JP5638329B2 - 熱電素子及びこれを備えた熱電モジュール - Google Patents

熱電素子及びこれを備えた熱電モジュール Download PDF

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本発明は、恒温槽、冷蔵庫、自動車用のシートクーラー、半導体製造装置、レーザーダイオード等の温度制御、廃熱発電等に好適に使用される熱電素子及びこれを備えた熱電モジュールに関するものである。
熱電素子は、P型半導体(P型の熱電素子)とN型半導体(N型の熱電素子)とからなるPN接合対に電流を流すとそれぞれの半導体の一端側が発熱するとともに他端側が吸熱するというペルチェ効果を発現するもので、これをモジュール化した熱電モジュールは、精密な温度制御が可能であり、小型で構造が簡単でありフロンレスの冷却装置、光検出素子、半導体製造装置等の冷却装置、レーザーダイオードの温度調節装置等への幅広い利用がされている。また、熱電素子は、その両端に温度差があると電流が流れる特徴を有しているため、排熱回収発電等の発電装置への利用も期待されている。
例えば、室温付近で使用される冷却用の熱電モジュールは、冷却特性に優れるA型結晶(AはBi及び/又はSb、BはTe及び/又はSe)からなる熱電材料で形成されたP型の熱電素子およびN型の熱電素子を対にして含む構成となっている。ここで、特に優れた性能を示す熱電材料として、P型の熱電素子にはBiTe(テルル化ビスマス)とSbTe(テルル化アンチモン)との固溶体からなる熱電材料が用いられ、N型の熱電素子にはBiTe(テルル化ビスマス)とBiSe(セレン化ビスマス)との固溶体からなる熱電材料が用いられる。
熱電モジュールは、このような熱電材料で形成されたP型熱電素子とN型熱電素子とを直列に電気接続するようにして、P型熱電素子およびN型熱電素子のそれぞれを表面に配線導体が形成された一対の支持基板間に配列し、半田でP型熱電素子及びN型熱電素子と配線導体とを接合することによって作製される。
しかしながら、上記の熱電モジュールを冷却用として使用した場合、結露が生じてしまうという問題がある。すなわち、熱電素子は通電すると冷却することができるが、室温下で空気に触れた状態で熱電素子を使用すると、空気中の水蒸気が凝縮して熱電素子の低温部分に結露が生じる。ここで、熱電モジュールでは熱電素子、半田、配線導体などの異種金属が接合されているため、結露による水分付加により局部電池が形成され、金属の腐食が生じて熱電モジュールの冷却能力が低下してしまう。
このような問題を解決するため、P型熱電素子とN型熱電素子との間に樹脂材料を充填することが提案されている。(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に示すような形状の熱電素子においては、結露による熱電素子等の腐食を抑制することが可能となっている。
特許第4523306号
一方、熱電モジュールの駆動制御する方法としては、PWM(Pulse Width Modulation)を使ったPWM制御方式が多く使用されている。この方式は、対象物を一定の温度、ま
たは、一定の温度パターン(例えば90℃保持と65℃保持とを繰り返すような温度パターン)にするため、対象物の温度をサーミスタなどで読み取り、その温度情報をPWM制御方式の温度コントローラーへフィードバックし、断続的に印加電圧を変更、極性を反転させるというものである。ここで、一定電圧から極性を反転させるなど時間軸に対して急激に電圧が変化する際に、高周波成分が信号に重畳される。このとき、熱電素子に流れる高周波成分の多くは熱電素子内を伝播せず、空気中へ漏れてしまい、その結果、熱電モジュールの冷却能力が低下してしまうという問題がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、結露による冷却能力の低下を抑制し、かつ、電圧が急激に変化する際にも冷却能力が低下するのを抑制した熱電素子及び熱電モジュールを提供することを目的とする。
本発明は、柱状の熱電素子本体部と、該熱電素子本体部の側周面に形成された被覆層とを具備する熱電素子であって、前記被覆層は、導電性粒子と絶縁材料からなることを特徴とする熱電素子である。本発明においては、前記導電性粒子は、前記被覆層における外
