JP2003094342A - エポキシ樹脂乳濁液を用いたレジノイド砥石およびその製造方法 - Google Patents
エポキシ樹脂乳濁液を用いたレジノイド砥石およびその製造方法Info
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Abstract
つ結合剤に対する砥粒の割合が比較的高く、精密研磨お
よびラップ分野に用いられたとしても傷を発生させず優
れた被加工面品位を実現するレジノイド砥石およびその
製造方法を提供する。 【解決手段】 樹脂混合工程P1において混合された乳
濁液に砥粒12と硬化剤とを添加混合し、そうして得ら
れた砥石原料を鋳込み工程P3において鋳型に鋳込み、
水を含ませたまま硬化させることで、平均粒径が50μ
m以下である砥粒12を用い且つエポキシ樹脂結合剤1
4に対する砥粒12の割合が比較的高いレジノイド砥石
であっても、網目状のエポキシ樹脂結合剤14が連通気
孔16を備えた状態で砥粒12を相互に結合する砥石組
織が形成される。すなわち本発明によれば、精密研磨お
よびラップ分野に用いられたとしても傷を発生させず優
れた被加工面品位を実現するレジノイド砥石10を提供
することができる。
Description
合剤として使用するレジノイド砥石に関し、特に使用す
る砥粒の平均粒径が50μm以下である研磨およびラッ
プ分野に用いられるレジノイド砥石およびその製造方法
に関する。
(あるいはラッピング)と呼ばれる研磨方法が多用され
ている。ポリシングとは、定盤上に貼られた不織布ある
いは発泡パッドなどの研磨パッドに被加工材の被加工面
を押しつけて強制回転させ、そこに遊離砥粒を含有した
スラリー(細かい粉末が液体中に分散している濃厚な懸
濁液)を流して研磨をおこなうものであり、たとえば半
導体ウェハの研磨といった精密研磨の分野においては、
その仕上げ加工のほとんどが上記ポリシングによりおこ
なわれているのが現状である。
スラリーを流しながら研磨加工をおこなうものである為
に研磨に関与しないで廃棄されるスラリーが多く、必要
以上に経済的なコストがかかるということに加え、定盤
上に貼られた不織布あるいは発泡パッドなどの研磨パッ
ドに弾性がある為、被加工材にロールオフ(端面のダ
レ)や微小うねり(被削面の小さなうねり)といった不
具合が発生するという指摘がなされるようになってき
た。上記理由から近年、遊離砥粒を含有したスラリーを
用いるポリシングに代えてたとえばビトリファイド砥石
やレジノイド砥石といった砥粒固定型砥石を用いた精密
加工への期待が高まりつつある。
すなわちレジノイド系ボンドを結合剤として使用する砥
石は、砥粒を結合する合成樹脂結合剤が、ガラス質結合
剤(ビトリファイドボンド)、金属質結合剤(メタルボ
ンド)や電着結合等に比較して低い弾性率を有すること
から、研磨加工中に被加工材から砥粒に作用する負荷を
結合剤の弾性変形によって緩和できる為、上述のような
精密加工の分野での利用が模索されており、本発明者は
かかるレジノイド砥石の中でもフェノール樹脂を結合剤
としたものに比べてより低い弾性率を有するエポキシ樹
脂を結合剤として用いたレジノイド砥石に着目した。
られる場合にはそれに応じて平均粒径が小さい微細砥粒
を用いた砥石が使用される。しかし、従来技術によるレ
ジノイド砥石では、用いられる砥粒の平均粒径が50μ
m以下とりわけ数μmのオーダーとなると、かかる砥石
を用いた研磨加工によって被加工材に所望の平均表面粗
さは与えられるものの、被加工材の被加工面に傷が入っ
てしまうという課題があり、精密研磨およびラップ分野
に用いられるレジノイド砥石を作成することは困難であ
った。
生する原因について、本発明者は以下の理由によるもの
であると考えた。すなわち、乾粉状態で原料を混合して
型に詰めて成型されるホットプレス製法によるレジノイ
