JP2004293266A - 鋼管トラス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】円形鋼管からなる上弦材1及び下弦材2と、鋼管、山形鋼、その他の軽量形鋼などからなる斜材(ラチス材)3及びその他の連結材からなる版状立体トラスにおいて、トラス節点に所定長さの円形鋼管からなる鞘管を円周方向に複数に分割してなる割形の接合金具10を用い、この接合金具10を上弦材1や下弦材2の外周に緊縛して摩擦接合し、この接合金具10の締結フランジを利用して斜材3やその他の連結材の端部をボルト接合する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の屋根,床,壁等を支える骨格に使用される鋼管トラスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トラスを構成する部材およびトラス節点の接合法により、次のように分類される。
【0003】
(1) 部材に全て所定長の鋼管を用いるもの
図11に示すように、トラス節点に球形の接合金物(所謂ボールジョイント)60を用い、弦材や斜材の各部材61は接合金物にボルト62で螺合し、立体状のトラス構造を構成するシステムトラスといわれるもの。
【0004】
(2) トラス主材を「通しもの」の鋼管とし、直接溶接によるもの
図12に示すように、ワンウェイ形式の通しものの主管(弦材)70に枝管(斜材)71を任意の角度で直接溶接したもの。
【0005】
(3) トラス主材を「通しもの」の鋼管とし、節点金物を用いるもの
図13に示すように、ワンウェイ形式の通しものの主管(弦材)80の外面に竹割状(断面円弧状)の節点金物82を添接し、溶接83で固定したもの。節点金物82の左右両側には突起部分が設けられ、ここに一体的に突設されたガセットプレート84に枝管(斜材)81の接合端部が添接されボルト接合される。
【0006】
また、本発明に関連する先行技術文献としては、本出願人のトラス材とその接合金物に山形材を用いた立体トラスがある(特許文献1参照)。また、角鋼管の弦材と角鋼管の斜材を直接溶接してなる平版状立体トラスがある(特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特許3256195号公報
【特許文献2】特開平5−9983号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図11の球形接合金物を用いる従来技術の場合、次のような問題点がある。
【0009】
(a) 球形の接合金物60の製造に精度の高い高度な技術が必要であり、コストが高くなる。
【0010】
(b) 接合金物60に接合する部材61は、螺合したボルトの引張力で耐力と変形剛性を確保しなければならない。従って、締付管理と各部材長さやボルト孔開けなどの精度管理が必要となる。
【0011】
(c) トラス全体の精度を確保するために各節点の位置を修正することが可能であるが、節点接合部の固定度・締付力の強弱によってばらつきが生じる。また、接合順序が必要であり、組立に制約が生じる。
【0012】
(d) トラスの主材が節点ごとに接合されるので、接合部ごとの締付力に強弱があると、引張力や圧縮力に対して主材の伸び量や縮み量が不安定となる。従って、版状に組まれた立体トラスに面外力が加わると、接合部分での微小変形が面外力方向の変形に大きな影響を与え、予想値(理論値)より変形が大きくなることが多い。
【0013】
図12のワンウェイ形式の直接溶接による従来技術の場合、次のような問題点がある。
【0014】
(a) 円筒状の主管70に円筒状の枝管71を任意の角度で直接溶接するためには、枝管71の接触部が主管70に密着する必要がある。そのため、接合する管の端面は相貫曲線となるよう精度の高い切断が必要となる。
【0015】
(b) トラスの節点は集まる部材の重心軸が一点に会することが力の釣合上望ましい。しかし、主管70の直径に近い枝管71を用いるとき、節点で枝管71同士が干渉し、溶接を困難にするので、トラス構成部材の選定は、トラス節点の納まりから決めることになり、設計上の制約となる。
【0016】
(c) 管の溶接は管の外周全ての方向からの溶接姿勢で作業せざるを得ないので、高度な溶接技術を要する。
【0017】
