JP6846318B2 - 回収鋳物砂の再生方法 - Google Patents

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Description

本発明は、回収鋳物砂の再生方法に係り、特に、粘結成分が水溶性無機化合物である粘結剤を用いて得られる鋳物砂にて造型された鋳型から回収される回収鋳物砂を、有利に再生する方法に関するものである。
従来から、粘結成分として、主にフェノール樹脂等の有機化合物を含有する粘結剤を、耐火性の骨材に混練せしめて得られる鋳物砂組成物を用いて、鋳型を造型し、そしてその得られた鋳型にて金属溶湯の鋳造を行った後、その使用後の鋳型を解砕(型ばらし)して得られる回収鋳物砂には、使用した粘結剤が固体状態において固着しているところから、かかる回収鋳物砂に対して再生処理を施して、再利用することが行われている。そして、そのような回収鋳物砂の再生方法には、古くより、湿式再生法、加熱式再生法、乾式再生法等、各種の方法が提案され、実施されて来ている。
ところで、それら従来からの再生方法において、骨材に混練される粘結剤の粘結成分が有機化合物であれば、鋳造時の熱履歴や焼成によって、回収鋳物砂の再生は比較的容易となるのに対して、特に、水ガラス等の水溶性無機化合物系を粘結成分とする粘結剤が用いられている場合には、有機化合物が粘結成分となる場合と同様には、回収鋳物砂の再生を行うことが出来ず、効果的な再生方法が確立されていないというのが現状である。
また、粘結成分が水ガラスである粘結剤を用いた鋳型からの回収鋳物砂の再生処理の方法として、従来では、特許文献1に明らかにされているように、回収された鋳物砂型を細かく砕いて、鋳物砂の粉砕物とする粉砕工程と、その得られた鋳物砂の粉砕物を5℃乃至70℃の水中において混合撹拌することにより、鋳物砂より、それに固着したバインダを分離する混合工程と、バインダが分離された鋳物砂を回収し、加熱乾燥する工程とからなる鋳物砂の再生処理方法が、知られている。
しかしながら、そのような再生処理方法により得られる再生砂は、その表面から粘結剤として用いた無機バインダが除去されているところから、再生鋳物砂として再度の使用が可能となるのであるが、鋳物砂表面に固着するバインダを水中で撹拌混合することによって分離することは、容易ではなく、またそのような水中で撹拌混合する混合工程や加熱乾燥する工程が入るために、多くの工程が必要とされており、そのため、エネルギの消費量が非常に大きく、また再生にも時間がかかるようになるため、再生コストが高騰するという問題や、大がかりな再生プラントが必要となる等の問題を内在するものであった。
さらに、他の再生処理方法として、特許文献2には、水ガラスを主体とするバインダにより被覆されている鋳物砂組成物からなる鋳型を解砕して、解砕片を得る工程と、その得られた解砕片に酸溶液を加えて、鋳物砂の研磨を行う研磨工程とを含む鋳物砂の再生方法が、明らかにされている。
しかしながら、かかる研磨工程を含む鋳物砂の再生方法にあっては、研磨装置に酸溶液を加えるという機構を設けた新たな装置を設置する必要があり、それは、水ガラスをバインダとする鋳物砂専用のものとなるために、汎用の装置として用いることが出来ないという問題があり、また酸溶液を使用するために、鉄が錆びる問題を生じるところから、その錆び防止のための措置を講じる必要もあった。更に、研磨処理した後のバインダを分離する際には、酸溶液で湿った鋳物砂を乾燥させる工程が必要となり、バインダを分離するのに手間がかかって、作業が困難となる等という問題も内在している。
特開2015−51446号公報 特開2016−147287号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、予め粘結剤中に粉状の磁性材料を含有させておき、そしてそのような粘結剤が固着せる鋳物砂を回収して、研磨した後、かかる粘結剤中に存在する磁性材料が磁石に引き寄せられる作用を利用した磁選を行うことによって、水溶性無機化合物を粘結成分とする粘結剤を用いた鋳物砂を含む回収鋳物砂を、効率よく再生することの出来る方法を提供することにある。
そして、本発明者が、水溶性無機化合物を粘結成分とする粘結剤が固着した回収鋳物砂の再生方法について鋭意検討を重ねた結果、予め粘結剤中に粉状の磁性材料を含有させておき、そして、そのような粘結剤が固着した鋳物砂として回収した後に、研磨処理と磁選処理を施すことによって、上述の如き課題が悉く解決され得ることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
従って、かかる知見に基づいて完成された本発明は、上記した課題の解決のために、又は明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組合せにおいても、採用可能であることは言うまでもないところである。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて認識され得るものであることが、理解されるべきである。
先ず、本発明は、水溶性無機化合物を粘結成分とする固形の粘結剤が固着した鋳物砂を含む回収鋳物砂の再生方法であって、前記鋳物砂に固着する粘結剤中に、予め粉状の磁性材料を含有せしめてなる状態において、該鋳物砂を回収した後、かかる回収された鋳物砂を研磨して、その表面に固着している前記粘結剤を削り取る研磨処理を実施し、次いで該鋳物砂から削り取られた固形の粘結剤を、該粘結剤中に含有せしめられている磁性材料が磁石に引き寄せられる作用を利用して、かかる鋳物砂から分離する磁選処理を実施することを特徴とする回収鋳物砂の再生方法を、その要旨とするものである。
