JP2001260034A - 多気孔型エポキシ砥石およびその製造方法 - Google Patents

多気孔型エポキシ砥石およびその製造方法

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JP2001260034A
JP2001260034A JP2000080018A JP2000080018A JP2001260034A JP 2001260034 A JP2001260034 A JP 2001260034A JP 2000080018 A JP2000080018 A JP 2000080018A JP 2000080018 A JP2000080018 A JP 2000080018A JP 2001260034 A JP2001260034 A JP 2001260034A
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pore
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Akira Nagata
晃 永田
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Noritake Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一層切れ味に優れた多気孔型エポキシ砥石を
提供する。 【解決手段】 本多気孔型エポキシ砥石10は、その砥
石組織のうちの気孔12の周囲の第1砥石組織14が他
の部分の第2砥石組織16とは異なる性状を有するもの
である。すなわち、第1砥石組織14に含まれる第1砥
粒20の硬度が第2砥石組織16に含まれる第2砥粒2
4よりも高く、第1砥石組織14に含まれる第1砥粒2
0の大きさ(平均粒径)が第2砥石組織16に含まれる
第2砥粒24よりも大きく、或いは第1砥石組織14に
含まれる第1砥粒20の密度(集中度)が第2砥石組織
16に含まれる第2砥粒24よりも高いので、たとえば
図4に示すような気孔12の開口周縁部と他の部分とは
相互に均質な砥石組織から構成されて、気孔12の開口
周縁部と他の部分との間で第2砥粒24の硬度、粒径、
密度の差がない従来の多気孔型エポキシ砥石50に比較
して、一層優れた切れ味が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発泡樹脂製気孔形
成剤により人工的に形成された多数の気孔を有する多気
孔型エポキシ砥石、およびその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】研削砥石において、砥粒を結合するため
のボンド(結合剤)は、一般に、ビトリファイド(ガラ
ス質)ボンド、レジノイド(樹脂質)ボンド、メタル
(金属質)ボンド、電着金属などが用いられているが、
その中でレジノイドボンドに用いられる樹脂としては、
その作業や使用条件に適合するように、フェノール樹
脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、PV
A(ポリビニルアルコール)樹脂などが用いられてい
る。そのようなレジノイドボントにより砥粒が結合され
たレジノイド砥石は、研削負荷が砥粒に加えられたとき
にレジノイドボントの弾性によってその砥粒の負荷が緩
和されるので、重研削などの比較的負荷の高い研削作業
に用いられる。
【0003】そして、それらレジノイドボンドの中にお
いても、特に鋳込み製法によるエポキシ砥石は、ボンド
として用いるエポキシ樹脂の低い弾性率と、鋳込みによ
る砥粒とボンドとの良好な濡れ状態(コーティング状
態)とが相まって、深切り込みなどの高負荷研削加工に
対しても好適に用いられ、高耐久性すなわち砥石寿命が
得られるという特徴がある。そして、上記エポキシ砥石
の切れ味および研削焼けの防止のために、無機系中空物
質や有機系中空物質から成る気孔形成剤を鋳込み段階で
混入させて均質な多数の気孔を砥石組織中に設けた多気
孔型エポキシ砥石が提案されている。たとえば図4に示
す多気孔型エポキシ砥石がそれである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な従来の多気孔型エポキシ砥石は、比較的切れ味に優れ
