JP2004303805A - 強誘電体素子、強誘電体メモリ及びこれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】素子間のクロストークを防止することができ、信頼性の高い強誘電体素子、強誘電体メモリ、及びこれらの製造方法を提供する。
【解決手段】絶縁膜11上に形成された第一電極12と、前記第一電極上に形成された強誘電体膜14Fと、前記強誘電体膜上に形成された第二電極16と、を備えた強誘電体素子20において、前記強誘電体膜の近傍に、前記強誘電体膜と同一組成の膜14Nが形成され、前記近傍の膜14Nより下層に、パイロクロア型結晶構造を有するシード層13が形成されている。
【選択図】 図3
【解決手段】絶縁膜11上に形成された第一電極12と、前記第一電極上に形成された強誘電体膜14Fと、前記強誘電体膜上に形成された第二電極16と、を備えた強誘電体素子20において、前記強誘電体膜の近傍に、前記強誘電体膜と同一組成の膜14Nが形成され、前記近傍の膜14Nより下層に、パイロクロア型結晶構造を有するシード層13が形成されている。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、強誘電体素子、強誘電体メモリ、及びこれらの製造方法に係る。
【0002】
【従来の技術】
強誘電体膜を第一電極及び第二電極で挟んだ構造を有する強誘電体素子が知られている。この強誘電体素子は、強誘電体膜に電圧をかけることで自発分極が反転し電圧を除去してもその状態を保持する現象を利用し、メモリ装置として機能させることができる。この強誘電体メモリは、一度情報を書き込むと電源を落としても記憶が保持され、且つ多数回の書き換えが可能であり、動作スピードが速いという特徴を有している。
【0003】
強誘電体素子の高集積化の要請に応えるため、複数本のワードラインとビットラインとを互いに交差させるように配置させ、これらの配線によって強誘電体膜を狭持した強誘電体メモリが知られている(例えば、特開2002−353419号公報)。この強誘電体メモリでは、ワードラインとビットラインとで挟まれた特定の格子点の強誘電体キャパシタのみを選択し、その分極状態を読み出し、0/1を判別する。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−353419号公報。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構造の強誘電体メモリにおいては、高集積化に伴ってキャパシタセル同士を非常に近接させざるを得ないため、高集積化すればするほど、電気力線のはみ出しによるクロストークを生じやすく、ひいては書き込み/読み出しエラーに繋がりやすくなるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は素子間のクロストークを防止することができ、信頼性の高い強誘電体素子、強誘電体メモリ、及びこれらの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、絶縁膜上に形成された第一電極と、前記第一電極上に形成された強誘電体膜と、前記強誘電体膜上に形成された第二電極と、を備えた強誘電体素子であって、前記強誘電体膜の近傍に、前記強誘電体膜と同一組成の膜が形成され、前記近傍の膜より下層に、パイロクロア型結晶構造を有するシード層が形成されていることを特徴とする。シード層が形成されていることで、強誘電体膜の近傍の膜が強誘電体膜と異なる結晶構造をとり、素子間のクロストークを防止することができる。
【0008】
上記強誘電体素子において、前記シード層は、前記第一電極の非形成領域と、前記第一電極上であって前記第二電極の非形成領域とに形成されていることが望ましい。
【0009】
上記強誘電体素子において、前記強誘電体膜は、前記第一電極と前記第二電極との間に挟まれた領域に形成され、前記近傍の膜は、前記第一電極の非形成領域と、前記第一電極上であって前記第二電極の非形成領域とに形成された非強誘電体膜であることが望ましい。非強誘電体膜とすることで、素子間のクロストークを有効に防止することができる。
【0010】
上記強誘電体素子において、前記パイロクロア構造を有するシード層は、前記強誘電体と同一元素から成る酸化物であることが望ましい。
