JP2004290715A - 排水処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価な設備で厳しい排水基準値にも確実に適用できるフッ素イオンやリン酸イオンを含む排水の処理方法を提供する。
【解決手段】フッ素イオン及び/又はリン酸イオンを含有する排水にカルシウム含有化合物を添加し、次に(A)マンヌロン酸、グルクロン酸およびセルローズグリコール酸よりなる群れから選ばれた少なくとも一種の有機酸を構成単位として含む水溶性有機高分子電解質化合物とアニオン系高分子凝集剤からなる膜形成剤を添加し、更に(B)カチオン系高分子凝集剤単独、又は水溶性アルミニウム塩とカチオン系高分子凝集剤を逐次的又は同時に錯化剤として添加する。
【選択図】 無

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、フッ素イオン及び/又はリン酸イオンを含有する排水の処理方法に関し、詳しくは半導体製造装置、火力発電所の脱硫装置、ステンレス製造工程、ガラス製造工程等からの排水を高度に処理する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSIなどの半導体を製造する電子産業においては、その製造工程において各種の薬剤が使用される。このため、その排水処理においては、これら各種の薬剤を排水から除去しなければならない。たとえば、シリコンウェハーのエッチング剤としてフッ酸がよく使用されるため、排水にフッ素が含有される場合が多く、フッ素の除去が必要である。フッ素の放流基準は15mg/リットル以下であるが、多くの自治体では、さらにきびしい上乗せ基準を設けようとしており、その基準値は8mg/リットル以下になろうとしている。
【0003】
このフッ素の処理は、カルシウムイオンを発生する物質、例えば塩化カルシウムや消石灰などを添加し、フッ化カルシウムを晶析させ分離する方法が一般的である。そして、通常の場合、フッ化カルシウムを晶析させた後、これをアルミ系凝集剤などの無機凝集剤により凝集沈殿処理し、固液分離を確実にすると共に残留するフッ素をさらに除去している。しかし、通常は排水中の共存物質(例えば、リン酸イオン)の影響によりカルシウムイオンのみによるフッ素除去では不十分であり、通常多量の無機凝集剤を注入し、その吸着作用により排水中のフッ素濃度を低減させている。
【0004】
また、粒状の炭酸カルシウム(例えばカルサイト)を充填した反応塔を用いてフッ素を除去する方法も提案されている。(例えば、特許文献1参照)
この方法では、排水のpHが低いと粒状の炭酸カルシウムが溶け出したり、また、排水中にアンモニア等が含まれていてアルカリ度が高いと、排水のpHが高くなり、粒状の炭酸カルシウムからのカルシウムイオンの溶離が抑制されてフッ素との反応が十分に行なわれなくなる。従って排水の酸性度やフッ化物のイオン濃度を正確に測定管理する制御システムが必要である。
これらの改良技術を含めて現状での処理後の排水中のフッ素濃度は3〜4ppmが限度である。
【0005】
電子産業の製造工程では、リン酸もよく使用される。リン酸は、例えば窒化シリコンのエッチング剤として使用される。そこで、排水処理施設では、フッ酸とリン酸を含む排水を酸系排水として受け入れ処理することになる。ところが、上述したようなフッ化カルシウムを生成することを基本とするフッ素処理では、フッ化カルシウムの生成についてリン酸イオンの阻害が見られる。そこで、このリン酸イオンの影響を排除しフッ素を効果的に除去することが要求される。
【0006】
また、リン酸イオンについては、特に閉鎖性水域における富栄養化の問題があり、排出規制を受ける場合も多くなっている。リン酸イオンの規制値は現在1ppmであるが、このような富栄養化の問題から0.1ppm程度の厳しい規制が検討されている。
フッ素を含んだ化学研磨液は、他にステンレス製造工程やガラス製造工程でも使われており、その結果、フッ素を含む排水が排出される。また、石炭火力発電所の排煙脱硫装置の排水中にもフッ素イオンやリン酸イオンが含まれている。
【0007】