て研削焼けが比較的防止されるのであるが、その研削性
能の改良に対する要求は留まるところがなく、さらなる
切れ味の向上が望まれていた。
【0005】本発明は以上の事情を背景として為された
ものであり、その目的とするところは、一層切れ味に優
れた多気孔型エポキシ砥石を提供することにある。
【0006】本発明者は、上記のような多気孔型エポキ
シ砥石の切れ味についてさらに研究を重ねるうち、研削
性能をさらに向上させ得る余地のあることを見いだし
た。すなわち、上記従来の多気孔型エポキシ砥石におい
て、切れ味が向上する最大の理由は、気孔の開口周縁部
が研削に関して最も仕事をする部分であって多気孔型エ
ポキシ砥石の研削面にその部分が多数存在することであ
ると推定されることから、その気孔の開口周縁部の砥石
組織を他の部分の砥石組織よりも研削能力を高めると、
気孔の開口周縁部と他の部分とは相互に均質な砥石組織
から構成されている従来の多気孔型エポキシ砥石に比較
して、一層優れた切れ味が得られるという事実を見いだ
したのである。本発明はかかる知見に基づいて為された
ものである。
【0007】
【課題を解決するための第1の手段】すなわち、本発明
の多気孔型エポキシ砥石の要旨とするところは、エポキ
シ樹脂結合剤により砥粒を結合した砥石組織内に人工的
に形成された多数の気孔を有する多気孔型エポキシ砥石
であって、上記砥石組織のうちの上記気孔の周囲の部分
が他の部分とは異なる性状を有するものであることにあ
る。
【0008】
【第1発明の効果】このようにすれば、砥石組織のうち
の上記気孔の周囲の部分が他の部分とは異なる性状を有
するものであることから、多気孔型エポキシ砥石の研削
面のうち、研削について最も仕事をする部分である気孔
の開口周縁部の砥石組織が他の部分とは異なる性状を有
しているので、気孔の開口周縁部と他の部分とは相互に
均質な砥石組織から構成されている従来の多気孔型エポ
キシ砥石に比較して、一層優れた切れ味が得られる。
【0009】
【第1発明の他の態様】ここで、好適には、前記砥石組
織のうちの前記気孔の周囲の部分は、他の部分の砥粒よ
りも硬い材質からなる砥粒を有するものである。このよ
うにすれば、エポキシ砥石の研削面に開口する気孔の周
縁部の砥粒は、他の部分に比較して硬い材質から成るも
のであるので、研削について最も仕事をする領域である
気孔の開口周縁部の砥粒の切れ刃の耐久性が高められ、
一層優れた切れ味が得られる。また、難削材を研削する
場合に、超砥粒のような気孔の周囲の部分の硬い高価な
砥粒に対して他の部分の砥粒を安価なものたとえば一般
砥粒とすることができるので、多気孔型エポキシ砥石の
コスト上昇を抑制することができる。
【0010】また、好適には、前記砥石組織のうちの前
記気孔の周囲の部分は、他の部分の砥粒よりも大きな平
均粒径を有するものである。このようにすれば、エポキ
シ砥石の研削面に開口する気孔の周縁部の砥粒は、他の
部分に比較して大きな粒径を有していることから、研削
について最も仕事をする領域である気孔の開口周縁部の
砥粒の保持力が高く且つ研削能力が高められ、一層優れ
た切れ味が得られる。また、気孔の周囲の部分の砥粒と
他の部分の砥粒とは相互に同一成分(同一材質)の砥粒
を用いることができるので、面粗度を低下させることな
く切れ味を向上させることができる。すなわち、気孔の
外周部には他の部分よりも比較的大径の砥粒を有する砥
石組織を層状に設けることにより、その気孔の外周部に
おいて専ら研削を行い、その他の部分において研磨を行
うようにすることにより、切る作業と磨く作業とを役割
分担させて、面粗度を低下させることなく切れ味を向上
させることができるのである。
【0011】また、好適には、前記砥石組織のうちの前
記気孔の周囲の部分は、他の部分よりも高い砥粒密度を
有するものである。このようにすれば、エポキシ砥石の
研削面に開口する気孔の周縁部の砥粒は、他の部分に比
較して緻密で大きな砥粒密度を有していることから、研
削について最も仕事をする領域である気孔の開口周縁部
の砥粒の集中度が高く且つ研削能力が高められ、一層優
れた切れ味が得られる。
【0012】
【課題を解決するための第2の手段】また、上記多気孔
型エポキシ砥石を好適に製造するための方法発明の要旨
とするところは、エポキシ樹脂結合剤により砥粒を結合
した砥石組織内に人工的に形成された多数の気孔を有す
