JP2004291390A - 医療用インクジェット記録材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】インク吸収性、連続給紙性、光透過性に優れ、外部光の反射光によるぎらつきを防止した医療用インクジェット記録材料を提供する。
【解決手段】光透過性支持体上に2層以上のインク受容層を設けた医療用インクジェット記録材料において、支持体に近いインク受容層Aが気相法シリカ微粒子を主体としてなり、支持体から最も離れたインク受容層Bがアルミナまたはアルミナ水和物微粒子を主体としてなり、かつ該インク受容層Bに平均粒子径が0.5〜10μmの顔料を含有することを特徴とする医療用インクジェット記録材料。
【選択図】 なし。
【解決手段】光透過性支持体上に2層以上のインク受容層を設けた医療用インクジェット記録材料において、支持体に近いインク受容層Aが気相法シリカ微粒子を主体としてなり、支持体から最も離れたインク受容層Bがアルミナまたはアルミナ水和物微粒子を主体としてなり、かつ該インク受容層Bに平均粒子径が0.5〜10μmの顔料を含有することを特徴とする医療用インクジェット記録材料。
【選択図】 なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用インクジェット記録材料に関し、インク吸収性、連続給紙性、光透過性に優れ、印字面の反対面からの透過光により画像を見るバックライト方式での使用において、透過光以外の外部光の反射光(戻り光)による画像のぎらつきを防止した医療用インクジェット記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式に使用される記録材料として、通常の紙やインクジェット記録用紙と称される支持体上に親水性ポリマーのインク受容層や非晶質シリカ等の顔料と水溶性バインダーからなる多孔質のインク受容層を設けてなる記録材料が知られている。
【0003】
例えば、特開昭56−080489号、同59−174381号、同60−220750号、同61−32788号、同63−160875号、特開平3−69388号公報等に開示のごとく、澱粉、ポリビニルアルコール等の親水性ポリマーを支持体に塗布した記録材料が提案されている。
【0004】
また、特開昭55−51583号、同56−157号、同57−107879号、同57−107880号、同59−230787号、同62−160277号、同62−184879号、同62−183382号、及び同64−11877号、特開平3−21508、同4−67986号公報等に開示のごとく、シリカ等の含珪素顔料やアルミナゾルを水系バインダーと共に紙支持体に塗布して得られる記録材料が提案されている。
【0005】
更に、特公平3−56552号、特開平2−188287号、同平8−132728号、同平10−81064号、同平10−119423号、同平10−175365号、同10−203006号、同10−217601号、同平11−20300号、同平11−20306号、同平11−34481号公報には、気相法による合成シリカ微粒子(以降、気相法シリカと称す)を用いた記録材料が開示されている。
【0006】
一方、胸部X線や超音波診断などの医療画像をインクジェット記録方式で作製することも検討されている。この医療用インクジェット記録材料は、インク吸収性と光透過性が高いことに加えて、反射光によって記録画像がぎらつかないことが要求される。この画像のぎらつきは、透過光以外の外部光の反射光(戻り光)によって記録画像がぎらつく現象であり、画像を見づらくして診断に支障を来す場合がある。上記した画像のぎらつき防止には、表面を粗面化(マット化)するのが有効である。しかし、この粗面化は、透明性を悪化させるうえに、粗面化のために大きな粒子を表面層に添加すると、画像部に白抜けという現象を発生させる場合がある。
【0007】
また、透明な樹脂フィルムを支持体とする医療用インクジェット記録材料は、平滑性が高いためにシートを積層した際にシート間の貼り付きを起こしたりすることが多く、インクジェットプリンターで連続印刷する際に、正常に1枚ずつ印刷されずに重送してしまうということがあった。
【0008】
医療用途に用いられるインクジェット記録材料としては、例えば、特開2001−341410号、同2002−2093号、同2000−341419号、同2000−335104号、同2001−150803号公報に記載されている記録材料が挙げられる(特許文献1)。しかしながら、これらの記録材料では、上記した医療用途に要求される、高いインク吸収性、光透過性、画像のぎらつき防止、及び連続給紙性を同時に満足させるものではなかった。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−341410号公報(第1−5頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、インク吸収性、連続給紙性、光透過性に優れ、印字面の反対面からの透過光により画像を見るバックライト方式での使用において、透過光以外の外部光の反射光(戻り光)による画像のぎらつきを防止した医療用インクジェット記録材料を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、鋭意検討の結果、下記の手段によって達成されることが判明した。
【0012】
(1)光透過性支持体上に2層以上のインク受容層を設けた医療用インクジェット記録材料において、支持体に近いインク受容層Aが気相法シリカ微粒子を主体としてなり、支持体から最も離れたインク受容層Bがアルミナまたはアルミナ水和物微粒子を主体としてなり、かつ該インク受容層Bに平均粒子径が0.5〜10μmの顔料を含有することを特徴とする医療用インクジェット記録材料。
【0013】
(2)インク受容層Bに含有される顔料の含有量が、0.1〜0.5g/m2である前記1に記載の医療用インクジェット記録材料。
【0014】
(3)前記気相法シリカ微粒子の凝集粒子の平均粒子径が300nm以下である前記1または2に記載の医療用インクジェット記録材料。
【0015】
(4)前記アルミナまたはアルミナ水和物微粒子の凝集粒子の平均粒子径が300nm以下である前記1、2または3に記載の医療用インクジェット記録材料。
【0016】
(5)JIS−K−7105で規定されるヘイズ値が25%以下である前記1〜4の何れか1項に記載の医療用インクジェット記録材料。
【0017】
(6)JIS−H−8686で規定される写像性C値が83%以下である前記1〜5の何れか1項に記載の医療用インクジェット記録材料。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、光透過性支持体に塗設される下層のインク受容層Aは、気相法シリカ微粒子を主体としてなる空隙性のインク受容層であり、インク吸収性に寄与する。また、最上層のインク受容層Bは、アルミナまたはアルミナ水和物微粒子を主体としてなる空隙性のインク受容層であり、光透過性を低下させずにぎらつきを防止する効果がある。なお、ここでいう主体とはインク受容層の全固形分の50質量%以上、好ましくは60質量%以上、更に好ましくは65質量%以上を含有することをいう。本発明は、上記した基本構成に加えて、最上層のインク受容層Bに平均粒子径が0.5〜10μmの顔料を含有させることによって、画像のぎらつき防止と連続給紙性を更に一段向上させることが可能となった。
【0019】
ここで合成シリカについて説明する。合成シリカには、湿式法によるものと気相法によるものがあり、通常シリカ微粒子といえば湿式法シリカを指す場合が多い。湿式法シリカとしては、▲1▼ケイ酸ナトリウムの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾル、または▲2▼このシリカゾルを加熱熟成して得られるコロイダルシリカ、▲3▼シリカゾルをゲル化させ、その生成条件を変えることによって数μmから10μm位の一次粒子がシロキサン結合をした三次元的な二次粒子となったシリカゲル、更には▲4▼シリカゾル、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム等を加熱生成させて得られるもののようなケイ酸を主体とする合成ケイ酸化合物等がある。湿式法シリカは一般的には表面のシラノール基は5個/nm2以上である。
【0020】
これに対し、本発明において用いられる気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されており入手することができる。気相法シリカの表面のシラノール基は5個/nm2未満が一般的である。
【0021】
気相法シリカの平均一次粒子径は5〜50nm、好ましくは5〜20nmであることが好ましく、かつ高い吸収性を得るためにBET法による比表面積が90〜400m2/gのものを用いるのが好ましい。BET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
【0022】