ド砥石では、先に述べたように粒径が細かい砥粒を用い
た場合には原料を均一に混合することが難しく、また原
料に用いるエポキシ粉などの樹脂粉は樹脂であるがゆえ
に粉砕に限界がある。その為、完成したレジノイド砥石
の組織内において結合剤が砥粒の周囲を取り囲むように
結合してしまい、加工に際してこの結合剤が好適な研磨
加工を阻害し、更にその負荷によって砥粒と結合剤が一
体となったまま集団的に脱落してそれが被加工物の被加
工面に傷をつけるものと考えられる。また、液状樹脂と
砥粒とを混合してスラリーの状態とした後に型に流し込
む鋳込み製法によるレジノイド砥石の場合には、液状樹
脂と砥粒とを混合する際に鋳型に流し込むのが可能な粘
度を維持する必要がある為に混合できる砥粒量に限界が
あり、完成したレジノイド砥石において砥粒の容量パー
セント濃度が樹脂のそれを上回ることができず、とりわ
け微細砥粒になるほどその傾向は顕著になる。砥石の中
で切れ刃としてはたらくものは砥粒であるので、砥粒よ
り結合剤の量が多いということはすなわち好適な研磨加
工を阻害するものが多いということであり、この過多の
結合剤が研磨加工抵抗の増加を招き、それによって砥粒
と結合剤とが集団的に脱落することで被加工材の被加工
面に傷をつけるものと考えられる。
背景として為されたものであり、その目的とするところ
は、平均粒径が50μm以下である砥粒を用い且つ結合
剤に対する砥粒の割合が比較的高く、精密研磨およびラ
ップ分野に用いられたとしても傷を発生させず優れた被
加工面品位を実現するレジノイド砥石およびその製造方
法を提供することにある。
る為に、第1発明の要旨とするところは、エポキシ樹脂
結合剤により砥粒が相互に結合されて形成されたレジノ
イド砥石の製造方法であって、(a)水、エポキシ樹
脂、および乳化剤を混合させて乳濁液とする樹脂混合工
程と、(b)その樹脂混合工程で得られた乳濁液を鋳型
に流し込む鋳込み工程とを含むことを特徴とするもので
ある。
粒と硬化剤とを添加混合し、そうして得られた砥石原料
を鋳型に鋳込んで水を含ませたまま硬化させることで、
平均粒径が50μm以下である砥粒を用い且つ結合剤に
対する砥粒の割合が比較的高いレジノイド砥石であって
も、網目状のエポキシ樹脂結合剤が連通気孔を備えた状
態で砥粒を相互に結合する砥石組織が形成される。すな
わち本発明によれば、精密研磨およびラップ分野に用い
られたとしても傷を発生させず優れた被加工面品位を実
現するレジノイド砥石を提供することができる。
イド砥石の製造方法は、前記樹脂混合工程で得られた乳
濁液に、その乳濁液と混合後の砥石原料全体に対する容
量%が10〜60%となる砥粒を混合して砥石原料とす
る砥石原料調整工程を更に含むものである。このように
すれば、網目状のエポキシ樹脂結合剤が連通気孔を備え
た状態で砥粒を相互に結合する砥石組織が好適に形成さ
れる。
化剤としてHLB値(hydrophile−lypo
phile balance:親水親油バランス)の異
なる少なくとも2種類の乳化剤を用いるものである。こ
のようにすれば、網目状のエポキシ樹脂結合剤が連通気
孔を備えた状態で砥粒を相互に結合する砥石組織が好適
に形成される。
化剤としてHLB値がそれぞれ4〜8、8〜17、11
〜15.6である3種類の非イオン系乳化剤のうち、少
なくとも2種類の乳化剤を用いるものである。この乳化
剤はたとえば特開平5−54496号公報に記載されて
いるものであり、そのような乳化剤を用いれば、網目状
のエポキシ樹脂結合剤が連通気孔を備えた状態で砥粒を
相互に結合する砥石組織が好適に形成される。
とエポキシ樹脂との混合液全体に対するエポキシ樹脂の
容量%が16〜70%となるエポキシ樹脂を混合するも
のである。このようにすれば、エポキシ樹脂が樹脂混合
工程においてが好適に乳化する為、網目状のエポキシ樹
