JP2004299044A - レジノイド結合剤を使用して構成されたオフセット型フレキシブル研削砥石及びその製造方法 - Google Patents

レジノイド結合剤を使用して構成されたオフセット型フレキシブル研削砥石及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ビトリファイド研削砥石から再生した砥材を、レジノイド研削砥石に再利用して製造されるオフセット型フレキシブル研削砥石及びその製造方法を提供する。
【手段】 本発明のレジノイド−オフセット型フレキシブル研削砥石は、砥材として、砥粒の表面にビトリファイド結合剤が残存した砥材を含むことを特徴とする。そのビトリファイド結合剤の好ましい残存量は、該ビトリファイド結合剤が残存した砥材重量に対して4〜10重量%である。
【選択図】 なし

Description

産業上の利用分野
本発明は、ビトリファイド結合剤を使用した砥石(以下「ビトリファイド研削砥石」と称する)から再生した砥材を、レジノイド結合剤を使用した砥石(以下「レジノイド研削砥石」と称する)に再利用する技術に関し、具体的には、使用済みビトリファイド研削砥石から再生した砥材を、レジノイド−オフセット型フレキシブル研削砥石へ使用する製造方法等に関する。
従来の技術
フレキシブル型オフセット研削砥石は、レジノイド結合剤であるフェノール樹脂などの有機質結合剤を用い、砥材としてアルミナ系砥粒又は炭化けい素系砥粒を用い、ガラスクロス等の補強材を用いて製造される。この用途は研削盤に固定して被削材を研削研磨する研削方式とは違い、ディスクグラインダーと呼ばれる持運びが可能な電動工具に装着し研削盤では被削材の固定が不可能な個所の研削研磨に用いられる。本用途の砥石は、フレキシブル型と呼ばれるように研削中に撓む特性を持つ柔軟性のある砥石であり、研削面への接触面積が大きく平面研磨に適しており、振動が少なく良好な仕上げ面が得られるといった利点から、一般に広く用いられている。
上記のような自由研削用のレジノイド研削砥石に関し、研削性能を向上させるための検討の一例は、特許文献1に記載されているようにフェノール樹脂結合剤の改良である。
一方、最近における環境問題に関する意識の高まりに伴い、資源の有効利用が盛んに論議されている。研削砥石業界もその例外ではなく、使用された研削砥石を廃棄物として処分することなく、できる限り再利用することが望まれている。
特に、使用済みビトリファイド研削砥石の廃棄処理は、場所の確保と手間のかかる処理が要求される。また、例えば、湿式研削に使用したビトリファイド研削砥石は、気孔内に油性の研削液が含まれている場合が多く、これらの廃棄処理は、周囲の環境に配慮して行わなければならないといった問題もある。
一般にビトリファイド研削砥石は、砥粒を含む全ての部分が研削刃として研削で消費されるわけではない。例えば、外径610mmの研削砥石は外径約300〜550mmまで消耗すると、それ以上は研削作業に使用されなくなる。このように、一般的には研削に使用される部分よりも使用されない部分の方が多くなる場合もあり、そのような不使用部分は産業廃棄物となる。
ビトリファイド研削砥石の再利用の例としては、特許文献2に記載されているように、ビトリファイド結合剤を用いて構成されたCBN超砥粒砥石から、高価なCBN砥粒を回収するためにフッ化物を使用する方法が知られている。
また、特許文献3に記載されているように、使用済みビトリファイド研削砥石又はビトリファイド研削砥石からの中間廃棄物を、研削砥石層を支持するためのコア材に再利用する技術も知られている。
特開昭56−146676号公報 特開平8−257915号公報 特開2000−6030号公報
ところで、レジノイド−オフセット型フレキシブル研削砥石のコストをアップさせることなく、その研削性能を向上させるための技術が求められている。従来においては、レジノイドオフセット型フレキシブル研削砥石の研削性能を向上させる方法に関し、砥材の面からの検討は特になされていない。
