JP5075902B2 - 鋳型砂とその製造方法 - Google Patents

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本発明は溶融球状物からなる鋳型砂に関し、さらに詳しくは、耐熱性が高く低膨張性や低破砕性に優れ、注湯温度が高い大形鋳鋼品の鋳造にも適用できるうえ、砂の再使用性に優れ、しかも製造時の収率が高く安価に実施できる、鋳型砂とその製造方法に関する。
鋳造工場で使用される鋳型砂は、一般に有機系や無機系の粘結剤を添加して所定形状にされ、これを硬化させることで鋳型に成型される。そしてこの鋳型に金属溶湯が注入されることで鋳造品が製造される。
上記の鋳型の製造方法としては、使用する粘結剤に応じて、フラン樹脂法や、アルカリフェノール樹脂法、フェノール樹脂法などが知られている。フラン樹脂法はフラン樹脂に有機酸を添加して硬化させ、アルカリフェノール樹脂法はアルカリフェノールを有機エステルで硬化させるものである。フェノール樹脂法はRCS法とも言われ、レジンコーテッドサンド(以下、RCSともいう。)を熱硬化させて鋳型を成型する方法である。
鋳型砂としては一般的に珪砂が用いられているが、珪砂は573℃において急激な熱膨張が現われるため、それらによる鋳造欠陥を発生し易い問題点がある。また、珪砂は加熱によって砂粒子が破壊され易いため、鋳型砂とした場合に発塵が多くなり、廃棄物を多量に生じるという環境上の問題点がある。
従来、上記の問題点を解消するため、合成ムライトの原料からなる微粉末を焼成して球状化した鋳型砂が提案されている(特許文献1参照)。即ち、この鋳型砂は、Al23が20〜70重量%でSiO2が80〜30重量%となるように泥漿を配合し、これに解こう剤を添加してスプレードライヤーにより微粒化し、これをロータリーキルンにて1550℃付近で焼結して球状の鋳型砂としている。
上記従来の鋳型砂は、珪砂に比べて強度が高く、廃棄物の減少化と砂の再使用率の向上並びに鋳型の強度の向上を図ることができる。しかしながら、この従来の鋳型砂では、上記の配合の泥漿を噴霧して得た微粒子を焼結していることから、焼結物である砂粒子の表面はムライト結晶として存在し、しかもその表面は、例えば図5に示す写真のように、凹凸形状となっていて滑らかでない。この砂粒子の表面に凹凸が多いと、砂粒子への粘結剤の吸着量が多くなり、粘結剤の使用量が増加してコスト高になるうえ、砂粒子の破砕性が高くなる傾向があり、また回収した鋳型砂に含まれる残留物が多くなる問題がある。この結果、この鋳型砂はリサイクル性や高強度鋳型特性の観点からは未だ十分とは言えない状態にある。
そこで、表面の滑らかな砂粒子を得るため、上記の組成の原料のものを溶融し、高圧ガスを吹き付けて溶融物を細かく飛散させながら冷却固化することが考えられる。
しかしながら、Al23−SiO2系の原料にあっては、例えば、カオリン繊維(SiO2が52.3重量%)やボーキサイト繊維(SiO2が23重量%以上)のように、SiO2の含有量が高いと溶融体の粘性が高いため、高圧ガスの吹き付けで繊維状になりやすい。従って上記の従来技術の原料や合成ムライト(3Al23・2SiO2;化学成分はAl23が71.8重量%、SiO2が28.2重量%)の原料を溶融した場合も、SiO2の含有量が高いため、高圧ガスで飛散した溶融物は繊維状や楕円状の粒子になり易く、鋳型砂に適した球状粒子を容易に得ることができない問題がある。
特公平3−47943号公報
本発明は上記の問題点を解消し、耐熱性が高く低膨張性や低破砕性に優れ、注湯温度が高い大形鋳鋼品の鋳造にも適用できるうえ、砂の再使用性に優れ、しかも製造時の収率が高く安価に実施できる、鋳型砂とその製造方法を提供することを技術的課題とする。
本発明は上記の課題を解決するため、例えば本発明の実施の形態を示す図1から図4に基づいて説明すると、次のように構成したものである。