これらの排水中に含まれるフッ素イオンを除去する方法としては、上述の如くカルシウムイオンを添加し、フッ化カルシウムとして除去するのが一般的であるが、生成するフッ化カルシウムは非常に細かい微粒子になりやすいため、有機凝集剤や無機凝集剤等を使ってフロック化し沈殿分離する必要がある。しかし、フッ化カルシウムの溶解度積が3.45×10−11であるため、水中のフッ素イオンを数ppmにするためにはカルシウムイオン濃度を極度に高く保ち、フッ素イオンへの解離を防ぎながら、かつ、微細なフッ化カルシウム粒子を完全に捕捉できる凝集濾過膜で囲み込み、捕集する必要があるが、まだ、満足できる方法は開発されていない。そこで次善策として、解離するフッ素イオンをイオン交換樹脂を用いて吸着処理する方法が提案されているのが現状である。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−170435号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、以上のよう状況から、安価な設備で厳しい排水基準値にも確実に適用できるフッ素イオン及び/又はリン酸イオンを含む排水の処理方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、フッ素イオン及び/又はリン酸イオンを含有する排水にカルシウム含有化合物を添加した後、(A)皮膜形成剤としてマンヌロン酸、グルクロン酸およびセルローズグリコール酸のいずれかを構成単位として含む水溶性有機高分子電解質化合物とアニオン系高分子凝集剤を添加し、次に(B)カチオン系高分子凝集剤単独、又は水溶性アルミニウム塩とカチオン系高分子凝集剤を逐次的又は同時に添加することにより、フッ素イオン及び/又はリン酸イオンはカルシウム塩として固定化され、解離したフッ素イオン及び/又はリン酸イオンは錯体としてフィルム膜に固定化され、イオン交換樹脂のような高価な手段を用いることなく、排水中のフッ素イオン及び/又はリン酸イオン濃度を1μg/リットル程度に、安価な設備で確実に低減できることを見出した。
更に発明者は、フッ素イオン及び/又はリン酸イオンを含有する排水にカルシウム含有化合物を添加し、沈殿物を除去した後に上記の(A)剤および(B)剤を添加するようにすれば、これらの薬剤の使用量を節減することができ、生成スラッジ量を減らすことができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づき完成された。
【0011】
すなわち本発明は、以下の排水処理法を提供するものである。
1.フッ素イオン及び/又はリン酸イオンを含有する排水にカルシウム含有化合物を添加し、次に(A)マンヌロン酸、グルクロン酸およびセルローズグリコール酸よりなる群れから選ばれた少なくとも一種の有機酸を構成単位として含む水溶性有機高分子電解質化合物とアニオン系高分子凝集剤からなる膜形成剤を添加し、更に(B)カチオン系高分子凝集剤単独、又は水溶性アルミニウム塩とカチオン系高分子凝集剤を逐次的又は同時に錯化剤として添加することを特徴とする排水処理方法。
2.フッ素イオン及び/又はリン酸イオンを含有する排水にカルシウム含有化合物を添加し、沈殿物を除去した後、(A)マンヌロン酸、グルクロン酸およびセルローズグリコール酸よりなる群れから選ばれた少なくとも一種の有機酸を構成単位として含む水溶性有機高分子電解質化合物とアニオン系高分子凝集剤からなる膜形成剤を添加し、更に(B)カチオン系高分子凝集剤単独、又は水溶性アルミニウム塩とカチオン系高分子凝集剤を逐次的又は同時に錯化剤として添加することを特徴とする排水処理方法。
3.水溶性アルミニウム塩を単独添加後、カチオン系高分子凝集剤を添加することを特徴とする上記1または2の排水処理方法。
4.水溶性アルミニウム塩とカチオン系高分子凝集剤を予め配合した後添加することを特徴とする上記1または2の排水処理方法。
5.(A)剤のアニオン系高分子凝集剤が下記の式(I)、式(II)および式(III)で表される構成単位からなる重合体で、x:y:zが50:40:10〜0:100:0の範囲を有するものである上記1または2の排水処理方法。
【0012】
【化3】
Figure 2004290715
【0013】
但し、Rは水素又はメチル基である。
6.(B)剤のカチオン系高分子凝集剤が下記の式(IV)および式(V)で表される構成単位からなる重合体で、a:bが50:50〜0:100の範囲を有するものである上記1または2の排水処理方法。
【0014】
【化4】
Figure 2004290715
【0015】