気相法シリカの特徴は、一次粒子が網目構造または鎖状につながりあって二次的に凝集した状態(本発明でいう「凝集粒子」を指す)で存在して適度な空隙を形成することにあり、本発明では凝集粒子が300nm以下、更には200nm以下の平均粒子径になるまで超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で粉砕あるいは分散させたものが好ましい。これによって、光透過性とインク吸収性を両立することができる。
【0023】
本発明において、気相法シリカ微粒子はカチオン化した状態で用いられる。カチオン化された気相法シリカは、カチオン性ポリマーもしくは水溶性多価金属化合物の存在下で水を主体とする分散媒中で気相法シリカを分散して得られる。このとき、ポリビニルアルコールのような親水性バインダーやホウ酸等の架橋剤(硬膜剤)は含まない状態で分散するのが好ましい。
【0024】
カチオン化された気相法シリカとしては、特開平11−321079号、特開2000−239536号、特開2001−19421号、特開2001−80204号、特開2001−207078号公報等にカチオン性ポリマーの存在下で気相法シリカを分散する方法が記載されており、いずれも本発明に採用することができる。
【0025】
本発明に用いられるカチオン性化合物としては、例えばカチオン性ポリマーや水溶性多価金属化合物が挙げられる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、特開昭59−20696号、同59−33176号、同59−33177号、同59−155088号、同60−11389号、同60−49990号、同60−83882号、同60−109894号、同62−198493号、同63−49478号、同63−115780号、同63−280681号、特開平1−40371号、同6−234268号、同7−125411号、同10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。これらのカチオンポリマーの分子量は、5,000〜10万程度が好ましい。
【0026】
本発明に用いられる水溶性多価金属化合物としては、例えば、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。中でも透明性、耐水性改良効果の高いジルコニウム系化合物が好ましい。
【0027】
また、カチオン性化合物として、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が挙げられる。塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の一般式1、2又は3で示され、例えば[Al6(OH)15]3+、[Al8(OH)20]4+、[Al13(OH)34]5+、[Al21(OH)60]3+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
【0028】
【0029】
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できるが、pHが不適当に低い物もあり、その場合は適宜pHを調節して用いることも可能である。
【0030】
本発明において、これらのカチオン性化合物の使用量は気相法シリカ微粒子に対して1〜10質量%、好ましくは2〜7質量%である。
【0031】
上記したカチオン性化合物は2種以上を併用することができる。例えば、カチオン性ポリマーと水溶性多価金属化合物を併用してもよい。
【0032】
本発明において、インク受容層Aには、皮膜としての特性を維持するためにバインダーを用いることができる。このバインダーとしては、透明性が高くインクの高い浸透性が得られる親水性バインダーが適しているが、親水性バインダーがインクの初期の浸透時に膨潤して空隙を塞いでしまわないことが重要であり、室温付近で比較的膨潤性の低いものがバインダーとして好ましく用いられる。例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン等やこれらの変性物であり、中でも完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールが好ましい。
【0033】
ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したものである。平均重合度1000〜5000のポリビニルアルコールが好ましい。
【0034】
また、カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。また、他の親水性ポリマーやラテックスも併用することができるが、ポリビニルアルコールに対して20質量%程度以下であることが好ましい。
【0035】
本発明において、インク受容層Aの気相法シリカ微粒子に対する親水性バインダーの質量比は、10〜35質量%であり、好ましくは12〜30質量%の範囲である。これにより、光透過性の低下、乾燥時のひび割れや表面強度の低下を発生することなく、優れたインク吸収性を得ることができる。
【0036】
本発明において、インク受容層Aには、耐水性改良目的等で更にカチオン性化合物を含有することができる。カチオン性化合物としては、前述したカチオン性ポリマーあるいは水溶性多価金属化合物が挙げられる。
【0037】
本発明において、インク受容層Aには、耐水性、ドット再現性を向上させる目的で硬膜剤を適宜添加することができる。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸及びほう酸塩の如き無機硬膜剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。硬膜剤の添加量はインク受容層を構成する親水性バインダーに対して0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは1〜30質量%である。
【0038】
本発明において、インク受容層Aには、光透過性の観点から平均粒子径が0.5μmより大きな顔料は実質的に含有させない方が好ましい。顔料を使用する場合は、インク受容層Aの全固形分の0.5質量%以下で調整する。
【0039】
その他、インク受容層には、更に、皮膜の脆弱性を改良するための各種油滴、着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、消泡剤、有機溶剤、レベリング剤、防腐剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0040】
本発明において、光透過性支持体から最も離れたインク受容層Bにアルミナまたはアルミナ水和物微粒子を主体として含有させることによって画像のぎらつきがある程度防止できるので、ぎらつきの防止を更に改良するための平均粒子径が0.5〜10μmの顔料の添加量を少量に抑えることができる。その結果、光透過性が低下せず、また、画像の白抜けも発生することはない。更に、アルミナまたはアルミナ水和物微粒子と顔料の組み合わせは、顔料の添加量が少量であっても連続給紙性を大幅に改良する効果がある。
【0041】
本発明で用いられるアルミナまたはアルミナ水和物微粒子は、酸化アルミニウムやその含水物であり、結晶質でも非晶質でもよく、不定形や、球状、板状等の形態を有しているものが使用される。両者の何れかを使用してもよいし、併用してもよい。一次粒子の平均粒子径は10〜50nmであり、好ましくは10〜30nmである。バインダー、架橋剤、カチオン性化合物、界面活性剤等が適宜加えられたインク受容層Bの塗布液は、インク受容層の最上層として設けられる。
【0042】
本発明のアルミナとしては酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は、数千から数万nmの凝集粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で50〜300nm程度まで粉砕したものが使用される。本発明では300nm以下、更には200nm以下の平均粒子径にまで粉砕あるいは分散した凝集粒子が好ましく使用される。
【0043】
本発明のアルミナ水和物はAl2O3・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。nが1の場合がベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1より大きく3未満の場合が擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表す。アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。
【0044】
本発明において、インク受容層Bに平均粒子径が0.5〜10μm、好ましくは1〜6μmの顔料が含有されることで画像のぎらつき感の防止効果に更に優れるうえに、少量の顔料を含有させるだけでインク受容層を設けた面のすべり性が飛躍的に向上し、インクジェットプリンターで連続給紙する際の重送トラブルを防止することができる。