なお、かくの如き本発明に従う回収鋳物砂の再生方法の望ましい態様の一つによれば、前記磁性材料は、0.01〜300μmの平均粒子径を有している。
また、本発明に従う回収鋳物砂の再生方法にあっては、好ましくは、前記磁性材料が、磁鉄鉱、磁赤鉄鉱及びフェライトからなる群より選ばれた1種又は2種以上の物質にて構成されるものである。
さらに、本発明に従う回収鋳物砂の再生方法に係る他の望ましい態様によれば、前記磁選処理が、500〜10000ガウスの範囲内の磁束密度を有する磁選機にて実施されることとなる。
そして、本発明にあっては、前記鋳物砂に対する焼成処理が、前記研磨処理に先立って、前記研磨処理と前記磁選処理との間において、及び/又は前記磁選処理の後に、実施されることが望ましい。
なお、本発明に従う回収鋳物砂の再生方法にあっては、前記水溶性無機化合物は、好ましくは、水ガラスである。
このような本発明に従う回収鋳物砂の再生方法によれば、以下に列挙せる如き各種の効果が奏され得ることとなる。
(a)研磨処理によって削り取られた固形粘結剤を、磁力を用いて、鋳物砂から容易に分 離することが出来る。
(b)通常の集塵操作等では除去しきれない、静電気等の作用にて付着している、削り取 られた固形の粘結剤を、容易に分離することが出来る。
(c)磁性材料の粒度を細かくすることにより、粘結剤中に均一に分散せしめられ得て、 削り取られた固形の粘結剤の全てに磁性材料を有利に存在せしめ得て、磁石に引き寄 せられる力を持たせることが出来る。
(d)研磨処理によって削り取られた固形の粘結剤中に、磁性材料を有利に存在せしめ得 て、後の磁選処理によって、粘結剤の微粉まで効率よく除去され得ることとなるため に、再生された鋳物砂を用いて再び鋳型を造型したとき、その強度の低下を有利に抑 制することが可能となる。
実施例において中子の崩壊性を測定するために用いた鋳造試験用砂型の縦断面説明図である。 実施例において廃中子を内包したアルミニウム合金鋳物の縦断面説明図である。
先ず、本発明に従う回収鋳物砂の再生法において対象とされる回収鋳物砂において、水溶性無機化合物を粘結成分として含有する粘結剤(以下、水溶性無機粘結剤と略称する)が、固形乃至は固体の状態で固着した鋳物砂は、所定の耐火性骨材に水溶性無機粘結剤が混練せしめられて、骨材表面が該水溶性無機粘結剤にて被覆されてなる形態において得られる鋳物砂組成物(コーテッドサンド)を用いて、鋳型を造型し、そしてその鋳型を用いて、鋳物を鋳造する工程から回収されるものであって、それら造型工程や鋳造工程から回収された鋳物砂には、その表面に、固形(固体)の水溶性無機粘結剤が固着してなる状態となっている。なお、そのような回収鋳物砂は、一般に、造型された鋳型を解砕(型ばらし)して得られる使用済の鋳物砂であって、具体的には、金属溶湯を注湯して鋳物を鋳造した使用済の鋳型から得られたものであるが、その他、鋳造に供されることなく、造型された鋳型の段階で型ばらししたものや、未使用のまま、鋳物砂組成物の状態で固化乃至は硬化したものをも、その対象とすることが出来る。
ところで、かかる本発明において対象とされる回収鋳物砂を構成する耐火性骨材(鋳物砂)としては、鋳型の基材として機能する耐火性物質であって、従来から鋳型用として利用されている各種の耐火性粒状材料が、何れも、用いられ得、具体的には、ケイ砂や再生ケイ砂等の一般砂を始め、アルミナサンド、オリビンサンド、ジルコンサンド、クロマイトサンド等の特殊砂や、フェロクロム系スラグ、フェロニッケル系スラグ、転炉スラグ等のスラグ系粒子;アルミナ系粒子、ムライト系粒子等の人工粒子及びこれらの再生粒子;アルミナボール、マグネシアクリンカー等を挙げることが出来る。なお、これらの耐火性骨材は、新砂であっても、或いは、鋳物砂として鋳型の造型に一回或いは複数回使用された再生砂又は回収砂であっても、更には、そのような再生砂や回収砂に新砂を加えて、混合せしめてなる混合砂であっても、何等差支えない。そして、そのような耐火性骨材は、一般に、AFS指数で40〜130程度の粒度のものとして、好ましくは、60〜110程度の粒度のものとして、用いられることとなる。
また、そのよう耐火性骨材に混練せしめられて、回収される鋳物砂表面に固形の形態において固着することとなる水溶性無機粘結剤は、粘結成分として、従来から公知の水溶性無機化合物を主成分として含むものであって、水性溶液の形態において用いられて、耐火性骨材に混練せしめられて、鋳物砂組成物(コーテッドサンド)とされるのである。ここで、粘結成分としての水溶性無機化合物としては、水ガラス、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、バナジン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酸化アルミニウムナトリウム、塩化カリウム、炭酸カリウム等の、公知のものを挙げることが出来、これらの1種或いは2種以上が組み合わされて用いられることとなるが、その中でも、物性強度や取り扱いの容易さ等の点から、水ガラスが好ましく用いられることとなる。なお、かかる水ガラスは、可溶性のケイ酸化合物であって、そのようなケイ酸化合物としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸アンモニウム等を挙げることが出来、中でも、本発明にあっては、ケイ酸ナトリウム(ケイ酸ソーダ)が、特に有利に用いられることとなる。そして、水溶性無機粘結剤は、かかる水溶性無機化合物(有利には水ガラス)が粘結成分の主成分(一般に、60質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上)として用いられておれば、他に、熱硬化性樹脂、糖類、タンパク質、合成高分子等の水溶性の粘結成分を配合せしめることも可能である。
