JP5289451B2 - 熱電素子および熱電モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、空調機,冷温庫,半導体製造装置,光検出装置,レーザダイオード等の温度調節等に好適に使用される熱電モジュールに関する。
従来、ペルチェ効果を利用した熱電素子を用いた熱電モジュールは、電流を流すことにより一端が発熱するとともに他端が吸熱するため、冷却用の熱電モジュールとして使用されている。この熱電モジュールは、構造が簡単で、取扱いが容易であるのみでなく、安定した特性を維持することができるため、広範囲にわたる利用が期待され検討されている。
特に、小型で局所冷却ができるので室温付近の精密な温度制御が可能であり、レーザダイオードの温度制御やフロンレスの冷却装置,あるいは冷蔵庫,恒温槽,光検出素子,半導体製造装置等の電子冷却素子として幅広い利用が期待されている。
室温付近で冷却用熱電モジュールに用いられる熱電材料としては、冷却特性が優れるという観点から、BiTe(テルル化ビスマス)が一般的である。熱電モジュールは、P型およびN型の熱電素子を対にして用いる必要がある。そして、N型にはBiTeとBiSe(セレン化ビスマス)との固溶体が、P型にはBiTeとSbTe(テルル化アンチモン)との固溶体が優れた性能を示すことが知られており、このA型(AはBiまたはSbの1種または2種、BはTeまたはSeの1種または2種)結晶が冷却用熱電モジュール用の材料として広く用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
このような熱電材料から成る熱電素子は、支持基板の表面に設けられた配線導体上に、半田接合によって接合される。その接合方法としては、配線導体上に半田ペーストを塗布し、この半田ペーストを加熱して溶融(リフロー)させて接合する方法がある(例えば、特許文献2を参照)。
しかしながら、半田接合をする際に半田の成分が熱電材料と反応することがあり、例えばA型結晶はSn−Sb半田と反応して熱電素子の特性劣化を招くため、半田接合をする際に熱電素子の熱電材料と半田とが接触しないように、熱電素子の接合端面に半田の拡散を抑制するメッキ層を設けることが提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
特開2002−232025号公報 特開2002−232022号公報 特開2001−196646号公報
しかしながら、支持基板の表面に設けられた配線導体上に半田接合によって接合される熱電素子は人体の近傍で使用される場合が多く、人体の近傍には人体から呼気や汗等を通して発散されるNaやK等の軽金属が存在しており、それらNaやK等の軽金属が電力の入出力部である半田接合の接合端部から、電力の印加に伴って熱電素子の本体内部に侵入してくることがあり、その結果、熱電素子の熱電特性が劣化して耐久性が不十分となるという問題点があった。
また、このような電力の入出力部から熱電素子内部への軽金属の侵入による熱電特性の劣化および耐久性の劣化は、特に長時間の連続駆動において、あるいは高温多湿の環境下での連続駆動において発生しやすく、熱電モジュールの信頼性・耐久性を向上させるためには、熱電素子への軽金属の侵入を抑止することが望まれていた。
本発明は、このような課題を解決すべく案出されたものであり、その目的は、熱電素子内部へのNaやK等の軽金属の侵入を抑止することができ、それによって耐久性を向上させることができる熱電素子およびそれを用いた熱電モジュールを提供することにある。
本発明の熱電素子は、熱電材料からなる本体の電力の入出力部の表面層領域に塩素が含まれているとともに、前記塩素は前記本体の端面側で高濃度であって、前記表面層領域の厚みが10μm以上であることを特徴とするものである。
本発明の熱電モジュールは、支持基板の表面に形成された配線導体の上に、上記いずれかの本発明の熱電素子が複数配列されていることを特徴とするものである。