側よりも内側のほうに多く含まれている。または、本発明においては、前記絶縁材料は、エポキシ樹脂またはポリイミド樹脂からなる。
また本発明は、上記の構成において、前記絶縁材料は前記熱電素子本体部を形成する熱電材料よりも熱膨張係数が大きく、前記導電性粒子は前記絶縁材料よりも熱膨張係数の小さい材料からなることが好ましい。さらに、前記導電性粒子は、前記熱電素子本体部を形成する熱電材料よりも熱膨張係数の小さい材料からなることが好ましい。
また本発明は、上記の構成において、前記導電性粒子は、前記熱電素子本体部を形成する熱電材料からなることが好ましい。
さらに本発明は、互いに対向するように配置された一対の支持基板と、該一対の支持基板の対向する一方主面にそれぞれ形成された配線導体と、前記一対の支持基板の対向する一方主面間に複数配列された上記の熱電素子を備えることを特徴とする熱電モジュールである。
本発明の熱電素子によれば、柱状の熱電素子本体部の側周面に導電性粒子と絶縁材料とを混合した被覆層が形成されていることで、結露による熱電素子本体部の腐食を抑制するとともに電圧が急激に変化する際の高周波成分の漏洩を抑制することができ、冷却能力の低下を防止できる。
また、このような熱電素子を使用した本発明の熱電モジュールも、結露による冷却能力の低下を防止でき、印加電圧が急激に変化する際の高周波成分の漏洩による冷却能力の低下を防止できる。
本発明の熱電素子の実施の形態の一例を示す斜視図である。 図1に示す熱電素子の横断面図である。 図1に示す熱電素子の縦断面図である。 本発明の熱電素子の実施の形態の他の例を示す要部拡大図である。 本発明の熱電モジュールの実施の形態の一例を示す概略断面図である。 本発明の熱電モジュールの実施の形態の一例の分解斜視図である。
以下、本発明の熱電素子の実施の形態の例について説明する。
図1は本発明の熱電素子の実施の形態の一例を示す斜視図であり、図2は図1に示す熱電素子の横断面図、図3は図1に示す熱電素子の縦断面図である。
図1乃至図3に示す熱電素子1は、柱状の熱電素子本体部11と、熱電素子本体部11の側周面に形成された被覆層12とを具備し、被覆層12は導電性粒子と絶縁材料からなることを特徴とするものである。
熱電素子本体部11は、例えばA型結晶(AはBi及び/又はSb、BはTe及び/又はSe)からなる熱電材料、好ましくはビスマス(Bi)、テルル(Te)系の熱電材料で形成されている。具体的には、N型の熱電素子は、例えばBiTe(テルル化ビスマス)とBiSe(セレン化ビスマス)との固溶体からなる熱電材料で熱電素子本体部11が形成され、P型の熱電素子は、例えばBiTe(テルル化ビスマス)とSbTe(テルル化アンチモン)との固溶体からなる熱電材料で熱電素子本体部11が形成されている。このような熱電材料としては、一度溶融させて固化した溶製材料、合金粉末を粉砕しホットプレス等で焼結させた焼結材料、ブリッジマン法、射出成型などにより一方向に凝固させた単結晶材料などが挙げられるが、特に単結晶材料が高性能である点で好ましい。熱電素子本体部11の形状は、円柱状、四角柱状または多角柱状でも構わないが、後述する被覆層12の厚みを均一にする点で円柱状が好ましい。熱電素子本体部11が円柱状の場合の熱電素子本体部11の直径は例えば1〜3mm程度に形成され、長さは例えば0.3〜5.0mm程度に形成される。
熱電素子本体部11の側周面には被覆層12が形成されている。この被覆層12は、例えば0.01〜0.05mm程度の厚みに形成されたもので、導電性粒子12aと絶縁材料12bとから構成されていて、導電性粒子12aが絶縁材料12bに分散している。なお、高周波成分の漏洩を抑制するとともに、導電性粒子12aの長手方向の短絡を防止する点および導電性粒子12aによる径方向の熱電素子本体部11と外部との連結による水分侵入を防止する点から、被覆層12における導電性粒子12aの配合体積比率は5〜40vol%が望ましい。
導電性粒子12aとしては、金属、合金、半導体などの導電性を有するものであれば採用可能であり、例えばBi,Cu,Te,Sb,Se,Sn,Cs,Ti,Zn,Co,Ca,Si,Ge,Mn,Niなどを主元素とする金属、合金などの粒子が挙げられる。この粒子は、例えば5〜40μm程度の範囲内で被覆層12の厚みよりも小さい粒径のものである。好ましくは、径方向の熱電素子本体部11と外部との連結による水分侵入を防止する点で、粒径が被覆層12の厚みの3分の1以下となるようにするのがよい。