【0045】
本発明において、インク受容層Bに含有される顔料の含有量は、0.05〜0.8g/m2、好ましくは0.1〜0.5g/m2、更に好ましくは0.2〜0.4g/m2である。これにより、白抜け等のない高品質の画像記録性を維持しつつ、ぎらつき感の防止効果、光透過性、連続給紙性を得ることができる。
【0046】
アルミナまたはアルミナ水和物微粒子を主体とするインク受容層Bを設けない場合には、少量の顔料を含有させるだけでは画像のぎらつき感の防止と連続給紙性を効果的に向上させることは難しく、これらの効果を得るのに必要な量の顔料を含有させると、光透過性が低下したり、手触りによるざらつき感が生じたり、記録画像に白抜けを多く発生させるという医療用インクジェット記録材料にとって極めて不都合な問題が発生する。
【0047】
本発明において、インク受容層Bに含有される顔料は、無機顔料及び有機顔料のどちらでも良く、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機顔料や、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、尿素樹脂等の有機顔料から選ばれる少なくとも1種が含有される。
【0048】
インク受容層Bに含有される顔料の平均粒子径が0.5μmより小さいと記録画像の光反射による戻り光によるぎらつき感を減らす効果が得られず、逆に10μmより大きいと手触りによるざらつき感が生じたり、記録画像に白抜けを多く発生させて画像品質が低下するので医療用インクジェット記録材料としては不適である。
【0049】
本発明において、インク受容層Bには、皮膜としての特性を維持するためにバインダーを用いることができる。このバインダーとしてはインク受容層Aと同様のものが使用でき、アルミナまたはアルミナ水和物に対する親水性バインダーの質量比は、好ましくは5〜30質量%であり、より好ましくは8〜20質量%の範囲である。これによって、光透過性の低下、乾燥時のひび割れや表面強度の低下を発生することなく、優れたインク吸収性を得ることができる。
【0050】
その他、インク受容層には、更に、カチオン性化合物、硬膜剤、着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、有機溶剤、レベリング剤、防腐剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0051】
本発明において、気相法シリカ、アルミナまたはアルミナ水和物の一次粒子の平均粒子径は、分散された粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒径として求めることができる。また、凝集粒子の平均粒子径は緩いせん断力で分散した粒子を電子顕微鏡で観察して求めることができる。
【0052】
本発明において、インク受容層Aの固形分塗布量は、好ましくは8〜32g/m2であり、更に好ましくは10〜28g/m2であることにより、塗布層の強度を維持しつつ、優れたインク吸収性を得ることができる。
【0053】
本発明において、インク受容層Bの固形分塗布量は、好ましくは0.5〜18g/m2であり、更に好ましくは1〜10g/m2であることにより、記録画像のぎらつきを適度に防止する効果を得ることができる。なお、アルミナとアルミナ水和物を併用しても良い。
【0054】
本発明において、インク受容層Aとインク受容層Bの固形分塗布量の合計は好ましくは12〜35g/m2であり、更に好ましくは15〜30g/m2である。
【0055】
本発明において、各層のインク受容層の塗布液のpHは、好ましくは3.3〜6.0の範囲であり、更に好ましくはpH3.5〜5.5の範囲である。
【0056】
本発明において、インク受容層A及びB以外に塗布層を設けてもよいが、その場合はインク吸収性を損なわない層であることが必要であり、少なくとも支持体から最も離れた最上層はインク受容層Bとしなければ本発明の効果は得られない。
【0057】
本発明において、インク受容層の塗布方法は、1層ずつ塗布する逐次塗布方法(例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、リバースコーター等)、あるいは多層同時重層塗布方法(例えば、スライドビードコーターやスライドカーテンコーター等)の何れの方法であっても、本発明の効果は得られる。特に本発明では、多層同時重層塗布方法が適しており、インク受容層を構成する各層を乾燥工程を設けないで殆ど同時に塗布することにより各層に要求される特性が効率よく得られる。その理由は、各層を湿潤状態で積層することで各層に含有される成分が下層へ浸透しにくいので乾燥後も各層の成分構成が良く保たれるためと考えられる。更に、多層同時重層塗布方法は、生産効率の点からも好ましい。
【0058】
本発明の医療用インクジェット用記録材料に形成された記録画像を透過光で観察する際に画像の鮮鋭性を低下させないためには、JIS−K−7105で規定されるヘイズ値が25%以下であることが好ましく、18%以下であることが更に好ましい。
【0059】
更に好ましくは、本発明の医療用インクジェット記録材料は、JIS−H−8686で規定される写像性C値が83%以下である。写像性C値が大きいほど表面性が良好であり、一般の写真や印刷、出版用途では好ましいが、本発明のような医療用インクジェット記録材料の場合には、インク受容層表面の写像性が高いと透過光による画像が外部光による光反射によってぎらついて見づらくなる。特に医療用途等のように画像内容から重大な判断を下す必要が有る場合には特にぎらつきの改良は重要である。本発明では写像性C値は85%以下であり、好ましくは83%以下、更に好ましくは80%以下である。
【0060】
本発明に用いられる光透過性支持体としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレートのようなポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートのようなセルロースエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルムが挙げられる。特にポリエステルフィルムが耐熱性等の特性と価格で好ましく用いられる。これらの樹脂フィルム支持体の厚みは、カール性や取り扱い安さ等から50〜250μm程度のものが好ましい。
【0061】
光透過性支持体の透明性、色調を調整する場合には、例えば熱可塑性樹脂に無機微粒子等を配合して作成するが、無機微粒子としては炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、シリカや、カーボンブラック等の着色顔料等が利用出来る。医療用には青色に着色されたブルーPETフィルムが特に好ましく使用される。
【0062】
プラスチック樹脂フィルム支持体にインク受容層の塗布液を塗布する場合、塗布に先立って、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、プラズマ処理等が通常行われる。
【0063】
本発明は、プラスチック樹脂フィルム等の光透過性支持体上に合成樹脂を主体とするプライマー層を設けるのが好ましい。
【0064】
フィルム上に設けられるプライマー層は合成樹脂を主体とする。このような合成樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニリデン、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、特にアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましい。アクリル樹脂としては、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルの単独重合体あるいはこれらの共重合体が一般的である。ポリエステル樹脂としては、グリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール)と脂肪族あるいは芳香族二塩基酸等の多塩基酸との重縮合物が一般的である。塩化ビニリデン樹脂としては、単独重合体あるいはアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル及び/またはアクリロニトリルとの共重合体が好ましい。ポリウレタン樹脂としては、水分散型ポリウレタンエマルジョンが好ましい。これらの樹脂は、有機溶剤の溶液あるいは水溶液として支持体上に塗布することができるが、好ましくは水分散性のポリマーであり、エマルジョンやラテックスとして支持体上に塗布することである。
【0065】
