JP6595688B2 - 鋳型砂とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は焼結球状物からなる鋳型砂とその製造方法に関する。詳しくは、焼結によって製造された従来の鋳型砂よりも表面が平滑で、耐熱性に優れ、溶融によって製造された従来の鋳型砂よりも製造時に必要な温度を同等以下とすることができ、なおかつ、従来の鋳型砂と同程度の特性を持つ鋳型砂とその製造方法に関するものである。
鋳造工場で使用される鋳型砂は、一般に有機系や無機系の粘結剤が添加され所定形状に成形され、これを硬化させることで鋳型にされる。そしてこの鋳型に金属溶湯が注入されることで鋳造品が製造される。
上記の鋳型の製造方法としては、フラン樹脂法、アルカリフェノール樹脂法、CO−水ガラス法、セラミックモールド法、セラミックシェルモールド法などが知られている。これら製造方法の相違点には、使用する粘結剤および成型方法がある。
フラン樹脂法はフラン樹脂を有機酸で硬化させるものである。アルカリフェノール樹脂法はアルカリフェノールを有機エステルで硬化させるものである。フェノール樹脂法はRCS法とも言われる。これは、レジンコーテッドサンド(以下RCSという)を熱硬化させて鋳型を成型する方法である。CO−水ガラス法は珪酸ナトリウムを添加した鋳型砂に炭酸ガスを吹き付けて硬化成型する方法である。セラミックモールド法およびセラミックシェルモールド法は精密鋳造法に使用される鋳型造型法で、鋳型用砂は精密鋳造鋳型骨材またはスタッコ材として使用される。
鋳型砂は、一般的に珪砂が用いられている。しかし、珪砂は573℃において急激な熱膨張が現れるため、それらによる鋳造欠陥を発生し易いといった問題点がある。また、珪砂は加熱によって砂粒子が破壊され易いため、鋳型砂とした場合に発塵が多くなり、廃棄物が多量に生じるという環境上の問題点がある。
従来、上記の問題点を解消するため、合成ムライトの原料からなる微粉末を焼結して球状化した鋳型砂が提案されている(特許文献1参照)。すなわち、この鋳型砂は、Alが20〜70重量%でSiOが80〜30重量%となるようにスラリー状に泥漿(スラリー状物)を配合し、これに解こう剤を添加してスプレードライヤーにより微粒化し、これをロータリーキルンにて1550℃付近で焼結して球状の鋳型砂としている。このような鋳型砂は、珪砂に比べて強度が高く、廃棄物の減少化と砂の再使用率の向上、鋳型強度の向上、さらに粘結剤の使用量の減少によるコスト面での効果に優れている。
砂粒子の表面を平滑にした鋳型砂を得るための製造方法として、上記の特許文献1に開示された方法の他に、アーク溶融吹き込み法(特許文献2参照)が提案されている。アーク溶融吹き込み法は、Al−SiO系の耐火物原料を1600〜2200℃の溶融温度で溶融させ、80〜120m/secのエアー速度の条件下で溶融した耐火物原料にエアーを吹き付けることにより、その耐火物原料を微粒子状に飛散させながら冷却固化することで、Alが40〜90重量%、SiOが60重量%以下でムライト並びにアルミナの結晶構造を有する溶融球状鋳型砂を得る方法である。この方法によれば、図7に示す走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」と称する)写真の如く、表面が平滑な砂粒子を得ることができる。
砂粒子の表面を平滑にした鋳型砂を得るための製造方法には、火炎溶融法もある。火炎溶融法は仮焼したAl−SiO(重量比1/15)系の耐火物原料およびMgO−Al(重量比0.4/1)系の耐火物原料で調製した粒子粉末を火炎(約2400℃)中に投入して溶融球状セラミックス粒子を得る方法である。
特公平3−47943号公報 特許第3878496号公報
特許文献1に開示された鋳型砂には、その表面が、図8に示すSEM写真の如く、凹凸形状となっていて滑らかではないという問題点がある。砂粒子の表面に凹凸が多いと、砂粒子への粘結剤の吸着量の増加、ひいては粘結剤の使用量が多くなりコスト高になるうえ、砂粒子の破砕性を増大させる傾向がある。また、回収した鋳型砂に含まれる残留物が多くなることで耐熱性と硬化特性を低下させる問題がある。その結果、この鋳型砂はリサイクル性や強度的に安定した鋳型特性を得る観点からは未だ十分とは言えない状態にある。
アーク溶融吹き込み法によって製造された鋳型砂と火炎溶融法によって製造された鋳型砂とには、製造時に必要な温度が高くなるという問題点がある。
その他の鋳型砂の例には、ジルコンサンドおよびクロマイトサンドがある。これらは、耐熱性および溶融金属の耐浸透性に対する砂としての特性は優れている。しかしながら、ジルコンサンドには原料の枯渇による入手難およびコスト高という問題点がある。クロマイトサンドには廃砂から6価クロムが溶出することによる環境への悪影響という問題点がある。
