JP2004300635A - 紙の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】紙を製造する際に用いられる薬剤の添加回数を減らすことにより作業効率を向上させ、しかも、このことにより歩留り性、搾水性、乾燥性が向上し、その結果生産性の向上及び生産コストの削減可能な紙の製造方法を提供する。
【解決手段】セルロース含有スラリーを水切りして、シートを形成し、該シートを乾燥することにより紙を製造する方法であって、該セルロース含有スラリー中に、架橋構造、分岐構造及び線状構造を有するカチオン性ポリマーの中から選ばれた2種以上のカチオン性ポリマーを含有するカチオン性ポリマー組成物を添加後、少なくとも1回の剪断処理を行なうことを特徴とする紙の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙の製造方法、さらに詳しくは、紙を製造する際、製紙助剤の添加回数を少なくすることにより作業効率を向上可能な紙の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、紙の製造方法として、濾水性及び歩留り性向上のためにパルプ(セルロース)含有懸濁液中に凝結剤や歩留剤等を配合することによりスラリー中の固形分を凝集させ、これをワイヤーパートでろ水してシートを形成し、さらにこのシートをプレスパートで搾水後、ドライパートで乾燥することが行われている。例えば、1つ以上の剪断段階前に分子量500000以上の実質的に線状の合成カチオン性ポリマーを歩留性及び水切り性のために水性セルロース懸濁液中に添加、さらには同様に1つ以上の剪断段階前にベントナイトを水性セルロース懸濁液に添加し、この懸濁液を剪断後、水切りし、シートを形成する方法(特許文献1参照)や予め剪断処理を行なった架橋構造を有するポリアクリルアミドをパルプ含有サスペンジョンに添加し、剪断処理を行ない、ベントナイトをサスペンジョンに添加する方法(特許文献2参照)、セルロース繊維を含む懸濁液に低分子量の陽イオン性有機ポリマー(70万未満の分子量)、高分子量の陽イオン性または両性のポリマー(100万を超える分子量)及び陰イオン性無機粒子を添加し、その懸濁液をワイヤー上で生成し、脱水する紙の製造方法(特許文献3参照)、濃厚ストック成分セルロース懸濁液中に3meq/g未満の理論カチオン電荷密度と少なくとも4dl/gの固有粘度を有する第1の実質的に水溶性の合成ポリマー剤を添加し、濃厚ストックを凝集させ、これを希釈して希薄ストックを形成し、スクリーンで水切りしてシートを形成し、このシートを乾燥させる製紙方法(特許文献4参照)などが提案されている。
【0003】
これらのものは、いずれもカチオン性ポリマーを添加後、アニオン性物質を添加することにより歩留性や濾水性を向上させるものであるが、カチオン性ポリマーとアニオン性物質を別々に添加しなければならず、また、添加する場合、添加する薬剤の効果を最大限に発揮させるためには、薬剤の添加タイミングを正確に行なわなければならないため、添加作業はとても煩雑なものであり、しかも添加装置も複数必要となる。また、これらの方法においては、前述の薬剤の他、歩留り向上剤も添加しているため、さらに添加処理は煩雑なものとなっており、このことが作業効率の低下の原因となるため、作業効率の面でいまだ満足できるものではなかった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭62−191598号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献2】
特表2002−518609号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献3】
特開平9−31885号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献4】
特表平9−503034号公報(特許請求の範囲その他)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、紙を製造する際に用いられる薬剤の添加回数を減らすことにより作業効率を向上させ、しかも、このことにより歩留り性、搾水性、乾燥性が向上し、その結果生産性の向上及び生産コストの削減可能な紙の製造方法を提供することをその課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記した好ましい特性を有する紙の製造方法について鋭意研究を重ねた結果、紙を製造する際、特定のカチオン性ポリマーをセルロース含有スラリーに添加し、水切りして、シートを形成し、該シートを乾燥することにより紙を製造することにより、凝結剤や歩留り剤などの添加回数を減らすことが可能であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、以下に示す紙の製造方法が提供される。