絶縁材料12bとしては、熱電材料よりも絶縁性がある樹脂であれば使用できるが、低水分透過性、耐熱性を考慮すると、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂が好ましい。
被覆層12の形成方法としては、熱電素子本体部11にペースト状の被覆層12の形成材料をディッピング、スプレーまたはスクリーン印刷するなどの方法が挙げられる。
このような構成の熱電素子1は、導電性粒子12aと絶縁材料12bとからなる被覆層
12を有していることで、結露による冷却能力の低下を防止するとの効果を奏する。また、絶縁材料のみからなる被覆層では高周波成分が熱電素子外に逃げていたのに対し、被覆層12が導電性粒子12aと絶縁材料12bとからなることで、導電性粒子12aが高周波成分を反射して閉じ込めることができ、結果として、電圧印加直後、また、電圧変化直後の熱電素子1の冷却能力を低下させない効果を奏する。
ここで、被覆層12を形成する絶縁材料12bは、熱電素子本体部11を形成する熱電材料よりも熱膨張係数が大きく、導電性粒子12aは絶縁材料12bよりも熱膨張係数の小さい材料からなることが好ましい。
例えば、熱電素子本体部11を形成する熱電材料がA型結晶(AはBi及び/又はSb、BはTe及び/又はSe)の場合、熱電素子本体部11の熱膨張係数は15〜16×10−6/℃であるのに対し、絶縁材料12bがエポキシ樹脂の場合、絶縁材料12bの熱膨張係数は60〜70×10−6/℃と大きい。このように、熱電素子本体部11と被覆層を形成する絶縁材料12bとの熱膨張係数の差が大きいことから、熱電モジュールの駆動時(熱電素子の通電時)にはこの熱膨張差によって熱電素子本体部11から被覆層12が剥離して熱電素子本体部11と被覆層12との界面に隙間が生じやすく、これにより熱電素子本体部11が酸化して冷却性能が低下するおそれがある。これに対し、被覆層12に絶縁材料12bよりも熱膨張係数の小さい導電性粒子12aを分散させることで、熱電素子本体部11と被覆層12との熱膨張係数の差が小さくなるため、熱膨張差による剥離を抑制することができる。
特に、熱膨張差の観点では、導電性粒子12aは熱電素子本体部11を形成する熱膨張係数15〜16×10−6/℃の熱電材料よりも熱膨張係数の小さい材料からなることが好ましく、例えば導電性粒子12aが熱膨張係数10〜14×10−6/℃のBi,Sb,Teなどを主元素とする導電性粒子の場合は、熱電素子本体部11と被覆層12との熱膨張係数の差をより小さくできるため、熱膨張差による被覆層12の剥離をより抑制することができる。
なお、熱電素子本体部11の熱膨張係数は、熱電素子本体部11と同一材料の測定試料(5mm×5mm×10mm)を作製し、熱機械分析装置(TMA:Thermo Mechanical Analysis)を用いて、大気中、5℃/min〜10℃/minの一定速度で、25℃から100℃まで昇温し、熱膨張が既知である標準試料との熱膨張量の差から測定することができる。また、被覆層12を構成する絶縁材料12bの熱膨張係数は、絶縁材料12bと同一材料の測定試料(5mm×5mm×10mm)を作製し、熱機械分析装置(TMA:Thermo Mechanical Analysis)を用いて、大気中、5℃/min〜10℃/minの一定速
度で、25℃から100℃まで昇温し、熱膨張が既知である標準試料との熱膨張量の差から測定することができる。また、被覆層12を構成する導電性粒子12aの熱膨張係数は、導電性粒子12aと同一材料の測定試料(5mm×5mm×10mm)を作製し、熱機械分析装置(TMA:Thermo Mechanical Analysis) を用いて、大気中、5℃/min〜
10℃/minの一定速度で、25℃から100℃まで昇温し、熱膨張が既知である標準試料との熱膨張量の差から測定することができる。
一方、密着強度の観点では、導電性粒子12aが熱電素子本体部11を形成する熱電材料からなることが好ましい。熱電モジュールの駆動時(熱電素子の通電時)には、熱電素子1の一方の端面が加熱され、他方の端面が冷却されて、温度差が生じる。その温度差の影響により、熱電素子本体部11から被覆層12が剥離して熱電素子本体部11と被覆層12との界面に隙間が生じやすく、これにより熱電素子本体部11が酸化して冷却性能が低下するおそれがある。これに対し、導電性粒子12aが熱電素子本体部11を形成する熱電材料と同じ材料であることで熱膨張係数差を小さくできることに加え、熱電素子本体