但し、Rは水素又はメチル基である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明はフッ素イオン及び/又はリン酸イオンを含有する排水の処理方法に関するものであり、対象となる排水は特に限定されないが、例えば前述の半導体製造装置からの排水、火力発電所の脱硫装置からの排水、化学研磨液使用によるステンレス製造工程やガラス製造工程からの排水、活性汚泥装置や一般家庭からの排水なども含まれる。
【0017】
本発明において、上記の排水に、先ずカルシウム含有化合物を添加し、フッ素イオン及び/又はリン酸イオンをカルシウム塩にする操作が行なわれるが、これは塩化カルシウムや消石灰などを用いた公知の方法により行なわれる。このカルシウム含有化合物による塩類生成工程における排水のpHは7以上とすることが好ましく、更に好ましくはpHが9以上である。カルシウム含有化合物の添加量はフッ素イオン濃度及び/又はリン酸イオン濃度にもよるが、通常、排水100重量部に対して0.01〜2重量部である。
この処理によってフッ素イオン及び/又はリン酸イオンは難水溶性のフッ化カルシウム塩及び/又はリン酸カルシウム塩となる。大部分は不溶性塩となるが、生成したカルシウム塩には溶解度積が存在するため、平衡イオン濃度に対応する数ppmのフッ素イオンやリン酸イオンが解離する。例えばフッ化カルシウム(CaF)の25℃における溶解度積は、8ppmのフッ素イオンが必然的に残留することを示す。
【0018】
本発明ではカルシウム塩生成工程において、生成したカルシウム塩とこれを取り巻く水溶液とを分断するバリア膜を設けて、解離したフッ素イオン及び/又はリン酸イオンがバリア膜外の水溶液中へ移動するのを阻害し、バリア膜内に閉じこめる。すなわち、バリア膜によって分断された内側の水溶液は、イオン積に由来するフッ素イオン濃度及び/又はリン酸イオン濃度を示す。が、難溶解性カルシウム塩の解離によって膜の内側に生じたフッ素イオン及び/又はリン酸イオンはアルミニウムイオン吸着膜によって捕捉されバリア膜の外側にリークすることができないので、膜の外側の水溶液のフッ素イオン濃度及び/又はリン酸イオン濃度は低く保たれる。
【0019】
すなわち本発明では、フッ素イオン及び/又はリン酸イオンを含有する排水にカルシウム含有化合物を添加し、難溶解性カルシウム塩を生成させた後、皮膜形成剤とアニオン系高分子凝集剤からなるA剤(膜形成剤)を添加することにより難溶解性カルシウム塩の解離によって生じるフッ素イオン及び/又はリン酸イオンを閉じこめ、これに、B剤(錯化剤)として、好ましくは、水溶性アルミニウム塩とカチオン系高分子凝集剤を逐次的又は同時に添加してアルミニウムイオン吸着膜を形成する。このアルミニウムイオンを固定化した水透過膜は内側のカルシウム塩凝集体から解離してくるフッ素イオン及び/又はリン酸イオンをトラップする役割を果たし、この水透膜の外側ではフッ素イオン濃度及び/又はリン酸イオン濃度が極端に低下して高度に処理された排水を得ることができる。
【0020】
本発明における皮膜形成成分としては、マンヌロン酸、グルクロン酸およびセルローズグリコール酸のいずれかを構成単位として含む有機高分子電解質のカルボキシル基の水素をナトリウム置換して得られる水溶性有機高分子電解質化合物、すなわちアルギン酸ナトリウムやカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩などが用いられる。
【0021】
このような水溶性有機高分子電解質化合物に硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムなどの水溶性アルミニウム塩を添加することにより、ナトリウム塩がアルミニウム塩に置換され、可溶化されていたアルギン酸ナトリウムなどの水溶性有機高分子電解質化合物は不溶化して収縮してフィルム膜を形成する。このようにして形成されたフィルム膜にはアルミニウムイオンが固定化されているため、膜の内側に取り込まれたフッ化カルシウムやリン酸カルシウムなどの難溶解性カルシウム塩が解離してフッ素イオンやリン酸イオンが生成してきても、膜に固定化されたアルミニウムイオンと遊離したナトリウムイオンとが反応してNaAlFで表される不溶解性錯塩となる。
このような不溶解性錯塩が膜内からリークしないようにするためには、この膜を通過しようとする極微粒子のフッ素錯体を凝集して膜に吸着させて膜の緻密度を上げることが有効である。このために以下のアニオン系高分子凝集剤およびカチオン系高分子凝集剤が用いられる。
