JP5642526B2 - 再生鋳物砂の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明に使用される鋳物砂は、鋳造後に回収された鋳物砂である限り特に限定されない。例えば、シリカ、アルミナ、ムライト、ステアタイト、アルミナシリケート等を成分として含む天然砂や人工砂が使用できる。なかでも、アルミナ、ムライト、ステアタイト及びアルミナシリケートから選択される一種以上を80重量%以上含む鋳物砂は表面が硬く、かつ、形状が球形に近いために、鋳物砂表面に付着した粘結剤が鋳物砂から分離しにくくなる傾向にある。よって、鋳物砂としてアルミナ、ムライト、ステアタイト及びアルミナシリケートから選択される一種以上を80重量%以上含む鋳物砂を用いると、本発明の上記効果(不純物の除去性の向上)がより一層発揮されるため好ましい。なお、本発明に使用される鋳物砂は、1回以上回収された鋳物砂であればよく、回収される回数は限定されない。また、本発明の方法で得られた再生鋳物砂(以下、再生砂ともいう)や、本発明の方法以外の再生方法を用いて再生された鋳物砂を用いて鋳型を作製し、鋳造後、回収した鋳物砂を用いてもよい。
本発明における「易破砕粒体」とは、研磨工程において破砕し易い粒体を指す。例えば、中空粒子、小粒子の凝集粒子、内部亀裂のある粒子などを易破砕粒体として用いることができる。粒体が破砕し易いか否かは、以下に示す破砕性指数Aで評価できる。即ち、研磨工程前の試料(粒体)を目開きが53μmのメッシュで篩い、該メッシュ上にたまった部分、すなわち粒径が53μm以上の試料50gと、直径10mmの真球状のアルミナ製ボール1000gとを、内径120mm、内のり105mmのアルミナ製ボールミルに入れ、ユニバーサルボールミル型式UB−32(ヤマト科学社製)を用いて、回転速度120rpmで10分間粉砕する。そして、破砕した試料を目開きが53μmのメッシュで篩い、該メッシュを通過した試料の重量(篩下重量)を測定し、下式から算出される値を破砕性指数Aとする。なお、破砕性指数Aが高いほど、破砕し易い粒体であると評価できる。
破砕性指数A=粉砕後の53μmメッシュの篩下重量(g)/50×100
研磨工程で使用される乾式研磨再生機としては、鋳物砂の再生に使用できるものであれば特に限定されず、例えば垂直軸回転型再生機や水平軸回転型再生機等が使用できる。また、上記乾式研磨再生機は、特公昭57−42411号公報に示すような粒子間相互の摩擦のみで再生を行う乾式研磨再生機であってもよく、特許第3125272号公報に示すような粒子間相互の摩擦に加えて粒子を押圧することでより強固に再生を行う乾式研磨再生機であってもよい。なかでも、再生機内で易破砕粒体が破砕され微粉となった後に易破砕粒体を除去する観点から、砂を研磨する工程の後にダストを除去する手段をもつ再生機を使用することが好ましい。
以下に、本発明の研磨工程の一例について説明する。まず、回収された鋳物砂に易破砕粒体を添加する。この際、易破砕粒体は、鋳物砂全体に均等に添加されるのが望ましい。均等に添加するためには、例えば、振動フィーダ上で鋳物砂を搬送しながら易破砕粒体を定量添加するなど、公知の方法を使用して行えばよい。
シリカ粉の平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所社製)を使用し、下記の測定条件で測定されたメジアン径(D50)とした。測定条件は下記の通りである。
測定方法:フロー法
分散媒:蒸留水
分散方法:攪拌、内蔵超音波3分
試料濃度:2mg/100mL
相対屈折率:1.16
シラスバルーン及びアルバニー8号の平均粒径は、下記表1に示した目開きのメッシュを用いて試料を篩にかけ、累積篩下重量の割合(重量%)を測定した後、横軸を目開きの対数値、縦軸を累積篩下重量の割合(重量%)とする累積グラフを作成し、該累積グラフから読み取ったメジアン径(D50)とした。回収砂及び再生砂の平均粒径は、下記表2に示した目開きのメッシュを用いて同様に測定した。
球状人工セラミック鋳物砂(ルナモスMS#50、花王クエーカー社製)100重量部に、アルカリフェノール樹脂用硬化剤(カオーステップDH−25、花王クエーカー社製)0.39重量部と、アルカリフェノール樹脂(カオーステップSL−6010、花王クエーカー社製)1.3重量部とを加えて攪拌し、サンド/メタルの重量比が4の鋳型を造型した。前記球状人工セラミック鋳物砂は、球形度が0.99、Al2O3/SiO2(重量比)が1.9、SiO2及びAl2O3の合計量が94重量%(その他は、TiO2:2.9重量%、Fe2O3:1.3重量%、及び微量のCaO、MgO、Na2O、K2Oを含む。)であった。本鋳型に1400℃にて鋳鉄溶湯(FC200)を注湯し、冷却後、鋳型をクラッシャーで処理して、平均粒径247μmの回収砂を得た。前記回収砂100重量部に、添加剤としてシラスバルーン(ウインライトWB−9011、アクシーズケミカル社製、平均粒径181μm、粒径53μm未満の粒体の割合:6.5重量%)4重量部を添加して混合し、得られた混合砂をUSR型乾式研磨再生機(新東工業社製)に投入速度25kg/分にて投入し、回転ドラムの回転数を500rpmに設定し、乾式研磨及び流動槽と集塵機によるダストの除去からなる処理を2回繰返して再生砂を得た。なお、再生砂中のシラスバルーンの残存量は0.2重量%であった。該残存量は、再生砂を顕微鏡にて観察し、残存するシラスバルーン粒子の個数及び大きさから算出した。以下で説明する他の例における添加剤の残存量についても同様に算出した。