(d) 溶接による組立構造であるため、溶接部の収縮ひずみが構造物の精度に影響する。また、枝管端部の曲線切断の溶接によるひずみの予測が困難である。従って、精度管理が難しい。
【0018】
(e) トラス全体の精度を確保するために各節点の位置を修正することが困難である。なお、加熱矯正の方法があるが、簡単に位置を修正することができない。
【0019】
図13のワンウェイ形式の節点金物を用いる従来技術の場合、次のような問題点がある。
【0020】
(a) 竹割状の節点金物82は、主管80の外面に添設されているので、枝管81からの引張力は金物の面外曲げを生じて、周辺の溶接部を介して主管80に伝わる。従って、この曲げ応力に耐えるよう、十分な厚さを必要とするため、鋳造法や鍛造法を用いて、曲げ強さや曲げ剛性の大きい金物としているが、溶接可能で引張力に耐える鋳鋼製とするため、コストが高い。
【0021】
(b) トラスでは、節点が主管の長さ方向に滑る力が発生するが、これに対して、竹割状の節点金物82の周辺の溶接83に頼らざるを得ない。また、枝管取付用のガセットプレート84は、節点金物82の突起部分に溶接する。即ち、この従来技術では、鋳鋼技術と溶接技術に構造安全性が依存し、高度の技術が必要となる。
【0022】
(c) ガセットプレート付きの節点金物82を主管に直接溶接するため、位置調整が不可能である。
【0023】
本発明は、前述のような従来の問題点を解消すべくなされたもので、その目的は、一方向に連続する鋼管からなるトラス主材の節点に接合金物を介してトラス副材を接合してなる鋼管トラスにおいて、比較的簡易で低コストの接合金具によりトラス部材の確実な接合が可能になり、低コストで鋼管トラスの構築が可能となると共に、トラス全体の精度を確保するために各節点の位置を簡単に修正することができる鋼管トラスを提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る発明は、一方向に連続する鋼管からなるトラス主材の節点に接合金物を介してトラス副材を接合してなる鋼管トラスであり、所定長さの鞘管を円周方向に複数に分割してなる割形の接合金具をトラス主材の外周に緊縛して摩擦接合し、この接合金具にトラス副材の端部を接合してなることを特徴とする鋼管トラスである。
【0025】
この請求項1は、上下弦材(トラス主材)と斜材(トラス副材)で構成される平面トラス、あるいは上下弦材(トラス主材)と斜材やその他の連結材(トラス副材)から構成される図1〜図5に示す版状立体トラスなどに適用される。トラス主材は、ワンウェイ形式の通しものの円形鋼管を使用し、トラス節点において、円形鋼管の鞘管を主材長手方向に平行な分割線で複数に分割してなる例えば図6に示す竹割状の接合金具を用い、この竹割状の接合金具のフランジ同士を締付ボルトで緊結することにより、主材鋼管を外周から緊縛し、主材鋼管と竹割状接合金具との肌合わせ部分(当接面)に半径方向の圧縮力を与えて摩擦接合とし、主材長手方向の力及び主材円周方向の回転力に対して摩擦力で固定するものである。斜材やその他の連結材には、鋼管、山形鋼、軽量形鋼等が用いられ、その端部が接合金具の締結フランジ等にボルト等で取付けられる。
【0026】
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の鋼管トラスにおいて、割形の接合金具をフランジで締結し、フランジの外面にトラス副材の端部を添接してボルト接合してなることを特徴とする鋼管トラスである。緊縛のための締結フランジを利用し、締結フランジ外面に添接して締付ボルトで接合する場合であり、例えば図8(a) に示す片側に添接する一面せん断方式、図8(d) に示す両側に添接する二面せん断方式などである。
【0027】
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1に記載の鋼管トラスにおいて、割形の接合金具をフランジで締結し、一対のフランジでトラス副材の端部を挟持してボルト接合してなることを特徴とする鋼管トラスである。緊縛のための締結フランジを利用し、一対の締結フランジ間に斜材端部を挿入して締付ボルトで接合する場合であり、例えば図8(b) に示す二面せん断方式である。
【0028】