即ち、本発明1は鋳型砂に関し、Al23が70重量%以上でSiO2が10重量%を超え12.77重量%以下の化学成分を有し、アルミナ結晶相を結晶構成の主要構成物とする溶融球状物からなり、この溶融球状物が30〜3000μmの粒度分布を有することを特徴とする。
また本発明は鋳型砂の製造方法に関し、Al23−SiO2系の耐火物原料を溶融させ、この溶融物に高圧ガスを吹き付けて微粒状に飛散させながら冷却固化することで、Al23が70重量%以上でSiO2が10重量%を超え12.77重量%以下の化学成分を有し、アルミナ結晶相を結晶構成の主要構成物とし、且つ30〜3000μmの粒度分布を有する溶融球状物を形成することを特徴とする。
ここで、上記の溶融球状物とは、原料を溶融状態で微粒化し、球形または略球形の状態のまま冷却固化して得たものをいう。この溶融球状物の化学成分は、SiO2が20重量%を越えると溶融物の粘性が高く繊維状や楕円状の物が増加するが、本発明ではSiO2が10重量%を超え12.77重量%以下に設定してあるので、溶融状態での粘性が低く、高圧ガスの吹き付けで飛散すると殆どが球状物となる。しかも、冷却して得られた溶融球状物は前記の従来技術の焼結により得られた砂粒子に比べて表面が極めて滑らかな球面を形成しており、粘結剤の過剰な吸着が防止される。また、上記の溶融球状物の主要構成物であるアルミナ結晶相は硬度が高く、融点も2050℃とムライトの1850℃より高いので、耐熱性が高いうえ低破砕性に優れる。
上記のSiO2成分は、低いほどアルミナ結晶相が多くなるので、より好ましい。
上記のアルミナ結晶相は、α−アルミナとγ−アルミナとからなるが、γ−アルミナに比べてα−アルミナは結晶構造が安定しているため、上記の溶融球状物は、結晶構成がα−アルミナを主要構成物とするとより好ましい。なお、γ−アルミナは1000℃以上に加熱することで、結晶構造をα−アルミナに変化させることができる。なお、この鋳型砂への加熱は、鋳型へ注湯する際の金属溶湯の保有熱で加熱するものであってもよく、この場合は、最初の鋳型砂にγ−アルミナが含まれていても、鋳造後に回収された鋳型砂はα−アルミナが多く含まれる状態になる。
なお、上記の溶融球状物には、アルミナ結晶相などの結晶構成の他に、Al−Si系の非晶質相が含まれる場合があるが、これらの非晶質相は加熱を受けることによりアルミナ結晶相へ転移して安定化し、より好ましくなる。
上記の鋳型砂は粘結剤を含んでいてもよく、この粘結剤としては、具体的には、フラン樹脂、フェノール樹脂、オイルウレタン樹脂、フェノールウレタン樹脂、アルカリフェノール樹脂、珪酸ソーダ、ベントナイト、耐火粘土、コロイダルシリカ、エチルシリケート加水分解液などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
上記の鋳型砂の製造方法において用いる耐火物原料としては、具体的には、焼成ボーキサイト、ボーキサイト、溶融アルミナ、焼結アルミナ、水酸化アルミニウム、バンド頁岩、シャモット、熱焦宝石、焦宝石、仮焼フリントクレー、フリントクレー、カイヤナイト、シリマナイト、アンダルサイト、メタカオリン、及びカオリン等から選ばれた1種又は2種以上の混合体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明は上記のように構成され作用することから、次の効果を奏する。
(1) アルミナ結晶相を結晶構成の主要構成物としているので、溶融球状物の融点が高く耐熱性に優れるうえ、強度が高く、低膨張性や低破砕性に優れる。この結果、この鋳型砂で形成した鋳型は、鋳型強度が高いうえ、SK35(1770℃)以上の高い耐火度を有しており、注湯温度が1550〜1650℃と高い大形鋳鋼品の鋳造にも適用することができる。しかもこの鋳型砂で形成した鋳型は高温時における強度が高いことから、特に有機樹脂を使用する場合においても、高温における型崩れや熱膨張に起因する鋳造欠陥を防止でき、高精度の鋳物を製造することができる。
