JP2003277170A - 配線導体用組成物 - Google Patents
配線導体用組成物Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 配線導体の焼成収縮率をガラスセラミックス
と合わせるために添加されたガラスやセラミック粉末等
が高周波信号の伝播を阻害して、高周波特性が悪化して
しまうという問題点があった。 【解決手段】 無機成分として99.0〜99.9質量%の略球
状のCu粉末と0.1〜1.0質量%のガラスまたはセラミッ
ク粉末とを含有して、Cu粉末の粒度分布が、個数積算
分布における10%粒子径をD10、50%粒子径をD50、90
%粒子径をD90としたときに、(D90−D10)/D50≦
2であるとともに、粉末粒径D50が、0.5〜3μmであ
る配線導体用組成物とする。
と合わせるために添加されたガラスやセラミック粉末等
が高周波信号の伝播を阻害して、高周波特性が悪化して
しまうという問題点があった。 【解決手段】 無機成分として99.0〜99.9質量%の略球
状のCu粉末と0.1〜1.0質量%のガラスまたはセラミッ
ク粉末とを含有して、Cu粉末の粒度分布が、個数積算
分布における10%粒子径をD10、50%粒子径をD50、90
%粒子径をD90としたときに、(D90−D10)/D50≦
2であるとともに、粉末粒径D50が、0.5〜3μmであ
る配線導体用組成物とする。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体LSI・チ
ップ部品等を搭載し、それらを相互配線するためのガラ
スセラミック基板に配線導体を形成するのに用いられ、
特に、高周波信号の透過特性が良好な配線導体組成物に
関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、半導体LSI・チップ部品等は小
型化・軽量化が進んでおり、これらを実装する配線基板
も小型化・軽量化が望まれている。このような要求に対
して、基板内に内層の配線導体等を配した多層セラミッ
ク配線基板は、高密度配線の要求に対応が可能であり、
かつ薄型化が可能なことから、今日のエレクトロニクス
業界において多用されている。 【0003】多層セラミック配線基板としては、アルミ
ナ質焼結体から成る絶縁基板の表面および/または内部
にタングステン(W)・モリブデン(Mo)等の高融点
金属から成る配線導体が形成されたものが従来より広く
用いられている。 【0004】一方、近年の高度情報化時代を迎え、使用
される電気信号の周波数帯域はますます高周波帯に移行
しつつある。このような高周波の信号の伝送を行なう高
周波配線基板においては、高周波信号を高速で伝送する
上で、配線導体を形成する導体の抵抗が小さいことが要
求され、また絶縁基板にもより低い誘電率が要求され
る。 【0005】しかし、従来のタングステン・モリブデン
等の高融点金属は導体抵抗が大きく、信号の伝播速度が
遅く、また30GHz以上の高周波領域の信号伝播も困難
であることから、タングステン・モリブデン等の金属に
代えてCu・Ag・Au等の低抵抗金属を使用すること
が必要である。ところが、これら低抵抗金属の融点は最
も融点の高いCuでも1084℃と低いため、800〜1100℃
程度の低温で焼成することが必要であることから、この
ような低抵抗金属から成る配線導体は、高温焼成が必要
なアルミナ質焼結体と同時焼成することができなかっ
た。また、アルミナ質焼結体は誘電率が高いため、絶縁
基板にアルミナ質焼結体を用いた多層セラミック配線基
板は、高周波回路基板としては不適当である。 【0006】このため、最近では、ガラスとセラミック
ス(無機質フィラー)との混合物を焼成して得られるガ
ラスセラミックスを絶縁基板として用いることが注目さ
れている。すなわち、ガラスセラミックスは誘電率が低
いため高周波回路基板用の絶縁基板として好適であり、
またガラスセラミックスは800〜1100℃の低温で焼成で
きることから、Cu・Ag・Au等の低抵抗金属を配線
導体として使用できるという利点がある。 【0007】一方、多層ガラスセラミック配線基板は、
ガラスとフィラーとの混合物に有機バインダ・可塑剤・
溶剤等を加えてスラリーとし、ドクターブレード等によ
りガラスセラミック・グリーンシートを成形した後、C
u・Ag・Au等の低抵抗金属の粉末を含有する導体ペ
ーストを印刷するなどしてガラスセラミック・グリーン
シート上に導体パターンを形成し、次いで、複数枚のガ
ラスセラミック・グリーンシートを積層して800〜1100
℃の温度で焼成して得られる。 【0008】また、上記の低抵抗金属の中で、Cuは貴
金属であるAuやAgより安価であり、またAgに比較
するとマイグレーションによる絶縁不良等の不具合が発
生しにくいといった利点があり、多層ガラスセラミック
配線基板の導体材料として注目されている。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法により多層ガラスセラミック配線基板を製造する際
に、従来のCu導体ペーストをガラスセラミック・グリ
ーンシート上に印刷したガラスセラミック・グリーンシ
ート積層体を焼成した場合、絶縁基板に反りが発生する
ことがあった。この原因はCu導体ペースト中のCu粉
末の粒子形状や粒度分布が考慮されていなかったために
Cu粉末の充填率が悪く、Cu導体ペーストの方がガラ
スセラミックスから成る絶縁層より収縮してしまうから
であった。 【0010】これに対し、Cu導体ペーストの収縮率を
絶縁基板の収縮率と整合させるために、導体ペーストに
ガラスまたはセラミック粉末等の添加を行なっていた。 【0011】しかしながら、この添加されたガラスやセ
ラミック粉末等は絶縁材料であるため、配線導体の抵抗
を高めてしまい高周波信号の伝播を阻害してしまい、高
周波特性が悪化してしまうという問題点があった。 【0012】この高周波特性の悪化の一例として、高周
波信号の損失が大きくなることにより入力信号の振幅に
対して出力信号の振幅が小さくなってしまうという透過
特性の悪化がある。この透過特性の悪化の対策として
は、高周波信号の電力を上げることが考えられるが、こ
れは近年の携帯電話等の通信機器に対する省電力化の要
求に反することとなるという問題点があった。 【0013】本発明は以上のような従来技術の問題点に
鑑みて案出されたものであり、その目的は、ガラスセラ
ミック基板の表層および/または内層に高周波信号の透
過特性の良好な配線導体を形成することが可能な配線導
体用組成物を提供することにある。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明の配線導体組成物
は、800〜1100℃で焼成されるガラスセラミック基板の
表層または内層に配線導体層を形成するための配線導体
用組成物であって、無機成分として99.0〜99.9質量%の
略球状のCu粉末と0.1〜1.0質量%のガラスまたはセラ
ミック粉末とを含有し、前記Cu粉末の粒度分布が、個
数積算分布における10%粒子径をD10、50%粒子径をD
50、90%粒子径をD90としたときに(D90−D10)/D
50≦2であるとともに、粉末粒径D50が0.5〜3μmで
あることを特徴とするものである。 【0015】本発明の配線導体用組成物によれば、無機
成分として99.0〜99.9質量%のCu粉末と0.1〜1.0質量
%のガラスまたはセラミック粉末とを含有していること
から、抵抗の高いガラスまたはセラミック粉末が少ない
ので配線導体の電気抵抗が小さくなり、高周波信号の伝
播ロスが少なくなる。 【0016】また、Cu粉末は略球状で、Cu粉末の粒
度分布が、個数積算分布における10%粒子径をD10、50
%粒子径をD50、90%粒子径をD90としたときに(D90
−D10)/D50≦2であるとともに、粉末粒径D50が0.
