JP2004292358A - シクロアルキルアルキルエーテルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】固体酸触媒の存在下、脂環式オレフィンとアルコール類を出発原料としてシクロアルキルアルキルエーテルを工業的規模で製造する場合において、長時間の連続運転時においても触媒活性が経時的に低下しない方法を提供する。
【解決手段】原料である脂環式オレフィンに含有される鎖状共役ジエンの成分の量を特定値以下にした原料を使用して反応を行うことにより、触媒活性の経時的な低下が著しく抑制され、工業的な長期連続運転が可能となった。
【選択図】 なし
【解決手段】原料である脂環式オレフィンに含有される鎖状共役ジエンの成分の量を特定値以下にした原料を使用して反応を行うことにより、触媒活性の経時的な低下が著しく抑制され、工業的な長期連続運転が可能となった。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品、精密機械部品の洗浄溶剤、反応溶剤、抽出溶剤、結晶化溶剤、電子・電気材料の溶剤および剥離剤などとして有用なシクロアルキルアルキルエーテルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、オレフィンとアルコールの付加反応によるエーテル類の製造方法として、例えば、(a)触媒として結晶性アルミノシリケートを用いる方法(特許文献1)、(b)触媒として外表面酸点の多い特殊なアルミノシリケートを用いる方法(特許文献2)、および(c)触媒としてヘテロポリ酸の有する結晶水を該ヘテロポリ酸1分子あたり平均3.0分子以下に調整されたタングステンの酸化物を用いる方法(特許文献3)、(d)触媒として水分含有量が5重量%以下の酸性イオン交換樹脂を用いる方法(特許文献4)等が知られている。
【0003】
しかしながら、これらの固体酸触媒を用い、脂環式オレフィンを出発原料としてシクロアルキルアルキルエーテルを工業的規模で製造する場合において、長時間の連続運転時に触媒活性が経時的に低下し、このため、頻繁に活性の低下した触媒を再生し、あるいは新たに補充、交換する必要があるという問題が生じていた。
【0004】
【特許文献1】
特開昭59−25345号公報
【特許文献2】
特開昭61−249945号公報
【特許文献3】
特開平5−163188号公報
【特許文献4】
WO03/002500号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、固体酸触媒を用い、脂環式オレフィンを出発原料としてシクロアルキルアルキルエーテルを工業的規模で製造する場合において、長時間の連続運転時に触媒活性が低下しない方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討したところ、原料である脂環式オレフィンに含有される鎖状共役ジエンの成分の量を特定値以下にした原料を使用して反応を行うことにより、触媒活性の経時的な低下が著しく抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明のシクロアルキルアルキルエーテルの製造方法は、固体酸触媒存在下に、鎖状共役ジエン含有量が10ppm以下である脂環式オレフィンと、アルコール類とを反応させることを特徴とする。
【0008】
また前記固体酸触媒がイオン交換樹脂であることが好ましい。
【0009】
さらに、前記シクロアルキルアルキルエーテルがシクロペンチルメチルエーテルであることが好ましい。
【0010】
なお、前記鎖状共役ジエンが、1,3−ペンタジエンであることが特に好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のシクロアルキルアルキルエーテルの製造方法は、鎖状共役ジエン含有量が10ppm以下である脂環式オレフィンと、アルコール類とを固体酸触媒存在下に反応させることを特徴とする。
【0012】
本発明に用いる脂環式オレフィンは、脂肪族系の単環もしくは多環骨格を有し、かつ、これらの環骨格中に少なくとも1以上の炭素−炭素二重結合を有するものである。環骨格は好ましくは3〜20個の炭素で構成される。さらにこれらの環骨格にアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルコキシ基、スルホン基、シアノ基などの置換基を有するものも含まれる。
【0013】
脂環式オレフィンは、入手容易性および目的物がより効率よく得られる観点から、環炭素数が5〜8個の単環を有する脂環式オレフィンの使用が好ましく、置換基を有していてもよいシクロペンテンまたは置換基を有していてもよいシクロヘキセンがより好ましい。
【0014】
置換基を有してもよいシクロペンテンの具体例としては、シクロペンテン、1−メチルシクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、1,3−ジメチルシクロペンテン、1−フルオロシクロペンテン、1−フェニルシクロペンテン等が挙げられる。また、置換基を有してもよいシクロヘキセンとしては、シクロヘキセン、1−メチルシクロヘキセン、4−メチルシクロヘキセン、1,3−ジメチルシクロヘキセン、1−フルオロシクロヘキセン、4−クロロシクロヘキセン、1−フェニルシクロヘキセン、4−フェニルシクロヘキセンなどが挙げられる。これらの中では、シクロペンテンまたはシクロヘキセンが好ましく、シクロペンテンが特に好ましい。
【0015】
本発明で使用する脂環式オレフィンは、それに含有される鎖状共役ジエン化合物の量が10ppm以下であることが必須である。共役ジエン化合物の量は、好ましくは、5ppm以下である。工業用脂環式オレフィンには、通常、3000ppm程度の共役ジエン化合物が含まれている。しかしながら、共役ジエン化合物量が10ppmを超えると、固体酸触媒が短期に失活してしまう。
【0016】
鎖状共役ジエン化合物としては、ブタジエン、2−メチルブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン等が挙げられ、異性体が存在するものについてはそれらも全て含まれるが、1,3−ペンタジエンが特に重要である。
【0017】
鎖状共役ジエンを含有する脂環式オレフィンから鎖状共役ジエン化合物を10ppm以下にする方法としては、(1)鎖状共役ジエンを含有する脂環式オレフィンを活性白土等の吸着剤と接触させる方法、(2)鎖状共役ジエンを含有する脂環式オレフィンを水素等の還元剤で処理し、鎖状共役ジエンを鎖状オレフィンまたは鎖状アルカンに変換する方法、(3)鎖状共役ジエンを含有する脂環式オレフィンをゼオライト等の固体酸触媒と接触させて精製する方法等が挙げられる。
【0018】
脂環式オレフィンに含有されるこれらの鎖状共役ジエン化合物の量は、ガスクロマトグラフィーによって定量することができる。
【0019】
本発明に用いるアルコール類としては、固体酸触媒の存在下で、脂環式オレフィンと付加反応し得るものであれば特に制約されない。効率よくシクロアルキルアルキルエーテルが得られることなどの理由から、炭素数1〜10の直鎖または分枝の飽和アルコールまたは炭素数3〜8のシクロアルキルアルコールが好ましく、炭素数1〜6の直鎖または分枝の飽和アルコールがより好ましい。
【0020】
炭素数1〜10の直鎖または分枝の飽和アルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、n−ヘキシルアルコールなどが挙げられる。また、炭素数3〜8のシクロアルキルアルコールとしては、例えば、シクロプロピルアルコール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコールなどが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜3の直鎖または分枝の飽和アルコールがさらに好ましく、メチルアルコールが特に好ましい。