これらの合成樹脂は、プライマー層を構成する全固形分に対して、60質量%以上が含有される。好ましくは80質量%以上含有されるものである。更に、プライマー層には、界面活性剤、イソシアネート、エポキシ等の架橋剤、コロイダルシリカ等の微粒子、ゼラチン、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーを含有することができる。
【0066】
上記プライマー層は、支持体上に0.01〜5μmの膜厚(乾燥膜厚)で設けられる。好ましくは0.05〜5μmの範囲である。
【0067】
本発明において、光透過性支持体のインク受容層が設けられた他方の面に、帯電防止性、搬送性、カール防止性を目的として、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有させることができる。
【0068】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。以下に記した部数は固形分質量部を示している。
【0069】
実施例1
下記に示す光透過性支持体を用意した。
(A)光透過性支持体
厚み175μmで青色着色したポリエチレンテレフタレートフィルム(不透明度15%)の両面に下記組成のプライマー層を乾燥膜厚が0.3μmになるように設け、光透過性支持体を得た。
【0070】
<プライマー層>
塩化ビニリデン:メチルアクリレート:アクリル酸(90:9:1、質量%)のラテックス(平均分子量42000)。
【0071】
(B)裏塗り層の塗工
前記(A)の光透過性支持体の片面に下記の固形分組成の裏塗り層塗布液を固形分塗布量が6g/m2になるように塗布、乾燥した。
【0072】
<裏塗り層塗布液>
塩基性ポリ塩化アルミニウム水溶液 10部
(理研グリーン社製ピュラケムWT)
ポリビニルアルコール 100部
【0073】
(C)インク受容層の塗工
前記(B)で裏塗り層を設けた反対面に、下記組成のインク受容層A及びインク受容層Bをスライドビード塗布装置で同時重層塗布し、乾燥して実施例1の医療用インクジェット記録材料を得た。
【0074】
下記のインク受容層Aにおいて、気相法シリカは、予めジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(カチオン性ポリマー)の存在下で高圧ホモジナイザーで、凝集粒子の平均粒子径が150nmになるまで分散した。また、下記のインク受容層Bの擬ベーマイトも凝集粒子の平均粒子径が150nmになるまで分散した。下記のインク受容層A及びBの固形分塗布量が、それぞれ18g/m2、6g/m2になるように塗布した。
【0075】
塗布後の乾燥は、5℃で30秒間冷却後、全固形分濃度が90質量%までを45℃10%RHで乾燥し、次いで35℃10%RHで乾燥した。
【0076】
<インク受容層A>
気相法シリカ 100部
(平均一次粒径7nm)
ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー 4部
ほう酸 4部
ポリビニルアルコール 20部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤 0.3部
【0077】
<インク受容層B>
擬ベーマイト 100部
(平均一次粒径15nm、アスペクト比5の平板状)
顔料(沈降法シリカ) 1.5部
(日本シリカ社製、ニップシールE−220A、平均粒径2μm)
ほう酸 0.5部
ポリビニルアルコール 20部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤 0.5部
【0078】
実施例2
実施例1のインク受容層Bの顔料の固形分質量部を5部に変更した以外は同様にして実施例2の医療用インクジェット記録材料を得た。
【0079】
実施例3
実施例1のインク受容層Bの顔料の固形分質量部を12部に変更した以外は同様にして実施例3の医療用インクジェット記録材料を得た。
【0080】
実施例4
実施例1のインク受容層Bの顔料を平均粒子径が8μmのポリスチレン粒子(積水化成品工業社製、SBX−8)に変更した以外は同様にして実施例4の医療用インクジェット記録材料を得た。
【0081】
比較例1
実施例1のインク受容層Bの沈降法シリカを添加しなかった以外は同様にして比較例1の医療用インクジェット記録材料を得た。
【0082】
比較例2
実施例1のインク受容層Bの擬ベーマイトを気相法シリカ(平均一次粒径7nm、分散後の凝集粒子径150nm)に変更し、顔料の固形分質量部を12部に変更した以外は同様にして比較例2の医療用インクジェット記録材料を得た。
【0083】
比較例3
実施例1のインク受容層Bの擬ベーマイトを気相法シリカ(平均一次粒径7nm、分散後の凝集粒子径150nm)に変更し、顔料の固形分質量部を20部に変更した以外は同様にして比較例3の医療用インクジェット記録材料を得た。
【0084】
比較例4
実施例1のインク受容層Bの顔料を平均粒子径が17μmのポリスチレン粒子(積水化成品工業社製、SBX−17)に変更した以外は同様にして比較例4の医療用インクジェット記録材料を得た。
【0085】
各実施例及び比較例のインク受容層Bに含有される顔料の含有量は下記の通りである。
実施例1:0.07g/m2
実施例2:0.24g/m2
実施例3:0.54g/m2
実施例4:0.07g/m2
比較例1:0.00g/m2
比較例2:0.54g/m2
比較例3:0.85g/m2
比較例4:0.07g/m2
【0086】
上記の実施例及び比較例で作成した医療用インクジェット記録材料について23℃、50%RHの環境で一昼夜静置後、下記の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0087】
<インク吸収性>
実施例及び比較例で得られた医療用インクジェット記録材料にインクジェットプリンター(キヤノン社製BJF870)を用いて、シアン、マゼンタ、イエロー単色100%と、3重色300%を印字して、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:全く転写しない。
△:転写は有るが実使用可。
×:転写が大きく実使用不可。
【0088】
<連続給紙性>
実施例及び比較例で得られた医療用インクジェット記録材料を23℃、50%RHの条件で前記キヤノン社製プリンターで50枚連続印字を行って連続給紙性を評価した。
○;重送や紙詰まりが全く発生しなかった。
△;重送または紙詰まりが1〜2回発生した。
×;重送または紙詰まりが3回以上発生した。
【0089】
<画像の見やすさ>
実施例及び比較例で得られた医療用インクジェット記録材料に前記プリンターにより光学濃度が1.5〜2.5の黒画像を印字し、10000ルクスの光源によるシャウカステン(診断用投光装置)により実際の目視での見やすさを、ぎらつき感、画像中の白抜けを含めて総合的に評価した。
○:ぎらつき感が少なく、画像中の白抜けもみられない。
△:ぎらつき感や画像中の白抜けがややあるが、実用可。
×:ぎらつき感が大きいか、白抜けが多量に発生しており、実使用不可。
【0090】
<ヘイズ値>
透明性を評価するために、日本電色工業製NDH−300A(JIS−K−7105準拠)を用いてヘイズ値を測定した。本発明において、好ましくは25%以下である。
【0091】
<写像性>
スガ試験機株式会社性写像性測定器を使用し、JIS−H−8686で規定される写像性C値を光学くしの幅2.0mmで測定した。試料取り付け台への試料固定は吸引式で行いカール等での測定値の低下の無いようにする。各サンプルで5回測定し、平均値を採用した。本発明において、好ましくは83%以下である。
【0092】
【表1】
【0093】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜4はインク吸収性、連続給紙性、光透過性に優れ、印字面の反対面からの透過光により画像を見るバックライト方式での使用において、透過光以外の外部光の反射光(戻り光)による画像のぎらつきを防止した医療用インクジェット記録材料である。
【0094】
これに対し、比較例1〜4は医療用インクジェット記録材料としては実使用不可のものである。比較例1はインク受容層Bが顔料を含有していないことにより、比較例2はインク受容層Bがアルミナまたはアルミナ水和物微粒子を主体としていないことにより、連続給紙性に劣っている。比較例3は実使用可能のレベルの連続給紙性が得られているが、インク受容層Bがアルミナまたはアルミナ水和物微粒子を主体としていないことにより、連続給紙性を向上させるためにインク受容層Bに顔料を大量に含有させている。その結果、光透過性に劣り、記録画像中にも微細な白抜けが多く発生している。比較例4はインク受容層Bに大きな粒径の顔料を含有していることにより、記録画像中に大きめの白抜けが発生しており画像品質が劣っている。
【0095】
【発明の効果】