ここで、上記の如きケイ酸ナトリウムは、通常、SiO2 /Na2O のモル比により、1号〜5号の種類に分類されて用いられており、具体的には、ケイ酸ナトリウム1号は、SiO2 /Na2O のモル比が2.0〜2.3であるものであり、またケイ酸ナトリウム2号は、SiO2 /Na2O のモル比が2.4〜2.6であるものであり、更にケイ酸ナトリウム3号は、SiO2 /Na2O のモル比が2.8〜3.3であるものである。加えて、ケイ酸ナトリウム4号は、SiO2 /Na2O のモル比が3.3〜3.5であるものであり、またケイ酸ナトリウム5号は、SiO2 /Na2O のモル比が3.6〜3.8であるものである。これらの中で、ケイ酸ナトリウム1号〜3号は、JIS−K−1408にても規定されている。そして、これらのケイ酸ナトリウムは、単独での使用の他、混合して用いられてもよく、また混合したり、水酸化ナトリウム等の添加剤を添加したりすることで、SiO2 /Na2O のモル比を調整することも可能である。そして、粘結成分として用いられる、水ガラスを構成するケイ酸ナトリウムは、SiO2 /Na2O のモル比が、一般に1.9以上、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.1以上であり、その上限は、水溶液の形態にある水ガラスの特性に応じて適宜に選定され、一般に3.5以下、好ましくは3.2以下、より好ましくは2.7以下とされることとなる。
なお、粘結成分として用いられる上述の如き水溶性無機化合物は、通常の取り扱い形態として、固体(固形)のものと液体のものとがあるが、固体のものは、水溶液の状態にして用いられ、また液体のものは、そのまま、或いは希釈して、水溶液の形態において用いられることとなる。そして、そのような水溶性無機化合物の水溶液を主体として構成される粘結剤の粘度は、25℃において、5〜2000cP程度、好ましくは7〜1200cP程度、より好ましくは7〜800cP程度に調整されることとなる。また、耐火性骨材との混和時において、固体状又は液体状の水溶性無機化合物と水とを別個に添加せしめることも可能である。
また、かくの如き水溶性無機粘結剤は、耐火性骨材との混練により、鋳型造型用の鋳物砂組成物(コーテッドサンド)を調製するに際して、耐火性骨材の100質量部に対して、固形分換算にて、0.1〜4.0質量部の割合において用いられることが望ましく、中でも、崩壊性を良くするために水溶性無機粘結剤の添加量は少なく抑える方が良く、そのために0.2〜2.5質量部、好ましくは0.3〜2.0質量部の割合が特に有利に採用されて、耐火性骨材の表面に所定の被覆層が形成されることとなる。ここで、固形分の測定は、以下のようにして実施される。即ち、アルミ箔製皿(縦:9cm、横:9cm、高さ:1.5cm)内に、試料10gを秤量して収容し、180±1℃に保持した加熱板上に置き、20分間放置した後、かかる試料皿を反転させて、更に20分間、上記加熱板上に放置する。次いで、かかる試料皿を加熱板上から取り出して、デシケータ中で放冷した後、秤量を行って、次式により、固形分(質量%)が算出される。
固形分(質量%)=[乾燥後の質量(g)/乾燥前の質量(g)]×100
なお、この水溶性無機粘結剤の耐火性骨材に対する使用量が少なくなり過ぎると、耐火性骨材の表面に、水溶性無機粘結剤の被覆層が形成され難くなって、鋳物砂組成物の固化乃至は硬化が充分に行われ難くなる問題を生じる。また、水溶性無機粘結剤の使用量が多くなり過ぎても、耐火性骨材の表面に余分に水溶性無機粘結剤が固着して、均一な被覆層が形成され難くなると共に、鋳物砂組成物が相互に固着して団塊化(複合粒子化)する恐れもあり、そのために、造型される鋳型の物性に悪影響をもたらし、また金属を鋳込んだ後の中子の砂落としを難しくする等の問題も惹起するようになる。
そして、本発明にあっては、その目的とする回収鋳物砂の再生を有効に実現せしめるべく、上記した鋳物砂組成物の調製によって、骨材表面に形成される被覆層を構成する水溶性無機粘結剤中に、粉状の磁性材料を含有せしめて、後の鋳型造型工程や鋳物の鋳造工程において回収される鋳物砂において、その表面に固着する固形の粘結剤中に磁性材料が満遍なく存在せしめられるようにされるのである。そのような粉状の磁性材料が、粘結剤中に存在することにより、回収鋳物砂を研磨したときに、鋳物砂(耐火性骨材)から削り取られた固形の粉状粘結剤を、磁力で分離することが可能となり、これによって、磁選処理により鋳物砂(耐火性骨材)と微粉状態の固形の粘結剤とを容易に分離させることが出来るのである。なお、かかる磁性材料は、予め水溶性無機粘結剤に添加、含有せしめられてなる状態において、耐火性骨材に混練せしめられる他、耐火性骨材との混練時に、水溶性無機粘結剤とは別個に添加されて、耐火性骨材との混練を行うことも可能であり、更に混練時に水溶性無機粘結剤と磁性材料とを時間差をもって添加して、耐火性骨材と混練せしめるようにすることも可能である。