(2) 砂粒子が溶融球状物からなるので、砂粒子の表面が平滑であり、粘結剤の砂粒子内部への浸透等を少なくできることから、粘結剤の使用量が少なく済み経済的である。
また、粘結剤の使用量が少ないので、鋳造後の鋳型の崩壊性が良好であり、回収時の残留物を少なくできる。しかも、砂粒子が球状であると同時に硬度が高く破砕性が低い。これらの結果、鋳型砂の回収効率を高くでき、再使用性に優れる。
さらに、砂粒子の硬度が高く破砕性が低いことから、粉塵の発生量を低減でき、作業環境を良好にできるうえ、産業廃棄物を少なくすることができる。
(3) Al23−SiO2系の耐火物原料の溶融物は、SiO2の含有量が10重量%を超え12.77重量%以下となっているので粘性が低く、高圧ガスの吹き付けで殆どが球状物となることから、効率よく溶融球状物を得ることができ、製造時の収率が高く生産性がよいので安価に実施することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の鋳型砂の製造に用いられる鋳型砂製造装置の一実施形態を示す概略構成図である。
この鋳型砂製造装置(1)は、耐火物原料(2)を収容し溶融する溶解炉(3)と、耐火物原料(2)の溶融物(4)を飛散させるための高圧空気を吹出す高圧空気吹付け装置(5)と、飛散して冷却固化した溶融球状物(6)を捕集する捕集容器(7)とからなる。
上記の溶解炉(3)はアーク炉からなり、上記の耐火物原料(2)を溶融するためのアークを発生させる電極(8)と、上記の溶融物(4)を流出する溶出口(9)とを備える。また、上記の高圧空気吹付け装置(5)は、高圧空気供給装置(10)と空気供給路(11)と吹込みノズル(12)とを順に備え、この吹込みノズル(12)のノズル口(13)は、上記の溶出口(9)の下方位置で水平方向に臨ませてある。そしてこのノズル口(13)の吹出し方向前方の下方位置に、上記の捕集容器(7)を配置してある。
この実施形態では、耐火物原料を溶融する溶解炉(3)としてアーク炉を用いたが、本発明に用いる溶解炉は特定の形式のものに限定されず、例えば、坩堝炉、誘導電気炉、電気炉、反射炉、真空溶解炉等を用いることができる。但し、この実施形態のようにアーク炉を用いると、比較的操作が容易で経済的であるため、好ましい。
上記の溶解炉(3)の溶出口(9)から耐火物原料(2)の溶融物(4)を流出させる方法は、傾注方式や開孔方式などを用いることができるが、開孔方式を採用すると一定の流出量を容易に安定維持でき、好ましい。
上記の実施形態では、耐火物原料の溶融物を飛散させる高圧ガスとして高圧空気を用いており安価に実施できるが、本発明で用いる高圧ガスは、得られる溶融球状物に悪影響を与えない範囲で、この高圧空気に代えて高圧水蒸気や他の種類の高圧ガスを用いることができる。
また、この実施形態では、高圧空気で飛散された溶融物が大気中を移動する間に自然冷却するように構成してあるが、上記の鋳型砂製造装置(1)は、冷却水などを用いた強制冷却手段を備えていてもよい。
次に、上記の製造装置により鋳型砂を製造する手順について説明する。
最初に、Al23−SiO2系の耐火物原料(2)が、例えば100mm以下等の適当なサイズレベルになるまで粉砕されて、上記の溶解炉(3)に収容される。
なお、本発明で使用する原料は、結晶水を除く化学成分が、Al23が70重量%以上でSiO2が10重量%を超え12.77重量%以下に調製してあればよく、焼成ボーキサイトのほか、ボーキサイト、溶融アルミナ、焼結アルミナ、バンド頁岩、シャモット、熱焦宝石、焦宝石、仮焼フリントクレー、フリントクレー、カイヤナイト、シリマナイト、アンダルサイト、メタカオリン、カオリン等を、単独で、或いは所定の化学成分となるように複数種類を混合して用いることができる。
また、上記の耐火物原料(2)には、Al23やSiO2以外の化学成分を、本発明の作用を阻害しない範囲で含んでいてもよい。例えば、Fe23や、CaO、MgO、K2O、Na2O、TiO2等を、これらの合量として15重量%以下の範囲で含んでいてもよい。これらの化学成分は、溶融時の表面張力を小さくして粒子を容易に球状化させる作用を備える場合がある。
