JP2004296544A - セラミック配線基板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】閉気孔率が5%以上であり且つ、比誘電率が6以下の絶縁層の表面あるいは絶縁層1a〜1d間に、絶縁層1a〜1dと同時焼成して形成されたメタライズ配線層2と、絶縁層1a〜1dを貫通するビア導体3を配設してなる多層配線基板Aにおいて、メタライズ配線層2およびビア導体3の断面を観察した場合、メタライズ配線層2およびビア導体3の周囲に接触する絶縁層1a〜1d中の気孔の数がメタライズ配線層2およびビア導体3の各周囲長さ100μmあたり2個以下であることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック配線基板とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、セラミック配線基板は、セラミック絶縁層が多層に積層された絶縁基板の表面または内部にメタライズ配線層が配設された構造からなり、代表的な例として、LSI等の半導体素子収納用パッケージが挙げられる。このようなパッケージとしては、絶縁層がアルミナ等のセラミックスからなるものが多用されていたが、最近では、銅メタライズと同時焼成を可能にしたガラスセラミックスなどの低温で焼成される配線基板が実用化されつつある。
【0003】
このようなセラミック配線基板においては、伝送速度が誘電率の平方根に反比例することから、絶縁基板の低誘電率化が進んでおり、絶縁材料の誘電率としては5〜8が一般的であるが、近年では、使用周波数がますます高周波化されてきているため、より低誘電率の基板材料が要求されている。
【0004】
このような低誘電率化を図るべく、絶縁基板材料の改良が進められているが、このような絶縁基板の低誘電率化を図る1つの方法として、図3に示すように、絶縁基板11中に、誘電率が実質的には1である気孔12を導入する、言い換えれば絶縁基板11を多孔質化することによって低誘電率化を図ることが提案されている(例えば、特許文献1、2、3)。この特許文献1,2では、微細気孔を生じさせるためのカーボン粉末を含有するグリーンシート両面に、カーボン粉末を含有しないセラミックペーストを塗布し、これにパンチングにより穴加工を施し、導体ペーストを埋め込み、さらに導体ペーストを印刷し、積層、同時焼成することが記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平12−185977号公報
【0006】
【特許文献2】
特開2002−308678号公報
【0007】
【特許文献3】
特公平7−72092号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1,2の構造の場合、図3に示すように、メタライズ配線層13やビア導体14と気孔12が直接的に接触している部分が発生する結果、高温高湿雰囲気に曝された場合に、メタライズ配線層13やビア導体14から気孔12を経由してマイグレーションが発生し、その結果、回路の信頼性が低下するという問題があった。
【0009】
このような問題に対して、特許文献3では、多孔質のグリーンシートの表裏面に緻密質層を形成可能なセラミックペーストを塗ることが記載されている。この方法によれば、メタライズ配線層間でのマイグレーションは抑制できるとしてもビア導体が多くの気孔と接触しているために、マイグレーションが発生したり、ビア導体間の絶縁抵抗が低下するなどの問題があった。
【0010】
しかも、特許文献3の方法は、グリーンシート表面に別途ペーストを塗布するという工程の煩雑さはもちろんのこと、異なる材質のペーストを塗布し乾燥することによるテープの伸び縮みが起因し、焼成後の収縮バラツキが発生するという問題点があった。
【0011】
従って本発明は、気孔を多量に含有する低誘電率の絶縁層に対して形成したメタライズ配線層やビア導体の信頼性を高めたセラミック配線基板とその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような気孔を多量に含む絶縁層に対してメタライズ配線層やビア導体を形成する場合において、基板内部に設けられたメタライズ配線層やビア導体の周囲に隣接する気孔を極力少なく出来、その結果、メタライズ配線層の周囲に存在する気孔によるマイグレーションなどの発生を抑制できることを見出した。
【0013】
即ち、本発明のセラミック配線基板は、閉気孔率が5%以上であり且つ、比誘電率が6以下の絶縁層の表面あるいは絶縁層間に、該絶縁層と同時焼成して形成された銅メタライズ配線層と、前記絶縁層を貫通するビア導体を配設してなる多層配線基板において、該メタライズ配線層およびビア導体の断面を観察した場合、ビア導体およびメタライズ配線層の周囲に接触する絶縁層中の気孔径5μm以上の気孔の数がメタライズ配線層周囲長さ100μmあたり2個以下であることを特徴とするものである。