(1)セルロース含有スラリーを水切りして、シートを形成し、該シートを乾燥することにより紙を製造する方法であって、該セルロース含有スラリー中に、架橋構造、分岐構造及び線状構造を有するカチオン性ポリマーの中から選ばれた2種以上のカチオン性ポリマーを含有するカチオン性ポリマー組成物を添加後、少なくとも1回の剪断処理を行なうことを特徴とする紙の製造方法。
(2)該カチオン性ポリマー組成物が(a)架橋構造を有するカチオン性ポリマーと(b)架橋構造、分岐構造及び線状構造を有するカチオン性ポリマーの中から選ばれた1種以上のカチオン性ポリマー(ただし、架橋構造を有するカチオン性ポリマーは、該(a)成分とは異なるものである)とを含有することを特徴とする前記(1)に記載の紙の製造方法。
(3)該カチオン性ポリマー組成物が(c)分岐構造を有するカチオン性ポリマーと(b)架橋構造、分岐構造及び線状構造を有するカチオン性ポリマーの中から選ばれた1種以上のカチオン性ポリマー(ただし、分岐構造を有するカチオン性ポリマーは、該(c)成分とは異なるものである)とを含有することを特徴とする前記(1)に記載の紙の製造方法。
(4)該カチオン性ポリマー組成物は、カチオン電荷密度が2meq/g以上で、6dl/g以上の固有粘度を有することを特徴とする前記(1)、(2)又は(3)に記載の紙の製造方法。
(5)該カチオン性ポリマー組成物は、剪断試験前と8000rpmで3分間の剪断試験後のカチオン電荷密度及び固有粘度が次式を満足するものであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の紙の製造方法。
【数2】
1.0A≦B (1)
:剪断処理前のカチオン電荷密度又は固有粘度
:剪断処理後のカチオン電荷密度又は固有粘度
(6)該カチオン性ポリマーを添加するセルロース含有スラリー中の該セルロース濃度が少なくとも2.5質量%であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の紙の製造方法。
(7)該懸濁液を剪断後、アニオン性の補助剤を該懸濁液に配合しないことを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の紙の製造方法。
【0007】
なお、アニオン性の補助剤とは、ワイヤーパートでろ水する前の希釈された懸濁液中に配合し、懸濁液中のカチオン性ポリマーのカチオンと反応してパルプや填料等を凝集させるもので示し、例えば、従来例に記載した、ベントナイトやコロイダルシリカ、陰イオン性無機粒子、低分子量ポリマー等が挙げられる。
また、剪断試験後の固有粘度及びカチオン電荷密度は、ポリマー濃度を1.0%としたカチオン性ポリマー組成物を内径10cmのビーカー(容量1リットル)に200ml入れ、AUTO HOMO MIXERで直径4cm丸羽型かく拌羽根を用いて8000rpm、3分間剪断処理して測定したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の紙の製造方法では、セルロースとして、例えばバージンパルプ、脱墨古紙パルプ、段ボール古紙パルプ、コートブローク等のパルプを含有するスラリー中にカチオン性ポリマーを混合及び剪断する。前記パルプは単独又は2種以上を組合わせ用いてもよい。パルプを2種以上組合せる場合、その混合比は得ようとする紙の種類により適宜選択するため特に制限はない。なお、ここでバージンパルプとは古紙(再生紙)やコートブロークを含まないパルプを示す。
【0009】
本発明では、架橋構造、分岐構造及び線状構造を有するカチオン性ポリマーの中から選ばれる2種以上のカチオン性ポリマーとを含有するカチオン性ポリマー組成物をセルロース含有スラリー中に添加する。前記カチオン性ポリマーの組み合わせとしては、例えば、架橋構造を有するカチオン性ポリマーと線状構造を有するカチオン性ポリマー、分岐構造を有するカチオン性ポリマーと線状構造を有するカチオン性ポリマー、互いに異なる物性を有する2種以上の架橋構造を有するカチオン性ポリマー、互いに異なる物性を有する2種以上の分岐構造を有するカチオン性ポリマーが挙げられる。中でも好ましい組み合わせとしては、(a)架橋構造を有するカチオン性ポリマーと(b)架橋構造、分岐構造及び線状構造を有するカチオン性ポリマーの中から選ばれる1種以上のカチオン性ポリマー(ただし、架橋構造を有するカチオン性ポリマーを選択した場合は、前記(a)成分とは異なる)との組み合わせや、(c)分岐構造を有するカチオン性ポリマーと(b)架橋構造、分岐構造及び線状構造を有するカチオン性ポリマーの中から選ばれる1種以上のカチオン性ポリマー(ただし、分岐構造を有するカチオン性ポリマーを選択した場合は、前記(c)成分とは異なる)との組み合わせが挙げられる。
【0010】