部11と絶縁材料12bとの間に熱電素子本体部11を形成する熱電材料と同じ材料の導電性粒子12aが介在することで、熱電素子本体部11と導電性粒子12aとの密着強度、すなわち熱電素子本体部11と被覆層12との密着強度が向上し、熱電素子本体部11と被覆層12との界面での剥離を防止することができる。
また、図4に示すように、導電性粒子12aが被覆層12における外側よりも内側のほうに多く含まれていることが好ましい。被覆層12に含まれる導電性粒子12aの量が多いほど、熱電素子本体部11と被膜層12との密着強度が強く、また、高周波成分の反射の効果が得られる。ただし、導電性粒子12aが連なって、導電性粒子12aを介して熱電素子本体部11と外部とが連結してしまうと高周波成分の反射の効果がえられず、また、導電性粒子12aを伝わって、空気中の水分が浸入し、熱電素子本体部11を酸化するおそれがある。そのため、被覆層12の外側ほど導電性粒子12aの量が少なくなるような傾斜構造にすることで、導電性粒子12aを介して熱電素子本体部11と外部とが径方向に連結してしまうことを抑制し、また、被覆層12の径方向の熱膨張係数の変化率が少なく、連続的に変化するため、被覆層12と熱電素子本体部11との剥離を生じさせないようにすることができる。なお、このような構造とするためには、例えば、導電性粒子12aの配合量を異ならせたペースト状の被覆層12の形成材料を用意し、導電性粒子12aの配合量の多い形成材料をディッピング、スプレーまたはスクリーン印刷により塗布した後、配合量の少ない材料を塗布するというように、複数回に分けて形成する方法が挙げられる。
そして、図示しないが、熱電素子本体部11の端面は、Niめっき、Snめっき、Auめっきなどによりめっき処理される。このような熱電素子1を用いて、後述の熱電モジュールが作製される。
以下、本発明の熱電モジュールの実施の形態の例について説明する。
図5に示す熱電モジュール2は、互いに対向するように配置された一対の支持基板20(20a,20b)と、これらの一対の支持基板20(20a,20b)の対向する一方主面にそれぞれ形成された配線導体23(23a,23b)と、一対の支持基板20(20a,20b)の対向する一方主面間に複数配列された上述の熱電素子1(N型熱電素子1a及びP型熱電素子1b)とを備えている。
支持基板20(20a,20b)は、例えばCu、Ag、Ag−Pdなどの材料で形成されたもので、平面視したとき、例えば縦40〜50mm、横20〜40mmの寸法に形成され、厚み0.05〜2.0mm程度に形成されたものである。なお、支持基板20は例えば両面銅貼りのアルミナフィラーを添加してなるエポキシ樹脂からなる基板であってもよい。また、アルミナ、窒化アルミニウムなどのセラミック材料で形成されていてもよく、この場合は後述する絶縁層24を設けなくてよい。
配線導体23(23a,23b)は、例えばCu、Ag、Ag−Pdなどの材料で形成されたもので、隣接するN型熱電素子1a及びP型熱電素子1b間を直列に電気的に接続するように形成されている。
また、支持基板20(20a,20b)が導電性を有する材料からなる場合、支持基板20(20a,20b)と配線導体23(23a,23b)との間には、支持基板20と配線導体23とを絶縁する目的で、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アルミナ、窒化アルミニウムなどの材料で形成された絶縁層24が配設されている。
さらに、図に示すように、支持基板20(20a,20b)の他方の主面側には、熱伝
導性の高いSn−Bi、Sn−Ag−Cu半田などの接合部材22を介して、例えば銅、アルミニウムなどの材料で形成された熱交換器21が配設されている。
このような構造の熱電モジュール2では、配線導体23(23a,23b)に発生する吸熱または放熱を熱交換器21に伝熱し、熱交換器21によって冷却または放熱される。このとき、熱交換器21に空気を流し空冷させることによって、冷却または加熱された空気が発生し、空調機として使用することが可能である。また、熱交換器21を直接断熱された空間に入れることで冷温庫を作製できる。
上述の熱電モジュール2は、以下のようにして製造することができる。