【0021】
本発明で用いる固体酸触媒は、常温(20〜30℃)で固体状の酸触媒であって、水に不溶性又は難溶解性のものをいう。
【0022】
固体酸触媒としては、例えば、酸性イオン交換樹脂、金属酸化物、ジルコニウム化合物などが挙げられるが、これらの中でも、収率および固定床反応器への適用の容易さの観点から酸性イオン交換樹脂が好ましく、含水量が5重量%以下の酸性イオン交換樹脂が特に好ましい。
【0023】
酸性イオン交換樹脂は、微細な三次元網目構造の高分子基体に酸性のイオン交換基を有する不溶性で多孔質の合成樹脂からなり、一般的に陽イオン交換樹脂と称されるものである。
【0024】
また酸性イオン交換樹脂は、酸性イオン交換樹脂の幾何学的構造面からの分類としてゲル型とポーラス型に大別することができるが、本発明においては、ゲル型樹脂およびポーラス型樹脂のいずれも使用することができる。酸性イオン交換樹脂の型には、イオン交換基のプロトン部分がそのままプロトンであるプロトン酸型、前記イオン交換樹脂のプロトンがアルカリ金属イオンに交換されたアルカリ金属塩型があるが、プロトン型の酸性イオン交換樹脂が好ましい。
【0025】
プロトン型の酸性イオン交換樹脂としては、市販されているものをそのまま使用してもよいし、酸で前処理したものを使用しても良い。酸処理の方法として、例えば希塩酸、希硫酸等の希酸中に酸性イオン交換樹脂を添加し、20℃から100℃で数分から数十時間放置又は撹拌する方法や、カラム中に充填した酸性イオン交換樹脂をカラムの一方の側から溶出する液が酸性となるまで希酸を流通させる方法が挙げられる。前処理したイオン交換樹脂は、蒸留水又は脱イオン水で十分に洗浄して過剰の酸を除去した後に使用するのが好ましい。また、酸性イオン交換樹脂は、通常の再生処理を行なうことにより繰り返して使用することができる。
【0026】
酸性イオン交換樹脂としては、イオン交換基としてスルホン酸基またはカルボン酸基を有し、イオン交換基が結合する高分子基体として、フェノールとホルムアルデヒドを縮重合させて得られる高分子基体や、スチレンまたはハロゲン化スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体基体を有するものが挙げられる。これらの中でも、入手容易性および取扱い性等の観点から、イオン交換基としてスルホン酸基を有するスルホン酸型強酸性イオン交換樹脂の使用が好ましく、スチレンまたはハロゲン化スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体を高分子基体とし、イオン交換基としてスルホン酸基を有するスルホン酸型スチレン系強酸性イオン交換樹脂の使用がより好ましい。
【0027】
酸性イオン交換樹脂の好ましい具体例としては、三菱化学(株)製のスチレン系強酸性陽イオン交換樹脂ゲル型DIAION SK1B、SK012、SK104、SK106、SK110、SK112、SK116;スチレン系強酸性陽イオン交換樹脂ポーラス型PK208、PK212、PK216、PK220、PK228;スチレン系強酸性陽イオン交換樹脂ハイポーラス型HPK25;耐熱性スチレン系強酸性陽イオン交換樹脂RCP145;バイエル社製の強酸性バイエルキャタリストゲル型K1221、K1431、K1481、K1491;強酸性バイエルキャタリストマクロポーラス型K2431、K2621、K2641;ローム・アンド・ハース社製のアンバーライト(XE−284);日本錬水(株)製のダイヤイオンRCP−160M、RCP−160H、RCP−170H;オルガノ(株)製のアンバーリストCSP−2、A−15;等が挙げられる。
【0028】
これらの酸性イオン交換樹脂の見かけ密度(g/L−R)は、通常500〜1000、好ましくは600〜900である。乾燥前の水含有量は、通常30〜70重量%である。酸性イオン交換樹脂の平均粒径は特に限定されないが、通常0.02mm〜10mm、好ましくは0.5mm〜2mmの範囲である。また、酸性イオン交換樹脂は、通常プロトン型で使用され、通常の再生処理を行なうことにより繰り返して使用することができる。
【0029】
本発明は、水含有量が好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下、特に好ましくは2重量%以下の酸性イオン交換樹脂を用いた場合に高い選択率および転化率で目的とするシクロアルキルアルキルエーテルを得ることができる。
【0030】
水含有量が5重量%以下の酸性イオン交換樹脂を得るには、使用前に乾燥して水分を除去すればよい。酸性イオン交換樹脂を乾燥する方法は、乾燥して水含有量が5重量%以下の酸性イオン交換樹脂が得られる方法であれば特に制約されない。
【0031】
乾燥する方法としては、例えば、通常の加熱脱水操作を採用できる。加熱脱水操作としては、例えば、▲1▼通常の乾燥機内に酸性イオン交換樹脂を収容し、常圧または減圧下において、50〜120℃、好ましくは80〜110℃で数分から数時間加熱する方法;▲2▼酸性イオン交換樹脂を不活性な気体流通条件下に、所定温度(室温から100℃程度)で数分から数時間加熱乾燥する方法;および▲3▼前記▲1▼と▲2▼の方法の組み合わせ;などが挙げられる。
【0032】
前記▲2▼および▲3▼の方法において用いる不活性な気体としては、例えば、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、水素、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素などが挙げられる。また、不活性な気体の流通速度は特に限定されないが、加熱温度での気体体積換算で装置内空間速度として、通常、0.01〜100vol/Hr・volである。
【0033】
なお、乾燥前後の酸性イオン交換樹脂の含水量は、カールフィッシャー水分計により測定することができる。
【0034】
また、金属酸化物としては、例えば、Ge、Sn、Pb、B、Al、Ga、Zn、Cd、Cu、Fe、Mn、Ni、Cr、Mo、W、Ti、Zr、Hf、Y、La、Ce、Yb、Siからなる群から選ばれる金属の酸化物の1種または2種以上;モルデナイト、エリオナイト、フェリナイト、モービル社発表のZSM系ゼオライト等の結晶性アルミノシリケート、ホウ素、鉄、ガリウム、チタニウム、銅、銀等の異元素を含有するメタロアルミノシリケートやメタロシリケートゼオライトなどのゼオライト;タングステン化合物とジルコニウム化合物からなる非水溶性の二元系触媒などの複酸化物;が挙げられる。
【0035】
ジルコニウム化合物としては、ジルコニウム水酸化物と硫酸または水溶性の硫酸塩との反応生成物である硫酸ジルコニア等が挙げられる。
【0036】
また、本発明を実施するにあたっては、固体酸触媒、脂環式オレフィンおよびアルコール類に対して不活性な溶媒または希釈剤を反応系に添加することができる。溶媒または希釈剤は、1種類単独でも、また2種類以上からなる混合物の形で使用してもよいが、反応系において鎖状共役ジエンを生成するような化合物を存在させることは好ましくない。
【0037】