また、本発明の熱電モジュールは、上記構成において、前記配線導体の上に、前記入出力部が金属層により接合された前記熱電素子が配列されており、前記金属層に塩素が含まれていることを特徴とするものである。
本発明の熱電素子によれば、熱電材料からなる本体の電力の入出力部に塩素が含まれていることから、塩素が含まれている領域を使用雰囲気中に存在する人体由来のNaやK等の軽金属に対する侵入防止領域として機能させることができるので、熱電素子本体への軽金属の侵入を抑止することが可能となる。従って、軽金属の侵入による熱電性能の劣化を防止して、熱電素子の耐久性を向上させることができる。
また、本発明の熱電素子によれば、上記構成において、前記塩素が前記入出力部の表面に含まれている場合には、本体への軽金属の侵入をより効果的に抑止することが可能となる。
また、本発明の熱電モジュールによれば、支持基板の表面に形成された配線導体の上に本発明の熱電素子が複数配列されていることから、使用雰囲気中に存在する人体由来のNaやK等の軽金属が熱電素子に侵入して熱電性能が劣化するのを抑止することができるので、熱電モジュールの耐久性を向上させることができる。
また、本発明の熱電モジュールによれば、配線導体の上に金属層により接合された熱電素子が配列されており、金属層に塩素が含まれている場合には、この金属層も軽金属に対する侵入防止層として機能するので、熱電素子への軽金属の侵入をさらに効果的に抑止することができ、熱電モジュールの耐久性をさらに向上させることができる。
本発明の熱電素子および熱電モジュールの実施の形態の一例を示す斜視図である。 図1に示す熱電素子の入出力部の近傍を示す要部拡大断面図である。
以下、本発明の熱電素子および熱電モジュールの実施の形態の例について、図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の熱電素子およびこれを用いた熱電モジュールの実施の形態の一例を示す斜視図であり、図2は図1に示す熱電素子の入出力部の近傍を示す要部拡大断面図である。
図1に示す例において、本発明の熱電モジュール10は、複数の熱電素子5が支持基板1,2の主面にそれぞれ形成された配線導体3,4により挟持された構造となっている。複数の熱電素子5は、N型熱電素子5aとP型熱電素子5bとが交互に、すなわち配線導体3,4によってPNPNPNの順に電気的に直列に接続するように、配置されている。そして、熱電モジュール10は、配線導体3,4に直流電圧を印加することによって、その電流の向きに応じて吸熱あるいは発熱を行なうことができる。
図1に示す複数の熱電素子5(5a,5b)は、図2に示すように、支持基板1,2(図2には、1は図示せず)の配線導体3,4(図2には、3は図示せず)に金属層6を介して固定される。すなわち、配線導体3,4にはその表面に、半田層6aおよび必要に応じて熱電素子5(5a,5b)に被着されたメッキ層6bを介して、熱電素子5(5a,5b)が接合される。
熱電素子5(5a,5b)は、Bi,Sb,TeおよびSeのうち少なくとも2種を主成分とすることが好ましい。BiTe,SbTe,BiSe等のカルコゲナイト型結晶を使用した熱電素子5は、室温付近の熱電特性に優れ、情報通信関連の冷却用の熱電モジュール10として好適に使用することができる。
また、熱電素子5のうちN型熱電素子5aは、ハロゲン元素であるIおよび/またはBrを含むことが好ましい。ハロゲン元素の添加によってN型熱電素子5a内の電子濃度の調整がされ、すなわち半導体化されて、電子濃度の制御されたN型熱電素子5aとして優れた熱電特性を示すことができる。
なお、熱電素子5(N型熱電素子5aおよびP型熱電素子5b)の材料としては、溶製材料であっても焼結体であってもよいが、熱電特性に優れ、製造コストも抑えられるという点で、溶製材料、特に単結晶からなることが好ましい。