上記の溶解炉(3)内に収容した耐火物原料(2)は、電極(8)に通電して発生させたアーク熱により溶融される。このときの炉内での溶融温度は、通常、1800〜2200℃の範囲が選ばれる。そしてこの溶融物(4)は、所定量が溶解炉(3)の溶出口(9)から流出して落下していく。
上記の溶出口(9)から落下する溶融物(4)には、前記の高圧空気供給装置(10)から供給され空気供給路(11)を経由して吹込みノズル(12)のノズル口(13)から吹出される高圧空気により、水平方向へ広角に吹き飛ばされる。
これにより、上記の溶融物(4)は風砕分散されて所定の粒度分布を持つ粒子となり、直ちに溶融粒子自体の表面張力によって球状化するとともに、大気中を移動する間に自然冷却され固化する。そして、所定の粒子径を有した溶融球状物(6)となって捕集容器(7)内に落下堆積し捕集される。
なお、上記の溶融球状物(6)の粒度分布は、耐火物原料(2)の組成や溶融温度、高圧空気の圧力、吹付け速度、吹込みノズル(12)のノズル口(13)の形状、吹付け面積、吹付け角度、飛散距離等によって調製が可能である。
また、この実施形態では上記の高圧空気を水平方向から吹き付けたが、本発明ではこの高圧空気を、溶融物(4)の落下方向に沿ってシャワー状に広角に吹き付け、これにより溶融物を風砕分散して球状物とすることも可能である。
上記の捕集された溶融球状物(6)は、更に空冷または水冷により冷却されたのち、3000μmよりも大きい粒子や30μmよりも小さい粒子が篩分けにより除去され、30〜3000μmの粒度分布の溶融球状物からなる鋳型砂にされる。
次に、上記の方法により具体的に製造し(実施例)、得られた鋳型砂を評価するため、シリカ成分の多い原料を用いて同様の溶融法で製造した比較例1と対比しながら、化学分析とX線回折による分析と製造の歩留り(収率)の測定を行った。その結果を図2の化学成分等の対比表に示す。
上記の対比から明らかなように、SiO2が20重量%を越える比較例1では、X線回折の分析から結晶構成の全てをムライトが占めており、高圧空気で飛散した溶融物は繊維状や楕円状になりやすく、鋳型砂として使用可能な溶融球状物の収率が60%程度と、極めて低い状態であった。
これに対し、上記の実施例ではAl23が78.99重量%でSiO2が12.77重量%であった。また、X線回折によるアルミナ結晶相(α−アルミナまたはγ−アルミナ)のメインピーク強度がムライト(3Al2O3・2SiO2)よりも高い値を示している。これらの結晶の単体でのメインピーク強度はほぼ等しいので、上記のメインピーク強度から判断して、実施例において結晶構成の主要構成物はアルミナ結晶相が占めていることが判る。そして、これらのアルミナ結晶相を主要構成物とする上記の実施例では、高圧空気で飛散した溶融物が球状になり易く収率が98%と大幅に改善されている。
上記の実施例では、結晶構成の主要構成物であるアルミナ結晶相が2050℃の融点を有しているので、得られた鋳型砂は耐熱性が高く、SK35(1770℃)以上の高い耐火度を有している。
なお、上記のγ−アルミナは、上記の溶融物に高圧空気を吹き付けて急速に冷却した結果発生したことが想定されるが、このγ−アルミナは1000℃以上の再加熱を行うとα−アルミナへ変態して安定化することが知られている。従って、本発明の溶融球状鋳型砂は、予め1000℃以上に加熱して結晶構成を全てα−アルミナにしたのち使用することが可能である。ただし、本発明の鋳型砂で鋳型を成型して鋳造に用いると、金属溶湯は1500℃以上の高温で鋳込まれるので、上記の加熱処理を施さない鋳型砂であっても、鋳造後の鋳型から鋳型砂を回収して再使用する場合は、必然的にγ−アルミナが減少し安定なα−アルミナが増加する。
次に、上記の実施例の鋳型砂について粒度を分析し、嵩比重、pH、及び酸消費量について、前記の従来技術の焼結法により製造したもの(比較例2)と比較しながら測定した。その結果を図3の物性値対比表に示す。