【0014】
また、前記絶縁層、メタライズ配線層およびビア導体は、いずれもガラスを含有することが望ましい。
【0015】
また、本発明のセラミック配線基板の製造方法は、少なくともガラス粉末を20質量%以上含有し、焼成後の閉気孔率が5%以上、比誘電率が6以下であるセラミック組成物からなるグリーンシートに形成された貫通孔内に導体ペーストを充填してビア導体を形成するとともに、シート表面に、前記導体ペーストを印刷塗布して導体パターンを形成した後、該導体パターンおよびビア導体を形成したグリーンシートを積層し、800〜1050℃の非酸化性雰囲気中で焼成するセラミック配線基板の製造方法において、前記導体ペーストが、銅を主体とする金属成分100質量部に対して、ガラス成分を1〜10質量部と、金属酸化物フィラーを1〜10質量部含有することを特徴とするものである。
【0016】
なお、前記導体ペースト中のガラス成分の屈伏点が前記セラミック組成物中のガラスの屈伏点以下であることが望ましく、前記導体ペースト中のガラス成分が、前記セラミック組成物中のガラス成分と同一のガラス組成物からなることが望ましい。これにより、メタライズ配線層近傍の気孔中にガラス成分が侵入し、気孔を消滅させる事が出来る。
【0017】
さらに、前記導体ペースト中のガラス成分および前記セラミック組成物中のガラス成分の屈伏点は、前記絶縁層を形成するガラスの屈伏点以下であることが望ましく、これにより、気孔中へのガラスの侵入を促進する事が出来る。脱バインダー性とガラスの侵入の観点から、屈伏点は600〜800℃が好適である。
【0018】
またさらに、前記導体ペースト中の前記ガラス成分の平均粒径は、前記絶縁層を形成するガラスの平均粒径以下であることがより望ましく、これによっても気孔中へのガラスの侵入を促進する事が出来る。印刷性とガラス侵入の観点から平均粒径は0.5〜5μmが好適である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明のセラミック配線基板Aは、たとえば、図1に示すように、複数の絶縁層1a〜1eを積層してなる絶縁基板1と、絶縁層1a〜1d間に、該絶縁層と同時焼成して形成された銅メタライズ配線層2と、絶縁層1a〜1dを貫通して形成され、銅メタライズ配線層2とを接続するビア導体3を具備する。また、表面には、半導体素子などの電気素子5が半田6などにより実装されている。
【0020】
また、絶縁層1a〜1dは、図2の要部拡大図に示すように、気孔4が多量に導入されることによって、絶縁層1a〜1dの低誘電率化が図れている。具体的には、5%以上、特に10%以上、さらには15%以上の閉気孔率を有し、比誘電率が6以下、特に5以下、さらには4以下であることが、銅メタライズ配線層2を伝送する高周波信号の損失を低減する上で重要である。なお、基板の強度を維持する上では、閉気孔率は25%以下、特に20%以下であることが望ましい。
【0021】
メタライズ配線層2は、銅または銀を主成分とする低抵抗の導体材料によって形成することが高周波信号の伝送損失を低減する上で望ましい。
【0022】
そして、かかる低抵抗導体材料からなるメタライズ配線層2と絶縁層とを同時焼成する上で、絶縁層1は、800〜1050℃の低温で焼成可能なセラミックスであることが望ましい。
【0023】
かかる点で、絶縁層は、ガラス、または、ガラス成分とセラミックフィラー成分との複合体からなることが望ましい。
【0024】
ガラス成分としては、SiO2を含むガラス、例えば硼珪酸ガラス、バリウム珪酸ガラス、アルカリ珪酸ガラスなどの周知のガラス成分20〜80質量%と、セラミックフィラー成分20〜80質量%を好適に用いることができる。フィラー成分としては、Al2O3、SiO2、アルカリ酸化物、アルカリ土類酸化物のうち少なくとも1種を含有し、例えば、アルミナ、ディオプサイト、コージェライト、ムライト、石英、クリストバライト、セルジアン、フォルステライト、アルカリ珪酸塩、スピネル、CaTiO3、SrTiO3、BaTiO3の群から選ばれる少なくとも1種を含有することが望ましい。
【0025】
特に、ガラスやフィラーは、その目的に応じて適宜使い分ける事が可能であり、例えば、高強度化を図る上では、フィラーとしてAl2O3、ディオプサイト、コージェライト、ムライト、スピネルの群から選ばれる少なくとも1種が好適となり、高熱膨張が所望であれば石英、クリストバライト、セルジアン、フォルステライト、アルカリ珪酸塩などが好適となる。
【0026】