本発明の目的は、上記課題を鑑み、焼結によって製造された従来の鋳型砂よりも表面が平滑で、耐熱性に優れ、溶融によって製造された従来の鋳型砂よりも製造時に必要な温度を同等以下とすることができ、なおかつ、従来の鋳型砂と同程度の特性を持つ鋳型砂を提供することである。また、別の目的は、その鋳型砂の製造方法を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1にかかる鋳型砂は、Alが70.4〜74.9重量%、MgOが20.1〜25.2重量%、SiOが2.1〜3.0重量%の化学成分を有し、Alの重量%とMgOの重量%とSiOの重量%との合計が100重量%以下であり、かつ、スピネル(MgO・Al)を成分の一種とする焼結球状物を含み、この焼結球状物が75μmを超え600μm以下の粒度分布を有することを特徴とする。
また、本発明の請求項2にかかる鋳型砂の製造方法は、MgO系耐火物原料およびAl−SiO系耐火物原料の混合物に粘結剤を添加し、混合物の粒を製造し、混合物の粒を1400℃以上で焼結する鋳型砂の製造方法であって、混合物の成分が、Alが70.4〜74.9重量%、MgOが20.1〜25.2重量%、SiOが2.1〜3.0重量%であり、Alの重量%とMgOの重量%とSiOの重量%との合計が100重量%以下であり、粘結剤が添加された混合物を転動することにより混合物の粒を製造することを特徴とする。
また、本発明の請求項3にかかる鋳型砂は、請求項2にかかる発明の構成に加えて、混合物の粒の焼結温度が1900℃以下であることを特徴とする。
本発明に言う「MgO系耐火物原料」とは、MgOの供給源となる耐火物原料をいう。MgO系耐火物原料の例には、マグネシアクリンカー、焼成マグネサイト、カンラン石、コーディエライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、スピネル、オリビン、MgOがある。
本発明にかかる鋳型砂は、焼結によって製造された従来の鋳型砂よりも表面が平滑で、耐熱性に優れ、溶融によって製造された従来の鋳型砂よりも製造時に必要な温度を同等以下とすることができ、なおかつ、従来の鋳型砂と同程度の特性を持つ。
本発明にかかる鋳型砂の製造方法は、焼結によって製造された従来の鋳型砂よりも表面が平滑で、耐熱性に優れ、溶融によって製造された従来の鋳型砂よりも製造時に必要な温度を同等以下とすることができ、なおかつ、従来の鋳型砂と同程度の特性を持つ鋳型砂を提供できる。
実施例1にかかる鋳型砂のSEM写真である。 実施例2にかかる鋳型砂のSEM写真である。 実施例3にかかる鋳型砂のSEM写真である。 実施例4にかかる鋳型砂のSEM写真である。 実施例5にかかる鋳型砂のSEM写真である。 実施例6にかかる鋳型砂のSEM写真である。 比較例1にかかる鋳型砂のSEM写真である。 比較例2にかかる鋳型砂のSEM写真である。
[鋳型砂を製造する手順について]
以下、鋳型砂を製造する手順が説明される。最初に、作業者は、MgO系耐火物原料およびAl−SiO系耐火物原料を、例えば50μm以下程度の適当なサイズになるまで粉砕する。
本実施形態における「MgO系耐火物原料」とは、MgOの供給源となる耐火物原料をいう。MgO系耐火物原料の例には、マグネシアクリンカー、焼成マグネサイト(重焼マグネシア、軽焼マグネシア)、カンラン石、コーディエライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、スピネル、オリビン、MgOがある。
本実施形態における「Al−SiO系耐火物原料」とは、酸化アルミニウムと二酸化ケイ素との化合物の供給源となる耐火物原料をいう。Al−SiO系耐火物原料の例には、合成ムライト、焼成ボーキサイト、ボーキサイト、水酸化アルミニウム、溶融アルミナ、焼結アルミナ、バン土頁岩、シャモット、焼熱焦宝石、焦宝石、フリントクレー、仮焼フリントクレー、カイヤナイト、シリマナイト、アンダルサイト、メタカオリン、および、カオリンがある。
MgO系耐火物原料、および、Al−SiO系耐火物原料は、これら例示したものに限定されない。さらに、MgO系耐火物原料として上述したものの中から選ばれた1種または2種以上の混合体を用いてもよいし、Al−SiO系耐火物原料として上述したものの中から選ばれた1種または2種以上の混合体を用いてもよい。MgO系耐火物原料としてどのようなものを用いるかということ、および、Al−SiO系耐火物原料としてどのようなものを用いるかということは、鋳型砂の性状には大きな影響を与えない。
上記のMgO系耐火物原料およびAl−SiO系耐火物原料には、Fe、TiO、CaO、NaO、KOの少なくとも一種が、本実施形態にかかる鋳型砂の作用を阻害しない範囲で含まれていてもよい。鋳型砂の総含有量に占めるその含有量の割合は10重量%以下とすることが望ましい。
MgO系耐火物原料およびAl−SiO系耐火物原料が粉砕されると、作業者は、これらMgO系耐火物原料およびAl−SiO系耐火物原料を所定の化学成分になるように計量し、転動造粒機に投入する。その所定の化学成分は、Alが70.4〜74.9重量%、MgOが20.1〜25.2重量%、SiOが2.1〜3.0重量%である。これらの重量%はいずれも乾燥結晶水を除く値である。ただし、Alの重量%とMgOの重量%とSiOの重量%との合計は100重量%以下でなくてはならない。作業者は、転動造粒機によってこれに投入されたMgO系耐火物原料およびAl−SiO系耐火物原料を所定の一定時間高速撹拌した後、これらに粘結剤を適量添加し、さらに撹拌し、造粒を進める。