研削性能に関しては、CBN砥粒又はDIA砥粒を使用することで研削性能の向上を期待することができ、またこの種の砥粒については、上記特許文献2に開示されているように、それらを回収して再利用する技術が知られている。
一方、研削砥石業界において大量に廃棄される安価な砥材として、アルミナ系砥粒又は炭化珪素系砥粒を使用したビトリファイド研削砥石がある。この種の砥石廃棄物の再利用法に関しては、特許文献3による開示があるが、それによると回収した砥粒がコア材へ再利用されるに過ぎず、砥材として再利用ではない。それらを砥材として再利用できる有効な再利用法の確立が切望されている。
本発明は、上記の課題及び技術背景等に鑑みてなされたものであり、大量に廃棄されるビトリファイド研削砥石の砥材をレジノイド研削砥石に再利用する技術を提供することを目的とし、具体的には、その再利用技術により製造されるレジノイド−オフセット型フレキシブル研削砥石及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ビトリファイド研削砥石から得られる再生砥材をレジノイド研削砥石の砥材として再利用することができ、しかも、そのような再生砥材の使用がレジノイド研削砥石の研削性能を改善し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、砥材とレジノイド結合剤とにより構成されるオフセット型フレキシブル研削砥石であって、前記砥材として、砥粒の表面にビトリファイド結合剤が残存した砥材を含むことを特徴とするレジノイド−オフセット型フレキシブル研削砥石を提供する。
本発明のレジノイド−オフセット型フレキシブル研削砥石において、そのビトリファイド結合剤の残存量は、該ビトリファイド結合剤が残存した砥材の重量に対して、少なくとも4重量%、好ましくは4〜10重量%、より好ましくは4〜7重量%である。また前記砥材が、アルミナ系砥材又は炭化珪素系砥材であることが好ましい。
また、本発明は、砥材とレジノイド結合剤とにより構成されるレジノイド−オフセット型フレキシブル研削砥石の製造方法であって、
(a)ビトリファイド結合剤を使用して構成されている使用済みの研削砥石から、砥材を再生する工程;および
(b)前記再生した砥材をレジノイド結合剤と共に使用して、レジノイド−オフセット型フレキシブル研削砥石を製造する工程;
を含む製造方法を提供する。
本発明の製造方法では、前記工程(a)において、アルミナ系砥材又は炭化珪素系砥材とビトリファイド結合剤とにより構成されている使用済みのビトリファイド研削砥石から、該アルミナ系砥材又は炭化珪素系砥材を再生することが好ましい。
発明の実施の形態
以下、本発明を適用したオフセット型フレキシブル研削砥石についての実施形態を詳細に説明する。
砥材の再生方法
本発明のレジノイド−オフセット型フレキシブル研削砥石は、使用済みのビトリファイド研削砥石から再生した砥材を含むことを特徴とする。ビトリファイド研削砥石からの砥材再生は、以下のようにして行われる。
使用済みのビトリファイド研削砥石は、例えば、ビトリファイド研削砥石を使用するユーザー(通常は砥石を使用する製造業)から提供される。そのようにして回収された使用済みビトリファイド研削砥石を、600〜800℃、好ましくは650℃に設定した炉に入れ、気孔中に残留している水及び有機物を気化及び燃焼させる。その後、それら砥石を、砥粒の種類別及び粒度別に分別する。
次に、上記処理がなされたビトリファイド研削砥石から砥材を再生する。具体的には、ビトリファイド研削砥石に対し機械的な衝撃を加えることにより破砕して、使用可能な砥材を再生する。通常、砥粒部分と結合剤部分との硬さを比較すると、結合剤部分の方が軟らかい。このため、前記破砕処理では、比較的軟らかい結合剤部分から優先的に破壊されるので、ほぼ砥粒サイズまで粉砕可能である。但し、前記破砕工程では、砥粒として使用可能な原形が破壊されるほどの衝撃を加えないようにすることが好ましい。