脂結合剤が連通気孔を備えた状態で砥粒を相互に結合す
る砥石組織が好適に形成される。
下の平均粒径を有するものである。このようにすれば、
精密研磨およびラップ分野において所望される被加工面
品位を実現するレジノイド砥石を提供することができ
る。
15〜90容量%の連通気孔を有するものである。この
ようにすれば、連通気孔がチップポケットあるいは研磨
液溜まりとして機能する為、精密研磨およびラップ分野
に用いられたとしても傷を発生させず優れた被加工面品
位を実現するレジノイド砥石を提供することができる。
達成する為に、第2発明の要旨とするところは、エポキ
シ樹脂結合剤により砥粒が相互に結合されて形成された
レジノイド砥石であって、砥石全体に占める容量%が1
0〜60%である網目状の前記エポキシ樹脂結合剤によ
り、砥石全体に占める容量%が10〜60%である平均
粒径50μm以下の前記砥粒が相互に結合されて形成さ
れたものであることを特徴とするものである。
シ樹脂結合剤によって相互に結合された平均粒径50μ
m以下の微細砥粒が精密研磨およびラップ分野において
所望される被加工面品位を実現することに加え、砥石組
織においてエポキシ樹脂結合剤に比較して砥粒の容量が
大きい為、エポキシ樹脂結合剤と砥粒とが集団的に脱落
することで被加工材の被加工面に傷をつけるといった問
題が発生せず、精密研磨およびラップ分野に用いられた
としても優れた被加工面品位を実現するレジノイド砥石
を提供することができる。
イド砥石は15〜90容量%の連通気孔を有するもので
ある。このようにすれば、連通気孔がチップポケットあ
るいは研磨液溜まりとして機能する為、精密研磨および
ラップ分野に用いられたとしても傷を発生させず優れた
被加工面品位を実現するレジノイド砥石を提供すること
ができる。
細に説明する。
砥石10の構成を拡大して示す図である。図1におい
て、レジノイド砥石10は、CBN、ダイヤモンド等の
超砥粒や、酸化セリウム、SiC、溶融アルミナ等の一
般砥粒である砥粒12が、硬化剤により硬化させられた
網目状の合成樹脂結合剤すなわちエポキシ樹脂結合剤1
4によって相互に結合されることにより、多数の連通気
孔16を備えて構成されている。
10では、その加工面が被加工材18の被加工面22に
摺接させられることにより、砥粒12の切れ刃20が被
加工材18の被加工面22を研磨する。加工に伴って砥
粒12の一部が破砕されると次の切れ刃20が再生され
て加工性能が継続される。上記エポキシ樹脂結合剤14
は、専ら砥粒12間を必要且つ十分に結合するように、
砥粒12あるいは全体に対する重量割合が決定されてい
る。このとき、砥粒12の平均粒径が小さくなるほど加
工に関与する切れ刃20が小さくなると同時に切れ刃数
が増加する為、砥粒12の粒径が小さくなる程それに見
合った平滑な被加工物表面品位が得られるようになる。
粒12の粒径がたとえば平均粒径50μm以下とりわけ
数μmのオーダーとなると、加工に際して砥粒12とエ
ポキシ樹脂結合剤14とが一体となったまま集団的に脱
落してそれが被加工物18の被加工面22に傷をつける
という問題が発生し易く、従来技術ではレジノイド砥石
を精密研磨およびラップ分野に用いることは困難であっ
た。しかし、本実施例のレジノイド砥石10によれば、
上記問題が発生しないようにその製造工程において、
水、エポキシ樹脂、および乳化剤を混合させて乳濁液と
し、そうして得られた乳濁液に砥粒12および硬化剤を
混合させた後に鋳型に流し込んで硬化させることで、網
目状のエポキシ樹脂結合剤14が連通気孔16を備えた
状態で砥粒12を必要十分に結合する砥石組織が形成さ
れるようになっている。
示す工程により製造される。先ず、樹脂混合工程P1に
おいて、乳化剤の添加されたエポキシ樹脂主剤と硬化剤
とをたとえば高速攪拌機などでよく混合し、その後に所
定量の水を添加し、数分間高速で液全体が白濁するまで