5〜3μmであることから、Cu粉末の充填性が向上す
るのでCu粉末の焼成収縮が抑えられて、ガラスセラミ
ック・グリーンシートの収縮と整合させて基板の反りを
抑えることが可能となり、また、電気抵抗が小さくなる
ので信号伝播のロスが少なくなり、さらに、配線導体の
表面粗さが小さくなるので配線導体の表面の凹凸による
高周波信号の伝播距離が長くなるのを抑えることが可能
となり、高周波信号の伝播ロスが少なくなる。 【0017】以上により、本発明の配線導体用組成物に
よれば、ガラスセラミック基板の表層および/または内
層に高周波信号の透過特性の良好な配線導体を形成する
ことが可能となる。 【0018】 【発明の実施の形態】以下、本発明の配線導体用組成物
について添付図面を参照しつつ説明する。 【0019】図1は本発明の配線導体用組成物を用いて
配線導体を形成したガラスセラミック基板の実施の形態
の一例を示す透視斜視図であり、1はガラスセラミック
基板を構成するガラスセラミック絶縁層、2は貫通導
体、3は配線導体、4はこれらガラスセラミック絶縁層
1・貫通導体2および配線導体3から成るガラスセラミ
ック配線基板である。 【0020】ガラスセラミック配線基板4は、ガラスと
フィラーとの混合物に有機バインダ・可塑剤・溶剤等を
加えてスラリーとし、ドクターブレード法等によりガラ
スセラミック絶縁層1となるガラスセラミック・グリー
ンシートを成形した後、所定の貫通孔を金型にて打ち抜
き加工し、この貫通孔に貫通導体2となる所定の導体ペ
ーストをスクリーン印刷にて充填し、また配線導体3の
パターンとなるように導体ペーストを印刷するなどして
このグリーンシート上に導体パターンを形成し、次い
で、複数枚のこれらグリーンシートを積層して800〜110
0℃程度の温度で焼成することによって得られる。 【0021】配線導体3を形成するための導体ペースト
は、Cu粉末・ガラスまたはセラミック粉末から成る無
機成分である配線導体用組成物を攪拌脱泡機にて予備分
散させた後、3本ロール等を用いて樹脂および溶剤を主
成分とするビヒクルに分散させてペースト状にすること
により調製されるものであり、汎用的なスクリーン印刷
によりガラスセラミック・グリーンシート上に印刷する
ことができる。 【0022】なお、このビヒクルの成分は特に限定され
ないが、例えば、エチルセルロース・ニトロセルロース
・アクリル等の樹脂を単独であるいは混合して用い、こ
の樹脂をターピネオール・ブチルカルビトールアセテー
ト等の溶剤やフタル酸ブチル等の可塑剤に溶解させて調
製される。ビヒクル成分の量は、無機成分であるCu粉
末・ガラスまたはセラミック粉末を分散させ、スクリー
ン印刷に適した粘度の導体ペーストとなすことが可能な
量とすればよい。 【0023】本発明の配線導体用組成物を構成する無機
成分は、99.0〜99.9質量%の略球状のCu粉末と0.1〜
1.0質量%のガラスまたはセラミック粉末とを含有する
ものである。無機成分として99.0〜99.9質量%のCu粉
末と0.1〜1.0質量%のガラスまたはセラミック粉末とを
含有していることから、抵抗の高いガラスまたはセラミ
ック粉末が少ないので配線導体の電気抵抗が小さくな
り、高周波信号の伝播ロスが少なくなる。また、Cu粉
末の形状が略球状であることから、Cu粉末の充填性が
良好なものとなるので、Cu粉末の焼成収縮が抑えられ
て、ガラスセラミック・グリーンシートの収縮と整合さ
せて基板の反りを抑えることが可能となるとともに、配
線導体の電気抵抗が小さくなり高周波信号の伝播ロスが
少なくなる。 【0024】Cu粉末が99.0質量%より少ないと、抵抗
の高いガラスまたはセラミック粉末が多くなることによ
り、配線導体3の電気抵抗が大きくなり、高周波信号の
伝播ロスが大きくなる。また一方、ガラスまたはセラミ
ック粉末が0.1質量%より少ないと、Cu粉末の焼結を
遅らせる成分が少なすぎることとなるために、ガラスセ
ラミックスより低い温度で焼結が進んでしまうのでガラ
スセラミック配線基板4が反りやすくなる傾向があり、
また、表層の配線導体3とガラスセラミック絶縁層1と
の接着力が小さくなる傾向がある。 【0025】このガラス粉末としては、例えばSiO2
−B2O3系・SiO2−B2O3−Al 2O3系・SiO2−
B2O3−Al2O3−MO系(但し、MはCa,Sr,M
g,BaまたはZnを示す)・SiO2−Al2O3−M1
O−M2O系(但し、M1およびM2は同一または異なっ
てCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す)・SiO
2−B2O3−Al2O3−M1O−M2O系(但し、M1およ
びM2は前記と同じである)・SiO2−B2O3−M3 2O
系(但し、M3はLi,NaまたはKを示す)・SiO2
−B2O3−Al2O3−M3 2O系(但し、M3は前記と同
じである)・Pb系ガラス・Bi系ガラス等が挙げられ
る。 【0026】ガラス粉末は、配線導体3とガラスセラミ
ック絶縁層1との接着剤としても作用するので、その軟
化点はガラスセラミック絶縁層1の成分の焼結温度と同
程度のものが望ましい。 【0027】また、セラミック粉末としては、例えばA
l2O3,SiO2,ZrO2とアルカリ土類金属酸化物と
の複合酸化物・TiO2とアルカリ土類金属酸化物との
複合酸化物・Al2O3およびSiO2から選ばれる少な
くとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル,ムライ
ト,コージェライト)等が挙げられる。 【0028】なお、ガラスまたはセラミック粉末の粒径
は、配線導体用組成物のガラスまたはセラミック粉末を
導体ペースト中に均一に分散させるために、D50を0.5
〜3μmとしておくのがよい。 【0029】本発明の配線導体用組成物を構成するCu
粉末については、Cu粉末の粒度分布が、個数積算分布
における10%粒子径をD10、50%粒子径をD50、90%粒
子径をD90としたときに、(D90−D10)/D50≦2で
あるとともに、粉末粒径D50が0.5〜3μmであること
が重要である。これにより、Cu粉末の充填性が向上す
るのでCu粉末の焼成収縮が抑えられてガラスセラミッ
ク・グリーンシートの収縮と整合させて基板の反りを抑
えることが可能となり、また、電気抵抗が小さくなって
高周波信号の伝播ロスが少なくなり、さらに、配線導体
3の表面粗さが小さくなるので、配線導体の表面の凹凸
による高周波信号の伝播距離が長くなるのを抑えること
が可能となり、高周波信号の伝播ロスが少なくなる。 【0030】D50が0.5μmより小さいと、Cu粉末が
凝集しやすくなるのでCu粉末自身の充填性が悪くな
り、また、比表面積が大きくなるので導体ペーストを作
製する際にCu粉末を分散させるためのビヒクル成分の
量が多くなることから、配線導体3の焼成収縮が大きく
なるので、ガラスセラミック配線基板4が反りやすくな
る。 【0031】これに対して、D50が3μmより大きい
と、Cu粉末が焼結しにくくなる傾向があり、その結果
として配線導体3の電気抵抗が大きくなり高周波信号の
伝播ロスが大きくなる傾向にある。また、焼成収縮がガ
ラスセラミック・グリーンシートより小さくなり、ガラ
スセラミック配線基板4が反りやすくなる。さらには、
粒径が大きいために配線導体3の表面粗さが大きくなる
ことから、配線導体3の表面の凹凸により高周波信号の
伝播距離が長くなるので、高周波信号の伝播ロスが大き
くなる。 【0032】さらに、D50が上記最適範囲内でも、粒径
が極端に小さいあるいは大きいCu粉末が多く含まれる
場合には同様に欠陥が発生しやすくなる傾向があるの
で、粒度分布が個数積算分布における10%粒子径をD1
0、50%粒子径をD50、90%粒子径をD90としたとき
に、(D90−D10)/D50≦2であることが重要であ
る。 【0033】これは、粒径の小さいCu粉末が多量に存
在すると、その粒径の小さいCu粉末が充填性を阻害
し、結果としてD50が0.5μmより小さい場合と同様な
作用をすることとなるからである。また、粒径の大きい
Cu粉末が多量に存在する場合も、D50が3μmより大
きい場合と同様に、Cu粉末が焼結しにくくなる傾向が
あり、電気抵抗が大きくなり高周波信号の伝播ロスが大
きくなったり、ガラスセラミック配線基板4が反りやす
くなったりする傾向がある。また、粒径が大きいために
配線導体3の表面粗さが大きくなることから、配線導体
3の表面の凹凸により高周波信号の伝播距離が長くなる
ので、高周波信号の伝播ロスが大きくなる傾向がある。 【0034】なお、Cu粉末の粒径は、例えばレーザ式
粒度分布測定装置により測定し、D50、D10およびD90
を算出することにより得られる。 【0035】 【実施例】以下、実施例を挙げて本発明の配線導体用組
成物を詳細に説明する。 【0036】ガラスセラミック絶縁層の成分として、S
iO2−Al2O3−MgO−B2O3−ZnO系ガラス粉
末60質量%、CaZrO3粉末20質量%、SrTiO3粉
末17質量%およびAl2O3粉末3質量%を使用した。こ
のガラスセラミック成分100質量部に有機バインダとし
てアクリル樹脂12質量部、フタル酸系可塑剤6質量部お
よび溶剤としてトルエン30質量部を加え、ボールミル法
により混合しスラリーとした。このスラリーを用いてド
クターブレード法により厚さ300μmのガラスセラミッ
ク・グリーンシートを成形した。 【0037】また、表1に示すような粒径および粒度分
布で略球状のCu粉末とD50が2μmでSiO2−Al2
O3−MgO−B2O3−ZnO系の略球状のガラス粉末
とを表1に示すようなCu粉末の含有率となるようにし
た無機粉末100質量部に対して、所定量のアクリル系樹
脂・ニトロセルロース系樹脂・テルピネオールを加え、
3本ロールにより適度な粘度になるように混合して配線
導体用の導体ペーストを作製した。 【0038】また、貫通導体ペーストもこの配線導体用
の導体ペーストと同様に、D50が3μmで略球状のCu
粉末90質量%とD50が2μmでSiO2−Al2O3−M
gO−B2O3−ZnO系の略球状のガラス粉末10質量%
とから成る無機粉末100質量部に対して所定量のアクリ
ル系樹脂・ニトロセルロース系樹脂・テルピネオールを
加え、3本ロールにより適度な粘度になるように混合し
て作製した。 【0039】そして、ガラスセラミック・グリーンシー
トに直径200μmの貫通孔を金型を用いて開孔し、その
貫通孔にスクリーン印刷で貫通導体ペーストを充填し、
また導体ペーストをスクリーン印刷で所定パターン形状
に塗布し、70℃で1時間乾燥した後、これらを4枚を重
ね、温度55℃,圧力200kg/cm2の条件で10秒間加圧
して一体化した。得られた積層体をアルミナセッターに
載置し、100〜700℃の水蒸気を含む窒素雰囲気中で有機
