JP4395695B2 - イオン交換樹脂の使用方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はイオン交換樹脂の使用方法に関し、より詳しくは、触媒として酸性イオン交換樹脂を用いる化学反応において、該イオン交換樹脂の劣化や失活を抑制し、長期間安定的に使用できるイオン交換樹脂の使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から触媒として酸性イオン交換樹脂を用いる化学反応が数多く知られている。その一例として、エチレン、プロピレン等のオレフィンを水と反応させて、直接水和法によりアルコールを製造する方法がある。
【0003】
このようなオレフィンの直接水和法は、気相、液相又は気液混相の反応形式があって、それぞれの反応条件に適した種々の酸触媒が用いられる。酸性イオン交換樹脂は、一般的に液相又は気液混相の反応において採用され、別種の酸触媒を用いる気相反応に比してオレフィンの転化率が高いという利点がある。
【0004】
しかしながら、酸性イオン交換樹脂を繰り返し、あるいは連続的に水和反応に使用する場合には、該樹脂の表面から酸性物質が遊離(脱離)して触媒が劣化しやすく、目的物の生産効率がしだいに低下して、製造工程が不安定になるという問題があった。
【0005】
そこで、酸性イオン交換樹脂を用いるオレフィン水和反応を改良する試みが幾つか報告されている。例えば、特開昭49−126607号公報には、強酸性の陽イオン交換樹脂の存在下に、低級オレフィンを水和して低級アルコールを製造するに際し、反応を比較的低い温度(120〜150℃)で開始し、反応温度を徐々に上昇させることにより、触媒の能率(単位触媒量及び単位時間当たりのアルコール生成量)を所定値以上に維持する方法が提案されている。
【0006】
しかし、この反応温度を徐々に上昇させる方法は、次の(1)〜(4)に示すような問題があって、工業的に有利な方法とは言い難い。すなわち、(1)反応温度を上昇させると、イオン交換樹脂からの酸性物質の遊離が促進されて触媒寿命が短くなり、(2)該酸性物質の溶出に伴って反応装置が腐蝕しやすく、(3)生成物に混入した酸性物質を除去するために、苛性ソーダ等の塩基性物質で中和する必要があり、(4)前記中和処理において分離が困難な塩類が生成する。
【0007】
また、米国特許第4,182,920号公報には、陽イオン(カチオン)交換樹脂触媒の存在下に、2−メチルブテンを水和してt−アミルアルコールを得る製造プロセスにおいて、陽イオン交換樹脂を充填した第1反応器、第2反応器及び第3反応器へ反応液を順次通過させた後、反応液中に存在する少量の酸型副生成物を除去するために、第3反応器からの流出液をOH型の陰イオン交換樹脂と接触させる方法が記載されている。しかし、この方法では、水和反応に関与する陽イオン交換樹脂の劣化を抑制することは困難であるため、触媒の能率が維持されず、製造工程が不安定になる問題は解決されない。
【0008】
さらに、特開平10−287602号公報には、強酸性イオン交換樹脂と耐熱性塩基性ピリジン交換樹脂との混合物が充填された固定床反応器にオレフィンと水とを供給し、該樹脂混合物を触媒として用いるアルコールの製造方法が提案されている。しかしながら、この方法は、酸性イオン交換樹脂から遊離する酸性物質を塩基性ピリジン交換樹脂で中和するのみであって、触媒能を有する酸性イオン交換樹脂自体の劣化を抑制できず、触媒活性を維持したまま長期間にわたって安定的に使用することは困難である。また、耐熱性塩基性ピリジン交換樹脂の入手は困難であり、一般に耐熱性塩基性ピリジン交換樹脂は強酸性イオン交換樹脂に比べ耐熱性が劣る。