このように、粘結剤中に含有せしめられる磁性材料は、粉状として、水溶性無機粘結剤中に微細に分散させられ得るものであれば、特に限定されるものではないが、その平均粒子径が、一般に0.01〜300μm程度、好ましくは0.05〜100μm程度、より好ましくは0.1〜50μm程度、更に好ましくは0.1〜10μm程度であることが望ましい。また、そのような磁性材料の含有量は、鋳物砂における水溶性無機粘結剤の固形分の100質量部に対して、一般に、1〜500質量部であることが望ましく、中でも10〜300質量部が好ましく、特に20〜200質量部であることが好ましい。この磁性材料の粒度を細かくすることにより、粘結剤中に磁性材料が均一に分散され、削り取られた固形の粘結剤の全てに磁性材料が存在せしめられ得て、磁石に引き寄せられる作用を保持させることが可能となるのである。このため、固形の粘結剤の全てに含まれる磁性材料が、磁選処理において磁力で引きつけられて、鋳物砂(骨材)から分離されることとなるのであり、これによって、磁選処理の工程を経て得られた鋳物砂には、固形の粘結剤が可及的に取り除かれているところから、そのような再生処理が施されてなる鋳物砂を用いて得られる鋳型の強度の低下も、有利に抑えることが出来ることとなるのである。
ここで、上記で用いられる磁性材料としては、磁石に引き寄せられる力を有している材料であればよく、鉄、コバルト、ニッケル、ガドリニウム及びこれらの合金、酸化鉄、オキシ水酸化鉄、水酸化鉄、クロム酸化鉄、コバルト酸化鉄、酸化鉄の一部が他の金属に置換された混晶フェライト、酸化クロム、砂鉄、磁石等を挙げることが出来る。更に、これら磁性材料を含む化合物、鉱物及びその造粒物でもよい。また、磁性材料は、その入手や取り扱いの容易さ等の観点から酸化鉄であることが好ましく、中でも四三酸化鉄(磁鉄鉱)、磁赤鉄鉱、フェライト及びそれらの混合物が、特に好ましく用いられることとなる。
また、そのような磁性材料は、球状であることが好ましく、その真球度としては、アスペクト比(短径/長径)において、0.7以上、好ましくは0.8以上、更に好ましくは0.9以上である球状物が、有利に用いられることとなる。磁性材料が球状であると、ほぐれ易く、凝集し難いため、粘結剤に分散し易く、混練砂(鋳物砂組成物)の流動性も向上させることが出来るからである。なお、かかる真球度は、走査型電子顕微鏡観察において、単粒子のものを無作為に10個選択し、その投影形状から得られたアスペクト比(短径/長径の比)の平均値を意味するものである。
なお、上記した水溶性無機粘結剤と耐火性骨材とを混練せしめて、鋳物砂組成物を調製するに際して、必要に応じて、公知の添加剤を適宜に添加、含有せしめることが可能である。例えば、そのような添加剤を、得られる鋳物砂(骨材)の被覆層に含有せしめるには、水溶性無機粘結剤に、所定の添加剤を予め配合した後、耐火性骨材と混練又は混合せしめる方法や、水溶性無機粘結剤とは別個に、所定の添加剤を、耐火性骨材に対して添加して、全体を均一に混練乃至は混合せしめる方法等が採用される。
ここで、そのような添加剤としては、鋳物砂組成物の耐湿性を向上せしめる固形酸化物や塩、耐火性骨材と水溶性無機粘結剤との結合を強化するカップリング剤、鋳物砂組成物の流動性の向上に寄与する滑剤、濡れ性を向上させる界面活性剤、離型剤等が用いられることとなる。
ところで、上記した水溶性無機粘結剤と耐火性骨材とを混練して得られる鋳物砂組成物(コーテッドサンド)は、常温流動性を有する乾態のものとして用いられる他、常温流動性を有しない湿態のものとして用いることも可能であり、何れの鋳物砂組成物を用いて造型された鋳型から得られる回収鋳物砂においても、本発明に従う再生方法を適用することが可能である。なお、かかる鋳物砂組成物は、それが含有する水分量に従って、乾態と湿態とに分類されるものであって、例えば、水ガラスを粘結成分として用いた水溶性無機粘結剤の場合にあっては、かかる水ガラスの固形分量に対して5〜55質量%の含水量の粉末状鋳物砂が、乾態のものとされる一方、それよりも含水量が多い鋳物砂が、湿態のものとされているのである。
そして、そのような乾態又は湿態の鋳物砂組成物を用いて、目的とする鋳型を造型する方法としては、特に限定されるものではなく、成形型を用いた通常の鋳型の成形方法や公知の各種の手法を採用することが可能である。例えば、湿態の鋳物砂組成物を用いる場合においては、成形型を100〜200℃の温度に加熱して、鋳物砂組成物を充填せしめ、そしてその充填された鋳物砂組成物が成形型内で乾燥されるまで、保持する造型手法が採用され、また乾態の鋳物砂組成物を用いる場合においては、そのような鋳物砂組成物の充填前に、水を加えて湿態の状態にして、湿態の鋳物砂組成物と同様に鋳型を成形する造型方法や、成形型の成形キャビティ内に充填した後に、水蒸気を吹き込み、鋳物砂組成物の充填層内を通過せしめることにより、かかる水蒸気の通気にて、鋳物砂組成物を湿らせた後、成形型内で加熱されて、乾燥するまで保持されるようにした造型方法等があり、それら成形型内での加熱保持により、充填された鋳物砂組成物の固化乃至は硬化を行って、目的とする鋳型が形成されることとなる。
次いで、かくの如く作製された鋳型を用いて所定の金属溶湯の鋳造を行い、目的とする金属部品(鋳物)が製造されることとなるが、その鋳造の方法としては、特に限定されるものではなく、公知の各種の鋳造手法が採用可能である。そして、かかる鋳造が終了した後、その使用済みの鋳型を、粉砕機等を用いた公知の手法に従って、粉砕乃至は解砕せしめて、小片に、好ましくは数mm程度以下の大きさ迄、より好ましくは鋳物砂の一粒一粒に近い位の大きさ迄の粒子において、回収されることとなる。
本発明においては、上述の如く鋳造後の使用済みの鋳型から回収される鋳物砂が、主として、その対象とされるものであるが、また、前述せるように、鋳型の造型工程において排出される、鋳物砂組成物の形態にある、回収された鋳物砂や、鋳造に供されなかった未使用の鋳型から回収される鋳物砂をも、その対象とし得るものであって、それら回収鋳物砂は、何れも、それに固着する粘結剤中に粉状の磁性材料が含有されているものである。そして、そのような磁性材料を固着粘結剤中に含有する鋳物砂は、本発明の適用される回収鋳物砂の全体を構成するものであることが一般的であるが、その一部を構成するものであっても、何等差支えなく、その場合において、回収鋳物砂の5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上の割合で存在せしめられることとなる。この回収鋳物砂中における磁性材料含有鋳物砂の割合が高くなれば高くなる程、本発明の特徴がより有利に発揮され得ることとなることは言うまでもないところである。なお、そのような磁性材料含有鋳物砂と共に用いられる他の鋳物砂としては、磁性材料の有無に関わらず、また粘結成分の種類の如何に関わらず、鋳型造型工程や鋳造工程から回収される鋳物砂の何れもが、その対象とされるものである。