シラスバルーンを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様に行い比較例1の再生砂を得た。
添加剤としてシラスバルーンの代わりにシリカ粉(平均粒径22μm)を添加したこと以外は、実施例1と同様に行い比較例2の再生砂を得た。
添加剤としてシラスバルーンの代わりにシリカ粉(平均粒径22μm)を2重量部添加したこと以外は、実施例1と同様に行い比較例3の再生砂を得た。
添加剤としてシラスバルーンの代わりに珪砂(アルバニー8号、トウチュウ社製、平均粒径119μm、粒径53μm未満の粒体の割合:1.2重量%)を添加したこと以外は、実施例1と同様に行い比較例4の再生砂を得た。再生砂中の珪砂の残存量は2.2重量%であった。
実施例1と同様にして鋳型をクラッシャーで処理して得られた回収砂を、USR型乾式研磨再生機(新東工業社製)に投入速度25kg/分にて投入し、回転ドラムの回転数を500rpmに設定し、乾式研磨及び流動槽と集塵機によるダストの除去からなる処理(予備処理)を2回繰返し、中間再生砂を得た。前記中間再生砂100重量部に対して、添加剤としてシラスバルーン(ウインライトWB−9011、アクシーズケミカル社製、粒径53μm未満の粒体の割合:6.5重量%)4重量部を添加して混合し、得られた混合砂をUSR型乾式研磨再生機(新東工業社製)に投入速度25kg/分にて投入し、回転ドラムの回転数を500rpmに設定し、乾式研磨及び流動槽と集塵機によるダストの除去からなる処理を1回行い、実施例2の再生砂を得た。再生砂中のシラスバルーンの残存量は0.3重量%であった。
シラスバルーンを添加しなかったこと以外は、実施例2と同様に行い比較例5の再生砂を得た。
実施例1で用いたシラスバルーンをスーパーミキサー(太洋鋳機社製、型番MS−1A)により撹拌することで粉砕処理して、平均粒径126μm、粒径53μm未満の粒体の割合を15.0重量%とした添加剤を、実施例1で用いたシラスバルーンに代えて用いたこと以外は、実施例1と同様に行い実施例3の再生砂を得た。再生砂中のシラスバルーンの残存量は0.2重量%であった。
各実施例及び各比較例において研磨工程前の添加剤を回収砂又は中間再生砂と混合して得られた混合砂を、気温25℃、相対湿度55%の雰囲気下、振動フィーダを用いて投入速度25kg/分にて乾式研磨再生機に投入する際に、投入口近傍に設置した小型掃除機を用いて2分間集塵し、捕集された粉塵の量を測定した。
JACT試験法S−2に基づき回収砂(又は中間再生砂)及び再生砂の強熱減量(LOI)を測定した。また、以下の式によりLOI減少率を算出した。なお、LOIは砂中の有機物の量(残留樹脂量)を示す。即ち、LOI減少率が高いほど、粘結剤等の有機物の除去性に優れていると評価できる。
LOI減少率(%)=(1−再生砂のLOI(重量%)/回収砂(又は中間再生砂)のLOI(重量%))×100
得られた再生砂100重量部に対して、アルカリフェノール樹脂(カオーステップSL−6010、花王クエーカー社製)1.3重量部、及びアルカリフェノール樹脂用硬化剤(カオーステップDH−25、花王クエーカー社製)0.39重量部を添加して、鋳型を造型した。得られた鋳型について、25℃、55%RHの条件下にて24時間放置し、JACT試験法HM−1に基づいて圧縮強度を測定し、得られた値を鋳型強度とした。
Claims (5)
- 鋳造後に回収された鋳物砂を再生する再生鋳物砂の製造方法であって、
易破砕粒体の存在下に前記回収された鋳物砂を乾式研磨再生機により研磨する研磨工程を有し、
前記易破砕粒体が、前記研磨工程において破砕し易い粒体であり、
前記研磨工程前の前記易破砕粒体の平均粒径が100μm以上である、再生鋳物砂の製造方法。 - 前記研磨工程前の前記易破砕粒体の、下記一般式(1):
破砕性指数A=粉砕後の53μmメッシュの篩下重量(g)/50×100 (1)
で表される破砕性指数Aが50以上である、請求項1記載の再生鋳物砂の製造方法。 - 前記回収された鋳物砂に前記易破砕粒体を添加して、前記研磨工程を行う、請求項1又
は2記載の再生鋳物砂の製造方法。 - 前記研磨工程前の前記易破砕粒体の粒度分布において、粒径53μm未満の粒体の割合
が9.0重量%以下である、請求項1〜3の何れか1項記載の再生鋳物砂の製造方法。 - 前記回収された鋳物砂100重量部に対し前記易破砕粒体を1〜10重量部添加して、
前記研磨工程を行う、請求項3又は4記載の再生鋳物砂の製造方法。
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