さらに、酸性及び塩基性の二種類の交換樹脂を混合使用することは、使用済み触媒の再生処理が煩雑になるという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術の実状と問題点に鑑みてなされたものであって、触媒として酸性イオン交換樹脂を用いる化学反応において、該イオン交換樹脂から遊離する酸性物質に起因する触媒の劣化や失活を抑制し、長期間にわたって安定的に使用できるイオン交換樹脂の使用方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために、シクロペンテンと水とを反応させてシクロペンタノールを合成する水和反応におけるイオン交換樹脂の使用方法について鋭意検討を重ねた結果、プロトン酸型の残基を有するイオン交換樹脂(A)(以下、「イオン交換樹脂(A)」という。)とプロトン酸のアルカリ金属塩型の残基を有するイオン交換樹脂(B)(以下、「イオン交換樹脂(B)」という。)とを組み合わせて用いることにより、イオン交換樹脂(A)から酸性物質が遊離しても、その酸性物質がイオン交換樹脂(B)で中和されると同時にイオン交換樹脂(B)はイオン交換樹脂(A)に変換されて、触媒として機能するイオン交換樹脂(A)の寿命は著しく長くなり、極めて効率よくシクロペンタノールが得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0011】
かくして、本発明によれば、触媒として酸性イオン交換樹脂を用いる化学反応において、プロトン酸型の残基を有するイオン交換樹脂(A)と、プロトン酸のアルカリ金属塩型の残基を有するイオン交換樹脂(B)とを組み合わせて用いることを特徴とするイオン交換樹脂の使用方法が提供される。
本発明においては、前記イオン交換樹脂(B)を前記イオン交換樹脂(A)の存在下での反応の後に用いるのが好ましい。
また、前記化学反応はオレフィンの水和反応であり、前記オレフィンはシクロペンテンであるのがそれぞれ好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用する酸性イオン交換樹脂は、微細な三次元網目構造の高分子基体に酸性のイオン交換基を有する不溶性で多孔質の合成樹脂からなり、一般的に陽イオン交換樹脂と称されるものである。
【0013】
酸性イオン交換樹脂としては、イオン交換基としてスルホン酸基又はカルボン酸基を有し、高分子基体としてフェノールとホルムアルデヒドを縮重合させて得られる高分子基体や、スチレン又はハロゲン化スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体を高分子基体を有するものが挙げられる。これらの中でも、入手容易性及び取扱い性等の観点から、イオン交換基としてスルホン酸基を有するスチレン系スルホン酸型イオン交換樹脂又はフェノール系スルホン酸型イオン交換樹脂が好ましく、スチレン又はハロゲン化スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体を高分子基体とし、イオン交換基としてスルホン酸基を有するスルホン酸型スチレン系イオン交換樹脂がより好ましい。
【0014】
また、酸性イオン交換樹脂はその幾何学的構造面からの分類としてゲル型とポーラス型に大別することができるが、本発明においては、ゲル型樹脂及びポーラス型樹脂のいずれも使用することができる。かかる酸性イオン交換樹脂は、通常の再生処理を行なうことにより繰り返して使用することができる。
【0015】
本発明に用いられる酸性イオン交換樹脂の好ましい具体例としては、三菱化学(株)製のスチレン系強酸性陽イオン交換樹脂ゲル型DIAION SK1B、SK102、SK104、SK106、SK110、SK112、SK116;スチレン系強酸性陽イオン交換樹脂ポーラス型PK208、PK212、PK216、PK220、PK228;スチレン系強酸性陽イオン交換樹脂ハイポーラス型HPK25;耐熱性スチレン系強酸性陽イオン交換樹脂RCP145;バイエル社製の強酸性バイエルキャタリストゲル型K1221、K1431、K1481、K1491;強酸性バイエルキャタリストマクロポーラス型K2431、K2621、K2641;ローム・アンド・ハース社製のアンバーライト(XE−284)等が挙げられる。
【0016】