使用することができる溶媒および希釈剤としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカンなどの脂肪族飽和炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、アニソール、クメン、ニトロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;シクロペンタン、アルキル置換シクロペンタン類、アルコキシ置換シクロペンタン類、ニトロ置換シクロペンタン類、シクロヘキサン、アルキル置換シクロヘキサン類、アルコキシ置換シクロヘキサン類、ニトロ置換シクロヘキサン類、シクロヘプタン、アルキル置換シクロヘプタン類、アルコキシ置換シクロヘプタン類、ニトロ置換シクロヘプタン類、シクロオクタン、アルキル置換シクロオクタン類、アルコキシ置換シクロオクタン類、ニトロ置換シクロオクタン類などの脂環式飽和炭化水素類;窒素、アルゴン、空気、ヘリウムなどが挙げられる。溶媒または希釈剤の使用量は特に制限されず、反応を阻害しない範囲で任意の量を選択できる。
【0038】
本発明においては、固体酸触媒の存在下に、脂環式オレフィンとアルコール類との混合物(以下、単に「混合物」ということがある。)を反応させる。混合物の含水量は、より効率よく目的物を得るためには少ない方が好ましいが、好ましくは1重量%以下、特に好ましくは500ppm以下である。
【0039】
脂環式オレフィンとアルコール類との反応温度は特に限定されないが、通常20〜200℃、好ましくは40〜180℃、より好ましくは50〜160℃である。反応温度があまりに低い場合には反応速度が低下し、逆にあまりに高温で反応を行なうと、固体酸触媒が熱により不活性化するおそれがある。
【0040】
固体酸触媒の存在下に、脂環式オレフィンとアルコール類とを反応させる方法は特に制限されない。例えば、混合物に固体酸触媒を添加して撹拌する方法(バッチ式)や、固体酸触媒をカラム内に充填し(以下、固体酸触媒が充填されたカラムを「反応カラム」という。)、その中に混合物を流通させる方法(流通式)等を用いることができる。本発明においては、作業効率および連続的に反応生成物の精製を行なうことができる観点から、流通式を採用するのがより好ましい。
【0041】
バッチ式を採用する場合には、反応器に固体酸触媒、脂環式オレフィンおよびアルコール類を所定量添加して、所定温度、所定圧力で反応混合物を撹拌する。この場合の固体酸触媒の使用量は、通常、脂環式オレフィン100重量部に対し、0.01〜200重量部、好ましくは0.1〜150重量部、より好ましくは1〜100重量部の範囲である。
【0042】
バッチ式の場合、脂環式オレフィンとアルコール類との使用割合は特に制約されないが、アルコール類を過剰に用いるのが好ましい。バッチ式の場合には、混合物が加熱されている時間が長くなるため、脂環式オレフィンが過剰の状態で反応させると、脂環式オレオフィンの重合物が生成するおそれがあるからである。脂環式オレフィンとアルコール類との使用割合は、脂環式オレフィン/アルコール類とのモル比で、通常1/1〜1/50、好ましくは1/1〜1/30、より好ましくは1/1〜1/20である。
【0043】
流通式を採用する場合には反応カラム中に混合物を流通させる。この場合、用いるカラムは加熱装置を有するものを使用し、所定温度(反応温度)に加熱した反応カラム中に混合物を流通させる。また、混合物は液体状態で流通させることもできるし、気体状態で流通させることもできるが、目的物をより高選択率で得るためには、気体状態で流通させるのが好ましい。
【0044】
気体状態で反応カラム中を流通させる場合には、気相−固相反応が進行する。この反応を行なう方法としては、例えば、図1(a)に示すように、脂環式オレフィンとアルコール類との混合液の貯蔵タンク1aから混合液を送液し、加熱・気化装置2aによりこのものを気体状態とし、気体状態で反応カラム3aに送り込む方法が挙げられる。複数の反応カラムを使用する場合には、反応カラムのみならず、反応カラム間を連結する連結管も所定温度に保温しておくのが好ましい。
【0045】
流通式により本発明を実施するより具体的な方法としては、例えば、(i)図1(a)に示すように、固体酸触媒を充填した反応カラム3aを単独で用いる方法、(ii) 図1(b)に示すように、複数の固体酸触媒を充填した複数の反応カラム3b、3cを直列に連結させて反応を行なう方法、(iii) 図1(c)に示すように、複数の反応カラム3d、3e、3fを直列と並列に連結して反応を行う方法などが挙げられる。複数の反応カラムを組み合わせる場合には、脂環式オレフィン(またはアルコール類)の転化率をさらに向上させることができる。
【0046】
用いるカラムの大きさは特に限定されず、反応規模に応じて種々の大きさのものを選択して使用できる。複数の反応カラムを組み合わせて用いる場合には、それぞれのカラムに充填する固体酸触媒は同じであっても、異なる種類のものであってもよい。
【0047】
また、混合物を固体酸触媒を充填した反応カラム中を流通させる方法としては、図1(b)に示すごとく、反応カラム3b、3cの上部から該混合物を流通させるダウンフロー式であっても、図2に示すごとく、反応カラム3b、3cの下部側から混合物を流通させるアップフロー式であってもよい。より高い転化率及び選択率で目的物が得られる観点から、ダウンフロー方式が好ましい。
【0048】
混合物が反応カラム中を通過するときの圧力は、通常、常圧から30MPa、好ましくは常圧から10MPa、より好ましくは常圧から5MPaの範囲である。また、流通式を採用する場合において、混合物が液状であれば、空塔基準の液空間速度(以下、「LHSV」と略す。)は、通常0.01〜100hr−1、好ましくは0.1〜20hr−1の範囲であり、混合物がガス状であれば、空塔基準のガス空間速度(以下、「GHSV」と略す。)は、通常0.01〜40,000h−1、好ましくは0.1〜8,000h−1の範囲である。また、複数の反応カラムを使用する場合には、反応温度、流通速度などを反応カラム毎に変化させることができる。
【0049】
前記混合物を調製するには、脂環式オレフィンとアルコール類とを所定割合で混合すればよい。この場合、脂環式オレフィンとアルコール類との混合液を予め調製しておき、それをタンクに貯蔵し、該タンクから反応カラムに気体状態または液体状態で送り込むこともできるし、脂環式オレフィンとアルコール類とを別々のタンクに貯蔵しておき、そこから脂環式オレフィンとアルコール類とを別々に送液し、反応カラム内に送り込む直前に両者を混合することもできる。
【0050】
また、流通式の場合、脂環式オレフィンとアルコール類との使用割合は特に制約されないが、脂環式オレフィンを過剰に用いるのが好ましい。流通式の場合は、混合物が加熱されている時間が短いので、脂環式オレフィンが重合することがない一方で、アルコール類を過剰に用いると、ジアルキルエーテルの副生量が増大するからである。脂環式オレフィンとアルコール類との使用割合は、脂環式オレフィン/アルコール類とのモル比で、通常1/3〜20/1、好ましくは1/3〜10/1、より好ましくは1/3〜5/1、さらに好ましくは1/3〜3/1である。
【0051】
反応終了後は、反応液を溶媒抽出、蒸留等の通常の分離・精製方法によって、目的とするシクロアルキルアルキルエーテルを単離することができる。蒸留は複数回行なってもよい。
【0052】
蒸留装置としては、例えば、精留塔を有する連続精留装置などの公知の蒸留装置を使用することができる。また、図3に示すように、固体酸触媒を充填した反応カラム3g中に混合液を流通させた後、得られた反応液を反応カラム3h中に通過させ、例えば、ラシヒリングを充填した蒸留装置4により連続的に蒸留することもできる。この方法によれば、未反応の脂環式オレフィンおよびアルコール類を配管5により反応カラム3gに戻し、再度反応に供することができ、より高い転化率で目的物を得ることができる。
【0053】
本発明の製造方法により得られるシクロアルキルアルキルエーテルとしては、