る多気孔型エポキシ砥石の製造方法であって、(a) 気孔
形成剤の表面に第1砥粒を固着させる砥粒固着工程と、
(b) 前記第1砥粒とは異なる性状の第2砥粒、流動性エ
ポキシ樹脂、および前記気孔形成剤を所定の割合で混合
する混合工程と、(c) その混合工程により混合された材
料を成形金型内に鋳込むことにより鋳込み成形する鋳込
成形工程と、(d) 成形された成形品を熱処理することに
より、前記エポキシ樹脂を本硬化させる熱処理工程と
を、含むことにある。
【0013】
【第2発明の効果】このようにすれば、砥粒固着工程に
おいて、気孔形成剤の表面に第1砥粒が固着させられ、
混合工程において、第1砥粒とは異なる性状の第2砥
粒、流動性エポキシ樹脂、第1砥粒が表面に固着された
気孔形成剤が所定の割合で混合され、鋳込成形工程にお
いて、その混合材料が成形金型内に鋳込まれることによ
り、鋳込み成形が行われる。さらに、熱処理工程におい
て、その成形品に熱処理が加えられることにより、エポ
キシ樹脂が本硬化させられる。このようにして製造され
たエポキシ砥石は、砥石組織において上記気孔の周囲の
第1砥粒が他の部分の第2砥粒とは異なる性状を有する
ものであることから、多気孔型エポキシ砥石の研削面の
うち、気孔の開口周縁部の第1砥粒が研削について最も
仕事をするので、気孔の開口周縁部と他の部分とは相互
に均質な砥石組織から構成されている従来の多気孔型エ
ポキシ砥石に比較して、一層優れた切れ味が得られる。
【0014】
【第2発明の他の態様】ここで、好適には、前記気孔形
成剤は、スチロール樹脂から数十倍の体積となるように
発泡させられた球形発泡スチロール樹脂である。このよ
うにすれば、球形発泡スチロール樹脂は砥粒を結合させ
るエポキシ樹脂の硬化などと同時に容易に収縮させられ
るので、比較的大きく均質な気孔が容易に得られる。
【0015】また、好適には、前記砥粒固着工程では、
第1砥粒はエポキシ樹脂などを用いて上記発泡スチロー
ル樹脂の表面に付着させられた後に、そのエポキシ樹脂
が硬化させられることにより固着される。このようにす
れば、多気孔型エポキシ砥石の結合剤すなわち第2砥粒
を結合させるためのエポキシ樹脂と同じ材質であるエポ
キシ樹脂が発泡スチロール樹脂の表面に第1砥粒を固着
させるために用いられるので、砥石組織において気孔の
外周部すなわち気孔の開口周縁部と他の部分との間の結
合が強固となる利点がある。
【0016】
【発明の好適な実施の形態】以下、本発明の一実施例を
図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】図1は本発明の一実施例の多気孔型エポキ
シ砥石10の表面の一部すなわち研削面の一部を拡大し
て示す図である。このエポキシ砥石10の砥石組織は、
発泡樹脂、有機バルーン、無機バルーンなどの気孔形成
剤を用いて人工的に形成されたたとえば0.5〜3mmφ
程度の範囲から選択された比較的大きな径の多数の球形
の気孔12と、その気孔12の周囲に所定厚みで層状に
形成された第1砥石組織14と、その第1砥石組織14
を除いた他の部分の第2砥石組織16とから構成されて
いる。図1の気孔12内には何ら記載されていないが、
上記気孔形成剤として発泡樹脂が用いられる場合には、
収縮しない発泡樹脂が気孔12内にそのまま残された
り、或いはたとえばポリメチルメタアクリレートを含む
ために加熱収縮を受けてその残査が気孔12内に残され
る。また、上記気孔形成剤として、有機バルーンや無機
バルーンが用いられる場合には、その有機バルーンや無
機バルーンの外殻が気孔12内に残される。
【0018】上記第1砥石組織14は、第1砥粒20が
第1樹脂結合剤22により結合されたものであり、その
第1砥粒20の1個分の径に略相当する厚みを備えてい
る。また、上記第2砥石組織16は、通常のエポキシ砥
石と同様に、第2砥粒24が第2樹脂結合剤として機能
するエポキシ樹脂26により結合されたものである。上
記エポキシ砥石10に用いられる第1砥粒20および第
2砥粒24には、たとえばアルミナ質砥粒、炭化珪素質
砥粒、ジルコニヤ−アルミナ系砥粒、CBN砥粒、ダイ
ヤモンド砥粒、或いはそれらの混合物が用いられる。
【0019】上記第1砥石組織14は、研削機能を高め
るために、第2砥石組織16に対して異なる性状を有し
ている。すなわち、第1砥石組織14内の第1砥粒20
