JP3330568B2 - 消失模型鋳型用充填材 - Google Patents

消失模型鋳型用充填材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消失模型鋳型用充
填材(以下、単に充填材と称する)に関する。更に詳し
くは、本発明は、極めて理想的な性状を有する充填材に
関する。
【0002】
【従来の技術】鋳物の作成方法として種々の方法が提案
されているが、その内、フルモールド法と称される消失
模型鋳造法がある。
【0003】この方法は、鋳造を所望する鋳物(製品)
の模型を発泡スチロールのような樹脂で造型し、この模
型を鋳枠内の充填材中に埋め込み、常圧又は減圧(−5
0〜−200mmHg)下で、熔融金属を注湯すること
により模型を消失させつつ金属で置換することにより鋳
物を作成する方法である。
【0004】消失模型鋳造法に使用される充填材には、
一般的には天然ケイ砂のような自硬化性砂が使用され、
必要に応じてフラン樹脂、フェノール樹脂等の有機粘結
材、ケイ酸ソーダのような無機粘結材が添加される。な
お、粘結材は自硬化性砂の保型性を向上させる役割を果
たしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ここで、充填材として
一般的に使用される天然ケイ砂は、熔融金属の注湯によ
って膨張するため、得られる鋳物の寸法精度には限界が
あった。
【0006】また、鋳枠内への充填材の充填は、鋳枠内
に配置された模型の周辺に、鋳枠を振動させつつ行われ
る。充填材は、均一かつ強固に充填される必要がある。
ところが、天然ケイ砂はその粒形が多角形であるため流
動性が悪く、特に振動方向に対して、水平な孔及び模型
下面の凸部に充填することが困難であった。
【0007】更に、天然ケイ砂は、粒形が多角形である
ため、通気性が十分でないという問題もあった。通気性
が悪いと、模型の消失時に生じるガスを速やかに外部へ
排出することができず、その結果、ガスに由来する“す
す”が鋳物に残存し、不良品となってしまう恐れがあっ
た。また別の問題として、減圧しつつ鋳造を行う場合、
通気性が悪いとより減圧度を高くする必要があるが、そ
の結果、充填材間に熔融金属が流れ込む現象(差し込み
現象)が生じ、鋳物の鋳肌が荒れるという問題があっ
た。
【0008】更にまた、近年、関心が高くなっている作
業環境の改善及び産業廃棄物の減量の観点から見ると、
天然ケイ砂は、多角形であるため、鋳物形成時及び形成
後の充填材回収時に、熱クラックの発生や砂同士が接触
することにより破損して粉塵が発生する恐れがあった。
その結果、作業環境が悪くなったり、破損により回収効
率が悪化し、産業廃棄物が多量に生じる恐れがあった。
【0009】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、電気炉での精錬により得られたニッケル鉱滓の溶融
スラグを風砕処理して得られ、少なくともMgOとSi
2を含むフォルステライトもしくはプロトエンステタ
イト又はそれらの混合物を主成分とし、粒形係数が1.