なお、上記の粒度の分析は、鋳物砂の粒度試験方法(JIS Z2601)によって粒度分布を測定し、粒度指数(AFS)を算出した。即ち、篩の呼び寸法が、2360μm、1180μm、850μm、600μm、425μm、300μm、212μm、150μm、106μm、75μm、53μm、45μm、30μmとなる標準篩を選び、それらを重ねて試料100gを投入し、ロータップ篩い機で15分間篩い分ける。そして、各篩の上に残った重量を計測して分布割合として表す。一般に鋳型砂としては、粒度分布が3000μm以下から30μm篩上の間に分布するものが好ましく、粒度分布についてはJIS Z2601に規定されている方法に準じて粒度指数AFS30、40、50、60、70、100、150レベルのものが選ばれる。
上記の実施例で得られた鋳型砂は、具体的には粒度分布が殆ど75〜425μmの範囲内におさまり、粒度指数が57.0と、前記の従来技術の鋳型砂と比べて同等の、鋳型砂として必要な値が得られた。
嵩密度は従来のものに比べやや大きいが、鋳型砂としての使用に支障はない。なお、嵩密度が大きいのは、従来のものに比べてアルミナ成分が多いためと考えられる。
また、pH値は7.11の中性領域を示しており、酸消費量も従来のものと同等であり、鋳型砂の特性値として全く支障は無かった。
上記の実施例の鋳型砂は、Al23−SiO2系の耐火物を溶融させて得た球状物であることから、図4に示す走査型電子顕微鏡による写真から明らかなように、砂粒子の表面はガラス質の如く平滑な球形をなしていた。
上記の鋳型砂は、従来の鋳型砂と同様に処理されて各種の粘結剤を用いた鋳型に成型される。
これらの粘結剤としては、例えばフラン樹脂、フェノール樹脂、オイルウレタン樹脂、フェノールウレタン樹脂、アルカリフェノール樹脂、ケイ酸ソーダ、ベントナイト、耐火粘土、コロイダルシリカ、エチルシリケート加水分解液等が挙げられる。
上記の粘結剤は、それぞれに応じた硬化剤の使用などにより硬化させる。具体的には、フラン樹脂用の硬化剤としては、硫酸、リン酸、リン酸エステル、ピロリン酸等の無機酸、キシレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機酸等が挙げられる。アルカリフェノール樹脂用の硬化剤としては、蟻酸メチル、蟻酸エチル等の有機酸エステル等が挙げられる。フェノール樹脂用の硬化剤としては、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。ケイ酸ソーダ用硬化剤としては、炭酸ガス、ダイカルシリケート、Fe-Si粉末、有機エステル等が挙げられる。ベントナイト及び耐火粘土については所定量の水を添加して混練した後につき固めて、或いはジョルト・スクイズ方式等で成型して使用される。コロイダルシリカ及びエチルシリケート加水分解液は、ロストワックス法やセラミックモールド法、或いは消失模型鋳造法の分野に使用され、本発明の鋳型砂をこれらの造型材として使用する。
なお、これらの粘結剤の使用量は、鋳型砂の充填性や鋳造時のガス発生等の鋳造欠陥との関連性から出来るだけ少ない方が好ましい。本発明の鋳型砂を用いた場合は、従来の鋳型砂を用いた場合に比較して、後述のように鋳型強度が2〜4倍の値を示しており、砂粒子の表面が平滑なことも相俟って、粘結剤の使用量を減少させることができる。
上記の鋳型砂で成型した鋳型は、対象鋳物としては特に限定されず、種々の鋳物の鋳造に使用することができる。具体的には、アルミニウム、銅、鋳鉄、ダクタイル、ステンレス鋼等を挙げることができる。又、本発明の鋳型砂は球形に近いことから高い充填性と通気性が得られるので、鋳型強度に起因する欠陥やガス欠陥の少ない鋳物の製造が可能である。
具体的にこの鋳型砂を、フラン鋳造法やアルカリフェノール鋳造法の肌砂に適用して鋳型を成型し、10〜30tの高Cr鋳鋼品を鋳造したところ、鋳物離れの良い美麗な鋳肌を持つ無欠陥の鋳物をつくることができた。