まず、図1に示す熱電素子1(N型熱電素子1a及びP型熱電素子1b)と支持基板20とを接合する。
具体的には、支持基板20上に形成した配線導体23の少なくとも一部に半田ペーストあるいは半田ペーストよりなる接合材を塗布し、半田層を形成する。ここで、塗布方法としては、メタルマスクあるいはスクリーンメッシュを用いたスクリーン印刷法がコスト、量産性の面から好ましい。
ついで、接合剤(半田)が塗布された配線導体23の表面に熱電素子1を配列する。熱電素子1はN型熱電素子1aとP型熱電素子1bの2種類の素子を配列することが必要である。接合する方法としては公知の技術であればいずれでも良いが、N型熱電素子1aおよびP型熱電素子1bのそれぞれを別々に振動させながら配列穴加工された治具に振り込む振込み式で配列させた後、転写して支持基板20上に配列する方法が簡便で好ましい。
支持基板20a上に熱電素子1(N型熱電素子1a及びP型熱電素子1b)を配列した後、熱電素子1(N型熱電素子1a及びP型熱電素子1b)の上面に反対側の支持基板20bを設置する。
具体的には、配線導体23の表面に半田が塗布された支持基板20bを熱電素子1(N型熱電素子1a及びP型熱電素子1b)の上面に公知の技術により半田接合する。半田接合の方法としては、リフロー炉あるいはヒーターによる加熱などいずれでも良いが、支持基板20に樹脂を用いる場合、上下面に応力をかけながら加熱することが半田と熱電素子1(N型熱電素子1a及びP型熱電素子1b)の密着性を高める上で好ましい。
次に、得られた熱電素子1の両面に取り付けられた支持基板20に、熱交換器21を接合部材22にて取り付ける。使用する熱交換器21はその用途によって形、材質が異なるが、冷却を主とする空調機器として使用する場合は、銅製のフィンが好ましく、特に空冷で使用する場合、空気と接触する面積が増えるように波状の形で作製されたフィンが望ましい。また、放熱側の熱交換器21をより熱交換量が大きいものにすることによって放熱をよくし、冷却特性を向上させることができる。
最後に、配線導体23に電流を通電するためのリード線(図示せず)を半田ごて、レーザー等で接合して、本発明の熱電モジュール2が得られる。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに詳細に説明する。
まず、Bi,Sb,Te、SeからなるN型熱電材料およびP型熱電材料をブリッジマン法により溶融凝固させ、直径1.5mmの断面円形の棒状の材料を作製した。具体的に
は、N型熱電材料はBiTe(テルル化ビスマス)とBiSe(セレン化ビスマス)との固溶体で作製し、P型熱電材料はBiTe(テルル化ビスマス)とSbTe(テルル化アンチモン)との固溶体で作製した。ここで、表面を粗化させるため、棒状のN型熱電材料及びP型熱電材料の表面を硝酸でエッチング処理を行った。
次に、被覆層の形成材料を2種類準備した。一方は、導電性粒子が全く入っていないエポキシ樹脂、もう一方は、Bi,Sb,Te、Seを一部含む導電性粒子が分散されたエポキシ樹脂である。ここで、導電性粒子は平均粒径(D50)が20μmであり、導電性粒子の配合割合は30vol%であった。
そして、棒状のN型、P型熱電材料に2種類のエポキシ樹脂をそれぞれディッピングにより厚み30μmに塗布した。
次に、被覆層が被覆された棒状のN型熱電材料及び棒状のP型熱電材料を高さ(厚さ)1.6mmになるように、ワイヤーソーにて切断し、N型熱電素子及びP型熱電素子を得た。得られたN型熱電素子及びP型熱電素子は、電解メッキで切断面にニッケル層を形成した。
次に、一方主面にエポキシ樹脂からなる厚み80μmの絶縁層が形成され、その上に厚み105μmの配線導体が形成されたCu製の支持基板(縦40mm×横40mm×厚み105μm)を準備した。そして、この配線導体上に、95Sn−5Sbの半田ペーストをスクリーン印刷した。
さらに、この半田ペースト上に、N型熱電素子及びP型熱電素子が電気的に直列になるようにマウンターを使用して各熱電素子を127個ずつ配設した。上記のように配列されたN型熱電素子とP型熱電素子を2枚の支持基板で挟み込むようにし、上下面に圧力をかけながらリフロー炉で加熱し、配線導体と熱電素子とを半田を介して接合した。最後に、支持基板に熱交換器(銅製のフィン)を接合部材で取り付けて、図5に示すような熱電モジュールを得た。