【0022】
本発明においてA剤として皮膜形成成分と共に用いられるアニオン系高分子凝集剤としては、下記の式(I)、式(II)および式(III)で表される構成単位からなる重合体で、x:y:zが50:40:10〜0:100:0の範囲を有するものが好適に用いられる。
【0023】
【化5】
Figure 2004290715
【0024】
但し、Rは水素又はメチル基である。
このようなアニオン系高分子凝集剤の市販品としては、TA−24−1、TA−24−2、TA−24−3、A−117およびA−118(いずれも東亜合成(株)製)などがある。
【0025】
また、本発明において用いられるカチオン系高分子凝集剤としては、下記の式(IV)及び式(V)で表される構成単位からなる重合体で、a:bが50:50〜0:100の範囲を有するものが用いられる。
【0026】
【化6】
Figure 2004290715
【0027】
但し、Rは水素又はメチル基である。
このようなカチオン系高分子凝集剤の市販品としては、アクリレート系のC−508、メタクリレート系のC−303H(いずれも東亜合成(株)製)などがある。
【0028】
A剤(膜形成剤)において、皮膜形成成分とアニオン系高分子凝集剤の重量比は1:0.2〜1:5である。A剤の添加量は、フッ素イオン濃度及び/又はリン酸イオン濃度にもよるが、通常、排水100重量部に対して1×10−4〜1×10−2重量部であり、0.1〜0.5重量%の水溶液として添加してもいいし、そのまま添加してもよい。
【0029】
B剤(錯化剤)は、カチオン系高分子凝集剤単独であっても、水溶性アルミニウム塩とカチオン系高分子凝集剤を組合せて使用してもよい。組み合わせて使用する場合、水溶性アルミニウム塩を単独で添加し、次いで、カチオン系高分子凝集剤を添加してもよいし、予め、水溶性アルミニウム塩とカチオン系高分子凝集剤を配合してから添加してもよい。水溶性アルミニウム塩(使用する場合)とカチオン系高分子凝集剤の添加量はフッ素イオン濃度及び/又はリン酸イオン濃度にもよるが、通常、下記の範囲から適宜選択される。
【0030】
カチオン系高分子凝集剤のみをB剤として使用する場合、その添加量は、排水100重量部に対して1×10−4〜1×10−2重量部であり、0.1〜0.5重量%の水溶液として添加してもいいし、そのまま添加してもよい。
水溶性アルミニウム塩を単独で添加し、次いでカチオン系高分子凝集剤を添加する場合の添加量は、排水100重量部に対してそれぞれ0.01〜0.5重量部、0.0001〜0.01重量部であり、それぞれ1〜20重量%、0.1〜0.5重量%の水溶液として添加してもいいし、そのまま添加してもよい。
水溶性アルミニウム塩とカチオン系高分子凝集剤を予め配合して添加する場合、重量比は1:0.01〜1:0.1である。B剤(配合物)の添加量は、排水100重量部に対して0.01〜0.5重量部であり、1〜10重量%の水溶液として添加してもいいし、そのまま添加してもよい。
【0031】
本発明において、アニオン系高分子凝集剤とカチオン系高分子凝集剤をバランス良く使用することにより、例えば、アニオン系高分子凝集剤とカチオン系高分子凝集剤の添加重量の比を1:0.5〜1:2にすることにより、膜の緻密度を上げることができ、解離してくるフッ素イオン及び/又はリン酸イオンを完全にトラップすることができる。
本発明によれば排水中のフッ素イオン及び/又はリン酸イオンの濃度を1μg/リットル程度まで除去できることが確認されており、イオン交換樹脂のような手段を用いることなく安価な設備で排水のフッ素イオン濃度及び/又はリン酸イオン濃度を目的濃度まで確実に低減することができる。
【0032】
以上のように、本発明により、フッ素イオン及び/又はリン酸イオンを含有する排水にカルシウム含有化合物を添加し、難溶解性カルシウム塩を生成させた後に、(A)剤と(B)剤を添加することにより排水中のフッ素イオン及び/又はリン酸イオンの濃度を目的濃度まで確実に低減することができるが、フッ素イオン及び/又はリン酸イオンを含有する排水にカルシウム含有化合物を添加することにより生成した沈殿物(難溶解性カルシウム塩)を(A)剤と(B)剤を添加する前に除去することによって、(A)剤と(B)剤の使用量を節減することができると共に、生成スラッジ量を削減することができる。