式(1):R1−O−R2(式中、R1は置換基を有していてもよいシクロペンチル基又は置換基を有していてもよいシクロヘキシル基を表し、R2は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数3〜8のシクロアルキル基を表す。)で表されるシクロアルキルアルキルエーテルが挙げられる。
【0054】
前記式(1)で表されるシクロアルキルアルキルエーテルの好ましい具体例としては、シクロペンチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、シクロペンチルn−プロピルエーテル、シクロペンチルイソプロピルエーテル、シクロペンチルn−ブチルエーテル、シクロペンチルsec−ブチルエーテル、シクロペンチルtert−ブチルエーテル、シクロペンチルn−ペンチルエーテル、ジシクロペンチルエーテル、シクロペンチルシクロヘキシルエーテルなどのシクロペンチルアルキルエーテル類;シクロヘキシルメチルエーテル、シクロヘキシルエチルエーテル、シクロヘキシルn−プロピルエーテル、シクロヘキシルイソプロピルエーテル、シクロヘキシルn−ブチルエーテル、シクロヘキシルsec−ブチルエーテル、シクロヘキシルtert−ブチルエーテル、シクロヘキシルn−ペンチルエーテル、シクロヘキシルシクロプロピルエーテル、ジシクロヘキシルエーテルなどのシクロヘキシルアルキルエーテル類、などが挙げられる。これらの中でも、R1がシクロペンチル基であるシクロペンチルアルキルエーテルがより好ましく、シクロペンチルメチルエーテルまたはシクロペンチルエチルエーテルがさらに好ましく、シクロペンチルメチルエーテルが特に好ましい。
【0055】
本発明の製造方法により得られるシクロアルキルアルキルエーテルは、電子部品、精密機械部品の洗浄溶剤、種々の化学反応の反応溶剤、抽出溶剤、結晶化溶剤、電子・電気材料の溶剤および剥離剤などとして有用である。
【0056】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってその範囲を限定されるものではない。
【0057】
(1)ガスクロマトグラフィーによる分析(以下、「GC分析」という。)は、次の条件で行なった。
分析機器:Agilent6850
カラム:キャピラリカラムHP−5 30m×φ0.25mm(HP社製)
カラム温度:40℃(10分)、40℃→250℃(10℃/分)
注入口温度:200℃
検出器温度:300℃
キャリアーガス:He
検出器:FID
(2)シクロペンテン転化率(以下、「CPE転化率」と略す。)(%)は、(原料液1g中のシクロペンテン重量−反応液1g中のシクロペンテン重量)/(原料液1g中のシクロペンテン重量)×100で算出した。
(3)シクロペンチルメチルエーテル選択率(以下、「CPME選択率」と略す。)(%)は、(反応液1g中のシクロペンチルメチルエーテルモル数)/(原料液1g中のシクロペンテンモル数−反応液1g中のシクロペンテンモル数)×100で算出した。
【0058】
[製造例1]鎖状共役ジエンの除去
市販の粗シクロペンテン3000重量部、5%パラジウムカーボン2重量部を反応器に仕込み、攪拌しながら室温下で水素を導入した。6時間反応後、反応液を濾過しさらに精密蒸留装置で十分に酸素を除去し、常圧蒸留を行い沸点47℃の留分を得た。粗シクロペンテンと処理シクロペンテン(留分)をそれぞれ、ガスクロマトグラフ法により、含有する1,3−ペンタジエンを定量した。その結果、1,3−ペンタジエンの含有量は粗シクロペンテン中に3000ppm、処理後のシクロペンテン中に3ppmであった。
【0059】
[製造例2]
製造例1で得られたシクロペンテン(1,3−ペンタジエン含有量3ppm)に市販のシス−1,3−ペンタジエンまたはトランス−1,3−ペンタジエンを添加して、シス−1,3−ペンタジエン含有量2800ppmのシクロペンテン、およびトランス−1,3−ペンタジエン含有量2700ppmのシクロペンテンを得た。
【0060】
[製造例3]
市販のスチレン系酸性イオン交換樹脂(オルガノ(株)製、商品名:A−15、含水量47重量%)10重量部を真空乾燥機に入れ、圧力10mmHg、温度70℃付近で10時間乾燥した後、デシケーターに入れ、室温で1週間さらに乾燥した。この乾燥したイオン交換樹脂の含水量をカールフィッシャー電量滴定法で測定したところ、4.2重量%であった。
さらに、この乾燥イオン交換樹脂を、60℃で乾燥窒素ガスを流通させ4時間乾燥し、室温に戻した。得られた乾燥イオン交換樹脂の含水量をカールフィッシャー電量滴定法で測定したところ、水分は1.9重量%であった。このようにして得られた酸性イオン交換樹脂(以下、「乾燥酸性イオン交換樹脂」という。)を反応に使用した。
【0061】
なお、カールフィッシャー電量滴定法による含水量の測定は、平沼水分測定装置(製品番号:AQ−7、平沼産業(株)製)を使用し、発生液として、ハイドラナー(R)およびアクアライト(RS−A)を、対極液として、アクアライト(CN)をそれぞれ使用した。
【0062】
[実施例1]
実施例1は、図1(a)に示す反応装置を使用して行なった。SUS製の反応カラム3aに、製造例2で得られた乾燥酸性イオン交換樹脂を充填し、カラム3aを85℃に保温した。
【0063】
一方、製造例1で得られた処理シクロペンテン(1,3−ペンタジエン含有量3ppm)、およびメタノールの混合液(混合モル比:シクロペンテン/メタノール=1.6/1、以下「原料液」と呼ぶ。)をタンク1aから送液し、加熱・気化装置2aにより80℃に加熱・気化させて、常圧、90℃、GHSV=160hr−1で、反応カラム3a内に連続的に送りこんだ。反応管の出口から流出する液(以下、「反応液」と呼ぶ。)は、ドライアイス−メタノールにて冷却して凝縮させ、反応開始から10時間、50時間および150時間経過後に反応液のGC分析を行なった結果を表1に示す。
【0064】
[比較例1]
シクロペンテンとして、1,3−ペンタジエン含有量3000ppmの粗シクロペンテンを用いる他は、実施例1と同様にして反応を行なった結果を表1に示す。
【0065】
[比較例2]
シクロペンテンとして、製造例2で得られたシス−1,3−ペンタジエン含有量2800ppmのシクロペンテンを用いる他は、実施例1と同様にして反応を行なった結果を表1に示す。
【0066】
[比較例3]
シクロペンテンとして、製造例2で得られたトランス−1,3−ペンタジエン含有量2700ppmのシクロペンテンを用いる他は、実施例1と同様にして反応を行なった結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
表1に示すように、1,3−ペンタジエン含有量が10ppm以下のシクロペンテンを用いて反応を行なうと、長時間の連続運転時に触媒活性が低下しなかった。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、固体酸触媒存在下に脂環式オレフィンとアルコール類とを反応させてシクロアルキルアルキルエーテルを製造するに際し、鎖状共役ジエン含有量が10ppm以下である脂環式オレフィンを使用することにより、従来の方法と比較して触媒活性の経時的な低下が著しく抑制され、活性が長時間持続する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の製造方法を実施するための反応装置の模式図である。
【図2】図2は、本発明の製造方法を実施するための反応装置の模式図である。
【図3】図3は、本発明の製造方法を実施するための反応装置と蒸留装置を組み合わせた装置の模式図である。
【符号の説明】
1a、1b、1c、1d…貯蔵タンク、
2a、2b、2c、2d…加熱・気化装置
