JP2004300085A - 4,4’−メチレンジアニリンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】触媒当りの4,4’−メチレンジアニリンの生成量を増大し、また4,4’−メチレンジアニリンに含まれるアミノベンジルアニリンおよびそのオリゴマーの量を低減すること。
【解決手段】触媒として脱アルミニウムY型ゼオライトを用い、該触媒に対して0.5〜6.0重量倍の量の水を含有する反応系で、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンを転位反応させ、また、反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率に依存して転位反応の温度を特定の範囲に制御する4,4’−メチレンジアニリンの製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】触媒として脱アルミニウムY型ゼオライトを用い、該触媒に対して0.5〜6.0重量倍の量の水を含有する反応系で、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンを転位反応させ、また、反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率に依存して転位反応の温度を特定の範囲に制御する4,4’−メチレンジアニリンの製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、アニリンとホルムアルデヒドとから4,4’−メチレンジアニリンを製造する方法に関する。より詳しくは、アニリンとホルムアルデヒドとからN,N’−ジフェニルメチレンジアミンを合成し、得られるN,N’−ジフェニルメチレンジアミンを転位させて4,4’−メチレンジアニリンを製造する方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来、4,4’−メチレンジアニリンの製造方法は、触媒として塩化水素等の鉱酸を用いてアニリンとホルムアルデヒドとを反応させる方法が用いられてきた。この方法では、前記反応後に得られた反応液を中和するために、前記鉱酸と等モル以上のアルカリが必要であった。さらに、反応生成物として、4,4’−メチレンジアニリン以外にポリメチレンポリフェニルポリアミン等の高縮合体が20〜40%生成するため、4,4’−メチレンジアニリンの収率が低いという問題があった。
【0003】
このような問題点を改善するため、触媒としてY型ゼオライトなどの固体酸触媒を使用する方法が提案されている(特許文献1〜3)。しかしながら、これらの方法では、中和操作が削減できるものの、高縮合体の生成は抑制することができず、4,4’−メチレンジアニリンの収率は低いという問題点は解決されていない。
【0004】
この問題点を解決するために、触媒として脱アルミニウム処理を施したY型ゼオライト(以下、「脱アルミニウムY型ゼオライト」という。)を用いる方法が提案されている(特許文献4)。しかし、この方法では、触媒当りの4,4’−メチレンジアニリンの生成量が不十分であり、さらに、この触媒は、4,4’−メチレンジアニリンの生成に繰り返し使用すると、使用回数の増加とともに4,4’−メチレンジアニリンの生成が低下するという問題があった。このため、脱アルミニウムY型ゼオライトをフッ素で処理した触媒(以下、「フッ素処理脱アルミニウムY型ゼオライト」という。)を用いて4,4’−メチレンジアニリンを製造する方法も提案されている(特許文献5、6)。
【0005】
しかしながら、特許文献4〜6に記載の方法で4,4’−メチレンジアニリンを製造すると、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの転位反応における中間体のアミノベンジルアニリンやそのオリゴマーの(ポリアミノベンジル)アニリンが反応後に残存する。アミノベンジルアニリンおよびそのオリゴマーを含むメチレンジアニリンからイソシアネートを製造すると、アミノベンジルアニリンおよびそのオリゴマーがホスゲンの作用によって変化して副生成物が生成する。これらの副生成物は、ポリウレタンフォーム等の製造において一般に使用される活性剤を急速に不活性化させるなどの問題を引き起こすため、アミノベンジルアニリンおよびそのオリゴマーの含有量の少ないメチレンジアニリンの製造方法の開発が望まれていた。
【0006】
【特許文献1】
特公昭55−34138号公報
【特許文献2】
特公昭56−14104号公報
【特許文献3】
特公昭58−27261号公報
【特許文献4】
特開平1−207259号公報
【特許文献5】
特開平1−207260号公報
【特許文献6】
特開平2−184658号公報
【0007】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、触媒当りの4,4’−メチレンジアニリンの生成量を増大させることができ、また、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの転位反応における中間体のアミノベンジルアニリンおよびそのオリゴマーの含有量を低減することができる4,4’−メチレンジアニリンの製造方法を提供することを目的としている。さらに前記転位反応に用いられる触媒を繰り返し使用することができる、4,4’−メチレンジアニリンの製造方法を提供することも目的としている。
【0008】
【発明の概要】
本発明者は、上記問題点を解決すべく鋭意研究し、脱アルミニウムY型ゼオライトを触媒として用いてN,N’−ジフェニルメチレンジアミンを転位反応させる際に、反応系に含まれる水を触媒に対して特定の範囲の量に制御することにより、触媒当りの4,4’−メチレンジアニリンの生成量を増大できることを見出し、また、反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率に依存して転位反応の温度を特定の範囲に制御することにより、4,4’−メチレンジアニリン中のアミノベンジルアニリンおよびそのオリゴマーの含有量を著しく低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明に係る4,4’−メチレンジアニリンの製造方法は、触媒として脱アルミニウムY型ゼオライトを用い、該触媒に対して0.5〜6.0重量倍の量の水を含有する反応系で、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンを転位反応させて4,4’−メチレンジアニリンを得ることを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る4,4’−メチレンジアニリンの製造方法は、
(1)まず、転位反応開始時から、反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率が一度増加してから減少に転じて液体クロマトグラフィーにより得られる面積比率で10面積%未満になるまでは、80〜130℃の範囲の温度で転位反応を実施した後、
(2)反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率が一度増加してから減少に転じて液体クロマトグラフィーにより得られる面積比率で10面積%未満になった後に、反応系を140〜180℃に昇温してさらに転位反応を実施することが好ましい。
【0011】
より好ましくは、