そして、本発明に従う回収鋳物砂の再生方法においては、上述の如くして回収されてなる回収鋳物砂の再生のために、先ず、かかる回収鋳物砂の表面に固着している固形の粘結剤を削り取る研磨処理が実施され、次いで、その削り取られた固形の粉状粘結剤を、磁力によって、固形粘結剤中に含有される磁性材料が磁石に引き寄せられる力(作用)を利用して、鋳物砂(骨材)から分離する磁選処理が実施されることとなるのである。
そこにおいて、研磨処理は、回収された鋳物砂を研磨して、砂表面に残存する固着物である固形の粘結剤を削り取り、鋳物砂(骨材)から分離するものである。具体的には、従来から公知の研磨装置に回収鋳物砂が投入されて、鋳物砂表面を被覆し、或いは固着している水ガラス等の水溶性無機化合物を粘結成分とする固形の粘結剤が削り落とされることとなるのであるが、その際、投入鋳物砂が団塊状態にある場合にあっては、研磨装置の回転するロータ等によって一粒一粒の砂に解砕された後、更にその表面の研磨が行われることとなる。なお、この研磨処理における研磨方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ロータリーリクレーマ、サンドフレッシャ、サンドシャイナ等を用いた研磨方式が、適宜に採用されることとなる。また、かかる研磨処理の工程における研磨時間の如き研磨条件は、回収された鋳物砂における砂表面への固着物の固着状態により、適宜に選定されるものである。
また、かかる研磨処理の工程から取り出された鋳物砂には、研磨処理にて削り取られた固形の粘結剤の粉末が混在しており、そして、そのような粘結剤の粉末乃至はその粉塵は、研磨装置に通常設けられている集塵装置等によっては、充分に又は確実に除去され得ず、鋳物砂の表面に物理的に付着したものとなっているところから、本発明にあっては、そのような研磨処理の工程から取り出された処理物に対して、更に、適当な磁選機を用いた磁選処理が施されて、固形の粘結剤粉末中に分散、含有せしめられている磁性材料が磁石に引き寄せられる作用(力)を利用することによって、そのような粘結剤の粉末乃至は粉塵が、鋳物砂から分離せしめられるのである。即ち、鋳物砂と固形の粘結剤粉末とが混在する研磨処理物が磁選処理されて、分離された粘結剤の固着されていない鋳物砂は、磁選機の下方に設けられた鋳物砂回収部へ回収される一方、磁選機で分離された磁選材料を含有する固形の粘結剤粉末は、磁選機の下方に設けられた磁性材料回収部において回収されるようになっているのである。
なお、上記の磁選処理において用いられる磁選機としては、半磁外輪方式、吊り下げ方式、マグネットプーリ方式等の各種の方式のものが知られているが、磁力によって回収鋳物砂の研磨処理物中から、磁性材料を含有する固形の粘結剤粉末を分離することが出来るものであれば、その構造や形式は特に限定されることはなく、公知のものが適宜に採用されることとなる。また、そのような磁選機における磁力は、鋳物砂と磁性材料を含有する固形の粘結剤粉末との良好な分離のために、磁束密度が500〜10000ガウス、好ましくは1000〜8000ガウス、更に好ましくは1500〜6000ガウスの範囲内のものであることが望ましい。この磁束密度が500ガウスよりも低くなると、磁選処理による粘結剤粉末の分離が有利に行い得ず、また10000ガウスよりも高い磁束密度になると、磁性材料を含有する固形の粘結剤粉末が磁選機に強く引き付けられて磁着し、その回収が困難となる等の問題が惹起されるようになる。
このように、本発明に従って、回収鋳物砂に固着する固形の粘結剤中に、予め磁性材料が存在せしめられているようにして、研磨処理と磁選処理を実施することにより、研磨によって削り取られた固形の粘結剤(粉末)を、磁力を用いて鋳物砂から容易に分離することが出来るのであり、しかも通常の集塵等で除去し切れない、静電気等で付着している、削り取られた固形の粘結剤粉末を、鋳物砂から容易に分離することが出来ることとなり、以て、再生鋳物砂として品質の良好な鋳物砂を、有利に提供することが出来ることとなったのである。更に、そのようにして再生された鋳物砂は、削り取られた固形の粘結剤粉末が充分に且つ確実に除去せしめられてなるものであるところから、再び鋳型の造型に用いられた場合においては、その得られた鋳型の強度低下が効果的に抑制され得て、優れた強度を有する鋳型が提供され得るのである。
ところで、本発明にあっては、その再生の対象とされる回収鋳物砂に対して、それを焼成する焼成処理を施すことも、有利に採用され得るところである。この焼成処理は、本発明に従う研磨処理よりも前に実施され得る他、そのような研磨処理と磁選処理との間において、更には磁選処理の後において、行うことも可能であり、更にはそれら研磨・磁選処理の前、間及び後の二つ以上において、行うことも可能である。なお、そのような回収鋳物砂の焼成処理には、例えば、ロータリーキルンやトンネルキルン等の焙焼炉を用いて、その焙焼炉内に、回収鋳物砂を随時投入しつつ、焼成を行う手法が、採用される。