3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g、3h…反応カラム
4…蒸留装置
5…配管
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品、精密機械部品の洗浄溶剤、反応溶剤、抽出溶剤、結晶化溶剤、電子・電気材料の溶剤および剥離剤などとして有用なシクロアルキルアルキルエーテルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、オレフィンとアルコールの付加反応によるエーテル類の製造方法として、例えば、(a)触媒として結晶性アルミノシリケートを用いる方法(特許文献1)、(b)触媒として外表面酸点の多い特殊なアルミノシリケートを用いる方法(特許文献2)、および(c)触媒としてヘテロポリ酸の有する結晶水を該ヘテロポリ酸1分子あたり平均3.0分子以下に調整されたタングステンの酸化物を用いる方法(特許文献3)、(d)触媒として水分含有量が5重量%以下の酸性イオン交換樹脂を用いる方法(特許文献4)等が知られている。
【0003】
しかしながら、これらの固体酸触媒を用い、脂環式オレフィンを出発原料としてシクロアルキルアルキルエーテルを工業的規模で製造する場合において、長時間の連続運転時に触媒活性が経時的に低下し、このため、頻繁に活性の低下した触媒を再生し、あるいは新たに補充、交換する必要があるという問題が生じていた。
【0004】
【特許文献1】
特開昭59−25345号公報
【特許文献2】
特開昭61−249945号公報
【特許文献3】
特開平5−163188号公報
【特許文献4】
WO03/002500号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、固体酸触媒を用い、脂環式オレフィンを出発原料としてシクロアルキルアルキルエーテルを工業的規模で製造する場合において、長時間の連続運転時に触媒活性が低下しない方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討したところ、原料である脂環式オレフィンに含有される鎖状共役ジエンの成分の量を特定値以下にした原料を使用して反応を行うことにより、触媒活性の経時的な低下が著しく抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明のシクロアルキルアルキルエーテルの製造方法は、固体酸触媒存在下に、鎖状共役ジエン含有量が10ppm以下である脂環式オレフィンと、アルコール類とを反応させることを特徴とする。
【0008】
また前記固体酸触媒がイオン交換樹脂であることが好ましい。
【0009】
さらに、前記シクロアルキルアルキルエーテルがシクロペンチルメチルエーテルであることが好ましい。
【0010】
なお、前記鎖状共役ジエンが、1,3−ペンタジエンであることが特に好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のシクロアルキルアルキルエーテルの製造方法は、鎖状共役ジエン含有量が10ppm以下である脂環式オレフィンと、アルコール類とを固体酸触媒存在下に反応させることを特徴とする。
【0012】
本発明に用いる脂環式オレフィンは、脂肪族系の単環もしくは多環骨格を有し、かつ、これらの環骨格中に少なくとも1以上の炭素−炭素二重結合を有するものである。環骨格は好ましくは3〜20個の炭素で構成される。さらにこれらの環骨格にアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルコキシ基、スルホン基、シアノ基などの置換基を有するものも含まれる。
【0013】
脂環式オレフィンは、入手容易性および目的物がより効率よく得られる観点から、環炭素数が5〜8個の単環を有する脂環式オレフィンの使用が好ましく、置換基を有していてもよいシクロペンテンまたは置換基を有していてもよいシクロヘキセンがより好ましい。
【0014】
置換基を有してもよいシクロペンテンの具体例としては、シクロペンテン、1−メチルシクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、1,3−ジメチルシクロペンテン、1−フルオロシクロペンテン、1−フェニルシクロペンテン等が挙げられる。また、置換基を有してもよいシクロヘキセンとしては、シクロヘキセン、1−メチルシクロヘキセン、4−メチルシクロヘキセン、1,3−ジメチルシクロヘキセン、1−フルオロシクロヘキセン、4−クロロシクロヘキセン、1−フェニルシクロヘキセン、4−フェニルシクロヘキセンなどが挙げられる。これらの中では、シクロペンテンまたはシクロヘキセンが好ましく、シクロペンテンが特に好ましい。
【0015】
本発明で使用する脂環式オレフィンは、それに含有される鎖状共役ジエン化合物の量が10ppm以下であることが必須である。共役ジエン化合物の量は、好ましくは、5ppm以下である。工業用脂環式オレフィンには、通常、3000ppm程度の共役ジエン化合物が含まれている。しかしながら、共役ジエン化合物量が10ppmを超えると、固体酸触媒が短期に失活してしまう。
【0016】
鎖状共役ジエン化合物としては、ブタジエン、2−メチルブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン等が挙げられ、異性体が存在するものについてはそれらも全て含まれるが、1,3−ペンタジエンが特に重要である。
【0017】
鎖状共役ジエンを含有する脂環式オレフィンから鎖状共役ジエン化合物を10ppm以下にする方法としては、(1)鎖状共役ジエンを含有する脂環式オレフィンを活性白土等の吸着剤と接触させる方法、(2)鎖状共役ジエンを含有する脂環式オレフィンを水素等の還元剤で処理し、鎖状共役ジエンを鎖状オレフィンまたは鎖状アルカンに変換する方法、(3)鎖状共役ジエンを含有する脂環式オレフィンをゼオライト等の固体酸触媒と接触させて精製する方法等が挙げられる。
【0018】
脂環式オレフィンに含有されるこれらの鎖状共役ジエン化合物の量は、ガスクロマトグラフィーによって定量することができる。
【0019】
本発明に用いるアルコール類としては、固体酸触媒の存在下で、脂環式オレフィンと付加反応し得るものであれば特に制約されない。効率よくシクロアルキルアルキルエーテルが得られることなどの理由から、炭素数1〜10の直鎖または分枝の飽和アルコールまたは炭素数3〜8のシクロアルキルアルコールが好ましく、炭素数1〜6の直鎖または分枝の飽和アルコールがより好ましい。
【0020】
炭素数1〜10の直鎖または分枝の飽和アルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、n−ヘキシルアルコールなどが挙げられる。また、炭素数3〜8のシクロアルキルアルコールとしては、例えば、シクロプロピルアルコール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコールなどが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜3の直鎖または分枝の飽和アルコールがさらに好ましく、メチルアルコールが特に好ましい。
【0021】
本発明で用いる固体酸触媒は、常温(20〜30℃)で固体状の酸触媒であって、水に不溶性又は難溶解性のものをいう。
【0022】
固体酸触媒としては、例えば、酸性イオン交換樹脂、金属酸化物、ジルコニウム化合物などが挙げられるが、これらの中でも、収率および固定床反応器への適用の容易さの観点から酸性イオン交換樹脂が好ましく、含水量が5重量%以下の酸性イオン交換樹脂が特に好ましい。
【0023】