そして、本発明の熱電素子5(5a,5b)においては、熱電材料からなる本体の電力の入出力部に、塩素(Cl)が含まれていることが重要である。熱電素子5(5a,5b)において、熱電材料からなる本体の電力の入出力部に塩素が含まれていることから、この塩素が含まれている領域8を、使用雰囲気中に存在する人体由来のNaやK等の軽金属に対する侵入防止領域として機能させることができるので、熱電素子5(5a,5b)の入出力部から熱電材料本体への軽金属の侵入を抑止することが可能となる。従って、軽金属の侵入による熱電性能の劣化を防止して耐久性を向上させることができる。これにより、熱電性能とりわけ冷却性能が高い熱電素子5(5a,5b)とすることができ、熱電モジュール10を製造する際の不良率も大きく低減することができる。
なお、このように塩素が含まれている領域8が軽金属に対する侵入防止領域として機能するのは、軽金属と塩素とは容易に反応してイオン化合物となり、表面層領域に留まるためである。しかも、塩素が熱電素子5(5a,5b)の表面層領域に存在するだけでは熱電素子5(5a,5b)全体のキャリア濃度に影響を与えないため、熱電特性への影響はない。
この熱電素子5(5a,5b)の本体における入出力部の塩素が含まれている領域8には、塩素が熱電材料に対する割合で0.01質量%から5質量%の範囲の濃度で含まれていることが好ましく、0.5質量%以上の濃度で含まれていることがより好ましい。この範囲の濃度で塩素が含まれることにより、軽金属の最大濃度と考えられる0.5質量%(熱電材料に対する濃度)程度の侵入を有効に抑止することが可能となる。
また、熱電素子5(5a,5b)の本体における入出力部に塩素が含まれている領域8において、塩素の量(濃度)は一様であっても分布を持っていてもよい。塩素の量(濃度)に分布を持っている場合は、例えば厚み方向であれば、熱電素子5(5a,5b)本体の端面側で高濃度となるようにしておくと、本体への軽金属の侵入を端面近傍で確実に抑止することができ、また、熱電特性を発揮する領域をより広く確保することができる。
熱電素子5(5a,5b)の入出力部の塩素が含まれている領域8の厚みは、熱電素子5(5a,5b)の本体の長さ(高さ)が通常0.9〜1.6mmであるのに対して、0.1〜100μmであればよく、好ましくは1μm以上であり、塩素の濃度が高ければ比較的薄く、濃度が低ければ比較的厚くしておくとよい。
また、塩素が熱電素子5(5a,5b)の入出力部の表面5cに含まれていることが、すなわち存在していることが、熱電素子5(5a,5b)本体への軽金属の侵入をより効果的に抑止する上では好ましい。しかしながら、入出力部の表面5cへの半田の濡れ性を良好な状態としたい場合や、メッキ層6bを形成した場合のメッキ層6bの被着強度を良好な状態にしたい場合は、熱電素子5(5a,5b)の本体の表面5cから本体の長さの0.1〜2%の距離を空けて塩素が含まれている領域8を形成してもよい。この場合には、軽金属の侵入による熱電特性の劣化を有効に抑止することができるとともに、塩素の影響をなくして熱電素子5(5a,5b)の表面5cへの半田の濡れ性を良好な状態に確保しておけるので、半田が熱電素子5(5a,5b)の表面5cから弾かれたようになって、隣接する熱電素子5(5a,5b)との間や配線導体3,4との間で半田による短絡不良が発生するのを抑制することができ、熱電モジュール10の製造における不良率を低減することもできる。
熱電素子5(5a,5b)の本体における、入出力部に塩素が含まれている領域8は、熱電素子5(5a,5b)を入出力部の表面5c側から観察した際に、入出力部の表面5cと重なる領域全体にわたっていることが好ましい。これにより、熱電素子5(5a,5b)の入出力部の全域にわたって軽金属の侵入を確実に抑止することができる。なお、この領域8が、入出力部の表面5cと重なる領域全体にわたっていない場合であっても、軽金属と塩素とは容易に反応し得るので、十分な効果を発揮できる。