酸性イオン交換樹脂の型には、イオン交換基のプロトン部分がそのままプロトンであるプロトン酸型、前記イオン交換樹脂(A)のプロトンがアルカリ金属イオンに交換されたアルカリ金属塩型がある。
【0017】
本発明においては、イオン交換樹脂(A)とイオン交換樹脂(B)とを組み合わせて使用する。本発明に使用するイオン交換樹脂(A)とイオン交換樹脂(B)の高分子基体及びイオン交換基はそれぞれ同一でも異なっていてもよいが、操業性、取扱い性等の観点から高分子基体及びイオン交換基の両方が同一であるのが好ましい。
【0018】
イオン交換樹脂(A)としては、市販されているものをそのまま使用することができる。また、例えば、希塩酸、希硫酸等の希酸中に、酸性イオン交換樹脂を添加し、20℃〜100℃で数分〜数十時間放置又は撹拌することにより、あるいは、カラム中に充填した酸性イオン交換樹脂をカラムの一方の側から溶出する液が酸性となるまで希酸を流通させる方法によって、前処理したものを使用することもできる。このように前処理したイオン交換樹脂(A)は、蒸留水又は脱イオン水で十分に洗浄して過剰の酸を除去した後に使用するのが好ましい。
【0019】
イオン交換樹脂(B)としては、例えば、リチウム塩型、ナトリウム塩型、カリウム塩型等が挙げられるが、入手容易性及びコストの観点からナトリウム塩型の使用が好ましい。
【0020】
イオン交換樹脂(B)は市販のものをそのまま使用することができる。また、例えば、酸性イオン交換樹脂をハロゲン化アルカリ水溶液中に添加し、20℃〜100℃で数分〜数十時間放置又は撹拌することにより調製したものを使用することもできる。ハロゲン化アルカリとしては、塩化リチウム、臭化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム等が挙げられる。調製したイオン交換樹脂(B)は、蒸留水又は脱イオン水で十分に洗浄して過剰のハロゲン化アルカリを除去した後に使用するのが好ましい。
【0021】
イオン交換樹脂(A)及び(B)の使用量は、反応スケール等により適宜設定することができる。また、それらの使用量の割合は、重量比で1:10〜10:1、好ましくは3:7〜7:3の範囲である。イオン交換樹脂(B)の使用量があまりに少ないと遊離した酸性物質を除去することができなくなるおそれがある一方で、イオン交換樹脂(A)の使用量が少なすぎると全体の触媒活性が不十分となる。
【0022】
また、イオン交換樹脂(B)をイオン交換樹脂(A)と組み合わせて使用しない場合には、イオン交換樹脂(A)の触媒活性が初期活性の80%程度まで低下すると操業上使用が困難となるが、イオン交換樹脂(A)と同じ高分子基体及びイオン交換基を有するイオン交換樹脂(B)を組み合わせて使用する場合には、イオン交換樹脂(A)自体の触媒活性が初期活性の80%以下となっても、イオン交換樹脂(B)は酸によりイオン交換樹脂(A)に変化するので、イオン交換樹脂(A)と(B)全体の触媒活性の低下は少なくなり、結果として、イオン交換樹脂(A)を長時間使用することができることになる。このことは、操業上、触媒交換や運転条件の変更を長期にわたり不要となるため、触媒コストの削減に寄与し得る。
【0023】
一般的にイオン交換樹脂(B)の熱安定性はイオン交換樹脂(A)より優れるので、イオン交換樹脂(B)は通常の反応条件では熱により殆ど分解されない。従って、イオン交換樹脂(B)が酸と反応してプロトン酸型になったものも、再活性化処理によりイオン交換樹脂(B)に再生させて再利用することができ、また酸処理することによりプロトン酸型として使用することもできる。
【0024】
イオン交換樹脂(A)及び(B)の形状は特に制限されないが、触媒活性が高い粒状が好ましい。樹脂粒子の大きさは、通常0.02mm〜10mm、好ましくは0.2mm〜1mmの範囲である。
【0025】
イオン交換樹脂(A)と(B)とを組み合わせて使用する具体的態様としては、例えば、イオン交換樹脂(A)と(B)とを、重量比で1:10〜10:1、好ましくは3:7〜7:3の割合で混合して使用する方法、イオン交換樹脂(A)を使用した後、得られた反応液をイオン交換樹脂(B)と接触させる方法等が挙げられる。