酸性イオン交換樹脂は、微細な三次元網目構造の高分子基体に酸性のイオン交換基を有する不溶性で多孔質の合成樹脂からなり、一般的に陽イオン交換樹脂と称されるものである。
【0024】
また酸性イオン交換樹脂は、酸性イオン交換樹脂の幾何学的構造面からの分類としてゲル型とポーラス型に大別することができるが、本発明においては、ゲル型樹脂およびポーラス型樹脂のいずれも使用することができる。酸性イオン交換樹脂の型には、イオン交換基のプロトン部分がそのままプロトンであるプロトン酸型、前記イオン交換樹脂のプロトンがアルカリ金属イオンに交換されたアルカリ金属塩型があるが、プロトン型の酸性イオン交換樹脂が好ましい。
【0025】
プロトン型の酸性イオン交換樹脂としては、市販されているものをそのまま使用してもよいし、酸で前処理したものを使用しても良い。酸処理の方法として、例えば希塩酸、希硫酸等の希酸中に酸性イオン交換樹脂を添加し、20℃から100℃で数分から数十時間放置又は撹拌する方法や、カラム中に充填した酸性イオン交換樹脂をカラムの一方の側から溶出する液が酸性となるまで希酸を流通させる方法が挙げられる。前処理したイオン交換樹脂は、蒸留水又は脱イオン水で十分に洗浄して過剰の酸を除去した後に使用するのが好ましい。また、酸性イオン交換樹脂は、通常の再生処理を行なうことにより繰り返して使用することができる。
【0026】
酸性イオン交換樹脂としては、イオン交換基としてスルホン酸基またはカルボン酸基を有し、イオン交換基が結合する高分子基体として、フェノールとホルムアルデヒドを縮重合させて得られる高分子基体や、スチレンまたはハロゲン化スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体基体を有するものが挙げられる。これらの中でも、入手容易性および取扱い性等の観点から、イオン交換基としてスルホン酸基を有するスルホン酸型強酸性イオン交換樹脂の使用が好ましく、スチレンまたはハロゲン化スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体を高分子基体とし、イオン交換基としてスルホン酸基を有するスルホン酸型スチレン系強酸性イオン交換樹脂の使用がより好ましい。
【0027】
酸性イオン交換樹脂の好ましい具体例としては、三菱化学(株)製のスチレン系強酸性陽イオン交換樹脂ゲル型DIAION SK1B、SK012、SK104、SK106、SK110、SK112、SK116;スチレン系強酸性陽イオン交換樹脂ポーラス型PK208、PK212、PK216、PK220、PK228;スチレン系強酸性陽イオン交換樹脂ハイポーラス型HPK25;耐熱性スチレン系強酸性陽イオン交換樹脂RCP145;バイエル社製の強酸性バイエルキャタリストゲル型K1221、K1431、K1481、K1491;強酸性バイエルキャタリストマクロポーラス型K2431、K2621、K2641;ローム・アンド・ハース社製のアンバーライト(XE−284);日本錬水(株)製のダイヤイオンRCP−160M、RCP−160H、RCP−170H;オルガノ(株)製のアンバーリストCSP−2、A−15;等が挙げられる。
【0028】
これらの酸性イオン交換樹脂の見かけ密度(g/L−R)は、通常500〜1000、好ましくは600〜900である。乾燥前の水含有量は、通常30〜70重量%である。酸性イオン交換樹脂の平均粒径は特に限定されないが、通常0.02mm〜10mm、好ましくは0.5mm〜2mmの範囲である。また、酸性イオン交換樹脂は、通常プロトン型で使用され、通常の再生処理を行なうことにより繰り返して使用することができる。
【0029】
本発明は、水含有量が好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下、特に好ましくは2重量%以下の酸性イオン交換樹脂を用いた場合に高い選択率および転化率で目的とするシクロアルキルアルキルエーテルを得ることができる。
【0030】
水含有量が5重量%以下の酸性イオン交換樹脂を得るには、使用前に乾燥して水分を除去すればよい。酸性イオン交換樹脂を乾燥する方法は、乾燥して水含有量が5重量%以下の酸性イオン交換樹脂が得られる方法であれば特に制約されない。
【0031】
乾燥する方法としては、例えば、通常の加熱脱水操作を採用できる。加熱脱水操作としては、例えば、▲1▼通常の乾燥機内に酸性イオン交換樹脂を収容し、常圧または減圧下において、50〜120℃、好ましくは80〜110℃で数分から数時間加熱する方法;▲2▼酸性イオン交換樹脂を不活性な気体流通条件下に、所定温度(室温から100℃程度)で数分から数時間加熱乾燥する方法;および▲3▼前記▲1▼と▲2▼の方法の組み合わせ;などが挙げられる。
【0032】
前記▲2▼および▲3▼の方法において用いる不活性な気体としては、例えば、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、水素、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素などが挙げられる。また、不活性な気体の流通速度は特に限定されないが、加熱温度での気体体積換算で装置内空間速度として、通常、0.01〜100vol/Hr・volである。
【0033】
なお、乾燥前後の酸性イオン交換樹脂の含水量は、カールフィッシャー水分計により測定することができる。
【0034】
また、金属酸化物としては、例えば、Ge、Sn、Pb、B、Al、Ga、Zn、Cd、Cu、Fe、Mn、Ni、Cr、Mo、W、Ti、Zr、Hf、Y、La、Ce、Yb、Siからなる群から選ばれる金属の酸化物の1種または2種以上;モルデナイト、エリオナイト、フェリナイト、モービル社発表のZSM系ゼオライト等の結晶性アルミノシリケート、ホウ素、鉄、ガリウム、チタニウム、銅、銀等の異元素を含有するメタロアルミノシリケートやメタロシリケートゼオライトなどのゼオライト;タングステン化合物とジルコニウム化合物からなる非水溶性の二元系触媒などの複酸化物;が挙げられる。
【0035】
ジルコニウム化合物としては、ジルコニウム水酸化物と硫酸または水溶性の硫酸塩との反応生成物である硫酸ジルコニア等が挙げられる。
【0036】
また、本発明を実施するにあたっては、固体酸触媒、脂環式オレフィンおよびアルコール類に対して不活性な溶媒または希釈剤を反応系に添加することができる。溶媒または希釈剤は、1種類単独でも、また2種類以上からなる混合物の形で使用してもよいが、反応系において鎖状共役ジエンを生成するような化合物を存在させることは好ましくない。
【0037】
使用することができる溶媒および希釈剤としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカンなどの脂肪族飽和炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、アニソール、クメン、ニトロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;シクロペンタン、アルキル置換シクロペンタン類、アルコキシ置換シクロペンタン類、ニトロ置換シクロペンタン類、シクロヘキサン、アルキル置換シクロヘキサン類、アルコキシ置換シクロヘキサン類、ニトロ置換シクロヘキサン類、シクロヘプタン、アルキル置換シクロヘプタン類、アルコキシ置換シクロヘプタン類、ニトロ置換シクロヘプタン類、シクロオクタン、アルキル置換シクロオクタン類、アルコキシ置換シクロオクタン類、ニトロ置換シクロオクタン類などの脂環式飽和炭化水素類;窒素、アルゴン、空気、ヘリウムなどが挙げられる。溶媒または希釈剤の使用量は特に制限されず、反応を阻害しない範囲で任意の量を選択できる。
