JP2004290505A - 食器洗い機 - Google Patents
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Abstract
【課題】洗剤中の酵素などが活発に働く温度での洗浄時間を十分に確保することで食器の洗浄を効果的に行うとともに、タンパク系汚れや油脂汚れに対する洗浄性能を向上し、かつ洗浄時間を短縮することができる食器洗い機を提供することにある。
【解決手段】前記洗浄水に混入した洗剤の酵素が活性する第一目標温度とタンパク系汚れの凝固温度よりも低い第二目標温度と油脂成分が溶融する第三目標温度を有し、前記洗浄水の温度が前記第一目標温度に達するまでの間は温水ヒータへの通電量を最大にし、前記第一目標温度に達した後から前記第二目標温度に達するまでは、所望時間で前記洗浄水の温度が前記第二の目標温度に達するよう前記温水ヒータへの通電量を制御する。
【選択図】 図6
【解決手段】前記洗浄水に混入した洗剤の酵素が活性する第一目標温度とタンパク系汚れの凝固温度よりも低い第二目標温度と油脂成分が溶融する第三目標温度を有し、前記洗浄水の温度が前記第一目標温度に達するまでの間は温水ヒータへの通電量を最大にし、前記第一目標温度に達した後から前記第二目標温度に達するまでは、所望時間で前記洗浄水の温度が前記第二の目標温度に達するよう前記温水ヒータへの通電量を制御する。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食器洗い機専用洗剤を洗浄水に混入して洗浄を行う食器洗い器に関し、洗浄時間を長くすることなく洗浄性能を向上させることが可能な食器洗い機を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】
従来、食器洗い機では、洗浄室内に外部の給湯器から湯を導入するか、あるいは水道から洗浄水を導入して洗浄室底部に貯留し、食器の洗浄に最適な温度になるまで洗浄水をヒータにより加熱しながら洗浄ポンプを作動させて貯留した洗浄水を吸引しノズルから洗浄水を勢いよく噴射して洗浄室内に収容した食器類を洗浄し、最後に温風を吹き付けて食器類を乾燥するという構成のものが知られている。
【0003】
食器洗い機においては、洗浄水が給水口から供給され洗浄室内底部に溜められた後に、温水ヒータで加熱されつつ洗浄、すすぎに用いられる。図11と図12は、従来の実施形態の循環動作のタイムチャートである。図11と図12に示すように洗浄工程においては、洗浄室内底部に一定量の洗浄水がたまると、その溜めた洗浄水を温水ヒータを最大出力一定で加熱しかつ循環/排水ポンプを循環動作させ、溜めた洗浄水を圧送してノズルから食器へ向けて噴射し、食器洗浄を行う。食器洗浄後の洗浄水は再び洗浄室内底部に溜まり、ノズルから噴射することを繰り返す。洗浄水の温度が目標温度(例えば57℃)に達しかつ循環動作が所定の洗浄時間を経過すると、循環/排水ポンプを一旦停止し、引き続き循環/排水ポンプを排水動作させ洗浄水が洗浄室外に排出され、洗浄工程は終了する。
【0004】
しかしながら、従来の食器洗い機は以上のように構成されており、常に一定の温水ヒータの発熱により洗浄水を所定の温度まで加熱していた。このため、図11に示すように、温水ヒータを大きい発熱量で一定出力にした場合には、低い温度の洗浄水が供給されても所定の洗浄時間内に目標温度(例えば57℃)に達することができるが、専用洗剤の酵素の働きに最適な温度帯(例えば45℃〜50℃)での洗浄時間が短くなってしまう。また、高い温度の洗浄水が供給されると温水ヒータの加熱により洗浄水の温度はすぐにタンパク質の変性温度を超えることになりタンパク質が一部凝固し十分な洗浄性能が得られない。これに対し、図12に示すように、温水ヒータを小さい発熱量で一定出力にした場合には、タンパク質の変性温度以下でかつ専用洗剤の酵素の働きに最適な温度帯での洗浄時間が確保できるが、低い温度の洗浄水が供給されると洗浄時間が非常に長くなるという問題がある。これに対し、洗浄時間を短くするため目標温度に到達する前に洗浄を終了させれば、油脂汚れが溶融する温度に達することができずに洗浄を終えるため、十分な洗浄ができないという問題があった。
【0005】
これを解決すために従来の食器洗い器では、洗浄工程スタート時の洗浄水温を検知し、その検知水温の高低に応じて、あらかじめ設定してある規定水温到達後の洗浄継続運転時間を、前記検知水温が低いほど短めに、前記検知水温が高いほど長めに、所定の時間に設定するというものがある。この方法であれば、洗浄工程スタート時の洗浄水の温度が低い場合に、洗浄時間を長くなりすぎないようにすることはできる。しかしながら、油脂汚れの融点以上の温度にまで到達することができなくなり、食器を十分に洗えないという問題があった。(例えば、特許文献1参照。)
【0006】
また、洗浄工程を第1の洗浄工程と第2の洗浄工程に分け、第1の洗浄工程の洗浄温度をタンパク質の変性温度以下に維持し、第2の洗浄工程の洗浄温度を第1の洗浄温度より高温で、かつ油脂汚れの融点以上に上昇させるというものがある。この方法であれば、供給された洗浄水の温度が高い場合であっても低い場合であっても、洗浄性能を維持できる。しかしながら、タンパク質汚れを落とす第1の洗浄工程では、洗浄水の温度を一定に保つため、その分洗浄時間が長くなるという問題があった。これに対し、温度を一定に保つ時間により洗浄時間が長くなっても発熱量が高いヒータを使用して洗浄水の温度上昇を早くすれば、洗浄時間を短くできるが、発熱量が高いヒータに使用すると消費電流量が大きくなり、過電流ブレーカが落ちる問題があった。また、洗剤の酵素の働きが良くなる温度を考慮せず洗浄をするので、洗浄性能がよくないという問題があった。(例えば、特許文献2参照。)
【0007】
【特許文献1】
特開平5−293072号公報(第3−4頁、第1図)
【特許文献2】
特開平05−184517号公報(第3−4頁、第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、洗剤中の酵素などが活発に働く温度での洗浄時間を十分に確保することで食器の洗浄を効果的に行うとともに、タンパク系汚れや油脂汚れに対する洗浄性能を向上し、かつ洗浄時間を短縮することができる食器洗い機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1においては、食器の洗浄水を貯める洗浄漕と、前記洗浄漕に貯まった前記洗浄水の温度を検出する水温検知手段と、前記洗浄水を加熱する温水ヒータと、前記温水ヒータへの通電を制御する制御部と、循環ポンプにて前記洗浄水をノズルへ圧送しノズルから吐水させて食器を洗剤を混入して温水で洗浄を行う洗浄工程を有する食器洗い機であって、前記洗浄水に混入した洗剤の酵素が活性する第一目標温度とタンパク系汚れの凝固温度よりも低い第二目標温度と油脂成分が溶融する第三目標温度を有し、前記洗浄水の温度が前記第一目標温度に達するまでの間は温水ヒータへの通電量を最大にし、前記第一目標温度に達した後から前記第二目標温度に達するまでは、所望時間で前記洗浄水の温度が前記第二の目標温度に達するよう前記温水ヒータへの通電量を制御することとした。これにより、洗剤の酵素の働きが良くなる温度への到達時間を短くするとともに、供給された洗浄水の温度が高くても低くても、洗剤の酵素の働きが良くなる温度であり、かつタンパク質の変性温度以下の温度帯での洗浄時間を確保できるので洗浄性能が向上する。そして、この温度帯での洗浄を終えた後には、タンパク質の凝固温度である第二目標温度にまで洗浄水の温度が上昇しているので、油脂汚れが溶融する温度までの到達時間が短くできる。このため、洗浄性能をより向上しつつ、全体の洗浄時間を短くできる。
【0010】