(1)まず、転位反応開始時から、反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率が一度増加してから減少に転じて液体クロマトグラフィーにより得られる面積比率で10面積%未満になるまでは、90〜120℃の範囲の温度で転位反応を実施した後、
(2)反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率が一度増加してから減少に転じて液体クロマトグラフィーにより得られる面積比率で10面積%未満になった後に、反応系を150〜170℃に昇温してさらに転位反応を実施することが望ましい。
【0012】
前記転位反応は、アニリンとホルムアルデヒドとを反応させて得られるN,N’−ジフェニルメチレンジアミンを用いて実施することが好ましい。
【0013】
【発明の具体的説明】
本発明に係る4,4’−メチレンジアニリンの製造方法は、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンを、脱アルミニウムY型ゼオライトを触媒として転位反応させて4,4’−メチレンジアニリンを得る方法である。本発明に用いられるN,N’−ジフェニルメチレンジアミンの合成方法は特に制限されないが、アニリンとホルムアルデヒドとから合成する方法が好ましく用いられる。
【0014】
以下、アニリンとホルムアルデヒドとから合成されるN,N’−ジフェニルメチレンジアミンを用いる場合を例に、本発明を詳細に説明する。
【0015】
アニリンとホルムアルデヒドとを用いる4,4’−メチレンジアニリンの合成反応は以下の通りである。
【0016】
【化1】
【0017】
化合物(A)はN,N’−ジフェニルメチレンジアミン、化合物(B)はN−(4−アミノベンジル)アニリン、化合物(C)はN−(2−アミノベンジル)アニリン、化合物(D)は4,4’−メチレンジアニリン、化合物(E)は2,4’−メチレンジアニリン、化合物(F)は2,2’−メチレンジアニリンである。
(1)N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの合成反応:
まず、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの合成について説明する。N,N’−ジフェニルメチレンジアミンは、アニリンとホルムアルデヒドとを反応させることにより製造することができる。このとき、触媒存在下で反応させてもよいが、無触媒下で製造することが好ましい。
【0018】
本発明に用いられるアニリンは、特に制限されず、市販品、合成品、本発明で用いられた後に回収されたもの、またはこれらを混合したものなどを適宜用いることができる。ホルムアルデヒドは、通常20〜50重量%のホルムアルデヒドを含有する水溶液の形態で用いられる。このホルムアルデヒド水溶液は、メタノールなどの通常の安定剤を含有していてもよい。本発明に用いられるアニリンの量は、ホルムアルデヒドの量に対して2〜50倍モルが好ましい。
【0019】
前記N,N’−ジフェニルメチレンジアミンは、溶媒を使用せずに合成することも、溶媒を用いて合成することも可能である。溶媒を使用する場合には、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、デカリン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系炭化水素を溶媒として用いることができる。
【0020】
この合成反応における反応温度は、通常0〜60℃、好ましくは10〜30℃が望ましい。また、反応時間は、通常0.5〜5時間、好ましくは1時間〜3時間が望ましい。
【0021】
この合成反応は、好ましくは無触媒下で、アニリンおよびホルムアルデヒドを混合して行う。この場合、ホルムアルデヒドにアニリンを加えてもよいし、アニリンにホルムアルデヒドを加えてもよいが、後者の方法が好ましい。
【0022】
アニリンとホルムアルデヒドとを反応させる方法は、これらが十分に混合される方法であれば、回分式、半回分式、または連続式のいずれの方法でもよい。また、反応器は、槽型、管型のいずれの反応器を用いてもよい。
【0023】
合成終了後の反応液は通常2相に分離する。有機相にはN,N’−ジフェニルメチレンジアミン、アニリンおよび若干量の水が含まれており、溶媒を使用した場合には溶媒も含まれている。一方、水相にはホルムアルデヒド水溶液と、水溶性安定剤を使用した場合にはその安定剤とが含まれている。
【0024】
このような有機相と水層と2相からなる反応液から、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンとアニリンとの混合物を分離する。この分離方法としては、物理的な分離や蒸留など公知の方法が挙げられる。具体的には、反応終了後の水相を分液により分離する方法が挙げられる。また、水相を分液により分離した後、減圧乾燥などの方法により水分を除去してもよい。さらに、溶媒を利用した場合には、溶媒を除去しても、除去せずにそのまま後述する転位反応に用いてもよい。(2)N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの転位反応:
次に、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの転位反応について説明する。
【0025】
この転位反応は、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンを、脱アルミニウムY型ゼオライト触媒の存在下、触媒に対して特定の範囲の量の水を含有する反応系で転位反応させて、4,4’−メチレンジアニリンを得る反応である。
【0026】
この転位反応は、回分式、半回分式、または固定床による連続式のいずれの方法によって実施してもよい。また、前記合成反応(1)とこの転位反応(2)とを連続式で実施することもできる。
【0027】
本発明に用いられるN,N’−ジフェニルメチレンジアミンは、特に限定されないが、上記合成反応(1)により得られるN,N’−ジフェニルメチレンジアミンが好ましい。また、前記N,N’−ジフェニルメチレンジアミンは、アニリンとの混合物であることが好ましい。
【0028】
触媒として使用される脱アルミニウムY型ゼオライトは、Y型ゼオライトを脱アルミニウム処理したものである。一般に、Y型ゼオライトは、互いに酸素原子を共有するSiO4とAlO4との四面体からなる三次元骨格構造を有し、アルミニウムを含む各四面体はアルミノケイ酸塩骨格のカチオンの存在によって電気的に釣合っている。また、Y型ゼオライトはSiO2/Al2O3(モル比)が高いほど酸強度、耐熱性、耐酸・塩基性が高くなるが、一般的には、SiO2/Al2O3(モル比)が5を超える原料組成ではY型ゼオライトが生成しないため、SiO2/Al2O3(モル比)が2〜5の範囲の原料組成でY型ゼオライトを製造した後、脱アルミニウム処理を施して、Y型ゼオライトの基本的な結晶構造を維持したまま、SiO2/Al2O3(モル比)を高められる。脱アルミニウムY型ゼオライトの結晶構造は、Y型ゼオライトとほぼ同じであるが、骨格格子の大きさは一般に約1〜2%収縮している。
【0029】
本発明で使用される脱アルミニウムY型ゼオライトは、下記式(1)
M2/nO・Al2O3・xSiO2・yH2O (1)
(式中、Mはプロトン、アルカリ土類カチオン、希土類カチオンおよび遷移金属カチオンからなる群から選択される少なくとも1種のカチオンであり、これらのうちプロトンが好ましい。また、Mは部分的または全体的に交換されていてもよい。xは12〜20の数であり、yは0以上の整数、好ましくは1〜20の整数である。)