作業者は、造粒の際、バインダーを添加することができる。本実施形態で用いられるバインダーは、上述した造粒に使用可能なものであれば特に限定されない。そのようなバインダーの例には、水、有機溶媒、無機バインダー、有機バインダーがある。
無機バインダーの例には、セメント類、石膏類、水ガラス類、鉱物類、カルシウム化合物がある。セメント類の例には、ポルトランドセメント、シリカセメント、アルミナセメント、フライアッシュがある。石膏類の例には、無水石膏、半水石膏、二水石膏がある。水ガラス類の例には、けい酸ソーダ1,2,3,4号、メタケイ酸がある。鉱物類の例には、粘土、ベントナイトがある。カルシウム化合物の例には、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムがある。
有機バインダーの例には、デンプン類、たん白類、天然ゴム類、タール類、熱可塑性レジン、熱硬化性レジンがある。デンプン類の例にはコーンスターチ、デキストリンがある。たん白類の例には、にかわ、カゼイン、大豆たん白がある。天然ゴム類の例には、ラテックス、アラビアゴムがある。タール類の例には、ピッチ、加工タールがある。熱可塑性レジンの例には、ビニール、ポリビニールアルコール、アクリル、ポリアミド、ポリエチレン、セルロースがある。熱硬化性レジンの例には、ユリア、メラミン、フェノール、フラン、エポキシ、ポリエステル、ポリウレタンがある。
造粒時に用いるバインダーの量は、公知の方法に準じて適宜決定すればよい。例えば、バインダーとしてポリビニールアルコールを使用する場合、これを水に3〜15重量%溶液となるように溶解させたものを、MgO系耐火物原料およびAl−SiO系耐火物原料の混合物に対して10〜30重量%添加する。
本実施形態において、造粒に用いる転動造粒機は周知のものが何ら制限を受けることなく用いられる。例えば、パン型造粒機、マルメライザー造粒機、高速撹拌造粒機などが用いられる。中でも、高速撹拌造粒機は造粒物の粒度分布の制御が容易であることなどから好適である。
本実施形態の転動造粒における、転動造粒装置への原料粉末およびバインダーの供給には、周知の転動造粒において使用されているものと同様のものを使用できる。例えば、原料粉末の供給時、振動フィーダまたはスクリューフィーダを用いることができる。これらは、供給量を制御し易い。バインダーの供給時、振動フィーダまたはスクリューフィーダを用いることができる。高速撹拌造粒機を用いる場合には、バインダーを滴下もしくは霧状に噴霧して添加するのが好ましい。
作業者は、上記の造粒によって形成された粒を焼結する。焼結には例えばロータリーキルンが用いられる。焼結温度は1400℃以上、好ましくは1400℃〜1900℃の温度、さらに好ましくは1500℃〜1900℃である。1400℃〜1900℃の温度で焼結することにより、上記の造粒によって形成された粒が緻密になる。焼結温度は成分組成により異なる。焼結温度が1400℃よりも低いと、充分に焼成されないために、緻密な粒子が得られない。
作業者は、上記の焼結が完了した後、焼結された粒の集合体から、600μmよりも大きい粒と75μm以下の小さな粒とを除去する。除去のための具体的な手段は特に限定されない。除去のための具体的な手段の例には篩分けがある。600μmよりも大きい粒と75μm以下の小さな粒とが除去された粒の集合体は、75〜600μmの粒度分布の焼結球状物からなる鋳型砂となる。なお、本実施形態に言う「焼結球状物」とは、MgO系耐火物原料およびAl−SiO系耐火物原料の混合物の粒が焼結されたものをいう。
[粘結剤について]
上記の鋳型砂は、従来の鋳型砂と同様に処理され各種の粘結剤を用いた鋳型に成型されて使用することができる。これらの粘結剤としては、例えば、フラン樹脂、フェノール樹脂、オイルウレタン樹脂、フェノールウレタン樹脂、アルカリフェノール樹脂、珪酸ソーダ、ベントナイト、耐火粘土、コロイダルシリカ、エチルシリケート加水分解液などがあげられる。
上記の粘結剤はそれぞれの用途に応じた硬化剤によって硬化させられる。具体的には、フラン樹脂の硬化剤としては、硫酸、燐酸、燐酸エステル、ピロ燐酸などの無機酸、キシレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸が挙げられる。フェノール樹脂用の硬化剤としては、ヘキサメチレンテトラミンなどが挙げられる。珪酸ソーダ用の硬化剤としては、炭酸ガス、ダイカルシリケート、Fe−Si粉末、有機エステルなどが挙げられる。ベントナイトおよび耐火粘土については所定量の水を添加して混練した後につき固めて、あるいはジョルトスクイズ方式で成型して使用される。コロイダルシリカおよびエチルシリケート加水分解液はロストワックス法やセラミックモールド法あるいは消失模型鋳造法の分野に使用され、本実施形態にかかる鋳型砂をこれらの造型材として使用する。
なお、これらの粘結剤の使用量は、鋳型砂の充填性や鋳造時のガス発生などの鋳造欠陥との関連性からできるだけ少ないほうが好ましい。本実施形態にかかる鋳型砂は、砂粒子の表面が平滑なことにより、粘結剤の使用量を減少させることができる。
[鋳型について]