【0011】
本発明の強誘電体メモリは、絶縁膜上に平行線状に複数形成された第一電極と、前記第一電極上の所定箇所に形成された強誘電体膜と、前記第一電極及び前記強誘電体膜が形成された絶縁膜上に、前記第一電極と交差するように平行線状に複数形成された第二電極と、前記第一電極及び前記第二電極に対してそれぞれワード選択信号及びビット選択信号を供給する周辺回路と、を備えたクロスポイント型強誘電体メモリであって、前記強誘電体膜の近傍に、前記強誘電体膜と同一組成の膜が形成され、前記近傍の膜より下層に、パイロクロア型結晶構造を有するシード層が形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の電子機器は、上記の強誘電体素子又は強誘電体メモリを備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の強誘電体素子の製造方法は、絶縁膜上に第一電極を形成する工程と、前記第一電極の形成後、前記第一電極上の所定箇所以外の領域に、パイロクロア型結晶構造を有するシード層を形成する工程と、前記シード層の形成後、前記所定箇所に強誘電体膜が形成されるように、前記絶縁膜上に強誘電体膜材料を用いた成膜を行う工程と、前記強誘電体膜の形成後、前記所定箇所に、第二電極を形成する工程と、を備えている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0015】
<1.強誘電体素子及び強誘電体メモリの構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る強誘電体素子を備えた強誘電体メモリの回路図である。図2は、上記強誘電体メモリのパターンレイアウトを模式的に示す平面図である。図3は、図2の囲み線[3]に示す部分の平面図(図3(C))、そのA−A線断面図(図3(A))及びB−B線断面図(図3(B))である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の強誘電体メモリ1000は、メモリセルアレイ100を有する。メモリセルアレイ100は、行選択のための複数の平行な第一電極(ワード線)12と、列選択のための複数の平行な第二電極(ビット線)16とが直交するように配列されて形成されている。なお、電極の機能は上記の逆でもよく、第一電極がビット線、第二電極がワード線でもよい。
【0017】
そして、図2に示すように、第一電極12と第二電極16との間には強誘電体材料からなる層14が配置されている。
【0018】
図3(A)乃至図3(C)に示すように、これら第一電極12、強誘電体材料からなる層14及び第二電極16は、この順で基板10上に形成されている。基板10は、表面に絶縁膜11を備えており、例えば表面が熱酸化された単結晶Si基板等を用いる。基板10の絶縁膜11としてはSiO2に限らず、SiNxなどでもよい。
【0019】
第一電極12は導電性を有する材料で構成し、例えばPt、Ir、これらの積層構造又はこれらのいずれかとその酸化物との積層構造が好ましい。第一電極12と基板10との間に、Ti、TiOx等の図示しない密着層を形成してもよい。第一電極12の膜厚は導電性が十分に確保されれば特に限定されないが、例えば50nm〜300nmとするのが好ましく、より好ましくは、100nm〜200nmとする。
【0020】
第二電極16は導電性を有する材料で構成し、例えばPt、Ir、Au等が好ましい。第二電極16の膜厚は導電性が十分に確保されれば特に限定されないが、例えば50nm〜300nmとするのが好ましく、より好ましくは、100nm〜200nmとする。
【0021】
強誘電体材料からなる層14のうち、第一電極12と第二電極16との交差領域は強誘電性を示す強誘電体膜14Fとなっている。そして、各強誘電体膜14Fとこれを挟む位置で交差する第一電極12と第二電極とでキャパシタを構成し、それぞれ本実施形態の強誘電体素子であるメモリセル20となっている。
【0022】
強誘電体材料からなる層14のうち、強誘電体膜14F以外の領域、つまり第一電極12の非形成領域と、第一電極12の形成領域であって第二電極16の非形成領域は、強誘電性を示さない非強誘電体膜14Nとなっている。
