JP2004288718A - 基板搬送装置及び基板処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】搬送室16の中心の回りに旋回自在な実質同一構造の第1及び第2の多関節アーム3A、3Bを設け、いずれの多関節アーム3A、3Bも、旋回アーム51,61とウエハWを保持する基板保持アーム53,63と、これら両アームの間に設けられた中段アーム52,62と、を含むみかつ中段アーム52,62の長さを旋回アーム51,61よりも短い構成とする。そして多関節アーム3A、3Bが縮退したときの基準位置において基板保持アーム53,63が中段アーム52,62と直交するように設定すると共に、アームの伸縮時に基板保持アーム53,63が直線に近い線に沿って運動をするように各プーリの歯数比を設定する。
【選択図】 図7
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ(以下ウエハという)等の基板を搬送するための基板搬送装置、及び基板搬送装置を備えた搬送室に複数の基板処理室が気密に接続された基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造装置の中に、基板搬送装置を備えた搬送室(トランスファチャンバ)に複数の処理室(プロセスチャンバ)を接続したクラスターツールあるいはマルチチャンバシステムなどと呼ばれているシステムがある。このシステムは基板に対して例えば複数の真空処理を行う場合に、真空を破らずに連続処理を行うことができ、また処理室を大気雰囲気から遠ざけることができ、更に高いスループットが得られるなどの利点がある。クラスターツールを有効に活用するためには、基板を効率的に搬送することが重要であり、効率的搬送を目的とした装置として特許文献1に記載された装置がある。
【0003】
ここに記載されているクラスターツールは、図12に示すように正方形状の搬送室90の一辺にロードロック室91が気密に接続される共に、他の三辺に2枚同時に処理できるチャンバ92、93及び94が気密に接続され、搬送室90内に基板であるウエハWを搬送するためのウエハ搬送装置95が配置されている。ウエハ搬送装置95は、ウエハWを2枚並べて保持できるブレードアセンブリ95aをアームアセンブリ95bにより進退できるように、また図示しない回転機構により旋回できるように構成されている。このウエハ搬送装置95によれば、2枚のウエハWをロードロック室91から同時に取り出してチャンバ92(93、94)に同時に搬入することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−275848号の図15、図16及び段落0031
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の搬送装置95は、2枚のウエハWを同時に搬送するので、搬送室90の一辺に並ぶ2個のゲートバルブのうちの一方が閉じたままである場合には、その一辺に配置されたチャンバ92(93、94)には、ウエハWを搬送することができない。また1個のチャンバ内に2つの処理領域を形成しているが、例えば1辺に2個のチャンバを並べて配置した装置においては、その2個のチャンバのうちの一方がトラブル等により使用できない場合には、他方のチャンバも使えなくなってしまう。
【0006】
また搬送装置95のアームアセンブリ95bは、2個の円形の磁石クランプに夫々設けられたアームを蛙の足形の伸縮をするように構成されてブレードアセンブリ95aに接続されているので、構成が複雑で高価であるという課題もある。
【0007】
本発明は、このような背景の下になされたものであり、その目的は、搬送効率が高く、しかも搬送モードの自由度が大きくて構成が簡単な基板搬送装置を提供することにある。本発明の他の目的は、この基板搬送装置を適用することにより、高いスループットが得られ、また運転モードの自由度が高く、柔軟な運用を図ることができる基板処理装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の基板搬送装置は、旋回自在な第1の旋回アーム及び基板を保持するための第1の基板保持アームを含む少なくとも3本のアームと、第1の旋回アームを駆動するための第1の旋回駆動部と、アームを伸縮駆動するための第1の伸縮駆動部と、を有する第1の多関節アームと、