は、第2砥石組織16内の第2砥粒24に対して、硬度
の高い材質から構成されたり、平均粒径が大きいものか
ら構成されたり、高密度すなわち高集中度で構成された
りしている。たとえば、第2砥粒24がアルミナ系砥粒
である場合には第1砥粒20がダイヤモンド、CBNな
どの超砥粒であり、第2砥粒24の平均粒径が60μm
(#220)である場合には第1砥粒20の平均粒径が
75μm(#170)であり、第2砥粒24の密度(或
いは集中度)が50である場合には第1砥粒20の密度
(或いは集中度)が100とされる。
【0020】図2は、上記エポキシ砥石10の製造工程
を説明する図である。図2において、砥粒固着工程28
では、たとえばポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹
脂、ポリエチレン樹脂の原料から数十倍の体積となるよ
うに発泡させられた球形の発泡樹脂である気孔形成剤3
0の表面に第1砥粒20が固着させられる。たとえば、
発泡スチロール樹脂が液状エポキシ樹脂と混合されるこ
とによりその表面に液状エポキシ樹脂が濡らす程度に塗
布された後、気孔形成剤30の全表面に付着させるに十
分な量の第1砥粒20がその気孔形成剤30に混合され
ることにより、第1樹脂結合剤22である液状エポキシ
樹脂によりその気孔形成剤30の全表面に第1砥粒20
が互いに近接或いは隣接した状態で層状に付着させられ
る。次いで、そのエポキシ樹脂が常温硬化或いは加熱硬
化させられることにより、上記気孔形成剤30の表面に
第1砥粒20が固着させられ、第1砥粒20の1砥粒層
の厚みから成る第1砥石組織14が形成される。上記エ
ポキシ樹脂は2液性の常温硬化型、或いは気孔形成剤3
0の収縮を発生させない温度で加熱硬化させられる加熱
硬化型が用いられる。
【0021】次いで、混合工程32では、エポキシ砥石
10の原料である第2砥粒24、流動性のエポキシ樹脂
26、上記表面に第1砥粒20が固着させられた気孔形
成剤30が、予め定められた所定の混合割合となるよう
にそれぞれ秤量され、よく知られた混合機により相互に
混合されることにより流動性の混合材料が得られる。第
1砥粒20は気孔形成剤30の表面において互いに近接
或いは隣接した状態で固着させられているのに対し、上
記第2砥粒24は一般的なエポキシ砥石の割合で配合さ
れる結果、第1砥粒20の密度すなわち集中度は第2砥
粒24に比較して必然的に高くされる。
【0022】鋳込成形工程34では、その混合工程32
により混合された材料が鋳込成形金型に設けられた成形
キャビティ内に鋳込まれ(注入され)る。硬化工程36
では、上記成形キャビティ内に鋳込まれた流動性の混合
材料に含まれるエポキシ樹脂26が、たとえば常温で1
2時間放置されることにより或いは120℃で1時間程
度加熱されることにより硬化させられる。それら鋳込成
形工程34および硬化工程36が砥石成形品を成形する
ための成形工程に対応している。そして、熱処理工程3
8では、硬化工程36でエポキシ樹脂26が硬化させら
れることにより鋳込成形金型から出された成形品に、た
とえば150℃の温度で3時間の熱処理が施されること
により、たとえば前記発泡樹脂製気孔形成剤30が収縮
させられると同時に、エポキシ樹脂26の強度を高める
ための本硬化が行われる。エポキシ樹脂26として、た
とえば2液混合常温硬化型エポキシ樹脂(主剤:変性エ
ポキシ樹脂、硬化剤:芳香族アミン系)が好適に用いら
れる。
【0023】上記発泡樹脂製気孔形成剤30としては、
0.5乃至10mmφの範囲の径寸法、好ましくは1乃至
3mmφの範囲の径寸法を備えたものが用いられる。径寸
法が1mmφ、特に0.5mmφを下まわると、チップポケ
ットとしての気孔12の機能が低下し、反対に、径寸法
が3mmφ、特に10mmφを上まわると、砥石組織の全体
的な密度が低下してエポキシ砥石10の研削性能が損な
われる。また、上記発泡樹脂製気孔形成剤30は、研削
目的に応じて、エポキシ砥石10の砥石組織中において
5乃至70容積%の範囲内、好ましくは10乃至50容
積%の範囲内で使用される。この発泡樹脂製気孔形成剤
30の容積割合が10容積%特に5容積%を下回ると気
孔12の効果が明確に得られ難くなり、反対に50容積
%特に70容積%を越えるとエポキシ砥石10の砥石組
織の強度が低下して摩耗が多くなり、実用的に十分な耐