【0023】
メモリセルアレイ20内の強誘電体膜14Fは、非強誘電体膜14Nを介して連続的に形成されている。これら強誘電体膜14F及び非強誘電体膜14Nは同一の組成を有しているが、結晶構造が異なる。強誘電体膜14Fはペロブスカイト型結晶構造を有することが好ましく、非強誘電体膜14Nはパイロクロア型結晶構造を有するか、あるいは非晶質であることが好ましい。同一組成で良好な強誘電性を示すペロブスカイト型結晶構造と、常誘電性を示すパイロクロア型結晶構造とを比較的容易にとり得る材料としては、PZTが特に好ましく、SBT、BLTなどでもよい。また、強誘電体膜14F及び非強誘電体膜14Nの膜厚は、50nm〜300nmとするのが好ましく、より好ましくは、100nm〜200nmとする。
【0024】
非強誘電体膜14Nの下層には、パイロクロア型結晶構造を有するシード層13が形成されている。このシード層13は、強誘電体膜14Fの下層には形成されていない。シード層13の膜厚は、例えば5nm〜30nmとする。シード層13の組成は、強誘電体膜14F及び非強誘電体膜14Nを構成する元素と同一な元素から成る組成が好ましいが、さらには、パイロクロア型結晶構造をとり易いように各構成元素の組成比を調整したものが好ましい。
【0025】
強誘電体メモリ1000は、各メモリセルに対して選択的に情報の書き込みもしくは読み出しを行うための周辺の駆動回路や、読み出し用の増幅回路を含む周辺回路部60を備えている。周辺回路部60は、例えば、第一電極12を選択的に制御するための第1駆動回路50と、第二電極16を選択的に制御するための第2駆動回路52と、センスアンプなどの信号検出回路(図示せず)とを含む。周辺回路部60の具体例としては、Yゲート、センスアンプ、入出力バッファ、Xアドレスデコーダ、Yアドレスデコーダまたはアドレスバッファを挙げることができる。周辺回路部60は、基板10上に形成されたMOSトランジスタ等により構成することができる。
【0026】
<2.強誘電体素子及び強誘電体メモリの製造方法>
図4乃至図7は、上記強誘電体素子及び強誘電体メモリの製造工程の各段階を示す図であり、各図(C)は平面図、各図(A)はそのA−A線断面図、各図(B)はB−B線断面図である。図4から図7を経て図3の完成図に至るまでの工程を以下説明する。
【0027】
図4に示すように、絶縁膜11を形成した基板10上に第一電極12をパターニング形成し、平行線状のワード線とする。第一電極12の形成は、例えばDCスパッタ法により行うことができる。なお、強誘電体メモリ1000を構成するために図示しないトランジスタ等を形成する場合には、第一電極12を形成するより前に、公知の方法で予め基板10に形成しておく。
【0028】
次に図5に示すように、第一電極12が形成された基板10上にシード層13を形成する。シード層としてニオブ酸鉛を用いる場合には、鉛及びニオブを含む金属アルコキシド溶液を基板上にスピンコートし、150℃で乾燥させ、300℃で脱脂及び熱分解を行う。ついでRTAまたはファーネスを用いて450℃〜700℃で結晶化を行う。これにより得られるシード層13はパイロクロア型結晶構造を示す常誘電体となる。
【0029】
次に図6に示すように、シード層13をパターニングする。具体的には、シード層13のうち、第一電極12と第二電極16との格子点となる部分を除去する。すなわち第一電極12の非形成領域と、第一電極の形成領域であって第二電極16の非形成領域とにシード層13を残してパターニングする。シード層13が除去された部分には第一電極12が露出する。
【0030】
次に図7に示すように、シード層13がパターニングされた基板上に強誘電体材料からなる層14を形成する。層14として例えばPZTを採用する場合、鉛、ジルコニウム及びチタンを含む金属アルコキシド溶液を基板上にスピンコートし、150℃で乾燥させ、300℃で脱脂及び熱分解を行う。次いでRTAまたはファーネスを用いて450℃〜700℃で結晶化を行う。これにより、シード層13が除去された領域にはペロブスカイト型結晶構造のPZTが形成され、この部分は強誘電性を示す強誘電体膜14Fとなる。一方シード層13上の領域にはパイロクロア型結晶構造を主とするPZTが形成され、この部分は常誘電性を示す非強誘電体膜14Nとなる。これにより、隣接する強誘電体膜14F間に非強誘電体膜14Nが介在し、個々の強誘電体膜14Fが非強誘電体膜14Nによって隔離される構造となるので、素子間のクロストークを防止することができる。