前記第1の旋回アームと旋回中心が共通である旋回自在な第2の旋回アーム、及び前記第1の基板保持アームと同一平面上に位置し、基板を保持するための第2の基板保持アームを含む少なくとも3本のアームと、第2の旋回アームを駆動するための第2の旋回駆動部と、前記第1の伸縮駆動部とは独立して設けられ、アームを伸縮駆動するための第2の伸縮駆動部と、を有する第2の多関節アームと、を備え、
第1及び第2の基板保持アームは、前記旋回中心を通る水平な直線を挟んで左右に位置する基準位置と基板の受け取り位置との間を進退し、
第1の基板保持アームの基準位置と基板の受け取り位置とを結ぶ直線と、第2の基板保持アームの基準位置と基板の受け取り位置とを結ぶ直線とは、平行であることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、第1及び第2の基板保持アームにより2枚の基板を同時に保持し、各々互いに平行に直線あるいは直線に近い線に沿って移動することができるので、例えば2個の基板載置台が直線上に横並びに配置されている場合に高い搬送効率で搬送することができ、また第1及び第2の基板保持アームを互いに独立して進退できるので、大きな自由度で基板を搬送できる。
【0010】
この発明の基板搬送装置は、例えば次のように構成することができる。
a.第1の基板保持アーム及び第2の基板保持アームは、同時に前進あるいは後退する。
b.第1及び第2の基板保持アームが前記旋回中心を挟んで左右に並ぶ基準位置に置かれた状態で、第1及び第2の旋回アームが旋回する。
c.第1の搬送部及び第2の搬送部は、独立して駆動される。
d.第1及び第2の基板保持アームは、いずれも2枚の基板を保持できるように進退方向の両端部に保持部位を備え、第1及び第2の伸縮駆動部は、第1及び第2の基板保持アームを、旋回中心を挟んで左右に並ぶ基準位置から前方側及び後方側のいずれにも直線的にあるいは直線に近い線に沿って移動させる。
e.第1の多関節アーム及び第2の多関節アームは、いずれも旋回アーム、基板保持アーム及び両アームの間に介在しかつ旋回アームよりも短い中段アームからなる3本のアームを備えている。
f.第1の多関節アーム及び第2の多関節アームの基準位置においては、両方の中段アームが一直線上に位置し、基板保持アームが中段アームと直交している。g.多関節アームは、
前記旋回アームの旋回中心軸を回転中心とし、旋回アームとは独立して回転自在な基端プーリと、
前記旋回アームの先端部に回転自在に設けられると共に、前記基端プーリとタイミングベルトにより連結され、前記中段アームと一体になって回転する支持プーリと、
前記中段アームに前記支持プーリと同軸に設けられ、旋回アームに固定された中間プーリと、
前記中段アームの先端部に回転自在に設けられると共に、前記中間プーリとタイミングベルトにより連結され、基板保持アームと一体になって回転する先端プーリと、を備え、
基板保持アームの移動軌跡が直線あるいは直線に近い線を描くように各プーリの歯数比が調整されている構成とすることができる。
【0011】
本発明の基板処理装置は、上記の基板搬送装置を用いたものであり、上記の
基板搬送装置を備えた気密構造の搬送室と、
この搬送室の周囲に沿って配置され、当該搬送室と気密に接続された複数の基板処理室と、
前記基板処理室と搬送室とを連通し、互いに並んで設けられた第1及び第2の搬送口と、を備え、
第1及び第2の基板保持アームが夫々第1及び第2の搬送口を介して基板処理室との間で基板の受け渡しをすることを特徴とする。
【0012】
前記第1及び第2の搬送口は例えば互いに隣接する基板処理室に夫々連通していてもよいし、あるいは共通の基板処理室に連通していてもよく、後者の場合には基板処理室内に2枚の基板を処理するために2つの載置台が設けられる。搬送室は例えば平面形状が四角形状に形成され、その四角形の一辺に、基板処理室に連通する第1及び第2の搬送口が並んで設けられる。また例えば搬送室の周囲には、第1の基板保持アーム及び第2の基板保持アームにより基板の受け渡しが行われる第1及び第2のロードロック室が当該搬送室に気密に接続されている。また基板処理装置及び搬送室は、例えば真空雰囲気または不活性ガス雰囲気とされる。また搬送室において、第1及び第2の多関節アームが旋回するときの第1及び第2の基板保持アームに保持される基板の移動軌跡上に第1及び第2の基板保持アームに対して相対的に昇降自在なバッファ載置部を設け、このバッファ載置部を介して第1及び第2の基板保持アームの間で基板の受け渡しができるように構成することが好ましい。