また請求項2においては、請求項1記載の食器洗い機であって、前記第一目標温度に達した後から前記第二目標温度に達するまでは、洗浄工程の洗浄時間から、洗浄工程の開始より前記第一目標温度に達するまでに要した時間と前記温水ヒータへの通電量を最大にして前記第二目標温度から前記第三の目標温度に達するまでの時間とを差し引いた前記所望時間で、洗浄水の温度が前記第二の目標温度に達するよう前記温水ヒータへの通電量を制御し、前記第二目標温度に達した後は前記温水ヒータへの通電量を最大にすることとした。これにより、洗剤の酵素の働きが良くなる温度でかつタンパク質の変性温度以下の温度帯での洗浄時間を可能な限り長く確保でき、また確実に洗浄水の温度を油脂汚れの融点以上に到達させるので、洗浄性能をより向上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。図1〜図12は発明を実施する形態の一例であって、図中、図と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
【0012】
以下に本発明の食器洗い機の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態の食器洗い機の斜視図である。図2は、本発明の実施形態の食器洗い機の操作パネルの正面図である。図3は本発明の実施形態の食器洗い機の構成を示す概念図である。
【0013】
ここで図3は、本発明の実施形態の食器洗い機の構成を示す概念図である。図3において、食器洗い機本体1の外装2内の洗浄室10には上下食器カゴ6及び8に洗浄水を噴射可能に上下ノズル7及び9が装備され、その洗浄室10のドア4の開閉状態を検知する扉開放検出スイッチ17設けられる。一方、食器洗い機本体1の外装2内の底カバー3上には循環/排水ポンプ12が装備されると共に、この循環/排水ポンプ12の駆動制御を行う制御部4が収納される。さらにドア4の下方の外装2前面には操作パネル5が配置され、この操作パネル5からの操作信号が制御部4に入力される。前記循環/排水ポンプ12には洗浄室10内底部に貯留された洗浄水を循環/排水ポンプ12に送給し上下ノズル7及び9に循環洗浄水を送給するための導水管25が接続され、さらに外装2外部に排水を導くための排水管24が接続される。循環/排水ポンプ12は、ポンプの回転方向を切り替えることで、洗浄水を導水管25あるいは排水管24に送出している。一方、食器洗い機本体1の外装2外部に位置する湯水混合栓26からの給水管23が、給水弁13と流量検知器20を介して洗浄室10内に給水可能に配置され、かかる湯水混合栓26には温水H及び冷水Cが供給される。前記給水弁13には前記制御部4の出力信号が入力され、前記流量検知器20の検知結果は前記制御部4に入力される。さて、洗浄室10内の所定位置には、洗浄室10内における食器の洗浄過程における洗浄水の水位を検知可能に水位検出器19が配置され、さらに食器の洗浄過程における洗浄水の溢水を検知することができるように所要位置に溢水検知手段18が配置される。前記水位検出器19び溢水検知手段18の検知結果は前記制御部4に入力される。
【0014】
ここで、流量検知器20について説明する。流量検知器20は、給水管23を通って単位時間当たりに洗浄室に入る水量を検知するものであり、しぼり流量センサ/電磁流量センサ/渦流量センサ/超音波流量センサ/熱形流量センサ/タービン流量センサ/容積流量計などが利用できる。本実施例では、流量検知器20を通過する洗浄水の流量に比例して流量検知器20内部の羽根構造のローターが回転し、この回転をホールICによりデジタル信号に変換して、制御部4へその信号を入力し、このデジタル信号から単位時間当たりの水量あるいは、積算水量を計算している。
【0015】
つぎに、本実施例の食器洗い機における運転プログラムの一例について説明する。図4は、本発明の実施形態の食器洗い機の運転プログラムの概略フロー図である。図4において、運転開始および一時停止スイッチ111をON(S1)する前に、洗浄室10の所定位置に固定、若しくは収納されるカゴ6、8の所定の位置に被洗浄物を積載し、洗浄室10のドア4の内面に設けられた凹部の洗浄投入口32に食器洗い機用の専用洗剤をセットした後、操作パネル5上の電源スイッチ110により電源が投入されると、電源投入状態を示すLEDが点灯し、洗浄運転プログラム選択スイッチである8分コーススイッチ112、標準コーススイッチ113、念入りコーススイッチ114等を1回押す事により洗浄運転プログラムを選択することが可能となる。前記いづれかの洗浄運転プログラムを選択し、運転開始および一時停止スイッチ111を押すことにより運転を開始すると、食器洗い機の洗浄室10中に残留した洗浄水などの排出を目的とした、循環/排水ポンプ12の時限動作による「洗浄工程初期排水動作」(S2)が実施される。次に、給水弁13を開け、給湯機、電気温水器などの給湯源あるいは水道などから食器洗い機に洗浄水を給水する「洗浄工程給水動作」(S3)が行われる。ここで、流量検知器20により洗浄室10内に供給される洗浄水の量を検知し、洗浄水量に達するまで洗浄水を給水する。次に、洗浄室10内の貯留された洗浄水を循環/排水ポンプ12により、循環駆動するとともに温水ヒータ11も駆動して洗浄水を加熱する「洗浄工程循環動作」(S6)を行う。この動作では、洗浄室10内に溜められた洗浄水は残菜フィルター31を通過し、循環/排水ポンプ12から導水管25を通ってノズル7あるいは8より噴出される。そして循環/排水ポンプ12の噴流により、洗浄水中に洗浄投入口32内の洗剤が投入される。「洗浄工程循環動作」(S6)を図7本発明の実施形態の循環動作設定時間と洗浄目標温度の表に書かれた循環時間と各目標温度の条件が満たされるまで行ったら、循環/排水ポンプ12を排水側に所定時間駆動する「洗浄工程終了排水動作」(S9)を行い、洗浄水を食器洗い機本体1外に排水する。
【0016】
つぎに、すすぎ工程は、給水弁13ならびに流量検知器20により洗浄室10内に供給される洗浄水の量を検知し、洗浄水量に達するまで洗浄水を貯留する「給水動作」をした後、循環/排水ポンプ12の循環側駆動の時限動作を行う「循環動作」を行い、最後に洗浄室10内の洗浄水を排出する「終了排水動作」より成り、一連の動作は所定回数(N回)実施される。(S8〜S16)すすぎ工程では、温水ヒータ11は駆動せず、給水した洗浄水の温度のまま、すすぎ工程を行う。すすぎ工程は、洗浄運転プログラムにより、8分コースの場合はすすぎ1工程まで、標準コースの場合はすすぎ2工程まで、念入りコースの場合はすすぎ3工程まで実施する。
【0017】
最終すすぎ工程においては、給水弁13ならびに流量検知器20により洗浄室10内に供給される洗浄水の量を検知し、洗浄水量に達するまで洗浄水を貯留する「最終すすぎ工程給水動作」(S17)をした後、洗浄室10内の貯留された洗浄水を循環/排水ポンプ12により所定時間循環側に駆動するとともに温水ヒータ11も駆動して、洗浄水を加熱する「最終すすぎ循環動作」(S18)を行う。「最終すすぎ循環動作」(S18)を図7本発明の実施形態の循環動作設定時間と洗浄目標温度の表に書かれた循環時間と各目標温度の条件が満たされるまで行ったら、循環/排水ポンプ12を排水側に所定時間駆動する「最終すすぎ工程終了排水動作」(S19)を行い、洗浄室10内の洗浄水を食器洗い機本体1外に排水する。この後、ブザー6を鳴らすことで、「洗浄運転終了報知」(S20)を行い、使用者に洗浄が終了したことを告げる。
【0018】
乾燥工程は、所定の洗浄室内温度設定で、乾燥選択スイッチ116にて選択した乾燥コース運転プログラムに対応した所定時間だけ、温風ファン15および温風ヒータ14を動作させることによって実行される(S21)。なお、乾燥選択スイッチ116によって送風90分コースを選択した場合は、温風ヒータ14は「乾燥工程乾燥動作」(S21)初期の45秒間だけ動作させる。乾燥工程が終了したら、ブザー6を鳴らすことで「乾燥運転終了報知」(S22)を行い、使用者に乾燥が終了したことを告げる。
【0019】
運転動作進行中は操作パネル5上の工程表示LED群の該当する工程のLEDが点滅し、進行中の工程の表示を行なう。また、操作パネル5上の残り時間表示LED119には、最終すすぎ工程終了までの残り時間と乾燥工程での残り時間が表示される。