上記結果から明らかなように、本発明により、インク吸収性、連続給紙性、光透過性に優れ、印字面の反対面からの透過光により画像を見るバックライト方式での使用において、透過光以外の外部光の反射光(戻り光)による画像のぎらつきを防止した医療用インクジェット記録材料が得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用インクジェット記録材料に関し、インク吸収性、連続給紙性、光透過性に優れ、印字面の反対面からの透過光により画像を見るバックライト方式での使用において、透過光以外の外部光の反射光(戻り光)による画像のぎらつきを防止した医療用インクジェット記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式に使用される記録材料として、通常の紙やインクジェット記録用紙と称される支持体上に親水性ポリマーのインク受容層や非晶質シリカ等の顔料と水溶性バインダーからなる多孔質のインク受容層を設けてなる記録材料が知られている。
【0003】
例えば、特開昭56−080489号、同59−174381号、同60−220750号、同61−32788号、同63−160875号、特開平3−69388号公報等に開示のごとく、澱粉、ポリビニルアルコール等の親水性ポリマーを支持体に塗布した記録材料が提案されている。
【0004】
また、特開昭55−51583号、同56−157号、同57−107879号、同57−107880号、同59−230787号、同62−160277号、同62−184879号、同62−183382号、及び同64−11877号、特開平3−21508、同4−67986号公報等に開示のごとく、シリカ等の含珪素顔料やアルミナゾルを水系バインダーと共に紙支持体に塗布して得られる記録材料が提案されている。
【0005】
更に、特公平3−56552号、特開平2−188287号、同平8−132728号、同平10−81064号、同平10−119423号、同平10−175365号、同10−203006号、同10−217601号、同平11−20300号、同平11−20306号、同平11−34481号公報には、気相法による合成シリカ微粒子(以降、気相法シリカと称す)を用いた記録材料が開示されている。
【0006】
一方、胸部X線や超音波診断などの医療画像をインクジェット記録方式で作製することも検討されている。この医療用インクジェット記録材料は、インク吸収性と光透過性が高いことに加えて、反射光によって記録画像がぎらつかないことが要求される。この画像のぎらつきは、透過光以外の外部光の反射光(戻り光)によって記録画像がぎらつく現象であり、画像を見づらくして診断に支障を来す場合がある。上記した画像のぎらつき防止には、表面を粗面化(マット化)するのが有効である。しかし、この粗面化は、透明性を悪化させるうえに、粗面化のために大きな粒子を表面層に添加すると、画像部に白抜けという現象を発生させる場合がある。
【0007】
また、透明な樹脂フィルムを支持体とする医療用インクジェット記録材料は、平滑性が高いためにシートを積層した際にシート間の貼り付きを起こしたりすることが多く、インクジェットプリンターで連続印刷する際に、正常に1枚ずつ印刷されずに重送してしまうということがあった。
【0008】
医療用途に用いられるインクジェット記録材料としては、例えば、特開2001−341410号、同2002−2093号、同2000−341419号、同2000−335104号、同2001−150803号公報に記載されている記録材料が挙げられる(特許文献1)。しかしながら、これらの記録材料では、上記した医療用途に要求される、高いインク吸収性、光透過性、画像のぎらつき防止、及び連続給紙性を同時に満足させるものではなかった。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−341410号公報(第1−5頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、インク吸収性、連続給紙性、光透過性に優れ、印字面の反対面からの透過光により画像を見るバックライト方式での使用において、透過光以外の外部光の反射光(戻り光)による画像のぎらつきを防止した医療用インクジェット記録材料を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、鋭意検討の結果、下記の手段によって達成されることが判明した。
【0012】
(1)光透過性支持体上に2層以上のインク受容層を設けた医療用インクジェット記録材料において、支持体に近いインク受容層Aが気相法シリカ微粒子を主体としてなり、支持体から最も離れたインク受容層Bがアルミナまたはアルミナ水和物微粒子を主体としてなり、かつ該インク受容層Bに平均粒子径が0.5〜10μmの顔料を含有することを特徴とする医療用インクジェット記録材料。
【0013】
(2)インク受容層Bに含有される顔料の含有量が、0.1〜0.5g/m2である前記1に記載の医療用インクジェット記録材料。
【0014】
(3)前記気相法シリカ微粒子の凝集粒子の平均粒子径が300nm以下である前記1または2に記載の医療用インクジェット記録材料。
【0015】
(4)前記アルミナまたはアルミナ水和物微粒子の凝集粒子の平均粒子径が300nm以下である前記1、2または3に記載の医療用インクジェット記録材料。
【0016】
(5)JIS−K−7105で規定されるヘイズ値が25%以下である前記1〜4の何れか1項に記載の医療用インクジェット記録材料。
【0017】
(6)JIS−H−8686で規定される写像性C値が83%以下である前記1〜5の何れか1項に記載の医療用インクジェット記録材料。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、光透過性支持体に塗設される下層のインク受容層Aは、気相法シリカ微粒子を主体としてなる空隙性のインク受容層であり、インク吸収性に寄与する。また、最上層のインク受容層Bは、アルミナまたはアルミナ水和物微粒子を主体としてなる空隙性のインク受容層であり、光透過性を低下させずにぎらつきを防止する効果がある。なお、ここでいう主体とはインク受容層の全固形分の50質量%以上、好ましくは60質量%以上、更に好ましくは65質量%以上を含有することをいう。本発明は、上記した基本構成に加えて、最上層のインク受容層Bに平均粒子径が0.5〜10μmの顔料を含有させることによって、画像のぎらつき防止と連続給紙性を更に一段向上させることが可能となった。
【0019】
ここで合成シリカについて説明する。合成シリカには、湿式法によるものと気相法によるものがあり、通常シリカ微粒子といえば湿式法シリカを指す場合が多い。湿式法シリカとしては、▲1▼ケイ酸ナトリウムの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾル、または▲2▼このシリカゾルを加熱熟成して得られるコロイダルシリカ、▲3▼シリカゾルをゲル化させ、その生成条件を変えることによって数μmから10μm位の一次粒子がシロキサン結合をした三次元的な二次粒子となったシリカゲル、更には▲4▼シリカゾル、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム等を加熱生成させて得られるもののようなケイ酸を主体とする合成ケイ酸化合物等がある。湿式法シリカは一般的には表面のシラノール基は5個/nm2以上である。
【0020】
これに対し、本発明において用いられる気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されており入手することができる。気相法シリカの表面のシラノール基は5個/nm2未満が一般的である。
【0021】
気相法シリカの平均一次粒子径は5〜50nm、好ましくは5〜20nmであることが好ましく、かつ高い吸収性を得るためにBET法による比表面積が90〜400m2/gのものを用いるのが好ましい。BET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
【0022】
気相法シリカの特徴は、一次粒子が網目構造または鎖状につながりあって二次的に凝集した状態(本発明でいう「凝集粒子」を指す)で存在して適度な空隙を形成することにあり、本発明では凝集粒子が300nm以下、更には200nm以下の平均粒子径になるまで超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で粉砕あるいは分散させたものが好ましい。これによって、光透過性とインク吸収性を両立することができる。
【0023】
本発明において、気相法シリカ微粒子はカチオン化した状態で用いられる。カチオン化された気相法シリカは、カチオン性ポリマーもしくは水溶性多価金属化合物の存在下で水を主体とする分散媒中で気相法シリカを分散して得られる。このとき、ポリビニルアルコールのような親水性バインダーやホウ酸等の架橋剤(硬膜剤)は含まない状態で分散するのが好ましい。
【0024】
カチオン化された気相法シリカとしては、特開平11−321079号、特開2000−239536号、特開2001−19421号、特開2001−80204号、特開2001−207078号公報等にカチオン性ポリマーの存在下で気相法シリカを分散する方法が記載されており、いずれも本発明に採用することができる。