上記の観点から、好ましい破砕工程は次の手順でなされる。先ず、ジョークラッシャーにより砥石に圧力をかけて破砕(粗粉砕)し、砥石を小指サイズないし拳サイズの大きさまで破砕する。次にハンマークラッシャーにより衝撃を加え、これにより砥粒1粒サイズの大きさまで粉砕する。
次いで、粉砕物の除鉄処理を行う。先ず所望の粒度よりも一段粗い篩にかけ、この篩を通過した砥粒を回収し、次いで所望の粒度と同じ目開きの篩にかけ、この篩を通過しない分級物を得る。
次いで、前記分級物を洗浄するため、前記分級物をポットミキサー中に入れて水を満たし、回転させながら更に水を投入し続ける。この工程では、回収すべき砥材よりも水中での比重の低い材料及び所望の粒度より細かい砥材片が除去される。すなわち、ポットミキサー内の上清からビトリファイド結合剤(砥材比重は3.2〜3.98であるのに対し、ビトリファイド結合剤の比重は2.2〜2.6である)と砥材の細かい破片が流し出され、ポットミキサー内では比較的比重の高い砥粒サイズの砥材が残される。
次いで、前記粉砕物を乾燥後、分級工程で使用した所望の粒度と同じ目開きの篩にかけ、砥材表面に残留した不純物を除去する。
上記のようにして得られた砥材を再生砥粒として使用する。
前記再生砥粒に好ましい粒度範囲は、JIS R 6001「研削といし用研磨材の粒度」に従うと、F24〜F150である。なお、例えば、F150を通過するものはF150とする。
再生された砥材の特徴
図1は、上述のようにして再生されたHA砥粒の写真を示し、図2は、同種の未使用砥粒(砥粒メーカーから購入した同種新品の砥粒)の写真を示す。
図2の未使用砥粒群の中には、粒度の小さい砥粒と粒度の粗い砥粒とが混在しており、また各砥粒の形状はまちまちで、特に細長い形状の砥粒が多く見られる。これに対して、図1の再生砥粒群は、比較的粒度が揃っており、各砥粒の形状は、未使用砥粒よりも丸みを帯びている。このように、再生された砥粒は、未使用砥粒よりも安定な形態をしている。
また、上述のようにして再生された砥材は、砥粒の表面にビトリファイド結合剤が付着している。このことは、再生された砥材をガラス質残留物であるビトリファイド結合剤を溶融するフッ酸に曝し、それによる重量減少で確認することができる。ビトリファイド結合剤の残存量は、典型的には、ビトリファイド結合剤を有する再生砥材の全重量を基準にして、少なくとも4重量%、好ましくは4〜10重量%、より好ましくは4〜7重量%である。
本発明者の検討によると、上述の形態を有する再生砥材をレジノイド研削砥石の製造に使用すると、研削性能の改善が見られた。理論に縛られる意図はないが、その研削性能の改善効果は、主として下記の点に基づいて説明されると考えられる。
(1)各砥粒の表面に残留したビトリファイド結合剤のガラス質がレジノイド結合剤と水素結合を起こし、レジノイド結合剤と砥粒との接着性が向上した。これが、研削時における砥粒の脱落を抑制し得る。
(2)上記再生工程を経て得られる砥粒は、粒度が均一であるため、切れ刃となる砥粒の割合が増加した。
(3)砥粒形状が球状に近くなったため、研削時における砥粒のエッジ部分の破砕、脱落がなくなった。
上記(2)及び(3)に関して総括すると、上記再生工程において粉砕と分級処理を経ることで、その結果として必然的に、一定の粉砕処理により脆い角部が取れた丈夫な砥粒が再生され、しかもそのように角が取れた砥粒を分級することにより、一層粒度の揃った好ましい砥材が得られた。
再生すべき砥材の種類
本発明の砥石製造のために再生され得る砥材は、特に限定されないが、ビトリファイド研削砥石で広く使用されているアルミナ系砥材や炭化珪素系砥材が好ましい。具体的には、アルミナ系砥材としては褐色アルミナ研削材、白色アルミナ研削材、淡紅色アルミナ研削材、解砕型アルミナ研削材、ゾルゲルアルミナ質砥材、炭化珪素系砥材としては黒色炭化珪素研削材、緑色炭化珪素研削材などが挙げられる。