混合し、エポキシ樹脂乳濁液(エポキシエマルジョン
液)を作成する。ここで添加される水が硬化段階でレジ
ノイド砥石10の砥石組織内に連通気孔16を形成す
る。水の添加量としては、目的とした容積割合の連通気
孔16たとえば完成したレジノイド砥石10の容積全体
に占める割合が15〜90容量%の連通気孔16を得る
為の量を添加する必要があるが、あまり水の量が多いと
乳濁液が好適に乳濁化しない為、上記樹脂混合工程P1
の段階におけるエポキシ樹脂と水との混合溶液全体に占
めるエポキシ樹脂の割合が16〜70容積%の範囲内、
より好適には20〜40容積%の範囲内となるように添
加する水の量を調整する。エポキシ樹脂濃度が16容積
%より少ないと乳濁液の安定性が確保できず、また70
容積%より高濃度であれば連通気孔16の容積割合が少
なくなり、レジノイド砥石10に目的とした加工性能を
付与できないからである。
工程P2において、上記樹脂混合工程P1で混合された
エポキシ樹脂乳濁液に所定量の砥石12を投入した後、
たとえば高速攪拌機などでよく混合することにより砥石
原料を調整する。調整された砥石原料は続く鋳込み工程
P3において所定の鋳型に鋳込まれ、更に続く養生硬化
工程P4において水が乾かないように密閉状態にして養
生される。養生温度は常温でも可能であるが、温度を上
げる方が硬化時間が短くて済む。ただし、硬化温度が逆
に高すぎると乳濁液が分解して水とエポキシ樹脂が分離
してしまい、レジノイド砥石10の砥石強度が低くなる
為、理想的には20〜40℃の温度範囲、より好適には
20〜30℃の温度範囲であることが望ましい。その養
生硬化工程P4によって硬化した砥石成型品すなわちそ
の表面を触ってもべとつき感のない状態にまで固まった
砥石成型品を前記鋳型から脱型し、その後、熱処理工程
P5において熱処理(アフターキュア)を施す。熱処理
の条件としては、60℃程度まで約3時間かけて温度を
上昇させ、大部分の水分を蒸発させる。続いて、約2時
間かけて約100℃まで昇温させ、約100℃で2時間
程度保持する。その後、自然放冷を行うことで本実施例
のレジノイド砥石10が作成される。この熱処理工程P
5での最高温度は、エポキシ樹脂結合剤14の有する強
度発現に関係し、温度が高いほどその樹脂の耐熱性や剛
性は向上するが、その樹脂のTg点(ガラス転移温度)
以上の温度で熱処理を施しても上記耐熱性および剛性は
Tg点にて熱処理したレジノイド砥石10と変わらな
い。
は、乳化剤としてHLB値がそれぞれ4〜8、8〜1
7、11〜15.6である3種類の非イオン系乳化剤の
うち、少なくとも2種類の乳化剤を用いるものである。
この乳化剤はたとえば特開平5−54496号公報に記
載されているものであり、そのような乳化剤を用いれ
ば、網目状のエポキシ樹脂結合剤14が連通気孔16を
備えた状態で砥粒12を相互に結合する砥石組織が好適
に形成される。エポキシ樹脂の乳化が好適におこなわれ
なかったレジノイド砥石30では、たとえば図3に示す
ように、レジノイド砥石30の砥石組織内においてエポ
キシ樹脂結合剤14が砥粒12の間で球状化した状態で
硬化させられ、このようなレジノイド砥石30を研磨加
工に用いると、砥粒12とエポキシ樹脂結合剤14とが
一体となったまま集団的に脱落してそれが被加工物18
の被加工面22に傷をつける可能性がある。
る為に本発明者がおこなった実験例1について説明す
る。本発明者は、先ず以下の表1に示された割合の材料
を用いて、前述の図2に示す工程に従って本発明の実施
例である実施例試料1〜5のレジノイド砥石と、樹脂混
合工程P1において樹脂濃度を16〜70容量%の範囲
外とした比較例試料1、2のレジノイド砥石を作成し
た。ここで、表1に示すそれぞれの材料の割合は樹脂濃
度を除いて全て容量部である。
てHLB値がそれぞれ4〜8、8〜17、11〜15.