【0026】
本発明の使用方法によれば、イオン交換樹脂(A)から遊離した酸性物質はイオン交換樹脂(B)により速やかに捉えられ、イオン交換樹脂(A)から遊離した酸性物質が触媒層に長時間存在することがなくなるので、イオン交換樹脂(A)自身の酸性物質による分解が抑制される。また、酸性物質が反応液中に混入することがなくなるので、反応装置やその後の処理装置が酸による腐蝕を防止できる。従って、装置類に耐酸性の高価な材料を使用する必要がない。
【0027】
本発明の使用方法を適用できる化学反応としては、触媒として酸性イオン交換樹脂を用いる反応であれば特に制約されないが、オレフィンを水と反応させてアルコールを製造する水和反応が特に好ましい。
【0028】
水和反応に用いられるオレフィンとしては特に制限はなく、直鎖状、分岐鎖状又は環状のオレフィンのいずれも使用することができる。また、オレフィンとしては、オレフィンの二重結合が分子末端に存在する末端オレフィン及び二重結合が分子内部に存在する内部オレフィンのいずれも使用できる。これらの中でも、炭素数2〜12個のモノオレフィンの使用が好ましく、炭素数2〜6個のモノオレフィンの使用がより好ましい。
【0029】
かかるオレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、ペンテン類、ヘキセン類、ヘプテン類、オクテン類、スチレン類等の直鎖状又は分岐鎖状オレフィン;シクロブテン、シクロペンテン、メチルシクロペンテン、シクロヘキセン、メチルシクロペンテン、メチルシクロヘキセン、シクロオクテン、シクロノネン、シクロデセン、シクロウンデセン、メチルシクロペンテン、ジメチルシクロペンテン、フェニルシクロペンテン、メチルシクロヘキセン、トリメチルシクロヘキセン、テトラメチルシクロヘキセン、フェニルシクロヘキセン等の環状オレフィン;等が挙げられる。また、これらの混合物や、これらのオレフィンと非オレフィン化合物の混合物を原料オレフィンとして使用することもできる。これらの中でも、本発明においては、環状オレフィンの使用が好ましく、環状オレフィンの中でもシクロペンテンの使用が特に好ましい。
【0030】
水和反応は、固定床又は流動床に酸性イオン交換樹脂触媒を存在させ、回分式あるいは連続式により行なうことができるが、本発明においては、作業効率の観点から酸性イオン交換樹脂を充填したカラム中を原料オレフィン及び水を通過させる連続式が好ましい。
【0031】
オレフィンの水和反応におけるイオン交換樹脂(A)と(B)とを組み合わせて使用する具体的態様としては、回分式においては、オレフィン及び水の反応液に所定量のイオン交換樹脂(A)を添加して水和反応を行なった後、得られた反応液に所定量のイオン交換樹脂(B)を接触させる方法が挙げられる。
【0032】
また、連続式を採用する場合には、例えば、▲1▼イオン交換樹脂(A)を充填したカラム(反応器)とイオン交換樹脂(B)を充填したカラムを連結させ、イオン交換樹脂(A)を充填したカラム側からイオン交換樹脂(B)を充填したカラムへ反応液を流通させる方法、▲2▼1つのカラムの前半部分にイオン交換樹脂(A)を充填し、後半部分にイオン交換樹脂(B)を充填して、そのカラム中に反応液を流通させる方法、▲3▼1つのカラム中に、イオン交換樹脂(A)から徐々にイオン交換樹脂(B)の含有量が多くなるようにイオン交換樹脂(A)及び(B)を充填し、そのカラム中に反応液を流通させる方法、▲4▼イオン交換樹脂(A)及び(B)を所定割合で混合した混合物を1つのカラム中に充填し、そのカラム中に反応液を流通させる方法等が挙げられる。これらの中でも、▲1▼、▲2▼又は▲3▼の方法が好ましく、▲1▼又は▲2▼の方法がより好ましい。
【0033】