この(a)成分の製造方法に特に制限はないが、例えば2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンンモニウムクロリド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンンモニウムクロリド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンンモニウムクロリド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジエチルベンジルアンンモニウムクロリド、3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリエチルアンモニウムクロリド、3−(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジエチルアンモニウムクロリド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムサルフェート、2−(メタ)アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロリド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムブロミド、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルエチルアンモニウムクロリド、3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルメチルジエチルアンモニウムクロリド、3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、2−(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロリド、3−(メタ)アクリロイルアミノ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、2−(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロリド、等の第四級アンモニウム塩残基を有するカチオン性モノマーと、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、N,N′−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、トリアリルトリメリテート、エチレングリコールジアリルエーテル、ジアリルアミン、トリアリルアミン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルフォスフェート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、脂肪族多価アルコールのジ又はポリグリシジルエーテル、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルメタアクリレート等の架橋剤を水に溶解し、水溶性の重合開始剤を添加し、雰囲気を不活性ガスで置換して加熱し重合する方法や、架橋剤として多価金属塩やホルムアルデヒド、グリオキザール等のイオン系架橋剤を用いて重合する方法等が挙げられる。
【0011】
また、前記(a)成分を製造する場合に、前記カチオン性モノマーと共重合可能な単量体を構成成分としてもよく、例えばエチレン性不飽和カルボン酸などが用いられる。この共重合体を構成するエチレン性不飽和カルボン酸としては、例えばモノカルボン酸類やジカルボン酸類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物、芳香族ビニル化合物、不飽和アミド化合物及び不飽和ニトリル化合物などがある。このようなものの例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸2−メチルブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシヘキシル、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、(メタ)アクリロニトリルなどを挙げることができる。中でも(メタ)アクリルアミドが固有粘度を所望の値に調整しやすいので好ましい。なお、(メタ)アクリルの表現は、アクリル又はメタクリルを意味する。
【0012】
また、前記(b)成分は、前記(a)成分の製造方法で用いられるカチオン性モノマーの1種以上及び所望により用いられる前記カチオン性モノマーと共重合可能な単量体、例えば前記したエチレン性不飽和カルボン酸からなる(共)重合体である。この(b)成分の製造方法としては、特に制限はなく、溶液重合法、乳化重合法、固体重合法など任意の方法を用いることができる。この際用いる重合開始剤としては、水溶性のアゾ化合物や過酸化物、例えば過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジ塩酸塩、水溶性無機酸化物、または水溶性還元剤と水溶性無機酸化物や有機過酸化物との組合せなどがある。この水溶性無機化酸化物の例としては、過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。