上記の鋳型砂で成型した鋳型は、対象鋳物としては特に限定されず、種々の鋳物の鋳造に使用することができる。具体的には、アルミニウム、銅、普通鋳鉄、ダクタイル鋳鉄、ステンレス鋼を挙げることができる。また、本実施形態にかかる鋳型砂は、球形に近いことから高い充填性と通気性とが得られるので、鋳型強度に起因する鋳造欠陥やガス欠陥の少ない鋳物の製造が可能である。
以下、本発明の一実施形態における参考例1〜4と実施例1〜2と比較例1〜2とについて説明する。
[参考例1]
最初に、作業者は、MgO系耐火物原料およびAl−SiO系耐火物原料を、50μm以下程度の適当なサイズになるまで粉砕した。次に、作業者は、Alの重量%が約83重量%、SiOが約5重量%、そしてMgOが約10重量%となるよう、MgO系耐火物原料およびAl−SiO系耐火物原料を転動造粒機に投入し、7分間高速撹拌し、造粒を進めた。その後、作業者は、造粒によって形成された粒を焼結した。焼結の後、作業者は、焼結された粒の集合体から、3000μmよりも大きい粒と30μm以下の小さな粒とを除去することにより、本参考例にかかる鋳型砂を得た。その後、作業者は、その鋳型砂の成分を分析した。その成分は、Alの重量%が83.4重量%、SiOが4.9重量%、MgOが10.0重量%、Feの重量%が0.8重量%、その他の成分が0.9重量%であった。
[参考例2]
最初に、作業者は、MgO系耐火物原料およびAl−SiO系耐火物原料を、50μm以下程度の適当なサイズになるまで粉砕した。次に、作業者は、Alの重量%が約80重量%、SiOが約6重量%、そしてMgOが約13重量%となるよう、MgO系耐火物原料およびAl−SiO系耐火物原料を転動造粒機に投入し、7分間高速撹拌し、造粒を進めた。その後、作業者は、参考例1と同様の方法により鋳型砂を製造した。その後、作業者は、その鋳型砂の成分を分析した。その成分は、Alの重量%が79.4重量%、SiOが5.7重量%、MgOが13.2重量%、Feの重量%が0.7重量%、その他の成分が1.0重量%であった。
[実施例1]
最初に、作業者は、MgO系耐火物原料およびAl−SiO系耐火物原料を、50μm以下程度の適当なサイズになるまで粉砕した。次に、作業者は、Alの重量%が約75重量%、SiOが約3重量%、そしてMgOが約20重量%となるよう、MgO系耐火物原料およびAl−SiO系耐火物原料を転動造粒機に投入し、7分間高速撹拌し、造粒を進めた。その後、作業者は、参考例1と同様の方法により鋳型砂を製造した。その後、作業者は、その鋳型砂の成分を分析した。その成分は、Alの重量%が74.9重量%、SiOが3.0重量%、MgOが20.1重量%、Feの重量%が0.9重量%、その他の成分が1.1重量%であった。
[実施例2]
最初に、作業者は、MgO系耐火物原料およびAl−SiO系耐火物原料を、50μm以下程度の適当なサイズになるまで粉砕した。次に、作業者は、Alの重量%が約70重量%、SiOが約2重量%、そしてMgOが約25重量%となるよう、MgO系耐火物原料およびAl−SiO系耐火物原料を転動造粒機に投入し、7分間高速撹拌し、造粒を進めた。その後、作業者は、参考例1と同様の方法により鋳型砂を製造した。その後、作業者は、その鋳型砂の成分を分析した。その成分は、Alの重量%が70.4重量%、SiOが2.1重量%、MgOが25.2重量%、Feの重量%が1.3重量%、その他の成分が1.0重量%であった。
[参考例3]
最初に、作業者は、MgO系耐火物原料およびAl−SiO系耐火物原料を、50μm以下程度の適当なサイズになるまで粉砕した。次に、作業者は、Alの重量%が約68重量%、SiOが約3重量%、そしてMgOが約26重量%となるよう、MgO系耐火物原料およびAl−SiO系耐火物原料を転動造粒機に投入し、7分間高速撹拌し、造粒を進めた。その後、作業者は、参考例1と同様の方法により鋳型砂を製造した。その後、作業者は、その鋳型砂の成分を分析した。その成分は、Alの重量%が68.0重量%、SiOが3.1重量%、MgOが26.3重量%、Feの重量%が1.5重量%、その他の成分が1.1重量%であった。
[参考例4]
最初に、作業者は、MgO系耐火物原料およびAl−SiO系耐火物原料を、50μm以下程度の適当なサイズになるまで粉砕した。次に、作業者は、Alの重量%が約64重量%、SiOが約6重量%、そしてMgOが約28重量%となるよう、MgO系耐火物原料およびAl−SiO系耐火物原料を転動造粒機に投入し、7分間高速撹拌し、造粒を進めた。その後、作業者は、参考例1と同様の方法により鋳型砂を製造した。その後、作業者は、その鋳型砂の成分を分析した。その成分は、Alの重量%が63.7重量%、SiOが6.2重量%、MgOが27.6重量%、Feの重量%が1.2重量%、その他の成分が1.3重量%であった。
[比較例1]
作業者は、Alの重量%が約75重量%、SiOが約15重量%、そしてMgOが5重量%以下となるよう、原料に粒径20ミリメートル以下のAl−SiO系耐火物原料を使用し、原料の粒を周知のアーク炉で1時間溶融した。次に、作業者は、溶融した原料をアーク炉より排出させて、周知のコンプレッサー(風量11m/min)より排出した高圧圧縮空気をその溶融した原料に吹き付けた。これにより球状粒子化した溶融物が得られたので、作業者は、溶融物の集合体から、3000μmよりも大きい粒と30μm以下の小さな粒とを除去することにより、本比較例にかかる鋳型砂を得た。その後、作業者は、その鋳型砂の成分を分析した。その成分は、Alの重量%が75.6重量%、SiOが15.4重量%、MgOが0.3重量%、Feの重量%が3.1重量%、その他の成分が5.6重量%であった。