物の除去を行ない、次いで、窒素雰囲気中で850℃で1
時間焼成して図1に示すようなガラスセラミック配線基
板を作製した。 【0040】上述の手順で得られたガラスセラミック配
線基板について、配線導体の一端から5GHzの高周波
信号を入力し、他端の出力信号から入力信号と出力信号
の振幅の比率(入出比)を測定した。また、100mm□
のガラスセラミック配線基板の反りの測定を行ない、反
りが200μm未満のものを合格とした(表1中では反り
の欄に○で表示した)。さらに、総合判定は、信号入出
比が0.9以上で、反りが200μm未満のものを合格とした
(表1中では総合判定の欄に○で表示した)。 【0041】 【表1】 【0042】表1の結果より、本発明の範囲内である、
無機成分として99.0〜99.9質量%のCu粉末と0.1〜1.0
質量%のガラスまたはセラミック粉末とを含有し、Cu
粉末の粒度分布が(D90−D10)/D50≦2であるとと
もに、粉末粒径D50が0.5〜3μmである試料No.
3,4,7,8,9,11,12,13では、配線導体の5G
Hz帯での信号入出比が0.9以上で、大きな反りの発生
もない優れた特性を備えた配線導体を有するガラスセラ
ミック配線基板が得られていることが分かる。 【0043】試料No.1,2は、入出比がそれぞれ0.
7,0.8と高周波信号の伝播ロスが大きいものとなっ
た。これは、Cuと比較して抵抗の高いガラス粉末の含
有量が多いので、配線導体の電気抵抗が小さくなり高周
波信号の伝播ロスが大きくなったためである。 【0044】これに対し、試料No.5は抵抗の高いガ
ラス粉末を含有していないため信号伝播ロスは小さい
が、Cu粉末の焼結を遅らせる成分がないために、ガラ
スセラミックスの焼結収縮のタイミングより早いタイミ
ングで導体ペーストが焼結収縮を開始してガラスセラミ
ック配線基板が反ってしまったと考えられる。 【0045】試料No.6は、Cu粉末の粒径D50が小
さいために、導体ペーストを作製する際にCu粉末を分
散させるために添加するビヒクル成分の量が多くなって
しまったので、塗布された導体ペースト中のCu粉末間
の距離が長くなり、焼成工程においてCu粉末が緻密に
焼結できなかったために電気抵抗が上昇してしまって、
入出比が大きくなったと考えられる。また、収縮が大き
くなり、反りも発生した。 【0046】試料No.10は、Cu粉末の粒径D50が大
きいため充分に焼結収縮せず、また、配線導体の表面粗
さが大きくなったために、入出比が大きくなったと考え
られる。また、焼結収縮が完了していないため反りが発
生した。 【0047】試料No.14は、(D90−D10)/D50=
3であるので、粒径の大きいCu粉末が多量に存在し、
Cu粉末の粒径D50が大きい場合と同じく焼結収縮が完
了せずに電気抵抗が上昇し、配線導体の5GHz帯の入
出比が大きく低下したと考える。また、焼結収縮が完了
していないため反りが発生した。 【0048】なお、本発明は以上の実施の形態の例に限
定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲
で種々の変更を加えることは何ら差し支えない。 【0049】 【発明の効果】本発明の配線導体用組成物によれば、無
機成分として99.0〜99.9質量%のCu粉末と0.1〜1.0質
量%のガラスまたはセラミック粉末とを含有しているこ
とから、抵抗の高いガラスまたはセラミック粉末が少な
いので配線導体の電気抵抗が小さくなり信号伝播のロス
が少なくなる。 【0050】また、Cu粉末は略球状で、Cu粉末の粒
度分布が、個数積算分布における10%粒子径をD10、50
%粒子径をD50、90%粒子径をD90としたときに、(D
90−D10)/D50≦2であるとともに、粉末粒径D50が
0.5〜3μmであることから、Cu粉末の充填性が向上
するので、Cu粉末の焼成収縮が抑えられてガラスセラ
ミック・グリーンシートの収縮と整合させて基板の反り
を抑えることが可能となり、また、電気抵抗が小さくな
るので高周波信号の伝播ロスが少なくなり、また、配線
導体の表面粗さが小さくなるので、配線導体の表面の凹
凸による高周波信号の伝播距離が長くなるのを抑えるこ
とが可能となり、高周波信号の伝播ロスが少なくなる。 【0051】以上のように、本発明の配線導体用組成物
によれば、ガラスセラミック配線基板の表層および/ま
たは内層に高周波信号の透過特性の良好な配線導体を形
成することが可能となる。
ップ部品等を搭載し、それらを相互配線するためのガラ
スセラミック基板に配線導体を形成するのに用いられ、
特に、高周波信号の透過特性が良好な配線導体組成物に
関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、半導体LSI・チップ部品等は小
型化・軽量化が進んでおり、これらを実装する配線基板
も小型化・軽量化が望まれている。このような要求に対
して、基板内に内層の配線導体等を配した多層セラミッ
ク配線基板は、高密度配線の要求に対応が可能であり、
かつ薄型化が可能なことから、今日のエレクトロニクス
業界において多用されている。 【0003】多層セラミック配線基板としては、アルミ
ナ質焼結体から成る絶縁基板の表面および/または内部
にタングステン(W)・モリブデン(Mo)等の高融点
金属から成る配線導体が形成されたものが従来より広く