この水溶性還元剤の例としては、水に過溶な通常のラジカル酸化還元重合触媒成分として用いられる還元剤、例えばエチレンジアミン四酢酸又はそのナトリウム塩やカリウム塩、あるいはこれらと鉄、銅、クロムなどの重金属との錯化合物、スルフィン酸またはそのナトリウム塩やカリウム塩、L−アスコルビン酸又はそのナトリウム塩やカリウム塩やカルシウム塩、ピロリン酸第一鉄、硫酸第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、還元等などが挙げられる。一方、水溶性有機過酸化物としては、例えばクメンヒドロペルオキシド、p‐サイメンヒドロペルオキシド、tert‐ブチルイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、p‐メンタンヒドロペルオキシド、デカリンヒドロペルオキシド、tert‐アミルヒドロペルオキシド、tert‐ブチルヒドロペルオキシド、イソプロピルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類などが挙げられる。
【0013】
また、この乳化重合における乳化剤としては、通常アニオン性界面活性剤又はそれとノニオン性界面活性剤との組合せが用いられる。このアニオン性界面活性剤やノニオン性界面活性剤としては、通常の乳化重合に用いられるものの中から任意に選んで用いることができる。このようなアニオン性界面活性剤の例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸金属塩、ポリオキシアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩などを挙げることができる。また、ノニオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルグリセリンホウ酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなど、ポリオキシエチレン鎖を分子内に有し、界面活性能を有する化合物及び前記化合物のポリオキシエチレン鎖がオキシエチレン、オキシプロピレンの共重合体で代替されている化合物、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
【0014】
この乳化重合法によれば、重合開始剤及び乳化剤を含有する水性媒体中において、エチレン系不飽和カルボン酸単位及びカチオン性モノマーを所定の割合で混合し、通常30〜80℃の範囲の温度において重合させることにより、所望の共重合体微粒子が均質に分散したエマルションを得ることができる。この方法で得られるエマルションは、そのまま製紙原料スラリーに配合することもできるし、所望ならば塩析又は噴霧乾燥などにより共重合体を固形物として取り出し、これを用いてセルロース含有懸濁液に配合してもよい。
【0015】
また、(b)成分及び(c)成分として用いられる分枝構造を有するカチオン性ポリマーの製造方法としては、前記した各重合方法において、二重結合、アルデヒド結合あいはエポキシ結合からなる群から選ばれる2種以上の試薬群を有する多官能化合物によって構成される分枝剤を用いて重合する方法が挙げられる。
【0016】
さらに、架橋構造を有するカチオン性ポリマーの製造方法としては、前記(a)成分の製造方法と同様であり、(b)成分として架橋構造を有するカチオン性ポリマーを用いる場合は、(a)成分で用いるカチオン性ポリマーよりもカチオン電荷密度が高いものを用いることが望ましい。
【0017】
この(b)成分としては、特にカチオン電荷密度が3.0meq/g以上のものを用いるのが好ましい。3.0meq/g未満であると、パルプ繊維表面の水酸基と水分子とが水素結合するのを防止し難くなるため、搾水性、乾燥性の面で不利になるので好ましくない。搾水性、乾燥性の面から、(b)成分として特に好ましいのは、線状カチオン性ポリマーでカチオン電荷密度が3.5meq/g以上のものである。
【0018】
本発明は、セルロース含有スラリー中に前記架橋構造、分岐構造及び線状構造を有するカチオン性ポリマーの中から選ばれる2種以上のカチオン性ポリマーを有するカチオン性ポリマー組成物を配合する必要があるが、この時配合するカチオン性ポリマー組成物は、カチオン電荷密度が2meq/g以上で、かつ6dl/g以上の固有粘度を有することが望ましい。前記カチオン電荷密度が2meq/g未満であるとセルロース含有スラリーの負電荷、特にパルプの表面電荷を十分中和することができないため、パルプ表面の水酸基と水分子とが水素結合することが防止し難くなり、乾燥性の向上が見られない。
【0019】
また、固有粘度が6dl/g未満であるとパルプ表面の水酸基に水分子を保持していないパルプ繊維間で架橋的作用が十分でないため歩留り性や、濾水性が低下し、また、紙の白色度など抄紙物性も低下するので好ましくない。好ましいカチオン電荷密度は好ましいカチオン電荷密度は3.5meq/g以上であり、固有粘度は10〜20dl/gの範囲である。
【0020】
なお、ここでいうカチオン電荷密度とは、カチオン性ポリマー1g中に含まれるカチオン性モノマーの当量を意味し、2.5mol/mのポリビニル硫酸カリウムを用いたコロイド滴定法により求められる。