【0031】
なお、強誘電体材料からなる層14の形成にあたっては、シード層13が除去された領域上に、強誘電体層14Fの形成が促進されるような別途のシード層、ここではペロブスカイト型結晶構造PZTの成長を促進するようなTi層、TiOx層、PbTiO3層などのシード層を、第一電極12上に形成してもよい。
【0032】
次に、第二電極16をパターニング形成し、平行線状のビット線とすることで、図3に示す状態となる。第二電極16の形成は、例えばDCスパッタ法により行うことができる。
【0033】
以上より強誘電体素子であるメモリセル20を備えたメモリセルアレイが完成する。必要に応じて第二電極16が形成された基板上にTEOS、SiO2などの絶縁保護膜(図示せず)を形成する。前述の第1駆動回路50及び第2駆動回路52と、第一電極12及び第二電極16とを接続することで、本実施形態の強誘電体メモリ1000が形成される。
【0034】
<3.電子機器の例>
図8は、本発明の実施形態における電子機器の一例であるパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。図8において、パーソナルコンピュータ500は、表示パネル501と、キーボード502を備えた本体部504と、から構成されている。当該コンピュータ500の本体部504に内蔵されるCPU基板のメモリ素子等として、本発明の優れた強誘電体特性を発揮する強誘電体装置や強誘電体メモリが利用されている。このため、信頼性の高い記憶手段を備えた電子機器を提供することができる。
【0035】
また、本発明の電子機器はこれに限らず、ICカード、携帯情報機器、家庭用電気製品など、メモリ装置や強誘電体素子を備えたあらゆる電子機器に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る強誘電体素子を備えた強誘電体メモリの回路図である。
【図2】上記強誘電体メモリのパターンレイアウトを模式的に示す平面図である。
【図3】図2の囲み線[3]に示す部分の平面図(図3(C))、そのA−A線断面図(図3(A))及びB−B線断面図(図3(B))である。
【図4】上記強誘電体素子及び強誘電体メモリの製造工程を示す図である。
【図5】上記強誘電体素子及び強誘電体メモリの製造工程を示す図である。
【図6】上記強誘電体素子及び強誘電体メモリの製造工程を示す図である。
【図7】上記強誘電体素子及び強誘電体メモリの製造工程を示す図である。
【図8】本発明の実施形態における電子機器の一例であるパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
20…メモリセル(強誘電体素子)、10…基板、11…絶縁膜、12…第一電極、13…シード層、14…強誘電体材料からなる層、14F…強誘電体膜、14N…非強誘電体膜(強誘電体膜と同一組成の膜)、16…第二電極、60…周辺回路、1000…強誘電体メモリ、500…パーソナルコンピュータ(電子機器)
【発明の属する技術分野】
本発明は、強誘電体素子、強誘電体メモリ、及びこれらの製造方法に係る。
【0002】
【従来の技術】
強誘電体膜を第一電極及び第二電極で挟んだ構造を有する強誘電体素子が知られている。この強誘電体素子は、強誘電体膜に電圧をかけることで自発分極が反転し電圧を除去してもその状態を保持する現象を利用し、メモリ装置として機能させることができる。この強誘電体メモリは、一度情報を書き込むと電源を落としても記憶が保持され、且つ多数回の書き換えが可能であり、動作スピードが速いという特徴を有している。
【0003】