本発明におけるメタライズ配線層2及びビア導体3は、メタライズ配線層2およびビア導体3の断面を観察した場合、ビア導体3およびメタライズ配線層2の周囲に接触する絶縁層中の気孔径5μm以上の気孔の数がメタライズ配線層およびビア導体の周囲長さ100μmあたり2個以下、特に1個以下、さらには0個であることが重要である。即ち、このメタライズ配線層2およびビア導体3の周囲にて接触する気孔の数が上記よりも多いと、接触している気孔を通じて、マイグレーションが発生し、メタライズ配線層間やビア導体間での絶縁信頼性が低下してしまう。
【0027】
このように、メタライズ配線層2およびビア導体3の周囲にて接触する気孔の数を制御することによって、セラミック配線基板Aの絶縁層2が高気孔率を有するものであっても、メタライズ配線層およびビア導体間のマイグレーションの発生を抑制できる。しかも、従来のように、異種の絶縁材料を使用することがないために、異種材料間の収縮挙動の相違などによる収縮バラツキや反り、剥がれなどの発生を防止し、絶縁層の気孔率を最大限に生かした低誘電率の配線基板を得ることができる。
【0028】
上記の本発明における配線基板Aにおいては、メタライズ配線層2およびビア導体3が、いずれも銅または銀からなる導体以外に、ガラス(非晶質)を1重量%以上、金属酸化物フィラー(結晶質)を1質量%以上含むことが望ましい。
【0029】
これは、メタライズ配線層2やビア導体3中にガラスを含有せしめることによって、メタライズ配線層2やビア導体3に接していた気孔中にガラスが侵入し気孔を埋めることができる。
【0030】
従って、前記ガラス量が1質量%未満の場合、メタライズ配線層近傍の気孔中にガラス成分が侵入しなくなり、気孔が残存する結果、メタライズ配線層2およびビア導体3の周囲にて接触する気孔の数を低減することが困難となる。このガラス量は1.5質量%以上、さらには2質量%以上であることが望ましい。なお、メタライズ配線層2やビア導体3の低抵抗を維持する上では、ガラス量は10質量%以下、特に5質量%以下であることが望ましい。
【0031】
また、金属酸化物フィラー量が1質量%未満の場合、銅粉末の焼結が脱バインダー中に始まり、脱バイ不良による気孔が焼結体中に残留しやすくなるために、メタライズ配線層2およびビア導体3の周囲にて接触する気孔の数を低減することが困難となる。この金属酸化物フィラー量は1.5質量%以上、特に2質量%以上であることが望ましい。なお、メタライズ配線層2やビア導体3の低抵抗を維持する上では、金属酸化物フィラー量は10質量%以下、特に5質量%以下であることが望ましい。
【0032】
また、前記導体ペースト中のガラス粉末は、前記セラミック組成物中のガラス粉末と同一のガラス組成物からなることが望ましい。これにより、メタライズ配線層近傍の気孔中にガラス成分が侵入しやすくなり、気孔を効果的に消滅させることが出来る。
【0033】
さらに、前記導体ペースト中のガラス粉末および前記セラミック組成物中のガラス粉末の屈伏点は、前記絶縁層を形成するガラスの屈伏点以下であることが望ましく、これにより、気孔中へのガラスの侵入を促進することが出来る。脱バインダー性とガラスの侵入の観点から、屈伏点は600〜800℃が好適である。
【0034】
またさらに、前記導体ペースト中の前記ガラスの平均粒径は、前記絶縁層を形成するガラスの平均粒径以下であることがより望ましく、これによっても気孔中へのガラスの侵入を促進することが出来る。印刷性とガラス侵入の観点から平均粒径は0.5〜5μmが好適である。0.5μm未満ではガラス成分の凝集が起こり、気孔中へのガラスの進入がまばらとなり、気孔の残留が生じやすくなる。また、5μm以下とすることで導体ペーストの印刷性を向上できる。
【0035】
次に、本発明のセラミック配線基板の製造方法について説明する。まず、上述したようなガラスとセラミックフィラーによってガラスセラミック組成物を調合する。かかるガラスセラミック組成物は、それ単体で焼成条件を制御することで5〜10%の閉気孔率を有するセラミックスを製造することができるが、さらなる低誘電率化のために閉気孔率を増大させる、または安定して形成するために、かかるガラスセラミック組成物に、焼成時に飛散する添加物(カーボン、BN、樹脂など)を添加したり、ガラス中に気体を発生する発泡源(例えば、水和物)を形成させて、気孔を発生させることもできる。これらの手法を用いて、焼成後に、閉気孔率が5〜20%程度になるように制御する。
【0036】
次に、上記のガラスセラミック組成物に、適当な有機樹脂バインダーを添加した後、所望の成形手段、例えば、射出成形、押し出し成形、ドクターブレード法、カレンダーロール法等の周知の成形方法により任意のグリーンシートに成形する。
【0037】