なお、かかる焼成処理が、本発明に従う研磨処理や磁選処理に先立って実施されることにより、鋳物砂の付着物、ゴミ及び不純物を燃焼させて取り除くことが可能となる。このような焼成処理における焙焼炉内の焼成温度としては、一般に200〜700℃程度、好ましくは300〜700℃程度、より好ましくは350〜650℃程度、更に好ましくは400〜600℃程度が採用されることとなる。この焼成温度が200℃よりも低くなると、鋳物砂の付着物、ゴミ及び不純物が充分に燃焼しない恐れがあり、また焼成温度が700℃を超えようになると、酸化等によって磁性材料の磁石へ引き寄せられる力が低下すると共に、粘結剤が焼結して、鋳物砂から剥がれ難くなる等の問題を惹起する。
また、かかる焼成処理を、本発明に従う磁選処理よりも後で実施する場合にあっては、回収鋳物砂に仮に粘結剤が固着していたとしても、焼成による加熱によって、粘結剤である水溶性無機化合物を失活化させることが出来ることとなる。このような焼成処理における焙焼炉内の焼成温度としては、一般に200〜1000℃程度、好ましくは300〜900℃程度、より好ましくは350〜850℃程度、更に好ましくは400℃〜800℃程度であることが望ましい。この焼成温度が200℃よりも低くなると、鋳物砂の固着している粘結剤が充分に失活化しない恐れがある。また、焼成温度が1000℃を超えるようになると、焙焼炉に負荷がかかる上に、加熱コストが増大する恐れがある等の問題を惹起する。
さらに、本発明に従う回収鋳物砂の再生方法にあっては、その研磨処理又は磁選処理の工程から取り出された鋳物砂処理物に対して、更に、分級処理を施すことも有効である。この分級処理は、本発明に従う研磨処理又は磁選処理の後に焼成処理が実施された場合にあっては、そのような焼成処理の後に実施されることとなる。なお、かかる分級処理は、空気流により鋳物砂処理物を流動させて、集塵装置によって、そのような鋳物砂処理物に含まれる微粉体を取り除く集塵工程と、ふるいにより鋳物砂処理物に含まれる異物を取り除くふるい工程とを有している。具体的には、集塵工程では、空気流により鋳物砂処理物を流動させて、かかる鋳物砂処理物に含まれている、それまでの工程では取り除けなかった削りかす、塵及び微粉等の微粉体を、駆動状態の集塵装置で除去するものであり、これによって、研磨後又は磁選後の鋳物砂処理物から微小な残留物が効果的に取り除かれることとなる。また、ふるい工程では、ふるいを用いて鋳物砂処理物の粒子径を分級することで、そのような鋳物砂処理物に含まれる、これまでの工程では取り除けなかった異物を取り除くことが行われる。これによって、磁選後の鋳物砂から大きな残留物が取り除かれると共に、適切な粒子径の砂が選択的に取り出されるのである。
なお、ここで採用される分級処理は、上述の如き集塵工程及びふるい工程を有するものに限定されるものではなく、例えば、集塵工程及びふるい工程の何れか一方を有するものであっても何等差支えなく、また、ふるい工程を実行した後に集塵工程を実行するものであっても何等差支えない。更に、分級工程は、鋳物砂を所定の大きさで分級することが出来る手法であれば、他の如何なる公知の手法をも採用可能である。
そして、上述の如くして、本発明に従う回収鋳物砂の再生方法によって再生された鋳物砂は、再び鋳型の造型工程に提供され、特性の優れた鋳型を与え得る鋳物砂として、有利に用いられることとなるのである。
なお、本発明に従う回収鋳物砂の再生方法は、上記例示の実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものでは決してなく、本発明が、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、またそのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることが、理解されるべきである。
例えば、研磨処理や磁選処理の各工程においては、その処理の最中に、空気中に微粉が舞うようになるところから、上記した集塵工程とは別に、それぞれの工程中において微粉を取り除くように雰囲気の吸引を行う操作も、適宜に採用されることとなる。
以下に、幾つかの試験例を用いて、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような試験例の記載によって、何等限定的に解釈されるものでないことが理解されるべきである。なお、以下の試験例において、「%」及び「部」は、特に断りのない限りにおいて、何れも、質量基準にて示されている。また、以下の試験例で得られたコーテッドサンド(CS)の平均粒子径、強度発現率の評価は、それぞれ、以下のようにして行った。
(1)平均粒子径
日機装株式会社製のマイクロトラック粒度分布測定装置(製品名:MT3200II)を用いて、粒度分布から、積算値50%の粒子径を平均粒子径(D50)として測定した。なお、実施例及び比較例で用いた球状粒子及び非球状粒子について、上記の測定装置を用いて、その平均粒子径を測定したところ、各メーカーの公表値との間の誤差が10%以内であったため、以下においては、球状粒子及び非球状粒子の平均粒子径は、メーカーの公表値を示すこととする。
(2)強度発現率
以下の試験例で得られたCS及びその再生砂を用いて得られたCSを用いて、それらのCSを、それぞれ、150℃に加熱した成形型内に、0.3MPaのゲージ圧力にて吹き込んで充填した後、90秒間保持することにより、強度試験片(幅1.0cm×高さ1.0cm×長さ6.0cm)を作製した。次いで、それら得られた試験片について、それぞれ、その破壊荷重を、測定器(高千穂精機株式会社製:デジタル鋳物砂強度試験機)を用いて、測定し、各々測定された破壊荷重を用いて、抗折強度を、下記の式(1)により、算出した。そして、再生前のCSについて測定された抗折強度を用いて、再生後のCSの強度発現率を、下記の式(2)により、算出した。