【0020】
洗浄工程、すすぎ工程、最終すすぎ工程の給水動作について詳述する。図5は、本発明の実施形態の食器洗い機の給水動作の詳細フロー図である。図5において、給水動作が開始されたら、給水弁13を開く(S101)。そして、流量検知器20にて洗浄室10内に供給された洗浄水が洗浄水量Qに達したかどうかを調べ(S102)、達していなければ洗浄水の供給を継続し、達していれば給水弁13を閉じる(S103)。
【0021】
洗浄工程、すすぎ工程、最終すすぎ工程の循環動作について詳述する。図6は、本発明の実施形態の食器洗い機の循環動作の詳細フロー図である。図7は、本発明の実施形態の循環動作設定時間と洗浄目標温度の表である。図6において、洗浄工程、すすぎ工程、最終すすぎ工程の各循環動作が開始されると、循環/排水ポンプ12を循環駆動させる(S201)。そして、図7の循環動作設定時間と洗浄目標温度の表に従い、第1目標温度があるかどうかと(S202)、水温検知手段21で検知した洗浄室10底部に溜まった洗浄水の温度が第1目標温度に到達しているかどうか(S203)を調べ、第1目標温度があって洗浄水の温度が第1目標温度に到達していなければ、温水ヒータ11への通電量を最大にして洗浄水を最大出力で加熱する(S204)。第1目標温度がない場合または第1目標温度に到達したならば、図7の循環動作設定時間と洗浄目標温度の表に従い、第2目標温度があるかどうかと(S205)、第2目標時間に到達しているかどうか(S206)を調べ、第2目標温度があって第2目標時間に到達していなければ、引き続き循環動作を継続するとともに、温水ヒータ11で洗浄水を加熱する(S207)。この時、温水ヒータ11のヒータ出力は、(1)式にて求められるヒータ出力Wになるよう通電量を調整する。第2目標温度がない場合または第2目標時間に到達したならば、図7の循環動作設定時間と洗浄目標温度の表に従い、第3目標温度があるかどうかと(S208)、水温検知手段21で検知した洗浄室10底部に溜まった洗浄水の温度が第3目標温度に到達しているかどうか(S209)を調べ、第3目標温度があって洗浄水の温度が第3目標温度に到達していなければ、引き続き循環動作を継続するとともに、温水ヒータ11で洗浄水を加熱する(S210)。この時、温水ヒータ11への通電量を最大にして洗浄水を最大出力で加熱する。第3目標温度がないかまたは洗浄水の温度が第3目標温度に到達していれば、温水ヒータ11を停止し(S211)、洗浄時間が経過するまで循環動作を継続し(S212)、洗浄時間が経過していれば、循環/排水ポンプ12を停止して(S213)、循環動作を終了する。
【0022】
(1)式にて計算する際に到達時間tは、図7の第二目標時間に「残り時間」と書かれてある場合は、洗浄時間と洗浄開始から現在までの循環動作をした時間との差から更に、第三目標温度がある場合は第二目標温度から第三目標温度に到達するのに必要であろう時間を差し引いた残り時間にする。そして、図7の第二目標時間に実秒数が書かれている場合は、残り時間と実秒数のいずれか長い方を到達時間tとする。これは、残り時間が短くなっても第一目標温度から第二目標温度の間の温度帯での洗浄時間を確保するためである。もちろん、到達時間tは計算誤差を見込んだ分だけ時間を短くしても良い。ところで、(1)式で計算されたヒータ出力Wが温水ヒータ11の最大出力よりも大きいときは、温水ヒータ11を最大出力にする。
【0023】
通常食器洗い機にて洗浄をおこなう食器に付着した汚れ成分は、米粒等を主体としたデンプン系汚れ、卵等を主体としたタンパク系汚れ、ラード等を主体とした油脂系汚れに分類され、各成分が単独もしくは複合した形で食器表面に付着している。これら食器に付着した汚れ成分においては、以下の特性が挙げられる。デンプン系汚れは乾燥して食器表面上で固化して付着していることが多いため、洗浄温度帯に関係なく、固化汚れが十分に吸水して膨潤するための時間が必要とされる。また、タンパク系汚れについては高温域において組成変性を起こし、食器表面に汚れが固着する方向に物性が変化するため、低温域で食器表面より除去することが望ましい。また、油脂系汚れについては食器表面からの脱離は比較的容易ではあるが、容易に再付着するという特性がある為、食器表面および洗浄槽から系外に排出することが比較的難しい。また、低温域では固化するが高温域では溶融する方向に物性が変化するため、高温域では食器表面および洗浄槽から系外に排出しやすくなる。専用洗剤を使用する食器洗い機においては、上記汚れ成分を専用洗剤に含まれる酵素成分(タンパク分解酵素、デンプン分解酵素など)にてタンパク系汚れおよびデンプン系汚れを徐々に分解すると共に、界面活性剤成分にて、食器表面に付着した各種汚れを剥ぎ取ることで洗浄をおこなう。更に界面活性剤成分は、油脂系汚れの周囲を包み込み、再付着を防止した状態で効率的に系外に排出することが可能である。専用洗剤は45℃〜50℃で酵素の働きが最も良くなるように作られている。
【0024】
そこで、洗浄性能が最も良くなるように、8分コース、標準コース、念入りコース毎に洗浄行程、すすぎ工程、最終すすぎ工程の各洗浄温度段階毎の目標時間とその温度に達したら次の洗浄温度段階に進む目標温度が決定されている。図7は、本発明の実施形態の循環動作設定時間と洗浄目標温度の表である。各工程の最上段に書かれてある洗浄時間は、各工程が最低限その洗浄時間だけ循環/排水ポンプ12を循環駆動させる時間である。第一目標温度は、洗浄水の温度が第一目標温度に到達するまで温水ヒータ11を最大出力にする温度である。洗浄工程においては、食器洗い機の専用洗剤の酵素の働きが良くなるのが45℃〜50℃でありタンパク質の変性温度以下での洗浄時間を確保するため第一目標温度を45℃とし、第二目標温度を50℃とした。そして、第一目標温度から第二目標温度に到達させるまでの時間を、残り時間あるいは最小時間として第二目標時間に書かれている時間だけ確保するようにしている。洗浄工程における第三目標温度は、牛脂などの油脂系汚れが溶融する温度が50℃からであり、油脂汚れを溶融できる温度まで洗浄水の温度を上げつつ食器を洗浄することを目的としている。最終すすぎ工程については、高温域において食器表面に残留している微量の固着汚れの排除をおこない、最終的に食器の仕上げを行う。そこで、第一目標温度を50℃以上、第二目標温度を70℃と高温に設定している。第二目標時間については残り時間とすることで、洗浄水の温度が70℃に達しなくても最終すすぎ工程を終えるようにし、洗浄時間全体が延びないようにしている。
【0025】
洗浄運転プログラムが8分コースの場合の洗浄工程、すすぎ工程、最終すすぎ工程と、標準コースまたは念入りコースの場合のすすぎ工程では、温水ヒータ11による加熱を行わず供給された湯水の温度のままで循環動作を行う。そこで、図7の本発明の実施形態の循環動作設定時間と洗浄目標温度の表の通り、目標時間と目標温度をなしとしている。
【0026】
洗浄室10底部に溜まった洗浄水が3.0Lの時に、温水ヒータ11を1200Wの最大出力とした場合、洗浄水の昇温温度は温水ヒータ11のばらつきや雰囲気温度の影響はあるが、本実施例の食器洗い機の場合、2.5℃/分程度である。ヒータ出力Wは、(1)式により計算され、第二目標温度Tsと水温検知手段21にて検知した現在の洗浄水の温度Trと第二目標時間である到達時間tと洗浄水量Qにより求める。
W=1200(w)×Q×(Ts−Tr)×8(秒/L・℃)÷t・・・(1)
【0027】
循環動作中に、ドア4を開かれて循環動作を一時停止し、その後ドア4を閉じられて循環動作を再開した場合には、洗浄水の温度は低下する。また、温水ヒータ11のばらつきや雰囲気温度の影響やお皿の温度の影響により、洗浄水の温度の上昇は一律には定まらない。このため、(1)式の到達時間tを(2)式により目標時間Tsと現在の洗浄温度段階の開始からの経過時間により計算してもよい。つまり、温水ヒータ11のヒータ出力Wを現在の洗浄水の温度Trと到達時間tにより常に計算し直す。これにより、第二目標温度Tsには第二目標時間tsまでにほとんどずれることなく到達することができる。