用いられている。 【0004】一方、近年の高度情報化時代を迎え、使用
される電気信号の周波数帯域はますます高周波帯に移行
しつつある。このような高周波の信号の伝送を行なう高
周波配線基板においては、高周波信号を高速で伝送する
上で、配線導体を形成する導体の抵抗が小さいことが要
求され、また絶縁基板にもより低い誘電率が要求され
る。 【0005】しかし、従来のタングステン・モリブデン
等の高融点金属は導体抵抗が大きく、信号の伝播速度が
遅く、また30GHz以上の高周波領域の信号伝播も困難
であることから、タングステン・モリブデン等の金属に
代えてCu・Ag・Au等の低抵抗金属を使用すること
が必要である。ところが、これら低抵抗金属の融点は最
も融点の高いCuでも1084℃と低いため、800〜1100℃
程度の低温で焼成することが必要であることから、この
ような低抵抗金属から成る配線導体は、高温焼成が必要
なアルミナ質焼結体と同時焼成することができなかっ
た。また、アルミナ質焼結体は誘電率が高いため、絶縁
基板にアルミナ質焼結体を用いた多層セラミック配線基
板は、高周波回路基板としては不適当である。 【0006】このため、最近では、ガラスとセラミック
ス(無機質フィラー)との混合物を焼成して得られるガ
ラスセラミックスを絶縁基板として用いることが注目さ
れている。すなわち、ガラスセラミックスは誘電率が低
いため高周波回路基板用の絶縁基板として好適であり、
またガラスセラミックスは800〜1100℃の低温で焼成で
きることから、Cu・Ag・Au等の低抵抗金属を配線
導体として使用できるという利点がある。 【0007】一方、多層ガラスセラミック配線基板は、
ガラスとフィラーとの混合物に有機バインダ・可塑剤・
溶剤等を加えてスラリーとし、ドクターブレード等によ
りガラスセラミック・グリーンシートを成形した後、C
u・Ag・Au等の低抵抗金属の粉末を含有する導体ペ
ーストを印刷するなどしてガラスセラミック・グリーン
シート上に導体パターンを形成し、次いで、複数枚のガ
ラスセラミック・グリーンシートを積層して800〜1100
℃の温度で焼成して得られる。 【0008】また、上記の低抵抗金属の中で、Cuは貴
金属であるAuやAgより安価であり、またAgに比較
するとマイグレーションによる絶縁不良等の不具合が発
生しにくいといった利点があり、多層ガラスセラミック
配線基板の導体材料として注目されている。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法により多層ガラスセラミック配線基板を製造する際
に、従来のCu導体ペーストをガラスセラミック・グリ
ーンシート上に印刷したガラスセラミック・グリーンシ
ート積層体を焼成した場合、絶縁基板に反りが発生する
ことがあった。この原因はCu導体ペースト中のCu粉
末の粒子形状や粒度分布が考慮されていなかったために
Cu粉末の充填率が悪く、Cu導体ペーストの方がガラ
スセラミックスから成る絶縁層より収縮してしまうから
であった。 【0010】これに対し、Cu導体ペーストの収縮率を
絶縁基板の収縮率と整合させるために、導体ペーストに
ガラスまたはセラミック粉末等の添加を行なっていた。 【0011】しかしながら、この添加されたガラスやセ
ラミック粉末等は絶縁材料であるため、配線導体の抵抗
を高めてしまい高周波信号の伝播を阻害してしまい、高
周波特性が悪化してしまうという問題点があった。 【0012】この高周波特性の悪化の一例として、高周
波信号の損失が大きくなることにより入力信号の振幅に
対して出力信号の振幅が小さくなってしまうという透過
特性の悪化がある。この透過特性の悪化の対策として
は、高周波信号の電力を上げることが考えられるが、こ
れは近年の携帯電話等の通信機器に対する省電力化の要
求に反することとなるという問題点があった。 【0013】本発明は以上のような従来技術の問題点に
鑑みて案出されたものであり、その目的は、ガラスセラ
ミック基板の表層および/または内層に高周波信号の透
過特性の良好な配線導体を形成することが可能な配線導
体用組成物を提供することにある。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明の配線導体組成物
は、800〜1100℃で焼成されるガラスセラミック基板の
表層または内層に配線導体層を形成するための配線導体
用組成物であって、無機成分として99.0〜99.9質量%の
略球状のCu粉末と0.1〜1.0質量%のガラスまたはセラ
ミック粉末とを含有し、前記Cu粉末の粒度分布が、個
数積算分布における10%粒子径をD10、50%粒子径をD
50、90%粒子径をD90としたときに(D90−D10)/D
50≦2であるとともに、粉末粒径D50が0.5〜3μmで
あることを特徴とするものである。 【0015】本発明の配線導体用組成物によれば、無機
成分として99.0〜99.9質量%のCu粉末と0.1〜1.0質量
%のガラスまたはセラミック粉末とを含有していること
から、抵抗の高いガラスまたはセラミック粉末が少ない
ので配線導体の電気抵抗が小さくなり、高周波信号の伝
播ロスが少なくなる。 【0016】また、Cu粉末は略球状で、Cu粉末の粒
度分布が、個数積算分布における10%粒子径をD10、50
%粒子径をD50、90%粒子径をD90としたときに(D90
−D10)/D50≦2であるとともに、粉末粒径D50が0.