6である3種類の非イオン系乳化剤のうち2種類の乳化
剤を添加したエポキシ樹脂に硬化剤を加えよく混合した
後、水を添加して再度激しく混合して得られたエポキシ
樹脂乳濁液に、続く砥石原料調整工程P2で砥粒12と
して平均粒径が0.8μmである酸化セリウムを混合撹
拌して砥石原料を調整した。ここで、エポキシ樹脂の比
重は1.15、酸化セリウムの比重は6.0であった。
こうして調整された砥石原料を、続く鋳込み工程P3に
おいて鋳型に鋳込み、養生硬化工程P4において約25
℃にて密閉し2日間養生硬化させた後に脱型し、その後
の熱処理工程P5において約100℃にて2時間保持の
熱処理を施した。試料が完成した後、それぞれの砥石に
ついてその構造および砥石組織観察をおこなうと以下の
表2に示すような結果となった。ここで、表2に示す砥
粒率、結合剤率(エポキシ樹脂結合剤の割合)、および
気孔率は全て容量%である。
試料1〜5は所望の網目状のエポキシ樹脂結合剤14が
砥粒12を連通気孔16を備えた状態で結合しているこ
とが確認できた。一方、比較例試料1では砥石がもろく
崩れやすい状態となり、砥石組織を観察すると図3に示
すようにエポキシ樹脂結合剤14が砥粒12の間で球状
化した状態で硬化させられていることが観察された。こ
の結果から前記樹脂混合工程P1は、水とエポキシ樹脂
との混合液全体に占めるエポキシ樹脂の割合が16〜7
0容量%の範囲内となるエポキシ樹脂乳濁液とすること
で、所望の網目状のエポキシ樹脂結合剤14が砥粒12
を好適に結合するレジノイド砥石10が得られることが
わかった。
して、本発明のレジノイド砥石と従来技術のレジノイド
砥石との研磨性能の比較試験をおこなった。先ず、従来
技術により比較例試料3および4を作成した。比較例試
料3は合成樹脂結合剤として粉末フェノール樹脂が用い
られ、乾粉状態で原料を混合して型に詰めて成型するホ
ットプレス製法により成型された。比較例試料3の完成
後の砥石構造は砥粒率が57容量%、結合剤率が38容
量%、気孔率が5容量%だった。また、比較例試料4は
合成樹脂結合剤として乳濁液としない従来の液状エポキ
シ樹脂(2液型)が用いられ、液状樹脂と砥粒とを混合
してスラリーの状態とした後に型に流し込む鋳込み製法
により成型された。比較例試料4の完成後の砥石構造は
砥粒率が25容量%、結合剤率が43容量%、気孔率が
32容量%だった。尚、比較例試料3については、乾粉
混合の後に約130℃でホットプレス成型し、その後さ
らに約150℃で熱処理をおこなった。また、比較例試
料4については、気孔剤として発泡スチロールを添加
し、常温で硬化させた後、約150℃で熱処理をおこな
った。砥粒には全て実施例試料1〜5および比較例試料
1、2と同様に平均粒径が0.8μmである酸化セリウ
ムを用いた。その後、以下の試験条件で、実施例試料
2、比較例試料3および4の研磨加工レート(μ/mi
n)、表面粗さ:Ra(Å)、表面微小うねり:Wa
(Å)、およびワーク表面の傷について観察をおこなう
と表3に示すような結果となった。
による研磨ではワークの被加工面に砥粒径に見合った傷
のない良好な研磨面が得られることが確認された。一
方、従来技術である比較例試料3および4による研磨で
はワークの被加工面に深い傷が発生した。これは、研磨
加工に際して砥粒と合成樹脂結合剤とが一体となったま
ま集団的に脱落して、それがワークの被加工面に傷をつ
けたものと考えられる。また、上記表3の結果から、実
施例試料2は従来技術に比較して加工レートについても
良好な結果を得られることが確認された。
して、本発明の実施例であるレジノイド砥石による研磨
と、従来技術である遊離砥粒ポリシングによる研磨との
比較試験をおこなった。先ず、平均粒径0.9μmの酸
化セリウム砥粒を用い、前述の図2に示す工程に従って
実施例試料6を作成した。こうして作成された実施例試
料6の砥粒率は34容量%、結合剤率は19容量%、気
孔率は47容量%であった。実施例試料6の研磨では、
研磨機械として5B両面研磨盤を、研磨液として水を用
い、2.5インチガラスハードディスク基板をワークと
して19.7KPaの荷重をかけて研磨試験をおこなっ
た。また、比較例のポリシングによる研磨では、研磨パ
ッドに酸化セリウム含有発泡ウレタンパッドを用い、水
に酸化セリウムを20%の割合で含有させたスラリーを
流しながらワークである2.5インチガラスハードディ
スク基板にポリシングを施した。さらに、1次ポリシン
グの施されたワークに、同様のポリシング条件で2次ポ