抗折強度(N/cm2 )=1.5×(L×W)/(a×b2 ) ・・・(1)
[L:支点間距離(cm)、W:破壊荷重(N)、a:試験片の幅(cm)、b:試験片の厚み(cm)]
強度発現率(%)=[CSの抗折強度(N/cm2 )/再生砂CSの抗折強度(N/cm2 )]×100 ・・・(2)
−CS及び再生砂CSの製造例1−
耐火性骨材として、市販の鋳造用人工砂であるルナモス#60(商品名:花王クエーカー株式会社製)を準備すると共に、水溶性無機粘結剤における粘結成分である水ガラスとして、市販品:2号ケイ酸ナトリウム(商品名:富士化学株式会社製、SiO2 /Na2O のモル比:2.5、固形成分:41.3%)を準備した。そして、上記のルナモス#60を、常温のまま、品川式万能撹拌機(5DM−r型)(株式会社ダルトン製)に投入し、更に、前記水ガラスを、ルナモス#60の100部に対して1.0部(固形成分:0.41部)の割合で添加すると共に、粉状の磁鉄鉱(球状、平均粒子径0.25μm)を、ルナモス#60の100部に対して0.25部の割合で、予め水ガラスに混合した状態で添加して、3分間の混練を行ない、均一になるまで撹拌混合せしめた後に、取り出すことにより、湿態の鋳物砂組成物(コーテッドサンド)CS1を得た。
次いで、図1に示されるように、予め常温自硬性砂で作製された、上部に注湯注入口2と下部に中子の幅木固定部4を有する半割れ中空主型6(キャビティ:直径6cm×高さ6cm)の内部に、上記CS1を用いて作製した、幅木部8を有する円形無空中子10(直径5cm×高さ5cm)を、幅木固定部4で接着固定した後、更に半割れ中空主型6を相互に接着固定して、鋳造試験用砂型12を作製した。なお、鋳造時の湯漏れを防ぐために、接着した主型を、万力等でクランプするか、針金を巻いてしっかりと固定する。そして、この鋳造試験用砂型12の注湯注入口2から、アルミニウム合金溶湯(温度710±5℃)を注湯し、凝固せしめた後、主型6を壊して、図2に示す円筒の鋳物16を取り出し、室温になったところで、エアハンマーを用いて中子を分解して中子砂を回収し、そして鋳型片のサイズが3mm以下になるまで、中子砂を解砕して、回収鋳物砂を得た。
そして、かかる解砕された中子砂の500部を、研磨機としてのボールミルに入れて、30分間、研磨処理を行い、次に、磁選処理として、5000ガウスの磁石を用いて、上記の研磨処理後の砂から、磁石に引き寄せられる固形粘結剤を取り除いた。その後、集塵工程として、280メッシュの篩を用いて微粉分を除去することにより、回収砂(再生砂)を得た。更に、その得られた再生砂を用いて、前記したCS1と同様な製造方法に従って、再生砂組成物(コーテッドサンド)としての再生砂CS1を作製した。
−CS及び再生砂CSの製造例2−
粉状の磁鉄鉱の添加量を0.5部としたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、CS2及び再生砂CS2を、それぞれ得た。
−CS及び再生砂CSの製造例3−
粉状の磁鉄鉱の添加量を1.0部としたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、CS3及び再生砂CS3を、それぞれ得た。
−CS及び再生砂CSの製造例4−
磁鉄鉱(球状粉体、平均粒子径:3.0μm)としたこと以外は、上記製造例2と同様の手順に従って、CS4及び再生砂CS4を、それぞれ得た。
−CS及び再生砂CSの製造例5−
磁鉄鉱(八面体状粉体、平均粒子径:0.3μm)としたこと以外は、上記製造例2と同様の手順に従って、CS5及び再生砂CS5を、それぞれ得た。
−CS及び再生砂CSの製造例6−
フェライト(針状粉体、平均サイズ:φ0.2×1.0μm)としたこと以外は、上記製造例2と同様の手順に従って、CS6及び再生砂CS6を、それぞれ得た。
−CS及び再生砂CSの製造例7−
磁鉄鉱(球状粉体、平均粒径:106.5μm)としたこと以外は、上記製造例2と同様の手順に従って、CS7及び再生砂CS7を、それぞれ得た。
−CS及び再生砂CSの製造例8−
磁鉄鉱(球状粉体、平均粒径:160.2μm)としたこと以外は、上記製造例2と同様の手順に従って、CS8及び再生砂CS8を、それぞれ得た。
−CS及び再生砂CSの製造例9−
砂鉄(不定形粉体、平均粒径:143.2μm)としたこと以外は、上記製造例2と同様の手順に従って、CS9及び再生砂CS9を、それぞれ得た。
−CS及び再生砂CSの製造例10−
粘結成分としての水ガラスを、塩化ナトリウム水溶液(固形分60%)に代えたこと以外は、上記製造例2と同様の手順に従って、CS10及び再生砂CS10を、それぞれ得た。
−CS及び再生砂CSの製造例11−
研磨処理の後の砂を、焼成工程として、るつぼに入れて、500℃で1時間加熱したこと以外は、上記製造例2と同様の手順に従って、CS11及び再生砂CS11を、それぞれ得た。
−CS及び再生砂CSの製造例12−
磁鉄鉱を添加しないこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、CS12及び再生砂CS12を、それぞれ得た。
−CS及び再生砂CSの製造例13−
磁鉄鉱を添加しないこと以外は、上記製造例11と同様の手順に従って、CS13及び再生砂CS13を、それぞれ得た。
−CS及び再生砂CSの製造例14−
磁鉄鉱を添加しないこと以外は、上記製造例10と同様の手順に従って、CS14及び再生砂CS14を、それぞれ得た。
そして、上記製造例1〜14において得られたCS1〜14及び再生砂CS1〜14を用いて、それぞれ、強度試験を行って、先の式(2)に基づいて強度発現率を求めた。その得られた結果を、下記表1及び表2に示す。
