面より出っ張らせることにより、半田と熱電変換素子側面の接触を防ぎ、ばらつきが少なく高性能な熱電変化モジュールを得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明および従来の熱電変換モジュールの外観斜視図である。
【図2】本発明の半田付け状態を示す部分拡大図である。
【図3】本発明の半田付け状態を示す部分拡大図である。
【図4】本発明の熱電半導体素子の製造方法を示す図である。
【図5】本発明の金属層の出っ張り量測定を説明する図である。
【図6】最大温度差の結果を示す図である。
【図7】従来の半田付け状態の部分拡大図である。
【符号の説明】
1 P型熱電半導体素子、2 N型熱電半導体素子、3 絶縁基板、
4 絶縁基板、5 電極、6 リード線、7 リード線、8 金属層、
9 半田、12 熱電半導体、30 熱電半導体素子、
50 熱電変換モジュール、61 材料ブロック、62 ウェファー、
63 めっき膜、64 めっき付ウェファー。

Claims (4)

  1. 上下一対の絶縁基板の対向面に各々のパターンを有する電極を形成し、上下端面に金属層を形成した複数のP型およびN型熱電半導体素子に、P型およびN型では上下逆方向に電流が流れるように、前記電極間で挟持するように半田で電極に接合する構造であって、前記金属層が前記熱電半導体の側面より熱電半導体端面の一辺当り少なくとも80%の領域において出っ張っていることを特徴とする熱電変換モジュール。
  2. 金属層の出っ張り量は1μm以上で、最大出っ張り量は熱電変換モジュールにおける隣接する熱電半導体間距離の1/4以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱電変換モジュール。
  3. 金属層の熱電半導体側面からの出っ張り部の、電極側への反りは5μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の熱電変換モジュール。
  4. 熱電変換モジュールが1段構造であって、最大温度差が90℃以上の特性を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の熱電変換モジュール。
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