強誘電体素子の高集積化の要請に応えるため、複数本のワードラインとビットラインとを互いに交差させるように配置させ、これらの配線によって強誘電体膜を狭持した強誘電体メモリが知られている(例えば、特開2002−353419号公報)。この強誘電体メモリでは、ワードラインとビットラインとで挟まれた特定の格子点の強誘電体キャパシタのみを選択し、その分極状態を読み出し、0/1を判別する。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−353419号公報。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構造の強誘電体メモリにおいては、高集積化に伴ってキャパシタセル同士を非常に近接させざるを得ないため、高集積化すればするほど、電気力線のはみ出しによるクロストークを生じやすく、ひいては書き込み/読み出しエラーに繋がりやすくなるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は素子間のクロストークを防止することができ、信頼性の高い強誘電体素子、強誘電体メモリ、及びこれらの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、絶縁膜上に形成された第一電極と、前記第一電極上に形成された強誘電体膜と、前記強誘電体膜上に形成された第二電極と、を備えた強誘電体素子であって、前記強誘電体膜の近傍に、前記強誘電体膜と同一組成の膜が形成され、前記近傍の膜より下層に、パイロクロア型結晶構造を有するシード層が形成されていることを特徴とする。シード層が形成されていることで、強誘電体膜の近傍の膜が強誘電体膜と異なる結晶構造をとり、素子間のクロストークを防止することができる。
【0008】
上記強誘電体素子において、前記シード層は、前記第一電極の非形成領域と、前記第一電極上であって前記第二電極の非形成領域とに形成されていることが望ましい。
【0009】
上記強誘電体素子において、前記強誘電体膜は、前記第一電極と前記第二電極との間に挟まれた領域に形成され、前記近傍の膜は、前記第一電極の非形成領域と、前記第一電極上であって前記第二電極の非形成領域とに形成された非強誘電体膜であることが望ましい。非強誘電体膜とすることで、素子間のクロストークを有効に防止することができる。
【0010】
上記強誘電体素子において、前記パイロクロア構造を有するシード層は、前記強誘電体と同一元素から成る酸化物であることが望ましい。
【0011】
本発明の強誘電体メモリは、絶縁膜上に平行線状に複数形成された第一電極と、前記第一電極上の所定箇所に形成された強誘電体膜と、前記第一電極及び前記強誘電体膜が形成された絶縁膜上に、前記第一電極と交差するように平行線状に複数形成された第二電極と、前記第一電極及び前記第二電極に対してそれぞれワード選択信号及びビット選択信号を供給する周辺回路と、を備えたクロスポイント型強誘電体メモリであって、前記強誘電体膜の近傍に、前記強誘電体膜と同一組成の膜が形成され、前記近傍の膜より下層に、パイロクロア型結晶構造を有するシード層が形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の電子機器は、上記の強誘電体素子又は強誘電体メモリを備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の強誘電体素子の製造方法は、絶縁膜上に第一電極を形成する工程と、前記第一電極の形成後、前記第一電極上の所定箇所以外の領域に、パイロクロア型結晶構造を有するシード層を形成する工程と、前記シード層の形成後、前記所定箇所に強誘電体膜が形成されるように、前記絶縁膜上に強誘電体膜材料を用いた成膜を行う工程と、前記強誘電体膜の形成後、前記所定箇所に、第二電極を形成する工程と、を備えている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0015】
<1.強誘電体素子及び強誘電体メモリの構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る強誘電体素子を備えた強誘電体メモリの回路図である。図2は、上記強誘電体メモリのパターンレイアウトを模式的に示す平面図である。図3は、図2の囲み線[3]に示す部分の平面図(図3(C))、そのA−A線断面図(図3(A))及びB−B線断面図(図3(B))である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の強誘電体メモリ1000は、メモリセルアレイ100を有する。メモリセルアレイ100は、行選択のための複数の平行な第一電極(ワード線)12と、列選択のための複数の平行な第二電極(ビット線)16とが直交するように配列されて形成されている。なお、電極の機能は上記の逆でもよく、第一電極がビット線、第二電極がワード線でもよい。