このような発明の基板処理装置によれば、高いスループットが得られ、また運転モードの自由度が大きい。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は、本発明の基板処理装置の実施の形態を示す図である。この基板処理装置は、基板である複数枚のウエハを収納するカセット(搬送容器)Cが搬入される例えば2個の気密構造のカセット室11、12を備えている。カセット室11、12は各々大気側にゲートドアGDが設けられ、このゲートドアGDによって大気との間が気密に仕切られることとなる。カセット室11、12内には図2に示すようにカセット載置台11aを昇降させ、カセットC内のウエハ保持溝を順次後述の第1の搬送装置のアクセスレベルに位置させるための昇降部11bが設けられている。
【0014】
カセット室11、12の内側には、気密構造の第1の搬送室13が気密に接続され、この第1の搬送室13には、圧力調整可能な2個のロードロック室(待機室)である予備真空室14、15が左右に並んで気密に接続されている。更にこれら予備真空室14、15における第1の搬送室13の反対側には真空雰囲気とされる第2の搬送室16が気密に接続されている。なお図中10は壁面部を構成するパネルである。
【0015】
ここではオープン型カセットの場合について述べたが、密閉型の搬送容器(クローズ型カセット)を用いる場合には、カセット室は設けられず、パネル10に形成された搬送口にカセットが直接気密に結合され、カセットの蓋とパネルの搬送口側のドアとを同時に開いて第1の搬送室13とカセット内とを連通することになる。
【0016】
第1の搬送室13内には、ウエハWを回転させてその向きを合わせるための位置合わせステージ17、18と、カセット室11、12及び予備真空室14、15並びに位置合わせステージ17、18の間でウエハWを搬送するための第1の基板搬送装置2と、が設けられている。カセット室11、12及び第1の搬送室13は、例えば不活性ガス雰囲気とされるが、真空雰囲気としてもよい。
【0017】
第2の搬送室16は、例えば四角形状に形成され、その中に第2の基板搬送装置3が設けられている。この第2の搬送室16の四角形の3辺には、各辺に2個づつ基板処理室である真空チャンバ4(4A、4B)、(4C、4D)、(4E、4F)が気密に接続され、残りの2辺に予備真空室14、15が接続されている。真空チャンバ4と第2の搬送室16との接続部分には、搬送口を形成する断面形状が角形の通路部材40が介在する。なお図中Gは仕切り弁であるゲートバルブである。
【0018】
真空チャンバ4にて行われる真空処理としては、例えばエッチングガスによるエッチング、成膜ガスによる成膜処理、アッシングガスによるアッシングなどを挙げることができる。真空チャンバ4内には、図2に示すようにウエハWを載置するための載置台41及び処理ガスを供給するためのガス供給部42などが設けられ、各真空チャンバ4における載置台41上に載置されるうウエハWの中心部は、第2の搬送室16の中心を中心とする円の上にある。
【0019】
次に本発明の基板搬送装置の実施の形態である第2の基板搬送装置3について詳述する。図3及び図4は夫々第2の基板搬送装置3の概観及び伝達系を示す図である。この基板搬送装置3はこの例では第1の多関節アーム3Aと、第2の多関節アーム3Bと、を備え、第1の多関節アーム3Aは、第2の搬送室16の中心を旋回中心とする第1の旋回アーム51と、この旋回アーム51の先端部に水平方向に回動自在に設けられた第1の中段アーム52と、この中段アーム52の先端部に水平方向に回動自在に設けられた第1の基板保持アーム53と、を備えている。中段アーム52のアーム長(中間プーリ76と先端プーリ77との中心間距離)は旋回アーム51のアーム長(基端プーリ72と支持プーリ73との中心間距離)よりも短く構成され、例えば旋回アーム51のアーム長の1/2.56に設定される。
【0020】