【0021】
さらに、前記カチオン性ポリマー組成物は、剪断試験前と8000rpmで3分間剪断試験後のカチオン電荷密度及び固有粘度の関係が次式の関係を有することが望ましい。
【数3】
1.0A≦B (1)
:剪断処理前のカチオン電荷密度又は固有粘度
:剪断処理後のカチオン電荷密度又は固有粘度
【0022】
前記式(1)を満足しない場合、歩留り効果を発揮するために必要な電荷密度又は固有粘度が得られないため、十分な歩留り性、ろ水性向上効果が発揮できないので好ましくない。好ましい剪断試験前と8000rpmで3分間剪断試験後のカチオン電荷密度及び固有粘度の関係としては、下記式(2)
【数4】
1.20A≦B (2)
を満足するものであり、特に好ましいカチオン電荷密度としては、下記式(3)
【数5】
1.25A≦B (3)
を、固有粘度の関係としては、下記式(4)
【数6】
1.35A≦B (4)
満足するものである。
【0023】
前記(a)成分と(b)成分の配合割合は、前記物性を満足するように適宜選択すればよいが、通常質量比で90:10〜10:90の範囲である。
【0024】
本発明においては、セルロース含有スラリーへ前記カチオン性ポリマーを配合し、剪断し、希釈し、この希釈したスラリーを水切りしてシートを形成し、乾燥させることにより紙を製造するが、前記スラリーに添加する薬剤の効果を最大限に発揮させるために、カチオン性ポリマー添加前のスラリーのカチオン要求量を10μeq/l以上とすることとが望ましい。スラリーのカチオン要求量が10μeq/l未満であると、カチオン性ポリマーの添加により、硫酸バンドや紙力剤などの薬剤定着を低下させてしまう原因となる。したがって、カチオン要求量が10μeq/l未満の場合は、カチオン性の添加薬剤、例えば、硫酸バンドやカチオン化デンプン等の添加量を減らすなどの方法により、カチオン要求量を10μeq/l以上に調整する。
【0025】
本発明においては、カチオン性ポリマー組成物を添加する際のセルロース含有スラリー中のセルロース含有量は2.5%以上であることが好ましい。セルロース含有量が2.5%未満でのスラリーにカチオン性ポリマーを添加しても線状構造を有するカチオン性ポリマーが凝結作用を発揮しにくく、また、架橋構造を有するカチオン性ポリマーにかかる剪断力が不足するため、線状構造を有するカチオン性ポリマーへの構造変化がおきにくくなるので、好ましい効果が得られない。
【0026】
また、スラリー中のセルロース成分と前記カチオン性ポリマー組成物との配合割合は、セルロースに対するポリマー組成物の質量比で5×10−5〜10−3であるのが好ましい。カチオン性ポリマーがこの範囲より少ないと十分なパルプ表面の水酸基と水分子とが水素結合することを防止し難くなり、また、濾水性、歩留り性、サイズ度が得られなくなる。また、この範囲より多いとスラリーがカチオン過剰となり、他の添加薬剤の効果が十分発揮されなくなるため、効果を発揮させるために他の添加薬剤を過剰添加する必要があり、やはり抄紙マシンの汚れやコスト高の原因となる。配合される薬剤の効果上や抄紙マシンの汚れ防止性及び濾水性、歩留り性及びサイズ度の面から、好ましい配合割合は10−4〜5×10−4である。
【0027】
本発明の紙の製造方法は、セルロース含有スラリーに前記架橋構造、分岐構造及び線状構造を有するカチオン性ポリマーの中から選ばれた2種以上のカチオン性ポリマー、特に(a)成分又は(c)成分と(b)成分とを含有する組成物を添加し、少なくとも1回剪断を行ない、剪断後の前記スラリーをワイヤー上で水切りしシートを形成し、このシートをプレスパートで搾水後、ドライパートで乾燥するものである。前記剪断工程は、主に(b)成分により形成されたフロックを小さなフロックにすると同時に、(a)成分の架橋構造又は(c)成分の分岐構造を壊し、線状構造と同様の状態にする。フロックは通常、小さくなるとフロック自体の表面積が増大するため、フロック表面に水分子を多く保持してしまい、その結果、搾水性及び乾燥性が低くなるという問題が発生するが、本発明においては、あらかじめパルプ表面の水酸基と水分子とを水素結合させないようにカチオン性ポリマー組成物を配合しているため、フロックを小さくしても水分子の保持性が低いため、搾水性及び乾燥性を低下させることがない。また、この剪断工程は、剪断前にパルプ繊維に定着しなかった(b)成分の分子量を短くし、(a)成分の架橋構造又は(c)成分の分岐構造を壊し線状構造と同様の状態にする。この短くなった(b)成分や線状構造と同様の状態となった(a)成分又は(c)成分が、凝結作用を発揮し、パルプ繊維表面及び内部電荷を中和するため、常に系内の電荷状態及びパルプ繊維表面から水分子を排除した状態を一定に維持することが可能となる。
【0028】
前記の剪断方法としては、カチオン性ポリマーをスラリーに添加後、剪断処理のみを行なう方法や製造工程の一部、例えば、ファンポンプやスクリーンなどの高剪断力のかかる場所での処理する方法が挙げられる。
【0029】