【0017】
そして、図2に示すように、第一電極12と第二電極16との間には強誘電体材料からなる層14が配置されている。
【0018】
図3(A)乃至図3(C)に示すように、これら第一電極12、強誘電体材料からなる層14及び第二電極16は、この順で基板10上に形成されている。基板10は、表面に絶縁膜11を備えており、例えば表面が熱酸化された単結晶Si基板等を用いる。基板10の絶縁膜11としてはSiO2に限らず、SiNxなどでもよい。
【0019】
第一電極12は導電性を有する材料で構成し、例えばPt、Ir、これらの積層構造又はこれらのいずれかとその酸化物との積層構造が好ましい。第一電極12と基板10との間に、Ti、TiOx等の図示しない密着層を形成してもよい。第一電極12の膜厚は導電性が十分に確保されれば特に限定されないが、例えば50nm〜300nmとするのが好ましく、より好ましくは、100nm〜200nmとする。
【0020】
第二電極16は導電性を有する材料で構成し、例えばPt、Ir、Au等が好ましい。第二電極16の膜厚は導電性が十分に確保されれば特に限定されないが、例えば50nm〜300nmとするのが好ましく、より好ましくは、100nm〜200nmとする。
【0021】
強誘電体材料からなる層14のうち、第一電極12と第二電極16との交差領域は強誘電性を示す強誘電体膜14Fとなっている。そして、各強誘電体膜14Fとこれを挟む位置で交差する第一電極12と第二電極とでキャパシタを構成し、それぞれ本実施形態の強誘電体素子であるメモリセル20となっている。
【0022】
強誘電体材料からなる層14のうち、強誘電体膜14F以外の領域、つまり第一電極12の非形成領域と、第一電極12の形成領域であって第二電極16の非形成領域は、強誘電性を示さない非強誘電体膜14Nとなっている。
【0023】
メモリセルアレイ20内の強誘電体膜14Fは、非強誘電体膜14Nを介して連続的に形成されている。これら強誘電体膜14F及び非強誘電体膜14Nは同一の組成を有しているが、結晶構造が異なる。強誘電体膜14Fはペロブスカイト型結晶構造を有することが好ましく、非強誘電体膜14Nはパイロクロア型結晶構造を有するか、あるいは非晶質であることが好ましい。同一組成で良好な強誘電性を示すペロブスカイト型結晶構造と、常誘電性を示すパイロクロア型結晶構造とを比較的容易にとり得る材料としては、PZTが特に好ましく、SBT、BLTなどでもよい。また、強誘電体膜14F及び非強誘電体膜14Nの膜厚は、50nm〜300nmとするのが好ましく、より好ましくは、100nm〜200nmとする。
【0024】
非強誘電体膜14Nの下層には、パイロクロア型結晶構造を有するシード層13が形成されている。このシード層13は、強誘電体膜14Fの下層には形成されていない。シード層13の膜厚は、例えば5nm〜30nmとする。シード層13の組成は、強誘電体膜14F及び非強誘電体膜14Nを構成する元素と同一な元素から成る組成が好ましいが、さらには、パイロクロア型結晶構造をとり易いように各構成元素の組成比を調整したものが好ましい。
【0025】
強誘電体メモリ1000は、各メモリセルに対して選択的に情報の書き込みもしくは読み出しを行うための周辺の駆動回路や、読み出し用の増幅回路を含む周辺回路部60を備えている。周辺回路部60は、例えば、第一電極12を選択的に制御するための第1駆動回路50と、第二電極16を選択的に制御するための第2駆動回路52と、センスアンプなどの信号検出回路(図示せず)とを含む。周辺回路部60の具体例としては、Yゲート、センスアンプ、入出力バッファ、Xアドレスデコーダ、Yアドレスデコーダまたはアドレスバッファを挙げることができる。周辺回路部60は、基板10上に形成されたMOSトランジスタ等により構成することができる。
【0026】
<2.強誘電体素子及び強誘電体メモリの製造方法>
図4乃至図7は、上記強誘電体素子及び強誘電体メモリの製造工程の各段階を示す図であり、各図(C)は平面図、各図(A)はそのA−A線断面図、各図(B)はB−B線断面図である。図4から図7を経て図3の完成図に至るまでの工程を以下説明する。
【0027】