久性が得られ難くなる。
【0024】以下、本発明者が以下の研削試験条件に従
って行った実験例の一部を説明する。表1に示すよう
に、ポリプロピレン樹脂から成る気孔形成剤30に対し
て#230(平均粒径が55μm)のダイヤモンド砥
粒、#170(平均粒径が75μ)のダイヤモンド砥
粒、#180(平均粒径が70μm)のアルミナ系砥粒
を前記砥粒固着工程28と同様にして固着させた気孔形
成剤A、B、Cを予め用意し、それら気孔形成剤A、
B、Cと、#220(平均粒径が60μm)のアルミナ
系砥粒と、2液混合常温硬化型エポキシ樹脂(主剤:変
性エポキシ樹脂、硬化剤:芳香族アミン系)とを用いて
表2に示す割合で305mmφ(外径)×20mm(厚
み)×50.8mmφ(内径)のエポキシ砥石を作成し
て試料1、試料2、試料3とし、未処理の気孔形成剤を
用いたものを比較例1、比較例2とした。そして、それ
らの試料1、試料2、試料3、比較例1、比較例2を用
いて以下に示す研削試験条件にて研削試験を行った結果
を表3に示す。表3では、加工時における消費電力W
(ワット)と100pass(総切込量500μ)時点での
砥石摩耗量およびワーク表面粗さとについて相互に比較
されている。
【0025】〔表1〕気孔形成剤 砥粒の種類 砥粒の粒度 気孔形成剤A ダイヤモンド #230 気孔形成剤B ダイヤモンド #170 気孔形成剤C アルミナ系 #180
【0026】 〔表2〕試料 砥粒容量部 砥粒粒度 樹脂容量部 気孔形成剤 スチロール 容量部 試料1 40 #220 35 気孔形成剤A 25 試料2 40 #220 35 気孔形成剤B 25 試料3 40 #220 35 気孔形成剤C 25 比較例1 40 #220 35 未処理気孔形成剤 25 比較例2 40 #180 35 未処理気孔形成剤 25
【0027】〔研削試験条件〕 研削盤: 横軸平面研削盤 砥石周速: 1600m/min 被削材: SS41(生材) 被削材寸法:長さ120mm×幅10mm 切込量: 5μm/pass
【0028】 〔表3〕 消費電力 砥石摩耗量 加工面粗さRmax 試料1 480W 13μm 0.6μm 試料2 500W 9μm 1.0μm 試料3 430W 15μm 1.2μm 比較例1 530W 24μm 1.4μm 比較例2 550W 17μm 2.0μm
【0029】表3において、消費電力値Wは研削加工時
に研削砥石を回転駆動するために消費された電力であっ
て、切れ味のよい砥石ほど低い値を示す。また、砥石摩
耗量は、上記の研削試験条件下において一定の研削加工
(上記1個の被削材の表面を5μmの切込量で平面研削
加工)したときの砥石の摩耗量であって、砥石寿命の長
い砥石ほど低い値を示す。加工面粗さRmax は、被削材
の表面(長さ120mm×幅10mm)内における研磨品位
を示している。
【0030】表3の実験結果によれば、気孔12の周囲
に設けられた第1砥石組織14に含まれる第1砥粒20
の硬度が第2砥石組織16に含まれる第2砥粒24より
も高い場合(試料1および2)には、比較例1および2
に比較して、消費電力Wおよび砥石摩耗量が少なく且つ
加工面の表面粗さが小さい値となっている。また、同じ
材質であっても、第1砥石組織14に含まれる第1砥粒
20の大きさ(平均粒径)が第2砥石組織16に含まれ
る第2砥粒24よりも大きい場合(試料3)において
も、比較例1および2に比較して、消費電力Wおよび砥
石摩耗量が少なく且つ加工面の表面粗さが小さい値とな
っている。さらに、第1砥石組織14に含まれる第1砥
粒20の密度(集中度)が第2砥石組織16に含まれる
第2砥粒24よりも高い場合(試料1、2、および3)
においても、比較例1および2に比較して、消費電力W
および砥石摩耗量が少なく且つ加工面の表面粗さが小さ
い値となっている。
【0031】上述のように、本実施例の多気孔型エポキ
シ砥石10によれば、その砥石組織のうちの気孔12の
周囲の第1砥石組織14が他の部分の第2砥石組織16
とは異なる性状を有するものである。すなわち、第1砥
石組織14に含まれる第1砥粒20の硬度が第2砥石組
織16に含まれる第2砥粒24よりも高く、第1砥石組
織14に含まれる第1砥粒20の大きさ(平均粒径)が
第2砥石組織16に含まれる第2砥粒24よりも大き
く、或いは第1砥石組織14に含まれる第1砥粒20の
密度(集中度)が第2砥石組織16に含まれる第2砥粒