リシングを施した。以上の試験条件で、実施例試料6に
よる研磨、遊離砥粒1次ポリシング、遊離砥粒2次ポリ
シングの加工レートと、加工時間、表面粗さ、および表
面微小うねりとの関係を調べると、以下の図4〜6に示
すような結果となった。
である遊離砥粒ポリシングによる研磨のそれぞれの加工
時間(分)と加工レート(mg/分)の関係を示すグラ
フである。このグラフによれば、実施例試料6は従来技
術である遊離砥粒ポリシングに比較して約1.7倍の研
磨レートを得ることができることが確認された。また、
図5は、実施例試料6による研磨、比較例である遊離砥
粒1次ポリシング、および比較例である遊離砥粒2次ポ
リシングのそれぞれの加工レート:重量(mg/分)と
表面粗さ:Ra(Å)との関係を示すグラフ、図6はそ
れぞれの加工レート:重量(mg/分)と表面微小うね
り:Wa(Å)との関係を示すグラフである。これら図
5および図6によれば、実施例試料6による研磨の加工
レートに対する表面粗さおよび微小うねりは従来技術で
ある遊離砥粒1次ポリシングに比較して優れており、そ
の品位は遊離砥粒2次ポリシングに近いものであること
が確認された。
工程P1において混合された乳濁液に砥粒12と硬化剤
とを添加混合し、そうして得られた砥石原料を鋳込み工
程P3において鋳型に鋳込み、水を含ませたまま硬化さ
せることで、平均粒径が50μm以下である砥粒12を
用い且つエポキシ樹脂結合剤14に対する砥粒12の割
合が比較的高いレジノイド砥石であっても、網目状のエ
ポキシ樹脂結合剤14が連通気孔16を備えた状態で砥
粒12を相互に結合する砥石組織が形成される。すなわ
ち本発明によれば、精密研磨およびラップ分野に用いら
れたとしても傷を発生させず優れた被加工面品位を実現
するレジノイド砥石10を提供することができる。
法は、好適には、樹脂混合工程P1で得られた乳濁液
に、その乳濁液と混合後の砥石原料全体に対する容量%
が10〜60%となる砥粒12を混合して砥石原料とす
る砥石原料調整工程を更に含むものである為、網目状の
エポキシ樹脂結合剤14が連通気孔16を備えた状態で
砥粒12を相互に結合する砥石組織が好適に形成され
る。
適には、乳化剤としてHLB値の異なる少なくとも2種
類の乳化剤を用いるものである為、網目状のエポキシ樹
脂結合剤14が連通気孔16を備えた状態で砥粒12を
相互に結合する砥石組織が好適に形成される。
適には、乳化剤としてHLB値がそれぞれ4〜8、8〜
17、11〜15.6である3種類の非イオン系乳化剤
のうち、少なくとも2種類の乳化剤を用いるものである
為、そのような乳化剤を用いれば、網目状のエポキシ樹
脂結合剤14が連通気孔16を備えた状態で砥粒12を
相互に結合する砥石組織が好適に形成される。
適には、水とエポキシ樹脂との混合液全体に対するエポ
キシ樹脂の容量%が16〜70%となるエポキシ樹脂を
混合するものである為、エポキシ樹脂が樹脂混合工程P
1においてが好適に乳化し、網目状のエポキシ樹脂結合
剤14が連通気孔16を備えた状態で砥粒12を相互に
結合する砥石組織が好適に形成される。
は、50μm以下の平均粒径を有するものである為、精
密研磨およびラップ分野において所望される被加工面品
位を実現するレジノイド砥石10を提供することができ
る。
好適には、15〜90容量%の連通気孔16を有するも
のである為、連通気孔16がチップポケットあるいは研
磨液溜まりとして機能し、精密研磨およびラップ分野に
用いられたとしても傷を発生させず優れた被加工面品位
を実現するレジノイド砥石10を提供することができ
る。
4により砥粒12が相互に結合されて形成されたレジノ
イド砥石10であって、砥石全体に占める容量%が10
〜60%である網目状の前記エポキシ樹脂結合剤14に
より、砥石全体に占める容量%が10〜60%である平
均粒径50μm以下の前記砥粒12が相互に結合されて
形成されたものである為、網目状のエポキシ樹脂結合剤
14によって相互に結合された平均粒径50μm以下の
微細砥粒12が精密研磨およびラップ分野において所望
される被加工面品位を実現することに加え、砥石組織に
おいてエポキシ樹脂結合剤14に比較して砥粒12の容
量が大きい為、エポキシ樹脂結合剤14と砥粒12とが
集団的に脱落することで被加工材18の被加工面22に
傷をつけるといった問題が発生せず、精密研磨およびラ
ップ分野に用いられたとしても優れた被加工面品位を実
現するレジノイド砥石10を提供することができる。
詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものでは
なく、更に別の態様でも実施される。
程P1において水、エポキシ樹脂、および乳化剤を混合
させて乳濁液とした後に、砥石原料調整工程P2におい
て砥粒12を混合していたが、本発明はこれに限定され
るものではなく、たとえば水、エポキシ樹脂、乳化剤、
および砥粒を同時に混合するものであってもよい。
酸化セリウムが用いられていたが、本発明はシリカ、溶
融アルミナなどの一般砥粒や、CBN、ダイヤモンドな
どの超砥粒をはじめとする様々な砥粒を用いたレジノイ
ド砥石10にも当然に用いられるものである。
主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が加えられて実施さ
れるものである。
を拡大して示す図である。
工程の一例を示す工程図である。
態で硬化させられたレジノイド砥石の構成を拡大して示
す図である。
研磨と比較例であるポリシングによる研磨のそれぞれの
加工時間と加工レートの関係を示すグラフである。
研磨と比較例である1次ポリシング、および比較例であ
る2次ポリシングのそれぞれの加工レートと表面粗さと
の関係を示すグラフである。
研磨と比較例である1次ポリシング、および比較例であ
る2次ポリシングのそれぞれの加工レートと表面微小う
ねりとの関係を示すグラフである。
Claims (9)
- 【請求項1】 エポキシ樹脂結合剤により砥粒が相互に
結合されて形成されたレジノイド砥石の製造方法であっ
て、 水、エポキシ樹脂、および乳化剤を混合させて乳濁液と
する樹脂混合工程と、 該樹脂混合工程で得られた乳濁液を鋳型に流し込む鋳込
み工程とを、含むことを特徴とするレジノイド砥石の製
造方法。 - 【請求項2】 前記レジノイド砥石の製造方法は、 前記樹脂混合工程で得られた乳濁液に、該乳濁液と混合
後の砥石原料全体に対する容量%が10〜60%となる
砥粒を混合して砥石原料とする砥石原料調整工程を更に
含むものである、請求項1のレジノイド砥石の製造方
法。 - 【請求項3】 前記樹脂混合工程は、乳化剤としてHL
B値の異なる少なくとも2種類の乳化剤を用いるもので
ある請求項1または2のレジノイド砥石の製造方法。 - 【請求項4】 前記樹脂混合工程は、乳化剤としてHL
B値がそれぞれ4〜8、8〜17、11〜15.6であ
る3種類の非イオン系乳化剤のうち、少なくとも2種類
の乳化剤を用いるものである請求項1から3の何れかの
レジノイド砥石の製造方法。 - 【請求項5】 前記樹脂混合工程は、水とエポキシ樹脂
との混合液全体に対するエポキシ樹脂の容量%が16〜
70%となるエポキシ樹脂を混合するものである請求項
1から4の何れかのレジノイド砥石の製造方法。 - 【請求項6】 前記砥粒は50μm以下の平均粒径を有
するものである請求項1から5の何れかのレジノイド砥
石の製造方法。 - 【請求項7】 前記レジノイド砥石は15〜90容量%
の連通気孔を有するものである請求項1から6の何れか
のレジノイド砥石の製造方法。 - 【請求項8】 エポキシ樹脂結合剤により砥粒が相互に
結合されて形成されたレジノイド砥石であって、 砥石全体に占める容量%が10〜60%である網目状の
前記エポキシ樹脂結合剤により、砥石全体に占める容量
%が10〜60%である平均粒径50μm以下の前記砥
粒が相互に結合されて形成されたものであることを特徴
とするレジノイド砥石。 - 【請求項9】 前記レジノイド砥石は15〜90容量%
の連通気孔を有するものである請求項8のレジノイド砥
石。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103600307A (zh) * | 2013-11-21 | 2014-02-26 | 江苏苏北砂轮厂有限公司 | 树脂弹性砂轮 |
CN108908147A (zh) * | 2018-05-30 | 2018-11-30 | 安徽佑开科技有限公司 | 一种树脂砂轮生产方法 |
CN111687756A (zh) * | 2019-03-13 | 2020-09-22 | 常州市达蒙砂轮制造有限公司 | 一种防衰退的树脂砂轮及其制作方法 |
-
2001
- 2001-09-25 JP JP2001291140A patent/JP3854835B2/ja not_active Expired - Fee Related
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