なお、熱電材料からなる熱電素子5(5a,5b)の本体における塩素量は、次に述べる方法により測定することができる。すなわち熱電素子5(5a,5b)の表面部を化学的に分析するイオンクロマト法やICP(Inductively Coupled Plasma)法,表面付近を直接観察するEPMA法,ESCA法またはオージェ電子分光法を用いることにより、塩素量を測定することができる。
支持基板1,2には、耐振動および耐衝撃性に優れ、配線導体3,4の密着強度が大きく、また、冷却面および放熱面としての熱抵抗が小さいものを用いることが好ましい。具体的には、アルミナや窒化アルミニウムなどのセラミックスが好適であり、エポキシやポリイミド等の樹脂であってもよい。
配線導体3、4は、Cu,Al,Au,Pt,NiおよびWの少なくとも1種の金属を用いることが好ましい。これらのうち、特にCuが導電性に優れ、低コストであり、かつ支持基板1,2への密着強度が高い点で望ましい。
半田層6aに用いる半田の材料は、特に限定されるものではないが、使用温度を比較的容易に設定できて扱いやすいSn成分を含む半田を用いることが好ましい。特に、Bi,Sb,TeまたはSeを含む熱電素子5(5a,5b)を用いる場合には、半田中のSn成分により半田の濡れ性が良くなり、半田接合作業を容易に行なうことができる。
このようなSn成分を含む半田としては、具体的にはSn−Sb半田やAu−Sn半田を例示できる。中でも、扱い易い点、低コストである点および低温処理が可能である点ではSn−Sb半田が、耐熱性に優れている点ではAu−Sn半田が好ましい。なお、これらの半田による接合温度は、Sn−Sb半田の場合には240℃以上であればよく、Au−Sn半田の場合には280℃以上であればよい。
なお、熱電素子5(5a,5b)の入出力部には、金属層6としてのメッキ層6bが被着されていることが好ましい。
以上のような本発明の熱電素子5(5a,5b)およびこれを用いて構成された本発明の熱電モジュール10は、人体近くでの使用環境においても優れた熱電特性(冷却性能)が長期にわたって得られるとともに製造時の不良率の低減もできるため、特に半導体レーザおよび光集積回路などの恒温装置や小型冷蔵庫、あるいは自動車の車内の快適性向上装置として好適に使用することができる。
次に、本発明の熱電素子5および熱電モジュール10の製造方法について、半田層6aをAu−Sn半田を用いて形成する場合を例に採って説明する。
まず、アルミナ,ムライト,窒化アルミニウム,窒化珪素または炭化珪素等の絶縁性を有するセラミックスからなる、高熱伝導性の支持基板1,2を準備し、この支持基板1,2の主面にCu,Ni,W等の導電性の材料で配線導体3,4を形成する。なお、配線導体3,4の上に、所望によりNiメッキ,Auメッキ等を順次施してもよい。
次に、これら配線導体3,4に接合する複数の熱電素子5を用意する。熱電素子5は、例えば、Bi,Sb,Te,Seのうち少なくとも2種を含む化合物からなる、A型金属間化合物およびその固溶体を用いることができる。ここで、AがBiおよび/またはSbからなり、BがTeおよび/またはSeからなる半導体結晶であって、特に組成比B/Aが1.4〜1.6であることが、室温における熱電特性を高めるために好ましい。
型金属間化合物としては、公知であるBiTe,SbTe,BiSeの少なくとも1種であることが好ましく、BiTeとBiSeとの固溶体であるBiTe3−xSe(x=0.05〜0.25)、またはBiTeとSbTeとの固溶体であるBiSb2−xTe(x=0.1〜0.6)等を例示できる。
熱電素子5のうちN型熱電素子5aには、金属間化合物を効率よく半導体化するために、SbIのような、ドーパントとしてIまたはBrのハロゲン元素を含むことが好ましい。このハロゲン元素は、N型熱電素子5aを半導体化するという観点からは、上記の金属間化合物原料100質量部に対して0.01〜5質量部、特に0.01〜0.1質量部の割合で含まれることが好ましい。