さらに、本発明の紙の製造方法においては、従来、歩留り性や濾水性を向上させるために用いられているアニオン性の補助剤は使用しないのが特徴である。本発明では、パルプ表面の水酸基と水分子とを水素結合させずにフロックを形成させるため、アニオン性の補助剤を添加する場合は、フロックが再凝集により大きくなることや、その結果、紙の地合いが低下すること、また、フロック形成と共に水を保持してしまうことのために、搾水性及び乾燥性が低下する原因となるからである。
このような本発明の紙の製造方法により、薬剤添加回数を減少及び添加管理を容易にでき、しかも、歩留り性、搾水性及び乾燥性を向上させることができる。
【0030】
また、本発明においては、前記選択された2種以上のカチオン性ポリマーをあらかじめ混合して用いているが、各成分を同時にセルロース含有スラリー中に添加してもよく、その場合、各成分は、カチオン性ポリマー組成物と同様の物性を選られるように適宜選択するのが望ましい。
【0031】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
なお、各例中の紙の物性は、下記の方法に従って求めた。
(1)濾水性
製紙原料スラリーを、100メッシュを張った内径50mmのアクリル性樹脂の円筒型の容器に移し、メスシリンダーを用いて濾水量を300mlとなるまでの時間を測定した。
(2)カチオン要求量
製紙原料スラリー100mlをWhatman No.4濾紙にて吸引ろ過したろ液について、ミューテック社製PCD03型によりカチオン要求量を測定した。
(3)濁度
製紙原料スラリー100mlをWhatman No.4濾紙にて吸引ろ過したろ液について、JIS K0101によりホルマジン濁度を測定した。
(4)ゼータ電位
製紙原料スラリー100mlを200メッシュにてろ過したろ液について、ゼータ電位を測定した。
【0032】
(5)歩留り性(全歩留り、微細繊維歩留り及び灰分歩留り)
ブリッド式ダイナミックジャー(40メッシュ)内で、広葉樹クラフトパルプ3質量%濃度の製紙原料スラリー500mlを1800rpmでせん断しながら、各種薬剤を以下の順に10秒間隔で添加した。
▲1▼硫酸バンド、▲2▼カチオン性ポリマー、▲3▼サイズ剤、▲4▼紙力増強剤
せん断速度を1200rpmにして、ブリッド式ダイナミックジャー内で希釈してパルプ1.0質量%濃度の懸濁液とし、10秒後に填料としてタルクをパルプに対して、12質量%を添加し、その後pHを5.5〜6の範囲になるように調整し、規定の時間となったら攪拌したまま下穴から、濾水100mlを採取し、濾紙で吸引ろ過後、110℃で60分間乾燥し、乾燥後の質量を測定することにより、全歩留り(OPR)を求めた。
微細繊維の歩留りは、40メッシュ通過微細繊維の歩留りを表している。また灰分歩留りは、JIS P8182に従って測定した。
【0033】
(6)プレス後のシート中の含水率(搾水性)
製紙原料スラリーを坪量が75〜80g/mとなるように、角型抄紙機[東西精機社製]に入れ、攪拌棒で2回上下に攪拌し、最後に穏やかに攪拌した。そして前記抄紙機の排水弁を開き、30秒間吸引を行って、メッシュ(#40)上に形成されたマット(250mm×250mm)の上に濾紙とステンレス鋼板1枚を載せ、ローラーで脱水した。マットをメッシュから剥がし、濾紙を上下に4枚づつしきステンレス鋼板で挟み、1枚ずつプレス機を用いて荷重0.515N/mm、5分の条件で1回プレスし、さらに、前記荷重で2分の条件で1回プレスした。その後重量測定を行った。その後、ドラム式ドライヤー(ドラム表面温度120℃)で5分間乾燥させ、その後110℃の乾燥機にて60分間乾燥させ、絶乾状態での重量を測定した。
含水率(%)={[(プレス後の重量)−(絶乾重量)]/(プレス後の重量)}×100
【0034】
(7)ステキヒトサイズ度、地合い、裂断長
製紙原料スラリーを坪量が75〜80g/mとなるように、角型抄紙機[東西精機社製]に入れ、攪拌棒で2回上下に攪拌し、最後に穏やかに攪拌した。そして前記抄紙機の排水弁を開き、30秒間吸引を行って、メッシュ(#40)上に形成されたマット(250mm×250mm)の上に濾紙とステンレス鋼板1枚を載せ、ローラーで脱水した。マットをメッシュから剥がし、濾紙を上下に4枚づつしきステンレス鋼板で挟み、1枚ずつプレス機を用いて荷重0.515N/mm、5分の条件で1回プレスし、さらに、前記荷重で2分の条件で1回プレスした。その後、ドラム式ドライヤー(ドラム表面温度120℃)で5分間乾燥させ、一昼夜調湿(20℃、湿度55%)し、評価用の紙を得た。ステキヒトサイズ度は、JIS P8122に従って測定した。また、地合いは、M/K SYSTEMS社製、3−Dシートアナライザーを用いて地合いインデックスを測定した。得られたインデックス値は、値が大きくなるほど、地合いが良好であることを示す。また、引っ張り強度(裂断長)はJIS P8113に従って測定した。
【0035】
実施例1
広葉樹クラフトパルプ3質量%濃度の懸濁液中を1800rpmで攪拌しながら、各種薬剤を次の順に10秒間隔で添加し、懸濁液を調製した。
(1)硫酸バンドをパルプに対し0.65質量%添加した。この懸濁液のカチオン要求量は35μeq/lであった。