図4に示すように、絶縁膜11を形成した基板10上に第一電極12をパターニング形成し、平行線状のワード線とする。第一電極12の形成は、例えばDCスパッタ法により行うことができる。なお、強誘電体メモリ1000を構成するために図示しないトランジスタ等を形成する場合には、第一電極12を形成するより前に、公知の方法で予め基板10に形成しておく。
【0028】
次に図5に示すように、第一電極12が形成された基板10上にシード層13を形成する。シード層としてニオブ酸鉛を用いる場合には、鉛及びニオブを含む金属アルコキシド溶液を基板上にスピンコートし、150℃で乾燥させ、300℃で脱脂及び熱分解を行う。ついでRTAまたはファーネスを用いて450℃〜700℃で結晶化を行う。これにより得られるシード層13はパイロクロア型結晶構造を示す常誘電体となる。
【0029】
次に図6に示すように、シード層13をパターニングする。具体的には、シード層13のうち、第一電極12と第二電極16との格子点となる部分を除去する。すなわち第一電極12の非形成領域と、第一電極の形成領域であって第二電極16の非形成領域とにシード層13を残してパターニングする。シード層13が除去された部分には第一電極12が露出する。
【0030】
次に図7に示すように、シード層13がパターニングされた基板上に強誘電体材料からなる層14を形成する。層14として例えばPZTを採用する場合、鉛、ジルコニウム及びチタンを含む金属アルコキシド溶液を基板上にスピンコートし、150℃で乾燥させ、300℃で脱脂及び熱分解を行う。次いでRTAまたはファーネスを用いて450℃〜700℃で結晶化を行う。これにより、シード層13が除去された領域にはペロブスカイト型結晶構造のPZTが形成され、この部分は強誘電性を示す強誘電体膜14Fとなる。一方シード層13上の領域にはパイロクロア型結晶構造を主とするPZTが形成され、この部分は常誘電性を示す非強誘電体膜14Nとなる。これにより、隣接する強誘電体膜14F間に非強誘電体膜14Nが介在し、個々の強誘電体膜14Fが非強誘電体膜14Nによって隔離される構造となるので、素子間のクロストークを防止することができる。
【0031】
なお、強誘電体材料からなる層14の形成にあたっては、シード層13が除去された領域上に、強誘電体層14Fの形成が促進されるような別途のシード層、ここではペロブスカイト型結晶構造PZTの成長を促進するようなTi層、TiOx層、PbTiO3層などのシード層を、第一電極12上に形成してもよい。
【0032】
次に、第二電極16をパターニング形成し、平行線状のビット線とすることで、図3に示す状態となる。第二電極16の形成は、例えばDCスパッタ法により行うことができる。
【0033】
以上より強誘電体素子であるメモリセル20を備えたメモリセルアレイが完成する。必要に応じて第二電極16が形成された基板上にTEOS、SiO2などの絶縁保護膜(図示せず)を形成する。前述の第1駆動回路50及び第2駆動回路52と、第一電極12及び第二電極16とを接続することで、本実施形態の強誘電体メモリ1000が形成される。
【0034】
<3.電子機器の例>
図8は、本発明の実施形態における電子機器の一例であるパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。図8において、パーソナルコンピュータ500は、表示パネル501と、キーボード502を備えた本体部504と、から構成されている。当該コンピュータ500の本体部504に内蔵されるCPU基板のメモリ素子等として、本発明の優れた強誘電体特性を発揮する強誘電体装置や強誘電体メモリが利用されている。このため、信頼性の高い記憶手段を備えた電子機器を提供することができる。
【0035】
また、本発明の電子機器はこれに限らず、ICカード、携帯情報機器、家庭用電気製品など、メモリ装置や強誘電体素子を備えたあらゆる電子機器に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る強誘電体素子を備えた強誘電体メモリの回路図である。
【図2】上記強誘電体メモリのパターンレイアウトを模式的に示す平面図である。
【図3】図2の囲み線[3]に示す部分の平面図(図3(C))、そのA−A線断面図(図3(A))及びB−B線断面図(図3(B))である。