【0038】
本発明においては、固体酸触媒の存在下に、脂環式オレフィンとアルコール類との混合物(以下、単に「混合物」ということがある。)を反応させる。混合物の含水量は、より効率よく目的物を得るためには少ない方が好ましいが、好ましくは1重量%以下、特に好ましくは500ppm以下である。
【0039】
脂環式オレフィンとアルコール類との反応温度は特に限定されないが、通常20〜200℃、好ましくは40〜180℃、より好ましくは50〜160℃である。反応温度があまりに低い場合には反応速度が低下し、逆にあまりに高温で反応を行なうと、固体酸触媒が熱により不活性化するおそれがある。
【0040】
固体酸触媒の存在下に、脂環式オレフィンとアルコール類とを反応させる方法は特に制限されない。例えば、混合物に固体酸触媒を添加して撹拌する方法(バッチ式)や、固体酸触媒をカラム内に充填し(以下、固体酸触媒が充填されたカラムを「反応カラム」という。)、その中に混合物を流通させる方法(流通式)等を用いることができる。本発明においては、作業効率および連続的に反応生成物の精製を行なうことができる観点から、流通式を採用するのがより好ましい。
【0041】
バッチ式を採用する場合には、反応器に固体酸触媒、脂環式オレフィンおよびアルコール類を所定量添加して、所定温度、所定圧力で反応混合物を撹拌する。この場合の固体酸触媒の使用量は、通常、脂環式オレフィン100重量部に対し、0.01〜200重量部、好ましくは0.1〜150重量部、より好ましくは1〜100重量部の範囲である。
【0042】
バッチ式の場合、脂環式オレフィンとアルコール類との使用割合は特に制約されないが、アルコール類を過剰に用いるのが好ましい。バッチ式の場合には、混合物が加熱されている時間が長くなるため、脂環式オレフィンが過剰の状態で反応させると、脂環式オレオフィンの重合物が生成するおそれがあるからである。脂環式オレフィンとアルコール類との使用割合は、脂環式オレフィン/アルコール類とのモル比で、通常1/1〜1/50、好ましくは1/1〜1/30、より好ましくは1/1〜1/20である。
【0043】
流通式を採用する場合には反応カラム中に混合物を流通させる。この場合、用いるカラムは加熱装置を有するものを使用し、所定温度(反応温度)に加熱した反応カラム中に混合物を流通させる。また、混合物は液体状態で流通させることもできるし、気体状態で流通させることもできるが、目的物をより高選択率で得るためには、気体状態で流通させるのが好ましい。
【0044】
気体状態で反応カラム中を流通させる場合には、気相−固相反応が進行する。この反応を行なう方法としては、例えば、図1(a)に示すように、脂環式オレフィンとアルコール類との混合液の貯蔵タンク1aから混合液を送液し、加熱・気化装置2aによりこのものを気体状態とし、気体状態で反応カラム3aに送り込む方法が挙げられる。複数の反応カラムを使用する場合には、反応カラムのみならず、反応カラム間を連結する連結管も所定温度に保温しておくのが好ましい。
【0045】
流通式により本発明を実施するより具体的な方法としては、例えば、(i)図1(a)に示すように、固体酸触媒を充填した反応カラム3aを単独で用いる方法、(ii) 図1(b)に示すように、複数の固体酸触媒を充填した複数の反応カラム3b、3cを直列に連結させて反応を行なう方法、(iii) 図1(c)に示すように、複数の反応カラム3d、3e、3fを直列と並列に連結して反応を行う方法などが挙げられる。複数の反応カラムを組み合わせる場合には、脂環式オレフィン(またはアルコール類)の転化率をさらに向上させることができる。
【0046】
用いるカラムの大きさは特に限定されず、反応規模に応じて種々の大きさのものを選択して使用できる。複数の反応カラムを組み合わせて用いる場合には、それぞれのカラムに充填する固体酸触媒は同じであっても、異なる種類のものであってもよい。
【0047】
また、混合物を固体酸触媒を充填した反応カラム中を流通させる方法としては、図1(b)に示すごとく、反応カラム3b、3cの上部から該混合物を流通させるダウンフロー式であっても、図2に示すごとく、反応カラム3b、3cの下部側から混合物を流通させるアップフロー式であってもよい。より高い転化率及び選択率で目的物が得られる観点から、ダウンフロー方式が好ましい。
【0048】
混合物が反応カラム中を通過するときの圧力は、通常、常圧から30MPa、好ましくは常圧から10MPa、より好ましくは常圧から5MPaの範囲である。また、流通式を採用する場合において、混合物が液状であれば、空塔基準の液空間速度(以下、「LHSV」と略す。)は、通常0.01〜100hr−1、好ましくは0.1〜20hr−1の範囲であり、混合物がガス状であれば、空塔基準のガス空間速度(以下、「GHSV」と略す。)は、通常0.01〜40,000h−1、好ましくは0.1〜8,000h−1の範囲である。また、複数の反応カラムを使用する場合には、反応温度、流通速度などを反応カラム毎に変化させることができる。
【0049】
前記混合物を調製するには、脂環式オレフィンとアルコール類とを所定割合で混合すればよい。この場合、脂環式オレフィンとアルコール類との混合液を予め調製しておき、それをタンクに貯蔵し、該タンクから反応カラムに気体状態または液体状態で送り込むこともできるし、脂環式オレフィンとアルコール類とを別々のタンクに貯蔵しておき、そこから脂環式オレフィンとアルコール類とを別々に送液し、反応カラム内に送り込む直前に両者を混合することもできる。
【0050】
また、流通式の場合、脂環式オレフィンとアルコール類との使用割合は特に制約されないが、脂環式オレフィンを過剰に用いるのが好ましい。流通式の場合は、混合物が加熱されている時間が短いので、脂環式オレフィンが重合することがない一方で、アルコール類を過剰に用いると、ジアルキルエーテルの副生量が増大するからである。脂環式オレフィンとアルコール類との使用割合は、脂環式オレフィン/アルコール類とのモル比で、通常1/3〜20/1、好ましくは1/3〜10/1、より好ましくは1/3〜5/1、さらに好ましくは1/3〜3/1である。
【0051】
反応終了後は、反応液を溶媒抽出、蒸留等の通常の分離・精製方法によって、目的とするシクロアルキルアルキルエーテルを単離することができる。蒸留は複数回行なってもよい。
【0052】
蒸留装置としては、例えば、精留塔を有する連続精留装置などの公知の蒸留装置を使用することができる。また、図3に示すように、固体酸触媒を充填した反応カラム3g中に混合液を流通させた後、得られた反応液を反応カラム3h中に通過させ、例えば、ラシヒリングを充填した蒸留装置4により連続的に蒸留することもできる。この方法によれば、未反応の脂環式オレフィンおよびアルコール類を配管5により反応カラム3gに戻し、再度反応に供することができ、より高い転化率で目的物を得ることができる。
【0053】
本発明の製造方法により得られるシクロアルキルアルキルエーテルとしては、
式(1):R1−O−R2(式中、R1は置換基を有していてもよいシクロペンチル基又は置換基を有していてもよいシクロヘキシル基を表し、R2は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数3〜8のシクロアルキル基を表す。)で表されるシクロアルキルアルキルエーテルが挙げられる。
【0054】