2以下の球状の形状を有することを特徴とする消失模型
鋳型用充填材が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
【0011】本発明の充填材は、天然のニッケル鉱石を
電気炉で熔融させ、副産物として発生した熔融スラグか
ら得ることができる。充填材は、少なくともMgOとS
iO 2を含むフォルステライトもしくはプロトエンステ
タイト又はそれらの混合物を主成分としている。この成
分は、熱膨張率が極めて低いので、精度の高い鋳物を形
成することができる。また、熱クラックを生じにくいの
で、充填材自体が破損することが少なくなり、回収率を
向上させることができる。その結果、産業廃棄物の発生
量を減少させられる。なお、主成分とは、50重量%以
上、好ましくは60重量%以上を意味している。
【0012】ここで、フォルステライトは2MgO・S
iO2で表され、一方プロトエンステタイトはMgO・
SiO2で表される。更に、フォルステライトは160
0℃程度であり、一方プロトエンステタイトは耐火度が
1450℃程度である。そのため、ステンレスのような
鋳込みに高温が必要な金属には、フォルステライトを主
成分とする熔融スラグを使用することが好ましい。
【0013】しかしながら、得られた熔融スラグがプロ
トエンステタイトを主成分とする場合でも、MgO成分
を添加してMgOとSiO2の組成を2:1(重量比)
に近づければ、同程度の耐火度を得ることができる。M
gOは、例えばマグネシアクリンカー、海水マグネシア
等の形態で、電気炉等により熔融した充填材に添加する
ことができる。
【0014】なお、充填材には、全体として、SiO2
の2倍以上の重量のMgOを含んでいてもよい。充填材
全体のMgOとSiO2の組成比は、67〜50重量%
と33〜50重量%の範囲であることが好ましい。Mg
OとSiO2以外の成分として、ニッケル鉱石由来の成
分及び/又は精練時に混入する成分(例えば、Fe
23、Al23、CaO等)が含まれていてもよい。
【0015】更に、耐火度を上げるために、別にAl2
3を加えてもよい。例えば、フォルステライトを主成
分とする熔融スラグにAl23を加えた場合、耐火度を
100℃程度向上させることができる。特に、Al23
は充填材中に20重量%未満の量で含まれていることが
好ましい。Al23の含有量は、10〜20重量%であ
ることがより好ましく、10〜15重量%であることが
更に好ましい。Al23の原料としては、工業的には、
電融アルミナ、焼結アルミナ、ムライト、ダイアスボ
ア、ボーキサイト等が挙げられる。これら原料は、Al
23を約50〜99.3重量%の任意の割合で含んでい
るため、上記好ましい範囲の含有量になるように調整し
つつ、溶融した充填材に添加することが好ましい。より
具体的な充填材全体の組成は、MgOとSiO2の合
計:Al23が、90〜80重量%:10〜20重量%
であることが好ましい。
【0016】また、充填材の粒形係数は1.2以下、好
ましくは1.1以下である。1.2以下の場合、充填率
が向上し、鋳型の通気性が向上する。更に、球に近い形
状のため、充填材相互の接触による、回収時の粉塵の発
生を防ぐことができる。
【0017】なお、上記粒形係数は、砂表面積測定器
(ジョージ・フィッシャー社製)を用いて算出した値を
意味する。すなわち、粒形係数とは1g当たりの実際の
砂粒の表面積を理論表面積で割った値を意味する。理論
表面積とは、砂粒がすべて球であると仮定した場合の表
面積をいう。従って、粒形係数が1に近いほど球に近い
形状であることを表している。
【0018】本発明の充填材は、30〜850μm、更
には53〜590μmの粒度分布を有していることが好
ましい。30μmより小さい場合は通気性低下するので
好ましくなく、850μmより大きい場合は鋳物の表面
が荒れるため好ましくない。
【0019】ここで、本発明における粒度分布は、JI
Sの鋳物砂の粒度試験方法(Z2601)に準じて測定
した値をいう。この方法を概略説明すると、例えば、ふ
るいの呼び寸法が30μmのふるいの上に850μmの
ふるいを重ね、850μmのふるいの上に原料を載せ、
ロータップ型ふるい機のようなふるい分け機械を使用
し、2つのふるい間に残ったものを、粒度分布30〜8
50μmの充填材と称する。