特にアルミナ系砥材を使用したビトリファイド研削砥石は産業上の消費量が多いので、これが廃棄されることによる環境への負荷を考慮すると、本発明をアルミナ系砥材含有ビトリファイド研削砥石に適用することが望ましい。
目的の再生砥材は、ビトリファイド結合剤を使用したビトリファイド研削砥石から得られる。そのようなビトリファイド結合剤としては、SiO2−Al23−R2O系、SiO2−Al23−B23系、SiO2−Al23−R2O−B23系、SiO2−Al23−R2O−RO系、又はSiO2−Al23−R2O−RO−B23系(前記R2Oは、Na2O、K2O、及びLi2Oから選ばれる1種以上のアルカリ金属の酸化物を示し、前記ROは、CaO、MgO、BaO、及びZnOから選ばれる1種以上のアルカリ土類金属の酸化物)などの無機化合物が挙げられる。
再生砥材を使用したレジノイド研削砥石の製造方法
上記再生砥材を使用した研削砥石は、公知の方法に従って製造できる。具体的には、上記再生砥材とレジノイド結合剤と(必要であれば樹脂硬化剤等の他の配合物と共に)を混合し、その混合物を適切な圧力及び温度下で成型及び焼成する。得られた成型体は研削砥石としての用途に適するよう適宜加工される。その製造条件(原料の配合比、混合条件、加圧・加熱条件等)は、当該技術分野において良く知られている。
本明細書において言及される「再生」という用語は、使用済み研削砥石に含有されている砥材を、砥石製造に再び使用可能な砥粒として回収するという意味で用いられている。
以下、本発明を実施例により説明するが、実施例の記載は、本発明の実施可能性及び有用性を例証するものであり、本発明の構成を何ら限定する意図はない。
砥材の再生
使用済みビトリファイド研削砥石から、淡紅色アルミナ質砥材を再生した。本実施例では、異なる粒度の砥粒(F46、F60、F80、F100、F120、F120、F150)をそれぞれ再生した。
先ず、淡紅色アルミナ質砥材を含む使用済みビトリファイド研削砥石を650℃の炉に入れ、気孔中に残留している水及び有機物を気化及び燃焼させた。燃焼処理した砥石を、前記再生すべき粒度に応じて分別した。粒度ごとに分別された砥石をジョークラッシャーにより圧力をかけて、小指サイズないし拳サイズの大きさまで粗粉砕し、次にハンマークラッシャーにより砥粒1粒サイズの大きさまで粉砕した。
次いで、前記粉砕物の除鉄処理を行った。その後、先ず所望の粒度よりも一段粗い篩にかけ、この篩を通過した砥材を回収し、次いで所望の粒度と同じ目開きの篩にかけ、この篩を通過しない分級物を得た。次いで、前記分級物を洗浄するため、前記分級物をポットミキサーに入れて水を満たし、回転させながら更に水を投入し続けた。次いで、前記粉砕物を乾燥後、前記分級工程で使用した所望の粒度と同じ目開きの篩にかけ、砥材表面に残留した不純物を除去した。このようにして、それぞれ所望の粒度の再生砥材を用意した。
再生砥材の特性
上記のようにして得られた再生砥材について、かさ比重、破砕率、残存結合剤量の測定を行った。
[かさ比重]
上記のようにして再生した砥材(F46、F60)とそれらの同種新品の砥材との間で、かさ比重を比較し、砥粒形状の相違について評価した。
かさ比重のテスト手順は次の通りである。すなわち、内寸法、直径45mm、高さ83.7mmで一端側に開口を有する円筒状部材を用意し、円筒状部材上側の115mm上に角度60°の漏斗を置き、この漏斗を通して円筒状部材内に各テスト砥材を充填した。充填により盛り上がった部分を細い棒で落としてから、円筒状部材ごと重量を測定し、円筒状部材内の砥材重量を求めた。かさ比重は、その砥材の重量/円筒状部材の積から算定された。
表1にかさ比重テストの結果を示す。