t=ts−経過時間・・・(2)
【0028】
ヒータの出力量の調整方法について説明する。図8は、本発明の実施形態のヒータの発熱量調整方法の説明図である。図8のAでは、交流電源の半周期毎にヒータをオンするかオフするかでヒータの発熱量を調整する。例えば、10の半周期の内の6の半周期でヒータをオンすると、最大1200Wのヒータであれば720Wのヒータ出力になる。図8のBでは、交流電源の半周期毎にヒータ出力を位相制御により調整する。例えば、最大1200Wのヒータで720Wのヒータ出力にするためには、位相角120℃にすれば良い。すなわち、交流電源が0V付近になる時点から、交流周波数50Hzであれば5.5ms、交流周波数60Hzであれば4.58msだけヒータをオンすればよい。図8のCでは、所定周期毎の所定の割合だけヒータをオンすることでヒータの発熱量を調整する。例えば、周期5秒毎に3秒間だけヒータをオンすれば、最大1200Wのヒータであれば720Wのヒータ出力になる。どの方法を用いても良いが、Aでは、細かいヒータ調整が難しく、Bでは、電気的なノイズが増えるという欠点がある。
【0029】
ここで、水位検出器19について説明する。流量検知器19は、給水管23を通って単位時間当たりに洗浄室に入る水量を検知するものであり、しぼり流量センサ/電磁流量センサ/渦流量センサ/超音波流量センサ/熱形流量センサ/タービン流量センサ/容積流量計などが利用できる。本実施例では、流量検知器20を通過する湯水の流量に比例して流量検知器20内部の羽根構造のローターが回転し、この回転をホールICによりデジタル信号に変換して、制御部4へその信号を入力し、制御手段101にてデジタル信号から単位時間当たりの水量あるいは、積算水量を計算している。
【0030】
本実施例では、流量検知器20にて洗浄室10内に供給される洗浄水の量を検出しているが、水位検出器19は流量検知器20にて洗浄室10内に溜めた洗浄水の流量が、循環可能な水量なのかどうかを検出している。流量検知器20が故障して誤った流量を検知した場合でも、水位検出器19にて水位を検出することで、流量検知器20の故障を検出できるとともに、流量検知器20が故障している時には応急的に水位検知器19のみで必要な水量を洗浄室10内に溜めて洗浄を行う。また、水位検出器19は、排水が排水の時限動作内に排水できたかどうかを検出している。もちろん、水位検出器19を設けずに洗浄室10内に供給される洗浄水の量を流量検知器20のみにて検出するように食器洗い機を構成しても構わない。そうすれば、水位検出器19がなくなる分食器洗い機の構成が簡素化される。
【0031】
ところで、洗浄室10内に供給される洗浄水の量の検出を、流量検知器20にて検出する以外の方法で行っても良い。例えば、水位検出器19にて簡易的に水量を求めることができる。図9は、本発明の実施形態の食器洗い機の水位と水量の換算表である。この表を使用し、水位検出器19にて検出した水位から水量を求める事ができる。この場合、流量検知器20を省くことが可能になるかわりに、正確な洗浄水の量の検出は難しくなる。本実施例では、流量検知器20にて洗浄室10内に供給される洗浄水の量の検出を行うので、正確な洗浄水量にて洗浄を行うことができ、最適な水温での洗浄時間が確保できるため食器が十分洗浄でき、運転時間が長くなることを防ぐことができるのである。
【0032】
図10は、本発明の実施形態の各温度の洗浄水を供給された時の循環動作のタイムチャートである。図10のA、B、Cに示したタイムチャートの通り、第一目標温度45℃までと、第二目標温度50℃から第三目標温度57℃までの期間は、温水ヒータ11への通電量を最大にする。そして、図10のA、Bに示すように、第一目標温度45℃から第二目標温度50℃までの期間は、第一目標温度到達の時点での洗浄時間の残り時間から、第二目標温度から第三目標温度に到達するまでの推定時間を差し引いた時間に第二目標温度に到達するように温水ヒータ11への通電量を制御する。このようにすることで、第一目標温度と第二目標温度の時間は、最大限に長い時間を確保して洗浄できる。このため、洗浄時間が長くなることなく洗浄性能がより向上する。食器洗い機が給湯器などに接続されておらず水道管に接続されている場合、図10のCに示すように、第一目標温度45℃から第二目標温度50℃まで期間を、標準コースの洗浄工程では最低170秒確保する。これにより、第三目標温度に到達するまで洗浄時間が延長されるが、標準コースとしての洗浄性能を確保しつつ、できる限り洗浄時間を延長しないようにできる。
【0033】
尚、本発明の食器洗い機は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0034】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
【0035】
請求項1では、洗剤の酵素の働きが良くなる温度への到達時間を短くするとともに、供給された洗浄水の温度が高くても低くても、洗剤の酵素の働きが良くなる温度であり、かつタンパク質の変性温度以下の温度帯での洗浄時間を確保できるので洗浄性能が向上する。そして、この温度帯での洗浄を終えた後には、タンパク質の凝固温度である第二目標温度にまで洗浄水の温度が上昇しているので、油脂汚れが溶融する温度までの到達時間が短くできる。このため、洗浄性能をより向上しつつ、全体の洗浄時間を短くできる。
【0036】
請求項2では、洗剤の酵素の働きが良くなる温度でかつタンパク質の変性温度以下の温度帯での洗浄時間を可能な限り長く確保でき、また確実に洗浄水の温度を油脂汚れの融点以上に到達させるので、洗浄性能をより向上させることができる。
【0037】
以上、説明したように本発明の請求項1〜2記載の食器洗い機によれば、洗剤の洗浄力をより効果的に引き出すとともに、タンパク系汚れや油脂汚れに対する洗浄性能を向上し、かつ洗浄時間を短縮することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の食器洗い機の斜視図。
【図2】本発明の実施形態の食器洗い機の操作パネルの正面図。
【図3】本発明の実施形態の食器洗い機の構成を示す概念図。
【図4】本発明の実施形態の食器洗い機の運転プログラムの概略フロー図。
【図5】本発明の実施形態の食器洗い機の給水動作の詳細フロー図。
【図6】本発明の実施形態の食器洗い機の循環動作の詳細フロー図。
【図7】本発明の実施形態の循環動作設定時間と洗浄目標温度の表。
【図8】本発明の実施形態のヒータの発熱量調整方法の説明図。
【図9】本発明の実施形態の食器洗い機の水位と水量の換算表。
【図10】本発明の実施形態の各温度の洗浄水を供給された時の循環動作のタイムチャート。
【図11】従来の実施形態の温水ヒータの出力が大きい循環動作のタイムチャート。
【図12】従来の実施形態の温水ヒータの出力が小さい循環動作のタイムチャート。
【符号の説明】
1・・・食器洗い機本体、2・・・外装、3・・・底カバー、4・・・ドア
5・・・操作パネル、6・・・食器カゴ(上)、7・・・上ノズル、8・・・食器カゴ(下)
9・・・下ノズル、10・・・洗浄室、11・・・温水ヒータ、12・・・循環/排水ポンプ
13・・・給水弁、14・・・温風ヒータ、15・・・温風ファン、16・・・ブザー
17・・・扉開放検出スイッチ、18・・・溢水検知手段、19・・・水位検出器
20・・・流量検知器、21・・・水温検知手段、22・・・温風温度検知手段
23・・・給水管、24・・・排水管、25・・・導水管、26・・・湯水混合弁
30・・・上ノズル部、31・・・残飯フィルター、32・・・洗剤投入口、33・・・給湯口
110・・・電源スイッチ、111・・・運転開始および一時停止スイッチ
112・・・8分コーススイッチ、113・・・標準コーススイッチ
114・・・念入りコーススイッチ、115・・・乾燥のみ選択スイッチ
116・・・乾燥選択スイッチ、117・・・加熱すすぎスイッチ
118・・・各LED、119・・・残り時間表示LED