【0020】更に、本発明の充填材は、所望により、鋳
造時の形状を保持するための粘結剤を含んでいてもよ
い。但し、粘結剤は、充填材の充填を妨げ、かつ鋳込み
時に残存することによりすす欠陥を生じる作用を有する
ので、できるだけ少ない方が好ましい。具体的には、粘
結剤の種類により相違するが、充填材全量に対して、
1.0重量%以下の量使用することが好ましい。なお、
粘結剤としては、例えばフェノール樹脂、フラン樹脂等
の有機粘結剤、ケイ酸ソーダのような無機粘結剤が挙げ
られる。また、この粘結剤には、公知の硬化剤(例え
ば、蓚酸、ぎ酸、酢酸等の有機酸、ヘキサメチレンテト
ラミン、トリメチルアミン等のアミン化合物)が含まれ
ていてもよい。
【0021】本発明の充填材は、熔融スラグを風砕処理
して得ることができる。風砕処理とは、風砕機の中で、
ブロアにより送られた風によってスラグを急冷し細かく
球状化する処理である。この風砕処理は、特別なもので
はなく、例えば、ガラス球、ショット球を製造する方法
として一般的に用いられているアトマイズ法を利用する
ことができる。
【0022】上記風砕処理後に、更に磨鉱処理を施して
もよい。磨鉱処理は、公知の乾式法及び湿式法をいずれ
も使用することができる。
【0023】乾式法には、原料を高速気流により装置内
で上昇させ、衝突板に衝突させることによって、原料相
互の衝撃と摩擦によって磨鉱処理するサンドリクレマ等
のニューマチックスクラバー装置、高速回転するロータ
ー上に原料を投入し、遠心力で生じる投射砂と落下する
投入砂との間で起こる衝突と摩擦によって磨鉱処理する
高速回転スクラバー装置、砂粒同士の摩擦を利用して磨
鉱処理するアジテーターミル等の高速攪拌機等を用いた
方法が挙げられる。
【0024】一方、湿式法には、羽根を回転させたトラ
フ内の砂粒相互の摩擦によって磨鉱処理するトラフ式等
の磨鉱機による方法が挙げられる。これら磨鉱処理の
内、湿式法を使用することが好ましい。これは磨鉱処理
によって所望の粒度より小さい砂を、磨鉱処理時の水洗
によって同時に取り除くことができるからである。しか
しながら、乾式法でも、水洗装置を併設することにより
湿式法と同程度の充填材を得ることができる。
【0025】本発明の充填材は、消失模型鋳造法に使用
される。この方法は、簡単に説明すると、次のようにな
る。まず、熔融金属により消失させ得る材料で鋳造を所
望する形状の模型を作製し、それを鋳枠内に配置し、鋳
枠を振動させつつ充填材を投入する。この後、熔融金属
を落し込み、押上げ又は横鋳込みにより注入することに
より、模型を消失させつつ、その位置を熔融金属で置換
することで所望形状の鋳物を得る方法である。
【0026】熔融金属で消失させ得る材料としては、例
えば、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、両者の
共重合体、両者の混合物の発泡体等が挙げられる。模型
の表面には、その形状を維持するための塗膜が形成され
ていてもよい。塗膜は、当該分野でセラミックシェルと
称される材料を使用することができる。
【0027】次に、鋳枠を振動させつつ充填材が投入さ
れるが、本発明の充填材では、振動後の充填率を1.7
g/cm3以上とすることができる。従来の天然ケイ砂
が1.6g/cm3程度であることと比較すると高い値
である。充填率が高いことにより、得られる鋳物の表面
をより滑らかにすることができる。より具体的には、J
IS B 0651に準拠した測定法で、表面粗さを1
4.0μm以下とすることが可能である。
【0028】更に、熔融金属としては、特に限定され
ず、アルミニウム、鉄、ステンレス等の熔融物が挙げら
れる。この熔融金属により模型が消失するが、消失の際
にすす欠陥の原因となるガスを発生する。このガスを鋳
枠外に排出するために、充填材は充填時に所定の通気性
を有することが望まれる。本発明では、JIS Z 2
601に準拠する測定法で、1360cc/min以上
の通気度を得ることができる。なお、天然ケイ砂では、
一般的に800cc/min以下である。また、熔融金
属の注入は、常温下又は減圧下(−100〜−300m
mHg)で行ってもよい。
【0029】所望の形状の鋳物を形成した後、使用済み
の充填材は、本発明においては容易に再処理することが
できる。再処理の方法は、特に限定されず、公知の方法