第2の多関節アーム3Bは、その旋回中心軸が前記旋回アーム51の旋回中心100と共通し、旋回アーム51の下方側に設けられた第2の旋回アーム61と、この旋回アーム61に設けられた第2の中段アーム62と、この中段アーム62に設けられた第2の基板保持アーム63と、を備えている。第2の多関節アーム3Bの構造は第1の多関節アーム3Aの構造と実質同じであるが、基板保持アーム63の高さ位置を第1の多関節アーム3Aの基板保持アーム53と同じにするために即ち基板保持アーム53、63が同一平面上で搬送するように構成するために基板保持アーム63の回動軸の長さなどにおいて異なっている。
【0021】
第1の多関節アーム3A及び第2の多関節アーム3Bは、基準位置においては旋回アーム51、61が一直線上になるように、また中段アーム52、62が夫々旋回アーム51、61と重なって一直線上になるように設定される。そしてこのとき基板保持アーム53、63は夫々中段アーム52、62と直交するように設定される。基板保持アーム53(63)は、長さ方向の真ん中位置にて中段アーム52(62)に軸支されており、そしていずれも2枚の基板を保持できるように進退方向の両端部に、ウエハWを保持するためにフォーク状に形成された保持部位54、55(64、65)が設けられている。
【0022】
第1及び第2の多関節アーム3A、3Bの伝達系について図4を参照しながら説明すると、第1の多関節アーム3Aの旋回アーム51は旋回中心100を回転中心とする筒状の旋回軸70により旋回するように構成されている。旋回アーム51の基端側には、旋回中心100を回転中心とし、筒状の旋回軸70の中に設けられた回転軸71により旋回アーム51とは独立して回転自在な基端プーリ72が設けられている。旋回アーム51の先端部には、中段アーム52を支持して中段アーム52と一体になって回転する支持プーリ73が回転自在に設けられており、この支持プーリ73は、基端プーリ72とタイミングベルト74により連結されている。
【0023】
支持プーリ73の上側に設けられた中空の回転軸75の上端部には中段アーム52が固定されている。中段アーム52の基端部には、前記支持プーリ73と同軸に例えば歯数が同じである同径の中間プーリ76が設けられる一方、中段アーム52の先端部には、先端プーリ77が回転自在に設けられ、この先端プーリ77は中間プーリ76とタイミングベルト78により連結されている。中間プーリ76は、中空の回転軸75内を通って旋回アーム51に固定された軸部76aに固定されている。先端プーリ77の上側に設けられた回転軸79の上端部には基板保持アーム53が固定されている。
【0024】
この実施の形態では、多関節アーム3Aの伸縮時において基板保持アーム53の移動軌跡を直線にできるだけ近い線にしようとするものであり、そのためには、基端プーリ72と支持プーリ73との歯数比をA:1に設定し、中間プーリ76と先端プーリ77との歯数比を1:A/(A−1)に設定する必要がある。なおAは次の値である。
A=180°/cos−1 {(R1−R2)/(R1+R2)}
既述のようにR1=2.56R2であるから、この例では、基端プーリ72と支持プーリ73との歯数比を例えば2.74:1に設定し、中間プーリ76と先端プーリ77との歯数比を例えば1:1.57に設定している。
【0025】
第2の多関節アーム3Bにおいて、80は筒状の旋回軸、81は筒状の回転軸、82は基端プーリ、83は支持プーリ、84はタイミングベルト、85は回転軸、86は中間プーリ、86aは軸部、87は先端プーリ、88はタイミングベルト、89は回転軸である。基端プーリ82の回転軸81が第1の多関節アーム3Aの旋回軸70を囲むように設けられている点、基板保持アーム63の回転軸89が第1の多関節アーム3Aの基板保持アーム53の回転軸79よりも長い点などにおいて、第2の多関節アーム3Bは第1の多関節アーム3Aと異なるが、搬送の機能を決定する構成については第1の多関節アーム3Aと全く同様である。従って、旋回軸80及び回転軸81の回転中心は前記旋回中心100であり、また中段アーム62のアーム長は旋回アーム61のアーム長の1/2.56に設定され、基端プーリ82と支持プーリ83との歯数比が2.74:1に設定され、中間プーリ86と先端プーリ87との歯数比が1:1.57に設定されている。
【0026】
図4において56及び57は夫々第1の多関節アーム3Aにおける旋回軸70の駆動部及び回転軸71の駆動部であり、66及び67は夫々第2の多関節アーム3Bにおける旋回軸80の駆動部及び回転軸81の駆動部である。これら駆動部56、57、66、67はモータ、プーリ及びベルトなどからなる機構に相当する。回転軸駆動部57及び既述の基端プーリ72などの各プーリ、タイミングベルト、回転軸などは、第1の多関節アーム3Aを伸縮動作させるための第1の伸縮駆動部に相当し、回転軸駆動部67及び既述の基端プーリ82などの各プーリ、タイミングベルト、回転軸などは、第2の多関節アーム3Bを伸縮動作させるための第2の伸縮駆動部に相当する。