をもつ結晶性の合成物質からなる。前記脱アルミニウムY型ゼオライト中のSiO2/Al2O3(モル比)は12〜20の範囲にあることが好ましい。
【0030】
このような脱アルミニウムY型ゼオライトは、市販品を使用することができ、たとえば東ソー(株)製HSZ−360HUA(商品名)などが挙げられる。また、たとえば特開平2−184658号公報に記載の方法により、Y型ゼオライトから調製したものを使用することもできる。
【0031】
また、前記触媒として、前記脱アルミニウムY型ゼオライトをさらにフッ素処理したものを用いることもできる。このフッ素処理した脱アルミニウムY型ゼオライトは、脱アルミニウムY型ゼオライトをフッ素含有化合物で処理することによって得ることができる。このフッ素処理方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。たとえば、フッ化アンモニウム等のフッ素化合物の水溶液により処理した後、焼成する方法(特開平2−184658号公報)が用いられる。
【0032】
触媒の形状は粉末状またはペレット状が好ましい。触媒の濃度は、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンまたはN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとアニリンとの混合物に対して、通常0.1〜500重量%、好ましくは1〜100重量%が望ましい。
【0033】
また、この触媒は、転位反応終了後、公知の技術により反応液から分離して、全部または一部を再利用することができる。
【0034】
反応系内に含有される水は、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンとアニリンとの混合物に含有した状態で反応系に加えてもよいし、これらとは別に単独で反応系に加えてもよい。その量は、前記触媒に対して0.5〜6.0重量倍、好ましくは1.0〜6.0重量倍である。水の量が少なすぎると転位反応における4,4’−メチレンジアニリンの生成速度が著しく低下し、また多すぎると触媒内部へのN,N’−ジフェニルメチレンジアミンの拡散が著しく阻害されるため、反応系内に含有される水の量は上記範囲にあることが望ましく、触媒当りの4,4’−メチレンジアニリンの生成量を増大させることができる。
【0035】
この転位反応は液相で実施することが好ましい。この場合、溶媒を使用せずに実施することも、溶媒を用いて実施することも可能である。溶媒を使用する場合には、たとえば、アニリン;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、デカリン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系炭化水素を溶媒として用いることができる。これらのうち、アニリンを用いることが好ましく、この場合、前記混合物に含まれるアニリンと合わせて、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンに対して0〜50モル倍の量のアニリンを用いることが好ましい。
【0036】
本発明に係る4,4’−メチレンジアニリンの製造方法では、前記転位反応を、反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率に依存して特定の範囲に温度に制御して実施することが好ましい。
【0037】
ここで、反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率(以下、単に「N−(4−アミノベンジル)アニリン含有率」という。)を液体クロマトグラフィーにより得られる面積比率として、以下の方法により測定することができる。
【0038】
アニリン、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンおよびその反応生成物を含む反応混合物を、高速液体クロマトグラフィーを用いて下記分析条件で分析する。
【0039】
(分析条件)
分析機器:LC−6(島津製作所製)
カラム:L−Column ODS(化学物質評価研究機構製、内径4.6mm、長さ250mm)
溶離液:20vol%アセトニトリル水溶液(A液)と80vol%アセトニトリル水溶液(B液)とのグラジエント
溶離液のグラジエントパターン:図2
流速:0.8mL/min
カラム温度:40℃
検出方法:UV検出(波長:250nm)
試料:反応混合物0.2gをアセトニトリル15mLに溶解したもの
この分析により得られるクロマトグラムを用いて、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンおよびその反応生成物の面積に対するN−(4−アミノベンジル)アニリンの面積比率を算出する。
【0040】
次に、上記温度制御方法を具体的に説明する。図1は、N−(4−アミノベンジル)アニリン含有率の経時変化および温度操作の一例の概略図を示す。
(1)まず、80〜130℃の範囲の温度で転位反応を開始する。N−(4−アミノベンジル)アニリン含有率は反応時間とともに増大して最大値に達し、その後減少する。ここで、転位反応開始時から、N−(4−アミノベンジル)アニリン含有率が減少して10面積%となる時間をt1とする。本発明では、少なくとも転位反応開始時から時間t1までの間は、反応系内の温度を80〜130℃、好ましくは90〜120℃の範囲に保持することが望ましい。
【0041】
この工程(1)での反応系内の温度が上記範囲よりも低いと転位反応での4,4’−メチレンジアニリンの生成速度が著しく低下し、上記範囲よりも高いとポリメチレンポリフェニルアミン等の高縮合体の生成量が多くなることがある。
【0042】
前記時間t1を決定するN−(4−アミノベンジル)アニリン含有率は、通常10面積%であるが、好ましくは8面積%、より好ましくは5面積%が望ましい。この時間t1は、要求される4,4’−メチレンジアニリンの純度、製造時間等によって適宜決定される。
(2)その後、N−(4−アミノベンジル)アニリン含有率が10面積%未満となった後に、反応系内の温度を140〜180℃、好ましくは150〜170℃に昇温して、さらに転位反応を実施することが望ましい。昇温を開始する時間t2は、前記時間t1以降であれば特に限定されない。
【0043】
この工程(2)での反応系内の温度が上記範囲よりも低いと、N−(4−アミノベンジル)アニリン等の中間体が残存し、上記範囲よりも高いとポリメチレンポリフェニルアミン等の高縮合体の生成量が多くなることがある。
【0044】
本発明において、転位反応開始時から昇温を開始する時間t2までの時間は、好ましくは0.1〜40時間、より好ましくは0.5〜10時間が望ましく、昇温を開始してから転位反応を終了するまでの時間は好ましくは0.1〜40時間、より好ましくは0.5〜10時間が望ましい。
【0045】
上記説明したように、N−(4−アミノベンジル)アニリン含有率に依存して転位反応の温度を特定の範囲に制御することにより、N−(4−アミノベンジル)アニリン等の中間体の含有量の少ない4,4’−メチレンジアニリンを、従来よりも短時間で製造することができる。さらに、上記操作により、製造時間が短縮できることによって触媒と反応生成物との接触時間が短縮され、触媒の劣化を緩和することができる。