得られたグリーンシートはNCパンチャーや金型などによりスルーホール加工が施され、所望の金属材料からなる導体ペーストを充填しヴィアホールとし、更に所望のパターンを導体ペーストでスクリーン印刷法やグラビア印刷法などの公知の手法により形成する。
【0038】
この時、用いる導体ペーストとして、銅、銀などの低抵抗金属粉末100重量部に対しガラスを1質量%以上、10質量%以下、酸化物フィラーを1質量%以上、10質量%以下の割合で添加するとともに、これに樹脂、溶剤を加え混錬したものを用いる。低抵抗金属粉末は印刷性の観点から球状のものが好適で、平均粒径が1〜5μmのものが更に好適である。
【0039】
導体ペースト中に配合するガラスは、メタライズ配線層やビア導体の周囲の気孔中にガラスを侵入させるという観点から前記ガラスセラミック組成物中のガラスの屈伏点以下の屈伏点を有すること、前記セラミック組成物中のガラス粉末と同一のガラス組成物からなること、ガラス粉末の平均粒径が、前記セラミック組成物中のガラス粉末の平均粒径以下であること、ガラス粉末の屈伏点が、いずれも600〜800℃であること、ガラス粉末の平均粒径が0.5〜5μmであることのの群から選ばれる少なくとも1つ以上を満足するものであることが望ましい。
【0040】
なお、メタライズ配線層とビアホール導体については全く同じ組成のペーストを用いても良いし、適宜構成比率を変えた組成でもよい。
【0041】
次に、上記のようにして導体ペーストが塗布および導体ペーストが充填されたセラミックグリーンシートを、それぞれを所望の層構成により積層し、一体化することにより、セラミック基板用グリーンシート積層体を得る。
【0042】
次に、グリーンシート積層体の焼成にあたっては、まず、成形のために配合したバインダー成分を除去する。バインダーの除去は、100〜700℃の水蒸気を含有する窒素雰囲気中で行うことができる。この時、成形体の収縮開始温度は700〜850℃程度であることが望ましく、かかる収縮開始温度がこれより低いとバインダーの除去が困難となるため、成形体中の結晶化ガラスの特性、特に屈伏点を前述したように制御することが必要となる。
【0043】
焼成は、850〜950℃の加湿された窒素などの非酸化性雰囲気中で行う。これによりガラスセラミック組成物を焼結させて、開気孔率が2%以下、閉気孔率が5〜20%の焼結体を作製する。それとともに、メタライズ配線層およびビア導体に接していた気孔中には、メタライズ配線層やビア導体中のガラス成分が溶出し気孔に充填される結果、メタライズ配線層やビア導体に接している気孔の数を減少させることができる。
【0044】
本発明のセラミック配線基板は、配線基板の上面またはキャビティを設けた内部に半導体素子、LED素子などの電気素子を収納したBGA(ボールグリッドアレイ)やCSP(チップスケールパッケージ)、LCC(リードレスチップキャリア)などの電気素子収納パッケージや、各種多層基板として応用することができる。とりわけ、信号周波数が1GHz以上、特に5GHz以上、さらには30GHz以上のマイクロ波やミリ波などを用いる高周波用として特に好適に利用される。
【0045】
【実施例】
高い気孔率を有する絶縁基板形成用のガラスセラミック組成物として、質量比でSiO2/BaO/B2O3/CaO/Al2O3=44/23/14/12/7の組成からなる平均粒径が3.5μmのガラスAを50体積%と、平均粒径が3μmのクオーツ50体積%にアクリル樹脂12%、可塑剤4%と適宜のトルエンを加えスラリー化したものをドクターブレード法により厚さ100μmのグリーンシートを成形した。その後、このグリーンシートにNCパンチングにより直径50μmのスルーホール加工を施した。
【0046】
一方、平均粒径3μmの球状銅粉末100重量部に対し、表1の組成からなり、平均粒径が0.3〜8μmのガラス、平均粒径が3μmの金属酸化物フィラーを表2の比率で添加混合し、さらにアクリル樹脂、テルピネオールを加え導体ペーストを調製し、これを前記スルーホールにスクリーン印刷法によって充填するとともに、グリーンシートの表面に回路パターンに印刷してメタライズ配線層を形成した。同様にして作製したセラミックグリーンシートを複数枚積層圧着した後、700℃×1時間の脱バインダ処理の後、900℃×1時間の条件で加湿された窒素雰囲気中で焼成した。
【0047】
また、メタライズ配線層およびビア導体を形成せずにグリーンシートを積層して上記と同様に焼成した。作製した焼結体の開気孔率および閉気孔率を測定した。測定は、アルキメデス法により行った。
【0048】
作製したガラスセラミック配線基板について、断面を観察して、断面に露出しているビア導体およびメタライズ配線層の絶縁層との界面付近を観察し、メタライズ配線層およびビア導体の各周囲長さ100μmの界面長さにおいて、メタライズ配線層およびビア導体と接している気孔の数を観察した。各試料について、100μmの部分を10箇所測定し、その平均を表1に示した。