上記の鋳型砂で鋳造を終えた後、この鋳型砂の回収再生率が鋳造工場の現場では重要な要因となる。この回収再生率は、鋳型砂の破砕性の良否が重要な決め手となり、破砕性が低いほど好ましい。そこで本発明の鋳型砂の破砕性を、上記の従来の焼結法による鋳型砂と比較しながら測定した。
破砕度の測定方法としては、鋳型砂の通気度測定用容器(内径50mm)の中に所定の砂を収容し、アムスラー試験機にて5000kgfの荷重を1分間かけ、試験前の粒度指数に対する試験後の粒度指数の比率により、破砕度を測定した。この結果、上記の従来の鋳型砂では破砕度が1.05程度であり、破砕により粒度が細かくなったのに対し、本発明の実施例では破砕度が1.00であり、殆ど破砕による粒度の変化が無かった。即ち、本発明の鋳型砂は、従来の鋳型砂に比較して耐破砕性に優れ、これより鋳型砂の回収及び再生に対して有利になることが明らかである。
本発明の鋳型砂を用いて実際に所定の形状を有した鋳物を製造後、使用済みの鋳型から鋳型砂を回収したところ、容易に再生処理することができた。この場合、鋳型砂の再生方法は特に限定されず、公知の方法の何れにおいても採用することができ、具体的には、数十回の鋳造後の再生処理を繰り返した結果においても、99%以上の再使用が可能であった。
次に、上記の鋳型砂を用いた鋳型の成型例について説明する。
[鋳型成型例1]
本発明の鋳型砂を使用して、フラン樹脂法により鋳型を成型した。フラン樹脂(花王クエーカー社製、340B)は鋳型砂100重量部に対し1.0重量部使用し、酸硬化剤(花王クエーカー社製、C−14)はフラン樹脂100重量部に対し50重量部使用した。また、成型時の気温は20℃で、湿度は60%であった。
得られた鋳型の経過時間毎の圧縮強さ及び充填密度を、従来の焼結法による鋳型砂を用いた鋳型と比較して測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0005075902
上記の測定結果から明らかなように、本発明の鋳型砂をフラン樹脂法に使用した場合、従来技術に比べて圧縮強度が極めて高く、特に24時間放置後では従来技術に比べて約1.8倍の高い鋳型強度が得られた。
[鋳型成型例2]
本発明の鋳型砂を使用し、アルカリフェノール樹脂法により鋳型を成型した。アルカリフェノール樹脂(神戸理化社製、商品名PHENIX 510A)は鋳型砂100重量部に対し2.0重量部使用し、有機エステル硬化剤(神戸理化社製、C−10)はアルカリフェノール樹脂100重量部に対し20重量部使用した。また、成型時の気温は20℃で、湿度は60%であった。
得られた鋳型の経過時間毎の圧縮強さ及び充填密度を、従来の焼結法による鋳型砂を用いた鋳型と比較して測定した。その結果を表2に示す。
Figure 0005075902
上記の測定結果から明らかなように、本発明の鋳型砂をアルカリフェノール樹脂法に使用した場合、従来技術に比べて高い圧縮強度が得られ、特に24時間放置後では従来技術に比べて約1.5倍の高い鋳型強度が得られた。
[鋳型成型例3]
本発明の鋳型砂を使用し、コールドボックス法により鋳型を成型した。バインダー(保土谷化学社製)の使用量は、パートI(308SR)、パートII(608TT)とも、それぞれ鋳型砂100重量部に対し0.5重量部とした。また、成型時の気温は20℃で、湿度は60%であった。
得られた鋳型の経過時間毎の抗折強度と充填密度を、従来の焼結法による鋳型砂を用いた鋳型と比較して測定した。その結果を表3に示す。
Figure 0005075902
上記の測定結果から明らかなように、本発明の鋳型砂をコールドボックス法に使用した場合、従来技術に比べて24時間放置後の抗折強度が2倍以上であり、高い鋳型強度が得られた。
[鋳型成型例4]