ところで、前記N,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物の重量と、仕込んだN,N’−ジフェニルメチレンジアミンの重量とは、実質的に同じである。このことから、本発明に係る4,4’−メチレンジアニリンの製造方法では、反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率として、N−(4−アミノベンジル)アニリンの液体クロマトグラフィーにより得られる面積比率の代わりに、以下の方法により求められる仕込みN,N’−ジフェニルメチレンジアミン量に対するN−(4−アミノベンジル)アニリン量の割合(以下、単に「N−(4−アミノベンジル)アニリン量の割合」ともいう。)を用いることもできる。
以下、N−(4−アミノベンジル)アニリン量の割合の算出方法について説明する。アニリン、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンおよびその反応生成物を含む反応混合物を、高速液体クロマトグラフィーを用いてたとえば前記分析条件で分析し、検量線よりN−(4−アミノベンジル)アニリンの量を算出する。
この量とN,N’−ジフェニルメチレンジアミンの仕込み量とから仕込みN,N’−ジフェニルメチレンジアミン量に対するN−(4−アミノベンジル)アニリン量の割合を算出する。
【0046】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。
【0047】
<調製例1>
(触媒調製)
プロトン交換型脱アルミニウムY型ゼオライトHSZ−360HUA(商品名、東ソー(株)製、SiO2/Al2O3(モル比)=15)30.0gを2.0重量%フッ化アンモニウム水溶液に加えて50℃で1時間撹拌した後、固形物をろ過した。得られた固形物を60℃で12時間乾燥した後、550℃で9時間焼成してフッ素処理脱アルミニウムY型ゼオライトを得た。このフッ素処理脱アルミニウムY型ゼオライトの物性を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
<分析条件>
N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの転位反応において得られた反応混合物の分析条件を以下に示す。
分析機器:LC−6(島津製作所製)
カラム:L−Column ODS(化学物質評価研究機構製、内径4.6mm、長さ250mm)
溶離液:20vol%アセトニトリル水溶液(A液)と80vol%アセトニトリル水溶液(B液)とのグラジエント
溶離液のグラジエントパターン:図2
流速:0.8mL/min
カラム温度:40℃
検出方法:UV検出(波長:250nm)
試料:反応混合物0.2gをアセトニトリル15mLに溶解したもの
【0050】
【実施例1】
(1)N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの合成
アニリン1862.8gと37重量%ホルマリン324.3gを常温にて混合し、3時間撹拌した。その後、一晩放置後水相を分液し、水分を2重量%含むN,N’−ジフェニルメチレンジアミン/アニリン混合物を得た。13C−NMRにより反応生成物の構造を確認し、ホルムアルデヒドが100%反応してN,N’−ジフェニルメチレンジアミンが形成していることが確認された。
(2)N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの転位反応
還流冷却器を備えた500mLの4つ口フラスコに、窒素雰囲気下、室温にて、上記合成反応(1)で得られた2重量%の水を含むN,N’−ジフェニルメチレンジアミン/アニリン混合物73.2gおよび調製例1で得られたフッ素処理脱アルミニウムY型ゼオライト1.0gを加えた。反応系内に含まれる水の量は、触媒に対して1.46重量倍であった。
【0051】
この混合物を120℃で4時間撹拌した。得られた反応混合物を上記分析条件で分析した結果、N−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率は、1.7面積%であった。
【0052】
次いで、反応系内の温度を150℃に昇温して4時間撹拌し、さらに転位反応を行った。室温まで冷却した後、上澄みの一部を上記分析条件で分析した。結果を表2に示す。
【0053】
【比較例1】
(1)N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの合成
アニリン1862.8gと37重量%ホルマリン324.3gを常温にて混合し、3時間撹拌した。その後、一晩放置後水相を分液し、ロータリエバポレーターを用いて50℃、300mmHgの減圧下で4時間脱水してN,N’−ジフェニルメチレンジアミン/アニリン混合物を得た。
(2)N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの転位反応
上記合成反応(1)で得られたN,N’−ジフェニルメチレンジアミン/アニリン混合物を用い、触媒に対するの水分量が0.12重量倍であった以外は、実施例1と同様にして転位反応を行った。得られた反応生成物の分析結果を表2に示す。なお、120℃で4時間撹拌した後のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率は、58.0%であった。
【0054】
【比較例2】
(1)N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの合成
実施例1と同様にして、水分を2重量%含むN,N’−ジフェニルメチレンジアミン/アニリン混合物を得た。
(2)N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの転位反応
還流冷却器を備えた500mLの4つ口フラスコに、窒素雰囲気下、室温にて、上記合成反応(1)で得られた、2重量%の水を含むN,N’−ジフェニルメチレンジアミン/アニリン混合物73.2gおよび調製例1で得られたフッ素処理脱アルミニウムY型ゼオライト1.0gを加えた。反応系内に含まれる水の量は、触媒に対して1.46重量倍であった。
【0055】
この混合物を120℃で8時間撹拌して転位反応を行った。得られた反応混合物の上澄みの一部を上記分析条件で分析した。結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】
【発明の効果】
触媒として脱アルミニウムY型ゼオライトを用いる4,4’−メチレンジアニリンの製造において、反応系に含有される水の量を制御することにより、触媒当りの4,4’−メチレンジアニリンの生成量を増大させることができる。
【0058】
また、反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率が一度増加してから減少に転じて液体クロマトグラフィーにより得られる面積比率で10%未満まで減少した後、転位反応温度を高くすることによって中間体の含有量の少ない4,4’−メチレンジアニリンを短時間で製造することができる。
【0059】
さらに、製造時間の短縮により触媒の劣化速度を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、N−(4−アミノベンジル)アニリン含有率の経時変化および温度操作の一例の概略図
【図2】図2は、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの転位反応において得られる反応混合物の分析に用いられる溶離液のグラジエントパターンである。
【発明の技術分野】