をいずれも使用することができる。本発明の充填材は、
粒形係数が1.2以下と球に近く、MgO及びSiO2
を含む特定の結晶組成からなるため充填材同士の接触に
よる破損や熱クラックが生じ難いので、初期の特性を維
持することができる。従って、再処理が容易である。具
体的には、10回鋳造・再処理を繰り返しても、99重
量%以上再使用することができるという結果を得てい
る。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。な
お、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0031】製造例 天然ニッケル鉱石(ニューカレドニア産)を乾燥機で乾
燥させた後、ロータリーキルンで無煙炭及び石灰石を添
加し、得られた混合物を電気炉で精練した。このニッケ
ル精練工程で生じる熔融スラグを風砕処理することによ
り、本発明の消失模型鋳型用充填材を得た。得られた充
填材の化学組成を表1に示す。なお、表1には、比較の
ために天然ケイ砂(三河産)の化学組成も示している。
【0032】
【表1】
【0033】なお、本発明の充填材の耐火度は約145
0℃であった。
【0034】実施例1 50mmφ×50mmの円筒内に本発明の充填材と天然
ケイ砂をそれぞれ自然に充填し、その後円筒に一定の条
件の振動を与えた。振動後の本発明の充填材と天然ケイ
砂の高さを測定することにより、充填率を求めた。結果
を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】表2から本発明の充填材は、極めて充填率
が高いことが分かった。
【0037】実施例2 フルモールド法に一般的に使用されているフェノール樹
脂(カオーステップ:花王クエーカー社製)と有機エス
テル(花王クエーカー社製)からなる粘結材を、本発明
の充填材と天然ケイ砂に混合した。これらの充填材を用
いて、鋳型強度(圧縮強度)を調べた。鋳型強度の測定
は、JACT試験法に準じて24時間放置後の強度を測
定した。なお、樹脂の添加量を、0.5重量%、0.7
重量%及び1.0重量%に変動させ、有機エステルを樹
脂に対し25重量%の割合で使用した。結果を表3に示
す。表3では、比較のために、本発明の充填材の代わり
に、天然ケイ砂及び再生ケイ砂(フルモールド法からの
天然ケイ砂の再生砂)を使用した場合の鋳型強度も示し
た。
【0038】
【表3】
【0039】表3から、本発明の充填材は、天然ケイ砂
及び再生ケイ砂より鋳型強度が大きく、同一の鋳型強度
を得ることを所望する場合、樹脂の添加量を少なくでき
ることが分かった。具体的には、フルモールド法の場
合、鋳型強度は10〜15Kg/cm2程度であれば十
分であると言われている。この観点から表3を見ると、
再生ケイ砂では0.7重量%の樹脂が必要であるが、本
発明の充填材では0.5重量%でそれ以上の強度が得ら
れている。また、樹脂が0.7重量%の場合の1000
℃における熱膨張率を測定した。熱膨張率の測定は、示
差熱式膨張測定機(リガク社製TMA8140)を用い
て測定した。結果を表4に示す。
【0040】
【表4】
【0041】表4から、ケイ砂が1.2〜1.5の熱膨
張率を有しているのに対して、本発明の充填材は熱膨張
率が0であり、膨張も収縮もしない鋳型を提供できるこ
とが分かった。
【0042】実施例3 本発明の充填材及び天然ケイ砂を以下のようにフルモー
ルド法での鋳造に使用し、得られた製品の鋳肌を観察し
た。50cm×50cm×50cmの発泡スチロール製
の模型を用い、これを鋳枠内に配置し、本発明の充填材
及び天然ケイ砂を、鋳枠を振動させつつ充填した。な
お、本発明の充填材及び天然ケイ砂には、フェノール樹
脂を0.5重量%と樹脂に対して有機エステルを25重
量%とを添加した。この鋳型にJIS規格FC250に
準拠する鋳鉄熔湯を1470℃で鋳込み、冷却後型から
取り出して製品表面の鋳肌を調べた。鋳肌の評価は、平
均表面粗さの大小で行い、平均表面粗さは、表面粗さ測
定機(ミツトヨ製サーフテスト301)を用いJIS
B 0651に準拠して行った。結果を表5に示す。
【0043】
【表5】
【0044】表5から、本発明の充填材は、天然ケイ砂
より鋳肌の表面粗さが小さく、鋳肌が良好であることが