24よりも高いので、たとえば図4に示すような気孔1
2の開口周縁部と他の部分とは相互に均質な砥石組織か
ら構成されて、気孔12の開口周縁部と他の部分との間
で第2砥粒24の硬度、粒径、密度の差がない従来の多
気孔型エポキシ砥石50に比較して、一層優れた切れ味
が得られる。
【0032】すなわち、気孔12の周縁部の第1砥粒2
0は、他の部分の第2砥粒24に比較して硬い材質から
成るものであるので、研削について最も仕事をする領域
である気孔12の開口周縁部の切れ刃の耐久性が高めら
れ、一層優れた切れ味が得られる。また、難削材を研削
する場合に、超砥粒のような気孔の周囲の部分の硬い高
価な砥粒に対して他の部分の砥粒を安価なものたとえば
一般砥粒とすることができるので、多気孔型エポキシ砥
石10のコスト上昇を抑制することができる。
【0033】また、気孔12の周縁部の第1砥粒20
は、他の部分の第2砥粒24に比較して大きな粒径を有
していることから、研削について最も仕事をする領域で
ある気孔の開口周縁部の砥粒保持力が高く且つ研削能力
が高められ、一層優れた切れ味が得られる。また、気孔
の周囲の部分の砥粒と他の部分の砥粒とは相互に同一成
分(同一材質)の砥粒を用いることができるので、面粗
度を低下させることなく切れ味を向上させることができ
る。すなわち、気孔12の外周部には他の部分よりも比
較的大径の第1砥粒20を有する第1砥石組織14を層
状に設けることにより、その気孔12の外周部において
専ら研削を行い、その他の部分において研磨を行うよう
にすることにより、切る作業と磨く作業とを役割分担さ
せて、面粗度を低下させることなく切れ味を向上させる
ことができるのである。
【0034】また、気孔12の周囲の第1砥粒20は、
他の部分の第2砥粒24よりも高い砥粒密度を有するも
のであることから、エポキシ砥石10の研削面に開口す
る気孔12の周縁部の第1砥粒20は、他の部分の第2
砥粒24に比較して緻密で大きな砥粒密度を有している
ことから、研削について最も仕事をする領域である気孔
12の開口周縁部の第1砥粒20の集中度が高く且つ研
削能力が高められ、一層優れた切れ味が得られる。
【0035】また、本実施例の多気孔型エポキシ砥石1
0の製造工程では、砥粒固着工程28において、気孔形
成剤30の表面に第1砥粒20が固着させられ、混合工
程32において、第1砥粒20とは異なる性状の第2砥
粒24、流動性エポキシ樹脂、第1砥粒20が表面に固
着された気孔形成剤30が所定の割合で混合され、鋳込
成形工程34において、その混合材料が成形金型内に鋳
込まれることにより、鋳込み成形が行われ、熱処理工程
38において、その成形品に熱処理が加えられることに
より、エポキシ樹脂が本硬化させられる。このため、多
気孔型エポキシ砥石10は、第1砥石組織14において
気孔12の周囲の第1砥粒20が他の部分の第2砥石組
織16の第2砥粒24とは異なる性状を有するものであ
ることから、研削面において気孔12の開口周縁部の第
1砥粒20が研削について最も仕事をするので、気孔1
2の開口周縁部と他の部分とは相互に均質な砥石組織か
ら構成されている従来の多気孔型エポキシ砥石50に比
較して、一層優れた切れ味が得られる。
【0036】また、上記気孔形成剤30は、スチロール
樹脂などから数十倍の体積となるように発泡させられた
球形発泡スチロール樹脂であることから、その球形発泡
スチロール樹脂は第2砥粒24を結合させるエポキシ樹
脂の硬化(熱処理工程38)などと同時に容易に収縮さ
せられ得るので、比較的大きく均質な気孔12が容易に
得られる。
【0037】また、前記砥粒固着工程28では、第1砥
粒20はエポキシ樹脂(第1樹脂結合剤22)を用いて
上記発泡スチロール樹脂の表面に付着させられた後に、
そのエポキシ樹脂が硬化させられることにより固着され
ることから、多気孔型エポキシ砥石の結合剤すなわち第
2砥粒24を結合させるためのエポキシ樹脂26と同じ
材質であるエポキシ樹脂が発泡スチロール樹脂の表面に
第1砥粒20を固着させるために用いられるので、砥石
組織において気孔12の外周部の第1砥石組織14と他
の第2砥石組織16との間の結合が強固となる利点があ
る。
【0038】以上、本発明の一実施例を図面を用いて説
明したが、本発明はその他の態様においても適用され
る。
【0039】たとえば、前述の実施例の第1樹脂結合剤