5〜3μmであることから、Cu粉末の充填性が向上す
るのでCu粉末の焼成収縮が抑えられて、ガラスセラミ
ック・グリーンシートの収縮と整合させて基板の反りを
抑えることが可能となり、また、電気抵抗が小さくなる
ので信号伝播のロスが少なくなり、さらに、配線導体の
表面粗さが小さくなるので配線導体の表面の凹凸による
高周波信号の伝播距離が長くなるのを抑えることが可能
となり、高周波信号の伝播ロスが少なくなる。 【0017】以上により、本発明の配線導体用組成物に
よれば、ガラスセラミック基板の表層および/または内
層に高周波信号の透過特性の良好な配線導体を形成する
ことが可能となる。 【0018】 【発明の実施の形態】以下、本発明の配線導体用組成物
について添付図面を参照しつつ説明する。 【0019】図1は本発明の配線導体用組成物を用いて
配線導体を形成したガラスセラミック基板の実施の形態
の一例を示す透視斜視図であり、1はガラスセラミック
基板を構成するガラスセラミック絶縁層、2は貫通導
体、3は配線導体、4はこれらガラスセラミック絶縁層
1・貫通導体2および配線導体3から成るガラスセラミ
ック配線基板である。 【0020】ガラスセラミック配線基板4は、ガラスと
フィラーとの混合物に有機バインダ・可塑剤・溶剤等を
加えてスラリーとし、ドクターブレード法等によりガラ
スセラミック絶縁層1となるガラスセラミック・グリー
ンシートを成形した後、所定の貫通孔を金型にて打ち抜
き加工し、この貫通孔に貫通導体2となる所定の導体ペ
ーストをスクリーン印刷にて充填し、また配線導体3の
パターンとなるように導体ペーストを印刷するなどして
このグリーンシート上に導体パターンを形成し、次い
で、複数枚のこれらグリーンシートを積層して800〜110
0℃程度の温度で焼成することによって得られる。 【0021】配線導体3を形成するための導体ペースト
は、Cu粉末・ガラスまたはセラミック粉末から成る無
機成分である配線導体用組成物を攪拌脱泡機にて予備分
散させた後、3本ロール等を用いて樹脂および溶剤を主
成分とするビヒクルに分散させてペースト状にすること
により調製されるものであり、汎用的なスクリーン印刷
によりガラスセラミック・グリーンシート上に印刷する
ことができる。 【0022】なお、このビヒクルの成分は特に限定され
ないが、例えば、エチルセルロース・ニトロセルロース
・アクリル等の樹脂を単独であるいは混合して用い、こ
の樹脂をターピネオール・ブチルカルビトールアセテー
ト等の溶剤やフタル酸ブチル等の可塑剤に溶解させて調
製される。ビヒクル成分の量は、無機成分であるCu粉
末・ガラスまたはセラミック粉末を分散させ、スクリー
ン印刷に適した粘度の導体ペーストとなすことが可能な
量とすればよい。 【0023】本発明の配線導体用組成物を構成する無機
成分は、99.0〜99.9質量%の略球状のCu粉末と0.1〜
1.0質量%のガラスまたはセラミック粉末とを含有する
ものである。無機成分として99.0〜99.9質量%のCu粉
末と0.1〜1.0質量%のガラスまたはセラミック粉末とを
含有していることから、抵抗の高いガラスまたはセラミ
ック粉末が少ないので配線導体の電気抵抗が小さくな
り、高周波信号の伝播ロスが少なくなる。また、Cu粉
末の形状が略球状であることから、Cu粉末の充填性が
良好なものとなるので、Cu粉末の焼成収縮が抑えられ
て、ガラスセラミック・グリーンシートの収縮と整合さ
せて基板の反りを抑えることが可能となるとともに、配
線導体の電気抵抗が小さくなり高周波信号の伝播ロスが
少なくなる。 【0024】Cu粉末が99.0質量%より少ないと、抵抗
の高いガラスまたはセラミック粉末が多くなることによ
り、配線導体3の電気抵抗が大きくなり、高周波信号の
伝播ロスが大きくなる。また一方、ガラスまたはセラミ
ック粉末が0.1質量%より少ないと、Cu粉末の焼結を
遅らせる成分が少なすぎることとなるために、ガラスセ
ラミックスより低い温度で焼結が進んでしまうのでガラ
スセラミック配線基板4が反りやすくなる傾向があり、
また、表層の配線導体3とガラスセラミック絶縁層1と
の接着力が小さくなる傾向がある。 【0025】このガラス粉末としては、例えばSiO2
−B2O3系・SiO2−B2O3−Al 2O3系・SiO2−
B2O3−Al2O3−MO系(但し、MはCa,Sr,M
g,BaまたはZnを示す)・SiO2−Al2O3−M1
O−M2O系(但し、M1およびM2は同一または異なっ
てCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す)・SiO
2−B2O3−Al2O3−M1O−M2O系(但し、M1およ
びM2は前記と同じである)・SiO2−B2O3−M3 2O
系(但し、M3はLi,NaまたはKを示す)・SiO2
−B2O3−Al2O3−M3 2O系(但し、M3は前記と同
じである)・Pb系ガラス・Bi系ガラス等が挙げられ
る。 【0026】ガラス粉末は、配線導体3とガラスセラミ
ック絶縁層1との接着剤としても作用するので、その軟
化点はガラスセラミック絶縁層1の成分の焼結温度と同
程度のものが望ましい。 【0027】また、セラミック粉末としては、例えばA
l2O3,SiO2,ZrO2とアルカリ土類金属酸化物と
の複合酸化物・TiO2とアルカリ土類金属酸化物との
複合酸化物・Al2O3およびSiO2から選ばれる少な
くとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル,ムライ
ト,コージェライト)等が挙げられる。 【0028】なお、ガラスまたはセラミック粉末の粒径
は、配線導体用組成物のガラスまたはセラミック粉末を
導体ペースト中に均一に分散させるために、D50を0.5
〜3μmとしておくのがよい。 【0029】本発明の配線導体用組成物を構成するCu
粉末については、Cu粉末の粒度分布が、個数積算分布