ここで、熱電素子の被覆層に導電性粒子が全く入っていない熱電モジュールを試料1とし、熱電素の被覆層に、Bi,Sb,Te、Seを一部含む導電性粒子が分散された熱電モジュールを試料2とする。
次に、組み立てたそれぞれの熱電モジュールについて2種類の評価を行った。
まず、一つ目の評価方法およびその結果について説明する。
被覆層が異なる熱電素子で作製した熱電モジュールをそれぞれ20個準備した。熱電モジュールの一方の基板に一辺が20mm角の銅の四面体ブロックを半田で接合し、もう一方の基板には25℃水冷ヒートシンクを熱伝導グリースを介して接合した。また、銅の四面体ブロックには、熱電対をはりつけ、PWMコントローラーと接続させた。雰囲気は、空気中、25℃恒温層とし、印加電圧はVmax15Vとなるようにした。
そして、2種類のサンプル各20個について、印加電圧を印加してからの10秒後の銅ブロックの冷却温度を比較したところ、試料1と比較して試料2は全て銅ブロックの温度5℃が低くなった。この後30秒後は、試料1,2ともに有意差のない程度の温度に到達した。
以上の結果から、試料1よりも試料2の方が、パルス波が印加された際の冷却能力が高
いことがわかる。
次に、二つ目の評価方法およびその結果について説明する。
被覆層が異なる熱電素子で作製した熱電モジュールをそれぞれ20個準備した。熱電モジュールの一方の基板に一辺が20mm角の銅の四面体ブロックを半田で接合し、もう一方の基板には25℃水冷ヒートシンクを熱伝導グリースを介して接合した。銅の四面体ブロックには、熱電対をはりつけ、PWMコントローラーと接続させる。温度パターンは、恒温高湿槽にて25℃85%にて、90℃10秒後、0℃10秒キープを1サイクルとし、これを60万サイクル行い、熱電モジュールの冷却性能劣化割合、内部抵抗の変化率、および、熱電モジュール最外周部の熱電素子における被覆層と熱電素子本体部との界面の観察を行った。
その結果、試料2は冷却性能、内部抵抗の変化はせず、熱電モジュール最外周部の熱電素子における被覆層と熱電素子本体部との界面の剥離はみられなかった。一方、試料1は、冷却性能は10%低下し、内部抵抗は、30%増加していた。熱電モジュール最外周部の熱電素子における被覆層と熱電素子本体部との界面が剥離しており、外側に露出した熱電素子は、黒色になり、一部、熱電素子にクラックが生じている箇所も観察された。
以上の結果から、試料1よりも試料2の方が、恒温高湿内での反転通電などの信頼性が高いことがわかる。
1 熱電素子
11 熱電素子本体部
12 被覆層
12a 導電性粒子
12b 絶縁材料
2 熱電モジュール
1a N型熱電素子
1b P型熱電素子
20,20a,20b 支持基板
21 熱交換器
22 接合部材
23,23a,23b 配線導体
24 絶縁層

Claims (6)

  1. 柱状の熱電素子本体部と、該熱電素子本体部の側周面に形成された被覆層とを具備する熱電素子であって、前記被覆層は、導電性粒子と絶縁材料からなり、前記導電性粒子は、前記被覆層における外側よりも内側のほうに多く含まれていることを特徴とする熱電素子。
  2. 柱状の熱電素子本体部と、該熱電素子本体部の側周面に形成された被覆層とを具備する熱電素子であって、前記被覆層は、導電性粒子と絶縁材料とからなり、前記絶縁材料は、エポキシ樹脂またはポリイミド樹脂からなることを特徴とする熱電素子。
  3. 前記絶縁材料は前記熱電素子本体部を形成する熱電材料よりも熱膨張係数が大きく、前記導電性粒子は前記絶縁材料よりも熱膨張係数の小さい材料からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱電素子。
  4. 前記導電性粒子は、前記熱電素子本体部を形成する熱電材料よりも熱膨張係数の小さい材料からなることを特徴とする請求項に記載の熱電素子。
  5. 前記導電性粒子は、前記熱電素子本体部を形成する熱電材料からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱電素子。
  6. 互いに対向するように配置された一対の支持基板と、該一対の支持基板の対向する一方主面にそれぞれ形成された配線導体と、前記一対の支持基板の対向する一方主面間に複数配列された請求項1乃至請求項のいずれかに記載の熱電素子を備えることを特徴とする熱電モジュール。
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