本発明の請求項4に係る発明は、請求項1に記載の鋼管トラスにおいて、割形の接合金具をフランジで締結し、一対のフランジのうち一方を突出させ、この突出部分にトラス副材の端部を添接してボルト接合してなることを特徴とする鋼管トラスである。割形の接合金具の締結とトラス副材の接合とを別のボルトで行う場合である。そのため、緊縛のための締結フランジの一方に突出部分を設け、この突出部分にトラス副材の端部を締付ボルトとは別の接合ボルトで接合する。例えば図8(c) に示すフランジ突出一面せん断方式である。
【0029】
これら接合金具とトラス副材の接合方式は、トラス副材の端部の形状、トラス組立順序、斜材の必要耐力等に応じて適宜選定する。また、トラス副材の端部は、図7に示すような形状を用いることができ、必要耐力等に応じて適宜選定する。
【0030】
以上のような本発明によれば、円周方向に複数に分割してなる割形の接合金具をトラス主材の外周に緊縛して摩擦接合するため、比較的簡易で低コストの接合金具によりトラス部材の確実な接合が可能になる。さらに、従来のような球形接合金物や溶接接合が不要となり、トラスの位置決め精度に高い製造管理技術が必要なく、低コストで鋼管トラスの構築が可能となる。また、割形の接合金具をトラス主材の外周に緊縛するため、各トラス節点位置の修正を簡単に行うことができ、さらにトラス副材を固定するボルトも高力ボルトによる摩擦接合を行えば、ボルト径とボルト孔のクリアランス(通常、ボルト軸径+2mmがボルト孔径)で寸法上の微調整も可能であり、トラス全体の精度を容易に確保することができる。また、一方向に連続する通しものの鋼管主材を使用するため、従来の球形接合金物により鋼管主材が節点毎に接合される場合の接合部分の微小変形がなく、積雪時や荷重積載時の変形を小さくすることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施の形態に基づいて説明する。図1〜図5は、本発明を版状立体トラスに適用した例である。図6は本発明で用いる接合金具の基本的な形状の種々の例を示したものである。図7は接合金具に接合される斜材等の端部の種々の例を示したものである。図8は接合金具と斜材等の接合方式の種々の例を示したものである。図9は図3の具体例を示したものである。なお、以下に示すトラス構成部材や接合金具の材質には、一般的な構造用炭素鋼、アルミ軽合金、あるいはステンレンス鋼などの金属材料を使用することができる。
【0032】
図1〜図5に示す版状立体トラスは、後に詳述するように、上弦材1と下弦材2と斜材(ラチス材)3とその他の連結材からなり、上弦材1と下弦材2は全て円形鋼管が用いられ、斜材3とその他の連結材には、鋼管、山形鋼、その他の軽量形鋼などが用いられる。このような版状立体トラスにおいて、トラス節点に所定長さの円形鋼管からなる鞘管を円周方向に複数に分割してなる割形の接合金具10を用い、この接合金具10を上弦材1や下弦材2の外周に緊縛して摩擦接合し、この接合金具10に斜材3やその他の連結材の端部を接合する。
【0033】
接合金具10の基本的な形状は、図6(a) 〜(c) に示すように、2分割形、3分割形、4分割形などが用いられ、各分割体が一対の締結フランジ12、12と締付ボルト13によりボルト締結され、上弦材1や下弦材2を外周から緊縛し、上弦材1や下弦材2の長手方向の力及び上弦材1や下弦材2の円周方向の回転力に対して摩擦力で固定する。具体的には、各分割体を上弦材1や下弦材2に取付けた時に一対の締結フランジ12、12の間に隙間が生じるように構成し、一対の締結フランジ12、12を締結ボルト13で締め付けると、上弦材1や下弦材2と分割形接合金具10との肌合わせ部分(当接面)に半径方向の圧縮力が発生し、摩擦接合となるようにする。
【0034】
なお、分割は、等分割に限らず、部材配置に応じて分割長さが異なることは言うまでもない。また、接合金具10の分割体は、図6(d) に示すように、円弧部11と締結フランジ12から構成され、所定の長さの板材から冷間プレスで製作することができる。
【0035】
接合金具10に接続される斜材3やその他の連結材の接合端部は、図7に示すように、山形鋼の場合、そのままの形状、一対のフランジを重ね合わせた形状、角部を切除し一対のフランジを隙間をおいて平行に配置する形状、一対のフランジを開いた平板形状などを用いることができる。鋼管の場合には、ガセットプレート20を閉じた鋼管の端部に差し込んで溶接で固定した狭幅や広幅のもの、鋼管の先端をプレスで平板状に押し潰したもの、鋼管の先端をプレスで押し潰すと共に両端部を切除して二枚の板材を隙間をおいて平行に配置したものなどを用いることができる。
【0036】