における10%粒子径をD10、50%粒子径をD50、90%粒
子径をD90としたときに、(D90−D10)/D50≦2で
あるとともに、粉末粒径D50が0.5〜3μmであること
が重要である。これにより、Cu粉末の充填性が向上す
るのでCu粉末の焼成収縮が抑えられてガラスセラミッ
ク・グリーンシートの収縮と整合させて基板の反りを抑
えることが可能となり、また、電気抵抗が小さくなって
高周波信号の伝播ロスが少なくなり、さらに、配線導体
3の表面粗さが小さくなるので、配線導体の表面の凹凸
による高周波信号の伝播距離が長くなるのを抑えること
が可能となり、高周波信号の伝播ロスが少なくなる。 【0030】D50が0.5μmより小さいと、Cu粉末が
凝集しやすくなるのでCu粉末自身の充填性が悪くな
り、また、比表面積が大きくなるので導体ペーストを作
製する際にCu粉末を分散させるためのビヒクル成分の
量が多くなることから、配線導体3の焼成収縮が大きく
なるので、ガラスセラミック配線基板4が反りやすくな
る。 【0031】これに対して、D50が3μmより大きい
と、Cu粉末が焼結しにくくなる傾向があり、その結果
として配線導体3の電気抵抗が大きくなり高周波信号の
伝播ロスが大きくなる傾向にある。また、焼成収縮がガ
ラスセラミック・グリーンシートより小さくなり、ガラ
スセラミック配線基板4が反りやすくなる。さらには、
粒径が大きいために配線導体3の表面粗さが大きくなる
ことから、配線導体3の表面の凹凸により高周波信号の
伝播距離が長くなるので、高周波信号の伝播ロスが大き
くなる。 【0032】さらに、D50が上記最適範囲内でも、粒径
が極端に小さいあるいは大きいCu粉末が多く含まれる
場合には同様に欠陥が発生しやすくなる傾向があるの
で、粒度分布が個数積算分布における10%粒子径をD1
0、50%粒子径をD50、90%粒子径をD90としたとき
に、(D90−D10)/D50≦2であることが重要であ
る。 【0033】これは、粒径の小さいCu粉末が多量に存
在すると、その粒径の小さいCu粉末が充填性を阻害
し、結果としてD50が0.5μmより小さい場合と同様な
作用をすることとなるからである。また、粒径の大きい
Cu粉末が多量に存在する場合も、D50が3μmより大
きい場合と同様に、Cu粉末が焼結しにくくなる傾向が
あり、電気抵抗が大きくなり高周波信号の伝播ロスが大
きくなったり、ガラスセラミック配線基板4が反りやす
くなったりする傾向がある。また、粒径が大きいために
配線導体3の表面粗さが大きくなることから、配線導体
3の表面の凹凸により高周波信号の伝播距離が長くなる
ので、高周波信号の伝播ロスが大きくなる傾向がある。 【0034】なお、Cu粉末の粒径は、例えばレーザ式
粒度分布測定装置により測定し、D50、D10およびD90
を算出することにより得られる。 【0035】 【実施例】以下、実施例を挙げて本発明の配線導体用組
成物を詳細に説明する。 【0036】ガラスセラミック絶縁層の成分として、S
iO2−Al2O3−MgO−B2O3−ZnO系ガラス粉
末60質量%、CaZrO3粉末20質量%、SrTiO3粉
末17質量%およびAl2O3粉末3質量%を使用した。こ
のガラスセラミック成分100質量部に有機バインダとし
てアクリル樹脂12質量部、フタル酸系可塑剤6質量部お
よび溶剤としてトルエン30質量部を加え、ボールミル法
により混合しスラリーとした。このスラリーを用いてド
クターブレード法により厚さ300μmのガラスセラミッ
ク・グリーンシートを成形した。 【0037】また、表1に示すような粒径および粒度分
布で略球状のCu粉末とD50が2μmでSiO2−Al2
O3−MgO−B2O3−ZnO系の略球状のガラス粉末
とを表1に示すようなCu粉末の含有率となるようにし
た無機粉末100質量部に対して、所定量のアクリル系樹
脂・ニトロセルロース系樹脂・テルピネオールを加え、
3本ロールにより適度な粘度になるように混合して配線
導体用の導体ペーストを作製した。 【0038】また、貫通導体ペーストもこの配線導体用
の導体ペーストと同様に、D50が3μmで略球状のCu
粉末90質量%とD50が2μmでSiO2−Al2O3−M
gO−B2O3−ZnO系の略球状のガラス粉末10質量%
とから成る無機粉末100質量部に対して所定量のアクリ
ル系樹脂・ニトロセルロース系樹脂・テルピネオールを
加え、3本ロールにより適度な粘度になるように混合し
て作製した。 【0039】そして、ガラスセラミック・グリーンシー
トに直径200μmの貫通孔を金型を用いて開孔し、その
貫通孔にスクリーン印刷で貫通導体ペーストを充填し、
また導体ペーストをスクリーン印刷で所定パターン形状
に塗布し、70℃で1時間乾燥した後、これらを4枚を重
ね、温度55℃,圧力200kg/cm2の条件で10秒間加圧
して一体化した。得られた積層体をアルミナセッターに
載置し、100〜700℃の水蒸気を含む窒素雰囲気中で有機
物の除去を行ない、次いで、窒素雰囲気中で850℃で1
時間焼成して図1に示すようなガラスセラミック配線基
板を作製した。 【0040】上述の手順で得られたガラスセラミック配
線基板について、配線導体の一端から5GHzの高周波
信号を入力し、他端の出力信号から入力信号と出力信号
の振幅の比率(入出比)を測定した。また、100mm□
のガラスセラミック配線基板の反りの測定を行ない、反
りが200μm未満のものを合格とした(表1中では反り
の欄に○で表示した)。さらに、総合判定は、信号入出
比が0.9以上で、反りが200μm未満のものを合格とした
(表1中では総合判定の欄に○で表示した)。 【0041】 【表1】 【0042】表1の結果より、本発明の範囲内である、
無機成分として99.0〜99.9質量%のCu粉末と0.1〜1.0
質量%のガラスまたはセラミック粉末とを含有し、Cu
粉末の粒度分布が(D90−D10)/D50≦2であるとと
もに、粉末粒径D50が0.5〜3μmである試料No.