(2)線状構造を有するアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(固有粘度7dl/g、カチオン電荷密度3.8meq/g)と架橋構造を有するアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(固有粘度7dl/g、カチオン電荷密度1.0meq/g)とを質量比1:1で配合するカチオン性ポリマー組成物(固有粘度7dl/g、カチオン電荷密度2.4meq/g、AUTO HOMO MIXERで8000rpm、3分間剪断後の固有粘度9.8dl/g、カチオン電荷密度2.93meq/g)を前記パルプに対し350ppm添加、
(3)ロジン系サイズ剤を前記パルプに対し0.25質量%添加、
(4)紙力増強剤を前記パルプに対し0.2質量%添加、
この懸濁液を希釈してパルプ1.2質量%濃度の懸濁液と、その後、タルクを前記パルプに対し12質量%を1200rpmで攪拌しながら添加し、さらにpH5.5〜6の範囲になるように調整し製紙原料スラリーを調製した。
この製紙原料スラリーの物性及びこの製紙原料スラリーを用いて紙を製造した紙の物性を表1に示す。
【0036】
実施例2
実施例1において、線状構造を有するアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(固有粘度7.2dl/g、カチオン電荷密度5.6meq/g)と架橋構造を有するアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(固有粘度7.8dl/g、カチオン電荷密度1.35meq/g)とを質量比1:1で配合するカチオン性ポリマー組成物(固有粘度7.5dl/g、カチオン電荷密度3.47meq/g、AUTO HOMO MIXERで8000rpm、3分間剪断後の固有粘度10.2dl/g、カチオン電荷密度4.6meq/g)を用いた以外は、全て実施例1と同様にして紙を製造した。スラリーの物性及び紙の物性を表1に示す。
【0037】
実施例3
実施例1において、線状構造を有するアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(固有粘度7.9dl/g、カチオン電荷密度3.6meq/g)と架橋構造を有するアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(固有粘度8.1dl/g、カチオン電荷密度0.75meq/g)とを質量比1:1で配合するカチオン性ポリマー組成物(固有粘度7.5dl/g、カチオン電荷密度2.17meq/g、AUTO HOMO MIXERで8000rpm、3分間剪断後の固有粘度12.1dl/g、カチオン電荷密度2.54meq/g)とした以外はすべて実施例1と同様にして紙を製造した。このスラリー及び紙の物性を表1に示す。
【0038】
実施例4
実施例1において、線状構造を有するアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(固有粘度7dl/g、カチオン電荷密度2.0meq/g)と架橋構造を有するアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(固有粘度7dl/g、カチオン電荷密度0.8meq/g)とを質量比1:1で配合するカチオン性ポリマー組成物(固有粘度7dl/g、カチオン電荷密度1.4meq/g、AUTO HOMO MIXERで8000rpm、3分間剪断後の固有粘度9.6dl/g、カチオン電荷密度1.65meq/g)を用いた以外は全て実施例1と同様にして紙を製造した。このスラリー及び紙の物性を表1に示す。
【0039】
実施例5
実施例1において、線状構造を有するアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(固有粘度4.0dl/g、カチオン電荷密度3.8meq/g)と架橋構造を有するアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(固有粘度3.6dl/g、カチオン電荷密度1.2meq/g)とを質量比1:1で配合するカチオン性ポリマー組成物(固有粘度3.8dl/g、カチオン電荷密度2.5meq/g、AUTO HOMO MIXERで8000rpm、3分間剪断後の固有粘度5.5dl/g、カチオン電荷密度2.98meq/g)を用いた以外は、全て実施例1と同様にして紙を製造した。このスラリーと紙の物性を表1に示す。
実施例6
実施例1において、線状構造を有するアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(固有粘度7.5dl/g、カチオン電荷密度4.4meq/g)と分岐橋構造を有するアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(固有粘度7.8dl/g、カチオン電荷密度2.0meq/g)とを質量比1:1で配合するカチオン性ポリマー組成物(固有粘度7.5dl/g、カチオン電荷密度3.2meq/g、AUTO HOMO MIXERで8000rpm、3分間剪断後の固有粘度7.5dl/g、カチオン電荷密度3.9meq/g)を用いた以外は、全て実施例1と同様にして紙を製造した。このスラリーと紙の物性を表1に示す。