【図4】上記強誘電体素子及び強誘電体メモリの製造工程を示す図である。
【図5】上記強誘電体素子及び強誘電体メモリの製造工程を示す図である。
【図6】上記強誘電体素子及び強誘電体メモリの製造工程を示す図である。
【図7】上記強誘電体素子及び強誘電体メモリの製造工程を示す図である。
【図8】本発明の実施形態における電子機器の一例であるパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
20…メモリセル(強誘電体素子)、10…基板、11…絶縁膜、12…第一電極、13…シード層、14…強誘電体材料からなる層、14F…強誘電体膜、14N…非強誘電体膜(強誘電体膜と同一組成の膜)、16…第二電極、60…周辺回路、1000…強誘電体メモリ、500…パーソナルコンピュータ(電子機器)
Claims (8)
- 絶縁膜上に形成された第一電極と、前記第一電極上に形成された強誘電体膜と、前記強誘電体膜上に形成された第二電極と、を備えた強誘電体素子であって、
前記強誘電体膜の近傍に、前記強誘電体膜と同一組成の膜が形成され、前記近傍の膜より下層に、パイロクロア型結晶構造を有するシード層が形成されている、強誘電体素子。 - 請求項1において、
前記シード層は、前記第一電極の非形成領域と、前記第一電極上であって前記第二電極の非形成領域とに形成されている、強誘電体素子。 - 請求項1又は請求項2において、
前記強誘電体膜は、前記第一電極と前記第二電極との間に挟まれた領域に形成され、前記近傍の膜は、前記第一電極の非形成領域と、前記第一電極上であって前記第二電極の非形成領域とに形成された非強誘電体膜である、強誘電体素子。 - 請求項1乃至請求項3の何れか一項において、
前記シード層は、前記強誘電体と同一元素から成る酸化物であることを特徴とする強誘電体素子。 - 絶縁膜上に平行線状に複数形成された第一電極と、前記第一電極上の所定箇所に形成された強誘電体膜と、前記第一電極及び前記強誘電体膜が形成された絶縁膜上に、前記第一電極と交差するように平行線状に複数形成された第二電極と、前記第一電極及び前記第二電極に対してそれぞれワード選択信号及びビット選択信号を供給する周辺回路と、を備えたクロスポイント型強誘電体メモリであって、
前記強誘電体膜の近傍に、前記強誘電体膜と同一組成の膜が形成され、前記近傍の膜より下層に、パイロクロア型結晶構造を有するシード層が形成されている、強誘電体メモリ。 - 請求項1乃至5の何れかに記載の強誘電体素子又は強誘電体メモリを備えた電子機器。
- 絶縁膜上に第一電極を形成する工程と、
前記第一電極の形成後、前記第一電極上の所定箇所以外の領域に、パイロクロア型結晶構造を有するシード層を形成する工程と、
前記シード層の形成後、前記所定箇所に強誘電体膜が形成されるように、前記絶縁膜上に強誘電体膜材料を用いた成膜を行う工程と、
前記強誘電体膜の形成後、前記所定箇所に、第二電極を形成する工程と、を備えた強誘電体素子の製造方法。 - 請求項7において、
前記強誘電体膜材料を用いた成膜により、前記シード層上に非強誘電体膜を形成する、強誘電体素子の製造方法。
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JP2003092292A JP2004303805A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | 強誘電体素子、強誘電体メモリ及びこれらの製造方法 |
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JP2003092292A Pending JP2004303805A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | 強誘電体素子、強誘電体メモリ及びこれらの製造方法 |
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- 2003-03-28 JP JP2003092292A patent/JP2004303805A/ja active Pending
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