【0033】
この沈殿物を除去する操作には沈殿槽(シックナー)や濾過装置などを使用した公知の方法を用いることができる。このカルシウム含有化合物を添加することにより生成した沈殿物には、当然、カルシウム含有化合物が多量に含まれているので、回収後、沈殿物を生成させるためのカルシウム含有化合物として再利用することができる。このように分離された沈殿物を再利用できるので、排水処理により生成スラッジ量を削減することができる。また、該沈殿物を除去することにより、生成した沈殿物から解離するフッ素イオン及び/又はリン酸イオンが削減されるので、以下の実施例3〜8と実施例9〜14との比較から明らかなように、特に(A)剤の添加量を約1/2に節減することができる。
【0034】
【実施例】
次に実施例を示して、本発明を更に具体的に説明する。但し本発明は以下の実施例により制限されるものではない。
【0035】
実施例1
石炭火力発電所から排出される燃焼排ガスの脱硫装置からの排水の処理を行なった。石炭火力発電所から排出される燃焼排ガス中には、灰塵、窒素酸化物、亜硫酸ガス、フッ素化合物等が含まれている。
灰塵は電気集塵機で除去され、窒素酸化物は脱硝装置で除害され、亜硫酸ガスは脱硫装置で除去されるが、フッ素イオンは15mg/リットル程度が脱硫吸収水中に残留し、排水中に含まれている。
この排水は従来は水酸化マグネシウムで二次排水処理が行なわれていたものであり、フッ素イオン濃度を8mg/リットル以下にすることができなかったものである。
【0036】
湿式脱硫装置において、脱硝装置により窒素酸化物を除去した後のガスに粉状石灰石と水を混合した石灰石スラリー液をスプレー噴射して燃焼排ガス中の硫黄酸化物を吸収させた。この吸収液から生成した石膏をシックナーで分離し、そのオーバーフロー水(脱硫排水)を本発明の方法により処理した。
この脱硫排水の性状は、pHが7.0、懸濁物が75mg/リットル、フッ素イオンが11mg/リットル、カルシウムイオンが1300mg/リットル、硫酸基が2000mg/リットルであった。
【0037】
この石膏を分離した後の脱硫排水を200g分取し、マンヌロン酸(M)とグルクロン酸(G)がブロック重合したアルギン酸ソーダ(M/G≦1.5)とポリアクリル酸アミドの部分加水分解物(アニオン系高分子凝集剤、A−117)が1:1(重量比)からなる膜形成剤の0.5重量%水溶液(A液)3gを加えた後、硫酸アルミニウム(無水塩換算)とカチオン系高分子凝集剤(C−508)が17:1(重量比)からなる錯化剤の5重量%水溶液(B液)を1.0g加えてpHを7.0とすると懸濁物(フロック)が生成した。これを濾過分離して無色透明の処理水を得た。イオン電極法により測定した結果、処理水のフッ素イオン濃度は2.0mg/リットルであった。
【0038】
実施例2
実施例1におけるオーバーフロー水(脱硫排水)に、更に消石灰0.05gを添加したところ、pHが8.5となった。これに実施例1のA液を3g加えた後、B液を1.5g加えるとフロックが生成したので、濾過分離して無色透明の処理水を得た。処理水のpHは6.9であり、フッ素イオン濃度は0.2mg/リットルであった。
【0039】
実施例3〜8
ステンレス製造工程おいて得られたフッ素を含んだ化学研磨液廃液の排水処理を行なった。フッ素を含んだ連続化学研磨用補充液(三菱ガス化学製、鉄鋼用化学研磨剤CPL200)の廃液200gに対して、消石灰0.5〜1.1gを加えて廃液のpHを4.9〜11.3の範囲まで変化させた後、沈殿物を除去するため定性濾紙No.2で濾過した。得られた濾液に、マンヌロン酸(M)とグルクロン酸(G)がブロック重合したアルギン酸ソーダ(M/G≦1.5)とポリアクリル酸アミドの部分加水分解物(アニオン系高分子凝集剤、A118)が1:1(重量比)からなる膜形成剤(A剤)を0.1g加えて攪拌溶解した後、硫酸アルミニウム(無水塩換算)とカチオン系高分子凝集剤(C−508)が17:1(重量比)からなる錯化剤(B剤)の10重量%水溶液を所定量加えて生成したフロックを濾過分離し、処理された廃液のpHとフッ素イオン濃度をpH計とイオン電極(東亜DKK製)で測定した。結果を第1表に示す。
【0040】
【表1】
Figure 2004290715
【0041】
実施例9〜14
実施例3〜8において、沈殿物を除去するための濾過を行なわないで、A剤の添加量を0.2gとした他は実施例3〜8と同様に行なった。結果を第2表に示す。