【0027】
なお、第1及び第2の多関節アーム3A、3Bにおける旋回軸70、80及び回転軸71、81並びにこれらに関連する部位の具体的構造の一例について図5に示しておく。図5中、56a、57aは夫々旋回軸70及び回転軸71を回転させるためのプーリであり、夫々モータM1及びこのモータM1の裏に隠れて見えないモータM2により駆動される。66aは旋回軸80を回転させるプーリであり、モータM3により駆動プーリ66c及びベルト66bを介して駆動される。67aは回転軸81を回転させるプーリであり、モータM4により駆動プーリ67c及びベルト67bを介して駆動される。モータM1〜M4は搬送室3の底面をなすベースBEに固定されている。
【0028】
次いで上述の実施の形態の作用について説明する。第1の多関節アーム3Aにおいては、旋回軸70の駆動部56(図4参照)については停止し、回転軸71の駆動部57については動作させて基端プーリ72を回転させると、中段アーム52を支持している回転軸75が回転しようとする。このとき旋回軸70は駆動部56から回転力は与えられていないが、フリーな状態(回転可能な状態)にあるため、図6に示すように基端プーリ72が時計方向に回転すると、中段アーム52が旋回アーム51に対して開こうとするため時計方向に回転すると共に旋回アーム51も反時計方向に回転する。
【0029】
なお図6において、L1は第1の関節アーム3Aが基準位置にあるときの旋回アーム51の軸線(旋回中心100と支持プーリ73の回転中心とを結ぶ線)、L2は旋回アーム51がα度回転したときの中段アーム52の軸線(中間プーリ76の中心と先端プーリ77の中心とを結ぶ線)、L3は第1の関節アーム3Aが基準位置にあるときの基板保持アーム53の軸線(先端プーリ77の中心と基板保持アーム53がウエハWを保持したときのウエハWの中心とを結ぶ線であり、基板保持アーム53の幅方向の中心線)、L4は旋回アーム51がα度回転したときの基板保持アーム53の軸線である。また図6では他方の保持部位55は省略してある。
【0030】
ここで基端プーリ72と支持プーリ73との歯数比が2.74:1であることから、旋回アーム51が基準位置からα度だけ回転すると中段アーム52は−2.74α度回転する。また中段アーム52が時計方向に回転すると、中間プーリ76が中段アーム52に対して相対的に反時計方向に回転するので、基板保持アーム53は反時計方向に回転し、中間プーリ76と先端プーリ77との歯数比が1:1.57であるから、基板保持アーム53は1.745α度回転する。従って図7に示すように第1の多関節アーム3Aを基準位置から伸長させて基板保持アーム53を前進させると、基板保持アーム53、詳しくは基板保持アーム53に保持されるウエハWの中心位置の軌跡は、直線に近い線(実質直線)を描くことになる。また第2の多関節アーム3Bにおいても同様の動きをし、基板保持アーム63に保持されるウエハWの中心位置の軌跡は、実質直線を描くことになる。つまり基板保持アーム53、63は互いに平行に実質直線運動をすることになる。
【0031】
この実施の形態の技術は、基板保持アーム53の基準位置とウエハWの受け渡し位置とを結ぶ直線と、基板保持アーム63の基準位置とウエハWの受け渡し位置とを結ぶ直線とが平行であり、各基準保持アーム53、63を夫々基準位置からウエハWの受け渡し位置まで一直線上に移動させようとするものであるが、実際の設計では直線から少しはずれた曲線上を移動することとなり、いわば実質的な直線に沿って移動することになる。なお直線から意図的に大きく外れた軌道を移動させることは意味がないが、この場合においても本発明の権利範囲に含まれる。
【0032】
また図7において基端プーリ72、82を逆転させた場合(反時計方向に回転させた場合)においても全く同様に前進方向の軌跡と対称の軌跡を描きながら基板保持アーム53、63が移動する。
【0033】