本発明は、アニリンとホルムアルデヒドとから4,4’−メチレンジアニリンを製造する方法に関する。より詳しくは、アニリンとホルムアルデヒドとからN,N’−ジフェニルメチレンジアミンを合成し、得られるN,N’−ジフェニルメチレンジアミンを転位させて4,4’−メチレンジアニリンを製造する方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来、4,4’−メチレンジアニリンの製造方法は、触媒として塩化水素等の鉱酸を用いてアニリンとホルムアルデヒドとを反応させる方法が用いられてきた。この方法では、前記反応後に得られた反応液を中和するために、前記鉱酸と等モル以上のアルカリが必要であった。さらに、反応生成物として、4,4’−メチレンジアニリン以外にポリメチレンポリフェニルポリアミン等の高縮合体が20〜40%生成するため、4,4’−メチレンジアニリンの収率が低いという問題があった。
【0003】
このような問題点を改善するため、触媒としてY型ゼオライトなどの固体酸触媒を使用する方法が提案されている(特許文献1〜3)。しかしながら、これらの方法では、中和操作が削減できるものの、高縮合体の生成は抑制することができず、4,4’−メチレンジアニリンの収率は低いという問題点は解決されていない。
【0004】
この問題点を解決するために、触媒として脱アルミニウム処理を施したY型ゼオライト(以下、「脱アルミニウムY型ゼオライト」という。)を用いる方法が提案されている(特許文献4)。しかし、この方法では、触媒当りの4,4’−メチレンジアニリンの生成量が不十分であり、さらに、この触媒は、4,4’−メチレンジアニリンの生成に繰り返し使用すると、使用回数の増加とともに4,4’−メチレンジアニリンの生成が低下するという問題があった。このため、脱アルミニウムY型ゼオライトをフッ素で処理した触媒(以下、「フッ素処理脱アルミニウムY型ゼオライト」という。)を用いて4,4’−メチレンジアニリンを製造する方法も提案されている(特許文献5、6)。
【0005】
しかしながら、特許文献4〜6に記載の方法で4,4’−メチレンジアニリンを製造すると、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの転位反応における中間体のアミノベンジルアニリンやそのオリゴマーの(ポリアミノベンジル)アニリンが反応後に残存する。アミノベンジルアニリンおよびそのオリゴマーを含むメチレンジアニリンからイソシアネートを製造すると、アミノベンジルアニリンおよびそのオリゴマーがホスゲンの作用によって変化して副生成物が生成する。これらの副生成物は、ポリウレタンフォーム等の製造において一般に使用される活性剤を急速に不活性化させるなどの問題を引き起こすため、アミノベンジルアニリンおよびそのオリゴマーの含有量の少ないメチレンジアニリンの製造方法の開発が望まれていた。
【0006】
【特許文献1】
特公昭55−34138号公報
【特許文献2】
特公昭56−14104号公報
【特許文献3】
特公昭58−27261号公報
【特許文献4】
特開平1−207259号公報
【特許文献5】
特開平1−207260号公報
【特許文献6】
特開平2−184658号公報
【0007】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、触媒当りの4,4’−メチレンジアニリンの生成量を増大させることができ、また、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの転位反応における中間体のアミノベンジルアニリンおよびそのオリゴマーの含有量を低減することができる4,4’−メチレンジアニリンの製造方法を提供することを目的としている。さらに前記転位反応に用いられる触媒を繰り返し使用することができる、4,4’−メチレンジアニリンの製造方法を提供することも目的としている。
【0008】
【発明の概要】
本発明者は、上記問題点を解決すべく鋭意研究し、脱アルミニウムY型ゼオライトを触媒として用いてN,N’−ジフェニルメチレンジアミンを転位反応させる際に、反応系に含まれる水を触媒に対して特定の範囲の量に制御することにより、触媒当りの4,4’−メチレンジアニリンの生成量を増大できることを見出し、また、反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率に依存して転位反応の温度を特定の範囲に制御することにより、4,4’−メチレンジアニリン中のアミノベンジルアニリンおよびそのオリゴマーの含有量を著しく低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明に係る4,4’−メチレンジアニリンの製造方法は、触媒として脱アルミニウムY型ゼオライトを用い、該触媒に対して0.5〜6.0重量倍の量の水を含有する反応系で、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンを転位反応させて4,4’−メチレンジアニリンを得ることを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る4,4’−メチレンジアニリンの製造方法は、
(1)まず、転位反応開始時から、反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率が一度増加してから減少に転じて液体クロマトグラフィーにより得られる面積比率で10面積%未満になるまでは、80〜130℃の範囲の温度で転位反応を実施した後、
(2)反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率が一度増加してから減少に転じて液体クロマトグラフィーにより得られる面積比率で10面積%未満になった後に、反応系を140〜180℃に昇温してさらに転位反応を実施することが好ましい。
【0011】
より好ましくは、
(1)まず、転位反応開始時から、反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率が一度増加してから減少に転じて液体クロマトグラフィーにより得られる面積比率で10面積%未満になるまでは、90〜120℃の範囲の温度で転位反応を実施した後、
(2)反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率が一度増加してから減少に転じて液体クロマトグラフィーにより得られる面積比率で10面積%未満になった後に、反応系を150〜170℃に昇温してさらに転位反応を実施することが望ましい。
【0012】
前記転位反応は、アニリンとホルムアルデヒドとを反応させて得られるN,N’−ジフェニルメチレンジアミンを用いて実施することが好ましい。
【0013】
【発明の具体的説明】
本発明に係る4,4’−メチレンジアニリンの製造方法は、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンを、脱アルミニウムY型ゼオライトを触媒として転位反応させて4,4’−メチレンジアニリンを得る方法である。本発明に用いられるN,N’−ジフェニルメチレンジアミンの合成方法は特に制限されないが、アニリンとホルムアルデヒドとから合成する方法が好ましく用いられる。
【0014】
以下、アニリンとホルムアルデヒドとから合成されるN,N’−ジフェニルメチレンジアミンを用いる場合を例に、本発明を詳細に説明する。
【0015】
アニリンとホルムアルデヒドとを用いる4,4’−メチレンジアニリンの合成反応は以下の通りである。
【0016】
【化1】
【0017】
化合物(A)はN,N’−ジフェニルメチレンジアミン、化合物(B)はN−(4−アミノベンジル)アニリン、化合物(C)はN−(2−アミノベンジル)アニリン、化合物(D)は4,4’−メチレンジアニリン、化合物(E)は2,4’−メチレンジアニリン、化合物(F)は2,2’−メチレンジアニリンである。