【0025】
本発明に用いられるカチオン性化合物としては、例えばカチオン性ポリマーや水溶性多価金属化合物が挙げられる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、特開昭59−20696号、同59−33176号、同59−33177号、同59−155088号、同60−11389号、同60−49990号、同60−83882号、同60−109894号、同62−198493号、同63−49478号、同63−115780号、同63−280681号、特開平1−40371号、同6−234268号、同7−125411号、同10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。これらのカチオンポリマーの分子量は、5,000〜10万程度が好ましい。
【0026】
本発明に用いられる水溶性多価金属化合物としては、例えば、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。中でも透明性、耐水性改良効果の高いジルコニウム系化合物が好ましい。
【0027】
また、カチオン性化合物として、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が挙げられる。塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の一般式1、2又は3で示され、例えば[Al6(OH)15]3+、[Al8(OH)20]4+、[Al13(OH)34]5+、[Al21(OH)60]3+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
【0028】
【0029】
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できるが、pHが不適当に低い物もあり、その場合は適宜pHを調節して用いることも可能である。
【0030】
本発明において、これらのカチオン性化合物の使用量は気相法シリカ微粒子に対して1〜10質量%、好ましくは2〜7質量%である。
【0031】
上記したカチオン性化合物は2種以上を併用することができる。例えば、カチオン性ポリマーと水溶性多価金属化合物を併用してもよい。
【0032】
本発明において、インク受容層Aには、皮膜としての特性を維持するためにバインダーを用いることができる。このバインダーとしては、透明性が高くインクの高い浸透性が得られる親水性バインダーが適しているが、親水性バインダーがインクの初期の浸透時に膨潤して空隙を塞いでしまわないことが重要であり、室温付近で比較的膨潤性の低いものがバインダーとして好ましく用いられる。例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン等やこれらの変性物であり、中でも完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールが好ましい。
【0033】
ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したものである。平均重合度1000〜5000のポリビニルアルコールが好ましい。
【0034】
また、カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。また、他の親水性ポリマーやラテックスも併用することができるが、ポリビニルアルコールに対して20質量%程度以下であることが好ましい。
【0035】
本発明において、インク受容層Aの気相法シリカ微粒子に対する親水性バインダーの質量比は、10〜35質量%であり、好ましくは12〜30質量%の範囲である。これにより、光透過性の低下、乾燥時のひび割れや表面強度の低下を発生することなく、優れたインク吸収性を得ることができる。
【0036】
本発明において、インク受容層Aには、耐水性改良目的等で更にカチオン性化合物を含有することができる。カチオン性化合物としては、前述したカチオン性ポリマーあるいは水溶性多価金属化合物が挙げられる。
【0037】
本発明において、インク受容層Aには、耐水性、ドット再現性を向上させる目的で硬膜剤を適宜添加することができる。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸及びほう酸塩の如き無機硬膜剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。硬膜剤の添加量はインク受容層を構成する親水性バインダーに対して0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは1〜30質量%である。
【0038】
本発明において、インク受容層Aには、光透過性の観点から平均粒子径が0.5μmより大きな顔料は実質的に含有させない方が好ましい。顔料を使用する場合は、インク受容層Aの全固形分の0.5質量%以下で調整する。
【0039】
その他、インク受容層には、更に、皮膜の脆弱性を改良するための各種油滴、着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、消泡剤、有機溶剤、レベリング剤、防腐剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0040】
本発明において、光透過性支持体から最も離れたインク受容層Bにアルミナまたはアルミナ水和物微粒子を主体として含有させることによって画像のぎらつきがある程度防止できるので、ぎらつきの防止を更に改良するための平均粒子径が0.5〜10μmの顔料の添加量を少量に抑えることができる。その結果、光透過性が低下せず、また、画像の白抜けも発生することはない。更に、アルミナまたはアルミナ水和物微粒子と顔料の組み合わせは、顔料の添加量が少量であっても連続給紙性を大幅に改良する効果がある。
【0041】
本発明で用いられるアルミナまたはアルミナ水和物微粒子は、酸化アルミニウムやその含水物であり、結晶質でも非晶質でもよく、不定形や、球状、板状等の形態を有しているものが使用される。両者の何れかを使用してもよいし、併用してもよい。一次粒子の平均粒子径は10〜50nmであり、好ましくは10〜30nmである。バインダー、架橋剤、カチオン性化合物、界面活性剤等が適宜加えられたインク受容層Bの塗布液は、インク受容層の最上層として設けられる。
【0042】
本発明のアルミナとしては酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は、数千から数万nmの凝集粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で50〜300nm程度まで粉砕したものが使用される。本発明では300nm以下、更には200nm以下の平均粒子径にまで粉砕あるいは分散した凝集粒子が好ましく使用される。
【0043】
本発明のアルミナ水和物はAl2O3・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。nが1の場合がベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1より大きく3未満の場合が擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表す。アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。
【0044】
本発明において、インク受容層Bに平均粒子径が0.5〜10μm、好ましくは1〜6μmの顔料が含有されることで画像のぎらつき感の防止効果に更に優れるうえに、少量の顔料を含有させるだけでインク受容層を設けた面のすべり性が飛躍的に向上し、インクジェットプリンターで連続給紙する際の重送トラブルを防止することができる。
【0045】
本発明において、インク受容層Bに含有される顔料の含有量は、0.05〜0.8g/m2、好ましくは0.1〜0.5g/m2、更に好ましくは0.2〜0.4g/m2である。これにより、白抜け等のない高品質の画像記録性を維持しつつ、ぎらつき感の防止効果、光透過性、連続給紙性を得ることができる。
【0046】
アルミナまたはアルミナ水和物微粒子を主体とするインク受容層Bを設けない場合には、少量の顔料を含有させるだけでは画像のぎらつき感の防止と連続給紙性を効果的に向上させることは難しく、これらの効果を得るのに必要な量の顔料を含有させると、光透過性が低下したり、手触りによるざらつき感が生じたり、記録画像に白抜けを多く発生させるという医療用インクジェット記録材料にとって極めて不都合な問題が発生する。
【0047】
本発明において、インク受容層Bに含有される顔料は、無機顔料及び有機顔料のどちらでも良く、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機顔料や、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、尿素樹脂等の有機顔料から選ばれる少なくとも1種が含有される。