Figure 0006846318
Figure 0006846318
さらに、上記の製造例1〜14において再生砂を得るために採用した磁選処理を、市販の磁選機を用いて実施することとして、下記の試験を行った。
−CS及び再生砂CSの製造例15−
耐火性骨材として、市販の鋳造用人工砂であるルナモス#60(商品名:花王クエーカー株式会社製)を準備すると共に、水溶性無機粘結剤における粘結成分である水ガラスとして、市販品:2号ケイ酸ナトリウム(商品名:富士化学株式会社製、SiO2 /Na2O のモル比:2.5、固形成分:41.3%)を準備した。そして、上記のルナモス#60と前記水ガラスとを、ルナモス#60の100部に対して水ガラス1.0部(固形成分:0.41部)の割合において配合し、更に、粉状の磁鉄鉱(球状、平均粒子径0.25μm)を、ルナモス#60の100部に対して0.5部の割合において、予め水ガラスに磁鉄鉱を混合した状態で添加して、混練せしめて、湿態の鋳物砂組成物(コーテッドサンド)CS15を作製した。
次いで、かかるCS15を用いて鋳型を作製し、サンドメタル比が2の鋳物を鋳造した。そして、その製造工程から回収された鋳型をクラッシャーにて解砕して、その得られた解砕砂に対して、研磨処理を施した。具体的には、研磨機として、日本鋳造(株)製ハイブリッドサンドマスター(回転数2600rpm、処理時間30分、処理量80kg)を用いて、機械研磨を実施し、鋳物砂表面に固着している水ガラスを削って、研磨砂を得た。次に、磁選処理のために、かかる研磨砂を、5000ガウスの電磁石を備えた対局型磁選機に搬送して、磁選処理を実施し、該研磨後の砂から、磁石に引き寄せられる固形の粘結剤を除去することにより、再生砂を作製した。そして、その得られた再生砂を、上記CS15と同様な製造方法に従って、再生砂組成物(コーテッドサンド)としての再生砂CS15を得た。
−CS及び再生砂CSの製造例16−
磁選処理の後に、焼成工程として、ロータリーキルンを用いて500℃で60分焼成を行ったこと以外は、上記製造例15と同様の手順に従って、CS16及び再生砂CS16を、それぞれ得た。
−CS及び再生砂CSの製造例17−
磁鉄鉱を添加しないこと以外は、上記製造例15と同様の手順に従って、CS17及び再生砂CS17を、それぞれ得た。
−CS及び再生砂CSの製造例18−
磁鉄鉱を添加しないこと以外は、上記製造例16と同様の手順に従って、CS18及び再生砂CS18を、それぞれ得た。
そして、上記の製造例15〜18において得られたCS15〜18及び再生砂CS15〜18を用いて、それぞれ、強度試験を行って、先の式(2)に基づいて強度発現率を求めた。その得られた結果を、下記表3に示す。
Figure 0006846318
かかる表1〜3における結果の対比から明らかな如く、本発明に従って、鋳物砂に固着する水溶性無機粘結剤中に、予め粉状の磁性材料を含有せしめてなる製造例1〜11,15,16のCS1〜11,15,16から得られた回収鋳物砂(再生砂)にあっては、何れも、再生後のCSにおける強度発現率が高くなることが認められた。また、粘結剤中に含有される磁性材料の平均粒子径が100μmよりも小さい粒子径を用い作製されたCSにおいては、再生後のCSの強度発現率が、更に高くなることが確認された。
これに対して、鋳物砂に固着する水溶性無機粘結剤中に、磁性材料が含有されていない製造例12〜14,17,18のCS12〜14,17,18から得られた回収鋳物砂(再生砂)にあっては、その再生後のCSにおける強度発現率が低く、回収鋳物砂を効率よく再生することが困難な結果となることが確認された。
2 溶湯注入口 4 幅木固定部
6 主型 8 幅木部
10 中子 12 砂型
14 廃中子排出口 16 鋳物

Claims (6)

  1. 水溶性無機化合物を粘結成分とする固形の粘結剤が固着した鋳物砂を含む回収鋳物砂の再生方法であって、
    前記鋳物砂に固着する粘結剤中に、予め粉状の磁性材料を含有せしめてなる状態において、該鋳物砂を回収した後、かかる回収された鋳物砂を研磨して、その表面に固着している前記粘結剤を削り取る研磨処理を実施し、次いで該鋳物砂から削り取られた固形の粘結剤を、該粘結剤中に含有せしめられている磁性材料が磁石に引き寄せられる作用を利用して、かかる鋳物砂から分離する磁選処理を実施することを特徴とする回収鋳物砂の再生方法。
  2. 前記磁性材料が、0.01〜300μmの平均粒子径を有していることを特徴とする請求項1に記載の回収鋳物砂の再生方法。
  3. 前記磁性材料が、磁鉄鉱、磁赤鉄鉱及びフェライトからなる群より選ばれた1種又は2種以上の物質であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回収鋳物砂の再生方法。
  4. 前記磁選処理が、500〜10000ガウスの範囲内の磁束密度を有する磁選機にて実施されることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の回収鋳物砂の再生方法。
  5. 前記鋳物砂に対する焼成処理が、前記研磨処理に先立って、前記研磨処理と前記磁選処理との間において、及び/又は前記磁選処理の後に、実施されることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の回収鋳物砂の再生方法。
  6. 前記水溶性無機化合物が、水ガラスであることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の回収鋳物砂の再生方法。
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