【発明の属する技術分野】
本発明は、食器洗い機専用洗剤を洗浄水に混入して洗浄を行う食器洗い器に関し、洗浄時間を長くすることなく洗浄性能を向上させることが可能な食器洗い機を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】
従来、食器洗い機では、洗浄室内に外部の給湯器から湯を導入するか、あるいは水道から洗浄水を導入して洗浄室底部に貯留し、食器の洗浄に最適な温度になるまで洗浄水をヒータにより加熱しながら洗浄ポンプを作動させて貯留した洗浄水を吸引しノズルから洗浄水を勢いよく噴射して洗浄室内に収容した食器類を洗浄し、最後に温風を吹き付けて食器類を乾燥するという構成のものが知られている。
【0003】
食器洗い機においては、洗浄水が給水口から供給され洗浄室内底部に溜められた後に、温水ヒータで加熱されつつ洗浄、すすぎに用いられる。図11と図12は、従来の実施形態の循環動作のタイムチャートである。図11と図12に示すように洗浄工程においては、洗浄室内底部に一定量の洗浄水がたまると、その溜めた洗浄水を温水ヒータを最大出力一定で加熱しかつ循環/排水ポンプを循環動作させ、溜めた洗浄水を圧送してノズルから食器へ向けて噴射し、食器洗浄を行う。食器洗浄後の洗浄水は再び洗浄室内底部に溜まり、ノズルから噴射することを繰り返す。洗浄水の温度が目標温度(例えば57℃)に達しかつ循環動作が所定の洗浄時間を経過すると、循環/排水ポンプを一旦停止し、引き続き循環/排水ポンプを排水動作させ洗浄水が洗浄室外に排出され、洗浄工程は終了する。
【0004】
しかしながら、従来の食器洗い機は以上のように構成されており、常に一定の温水ヒータの発熱により洗浄水を所定の温度まで加熱していた。このため、図11に示すように、温水ヒータを大きい発熱量で一定出力にした場合には、低い温度の洗浄水が供給されても所定の洗浄時間内に目標温度(例えば57℃)に達することができるが、専用洗剤の酵素の働きに最適な温度帯(例えば45℃〜50℃)での洗浄時間が短くなってしまう。また、高い温度の洗浄水が供給されると温水ヒータの加熱により洗浄水の温度はすぐにタンパク質の変性温度を超えることになりタンパク質が一部凝固し十分な洗浄性能が得られない。これに対し、図12に示すように、温水ヒータを小さい発熱量で一定出力にした場合には、タンパク質の変性温度以下でかつ専用洗剤の酵素の働きに最適な温度帯での洗浄時間が確保できるが、低い温度の洗浄水が供給されると洗浄時間が非常に長くなるという問題がある。これに対し、洗浄時間を短くするため目標温度に到達する前に洗浄を終了させれば、油脂汚れが溶融する温度に達することができずに洗浄を終えるため、十分な洗浄ができないという問題があった。
【0005】
これを解決すために従来の食器洗い器では、洗浄工程スタート時の洗浄水温を検知し、その検知水温の高低に応じて、あらかじめ設定してある規定水温到達後の洗浄継続運転時間を、前記検知水温が低いほど短めに、前記検知水温が高いほど長めに、所定の時間に設定するというものがある。この方法であれば、洗浄工程スタート時の洗浄水の温度が低い場合に、洗浄時間を長くなりすぎないようにすることはできる。しかしながら、油脂汚れの融点以上の温度にまで到達することができなくなり、食器を十分に洗えないという問題があった。(例えば、特許文献1参照。)
【0006】
また、洗浄工程を第1の洗浄工程と第2の洗浄工程に分け、第1の洗浄工程の洗浄温度をタンパク質の変性温度以下に維持し、第2の洗浄工程の洗浄温度を第1の洗浄温度より高温で、かつ油脂汚れの融点以上に上昇させるというものがある。この方法であれば、供給された洗浄水の温度が高い場合であっても低い場合であっても、洗浄性能を維持できる。しかしながら、タンパク質汚れを落とす第1の洗浄工程では、洗浄水の温度を一定に保つため、その分洗浄時間が長くなるという問題があった。これに対し、温度を一定に保つ時間により洗浄時間が長くなっても発熱量が高いヒータを使用して洗浄水の温度上昇を早くすれば、洗浄時間を短くできるが、発熱量が高いヒータに使用すると消費電流量が大きくなり、過電流ブレーカが落ちる問題があった。また、洗剤の酵素の働きが良くなる温度を考慮せず洗浄をするので、洗浄性能がよくないという問題があった。(例えば、特許文献2参照。)
【0007】
【特許文献1】
特開平5−293072号公報(第3−4頁、第1図)
【特許文献2】
特開平05−184517号公報(第3−4頁、第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、洗剤中の酵素などが活発に働く温度での洗浄時間を十分に確保することで食器の洗浄を効果的に行うとともに、タンパク系汚れや油脂汚れに対する洗浄性能を向上し、かつ洗浄時間を短縮することができる食器洗い機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1においては、食器の洗浄水を貯める洗浄漕と、前記洗浄漕に貯まった前記洗浄水の温度を検出する水温検知手段と、前記洗浄水を加熱する温水ヒータと、前記温水ヒータへの通電を制御する制御部と、循環ポンプにて前記洗浄水をノズルへ圧送しノズルから吐水させて食器を洗剤を混入して温水で洗浄を行う洗浄工程を有する食器洗い機であって、前記洗浄水に混入した洗剤の酵素が活性する第一目標温度とタンパク系汚れの凝固温度よりも低い第二目標温度と油脂成分が溶融する第三目標温度を有し、前記洗浄水の温度が前記第一目標温度に達するまでの間は温水ヒータへの通電量を最大にし、前記第一目標温度に達した後から前記第二目標温度に達するまでは、所望時間で前記洗浄水の温度が前記第二の目標温度に達するよう前記温水ヒータへの通電量を制御することとした。これにより、洗剤の酵素の働きが良くなる温度への到達時間を短くするとともに、供給された洗浄水の温度が高くても低くても、洗剤の酵素の働きが良くなる温度であり、かつタンパク質の変性温度以下の温度帯での洗浄時間を確保できるので洗浄性能が向上する。そして、この温度帯での洗浄を終えた後には、タンパク質の凝固温度である第二目標温度にまで洗浄水の温度が上昇しているので、油脂汚れが溶融する温度までの到達時間が短くできる。このため、洗浄性能をより向上しつつ、全体の洗浄時間を短くできる。
【0010】
また請求項2においては、請求項1記載の食器洗い機であって、前記第一目標温度に達した後から前記第二目標温度に達するまでは、洗浄工程の洗浄時間から、洗浄工程の開始より前記第一目標温度に達するまでに要した時間と前記温水ヒータへの通電量を最大にして前記第二目標温度から前記第三の目標温度に達するまでの時間とを差し引いた前記所望時間で、洗浄水の温度が前記第二の目標温度に達するよう前記温水ヒータへの通電量を制御し、前記第二目標温度に達した後は前記温水ヒータへの通電量を最大にすることとした。これにより、洗剤の酵素の働きが良くなる温度でかつタンパク質の変性温度以下の温度帯での洗浄時間を可能な限り長く確保でき、また確実に洗浄水の温度を油脂汚れの融点以上に到達させるので、洗浄性能をより向上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。図1〜図12は発明を実施する形態の一例であって、図中、図と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
【0012】
以下に本発明の食器洗い機の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態の食器洗い機の斜視図である。図2は、本発明の実施形態の食器洗い機の操作パネルの正面図である。図3は本発明の実施形態の食器洗い機の構成を示す概念図である。
【0013】