また、熱電素子5のうちP型熱電素子5bには、キャリア濃度調整のためにTeを含むことが好ましい。これにより、N型熱電素子5aと同様に、室温における熱電特性を高めることができる。
このようにして作製された熱電素子5(5a,5b)を、切断あるいは切削加工によって、所望の形状にする。
そして、熱電素子5(5a,5b)の本体の入出力部に塩素が含まれている領域8を設けるには、塩酸および/または塩化ニッケルを含んだメッキ液を用いて、入出力部に金属層としてのメッキ層6bを形成すればよい。
メッキ層6bを被着形成する場合は、メッキ層6bの密着性の向上のために、熱電素子5(5a,5b)の本体におけるメッキ層6bの被着面を、硫酸や過酸化水素水等を含んだエッチング液にて化学エッチングするともに超音波洗浄を行なって、表面5cを洗浄するとともに粗化する。この表面粗化の処理は、必要に応じて複数回行なってもよい。
次いで、塩酸および/または塩化ニッケルを含んだメッキ液に高電圧を負荷するウッド浴(ストライクNi)メッキを施すことで、熱電素子5(5a,5b)の入出力部の表面に塩素を添加しつつ、塩素を含むNiの薄膜を析出させる。
また、Au−Sn半田からなる半田層6aとの濡れ性をよくするために、さらにSnメッキを施してメッキ層6bを形成してもよい。
次に、準備した支持基板1,2と熱電素子5(5a,5b)とを、Au−Sn半田からなる半田層6aを用いて接合する。すなわち、支持基板1の配線導体3上にSn−Sb半田ペーストを印刷し、その上に熱電素子5(5a,5b)を載置し、さらにその上に配線導体4上にAu−Sn半田ペーストを印刷した支持基板2を載せ、加重を加えながらAu−Sn半田の融点以上の温度で半田ペーストを溶融させる。これによって、図1に示すような本発明の熱電モジュール10を作製することができる。
なお、Au−Sn半田ペーストは、例えば、Au−Sn半田粉末と流れ性および酸化をコントロールするためのロジンや有機溶媒(例えばジエチレングリコール・モノ・ヘキシルエーテル)からなるフラックスとを混合して作製することができる。
また、半田層6aの形成には、半田ペーストを印刷する方法の他にも、半田をメッキする方法を用いることもでき、また、Au−Sn箔を接合部に被着することも可能である。さらに、半田ペーストを印刷し、これを一度溶融して被着させる方法も使用できる。
支持基板として、長さが8mm、幅が8mmで厚みが0.3mmのアルミナ焼結体を用意した。また、銅からなる配線導体を支持基板の互いに対向する主面に形成した。また、配線導体の表面には、順にNiおよびAuをメッキした。
熱電素子を作製するため、出発原料には、平均粒径が35μmで純度が99.99%以上のBiTe,SbTeおよびBiSeを準備した。これらの原料をN型熱電素子としてはBiTe2.85Se0.15となるように、P型熱電素子としてはBi0.4Sb1.6Teとなるように秤量し、しかる後、それぞれ混合粉とした。なお、N型熱電素子にはドーパントとして熱電素子の組成100質量部に対してSbIを0.09質量部添加した。
これらの原料粉末を、粒径が35〜72μmになるように粉砕し、分級後に焼成して、相対密度が98.2%のインゴット状の熱電素子を得た。これを切断し、縦が0.6mm、横が0.6mmで高さが0.8mmの形状に加工した。その後、化学エッチングにより表面粗化を施した後、塩酸または/および塩化ニッケルを含んだメッキ液(ウッド浴)または/および硫酸ニッケル・ホウ酸を含んだメッキ液(ワット浴)を用いて、メッキ層6bを形成した。
なお、塩素が含まれている領域の厚みは、ウッド浴液に接する面の表面粗さ(深さ)で決まり、表面粗さはメッキ処理前の表面粗化回数で調整した。表1に、表面粗化処理の回数と、その各回におけるウッド浴の処理時間(分)およびワット浴の処理時間(分)とを示した。