【0040】
比較例1
実施例1において、カチオン性ポリマー組成物に代え、線状構造を有するアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(固有粘度が7.0dl/g、カチオン電荷密度3.8meq/g、AUTO HOMO MIXERで8000rpm、3分間剪断後の固有粘度6.37dl/g、カチオン電荷密度3.8meq/g)を用いた以外は、全て実施例1と同様にして紙を製造した。このスラリーと紙の物性を表2に示す。
【0041】
比較例2
実施例1において、カチオン性ポリマー組成物に代え、架橋構造を有するアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(固有粘度が7.0dl/g、カチオン電荷密度1.0meq/g、AUTO HOMO MIXERで8000rpm、3分間剪断後の固有粘度11.8dl/g、カチオン電荷密度1.48meq/g)を用いた以外は、全て実施例1と同様にして紙を製造した。このスラリーと紙の物性を表2に示す。
【0042】
【表1】
Figure 2004300635
【0043】
【表2】
Figure 2004300635
【0044】
本発明の実施例1〜6は、比較例1〜2に比べ、搾水性が向上している。このことは、その後の乾燥処理にかかる時間が短いことを意味している。また、歩留り性や濾水性、さらには紙のサイズ度や地合いが向上していることも確認できる。
【0045】
【発明の効果】
本発明の紙の製造方法を用いることにより、以下のような効果を奏する。
本発明では、カチオン性ポリマー組成物を用いることにより、凝結剤や歩留り剤、アンオン性補助剤など薬剤を複数回添加しなくてよくなり、作業効率が向上する。
本発明では、特定のカチオン性ポリマー2種以上を同時に添加するため、添加のタイミングなどの添加管理が容易である。
また、搾水性及び乾燥性が向上することから、抄紙速度を上げることができ、その結果、生産性が向上する。また、歩留り性及び濾水性にもすぐれ、紙のサイズ度や地合いも向上する。
さらに、アニオン性物質、ここでは、アニオン性補助剤は、抄紙系の汚れの原因となったり、サイズ剤等の添加薬剤のパルプ繊維への定着を阻害してしまう恐れがあるが、本発明の紙の製造方法においては、アニオン性補助剤を添加しないため、汚れによる操業性やパルプ繊維への薬剤定着性の低下を防止できる。

Claims (7)

  1. セルロース含有スラリーを水切りして、シートを形成し、該シートを乾燥することにより紙を製造する方法であって、該セルロース含有スラリー中に、架橋構造、分岐構造及び線状構造を有するカチオン性ポリマーの中から選ばれた2種以上のカチオン性ポリマーを含有するカチオン性ポリマー組成物を添加後、少なくとも1回の剪断処理を行なうことを特徴とする紙の製造方法。
  2. 該カチオン性ポリマー組成物が(a)架橋構造を有するカチオン性ポリマーと(b)架橋構造、分岐構造及び線状構造を有するカチオン性ポリマーの中から選ばれた1種以上のカチオン性ポリマー(ただし、架橋構造を有するカチオン性ポリマーは、該(a)成分とは異なるものである)とを含有することを特徴とする請求項1に記載の紙の製造方法。
  3. 該カチオン性ポリマー組成物が(c)分岐構造を有するカチオン性ポリマーと(b)架橋構造、分岐構造及び線状構造を有するカチオン性ポリマーの中から選ばれた1種以上のカチオン性ポリマー(ただし、分岐構造を有するカチオン性ポリマーは、該(c)成分とは異なるものである)とを含有することを特徴とする請求項1に記載の紙の製造方法。
  4. 該カチオン性ポリマー組成物は、カチオン電荷密度が2meq/g以上で、6dl/g以上の固有粘度を有することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の紙の製造方法。
  5. 該カチオン性ポリマー組成物は、剪断試験前と8000rpmで3分間の剪断試験後のカチオン電荷密度及び固有粘度が次式を満足するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の紙の製造方法。
    Figure 2004300635
    :剪断処理前のカチオン電荷密度又は固有粘度
    :剪断処理後のカチオン電荷密度又は固有粘度
  6. 該カチオン性ポリマーを添加するセルロース含有スラリー中の該セルロース濃度が少なくとも2.5質量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の紙の製造方法。
  7. 該懸濁液を剪断後、アニオン性の補助剤を該懸濁液に配合しないことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の紙の製造方法。
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