ここで図3は、本発明の実施形態の食器洗い機の構成を示す概念図である。図3において、食器洗い機本体1の外装2内の洗浄室10には上下食器カゴ6及び8に洗浄水を噴射可能に上下ノズル7及び9が装備され、その洗浄室10のドア4の開閉状態を検知する扉開放検出スイッチ17設けられる。一方、食器洗い機本体1の外装2内の底カバー3上には循環/排水ポンプ12が装備されると共に、この循環/排水ポンプ12の駆動制御を行う制御部4が収納される。さらにドア4の下方の外装2前面には操作パネル5が配置され、この操作パネル5からの操作信号が制御部4に入力される。前記循環/排水ポンプ12には洗浄室10内底部に貯留された洗浄水を循環/排水ポンプ12に送給し上下ノズル7及び9に循環洗浄水を送給するための導水管25が接続され、さらに外装2外部に排水を導くための排水管24が接続される。循環/排水ポンプ12は、ポンプの回転方向を切り替えることで、洗浄水を導水管25あるいは排水管24に送出している。一方、食器洗い機本体1の外装2外部に位置する湯水混合栓26からの給水管23が、給水弁13と流量検知器20を介して洗浄室10内に給水可能に配置され、かかる湯水混合栓26には温水H及び冷水Cが供給される。前記給水弁13には前記制御部4の出力信号が入力され、前記流量検知器20の検知結果は前記制御部4に入力される。さて、洗浄室10内の所定位置には、洗浄室10内における食器の洗浄過程における洗浄水の水位を検知可能に水位検出器19が配置され、さらに食器の洗浄過程における洗浄水の溢水を検知することができるように所要位置に溢水検知手段18が配置される。前記水位検出器19び溢水検知手段18の検知結果は前記制御部4に入力される。
【0014】
ここで、流量検知器20について説明する。流量検知器20は、給水管23を通って単位時間当たりに洗浄室に入る水量を検知するものであり、しぼり流量センサ/電磁流量センサ/渦流量センサ/超音波流量センサ/熱形流量センサ/タービン流量センサ/容積流量計などが利用できる。本実施例では、流量検知器20を通過する洗浄水の流量に比例して流量検知器20内部の羽根構造のローターが回転し、この回転をホールICによりデジタル信号に変換して、制御部4へその信号を入力し、このデジタル信号から単位時間当たりの水量あるいは、積算水量を計算している。
【0015】
つぎに、本実施例の食器洗い機における運転プログラムの一例について説明する。図4は、本発明の実施形態の食器洗い機の運転プログラムの概略フロー図である。図4において、運転開始および一時停止スイッチ111をON(S1)する前に、洗浄室10の所定位置に固定、若しくは収納されるカゴ6、8の所定の位置に被洗浄物を積載し、洗浄室10のドア4の内面に設けられた凹部の洗浄投入口32に食器洗い機用の専用洗剤をセットした後、操作パネル5上の電源スイッチ110により電源が投入されると、電源投入状態を示すLEDが点灯し、洗浄運転プログラム選択スイッチである8分コーススイッチ112、標準コーススイッチ113、念入りコーススイッチ114等を1回押す事により洗浄運転プログラムを選択することが可能となる。前記いづれかの洗浄運転プログラムを選択し、運転開始および一時停止スイッチ111を押すことにより運転を開始すると、食器洗い機の洗浄室10中に残留した洗浄水などの排出を目的とした、循環/排水ポンプ12の時限動作による「洗浄工程初期排水動作」(S2)が実施される。次に、給水弁13を開け、給湯機、電気温水器などの給湯源あるいは水道などから食器洗い機に洗浄水を給水する「洗浄工程給水動作」(S3)が行われる。ここで、流量検知器20により洗浄室10内に供給される洗浄水の量を検知し、洗浄水量に達するまで洗浄水を給水する。次に、洗浄室10内の貯留された洗浄水を循環/排水ポンプ12により、循環駆動するとともに温水ヒータ11も駆動して洗浄水を加熱する「洗浄工程循環動作」(S6)を行う。この動作では、洗浄室10内に溜められた洗浄水は残菜フィルター31を通過し、循環/排水ポンプ12から導水管25を通ってノズル7あるいは8より噴出される。そして循環/排水ポンプ12の噴流により、洗浄水中に洗浄投入口32内の洗剤が投入される。「洗浄工程循環動作」(S6)を図7本発明の実施形態の循環動作設定時間と洗浄目標温度の表に書かれた循環時間と各目標温度の条件が満たされるまで行ったら、循環/排水ポンプ12を排水側に所定時間駆動する「洗浄工程終了排水動作」(S9)を行い、洗浄水を食器洗い機本体1外に排水する。
【0016】
つぎに、すすぎ工程は、給水弁13ならびに流量検知器20により洗浄室10内に供給される洗浄水の量を検知し、洗浄水量に達するまで洗浄水を貯留する「給水動作」をした後、循環/排水ポンプ12の循環側駆動の時限動作を行う「循環動作」を行い、最後に洗浄室10内の洗浄水を排出する「終了排水動作」より成り、一連の動作は所定回数(N回)実施される。(S8〜S16)すすぎ工程では、温水ヒータ11は駆動せず、給水した洗浄水の温度のまま、すすぎ工程を行う。すすぎ工程は、洗浄運転プログラムにより、8分コースの場合はすすぎ1工程まで、標準コースの場合はすすぎ2工程まで、念入りコースの場合はすすぎ3工程まで実施する。
【0017】
最終すすぎ工程においては、給水弁13ならびに流量検知器20により洗浄室10内に供給される洗浄水の量を検知し、洗浄水量に達するまで洗浄水を貯留する「最終すすぎ工程給水動作」(S17)をした後、洗浄室10内の貯留された洗浄水を循環/排水ポンプ12により所定時間循環側に駆動するとともに温水ヒータ11も駆動して、洗浄水を加熱する「最終すすぎ循環動作」(S18)を行う。「最終すすぎ循環動作」(S18)を図7本発明の実施形態の循環動作設定時間と洗浄目標温度の表に書かれた循環時間と各目標温度の条件が満たされるまで行ったら、循環/排水ポンプ12を排水側に所定時間駆動する「最終すすぎ工程終了排水動作」(S19)を行い、洗浄室10内の洗浄水を食器洗い機本体1外に排水する。この後、ブザー6を鳴らすことで、「洗浄運転終了報知」(S20)を行い、使用者に洗浄が終了したことを告げる。
【0018】
乾燥工程は、所定の洗浄室内温度設定で、乾燥選択スイッチ116にて選択した乾燥コース運転プログラムに対応した所定時間だけ、温風ファン15および温風ヒータ14を動作させることによって実行される(S21)。なお、乾燥選択スイッチ116によって送風90分コースを選択した場合は、温風ヒータ14は「乾燥工程乾燥動作」(S21)初期の45秒間だけ動作させる。乾燥工程が終了したら、ブザー6を鳴らすことで「乾燥運転終了報知」(S22)を行い、使用者に乾燥が終了したことを告げる。
【0019】
運転動作進行中は操作パネル5上の工程表示LED群の該当する工程のLEDが点滅し、進行中の工程の表示を行なう。また、操作パネル5上の残り時間表示LED119には、最終すすぎ工程終了までの残り時間と乾燥工程での残り時間が表示される。
【0020】
洗浄工程、すすぎ工程、最終すすぎ工程の給水動作について詳述する。図5は、本発明の実施形態の食器洗い機の給水動作の詳細フロー図である。図5において、給水動作が開始されたら、給水弁13を開く(S101)。そして、流量検知器20にて洗浄室10内に供給された洗浄水が洗浄水量Qに達したかどうかを調べ(S102)、達していなければ洗浄水の供給を継続し、達していれば給水弁13を閉じる(S103)。
【0021】