[比較例2]
市販の合成ムライト系球状砂であるセラビーズ(登録商標)#500を用いた。
[粒度分布について]
参考例1〜参考例4と実施例1〜実施例2とにかかる鋳型砂について粒度分布を分析して、比較例1〜比較例2にかかる鋳型砂との比較を行った。その結果により、参考例1〜参考例4と実施例1〜実施例2とにて製造された鋳型砂が実用に充分耐えられるか、支障はないかを判断することができる。
上記の粒度分布の分析のため、鋳型砂の粒度試験方法(JISZ2601)によって粒度分布を測定し、粒度指数(AFS)を算出した。すなわち、篩の呼び寸法が、2360μm、1180μm、850μm、600μm、425μm、300μm、212μm、150μm、106μm、75μm、53μm、となる標準篩を選び、それらを重ねて試料100gを投入して、ロータップ篩機で15分間篩い分けた。そして各篩の上に残った重量を計測して分布割合とした。
一般に鋳型砂としては、粒度分布が3000μm以下(好ましくは600μm以下)から30μm篩上(好ましくは45μm篩上)の間に分布するのが好ましく、粒度分布についてはJISZ2601に規定されている方法に準じて粒度指数AFS30、40、50、60、70、100、150レベルのものが選ばれる。試験結果を表1に示す。なお、表1における「tr」は「含まれているが、所定の最小記載量に達していない」という意味である。
Figure 0006595688

表1に示したデータより、上記参考例および実施例で得られたそれぞれの鋳型砂が、具体的には粒度分布がほとんど75〜600μmの範囲内に収まり、粒度指数が43.7〜55.1となっていることが観測された。これらの観測データより、従来技術の鋳型砂と比べて、同等の鋳型砂の粒度指数を示し実用性が十分に得られることがわかった。
[結晶構造などについて]
参考例1〜参考例4と実施例1〜実施例2とにかかる鋳型砂について、X線回折による結晶構造の分析、嵩密度(日本鋳造協会試験法S−10)、pH(日本鋳造協会試験法S−3)、酸消費量(日本鋳造協会試験法S−4)、および、熱伝導率の測定を実施して、比較例1〜比較例2にかかる鋳型砂との比較を行った。その結果により、参考例1〜参考例4と実施例1〜実施例2とにて製造された鋳型砂が実用に充分耐えられるか、支障はないかを判断することができる。表2は、それらの鋳型砂の結晶構造、嵩密度、pH、酸消費量、および、熱伝導率を示す。
Figure 0006595688

表2から明らかな通り、参考例1〜参考例4と実施例1〜実施例2とにかかる鋳型砂では、全てにおいてスピネルが認められた。一方、比較例1〜2にかかる鋳型砂のいずれにおいてもスピネルは認められなかった。比較例1にかかる鋳型砂ではα−アルミナとムライトとが認められた。比較例2にかかる鋳型砂ではムライトが認められた。このことから、従来方式の合成ムライトおよびアルミナ系の溶融球状粒子と本実施形態にかかる鋳型砂とは結晶構造を異にしていることが明らかである。
参考例1〜参考例4と実施例1〜実施例2とにかかる鋳型砂の嵩密度は比較例2にかかる鋳型砂に比べるとやや大きいが、実用上支障はない。また、比較例1の溶融法による鋳型砂に比較すればやや小さい値であり、砂の使用量の面で有利となる。なお、参考例1〜参考例4と実施例1〜実施例2とにかかる鋳型砂の嵩密度が比較例2にかかる鋳型砂(焼結法で製造された鋳型砂)に比較して大きいのはAl、MgO成分値が高く、かつ、造粒方法が異なるためと考えられる。
参考例1〜参考例4と実施例1〜実施例2とにかかる鋳型砂のpH値は5.9〜7.0の中性値の領域を示している。参考例1〜参考例4と実施例1〜実施例2とにかかる鋳型砂の酸消費量は1.3ml/50g〜1.7ml/50gである。これらは、比較例1〜比較例2にかかる鋳型砂のpH値および酸消費量と同等である。
参考例1〜参考例4と実施例1〜実施例2とにかかる鋳型砂の熱伝導率は比較例2にかかる鋳型砂に比べるとやや高めである。特に参考例3にかかる鋳型砂の熱伝導率は比較例1にかかる鋳型砂の熱伝導率よりも高い。したがって、参考例3にかかる鋳型砂は、鋳造時の溶湯の冷却能に優れる。鋳造時の溶湯の冷却能に優れることから、参考例3にかかる鋳型砂は、湯回り不良の低減に寄与できる。
[鋳型砂の表面について]
図1ないし図6は、本実施形態にかかる鋳型砂の走査型電子顕微鏡(SEM)による砂粒子の写真である。なお、図1は参考例1にかかる鋳型砂のSEM写真である。図2は参考例2にかかる鋳型砂のSEM写真である。図3は実施例1にかかる鋳型砂のSEM写真である。図4は実施例2にかかる鋳型砂のSEM写真である。図5は参考例3にかかる鋳型砂のSEM写真である。図6は参考例4にかかる鋳型砂のSEM写真である。図7は比較例1にかかる鋳型砂のSEM写真である。図8は比較例2にかかる鋳型砂のSEM写真である。図1ないし図6に示すSEM写真から明らかなように、上記実施例の鋳型砂の表面は比較的平滑な球形をなし、特に比較例2の凹凸の顕著な形状に比べて、これらは鋳型を成型する場合の充填密度を向上させることや粘結剤の被覆性を向上させて添加量を削減することに効果を奏する。中でも実施例1,2にかかる鋳型砂の表面は他の実施例と比べても平滑な球形をなしている。