(1)N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの合成反応:
まず、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの合成について説明する。N,N’−ジフェニルメチレンジアミンは、アニリンとホルムアルデヒドとを反応させることにより製造することができる。このとき、触媒存在下で反応させてもよいが、無触媒下で製造することが好ましい。
【0018】
本発明に用いられるアニリンは、特に制限されず、市販品、合成品、本発明で用いられた後に回収されたもの、またはこれらを混合したものなどを適宜用いることができる。ホルムアルデヒドは、通常20〜50重量%のホルムアルデヒドを含有する水溶液の形態で用いられる。このホルムアルデヒド水溶液は、メタノールなどの通常の安定剤を含有していてもよい。本発明に用いられるアニリンの量は、ホルムアルデヒドの量に対して2〜50倍モルが好ましい。
【0019】
前記N,N’−ジフェニルメチレンジアミンは、溶媒を使用せずに合成することも、溶媒を用いて合成することも可能である。溶媒を使用する場合には、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、デカリン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系炭化水素を溶媒として用いることができる。
【0020】
この合成反応における反応温度は、通常0〜60℃、好ましくは10〜30℃が望ましい。また、反応時間は、通常0.5〜5時間、好ましくは1時間〜3時間が望ましい。
【0021】
この合成反応は、好ましくは無触媒下で、アニリンおよびホルムアルデヒドを混合して行う。この場合、ホルムアルデヒドにアニリンを加えてもよいし、アニリンにホルムアルデヒドを加えてもよいが、後者の方法が好ましい。
【0022】
アニリンとホルムアルデヒドとを反応させる方法は、これらが十分に混合される方法であれば、回分式、半回分式、または連続式のいずれの方法でもよい。また、反応器は、槽型、管型のいずれの反応器を用いてもよい。
【0023】
合成終了後の反応液は通常2相に分離する。有機相にはN,N’−ジフェニルメチレンジアミン、アニリンおよび若干量の水が含まれており、溶媒を使用した場合には溶媒も含まれている。一方、水相にはホルムアルデヒド水溶液と、水溶性安定剤を使用した場合にはその安定剤とが含まれている。
【0024】
このような有機相と水層と2相からなる反応液から、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンとアニリンとの混合物を分離する。この分離方法としては、物理的な分離や蒸留など公知の方法が挙げられる。具体的には、反応終了後の水相を分液により分離する方法が挙げられる。また、水相を分液により分離した後、減圧乾燥などの方法により水分を除去してもよい。さらに、溶媒を利用した場合には、溶媒を除去しても、除去せずにそのまま後述する転位反応に用いてもよい。(2)N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの転位反応:
次に、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの転位反応について説明する。
【0025】
この転位反応は、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンを、脱アルミニウムY型ゼオライト触媒の存在下、触媒に対して特定の範囲の量の水を含有する反応系で転位反応させて、4,4’−メチレンジアニリンを得る反応である。
【0026】
この転位反応は、回分式、半回分式、または固定床による連続式のいずれの方法によって実施してもよい。また、前記合成反応(1)とこの転位反応(2)とを連続式で実施することもできる。
【0027】
本発明に用いられるN,N’−ジフェニルメチレンジアミンは、特に限定されないが、上記合成反応(1)により得られるN,N’−ジフェニルメチレンジアミンが好ましい。また、前記N,N’−ジフェニルメチレンジアミンは、アニリンとの混合物であることが好ましい。
【0028】
触媒として使用される脱アルミニウムY型ゼオライトは、Y型ゼオライトを脱アルミニウム処理したものである。一般に、Y型ゼオライトは、互いに酸素原子を共有するSiO4とAlO4との四面体からなる三次元骨格構造を有し、アルミニウムを含む各四面体はアルミノケイ酸塩骨格のカチオンの存在によって電気的に釣合っている。また、Y型ゼオライトはSiO2/Al2O3(モル比)が高いほど酸強度、耐熱性、耐酸・塩基性が高くなるが、一般的には、SiO2/Al2O3(モル比)が5を超える原料組成ではY型ゼオライトが生成しないため、SiO2/Al2O3(モル比)が2〜5の範囲の原料組成でY型ゼオライトを製造した後、脱アルミニウム処理を施して、Y型ゼオライトの基本的な結晶構造を維持したまま、SiO2/Al2O3(モル比)を高められる。脱アルミニウムY型ゼオライトの結晶構造は、Y型ゼオライトとほぼ同じであるが、骨格格子の大きさは一般に約1〜2%収縮している。
【0029】
本発明で使用される脱アルミニウムY型ゼオライトは、下記式(1)
M2/nO・Al2O3・xSiO2・yH2O (1)
(式中、Mはプロトン、アルカリ土類カチオン、希土類カチオンおよび遷移金属カチオンからなる群から選択される少なくとも1種のカチオンであり、これらのうちプロトンが好ましい。また、Mは部分的または全体的に交換されていてもよい。xは12〜20の数であり、yは0以上の整数、好ましくは1〜20の整数である。)
をもつ結晶性の合成物質からなる。前記脱アルミニウムY型ゼオライト中のSiO2/Al2O3(モル比)は12〜20の範囲にあることが好ましい。
【0030】
このような脱アルミニウムY型ゼオライトは、市販品を使用することができ、たとえば東ソー(株)製HSZ−360HUA(商品名)などが挙げられる。また、たとえば特開平2−184658号公報に記載の方法により、Y型ゼオライトから調製したものを使用することもできる。
【0031】
また、前記触媒として、前記脱アルミニウムY型ゼオライトをさらにフッ素処理したものを用いることもできる。このフッ素処理した脱アルミニウムY型ゼオライトは、脱アルミニウムY型ゼオライトをフッ素含有化合物で処理することによって得ることができる。このフッ素処理方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。たとえば、フッ化アンモニウム等のフッ素化合物の水溶液により処理した後、焼成する方法(特開平2−184658号公報)が用いられる。
【0032】
触媒の形状は粉末状またはペレット状が好ましい。触媒の濃度は、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンまたはN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとアニリンとの混合物に対して、通常0.1〜500重量%、好ましくは1〜100重量%が望ましい。
【0033】
また、この触媒は、転位反応終了後、公知の技術により反応液から分離して、全部または一部を再利用することができる。
【0034】