洗浄工程、すすぎ工程、最終すすぎ工程の循環動作について詳述する。図6は、本発明の実施形態の食器洗い機の循環動作の詳細フロー図である。図7は、本発明の実施形態の循環動作設定時間と洗浄目標温度の表である。図6において、洗浄工程、すすぎ工程、最終すすぎ工程の各循環動作が開始されると、循環/排水ポンプ12を循環駆動させる(S201)。そして、図7の循環動作設定時間と洗浄目標温度の表に従い、第1目標温度があるかどうかと(S202)、水温検知手段21で検知した洗浄室10底部に溜まった洗浄水の温度が第1目標温度に到達しているかどうか(S203)を調べ、第1目標温度があって洗浄水の温度が第1目標温度に到達していなければ、温水ヒータ11への通電量を最大にして洗浄水を最大出力で加熱する(S204)。第1目標温度がない場合または第1目標温度に到達したならば、図7の循環動作設定時間と洗浄目標温度の表に従い、第2目標温度があるかどうかと(S205)、第2目標時間に到達しているかどうか(S206)を調べ、第2目標温度があって第2目標時間に到達していなければ、引き続き循環動作を継続するとともに、温水ヒータ11で洗浄水を加熱する(S207)。この時、温水ヒータ11のヒータ出力は、(1)式にて求められるヒータ出力Wになるよう通電量を調整する。第2目標温度がない場合または第2目標時間に到達したならば、図7の循環動作設定時間と洗浄目標温度の表に従い、第3目標温度があるかどうかと(S208)、水温検知手段21で検知した洗浄室10底部に溜まった洗浄水の温度が第3目標温度に到達しているかどうか(S209)を調べ、第3目標温度があって洗浄水の温度が第3目標温度に到達していなければ、引き続き循環動作を継続するとともに、温水ヒータ11で洗浄水を加熱する(S210)。この時、温水ヒータ11への通電量を最大にして洗浄水を最大出力で加熱する。第3目標温度がないかまたは洗浄水の温度が第3目標温度に到達していれば、温水ヒータ11を停止し(S211)、洗浄時間が経過するまで循環動作を継続し(S212)、洗浄時間が経過していれば、循環/排水ポンプ12を停止して(S213)、循環動作を終了する。
【0022】
(1)式にて計算する際に到達時間tは、図7の第二目標時間に「残り時間」と書かれてある場合は、洗浄時間と洗浄開始から現在までの循環動作をした時間との差から更に、第三目標温度がある場合は第二目標温度から第三目標温度に到達するのに必要であろう時間を差し引いた残り時間にする。そして、図7の第二目標時間に実秒数が書かれている場合は、残り時間と実秒数のいずれか長い方を到達時間tとする。これは、残り時間が短くなっても第一目標温度から第二目標温度の間の温度帯での洗浄時間を確保するためである。もちろん、到達時間tは計算誤差を見込んだ分だけ時間を短くしても良い。ところで、(1)式で計算されたヒータ出力Wが温水ヒータ11の最大出力よりも大きいときは、温水ヒータ11を最大出力にする。
【0023】
通常食器洗い機にて洗浄をおこなう食器に付着した汚れ成分は、米粒等を主体としたデンプン系汚れ、卵等を主体としたタンパク系汚れ、ラード等を主体とした油脂系汚れに分類され、各成分が単独もしくは複合した形で食器表面に付着している。これら食器に付着した汚れ成分においては、以下の特性が挙げられる。デンプン系汚れは乾燥して食器表面上で固化して付着していることが多いため、洗浄温度帯に関係なく、固化汚れが十分に吸水して膨潤するための時間が必要とされる。また、タンパク系汚れについては高温域において組成変性を起こし、食器表面に汚れが固着する方向に物性が変化するため、低温域で食器表面より除去することが望ましい。また、油脂系汚れについては食器表面からの脱離は比較的容易ではあるが、容易に再付着するという特性がある為、食器表面および洗浄槽から系外に排出することが比較的難しい。また、低温域では固化するが高温域では溶融する方向に物性が変化するため、高温域では食器表面および洗浄槽から系外に排出しやすくなる。専用洗剤を使用する食器洗い機においては、上記汚れ成分を専用洗剤に含まれる酵素成分(タンパク分解酵素、デンプン分解酵素など)にてタンパク系汚れおよびデンプン系汚れを徐々に分解すると共に、界面活性剤成分にて、食器表面に付着した各種汚れを剥ぎ取ることで洗浄をおこなう。更に界面活性剤成分は、油脂系汚れの周囲を包み込み、再付着を防止した状態で効率的に系外に排出することが可能である。専用洗剤は45℃〜50℃で酵素の働きが最も良くなるように作られている。
【0024】
そこで、洗浄性能が最も良くなるように、8分コース、標準コース、念入りコース毎に洗浄行程、すすぎ工程、最終すすぎ工程の各洗浄温度段階毎の目標時間とその温度に達したら次の洗浄温度段階に進む目標温度が決定されている。図7は、本発明の実施形態の循環動作設定時間と洗浄目標温度の表である。各工程の最上段に書かれてある洗浄時間は、各工程が最低限その洗浄時間だけ循環/排水ポンプ12を循環駆動させる時間である。第一目標温度は、洗浄水の温度が第一目標温度に到達するまで温水ヒータ11を最大出力にする温度である。洗浄工程においては、食器洗い機の専用洗剤の酵素の働きが良くなるのが45℃〜50℃でありタンパク質の変性温度以下での洗浄時間を確保するため第一目標温度を45℃とし、第二目標温度を50℃とした。そして、第一目標温度から第二目標温度に到達させるまでの時間を、残り時間あるいは最小時間として第二目標時間に書かれている時間だけ確保するようにしている。洗浄工程における第三目標温度は、牛脂などの油脂系汚れが溶融する温度が50℃からであり、油脂汚れを溶融できる温度まで洗浄水の温度を上げつつ食器を洗浄することを目的としている。最終すすぎ工程については、高温域において食器表面に残留している微量の固着汚れの排除をおこない、最終的に食器の仕上げを行う。そこで、第一目標温度を50℃以上、第二目標温度を70℃と高温に設定している。第二目標時間については残り時間とすることで、洗浄水の温度が70℃に達しなくても最終すすぎ工程を終えるようにし、洗浄時間全体が延びないようにしている。
【0025】
洗浄運転プログラムが8分コースの場合の洗浄工程、すすぎ工程、最終すすぎ工程と、標準コースまたは念入りコースの場合のすすぎ工程では、温水ヒータ11による加熱を行わず供給された湯水の温度のままで循環動作を行う。そこで、図7の本発明の実施形態の循環動作設定時間と洗浄目標温度の表の通り、目標時間と目標温度をなしとしている。
【0026】
洗浄室10底部に溜まった洗浄水が3.0Lの時に、温水ヒータ11を1200Wの最大出力とした場合、洗浄水の昇温温度は温水ヒータ11のばらつきや雰囲気温度の影響はあるが、本実施例の食器洗い機の場合、2.5℃/分程度である。ヒータ出力Wは、(1)式により計算され、第二目標温度Tsと水温検知手段21にて検知した現在の洗浄水の温度Trと第二目標時間である到達時間tと洗浄水量Qにより求める。
W=1200(w)×Q×(Ts−Tr)×8(秒/L・℃)÷t・・・(1)
【0027】
循環動作中に、ドア4を開かれて循環動作を一時停止し、その後ドア4を閉じられて循環動作を再開した場合には、洗浄水の温度は低下する。また、温水ヒータ11のばらつきや雰囲気温度の影響やお皿の温度の影響により、洗浄水の温度の上昇は一律には定まらない。このため、(1)式の到達時間tを(2)式により目標時間Tsと現在の洗浄温度段階の開始からの経過時間により計算してもよい。つまり、温水ヒータ11のヒータ出力Wを現在の洗浄水の温度Trと到達時間tにより常に計算し直す。これにより、第二目標温度Tsには第二目標時間tsまでにほとんどずれることなく到達することができる。
t=ts−経過時間・・・(2)
【0028】
ヒータの出力量の調整方法について説明する。図8は、本発明の実施形態のヒータの発熱量調整方法の説明図である。図8のAでは、交流電源の半周期毎にヒータをオンするかオフするかでヒータの発熱量を調整する。例えば、10の半周期の内の6の半周期でヒータをオンすると、最大1200Wのヒータであれば720Wのヒータ出力になる。図8のBでは、交流電源の半周期毎にヒータ出力を位相制御により調整する。例えば、最大1200Wのヒータで720Wのヒータ出力にするためには、位相角120℃にすれば良い。すなわち、交流電源が0V付近になる時点から、交流周波数50Hzであれば5.5ms、交流周波数60Hzであれば4.58msだけヒータをオンすればよい。図8のCでは、所定周期毎の所定の割合だけヒータをオンすることでヒータの発熱量を調整する。例えば、周期5秒毎に3秒間だけヒータをオンすれば、最大1200Wのヒータであれば720Wのヒータ出力になる。どの方法を用いても良いが、Aでは、細かいヒータ調整が難しく、Bでは、電気的なノイズが増えるという欠点がある。
【0029】
ここで、水位検出器19について説明する。流量検知器19は、給水管23を通って単位時間当たりに洗浄室に入る水量を検知するものであり、しぼり流量センサ/電磁流量センサ/渦流量センサ/超音波流量センサ/熱形流量センサ/タービン流量センサ/容積流量計などが利用できる。本実施例では、流量検知器20を通過する湯水の流量に比例して流量検知器20内部の羽根構造のローターが回転し、この回転をホールICによりデジタル信号に変換して、制御部4へその信号を入力し、制御手段101にてデジタル信号から単位時間当たりの水量あるいは、積算水量を計算している。