オレフィンと水の反応温度は、通常20〜200℃、好ましくは40〜180℃、より好ましくは50〜160℃であり、反応圧力は、通常常圧〜30MPa、好ましくは0.5〜10MPa、より好ましくは1〜5MPaの範囲である。また、液空間速度は、通常0.01〜100〔流量(リットル/hr)/触媒量(リットル)〕、好ましくは0.1〜20〔流量(リットル/hr)/触媒量(リットル)〕の範囲である。
【0034】
この製造方法によれば、従来、酸性イオン交換樹脂触媒を使用してアルコールを製造する場合には、反応液に酸が混入するため、中和する工程が必要であったが、遊離する酸はイオン交換樹脂(B)により捕捉されるので、中和工程は不要となる。
反応終了後は、反応液を溶媒抽出、蒸留等の通常の分離・精製方法によって、目的とするアルコールを単離することができる。
【0035】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってその範囲を限定されるものではない。
【0036】
実施例
シクロペンテンと水とを混合(混合モル比:シクロペンテン/水=2)した原料液を、スチレン系スルホン酸型陽イオン交換樹脂(商品名:RCP145H、三菱化学(株)製)18.0ccを充填した固定床反応管(第1反応器)に送液し、続いてナトリウム型スチレン系スルホン酸型陽イオン交換樹脂(ナトリウム型に調製したRCP145H)18.0ccを充填した固定床反応管(第2反応器)に送液した。第1反応器、第2反応器ともに反応温度は150℃、圧力は3MPa、液空間速度は11.3hr−1であった。この流通反応条件でシクロペンテンの直接水和反応を270時間連続して行った。第2反応器出口から反応液を経時的に分取して、ガスクロマトグラフィー分析とpH測定を行った。次式により求めた転化率(%)とpH測定結果を表1に示す。
【0037】
【数1】
【0038】
比較例
実施例1において、第2反応器を使用しなかったこと以外は実施例1と同様にして、シクロペンテンの直接水和反応を270時間連続して行った。反応器出口から反応液を経時的に分取して、ガスクロマトグラフィー分析とpH測定を行った。前記式により求めた転化率(%)とpH測定結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
第1表から明らかなように、実施例においては270時間連続運転後においてもシクロペンテンの転化率は大きく低下しておらず、反応液のpH値も大きく低下していなかった。それに対し、比較例では、200時間連続運転後において既にシクロペンテンの転化率が大きく低下し、また、反応液のpH値も大きく低下しており、酸性イオン交換触媒がかなり失活していることがわかった。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の使用方法によれば、触媒として酸性イオン交換樹脂を用いる化学反応において、該イオン交換樹脂から遊離する酸性物質に由来するイオン交換樹脂の劣化や触媒活性の低下が抑制されるので、酸性イオン交換樹脂を長時間にわたって安定的に使用することができる。
【0042】
また、本発明を適用して酸性イオン交換樹脂触媒の存在下にオレフィンを中和させてアルコールを製造する場合には、該触媒から遊離する酸性物質によって装置類が腐蝕されるのを防止でき、しかも長期にわたり安定して高い選択率で工業的に有利にアルコールを製造することができる。
Claims (3)
- 触媒として酸性イオン交換樹脂を用いる化学反応において、プロトン酸型の残基を有するイオン交換樹脂(A)と、プロトン酸のアルカリ金属塩型の残基を有するイオン交換樹脂(B)とを組み合わせて用いるイオン交換樹脂の使用方法であって、イオン交換樹脂(A)の存在下での反応の後に、得られた反応液をイオン交換樹脂(B)と接触させるイオン交換樹脂の使用方法。
- 前記化学反応がオレフィンの水和反応である請求項1に記載のイオン交換樹脂の使用方法。
- 前記オレフィンがシクロペンテンである請求項1または2に記載のイオン交換樹脂の使用方法。
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