【0049】
また、マイグレーションの試験を次のようにして行った。焼成後の厚みが50μmのグリーンシート上に40×40μmのベタ層を印刷し、これを2枚重ね合わせ、85℃、85%、5.5Vの高温高湿バイアス試験を実施し、1000時間後の絶縁抵抗の変化を測定した。判定は、106Ω以上を良とした。さらに、メタライズ配線層のシート抵抗を測定した。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
表2の結果からも明らかなように、メタライズ配線層およびビア導体の各周囲長さ100μmあたり2個以下である配線基板は、いずれもマイグレーションの発生が認められず、低いシート抵抗を維持していた。なお、ボイド数が2個/100μmよりも多い試料は、マイグレーションの発生により抵抗が低下したり、ビア導体が周囲の絶縁層から剥離し隙間が発生するなどの問題があった。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明のセラミック配線基板は、高い閉気孔率を有しながらも、配線基板中のメタライズ配線層やビア導体の周囲にメタライズ配線層やビア導体と接触して気孔を存在させることがないために、マイグレーションの発生を抑制でき、従来法による異種絶縁材料のペーストを塗布乾燥するなどの手法に比較してテープの伸び縮みも防止でき、焼成後の収縮バラツキもなく、絶縁材料の閉気孔率導入による低誘電率化を最大限に生かした配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック配線基板の概略断面図である。
【図2】本発明のセラミック配線基板の要部拡大断面図である。
【図3】従来のセラミック配線基板の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1、11・・・高気孔率層
2・・・低気孔率層
3、13・・・配線層
4、14・・・ビアホール
5、15・・・気孔
Claims (8)
- 閉気孔率が5%以上であり且つ、比誘電率が6以下の絶縁層の表面あるいは絶縁層間に、該絶縁層と同時焼成して形成されたメタライズ配線層と、前記絶縁層を貫通するビア導体を配設してなる多層配線基板において、
該メタライズ配線層およびビア導体の断面を観察した場合、ビア導体およびメタライズ配線層の周囲に接触する絶縁層中の気孔径5μm以上の気孔の数がメタライズ配線層およびビア導体の各周囲長さ100μmあたり2個以下であることを特徴とするセラミック配線基板。 - 絶縁層、メタライズ配線層およびビア導体が、いずれもガラスを含有することを特徴とする請求項1記載のセラミック配線基板。
- 少なくともガラス成分を20質量%以上含有し、焼成後の閉気孔率が5%以上、比誘電率が6以下であるセラミック組成物からなるグリーンシートに形成された貫通孔内に導体ペーストを充填してビア導体を形成するとともに、シート表面に、前記導体ペーストを印刷塗布して導体パターンを形成した後、該導体パターンおよびビア導体を形成したグリーンシートを積層し、800〜1050℃の非酸化性雰囲気中で焼成するセラミック配線基板の製造方法において、前記導体ペーストが、銅を主体とする金属成分100質量部に対して、ガラス成分1〜10質量部と、金属酸化物フィラー1〜10質量部とを含有することを特徴とするセラミック配線基板の製造方法。
- 前記導体ペースト中のガラス成分の屈伏点が前記セラミック組成物中のガラスの屈伏点以下であることを特徴とする請求項3記載のセラミック配線基板の製造方法。
- 前記導体ペースト中のガラス成分が、前記セラミック組成物中のガラス成分と同一のガラス組成物からなることを特徴とする請求項3または請求項4記載のセラミック配線基板。
- 前記導体ペースト中のガラス成分の平均粒径が、前記セラミック組成物中のガラス成分の平均粒径以下であることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか記載のセラミック配線基板の製造方法。
- 前記導体ペースト中のガラス成分および前記セラミック組成物中のガラス成分の屈伏点が、いずれも600〜800℃であることを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれか記載のセラミック配線基板の製造方法。
- 前記導体ペースト中のガラス成分の平均粒径が0.5〜5μmであることを特徴とする請求項3乃至請求項7のいずれか記載のセラミック配線基板の製造方法。
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