[耐熱性試験について]
本実施形態にかかる鋳型砂は、スピネル(融点:2100℃、主成分:MgOおよびAl)を含む。スピネルの融点はアルミナ結晶の融点(2050℃)および合成ムライト結晶の融点(1850℃)より高いことから、スピネルには耐熱性に関する効果のあることが期待される。もちろん、アルミナ、ムライトも鋳型砂の一成分として使用する場合の耐熱性は十分に認められ、これらも含有する本実施形態にかかる鋳型砂の耐熱性は十分であることが認められる。よって、本実施形態にかかる鋳型砂にこれらの組成物が含有されていても何ら差し支えはない。以上の点を確認するため、次の試験を実施して耐熱性の比較を行った。
まず参考例1〜参考例4と実施例1〜2との鋳型砂と比較例1〜比較例2の鋳型砂とクロマイトサンドとを使用してアルカリフェノール鋳型を作製し、それらを1550℃で焼成した場合の耐熱性を調べた。
鋳型の製造手順は以下の通りである。まず、アルカリフェノール樹脂(花王クエーカー社製、商品名カオーステップSH-8010)を鋳型砂100重量部(2kg)に対し1.1〜1.8重量部を添加することにより鋳型を作製した。アルカリフェノール樹脂の添加量は、各砂の比重を考慮して、表3の「樹脂添加量」欄に示す通りとした。混合は試験用品川式万能ミキサー(株式会社品川工業製、5DMR型)で行い、有機エステル硬化剤(花王クエーカー社製、DH−35)をアルカリフェノール樹脂100重量部に対して20重量部添加して30秒混合した後、さらに樹脂を添加して30秒混合した。混合砂は直ちに50φ×50mmの試験片取り木型に充填して成型し、24Hr放置後抜型して試験に供試した。試験片の焼成は、カンタル炉で1550℃×1Hr加熱し、取り出し空冷後、試料を14meshロータップ篩機(飯田製作所社製)に投入して1分間振とうした。その後、篩上に残留した焼結砂の量を計測し、投入砂に対する割合として算出した。このとき、篩上に残留した焼結砂の残留割合が鋳型砂の耐熱性の指標となるものとして比較した。
表3は、焼結残留物量を示す。この表3に示される結果より、本実施形態にかかる鋳型砂の組成として、スピネル並びにスピネルとα−アルミナとを含む組成物に関してはいずれも焼結残留物が少なく、比較例1、比較例2と比較しても耐火性に優れることが示されている。これにより、鋳造品に対する鋳型の焼着不良などの鋳造欠陥に対して有利になると同時に、鋳造後の鋳型の崩壊性に対しても有利になることが考えられる。これらは本実施形態にかかる鋳型砂の特徴とするところである。特に実施例1,2は比較例1,2に比較して明らかに高い耐火性を示しており、優位性が認められている。また、参考例1〜参考例4と実施例1〜実施例2との鋳型砂のJIS法による耐火度を測定した結果、全てSK37(1825℃)以上(特に参考例3〜4,実施例1〜2はSK39(1880℃)以上)であったことから、注湯温度が1550〜1650℃で実施される大型鋳鋼品鋳造用鋳型砂としての特性を十分に持ち得るものである。
Figure 0006595688

[破砕性について]
本実施形態にかかる鋳型砂で鋳造を終えた後、この鋳型砂の回収再生率が鋳造工場の現場では重要な要因となる。この回収再生率は、鋳型砂の破砕性の良否が重要な決め手となり、破砕性が低いほど好ましい。そこで上記の従来の溶融法および焼結法による鋳型砂並びに一般鋳物砂との比較を行いながら、本実施形態にかかる鋳型砂の破砕性を調べた。
破砕性の測定方法としては、鋳型砂の破砕試験方法(JFS試験法S−6)によって調べた。鋳型砂の破砕試験用の試験試料としては本実施形態にかかるスピネル系溶融球状砂(参考例1〜参考例4および実施例1〜実施例2)、従来のムライト・アルミナ系溶融球状砂(比較例1)、焼結法による球状砂(比較例2)、クロマイトサンドを用いた。
試験方法は、1L磁性ポットミルに直径20mmのアルミナセラミックボール10個と試料100gとを入れ30分回転処理を行い、処理前後の砂の粒度測定を行う。粒度測定結果よりAFS粒度指数を算出し、次式で破砕率を求めた。破砕性の測定結果を、表4に示す。
破砕率(%)=(回転処理後の粒度指数/原砂の粒度指数)×100
Figure 0006595688

本実施形態にかかるスピネル系焼結球状砂(参考例1〜参考例4および実施例1〜2)の破砕性は、従来の焼結法による球状砂(比較例2)の場合に比較して、破砕による粒度の変化が小さく破砕性に優れることが認められた。さらに、本実施形態にかかるスピネル系焼結球状砂の破砕性は、従来のクロマイトサンドの場合に比較しても、耐破砕性において顕著に優れる結果となった。これらの結果から、本実施形態にかかる鋳型砂を鋳型として使用したとしても、従来の焼結法による球状砂(比較例2)にて製造した鋳型砂を鋳型としたものと比較して、回収再生に対して有利となることが明らかとなった。