そして第1の多関節アーム3Aについて、基準位置にある状態で駆動部56、57を同時に動作させて基端プーリ72及び旋回軸70を反時計方向に回転させ、かつ第2の多関節アーム3Bについて、基準位置にある状態で駆動部66、67を同時に動作させて基端プーリ82及び旋回軸80を反時計方向に回転させると、図8に示すように第1及び第2の多関節アーム3A及び3Bは図1の実線で示してある基準位置にある状態のまま反時計方向に旋回動作(回転)する。
【0034】
第2の基板搬送装置3は以上のような動作をするので、基板処理装置を運転する上で例えば次のような搬送を行う。図1を参照すると、処理前のウエハWはカセットCに保持されて外部からカセット室11あるいは12内に搬入され、ゲートドアGDが閉じられて気密空間とされた後、例えば不活性ガス雰囲気とされる。そしてカセット室11、12の内側のゲートバルブGが開かれ、不活性ガス雰囲気とされている第1の搬送室13内の第1の基板搬送装置2によりカセット室11内のカセットC及びカセット室12内のカセットCから同時にウエハWが取り出されて位置合わせステージ17、18に搬送される。なお第1の基板搬送装置2も2つの多関節アームからなり、同時に2枚のウエハWを搬送できるように構成されている。
【0035】
これら2枚のウエハWはその向きが所定の向きに合わせられた後、第1の基板搬送装置2により予備真空室14、15に搬入され、予備真空室14、15を所定の真空雰囲気とした後、第2の搬送装置3により所定の真空チャンバ4に同時に搬入される。そして例えば真空チャンバ4C、4Dにて夫々ウエハWの真空処理が終了し、また予備真空室14、15には次に処理すべきウエハWが待機しているとすると、例えば第2の基板搬送装置3の基板保持アーム53、63が既述のように互いに平行に同時に前進して、夫々予備真空室14、15内に進入し、保持部位55、65によりウエハWを受け取る。次いで基板保持アーム53、63が夫々真空チャンバ4C、4D内に進入して夫々保持部位54、64によりウエハWを受け取る。しかる後、第2の基板搬送装置3が図8にて説明したように180度旋回し(詳しくは既述の旋回アーム51、61が180度旋回して)、基板保持部位54、64に夫々保持されている処理済みのウエハWを予備真空室14、15に搬入すると共に、保持部位55、65に夫々保持されている処理前のウエハWを真空チャンバ4C、4Dに搬入する。
【0036】
予備真空室14、15に夫々搬入されたウエハWは、第1の基板搬送装置2によりカセット室11、12のカセットC内に例えば同時に戻される。ここまでの説明は、真空チャンバ4C、4Dに着目しているが、例えば真空チャンバ4A、4Bにおいて各々ウエハの真空処理が終了していると、同様にしてウエハの入れ替えが行われる。
【0037】
また第2の搬送室16の一辺に並ぶ2個の真空チャンバ例えば4A、4Bで第1の処理を行い、他の辺の2個の真空チャンバ例えば4C、4Dで第2の処理を行い、更に他の辺の2個の真空チャンバ例えば4E、4Fで第3の処理を行う場合には、第2の基板搬送装置3により、真空チャンバ4A、4Bで第1の処理がされた夫々のウエハWを2枚同時に真空チャンバ4C、4Dに搬送し、次いで真空チャンバ4C、4Dにて第2の処理がされたウエハWを2枚同時に真空チャンバ4E、4Fに搬送するようにしてもよい。
【0038】
また例えば図1において真空チャンバ4Aがトラブルあるいはメンテナンスなどにより使用できない場合には、真空チャンバ4C、4D及び真空チャンバ4E、4Fに対しては、2枚同時にウエハWの受け渡しを行うが、真空チャンバ4Bに対しては第1あるいは第2の多関節アーム3A、3Bの一方のみを伸縮してウエハWの受け渡しを行う。
【0039】
上述の実施の形態によれば、第1の多関節アーム3Aの基板保持アーム53及び第2の多関節アーム3Bの基板保持アーム63が旋回中心100を挟んで左右に並ぶ基準位置から直線的に進退できるように構成されているので、一辺に並ぶ2個の真空チャンバ4、4に対して一括してウエハWの受け渡しを行うことができ、搬送効率が高いことから、高いスループットで処理することができる。ここでいう「一括して」とは、2枚のウエハWを同時に受け渡す場合に限らず、第1及び第2の多関節アーム3A、3Bを順番に伸縮する場合も含んでいる。また旋回半径が小さくて済むので搬送領域が狭く、装置の小型化を図ることができる。
【0040】