【0048】
インク受容層Bに含有される顔料の平均粒子径が0.5μmより小さいと記録画像の光反射による戻り光によるぎらつき感を減らす効果が得られず、逆に10μmより大きいと手触りによるざらつき感が生じたり、記録画像に白抜けを多く発生させて画像品質が低下するので医療用インクジェット記録材料としては不適である。
【0049】
本発明において、インク受容層Bには、皮膜としての特性を維持するためにバインダーを用いることができる。このバインダーとしてはインク受容層Aと同様のものが使用でき、アルミナまたはアルミナ水和物に対する親水性バインダーの質量比は、好ましくは5〜30質量%であり、より好ましくは8〜20質量%の範囲である。これによって、光透過性の低下、乾燥時のひび割れや表面強度の低下を発生することなく、優れたインク吸収性を得ることができる。
【0050】
その他、インク受容層には、更に、カチオン性化合物、硬膜剤、着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、有機溶剤、レベリング剤、防腐剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0051】
本発明において、気相法シリカ、アルミナまたはアルミナ水和物の一次粒子の平均粒子径は、分散された粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒径として求めることができる。また、凝集粒子の平均粒子径は緩いせん断力で分散した粒子を電子顕微鏡で観察して求めることができる。
【0052】
本発明において、インク受容層Aの固形分塗布量は、好ましくは8〜32g/m2であり、更に好ましくは10〜28g/m2であることにより、塗布層の強度を維持しつつ、優れたインク吸収性を得ることができる。
【0053】
本発明において、インク受容層Bの固形分塗布量は、好ましくは0.5〜18g/m2であり、更に好ましくは1〜10g/m2であることにより、記録画像のぎらつきを適度に防止する効果を得ることができる。なお、アルミナとアルミナ水和物を併用しても良い。
【0054】
本発明において、インク受容層Aとインク受容層Bの固形分塗布量の合計は好ましくは12〜35g/m2であり、更に好ましくは15〜30g/m2である。
【0055】
本発明において、各層のインク受容層の塗布液のpHは、好ましくは3.3〜6.0の範囲であり、更に好ましくはpH3.5〜5.5の範囲である。
【0056】
本発明において、インク受容層A及びB以外に塗布層を設けてもよいが、その場合はインク吸収性を損なわない層であることが必要であり、少なくとも支持体から最も離れた最上層はインク受容層Bとしなければ本発明の効果は得られない。
【0057】
本発明において、インク受容層の塗布方法は、1層ずつ塗布する逐次塗布方法(例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、リバースコーター等)、あるいは多層同時重層塗布方法(例えば、スライドビードコーターやスライドカーテンコーター等)の何れの方法であっても、本発明の効果は得られる。特に本発明では、多層同時重層塗布方法が適しており、インク受容層を構成する各層を乾燥工程を設けないで殆ど同時に塗布することにより各層に要求される特性が効率よく得られる。その理由は、各層を湿潤状態で積層することで各層に含有される成分が下層へ浸透しにくいので乾燥後も各層の成分構成が良く保たれるためと考えられる。更に、多層同時重層塗布方法は、生産効率の点からも好ましい。
【0058】
本発明の医療用インクジェット用記録材料に形成された記録画像を透過光で観察する際に画像の鮮鋭性を低下させないためには、JIS−K−7105で規定されるヘイズ値が25%以下であることが好ましく、18%以下であることが更に好ましい。
【0059】
更に好ましくは、本発明の医療用インクジェット記録材料は、JIS−H−8686で規定される写像性C値が83%以下である。写像性C値が大きいほど表面性が良好であり、一般の写真や印刷、出版用途では好ましいが、本発明のような医療用インクジェット記録材料の場合には、インク受容層表面の写像性が高いと透過光による画像が外部光による光反射によってぎらついて見づらくなる。特に医療用途等のように画像内容から重大な判断を下す必要が有る場合には特にぎらつきの改良は重要である。本発明では写像性C値は85%以下であり、好ましくは83%以下、更に好ましくは80%以下である。
【0060】
本発明に用いられる光透過性支持体としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレートのようなポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートのようなセルロースエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルムが挙げられる。特にポリエステルフィルムが耐熱性等の特性と価格で好ましく用いられる。これらの樹脂フィルム支持体の厚みは、カール性や取り扱い安さ等から50〜250μm程度のものが好ましい。
【0061】
光透過性支持体の透明性、色調を調整する場合には、例えば熱可塑性樹脂に無機微粒子等を配合して作成するが、無機微粒子としては炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、シリカや、カーボンブラック等の着色顔料等が利用出来る。医療用には青色に着色されたブルーPETフィルムが特に好ましく使用される。
【0062】
プラスチック樹脂フィルム支持体にインク受容層の塗布液を塗布する場合、塗布に先立って、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、プラズマ処理等が通常行われる。
【0063】
本発明は、プラスチック樹脂フィルム等の光透過性支持体上に合成樹脂を主体とするプライマー層を設けるのが好ましい。
【0064】
フィルム上に設けられるプライマー層は合成樹脂を主体とする。このような合成樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニリデン、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、特にアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましい。アクリル樹脂としては、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルの単独重合体あるいはこれらの共重合体が一般的である。ポリエステル樹脂としては、グリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール)と脂肪族あるいは芳香族二塩基酸等の多塩基酸との重縮合物が一般的である。塩化ビニリデン樹脂としては、単独重合体あるいはアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル及び/またはアクリロニトリルとの共重合体が好ましい。ポリウレタン樹脂としては、水分散型ポリウレタンエマルジョンが好ましい。これらの樹脂は、有機溶剤の溶液あるいは水溶液として支持体上に塗布することができるが、好ましくは水分散性のポリマーであり、エマルジョンやラテックスとして支持体上に塗布することである。
【0065】
これらの合成樹脂は、プライマー層を構成する全固形分に対して、60質量%以上が含有される。好ましくは80質量%以上含有されるものである。更に、プライマー層には、界面活性剤、イソシアネート、エポキシ等の架橋剤、コロイダルシリカ等の微粒子、ゼラチン、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーを含有することができる。
【0066】
上記プライマー層は、支持体上に0.01〜5μmの膜厚(乾燥膜厚)で設けられる。好ましくは0.05〜5μmの範囲である。
【0067】
本発明において、光透過性支持体のインク受容層が設けられた他方の面に、帯電防止性、搬送性、カール防止性を目的として、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有させることができる。
【0068】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。以下に記した部数は固形分質量部を示している。
【0069】
実施例1
下記に示す光透過性支持体を用意した。
(A)光透過性支持体
厚み175μmで青色着色したポリエチレンテレフタレートフィルム(不透明度15%)の両面に下記組成のプライマー層を乾燥膜厚が0.3μmになるように設け、光透過性支持体を得た。
【0070】
<プライマー層>