また、本実施形態にかかる鋳型砂を使用して実際に所定の形状を有した鋳物を製造後、その使用済みの鋳型から鋳型砂を回収したところ、容易に再生処理することができた。使用済みの鋳型から鋳型砂を再生処理する方法は、特に限定されず、公知の方法の何れにおいても採用することができる。
[試験1:フラン樹脂鋳型の圧縮強度]
本実施形態にかかる鋳型砂(参考例1〜参考例4および実施例1〜2)、従来のムライト・アルミナ系溶融球状砂(比較例1)、従来の焼結法による球状砂(比較例2)を使用して、フラン樹脂法(フラン樹脂に有機酸を添加し硬化させる鋳型形成法)によりそれぞれ鋳型を成型した。その成型方法としては、フラン樹脂(花王クエーカー社製、EF−5501)を鋳型砂100重量部(2kg)に対し、1.0重量部(合成ムライト系焼結法球状砂の場合は1.3重量部)使用し、酸硬化剤(花王クエーカー社製、NC−503)はフラン樹脂100重量部に対し40重量部使用した。成型時の気温は20℃で、湿度は60%であった。なお、混合は上述した試験用品川式万能ミキサーを使用し、鋳型砂に酸硬化剤を添加して30秒混合後、さらにフラン樹脂を添加して30秒混合した。その鋳型砂とフラン樹脂と酸硬化剤との混合物を50φ×50mmの試験片取り木型に充填して24Hr硬化させ抜型して試験片鋳型とした。得られた試験片鋳型の経過時間毎の圧縮強度および充填密度を抗圧試験機(オリエンテック社製、H−3000D)により測定した。その結果を表5に示す。表5の「フラン樹脂鋳型の強度」欄には、実施例および比較例それぞれに関するフラン樹脂鋳型の圧縮強度および充填密度が記載されている。
Figure 0006595688

上記の結果から本実施形態にかかる鋳型砂をフラン樹脂法に使用した結果、従来の焼結法による球状砂(比較例2)に比較して圧縮強度が極めて高く、特に24時間放置後の強度としては従来の焼結法による球状砂(比較例2)に比べて1.4〜2.0倍の高強度を示した。これは本実施形態にかかる鋳型砂の平滑な表面形状と球状形状が効果的に作用したものであり、鋳型の充填密度の向上、強度の向上および粘結剤の添加量の低減に対して効果が示された。
[試験2:アルカリフェノール樹脂鋳型の圧縮強度]
本実施形態にかかる鋳型砂(参考例1〜参考例4および実施例1〜2)、従来のムライト・アルミナ系溶融球状砂(比較例1)、従来の焼結法による球状砂(比較例2)を使用して、アルカリフェノール樹脂法(アルカリフェノール樹脂を有機エステルで硬化させる鋳型形成法)によりそれぞれ鋳型を成型した。その成型の際、アルカリフェノール樹脂(花王クエーカー製、商品名SH−8010)を鋳型砂100重量部に対し1.4重量部(従来の焼結法による球状砂の場合は1.8重量部)使用し、有機エステル硬化剤(花王クエーカー社製、DH−35)をアルカリフェノール樹脂100重量部に対して20重量部使用した。また、成型時の気温は20℃で、湿度は60%であった。鋳型砂、硬化剤、樹脂の混合方法および試験片作成方法は[試験1:フラン樹脂鋳型の圧縮強度]の場合と同様の方法で実施した。得られた試験片鋳型の経過時間毎の圧縮強度および充填密度を測定した。その結果を表5に示す。表5の「アルカリフェノール樹脂鋳型の強度」欄には、実施例および参考例および比較例それぞれに関するアルカリフェノール樹脂鋳型の圧縮強度および充填密度が記載されている。
上記の測定結果から明らかなように、本実施形態にかかる鋳型砂をアルカリフェノール樹脂法に使用した場合、従来の焼結法による球状砂(比較例2)に比べて高い圧縮強度が得られ、特に24時間放置後では従来技術に比べて1.2〜1.5倍の高い鋳型強度が得られた。これらについても上記[試験1:フラン樹脂鋳型の圧縮強度]と同様に本実施形態にかかる鋳型砂の平滑な表面形状と球形形状とが効果的に作用したものであり、鋳型の充填密度の向上、鋳型強度の向上および粘結剤添加量の低減に対して効果が示された。
[試験3:再生砂]
本実施形態にかかる鋳型砂(参考例1〜参考例4および実施例1〜2)、従来のムライト・アルミナ系溶融球状砂(比較例1)、従来の焼結法による球状砂(比較例2)を使用し、アルカリフェノール樹脂法により[試験2:アルカリフェノール樹脂鋳型の圧縮強度]に準じて作製した鋳型を成型し、市販の砂再生機を使用して再生砂を得た。さらに、これらの操作を3回繰り返して鋳型を成型し、24時間放置後の圧縮強度を測定した。鋳型の作成はアルカリフェノール樹脂(花王クエーカー社製、商品名SH−8010)を鋳型砂100重量部に対し1.4重量部(合成ムライト系焼結法球状砂の場合は1.8重量部)使用し、有機エステル硬化剤(花王クエーカー社製、DH−35)をアルカリフェノール樹脂100重量部に対して20重量部使用した。また、成型時の気温は20℃で、湿度は60%であった。再生砂を使用した試験片鋳型の経過時間毎の圧縮強度を測定した。その結果を表5の「再生砂の鋳型強度(24時間後)」欄に示す。