なお、このとき、1回の表面粗化処理にて厚み5μm程度の領域が形成でき、ウッド浴の処理時間が5分で0.4〜0.6質量%の濃度で領域に塩素を注入できる。
以上のようにして作製した23対の熱電素子と1対の支持基板とを用いて、表1に示す条件で、半田層としてAu−Sn半田(表1中にAで表示)またはSn−Sb半田(表1中にSで表示)による半田接合を行なって、図1に示すような熱電モジュールを作製した。なお、半田接合は、窒素ガス雰囲気中において表1に示す接合温度にて実施した。
次に、得られた熱電モジュールによる冷却性能を評価するために、放熱側基板を27℃に冷却しながら電圧を印加して、冷却側基板の温度が最低になるときの放熱側基板と冷却側基板との温度差を冷却性能ΔTmax(℃)とした。なお、この冷却性能ΔTmaxは大きいほど特性良好であり、今回の評価ではこれまでの実績より69℃以上を良品とした。
また、得られた熱電モジュールによる熱電特性の耐久性を評価するために、冷温サイクル試験を実施した。冷温サイクル試験では、電流を流して温度差が最大になる最大電流を7.5秒おきに反転させながら電力を印加した。この冷温サイクル試験において、1万回のサイクル試験後に、熱電モジュールの抵抗変化率(ΔR={(試験後の抵抗値−試験前の抵抗値)/試験前の抵抗値}(%))が10%以上となると、熱電素子の抵抗上昇によるジュール発熱が上昇することから、熱電モジュールとしての熱電特性(冷却特性)が著しく低下することとなる。試料数N=100の結果より、抵抗変化率が10%を超えたものを不良とした。つまり、1万回の冷温サイクル試験後の抵抗変化率が10%より小さければ小さいほど熱電特性の耐久性が優れていることを示す。以上の結果を表1にまとめた。
Figure 0005289451
表1に示す結果から、試料No.2〜15では、熱電素子の本体における電力の入出力部に塩素が含まれることでの冷却性能への影響は見られず、いずれの冷却特性も良好であった。
また、熱電素子の電流の入出力部である表面に塩素が含まれている領域を設けた本発明の実施例である試料No.2〜15は、抵抗変化率ΔRが10%以下であり、従来品の試料No.1に比べて熱電特性の耐久性に優れていることが分かった。
特に、塩素が含まれている領域の熱電材料に対する塩素濃度が0.5質量%以上の試料No.2〜15は、抵抗変化率ΔRが5%以下と極めて小さく、製品としての熱電モジュールの信頼性が高いことが分かった。
さらに、塩素が含まれている領域の熱電材料に対する塩素濃度が1.5質量%以上で、表面粗化処理の回数から分かるように領域の厚みが10μm以上である試料No.3〜9および12〜15は、抵抗変化率ΔRが3%以下と低く、さらに優れた熱電特性の耐久性を示した。
一方、本発明の範囲外である、熱電素子の入出力部に塩素が含まれている領域がない従来品の試料No.1は、冷温サイクル試験による抵抗変化率ΔRが13.7%と高く、製品としての信頼性が低かった。
1,2・・・支持基板
3,4・・・配線導体
5・・・熱電素子
5a・・・N型熱電素子
5b・・・P型熱電素子
5c・・・表面
6・・・金属層
6a・・・半田層
6b・・・メッキ層
8・・・入出力部(塩素が含まれている領域)
10・・・熱電モジュール

Claims (3)

  1. 熱電材料からなる本体の電力の入出力部の表面層領域に塩素が含まれているとともに、前記塩素は前記本体の端面側で高濃度であって、
    前記表面層領域の厚みが10μm以上であることを特徴とする熱電素子。
  2. 支持基板の表面に形成された配線導体の上に請求項1に記載の熱電素子が複数配列されていることを特徴とする熱電モジュール。
  3. 前記配線導体の上に、前記入出力部が金属層により接合された前記熱電素子が配列されており、前記金属層に塩素が含まれていることを特徴とする請求項2に記載の熱電モジュール。
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