塩化ビニリデン:メチルアクリレート:アクリル酸(90:9:1、質量%)のラテックス(平均分子量42000)。
【0071】
(B)裏塗り層の塗工
前記(A)の光透過性支持体の片面に下記の固形分組成の裏塗り層塗布液を固形分塗布量が6g/m2になるように塗布、乾燥した。
【0072】
<裏塗り層塗布液>
塩基性ポリ塩化アルミニウム水溶液 10部
(理研グリーン社製ピュラケムWT)
ポリビニルアルコール 100部
【0073】
(C)インク受容層の塗工
前記(B)で裏塗り層を設けた反対面に、下記組成のインク受容層A及びインク受容層Bをスライドビード塗布装置で同時重層塗布し、乾燥して実施例1の医療用インクジェット記録材料を得た。
【0074】
下記のインク受容層Aにおいて、気相法シリカは、予めジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(カチオン性ポリマー)の存在下で高圧ホモジナイザーで、凝集粒子の平均粒子径が150nmになるまで分散した。また、下記のインク受容層Bの擬ベーマイトも凝集粒子の平均粒子径が150nmになるまで分散した。下記のインク受容層A及びBの固形分塗布量が、それぞれ18g/m2、6g/m2になるように塗布した。
【0075】
塗布後の乾燥は、5℃で30秒間冷却後、全固形分濃度が90質量%までを45℃10%RHで乾燥し、次いで35℃10%RHで乾燥した。
【0076】
<インク受容層A>
気相法シリカ 100部
(平均一次粒径7nm)
ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー 4部
ほう酸 4部
ポリビニルアルコール 20部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤 0.3部
【0077】
<インク受容層B>
擬ベーマイト 100部
(平均一次粒径15nm、アスペクト比5の平板状)
顔料(沈降法シリカ) 1.5部
(日本シリカ社製、ニップシールE−220A、平均粒径2μm)
ほう酸 0.5部
ポリビニルアルコール 20部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤 0.5部
【0078】
実施例2
実施例1のインク受容層Bの顔料の固形分質量部を5部に変更した以外は同様にして実施例2の医療用インクジェット記録材料を得た。
【0079】
実施例3
実施例1のインク受容層Bの顔料の固形分質量部を12部に変更した以外は同様にして実施例3の医療用インクジェット記録材料を得た。
【0080】
実施例4
実施例1のインク受容層Bの顔料を平均粒子径が8μmのポリスチレン粒子(積水化成品工業社製、SBX−8)に変更した以外は同様にして実施例4の医療用インクジェット記録材料を得た。
【0081】
比較例1
実施例1のインク受容層Bの沈降法シリカを添加しなかった以外は同様にして比較例1の医療用インクジェット記録材料を得た。
【0082】
比較例2
実施例1のインク受容層Bの擬ベーマイトを気相法シリカ(平均一次粒径7nm、分散後の凝集粒子径150nm)に変更し、顔料の固形分質量部を12部に変更した以外は同様にして比較例2の医療用インクジェット記録材料を得た。
【0083】
比較例3
実施例1のインク受容層Bの擬ベーマイトを気相法シリカ(平均一次粒径7nm、分散後の凝集粒子径150nm)に変更し、顔料の固形分質量部を20部に変更した以外は同様にして比較例3の医療用インクジェット記録材料を得た。
【0084】
比較例4
実施例1のインク受容層Bの顔料を平均粒子径が17μmのポリスチレン粒子(積水化成品工業社製、SBX−17)に変更した以外は同様にして比較例4の医療用インクジェット記録材料を得た。
【0085】
各実施例及び比較例のインク受容層Bに含有される顔料の含有量は下記の通りである。
実施例1:0.07g/m2
実施例2:0.24g/m2
実施例3:0.54g/m2
実施例4:0.07g/m2
比較例1:0.00g/m2
比較例2:0.54g/m2
比較例3:0.85g/m2
比較例4:0.07g/m2
【0086】
上記の実施例及び比較例で作成した医療用インクジェット記録材料について23℃、50%RHの環境で一昼夜静置後、下記の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0087】
<インク吸収性>
実施例及び比較例で得られた医療用インクジェット記録材料にインクジェットプリンター(キヤノン社製BJF870)を用いて、シアン、マゼンタ、イエロー単色100%と、3重色300%を印字して、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:全く転写しない。
△:転写は有るが実使用可。
×:転写が大きく実使用不可。
【0088】
<連続給紙性>
実施例及び比較例で得られた医療用インクジェット記録材料を23℃、50%RHの条件で前記キヤノン社製プリンターで50枚連続印字を行って連続給紙性を評価した。
○;重送や紙詰まりが全く発生しなかった。
△;重送または紙詰まりが1〜2回発生した。
×;重送または紙詰まりが3回以上発生した。
【0089】
<画像の見やすさ>
実施例及び比較例で得られた医療用インクジェット記録材料に前記プリンターにより光学濃度が1.5〜2.5の黒画像を印字し、10000ルクスの光源によるシャウカステン(診断用投光装置)により実際の目視での見やすさを、ぎらつき感、画像中の白抜けを含めて総合的に評価した。
○:ぎらつき感が少なく、画像中の白抜けもみられない。
△:ぎらつき感や画像中の白抜けがややあるが、実用可。
×:ぎらつき感が大きいか、白抜けが多量に発生しており、実使用不可。
【0090】
<ヘイズ値>
透明性を評価するために、日本電色工業製NDH−300A(JIS−K−7105準拠)を用いてヘイズ値を測定した。本発明において、好ましくは25%以下である。
【0091】
<写像性>
スガ試験機株式会社性写像性測定器を使用し、JIS−H−8686で規定される写像性C値を光学くしの幅2.0mmで測定した。試料取り付け台への試料固定は吸引式で行いカール等での測定値の低下の無いようにする。各サンプルで5回測定し、平均値を採用した。本発明において、好ましくは83%以下である。
【0092】
【表1】
【0093】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜4はインク吸収性、連続給紙性、光透過性に優れ、印字面の反対面からの透過光により画像を見るバックライト方式での使用において、透過光以外の外部光の反射光(戻り光)による画像のぎらつきを防止した医療用インクジェット記録材料である。
【0094】
これに対し、比較例1〜4は医療用インクジェット記録材料としては実使用不可のものである。比較例1はインク受容層Bが顔料を含有していないことにより、比較例2はインク受容層Bがアルミナまたはアルミナ水和物微粒子を主体としていないことにより、連続給紙性に劣っている。比較例3は実使用可能のレベルの連続給紙性が得られているが、インク受容層Bがアルミナまたはアルミナ水和物微粒子を主体としていないことにより、連続給紙性を向上させるためにインク受容層Bに顔料を大量に含有させている。その結果、光透過性に劣り、記録画像中にも微細な白抜けが多く発生している。比較例4はインク受容層Bに大きな粒径の顔料を含有していることにより、記録画像中に大きめの白抜けが発生しており画像品質が劣っている。
【0095】
【発明の効果】
上記結果から明らかなように、本発明により、インク吸収性、連続給紙性、光透過性に優れ、印字面の反対面からの透過光により画像を見るバックライト方式での使用において、透過光以外の外部光の反射光(戻り光)による画像のぎらつきを防止した医療用インクジェット記録材料が得られる。
Claims (6)
- 光透過性支持体上に2層以上のインク受容層を設けた医療用インクジェット記録材料において、支持体に近いインク受容層Aが気相法シリカ微粒子を主体としてなり、支持体から最も離れたインク受容層Bがアルミナまたはアルミナ水和物微粒子を主体としてなり、かつ該インク受容層Bに平均粒子径が0.5〜10μmの顔料を含有することを特徴とする医療用インクジェット記録材料。
- インク受容層Bに含有される顔料の含有量が、0.1〜0.5g/m2である請求項1に記載の医療用インクジェット記録材料。
- 前記気相法シリカ微粒子の凝集粒子の平均粒子径が300nm以下である請求項1または2に記載の医療用インクジェット記録材料。
- 前記アルミナまたはアルミナ水和物微粒子の凝集粒子の平均粒子径が300nm以下である請求項1、2または3に記載の医療用インクジェット記録材料。
- JIS−K−7105で規定されるヘイズ値が25%以下である請求項1〜4の何れか1項に記載の医療用インクジェット記録材料。
- JIS−H−8686で規定される写像性C値が83%以下である請求項1〜5の何れか1項に記載の医療用インクジェット記録材料。
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