上記の測定結果から明らかなように、本実施形態にかかる鋳型砂を再生した場合の鋳型強度は、従来の焼結法による球状砂(比較例2)の鋳型砂に比較して再生砂を使用したことによる強度低下が少ない。特に、3回再生した砂を使用した場合には従来技術(比較例2)の1.3〜1.7倍の鋳型強度を有することがわかった。この結果は、本実施形態にかかる鋳型砂が平滑球状であることから、鋳型砂粒子表面に粘結剤の残留が少なく、粘結剤の繰り返し添加に対しても悪影響を与えないことを示唆している。比較例2の場合は、図8の鋳型砂のSEM写真からも明らかな如く鋳型砂表面が多孔質であり、その結果、粘結剤の残留が多くなりやすく、それらが粘結剤の繰り返し添加の作用に悪影響を与えたものと推察される。
[試験4:アルカリフェノール樹脂鋳型の熱膨張率]
本実施形態にかかる鋳型砂(参考例1〜参考例4および実施例1〜2)を使用し、アルカリフェノール樹脂法により熱膨張率測定用の試験片を作製した。具体的には、アルカリフェノール樹脂(花王クエーカー社製、SH−8010)を鋳型砂100重量部に対し1.4重量部使用し、有機エステル硬化剤(花王クエーカー社製、DH−35)をアルカリフェノール樹脂100重量部に対し20重量部使用して、直径50mm×高さ50mmの試験片を作製した。成型時の気温は20℃で、湿度は60%であった。なお、鋳型砂と硬化剤、樹脂の混合方法および試験片作成方法は[試験2:アルカリフェノール樹脂鋳型の圧縮強度]の場合と同様の方法で実施した。上記の方法で作成した試験片を直示式熱膨張計(オザワ科学株式会社製、EOS-3)にセットし、1000℃に保持した電気炉内で急熱した時の熱膨張率(120秒経過後)を測定した。比較例として従来のムライト・アルミナ系溶融球状砂(比較例1)、従来の焼結法による球状砂(比較例2)、クロマイトサンドおよびフラタリー珪砂についても熱膨張率を測定した。各砂に対するアルカリフェノール樹脂の添加量および熱膨張率は表6に示される。表6に示した結果から明らかなように、本実施形態にかかる鋳型砂は、熱膨張率が小さい。中でも参考例1と実施例2とにかかる鋳型砂の熱膨張率は他の実施例と比べても小さい。したがって、従来の鋳型砂に比べて、熱膨張に起因するベーニング、すくわれ、絞られといった鋳造欠陥の防止に対して有効であることが明らかである。
Figure 0006595688

[試験5:鋳造試験結果]
本実施形態により製造したスピネル系焼結砂(参考例1〜参考例4および実施例1〜2)、従来技術によるムライト・アルミナ系溶融砂(比較例1)、従来の焼結法による球状砂(比較例2)を使用して、270φ×120Hの空洞部を有するアルカリフェノール鋳型の中子(50φ×60H)を作製した。上型には、中央に湯口と押し湯(この場合は、鋳型上部に設けられる溶湯を溜める部分のこと)を兼用設置した。下型には、その空洞部の底部にあたる箇所に、上述した50φ×60Hの中子を設置した。中子は円周上に均等な間隔を保つよう配置した。中子の下端は鋳型の空洞部の底部にあたる箇所に埋め込んだ。中子の埋め込み深さは10ミリメートルとした。これにより、中子のうち金属溶湯に接触する部分のサイズは50φ×50Hとなる。この鋳型に、高周波溶融炉で溶解した高クロムニッケル鋼(出湯温度1550℃、鋳込み重量50kg)を取鍋で注湯して中子部と接触した金属肌(ショットブラスト後)の観察を行った。
なお、中子砂の配合は、鋳型砂100重量部に対してアルカリフェノール樹脂1.4重量%、アルカリフェノール樹脂に対する硬化剤添加量を20重量%とし、これらを品川式万能ミキサーで混練して50φ×60H試験片取り木型に充填して24時間硬化抜型した。また、同一中子で塗型ありの領域と塗型なしの領域とを設けた。従来の焼結法による球状砂(比較例2)の場合は樹脂添加量を1.8重量%とし、アルカリフェノール樹脂に対する硬化剤添加量を20重量%とし、外型の鋳型砂は三河6号硅砂100重量%に水ガラス6重量%を添加混練したもので成型し炭酸ガスで硬化させた。結果を表7に示す。表7に示す鋳造試験の結果から、本実施形態にかかる溶融法で作成した中子の鋳物肌は良好であり実用性に対して問題のないことが明らかであった。
Figure 0006595688

本発明は、大形鋳鋼品用のほか各種の鋳型に用いる鋳型砂のために利用することができる。

Claims (3)

  1. Alが70.4〜74.9重量%、MgOが20.1〜25.2重量%、SiOが2.1〜3.0重量%の化学成分を有し、前記Alの重量%と前記MgOの重量%と前記SiOの重量%との合計が100重量%以下であり、かつ、スピネル(MgO・Al)を成分の一種とする焼結球状物を含み、前記焼結球状物が75μmを超え600μm以下の粒度分布を有することを特徴とする、鋳型砂。
  2. MgO系耐火物原料およびAl−SiO系耐火物原料の混合物に粘結剤を添加し、前記混合物の粒を製造し、前記混合物の粒を1400℃以上で焼結する鋳型砂の製造方法であって、前記混合物の成分が、Alが70.4〜74.9重量%、MgOが20.1〜25.2重量%、SiOが2.1〜3.0重量%であり、前記Alの重量%と前記MgOの重量%と前記SiOの重量%との合計が100重量%以下であり、前記粘結剤が添加された前記混合物を転動することにより前記混合物の粒を製造することを特徴とする鋳型砂の製造方法。
  3. 前記混合物の粒の焼結温度が1900℃以下であることを特徴とする請求項2に記載の鋳型砂の製造方法。
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