分かった。更に、得られた製品の上部の表面の10cm
×10cm×10cmの範囲のすす欠陥(ピンホール状
の欠陥)の数を測定した。結果を表6に示す。
【0045】
【表6】
【0046】表6から、本発明の充填材は、すす欠陥が
存在せず、製品の表面状態をより好ましくできることが
分かった。これは、以下の実施例4で評価する鋳型の通
気性が影響しているものと考えられる。
【0047】実施例4 フルモールド法では、鋳込み時に模型の消失により発生
するガスを鋳型を通じて外部に逃がすことができなけれ
ば、鋳型に残存したガスは製品にすす欠陥として残留す
るため、鋳型の通気性が重要となる。以下では、本発明
の充填材及び天然ケイ砂を使用して鋳型(50mmφ×
50mm)を形成し、その通気度をJIS Z 260
1に準拠して測定した。なお、本発明の充填材及び天然
ケイ砂には、フェノール樹脂を0.7重量%と有機エス
テルを25重量%/樹脂で添加した。結果を表7に示
す。
【0048】
【表7】
【0049】表7から、本発明の充填材を使用した鋳型
は、通気性がよく、多角形の天然ケイ砂と比較して、約
1.5倍以上の通気度を示した。従って、鋳型に残存す
るガスを減らすことができ、その結果すす欠陥を防止で
きることが分かった。
【0050】実施例5 近年、充填材は、回収による粉塵の発生、回収時の充填
材の欠け及び割れによる回収効率の低下、産業廃棄物の
発生を改善することが望まれている。これら観点から、
本発明の充填材及び天然ケイ砂について以下の方法によ
り回収効率を評価した。 (1)粉砕機(入江商会社製卓上型ボールミル)に本発
明の充填材及び天然ケイ砂を入れ、20分間の粉砕を3
回繰り返したときの破砕率を測定した(JACT法に準
拠)。破砕率は、破砕前の粒度分布と破砕後の粒度分布
をAFS規格で測定し、破砕前の粒度分布に対する破砕
後の粒度分布の百分率で表した。更に、予め1000℃
で焼成したものと、焼成しないものについて破砕率を測
定した。結果を表8に示す。
【0051】
【表8】
【0052】表8から、本発明の充填材は、天然ケイ砂
と比べて、破砕消耗が少なく、熱劣化も少ないことが分
かった。 (2)50cm×50cm×50cmの発泡スチロール
からなる模型を鋳枠内に配置し、鋳枠を振動させつつ、
0.5重量%のフェノール樹脂を含む本発明の充填材及
び天然ケイ砂を、それぞれ1000Kg充填した。次い
で、JIS規格FC250に準拠した鋳鉄熔湯を147
0℃で鋳込み、冷却後製品を取り出した。この後、使用
済みの本発明の充填材及び天然ケイ砂を市販の回収機
(近畿鋳材社製サンドフレッシャー)を通し、再度鋳型
に使用した。上記工程を10回繰返し、各回毎の回収率
を測定した。結果を表9に示す。
【0053】
【表9】
【0054】表9から、本発明の充填材は、10回鋳造
を繰り返しても、99%回収することができるが、天然
ケイ砂は87%しか回収できなかった。上記実施例5か
ら、本発明の充填材は、回収時の粉塵が少なく、回収効
率が良好で、産業廃棄物の発生も少ないことが分かっ
た。
【0055】実施例6 本発明の充填材と市販の充填材との比較を以下のように
行う。市販の充填材には、ムライト系セラミックスであ
るセラビーズ(内外セラミックス社製)を使用した。こ
の充填材は、61重量%のAl23と35重量%のSi
2の化学成分を主として含み、1.05の粒形係数、
210〜410μmの粒度分布を有していた。
【0056】本発明の充填材と市販の充填材の電子顕微
鏡写真を撮影したところ本発明の充填材は表面が極めて
滑らかであるが、市販の充填材は細かい凹凸が存在して
いた。両者の差は、本発明の充填材が原料の熔融物を風
砕処理して得られるものであるのに対し、市販の充填材
は半熔融状態の原料をスプレードライ処理することによ
り得られることを原因としていると考えられる。
【0057】更に、本発明の充填材と市販の充填材を用
いて、鋳込みを繰り返した場合の残留樹脂の量を以下の
ように測定した。まず、本発明の充填材と市販の充填材
のそれぞれにフェノール樹脂0.5重量%とフェノール
樹脂に対して25重量%の量の有機エステルを添加し
た。50cm×50cm×50cmの発泡スチロールか
らなる模型を鋳枠内に配置し、鋳枠を振動させつつ、上
記充填材を、それぞれ1000Kg充填した。次いで、