反応系内に含有される水は、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンとアニリンとの混合物に含有した状態で反応系に加えてもよいし、これらとは別に単独で反応系に加えてもよい。その量は、前記触媒に対して0.5〜6.0重量倍、好ましくは1.0〜6.0重量倍である。水の量が少なすぎると転位反応における4,4’−メチレンジアニリンの生成速度が著しく低下し、また多すぎると触媒内部へのN,N’−ジフェニルメチレンジアミンの拡散が著しく阻害されるため、反応系内に含有される水の量は上記範囲にあることが望ましく、触媒当りの4,4’−メチレンジアニリンの生成量を増大させることができる。
【0035】
この転位反応は液相で実施することが好ましい。この場合、溶媒を使用せずに実施することも、溶媒を用いて実施することも可能である。溶媒を使用する場合には、たとえば、アニリン;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、デカリン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系炭化水素を溶媒として用いることができる。これらのうち、アニリンを用いることが好ましく、この場合、前記混合物に含まれるアニリンと合わせて、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンに対して0〜50モル倍の量のアニリンを用いることが好ましい。
【0036】
本発明に係る4,4’−メチレンジアニリンの製造方法では、前記転位反応を、反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率に依存して特定の範囲に温度に制御して実施することが好ましい。
【0037】
ここで、反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率(以下、単に「N−(4−アミノベンジル)アニリン含有率」という。)を液体クロマトグラフィーにより得られる面積比率として、以下の方法により測定することができる。
【0038】
アニリン、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンおよびその反応生成物を含む反応混合物を、高速液体クロマトグラフィーを用いて下記分析条件で分析する。
【0039】
(分析条件)
分析機器:LC−6(島津製作所製)
カラム:L−Column ODS(化学物質評価研究機構製、内径4.6mm、長さ250mm)
溶離液:20vol%アセトニトリル水溶液(A液)と80vol%アセトニトリル水溶液(B液)とのグラジエント
溶離液のグラジエントパターン:図2
流速:0.8mL/min
カラム温度:40℃
検出方法:UV検出(波長:250nm)
試料:反応混合物0.2gをアセトニトリル15mLに溶解したもの
この分析により得られるクロマトグラムを用いて、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンおよびその反応生成物の面積に対するN−(4−アミノベンジル)アニリンの面積比率を算出する。
【0040】
次に、上記温度制御方法を具体的に説明する。図1は、N−(4−アミノベンジル)アニリン含有率の経時変化および温度操作の一例の概略図を示す。
(1)まず、80〜130℃の範囲の温度で転位反応を開始する。N−(4−アミノベンジル)アニリン含有率は反応時間とともに増大して最大値に達し、その後減少する。ここで、転位反応開始時から、N−(4−アミノベンジル)アニリン含有率が減少して10面積%となる時間をt1とする。本発明では、少なくとも転位反応開始時から時間t1までの間は、反応系内の温度を80〜130℃、好ましくは90〜120℃の範囲に保持することが望ましい。
【0041】
この工程(1)での反応系内の温度が上記範囲よりも低いと転位反応での4,4’−メチレンジアニリンの生成速度が著しく低下し、上記範囲よりも高いとポリメチレンポリフェニルアミン等の高縮合体の生成量が多くなることがある。
【0042】
前記時間t1を決定するN−(4−アミノベンジル)アニリン含有率は、通常10面積%であるが、好ましくは8面積%、より好ましくは5面積%が望ましい。この時間t1は、要求される4,4’−メチレンジアニリンの純度、製造時間等によって適宜決定される。
(2)その後、N−(4−アミノベンジル)アニリン含有率が10面積%未満となった後に、反応系内の温度を140〜180℃、好ましくは150〜170℃に昇温して、さらに転位反応を実施することが望ましい。昇温を開始する時間t2は、前記時間t1以降であれば特に限定されない。
【0043】
この工程(2)での反応系内の温度が上記範囲よりも低いと、N−(4−アミノベンジル)アニリン等の中間体が残存し、上記範囲よりも高いとポリメチレンポリフェニルアミン等の高縮合体の生成量が多くなることがある。
【0044】
本発明において、転位反応開始時から昇温を開始する時間t2までの時間は、好ましくは0.1〜40時間、より好ましくは0.5〜10時間が望ましく、昇温を開始してから転位反応を終了するまでの時間は好ましくは0.1〜40時間、より好ましくは0.5〜10時間が望ましい。
【0045】
上記説明したように、N−(4−アミノベンジル)アニリン含有率に依存して転位反応の温度を特定の範囲に制御することにより、N−(4−アミノベンジル)アニリン等の中間体の含有量の少ない4,4’−メチレンジアニリンを、従来よりも短時間で製造することができる。さらに、上記操作により、製造時間が短縮できることによって触媒と反応生成物との接触時間が短縮され、触媒の劣化を緩和することができる。
ところで、前記N,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物の重量と、仕込んだN,N’−ジフェニルメチレンジアミンの重量とは、実質的に同じである。このことから、本発明に係る4,4’−メチレンジアニリンの製造方法では、反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率として、N−(4−アミノベンジル)アニリンの液体クロマトグラフィーにより得られる面積比率の代わりに、以下の方法により求められる仕込みN,N’−ジフェニルメチレンジアミン量に対するN−(4−アミノベンジル)アニリン量の割合(以下、単に「N−(4−アミノベンジル)アニリン量の割合」ともいう。)を用いることもできる。
以下、N−(4−アミノベンジル)アニリン量の割合の算出方法について説明する。アニリン、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンおよびその反応生成物を含む反応混合物を、高速液体クロマトグラフィーを用いてたとえば前記分析条件で分析し、検量線よりN−(4−アミノベンジル)アニリンの量を算出する。
この量とN,N’−ジフェニルメチレンジアミンの仕込み量とから仕込みN,N’−ジフェニルメチレンジアミン量に対するN−(4−アミノベンジル)アニリン量の割合を算出する。
【0046】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。
【0047】
<調製例1>
(触媒調製)
プロトン交換型脱アルミニウムY型ゼオライトHSZ−360HUA(商品名、東ソー(株)製、SiO2/Al2O3(モル比)=15)30.0gを2.0重量%フッ化アンモニウム水溶液に加えて50℃で1時間撹拌した後、固形物をろ過した。得られた固形物を60℃で12時間乾燥した後、550℃で9時間焼成してフッ素処理脱アルミニウムY型ゼオライトを得た。このフッ素処理脱アルミニウムY型ゼオライトの物性を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
<分析条件>
N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの転位反応において得られた反応混合物の分析条件を以下に示す。