前記式(1)で表されるシクロアルキルアルキルエーテルの好ましい具体例としては、シクロペンチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、シクロペンチルn−プロピルエーテル、シクロペンチルイソプロピルエーテル、シクロペンチルn−ブチルエーテル、シクロペンチルsec−ブチルエーテル、シクロペンチルtert−ブチルエーテル、シクロペンチルn−ペンチルエーテル、ジシクロペンチルエーテル、シクロペンチルシクロヘキシルエーテルなどのシクロペンチルアルキルエーテル類;シクロヘキシルメチルエーテル、シクロヘキシルエチルエーテル、シクロヘキシルn−プロピルエーテル、シクロヘキシルイソプロピルエーテル、シクロヘキシルn−ブチルエーテル、シクロヘキシルsec−ブチルエーテル、シクロヘキシルtert−ブチルエーテル、シクロヘキシルn−ペンチルエーテル、シクロヘキシルシクロプロピルエーテル、ジシクロヘキシルエーテルなどのシクロヘキシルアルキルエーテル類、などが挙げられる。これらの中でも、R1がシクロペンチル基であるシクロペンチルアルキルエーテルがより好ましく、シクロペンチルメチルエーテルまたはシクロペンチルエチルエーテルがさらに好ましく、シクロペンチルメチルエーテルが特に好ましい。
【0055】
本発明の製造方法により得られるシクロアルキルアルキルエーテルは、電子部品、精密機械部品の洗浄溶剤、種々の化学反応の反応溶剤、抽出溶剤、結晶化溶剤、電子・電気材料の溶剤および剥離剤などとして有用である。
【0056】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってその範囲を限定されるものではない。
【0057】
(1)ガスクロマトグラフィーによる分析(以下、「GC分析」という。)は、次の条件で行なった。
分析機器:Agilent6850
カラム:キャピラリカラムHP−5 30m×φ0.25mm(HP社製)
カラム温度:40℃(10分)、40℃→250℃(10℃/分)
注入口温度:200℃
検出器温度:300℃
キャリアーガス:He
検出器:FID
(2)シクロペンテン転化率(以下、「CPE転化率」と略す。)(%)は、(原料液1g中のシクロペンテン重量−反応液1g中のシクロペンテン重量)/(原料液1g中のシクロペンテン重量)×100で算出した。
(3)シクロペンチルメチルエーテル選択率(以下、「CPME選択率」と略す。)(%)は、(反応液1g中のシクロペンチルメチルエーテルモル数)/(原料液1g中のシクロペンテンモル数−反応液1g中のシクロペンテンモル数)×100で算出した。
【0058】
[製造例1]鎖状共役ジエンの除去
市販の粗シクロペンテン3000重量部、5%パラジウムカーボン2重量部を反応器に仕込み、攪拌しながら室温下で水素を導入した。6時間反応後、反応液を濾過しさらに精密蒸留装置で十分に酸素を除去し、常圧蒸留を行い沸点47℃の留分を得た。粗シクロペンテンと処理シクロペンテン(留分)をそれぞれ、ガスクロマトグラフ法により、含有する1,3−ペンタジエンを定量した。その結果、1,3−ペンタジエンの含有量は粗シクロペンテン中に3000ppm、処理後のシクロペンテン中に3ppmであった。
【0059】
[製造例2]
製造例1で得られたシクロペンテン(1,3−ペンタジエン含有量3ppm)に市販のシス−1,3−ペンタジエンまたはトランス−1,3−ペンタジエンを添加して、シス−1,3−ペンタジエン含有量2800ppmのシクロペンテン、およびトランス−1,3−ペンタジエン含有量2700ppmのシクロペンテンを得た。
【0060】
[製造例3]
市販のスチレン系酸性イオン交換樹脂(オルガノ(株)製、商品名:A−15、含水量47重量%)10重量部を真空乾燥機に入れ、圧力10mmHg、温度70℃付近で10時間乾燥した後、デシケーターに入れ、室温で1週間さらに乾燥した。この乾燥したイオン交換樹脂の含水量をカールフィッシャー電量滴定法で測定したところ、4.2重量%であった。
さらに、この乾燥イオン交換樹脂を、60℃で乾燥窒素ガスを流通させ4時間乾燥し、室温に戻した。得られた乾燥イオン交換樹脂の含水量をカールフィッシャー電量滴定法で測定したところ、水分は1.9重量%であった。このようにして得られた酸性イオン交換樹脂(以下、「乾燥酸性イオン交換樹脂」という。)を反応に使用した。
【0061】
なお、カールフィッシャー電量滴定法による含水量の測定は、平沼水分測定装置(製品番号:AQ−7、平沼産業(株)製)を使用し、発生液として、ハイドラナー(R)およびアクアライト(RS−A)を、対極液として、アクアライト(CN)をそれぞれ使用した。
【0062】
[実施例1]
実施例1は、図1(a)に示す反応装置を使用して行なった。SUS製の反応カラム3aに、製造例2で得られた乾燥酸性イオン交換樹脂を充填し、カラム3aを85℃に保温した。
【0063】
一方、製造例1で得られた処理シクロペンテン(1,3−ペンタジエン含有量3ppm)、およびメタノールの混合液(混合モル比:シクロペンテン/メタノール=1.6/1、以下「原料液」と呼ぶ。)をタンク1aから送液し、加熱・気化装置2aにより80℃に加熱・気化させて、常圧、90℃、GHSV=160hr−1で、反応カラム3a内に連続的に送りこんだ。反応管の出口から流出する液(以下、「反応液」と呼ぶ。)は、ドライアイス−メタノールにて冷却して凝縮させ、反応開始から10時間、50時間および150時間経過後に反応液のGC分析を行なった結果を表1に示す。
【0064】
[比較例1]
シクロペンテンとして、1,3−ペンタジエン含有量3000ppmの粗シクロペンテンを用いる他は、実施例1と同様にして反応を行なった結果を表1に示す。
【0065】
[比較例2]
シクロペンテンとして、製造例2で得られたシス−1,3−ペンタジエン含有量2800ppmのシクロペンテンを用いる他は、実施例1と同様にして反応を行なった結果を表1に示す。
【0066】
[比較例3]
シクロペンテンとして、製造例2で得られたトランス−1,3−ペンタジエン含有量2700ppmのシクロペンテンを用いる他は、実施例1と同様にして反応を行なった結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
表1に示すように、1,3−ペンタジエン含有量が10ppm以下のシクロペンテンを用いて反応を行なうと、長時間の連続運転時に触媒活性が低下しなかった。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、固体酸触媒存在下に脂環式オレフィンとアルコール類とを反応させてシクロアルキルアルキルエーテルを製造するに際し、鎖状共役ジエン含有量が10ppm以下である脂環式オレフィンを使用することにより、従来の方法と比較して触媒活性の経時的な低下が著しく抑制され、活性が長時間持続する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の製造方法を実施するための反応装置の模式図である。
【図2】図2は、本発明の製造方法を実施するための反応装置の模式図である。
【図3】図3は、本発明の製造方法を実施するための反応装置と蒸留装置を組み合わせた装置の模式図である。
【符号の説明】
1a、1b、1c、1d…貯蔵タンク、
2a、2b、2c、2d…加熱・気化装置
3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g、3h…反応カラム
4…蒸留装置
5…配管
Claims (4)
- 固体酸触媒存在下に、鎖状共役ジエン含有量が10ppm以下である脂環式オレフィンと、アルコール類とを反応させてシクロアルキルアルキルエーテルを製造する方法。
- 前記固体酸触媒が酸性イオン交換樹脂である請求項1記載の製造方法。
- 前記シクロアルキルアルキルエーテルがシクロペンチルメチルエーテルである請求項1記載の製造方法。
- 前記鎖状共役ジエンが、1,3−ペンタジエンである請求項3記載の製造方法。
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