上記結果から、再生した砥材は、新品砥材よりもかさ比重が高く、再生した砥粒の形状は、新品砥材の砥粒よりも球形に近いことが分かる。このようにかさ比重が高い再生砥材を使用すれば、砥石製造時における充填密度が増し、これにより砥石組織の密な砥石の製造が可能となる。
[破砕率]
再生した砥材(F60)とその同種新品の砥材との間で破砕率を比較し、砥材の強度を評価した。
破砕率テストの手順は次の通りである。すなわち、内寸法直径140mm、高さ150mmで内容量2300cm3のポットミルを用意し、各砥材試料250gを採取し、目開き250μmの篩いで10分間篩いがけを行い、篩い上に残った試料100gを前記ポットミルに入れた。そこに直径19mmの鋼球を28個入れた。試料がこぼれないようにポットミルをシールし、110rpmで10分間の破砕衝撃を加えた。その後、砥材試料を取り出し目開き250μmの篩いで5分間篩いがけ行い、その篩い上の残った砥材を計量した。
破砕率Xは、破砕処理後の回収重量をaとし、破砕処理前の投入重量をbとし、以下の計算式で算出された。破砕率Xが小さいほど、破砕され難い砥材であることを示す。
X=(1−(a)/(b))×100
表2に破砕率テストの結果を示す。
上記結果から、再生砥材は、新品砥材よりも破砕率が小さく、強度が向上していることが分かった。この原因は、再生砥材がその再生工程で既に破砕及び粉砕処理を経ており、その時に脆いエッジ部分がすべて除かれて、丈夫な砥粒群へと鍛錬されたためであると考えられる。
[残存する結合剤量]
再生砥材(F46、F80、F120)をフッ酸溶解テストにかけ、表面に残存する結合剤量を測定した。
フッ酸溶解テストの手順は次の通りである。すなわち、各砥材試料3gを用意し、ポリエチレン製のルツボに入れ、そこに46%のフッ化水素酸を13cc加え、常温常圧下で24時間放置した。その後、濾紙でこし、得られた残留物を乾燥して、残分の重量を測定した。
フッ酸溶解率Yは、処理前重量をcとし、処理後重量をdとし、以下の計算式で算出された。
Y=((c)―(d))/(c)×100
表3にフッ酸溶解テストの結果を示す。
上記結果から分かるように、フッ酸溶解により減少した重量は、新品砥材で1%以下であったが、再生砥材では約4.5〜約6.3%の範囲であった。このことは、再生砥材の表面にビトリファイド結合剤が適量なガラス質残留物として存在していたことを示す。そのようなガラス質残留物がレジノイド結合剤と砥粒との間に介在することで、砥粒の接着性が高まると考えられる。
[砥材の篩い分けテスト]
各再生砥材(F46、F60、F80、F100、F120、F150)について、篩い分けテストを行い、それらの粒度分布を評価した。
本テストはJISR6001の規格に従い、その手順はJISR6002に従った。すなわち、1〜5段の異なる目開きを持つ篩いを重ね、砥材試料100gを計量して載せ、5分間振動させた。各篩い上に残った試料を計量し、粒度分布を測定した。
各粒度分布の値を、JISR6001による新品砥材に関する規格と比較して、評価した。
表4は、各粒度分布の比較を示す。
上記結果から、再生砥粒の分布は、3段目と3段目+4段目に集中しており、各粒度分布がJIS規格に従った新品砥材よりもシャープであることが分かる。
テスト砥石の製造
上述した再生工程の手順に従い、別の使用済みビトリファイド研削砥石から、白色アルミナ質砥材(WA砥粒とも称する)と解砕型アルミナ質砥材(HA砥粒とも称する)をそれぞれ再生した。
上記2種の再生砥材を下記表5の組み合わせで使用し、実施例1〜3及び比較例1のテスト砥石を作製した。なお、表1中の「新品」という表記は、砥材メーカーから購入した新品砥材を何も処理せずに使用したこと、また、「再生」という表記は、使用済みビトリファイド研削砥石から再生された砥材を使用したことを示す。