分析機器:LC−6(島津製作所製)
カラム:L−Column ODS(化学物質評価研究機構製、内径4.6mm、長さ250mm)
溶離液:20vol%アセトニトリル水溶液(A液)と80vol%アセトニトリル水溶液(B液)とのグラジエント
溶離液のグラジエントパターン:図2
流速:0.8mL/min
カラム温度:40℃
検出方法:UV検出(波長:250nm)
試料:反応混合物0.2gをアセトニトリル15mLに溶解したもの
【0050】
【実施例1】
(1)N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの合成
アニリン1862.8gと37重量%ホルマリン324.3gを常温にて混合し、3時間撹拌した。その後、一晩放置後水相を分液し、水分を2重量%含むN,N’−ジフェニルメチレンジアミン/アニリン混合物を得た。13C−NMRにより反応生成物の構造を確認し、ホルムアルデヒドが100%反応してN,N’−ジフェニルメチレンジアミンが形成していることが確認された。
(2)N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの転位反応
還流冷却器を備えた500mLの4つ口フラスコに、窒素雰囲気下、室温にて、上記合成反応(1)で得られた2重量%の水を含むN,N’−ジフェニルメチレンジアミン/アニリン混合物73.2gおよび調製例1で得られたフッ素処理脱アルミニウムY型ゼオライト1.0gを加えた。反応系内に含まれる水の量は、触媒に対して1.46重量倍であった。
【0051】
この混合物を120℃で4時間撹拌した。得られた反応混合物を上記分析条件で分析した結果、N−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率は、1.7面積%であった。
【0052】
次いで、反応系内の温度を150℃に昇温して4時間撹拌し、さらに転位反応を行った。室温まで冷却した後、上澄みの一部を上記分析条件で分析した。結果を表2に示す。
【0053】
【比較例1】
(1)N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの合成
アニリン1862.8gと37重量%ホルマリン324.3gを常温にて混合し、3時間撹拌した。その後、一晩放置後水相を分液し、ロータリエバポレーターを用いて50℃、300mmHgの減圧下で4時間脱水してN,N’−ジフェニルメチレンジアミン/アニリン混合物を得た。
(2)N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの転位反応
上記合成反応(1)で得られたN,N’−ジフェニルメチレンジアミン/アニリン混合物を用い、触媒に対するの水分量が0.12重量倍であった以外は、実施例1と同様にして転位反応を行った。得られた反応生成物の分析結果を表2に示す。なお、120℃で4時間撹拌した後のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率は、58.0%であった。
【0054】
【比較例2】
(1)N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの合成
実施例1と同様にして、水分を2重量%含むN,N’−ジフェニルメチレンジアミン/アニリン混合物を得た。
(2)N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの転位反応
還流冷却器を備えた500mLの4つ口フラスコに、窒素雰囲気下、室温にて、上記合成反応(1)で得られた、2重量%の水を含むN,N’−ジフェニルメチレンジアミン/アニリン混合物73.2gおよび調製例1で得られたフッ素処理脱アルミニウムY型ゼオライト1.0gを加えた。反応系内に含まれる水の量は、触媒に対して1.46重量倍であった。
【0055】
この混合物を120℃で8時間撹拌して転位反応を行った。得られた反応混合物の上澄みの一部を上記分析条件で分析した。結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】
【発明の効果】
触媒として脱アルミニウムY型ゼオライトを用いる4,4’−メチレンジアニリンの製造において、反応系に含有される水の量を制御することにより、触媒当りの4,4’−メチレンジアニリンの生成量を増大させることができる。
【0058】
また、反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率が一度増加してから減少に転じて液体クロマトグラフィーにより得られる面積比率で10%未満まで減少した後、転位反応温度を高くすることによって中間体の含有量の少ない4,4’−メチレンジアニリンを短時間で製造することができる。
【0059】
さらに、製造時間の短縮により触媒の劣化速度を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、N−(4−アミノベンジル)アニリン含有率の経時変化および温度操作の一例の概略図
【図2】図2は、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンの転位反応において得られる反応混合物の分析に用いられる溶離液のグラジエントパターンである。
Claims (4)
- 触媒として脱アルミニウムY型ゼオライトを用い、該触媒に対して0.5〜6.0重量倍の量の水を含有する反応系で、N,N’−ジフェニルメチレンジアミンを転位反応させて4,4’−メチレンジアニリンを得ることを特徴とする4,4’−メチレンジアニリンの製造方法。
- (1)まず、転位反応開始時から、反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率が一度増加してから減少に転じて液体クロマトグラフィーにより得られる面積比率で10面積%未満になるまでは、80〜130℃の範囲の温度で転位反応を実施した後、
(2)反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率が一度増加してから減少に転じて液体クロマトグラフィーにより得られる面積比率で10面積%未満になった後に、反応系を140〜180℃に昇温してさらに転位反応を実施する
ことを特徴とする請求項1に記載の4,4’−メチレンジアニリンの製造方法。 - (1)まず、転位反応開始時から、反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率が一度増加してから減少に転じて液体クロマトグラフィーにより得られる面積比率で10面積%未満になるまでは、90〜120℃の範囲の温度で転位反応を実施した後、
(2)反応系内のN,N’−ジフェニルメチレンジアミンとその反応生成物との混合物中のN−(4−アミノベンジル)アニリンの含有率が一度増加してから減少に転じて液体クロマトグラフィーにより得られる面積比率で10面積%未満になった後に、反応系を150〜170℃に昇温してさらに転位反応を実施する
ことを特徴とする請求項1に記載の4,4’−メチレンジアニリンの製造方法。 - 前記転位反応を、アニリンとホルムアルデヒドとを反応させて得られるN,N’−ジフェニルメチレンジアミンを用いて実施することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の4,4’−メチレンジアニリンの製造方法。
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