22はエポキシ樹脂だけでなく、他の種類の樹脂が用い
られてもよい。
【0040】また、前述の実施例において、第1砥粒2
0および第2砥粒24の材質は、研削目的或いは用途な
どに応じて、適宜選択され得る。
【0041】また、前述の実施例の熱処理工程38で
は、鋳込成形金型から出された成形品のエポキシ樹脂2
6が硬化させられていたが、鋳込成形金型内であっても
差し支えない。この場合には、硬化工程36が削除され
てもよい。
【0042】また、前記第2砥石組織16内に、第2砥
粒24の微小な間隔を広げるなどの目的で有機或いは無
機バルーンなどの気孔形成剤が設けられてもよい。
【0043】なお、上述したのはあくまでも本発明の一
実施例であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲にお
いて種々の変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の多気孔型エポキシ砥石の表
面の一部を拡大して模式的に説明する図である。
【図2】図1のエポキシ砥石の製造工程の要部を説明す
る工程図である。
【図3】図2の製造工程において用いられる発泡樹脂製
気孔形成剤を拡大して示す外形図である。
【図4】従来の多気孔型エポキシ砥石の表面を拡大して
示す断面図である。
【符号の説明】
10:エポキシ砥石 12:気孔 14:第1砥石組織 16:第2砥石組織 20:第1砥粒 24:第2砥粒 26:エポキシ樹脂 28:砥粒固着工程 30:発泡樹脂製気孔形成剤 32:混合工程 34:鋳込成形工程 38:熱処理工程

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エポキシ樹脂結合剤により砥粒を結合し
    た砥石組織内に人工的に形成された多数の気孔を有する
    多気孔型エポキシ砥石であって、 前記砥石組織のうちの前記気孔の周囲の部分が他の部分
    とは異なる性状を有するものであることを特徴とする多
    気孔型エポキシ砥石。
  2. 【請求項2】 前記砥石組織のうちの前記気孔の周囲の
    部分は、他の部分の砥粒よりも硬い材質からなる砥粒を
    有するものである請求項1の多気孔型エポキシ砥石。
  3. 【請求項3】 前記砥石組織のうちの前記気孔の周囲の
    部分は、他の部分の砥粒よりも大きな平均粒径を有する
    ものである請求項1または2の多気孔型エポキシ砥石。
  4. 【請求項4】 前記砥石組織のうちの前記気孔の周囲の
    部分は、他の部分よりも高い砥粒密度を有するものであ
    る請求項1乃至3のいずれかの多気孔型エポキシ砥石。
  5. 【請求項5】 エポキシ樹脂結合剤により砥粒を結合し
    た砥石組織内に人工的に形成された多数の気孔を有する
    多気孔型エポキシ砥石の製造方法であって、 気孔形成剤の表面に第1砥粒を固着させる砥粒固着工程
    と、 前記第1砥粒とは異なる性状の第2砥粒、流動性エポキ
    シ樹脂、および前記第1砥粒が固着させられた気孔形成
    剤を所定の割合で混合する混合工程と、 該混合工程により混合された材料を成形金型を用いて鋳
    込み成形する鋳込成形工程と、 成形された成形品を熱処理することにより、前記エポキ
    シ樹脂を本硬化させる熱処理工程とを、含むことを特徴
    とする多気孔型エポキシ砥石の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8808413B2 (en) 2009-08-03 2014-08-19 Saint-Gobain Abrasives, Inc. Abrasive tool having controlled porosity distribution
US10195717B2 (en) 2009-08-03 2019-02-05 Saint-Gobain Abrasives Abrasive tool having a particular porosity variation
CN114227556A (zh) * 2021-12-23 2022-03-25 昆山鑫轮超硬磨具有限公司 一种砂轮及其制备方法

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