そして第1及び第2の多関節アーム3A、3Bが独立して伸縮できることから、一辺に並ぶ2個の真空チャンバ4、4のうち片方を使用しない場合でも、他方の真空チャンバ4を使用することができるなど、運転モードの自由度が高く、柔軟な運用を行うことができる。更にまた基板保持アームである基板保持アーム53、63は各々両端部に保持部位(54、55)、(64、65)が設けられていて2枚づつウエハWを保持することができるので、旋回動作の頻度を少なくすることができ、この点からも高い効率で搬送することができる。更に第2の基板搬送装置3は、多関節アームを用いているので、構造が簡単であり、低コストに抑えることができる。
【0041】
図1の例では、第2の搬送室16の一辺に2個の真空チャンバ4、4が並んでいるが、1個の真空チャンバであって搬送口が2個ある場合にも適用できる。この場合2個の搬送口のうちの一方のゲートバルブが開かない状態になっていても、第1及び第2の多関節アーム3A、3Bの片方を伸縮することによって、他方の搬送口を使用して真空チャンバに対してウエハWの受け渡しを行うことができる。
【0042】
更に図9及び図10に示すように、第2の搬送室16において、第1及び第2の多関節アーム3A、3Bが旋回するときの第1及び第2の基板保持アーム53、63に保持されるウエハWの移動軌跡(平面で見たときの移動軌跡)上に、この例では基板保持部位54、55、64、65の移動軌跡上に昇降部201により昇降自在なバッファ載置部であるバッファ載置台200を設けることが好ましい。このように構成すれば、このバッファ載置台200を介して第1及び第2の基板保持アーム53、63の間でウエハWの受け渡しができる。例えば図10に示すように第2の基板保持アーム63の保持部位64がウエハWを保持しているとすると、第1及び第2の多関節アーム3A、3Bを旋回させて第2の基板保持アーム63上のウエハWをバッファ載置台200の上方に位置させ、次いでバッファ載置台200を上昇させて第2の基板保持アーム63の保持部位64であるフォーク部分間を通過させてウエハWを受け取る。その後、第1及び第2の多関節アーム3A、3Bを旋回させて第1の基板保持アーム53の保持部位54をウエハWの真下に位置させ、バッファ載置台200を下降させることによりバッファ載置台200からウエハWが第1の基板保持アーム53に受け渡される。従って例えば第2の搬送室16の一辺に並ぶ2個の真空チャンバ4、4の一方で処理したウエハWを第1及び第2の基板保持アーム53、63の一方で取りだし、次いでバッファ載置台200を介して第1及び第2の基板保持アーム53、63の他方に受け渡し、その後2個の真空チャンバ4、4の他方に搬入することができ、一辺で隣り合う真空チャンバ4、4間で連続プロセスを行うことができるなど、運用の自由度が更に大きくなる。
【0043】
上述の実施の形態では、第1の多関節アーム3Aと第2の多関節アーム3Bとの旋回軸は互いに独立させた構造としているが、両者の旋回軸を共通化してもよい。例えば第1及び第2の旋回アーム51、61を共通の駆動部で駆動してもよいし、例えば第1及び第2の旋回アーム51、61を一体化してもよい。図11に旋回軸を共通化した場合の動作の一例を示しておく。なお第1の多関節アーム3Aと第2の多関節アーム3Bは各々3本のアームの組み合わせのみならず、4本以上のアームを組み合わせたものであってもよい。
【0044】
本発明は、基板搬送装置を備えた搬送室の周囲に設けられるチャンバが全て基板処理室であり、例えばそのうちの2個の基板処理室から当該搬送室に夫々ウエハが搬入され、別の2個の基板処理室から夫々ウエハが搬出されるといった装置に対しても適用できる。また基板処理室は枚葉式の真空処理室に限らず、バッチ式で熱処理を行うための例えば縦型のバッチ炉と、このバッチ炉内に基板を搬入するための例えば不活性ガス雰囲気のローディングエリアと、を含む区画空間であってもよい。
【0045】
【発明の効果】
本発明の基板搬送装置によれば、第1及び第2の多関節アームを用い、第1及び第2の基板保持アームが互いに並んで直線または直線に近い線に沿って進退するように伸縮するので、同時あるいは順番に受け渡しを行うことにより2枚の基板を同時に保持することができ、搬送効率が高い。また多関節アームを用いていることから構成が簡単であり、低コスト化を図れる。更に第1及び第2の基板保持アームが互いに独立に進退できるので、例えば2つ並ぶチャンバの一方に対してのみウエハの搬送ができるなど、搬送モードの自由度が大きい。そしてこの基板搬送装置を基板処理装置に適用することにより、高いスループットが得られ、また運転モードの自由度が高く、柔軟な運用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基板処理装置の実施の形態を示す全体平面図である。