接合金具10と斜材やその他の連結材の接合方式は、図8に示すように、一面せん断方式、フランジ間挿入による二面せん断方式、フランジ突出一面せん断方式、フランジ挟持による二面せん断方式などを用いることができる。
【0037】
一面せん断方式は、一対の締結フランジ12、12の片側の外面に斜材等の端部を添接し、締付ボルト13を利用して接合するものである。この場合、斜材等の端部形状は、図7の (c)と(h) の二枚板形式以外の一枚板形式を用いることができる。
【0038】
端部形状を用いるフランジ間挿入による二面せん断方式は、一対の締結フランジ12、12の間に斜材等の端部を挿入し、締付ボルト13を利用して接合するものである。この場合も、斜材等の端部形状は、図7の (c)と(h) の二枚板形式以外の一枚板形式を用いることができる。
【0039】
フランジ突出方式は、一対の締結フランジ12、12のうちの一方のフランジ12を外側に所定長さだけ突出させ、この突出部分12aに斜材等の端部を添接し、接合ボルト21で接合するものである。緊縛用の締付ボルト13と接合用のボルト21を分離することができる。この場合も、斜材等の端部形状は、図7の (c)と(h) の二枚板形式以外の一枚板形式を用いることができる。
【0040】
フランジ挟持による二面せん断方式は、一対の締結フランジ12、12を斜材等の端部の二枚の板材で挟持するものである。この場合は、斜材等の端部形状は、図7の (c)と(h) の二枚板形式を用いる。
【0041】
次に、図1〜図5の具体的な立体トラスに本発明を適用した例について説明する。なお、本発明は、この図示例に限定されるものでなく、その他の立体トラスにも適用できることは言うまでもない。また、この図示例は、接合金具10と斜材3等の接合方式にフランジ突出方式を用いた場合である。
【0042】
図1は、三角断面立体トラスの例であり、所定の間隔をおいて平行に配設された上弦材1と、一つ置きに隣合う上弦材1,1の中間における下方に上弦材1と平行に配設された下弦材2と、上弦材1に交差して配設され四角枡目を形成する交差上弦材4と、下方に下弦材2のある隣り合う上弦材1,1の四角枡目の4つの交点と下弦材2の1点とを繋ぎ四角枡目を底面とする逆四角錐を構成するラチス材3と、下方に下弦材2のない隣り合う上弦材1,1の四角枡目の交点を対角状に繋ぐ水平ブレース材6を有している。
【0043】
このような立体トラスの場合、2つのタイプの接合金具10を用いる。即ち、上弦材1に3分割型のAタイプの接合金具10Aを用い、下弦材2に3分割型のBタイプの接合金具10Bを用いる。接合金具10Aでは、上部分割体10−1の一方のフランジ突出部分12aに1本の交差上弦材4と2本の水平ブレース6が、他方のフランジ突出部分12aに1本の交差上弦材4がボルト接合される。下部分割体10−2の下側のフランジ突出部分12aに2本のラチス材3がボルト接合される。接合金具10Bでは、左右の分割体10−1、10−2の上部のフランジ突出部分12aにそれぞれ2本のラチス材3がボルト接合される。
【0044】
図2は、折版状立体トラスの例であり、所定の間隔をおいて平行に配設された下弦材2と、一つ置きに隣合う下弦材2,2の中間における上方に下弦材2と平行に配設された上弦材1と、上弦材1の1点とこの下方に位置する隣り合う下弦材2,2の4点とを繋ぐラチス材3と、上方に上弦材1のない隣り合う下弦材2,2において下弦材2とラチス材3の交点同士を繋ぐ交差水平材7および水平ブレース材6を有している。
【0045】
このような立体トラスの場合、上弦材1に図1と同じBタイプの接合金具10Bを用い、下弦材2に3分割型のCタイプの接合金具10Cを用いる。接合金具10Cでは、左右の一方の分割体10−1のフランジ突出部分12aに1本の交差水平材7と2本の水平ブレース6が、他方の分割体10−2のフランジ突出部分12aに2本のラチス材3がボルト接合される。なお、接合金具10Cの代わりに接合金具10Bを用いることもでき、この場合、1種類の接合金具10Bで図2のトラスを構築できる。さらに、接合金具10Cの代わりに接合金具10Aを使用することもでき、この場合、図1と同じ接合金具10Aと接合金具10Bで図2のトラスを構築できる。
【0046】