【0042】
【表2】
Figure 2004290715
【0043】
第1表および第2表の結果から、フッ素を含んだ化学研磨液の廃液を本発明により処理することによって、化学研磨液の廃液中のフッ素イオン濃度に関係なく、処理された廃液のフッ素イオン濃度を3mg/リットル以下とすることができること、また、沈殿物を除去するための濾過を行うことにより、A剤の添加量を約1/2に削減できることが分かる。
【0044】
実施例15
第3表に示す原排水250gに対して消石灰0.3gを加えてpHを10.8とした後、過剰の消石灰を除去するため定性濾紙No.2で濾過した。得られた濾液に、実施例3のA剤を0.2g加えて攪拌溶解した後、実施例3のB剤を0.6g加えて生成したフロックを濾過分離し、処理された排水の分析を行なった。結果を第3表に示す。
【0045】
比較例1
第3表に示す原排水に苛性ソーダを0.04%加えてアルカリ性にした後、キレート剤を0.08%加えてpH7.3にして主にNiイオンとZnイオンを除去した。次に消石灰スラリーを0.25%加えた後、硫酸第1鉄0.38%を加えてpH7.3に調整して、アニオン凝集剤0.25%を加えてpH7.0にした。生成したフロックを濾過分離し、処理された排水の分析を行なった。結果を第3表に示す。
【0046】
比較例2
実施例9において実施例3のA剤を加えずに、B剤のみを同様に添加した。処理された排水の分析結果を第3表に示す。
第3表から、本発明により、A剤とB剤を併用することによりフッ素イオンやリン酸イオンが効果的に除去されることが分かる。
【0047】
【表3】
Figure 2004290715
【0048】
【発明の効果】
本発明では、排水中のフッ素イオン及び/又はリン酸イオンをカルシウムにより難水溶性塩とした後に解離してくるフッ素イオン及び/又はリン酸イオンを完全にトラップすることができ、イオン交換樹脂のような手段を用いることなく、安価な設備で排水のフッ素イオン及び/又はリン酸イオンの濃度を目的濃度まで確実に低減させることができる。

Claims (6)

  1. フッ素イオン及び/又はリン酸イオンを含有する排水にカルシウム含有化合物を添加し、次に(A)マンヌロン酸、グルクロン酸およびセルローズグリコール酸よりなる群れから選ばれた少なくとも一種の有機酸を構成単位として含む水溶性有機高分子電解質化合物とアニオン系高分子凝集剤からなる膜形成剤を添加し、更に(B)カチオン系高分子凝集剤単独、又は水溶性アルミニウム塩とカチオン系高分子凝集剤を逐次的又は同時に錯化剤として添加することを特徴とする排水処理方法。
  2. フッ素イオン及び/又はリン酸イオンを含有する排水にカルシウム含有化合物を添加し、沈殿物を除去した後、(A)マンヌロン酸、グルクロン酸およびセルローズグリコール酸よりなる群れから選ばれた少なくとも一種の有機酸を構成単位として含む水溶性有機高分子電解質化合物とアニオン系高分子凝集剤からなる膜形成剤を添加し、更に(B)カチオン系高分子凝集剤単独、又は水溶性アルミニウム塩とカチオン系高分子凝集剤を逐次的又は同時に錯化剤として添加することを特徴とする排水処理方法。
  3. 水溶性アルミニウム塩を単独添加後、カチオン系高分子凝集剤を添加することを特徴とする請求項1または2に記載の排水処理方法。
  4. 水溶性アルミニウム塩とカチオン系高分子凝集剤を予め配合した後添加することを特徴とする請求項1または2に記載の排水処理方法。
  5. (A)剤のアニオン系高分子凝集剤が下記の式(I)、式(II)および式(III)で表される構成単位からなる重合体で、x:y:zが50:40:10〜0:100:0の範囲を有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の排水処理方法。
    Figure 2004290715
    但し、Rは水素又はメチル基である。
  6. (B)剤のカチオン系高分子凝集剤が下記の式(IV)および式(V)で表される構成単位からなる重合体で、a:bが50:50〜0:100の範囲を有するものである請求項1〜5のいずれかに記載の排水処理方法。
    Figure 2004290715
    但し、Rは水素又はメチル基である。
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