各テスト砥石の製造手順は以下の通りである。上記組み合わせの砥材100重量部に、ヘキサフルオロアルミン酸ナトリウム15重量部を加えて攪拌し、液状フェノール樹脂5重量部を加えて攪拌して湿らせた後、粉末フェノール樹脂20重量部を加えて攪拌し、砥石材料混合物を得た。砥石を成型する工程では、砥石の取り付け面を保持するため、フェノール樹脂を含浸して半硬化状態にした不織布を40〜80℃の金型に馴染ませ、馴染んだ不織布の上に補強用として上記砥石材料混合物を充填し、その表面を均した。同じくフェノール樹脂を含浸して半硬化状態にしたガラスクロスを前記補強面に馴染ませてから、研削砥石層を形成するための上記砥石材料混合物を充填して表面を均し、これを加熱成型機により加圧成型し、170℃、24時間で硬化させた。なお、すべてのテスト砥石製造において、WA砥粒とHA砥粒を各50wt%づつ使用し、いずれの粒度もF60とした。
研削テスト
再生砥材を使用した場合と未使用砥材を使用した場合との効果の差を確認するため、以下の研削テストを行った。
[研削テスト条件]
テスト研削は、電気ディスクグラインダー(日立工機(株)製720W)にテスト砥石を装着し、手動によりテスト砥石を被削材の上で往復させて行った。テスト砥石は寸法102mm厚さ2.8mm、穴径15mmとし、被削材は材質をSUS304(HRBで86/90)、寸法を厚さ9mm、横幅50mm、縦長さ300mmとした。研削条件は、砥石回転数12,000rpm、送り速度約0.5m/sec、研削幅9mm、傾斜角10〜15°、研削時間は20分とした。
[研削テスト結果の評価方法]
評価項目として、被削材除去体積、砥石消耗体積、及び研削比を測定し、比較した。被削材除去体積及び砥石消耗体積は、研削前と研削後の砥石又は被削材の各重量を測定し、それら重量値とそれぞれの比重値から、前記テスト研削で消耗し消失した体積分を算出した。また、研削比は、前記被削材除去体積/前記砥石消耗体積から算出した。
[研削テストの結果]
表6に、各実施例のテスト砥石の被削材除去体積、砥石消耗体積及び研削比についてそれぞれ比較例を100とした相対指数で示す。
表6の結果によると、実施例1〜3のいずれのテスト砥石においても、被削材除去体積は比較例1に比べて20%以上向上していた。従って、本実施例の砥石は切れ味が良いことを示す。
また、実施例1〜3のいずれのテスト砥石も、砥石消耗体積が比較例1よりも減少しており、このことは、本発明の適用により耐久性が向上することを示す。
さらに研削比からは、砥石消耗体積と被削材除去体積の上記2つの特性を総合的に評価することができる。上記表6の結果によると、実施例1〜3のいずれも、研削比が比較例1に比べて向上しており、とりわけ、再生砥材のみによる実施例3の研削比は、未使用砥材のみによる比較例1と比較して1.6倍に達するという顕著な効果が得られた。このように実施例の砥石においては、被削材除去体積と砥石消耗体積の双方が良好である上に研削比も向上している。このことは、切れ味が良好で且つ砥石消耗体積が低いということであるから、研削砥石にとって理想的な特性である。
曲げ強度テスト
実施例1の再生工程に従い使用済みビトリファイド砥石から再生した白色アルミナ質砥粒(WA)粒度F60を使用したレジノイド砥石のテストピースを作製し、曲げ強度テストを行った。比較例では、同じ白色アルミナ質砥粒(WA)粒度F60であるが市販のものを同様の粒度分布に調製して使用した。
砥粒作製手順は、次の通りである。それぞれ用意した砥粒を、砥粒100重量部に、ヘキサフルオロアルミン酸ナトリウム15重量部を加えて攪拌し、液状フェノール樹脂5重量部を加えて攪拌して湿らせた後、粉末フェノール樹脂20重量部を加えて攪拌し、砥石材料混合物を得た。得られた砥石材料混合物を120×40(mm)の長方形形状の金型に充填し、厚み30mmになるよう冷間で加圧し、120×30×40(mm)の直方体形状の成型物を得た。さらに170℃、24時間で硬化させてテスト砥石を得た。
[焼成後の砥石比重評価手順]