3,4,7,8,9,11,12,13では、配線導体の5G
Hz帯での信号入出比が0.9以上で、大きな反りの発生
もない優れた特性を備えた配線導体を有するガラスセラ
ミック配線基板が得られていることが分かる。 【0043】試料No.1,2は、入出比がそれぞれ0.
7,0.8と高周波信号の伝播ロスが大きいものとなっ
た。これは、Cuと比較して抵抗の高いガラス粉末の含
有量が多いので、配線導体の電気抵抗が小さくなり高周
波信号の伝播ロスが大きくなったためである。 【0044】これに対し、試料No.5は抵抗の高いガ
ラス粉末を含有していないため信号伝播ロスは小さい
が、Cu粉末の焼結を遅らせる成分がないために、ガラ
スセラミックスの焼結収縮のタイミングより早いタイミ
ングで導体ペーストが焼結収縮を開始してガラスセラミ
ック配線基板が反ってしまったと考えられる。 【0045】試料No.6は、Cu粉末の粒径D50が小
さいために、導体ペーストを作製する際にCu粉末を分
散させるために添加するビヒクル成分の量が多くなって
しまったので、塗布された導体ペースト中のCu粉末間
の距離が長くなり、焼成工程においてCu粉末が緻密に
焼結できなかったために電気抵抗が上昇してしまって、
入出比が大きくなったと考えられる。また、収縮が大き
くなり、反りも発生した。 【0046】試料No.10は、Cu粉末の粒径D50が大
きいため充分に焼結収縮せず、また、配線導体の表面粗
さが大きくなったために、入出比が大きくなったと考え
られる。また、焼結収縮が完了していないため反りが発
生した。 【0047】試料No.14は、(D90−D10)/D50=
3であるので、粒径の大きいCu粉末が多量に存在し、
Cu粉末の粒径D50が大きい場合と同じく焼結収縮が完
了せずに電気抵抗が上昇し、配線導体の5GHz帯の入
出比が大きく低下したと考える。また、焼結収縮が完了
していないため反りが発生した。 【0048】なお、本発明は以上の実施の形態の例に限
定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲
で種々の変更を加えることは何ら差し支えない。 【0049】 【発明の効果】本発明の配線導体用組成物によれば、無
機成分として99.0〜99.9質量%のCu粉末と0.1〜1.0質
量%のガラスまたはセラミック粉末とを含有しているこ
とから、抵抗の高いガラスまたはセラミック粉末が少な
いので配線導体の電気抵抗が小さくなり信号伝播のロス
が少なくなる。 【0050】また、Cu粉末は略球状で、Cu粉末の粒
度分布が、個数積算分布における10%粒子径をD10、50
%粒子径をD50、90%粒子径をD90としたときに、(D
90−D10)/D50≦2であるとともに、粉末粒径D50が
0.5〜3μmであることから、Cu粉末の充填性が向上
するので、Cu粉末の焼成収縮が抑えられてガラスセラ
ミック・グリーンシートの収縮と整合させて基板の反り
を抑えることが可能となり、また、電気抵抗が小さくな
るので高周波信号の伝播ロスが少なくなり、また、配線
導体の表面粗さが小さくなるので、配線導体の表面の凹
凸による高周波信号の伝播距離が長くなるのを抑えるこ
とが可能となり、高周波信号の伝播ロスが少なくなる。 【0051】以上のように、本発明の配線導体用組成物
によれば、ガラスセラミック配線基板の表層および/ま
たは内層に高周波信号の透過特性の良好な配線導体を形
成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線導体用組成物を用いて配線導体を
形成したガラスセラミック基板の実施の形態の一例を示
す透視斜視図である。 【符号の説明】 1・・・ガラスセラミック絶縁層 2・・・貫通導体 3・・・配線導体 4・・・ガラスセラミック配線基板
形成したガラスセラミック基板の実施の形態の一例を示
す透視斜視図である。 【符号の説明】 1・・・ガラスセラミック絶縁層 2・・・貫通導体 3・・・配線導体 4・・・ガラスセラミック配線基板
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
H05K 3/12 610 H01L 23/14 M
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 800〜1100℃で焼成されるガラス
セラミック基板の表層または内層に配線導体層を形成す
るための配線導体用組成物であって、無機成分として9
9.0〜99.9質量%の略球状のCu粉末と0.1〜
1.0質量%のガラスまたはセラミック粉末とを含有
し、前記Cu粉末の粒度分布が、個数積算分布における
10%粒子径をD10、50%粒子径をD50、90%
粒子径をD90としたときに(D90−D10)/D5
0≦2であるとともに、粉末粒径D50が0.5〜3μ
mであることを特徴とする配線導体用組成物。
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-
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