JIS規格FC250に準拠した鋳鉄熔湯を1470℃
で鋳込み、冷却後製品を取り出した。この後、使用済み
の本発明の充填材及び天然ケイ砂を市販のロータリーリ
クレマー(日本鋳造社製)で再生し、再度鋳型に使用し
た。上記工程を5回繰返し、各回毎の残留樹脂量を測定
した。結果を表10に示す。なお、残留樹脂量はLOI
%で示した。
【0058】
【表10】
【0059】表10から、本発明の充填材は市販の充填
材より残留樹脂量が少ないことが分かった。これは、本
発明の充填材が、市販の充填材より表面が極めて滑らか
であるから、鋳込み後に充填材に付着した樹脂が再生時
に容易にはがれ、充填材表面に樹脂が残留しないためで
ある。一方、市販の充填材は、表面に細かい凹凸が存在
するため、鋳込み後に付着した樹脂が凹凸に食い込み、
接着した状態で残存し、再生時に剥がれ難いため残留樹
脂量が増加することとなる。なお、残留樹脂量が増加す
ると、再生された充填材から構成される鋳型の強度が劣
化すると共に、鋳込み時の残留樹脂が分解することによ
り鋳造欠陥を発生させるガスが発生することとなる。次
に、実施例2と同様にして、市販の充填材の鋳型強度を
測定した。その結果を、本発明の充填材の鋳型強度と併
せて表11に示す。
【0060】
【表11】
【0061】表11から、本発明の充填材は、市販の充
填材と比較して、低樹脂量で大きな鋳型強度が得られて
いる。これは、本発明の充填材の表面が滑らかであるこ
とに基づいていると考えられる。
【0062】
【発明の効果】本発明の消失模型鋳型用充填材は、低膨
張性であるため、鋳造品に充填材の膨張に起因する鋳造
欠陥(ベーニングや鋳型割れ)が防止され、寸法精度を
より高めることができる。また、通気性も良好であるた
め、鋳造時にガスが残存することにより欠陥(すす欠
陥)を防止することができる。更に、ほぼ球形であるこ
とから、粘着剤の量をより少なくすることができるの
で、経済的であるだけでなく、鋳込み後の型の崩壊性も
良好である。
【0063】また、球形でありかつ硬い原料からなるた
め、回収及び再生時に破砕されないため、回収率が高く
かつ粉塵の量も低減することができる。従って、作業環
境を改善することができ、産業廃棄物の発生も少なく、
時代のニーズに適応した、工業的価値のきわめて高い充
填材である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−183933(JP,A) 特開 昭62−142049(JP,A) 特開 平1−148436(JP,A) 特開 昭63−281743(JP,A) 特開 昭64−31549(JP,A) 特開 昭63−281744(JP,A) 特開 昭62−263842(JP,A) 特開 昭64−66037(JP,A) 特開 平3−198942(JP,A) 特開 昭56−17152(JP,A) 特開 昭57−31437(JP,A) 特開 昭61−249643(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22C 1/00 - 25/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気炉での精錬により得られたニッケル
    鉱滓の溶融スラグを風砕処理して得られ、少なくともM
    gOとSiO2を含むフォルステライトもしくはプロト
    エンステタイト又はそれらの混合物を主成分とし、粒形
    係数が1.2以下の球状の形状を有することを特徴とす
    る消失模型鋳型用充填材。
  2. 【請求項2】 MgOとSiO2の重量比が、1:2〜
    2:1である請求項1に記載の充填材。
  3. 【請求項3】 更にMgO、Al23又はそれら両方が
    添加されている請求項1又は2に記載の充填材。
  4. 【請求項4】 消失模型鋳型用充填材が、熔融スラグを
    風砕処理後、乾式又は湿式磨鉱処理することにより得ら
    れる請求項1〜3のいずれか1つに記載の充填材。
  5. 【請求項5】 消失模型鋳型用充填材が、充填材全量に
    対して、1.0重量%以下の量で粘結剤を含む請求項1
    〜4のいずれか1つに記載の充填材。
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