【0030】
本実施例では、流量検知器20にて洗浄室10内に供給される洗浄水の量を検出しているが、水位検出器19は流量検知器20にて洗浄室10内に溜めた洗浄水の流量が、循環可能な水量なのかどうかを検出している。流量検知器20が故障して誤った流量を検知した場合でも、水位検出器19にて水位を検出することで、流量検知器20の故障を検出できるとともに、流量検知器20が故障している時には応急的に水位検知器19のみで必要な水量を洗浄室10内に溜めて洗浄を行う。また、水位検出器19は、排水が排水の時限動作内に排水できたかどうかを検出している。もちろん、水位検出器19を設けずに洗浄室10内に供給される洗浄水の量を流量検知器20のみにて検出するように食器洗い機を構成しても構わない。そうすれば、水位検出器19がなくなる分食器洗い機の構成が簡素化される。
【0031】
ところで、洗浄室10内に供給される洗浄水の量の検出を、流量検知器20にて検出する以外の方法で行っても良い。例えば、水位検出器19にて簡易的に水量を求めることができる。図9は、本発明の実施形態の食器洗い機の水位と水量の換算表である。この表を使用し、水位検出器19にて検出した水位から水量を求める事ができる。この場合、流量検知器20を省くことが可能になるかわりに、正確な洗浄水の量の検出は難しくなる。本実施例では、流量検知器20にて洗浄室10内に供給される洗浄水の量の検出を行うので、正確な洗浄水量にて洗浄を行うことができ、最適な水温での洗浄時間が確保できるため食器が十分洗浄でき、運転時間が長くなることを防ぐことができるのである。
【0032】
図10は、本発明の実施形態の各温度の洗浄水を供給された時の循環動作のタイムチャートである。図10のA、B、Cに示したタイムチャートの通り、第一目標温度45℃までと、第二目標温度50℃から第三目標温度57℃までの期間は、温水ヒータ11への通電量を最大にする。そして、図10のA、Bに示すように、第一目標温度45℃から第二目標温度50℃までの期間は、第一目標温度到達の時点での洗浄時間の残り時間から、第二目標温度から第三目標温度に到達するまでの推定時間を差し引いた時間に第二目標温度に到達するように温水ヒータ11への通電量を制御する。このようにすることで、第一目標温度と第二目標温度の時間は、最大限に長い時間を確保して洗浄できる。このため、洗浄時間が長くなることなく洗浄性能がより向上する。食器洗い機が給湯器などに接続されておらず水道管に接続されている場合、図10のCに示すように、第一目標温度45℃から第二目標温度50℃まで期間を、標準コースの洗浄工程では最低170秒確保する。これにより、第三目標温度に到達するまで洗浄時間が延長されるが、標準コースとしての洗浄性能を確保しつつ、できる限り洗浄時間を延長しないようにできる。
【0033】
尚、本発明の食器洗い機は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0034】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
【0035】
請求項1では、洗剤の酵素の働きが良くなる温度への到達時間を短くするとともに、供給された洗浄水の温度が高くても低くても、洗剤の酵素の働きが良くなる温度であり、かつタンパク質の変性温度以下の温度帯での洗浄時間を確保できるので洗浄性能が向上する。そして、この温度帯での洗浄を終えた後には、タンパク質の凝固温度である第二目標温度にまで洗浄水の温度が上昇しているので、油脂汚れが溶融する温度までの到達時間が短くできる。このため、洗浄性能をより向上しつつ、全体の洗浄時間を短くできる。
【0036】
請求項2では、洗剤の酵素の働きが良くなる温度でかつタンパク質の変性温度以下の温度帯での洗浄時間を可能な限り長く確保でき、また確実に洗浄水の温度を油脂汚れの融点以上に到達させるので、洗浄性能をより向上させることができる。
【0037】
以上、説明したように本発明の請求項1〜2記載の食器洗い機によれば、洗剤の洗浄力をより効果的に引き出すとともに、タンパク系汚れや油脂汚れに対する洗浄性能を向上し、かつ洗浄時間を短縮することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の食器洗い機の斜視図。
【図2】本発明の実施形態の食器洗い機の操作パネルの正面図。
【図3】本発明の実施形態の食器洗い機の構成を示す概念図。
【図4】本発明の実施形態の食器洗い機の運転プログラムの概略フロー図。
【図5】本発明の実施形態の食器洗い機の給水動作の詳細フロー図。
【図6】本発明の実施形態の食器洗い機の循環動作の詳細フロー図。
【図7】本発明の実施形態の循環動作設定時間と洗浄目標温度の表。
【図8】本発明の実施形態のヒータの発熱量調整方法の説明図。
【図9】本発明の実施形態の食器洗い機の水位と水量の換算表。
【図10】本発明の実施形態の各温度の洗浄水を供給された時の循環動作のタイムチャート。
【図11】従来の実施形態の温水ヒータの出力が大きい循環動作のタイムチャート。
【図12】従来の実施形態の温水ヒータの出力が小さい循環動作のタイムチャート。
【符号の説明】
1・・・食器洗い機本体、2・・・外装、3・・・底カバー、4・・・ドア
5・・・操作パネル、6・・・食器カゴ(上)、7・・・上ノズル、8・・・食器カゴ(下)
9・・・下ノズル、10・・・洗浄室、11・・・温水ヒータ、12・・・循環/排水ポンプ
13・・・給水弁、14・・・温風ヒータ、15・・・温風ファン、16・・・ブザー
17・・・扉開放検出スイッチ、18・・・溢水検知手段、19・・・水位検出器
20・・・流量検知器、21・・・水温検知手段、22・・・温風温度検知手段
23・・・給水管、24・・・排水管、25・・・導水管、26・・・湯水混合弁
30・・・上ノズル部、31・・・残飯フィルター、32・・・洗剤投入口、33・・・給湯口
110・・・電源スイッチ、111・・・運転開始および一時停止スイッチ
112・・・8分コーススイッチ、113・・・標準コーススイッチ
114・・・念入りコーススイッチ、115・・・乾燥のみ選択スイッチ
116・・・乾燥選択スイッチ、117・・・加熱すすぎスイッチ
118・・・各LED、119・・・残り時間表示LED
Claims (2)
- 食器の洗浄水を貯める洗浄漕と、前記洗浄漕に貯まった前記洗浄水の温度を検出する水温検知手段と、前記洗浄水を加熱する温水ヒータと、前記温水ヒータへの通電を制御する制御部と、循環ポンプにて前記洗浄水をノズルへ圧送しノズルから吐水させて食器を洗剤を混入して温水で洗浄を行う洗浄工程を有する食器洗い機であって、前記洗浄水に混入した洗剤の酵素が活性する第一目標温度とタンパク系汚れの凝固温度よりも低い第二目標温度と油脂成分が溶融する第三目標温度を有し、前記洗浄水の温度が前記第一目標温度に達するまでの間は温水ヒータへの通電量を最大にし、前記第一目標温度に達した後から前記第二目標温度に達するまでは、所望時間で前記洗浄水の温度が前記第二の目標温度に達するよう前記温水ヒータへの通電量を制御することを特徴とする食器洗い機。
- 請求項1記載の食器洗い機であって、前記第一目標温度に達した後から前記第二目標温度に達するまでは、洗浄工程の洗浄時間から、洗浄工程の開始より前記第一目標温度に達するまでに要した時間と前記温水ヒータへの通電量を最大にして前記第二目標温度から前記第三の目標温度に達するまでの時間とを差し引いた前記所望時間で、洗浄水の温度が前記第二の目標温度に達するよう前記温水ヒータへの通電量を制御し、前記第二目標温度に達した後は前記温水ヒータへの通電量を最大にすることを特徴とする食器洗い機。
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