上記のようにして得られたテスト砥石の直方体各片の寸法を測定し、体積を求め、重量も測定する。重量(g)を体積で割った値を砥石比重値とした。
[曲げ強度評価手順]
JIS規格(ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法R1601、1986)に従い、各テスト砥石をスパン間距離100mm、荷重降下速度1.0mm/分にて3点曲げ強度を行った。各テストピースについて3個の平均値をとった。
表7にテスト結果を示す。
砥石比重が実施例と比較例とで同じ値となっていることから、それらはほぼ同様な砥石組織を有するテスト砥石であることが分かる。テスト結果から、実施例のテスト砥石は比較例のものと比べて曲げ強度が20%以上向上している。
実施例ではビトリファイド砥石から回収および再生した砥粒を使用しているため砥粒表面にビトリファイド結合剤が付着しているが、比較例では実施例と同様の整粒手順にて整粒した市販砥粒であり、砥粒表面にビトリファイド結合剤は付着していない点で異なる。すなわち、実施例における曲げ強度の向上は、砥粒表面にビトリファイド結合剤が付着しているか否かの差のみに依拠する。本テスト結果は、再生砥粒に残存したビトリファイド結合剤が、レジノイド結合剤との接着性を向上させ、砥粒保持力の向上をもたらしたことを示す。
発明の効果
本発明によれば、使用済みビトリファイド研削砥石からの再生砥材をレジノイド研削砥石に利用するので、使用済み砥石の廃棄処理の負担を軽減し、その廃棄のために懸念される環境問題を解消し、その結果、資源の有効利用に寄与する。これらに加えて、使用済みビトリファイド研削砥石からの再生砥材をレジノイド−オフセット型フレキシブル研削砥石に使用することで、研削性能が良好なレジノイド−オフセット型フレキシブル研削砥石を提供できる。
図1は、再生されたHA砥粒の写真を示す。 図2は、図1と同種同サイズの未使用砥粒の写真を示す。

Claims (5)

  1. 砥材とレジノイド結合剤とにより構成されるオフセット型フレキシブル研削砥石であって、前記砥材として、砥粒の表面にビトリファイド結合剤が残存した砥材を含むことを特徴とするレジノイド−オフセット型フレキシブル研削砥石。
  2. 前記ビトリファイド結合剤の残存量は、該ビトリファイド結合剤が残存した砥材の重量に対して、少なくとも4重量%であることを特徴とする、請求項1に記載のレジノイド−オフセット型フレキシブル研削砥石。
  3. 前記砥材が、アルミナ系砥材又は炭化珪素系砥材であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のレジノイド−オフセット型フレキシブル研削砥石。
  4. 砥材とレジノイド結合剤とにより構成されるレジノイド−オフセット型フレキシブル研削砥石の製造方法であって、
    (a)ビトリファイド結合剤を使用して構成されている使用済みの研削砥石から、砥材を再生する工程;および
    (b)前記再生した砥材をレジノイド結合剤と共に使用して、レジノイド−オフセット型フレキシブル研削砥石を製造する工程;
    を含む製造方法。
  5. 前記工程(a)において、アルミナ系砥材又は炭化珪素系砥材とビトリファイド結合剤とにより構成されている使用済みのビトリファイド研削砥石から、該アルミナ系砥材又は該炭化珪素系砥材を再生することを特徴とする、請求項4に記載の製造方法。
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US8961269B2 (en) 2010-12-30 2015-02-24 Saint-Gobain Abrasives, Inc. Abrasive wheels and methods for making and using same

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