図3は、一方向版状立体トラスの例であり、所定の間隔をおいて平行に配列した上弦材1と、隣合う上弦材1,1の中間における下方に上弦材1と平行に配列した下弦材2と、上弦材1に直交して配設され四角枡目を形成する交差上弦材4と、四角枡目の4つの交点と下弦材2の1点とを繋ぎ四角枡目を底面とする逆四角錐を構成する4本のラチス材3を有しており、上弦材の下面に側面視で直角二等辺三角形状等のトラス梁が横方向に連続して形成されている。
【0047】
このような立体トラスの場合、上弦材1に3分割型のDタイプの接合金具10Dを用い、下弦材2に図1と同じBタイプの接合金具10Bを用いる。接合金具10Dでは、下部の分割体10−1の左右のフランジ突出部分12aにそれぞれ2本のラチス材3がボルト接合される。交差上弦材4は、上部の一対の締結フランジ12、12の間に挿入した取付板を介して取付けられる(後述の図9参照)。なお、下弦材2の接合金具10Bの代わりに接合金具10Dを用いることもでき、この場合、1種類の接合金具10Dで図3のトラスを構築できる。
【0048】
図4は、二方向版状立体トラスの例であり、所定の間隔をおいて平行に配列した上弦材1と、隣合う上弦材1,1の中間における下方に上弦材1と平行に配列した下弦材2と、上弦材1に直交して配設され四角枡目を形成する交差上弦材4と、隣合う交差上弦材4,4の中間における下方に交差上弦材3と平行に配設された交差下弦材5と、四角枡目の4つの交点と下弦材2の1点とを繋ぎ四角枡目を底面とする逆四角錐を構成する4本のラチス材3を有している。
【0049】
このような立体トラスの場合、上弦材1と下弦材2に4分割型のEタイプの接合金具10Eを用いる。上弦材1の接合金具10Eでは、上部の分割体10−1の左右のフランジ突出部分12aにそれぞれ1本の交差上弦材4と2本のラチス材3がボルト接合される。下部の分割体10−2の左右のフランジ突出部分12aにそれぞれ2本のラチス材3がボルト接合される。下弦材2の場合も同様に接合される。
【0050】
図5は、ラチス梁が平面視で縦横に配置された交差梁の例であり、上弦材1と下弦材2をラチス材3で接続し、交差上弦材4と交差下弦材5をラチス材3で接続して構成されている。
【0051】
このような立体トラスの場合、上弦材1に3分割型のFタイプの接合金具10Fを用い、下弦材2に3分割型のGタイプの接合金具10Gを用いる。接合金具10Fでは、上部の分割体10−1の左右のフランジ突出部分12aにそれぞれ1本の交差上弦材4がボルト接合される。下部の左右の分割体10−2、10−3にはガセットプレート30を溶接で取付け、ここにラチス材3をボルト接合する。弦材長手方向に沿うラチス材3は下部の一対の締結フランジ12、12の間に挿入したガセットプレートを介して取付けられる。Gタイプの接合金具10Gでは、下部の分割体10−1の左右のフランジ突出部分12aにそれぞれ1本の交差下弦材5がボルト接合される。
【0052】
次に、図9は、図3の立体トラスにおける上弦材における接合金具部分の具体例を示したものであり、図3における交差上弦材4は母屋40であり、この母屋40を母屋受け41を介して接合金具10Dに取付ける。母屋受け41は短尺の山形鋼であり、下部辺を一対の締結フランジ12、12の間に挿入して締付ボルト13で固定し、上部辺を母屋40の下面にボルト接合する。接合金具10Dの長手方向中央部に母屋受け41が取付けられるため、一対の締結フランジ12、12間の母屋受け41の両側にはフィラー42を挿入する。
【0053】
なお、図10は、本発明の接合金具を仮設足場に適用した例であり、立体トラスと同様の接合金具10を用い、鋼管からなる柱材50や梁材51を外周から緊縛し、柱材や梁材の長手方向の力に対して摩擦力で固定する。柱材50と梁材51の接合部には3分割型のHタイプの接合金具10Hを用い、柱材50や梁材51と方杖53の接合部や柱材50と手摺り54の接合部には2分割型のIタイプの接合金具10Iを用いる。接合金具10Hでは、分割体10−1の左右のフランジ突出部分12aにそれぞれ梁材52や棒鋼等からなる筋違い55の端部がボルト接合される。分割体10−2のフランジ突出部分12aに梁材51の端部がボルト接合される。接合金具10Iでは、一対の締結フランジ12、12間に方杖53や手摺り54の端部が挿入されてボルト接合される。
【0054】
【発明の効果】
本発明は、以上のような構成からなるので、次のような効果を奏することができる。
【0055】
(1) 円周方向に複数に分割してなる割形の接合金具をトラス主材の外周に緊縛して摩擦接合するため、比較的簡易で低コストの接合金具によりトラス部材の確実な接合が可能になる。