本発明の鋳型砂を使用し、フェノール樹脂法により鋳型を成型した。具体的には、鋳型砂を150℃に加熱した後、フェノール樹脂を鋳型砂100重量部に対し2.0重量部添加して混練し、105℃になったときに硬化剤(ヘキサメチレンテトラミン)を添加し、更に冷風を吹き込みながら混練した。その後、流動性を高めるためステアリン酸カルシウムを鋳型砂100重量部に対し0.05重量部添加してRCSを得た。なお、成型時の気温は20℃で、湿度は60%であった。
得られたRCSを用いて圧縮強度を、従来の焼結法による鋳型砂を用いた場合と比較して測定した。その結果を表4に示す。
Figure 0005075902
上記の測定結果から明らかなように、本発明の鋳型砂をフェノール樹脂法に使用した場合、従来技術に比べて高い圧縮強度が得られることがわかった。これは本発明球状砂の表面が平滑であることに起因するものと考えられる。
[鋳型成型例5]
本発明の鋳型砂を使用し、アルカリフェノール樹脂法により熱膨張率測定用の試験片を作製した。具体的には、アルカリフェノール樹脂(花王クエーカー社製、S661K)を鋳型砂100重量部に対し1.2重量部使用し、有機エステル硬化剤(花王クエーカー社製、QX140)をアルカリフェノール樹脂100重量部に対し25重量部使用して、直径50mm×高さ50mmの試験片を作製した。成型時の気温は20℃で、湿度は60%であった。
上記の試験片を放置し硬化させた後、直示式熱膨張計にセットし、1000℃に保持した電気炉内で急熱した時の熱膨張率を、従来技術の鋳型砂、クロマイトサンド及びフラタリー珪砂(輸入珪砂)と比較して測定した。その結果を表5に示す。
Figure 0005075902
上記の測定結果から明らかなように、本発明の鋳型砂は熱膨張率が小さく、熱膨張によるベーニング、すくわれ、絞られ等の鋳造欠陥を防止できることがわかる。
[鋳型成型例6]
本発明の鋳型砂を使用してアルカリフェノール樹脂法により鋳型を成型し、市販の砂再生機を使用して再生砂を得た。さらにこれらの操作を3回繰り返して鋳型を成型し、24時間放置後の圧縮強度を測定した。なお、アルカリフェノール樹脂は鋳型砂100重量部に対し1.6重量部使用し、硬化剤は樹脂100重量部に対し25重量部使用した。成型時の気温は20℃で、湿度は60%であった。
得られた鋳型の圧縮強度を、従来技術による鋳型砂を用いた鋳型と比較して測定した。その結果を表6に示す。
Figure 0005075902
上記の測定結果から明らかなように、本発明の鋳型砂を再生した場合の鋳型強度は、従来技術の鋳型砂に比べて再生による強度低下が少なく、3回再生した場合には従来技術の約4倍の鋳型強度を有することがわかった。
本発明は、耐熱性が高く低膨張性や低破砕性に優れるうえ、砂の再使用性に優れ、しかも製造時の収率が高く安価に実施できるので、大形鋳鋼品用鋳型のほか各種の鋳型に用いる鋳型砂として利用することができる。
本発明の鋳型砂の製造に用いられる鋳型砂製造装置の一実施形態を示す、概略構成図である。 本発明の鋳型砂の実施例の、化学成分等の対比表である。 本発明の鋳型砂の実施例の、物性値対比表である。 本発明の鋳型砂の、走査型電子顕微鏡による砂粒子の写真である。 従来技術の鋳型砂の、走査型電子顕微鏡による砂粒子の写真である。
1…鋳型砂製造装置
6…溶融球状物

Claims (2)

  1. Al23が70重量%以上でSiO2が10重量%を超え12.77重量%以下の化学成分を有し、アルミナ結晶相を結晶構成の主要構成物とする溶融球状物からなり、この溶融球状物が30〜3000μmの粒度分布を有することを特徴とする、鋳型砂。
  2. Al23−SiO2系の耐火物原料を溶融させ、この溶融物に高圧ガスを吹き付けて微粒状に飛散させながら冷却固化することで、Al23が70重量%以上でSiO2が10重量%を超え12.77重量%以下の化学成分を有し、アルミナ結晶相を結晶構成の主要構成物とし、且つ30〜3000μmの粒度分布を有する溶融球状物を形成することを特徴とする、鋳型砂の製造方法。
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