【0056】
(2) 従来の球形接合金物や溶接接合が不要となり、ボルト接合であるためトラスの位置決め精度に高い製造管理技術が必要なく、低コストで鋼管トラスの構築が可能となる。
【0057】
(3) 割形の接合金具をトラス主材の外周に緊縛するため、各トラス節点位置の修正を簡単に行うことができ、さらにトラス副材を固定するボルトも高力ボルトによる摩擦接合を行えば、ボルト径とボルト孔のクリアランス(通常、ボルト軸径+2mmがボルト孔径)で寸法上の微調整も可能であり、トラス全体の精度を容易に確保することができる。
【0058】
(4) 一方向に連続する通しものの鋼管主材を使用するため、従来の球形接合金物により鋼管主材が節点毎に接合される場合の接合部分の微小変形がなく、積雪時や荷重積載時の変形を小さくすることができる。
【0059】
(5) 割形の接合金具を使用するため、様々なトラス形式、構造形式に適用が可能となる。
【0060】
(6) 割形の接合金具であるため、標準化、量産化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を三角断面立体トラスに適用した例であり、(a) は正面図、(b) は平面図、(c) は側面図、(d) は上弦材の節点の断面図、(e) は下弦材の節点の断面図である。
【図2】本発明を折版状立体トラスに適用した例であり、(a) は正面図、(b) は平面図、(c) は側面図、(d) は下弦材の節点の断面図である。
【図3】本発明を一方向版状立体トラスに適用した例であり、(a) は正面図、(b) は平面図、(c) は側面図、(d) は上弦材の節点の断面図である。
【図4】本発明を二方向版状立体トラスに適用した例であり、(a) は正面図、(b) は平面図、(c) は側面図、(d) は上弦材の節点の断面図である。
【図5】本発明を交差梁に適用した例であり、(a) は正面図、(b) は平面図、(c) は側面図、(d) は上弦材の節点の断面図、(e) は下弦材の節点の断面図である。
【図6】本発明で用いる接合金具の基本的な形状の種々の例を示し、(a) 、(b) 、(c) は断面図、(d) は分割体の平面図と正面図と側面図である。
【図7】接合金具に接合される斜材等の端部の種々の例を示す断面図と正面図である。
【図8】接合金具と斜材等の接合方式の種々の例を示す断面図である。
【図9】図3の具体例を示し、(a) は正面図、(b) はb−b視図、(c) はc−c視図である。
【図10】本発明に係る接合金具を仮設足場に適用した例であり、(a) は正面図、(b) は平面図、(c) は側面図、(d) ,(e) は接合金具部分の断面図である。
【図11】従来の球形接合金物を示す断面図である。
【図12】従来の直接溶接のトラス節点であり、(a) は正面図、(b) は断面図である。
【図13】従来の竹割状の節点金物を用いたトラス節点であり、(a) は断面図、(b) は斜視図である。
【符号の説明】
1……上弦材
2……下弦材
3……斜材(ラチス材)
4……交差上弦材
5……交差下弦材
6……水平ブレース材
7……交差水平材
10……割形の接合金具
11……円弧部
12……締結フランジ
12a…フランジ突出部分
13……締付ボルト
20……ガセットプレート
21……接合ボルト
30……ガセットプレート
40……母屋
41……母屋受け
42……フィラー
Claims (4)
- 一方向に連続する鋼管からなるトラス主材の節点に接合金物を介してトラス副材を接合してなる鋼管トラスであり、所定長さの鞘管を円周方向に複数に分割してなる割形の接合金具をトラス主材の外周に緊縛して摩擦接合し、この接合金具にトラス副材の端部を接合してなることを特徴とする鋼管トラス。
- 請求項1に記載の鋼管トラスにおいて、割形の接合金具をフランジで締結し、フランジの外面にトラス副材の端部を添接してボルト接合してなることを特徴とする鋼管トラス。
- 請求項1に記載の鋼管トラスにおいて、割形の接合金具をフランジで締結し、一対のフランジでトラス副材の端部を挟持してボルト接合してなることを特徴とする鋼管トラス。
- 請求項1に記載の鋼管トラスにおいて、割形の接合金具をフランジで締結し、一対のフランジのうち一方を突出させ、この突出部分にトラス副材の端部を添接してボルト接合してなることを特徴とする鋼管トラス。
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