【図2】上記の基板処理装置の概略を示す概略縦断面図である。
【図3】本発明に係る基板搬送装置の実施の形態を示す概観図である。
【図4】上記の基板搬送装置の伝達系を示す説明図である。
【図5】上記の基板搬送装置の一部について具体的な構成例を示す断面図である。
【図6】上記の基板搬送装置の動作原理を示す説明図である。
【図7】上記の基板搬送装置の伸縮動作を示す説明図である。
【図8】上記の基板搬送装置の旋回動作を示す説明図である。
【図9】基板処理装置の他の実施の形態の一部を示す概観図である。
【図10】上記の他の実施の形態において基板保持アーム間でウエハを持ち変える様子を示す説明図である。
【図11】基板処理装置の更に他の実施の形態を示す平面図である。
【図12】従来の基板処理装置を示す平面図である。
【符号の説明】
W 半導体ウエハ
11、12 カセット室
13 第1の搬送室
14、15 予備真空室
16 第2の搬送室
2 第1の基板搬送装置
3 第2の基板搬送装置
4(4A〜4F) 真空チャンバ
3A 第1の多関節アーム
3B 第2の多関節アーム
51、61 旋回アーム
52、62 中段アーム
53、63 基板保持アーム
54、55、64、65 保持部位
70、80 旋回軸
72、82 基端プーリ
73、83 支持プーリ
76、86 中間プーリ
77、87 先端プーリ
100 旋回中心軸
Claims (13)
- 旋回自在な第1の旋回アーム及び基板を保持するための第1の基板保持アームを含む少なくとも3本のアームと、第1の旋回アームを駆動するための第1の旋回駆動部と、アームを伸縮駆動するための第1の伸縮駆動部と、を有する第1の多関節アームと、
前記第1の旋回アームと旋回中心が共通である旋回自在な第2の旋回アーム、及び前記第1の基板保持アームと同一平面上に位置し、基板を保持するための第2の基板保持アームを含む少なくとも3本のアームと、第2の旋回アームを駆動するための第2の旋回駆動部と、前記第1の伸縮駆動部とは独立して設けられ、アームを伸縮駆動するための第2の伸縮駆動部と、を有する第2の多関節アームと、を備え、
第1及び第2の基板保持アームは、前記旋回中心を通る水平な直線を挟んで左右に位置する基準位置と基板の受け取り位置との間を進退し、
第1の基板保持アームの基準位置と基板の受け取り位置とを結ぶ直線と、第2の基板保持アームの基準位置と基板の受け取り位置とを結ぶ直線とは、平行であることを特徴とする基板搬送装置。 - 第1の基板保持アーム及び第2の基板保持アームは、同時に前進あるいは後退することを特徴とする請求項1記載の基板搬送装置。
- 第1及び第2の基板保持アームが前記旋回中心を挟んで左右に並ぶ基準位置に置かれた状態で、第1及び第2の旋回アームが旋回することを特徴とする請求項1または2記載の基板搬送装置。
- 第1及び第2の基板保持アームは、いずれも2枚の基板を保持できるように進退方向の両端部に保持部位を備え、
第1及び第2の伸縮駆動部は、第1及び第2の基板保持アームが旋回中心軸を挟んで左右に並ぶ基準位置から前方側及び後方側のいずれにも直線的にあるいは直線に近い線に沿って移動できるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の基板搬送装置。 - 第1の多関節アーム及び第2の多関節アームは、いずれも旋回アーム、基板保持アーム及び両アームの間に介在しかつ旋回アームよりも短い中段アームからなる3本のアームを備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の基板搬送装置。
- 第1の多関節アーム及び第2の多関節アームの基準位置においては、両方の中段アームが一直線上に位置し、基板保持アームが中段アームと直交していることを特徴とする請求項5記載の基板搬送装置。
- 多関節アームは、
前記旋回アームの旋回中心軸を回転中心とし、旋回アームとは独立して回転自在な基端プーリと、
前記旋回アームの先端部に回転自在に設けられると共に、前記基端プーリとタイミングベルトにより連結され、前記中段アームと一体になって回転する支持プーリと、
前記中段アームに前記支持プーリと同軸に設けられ、旋回アームに固定された中間プーリと、
前記中段アームの先端部に回転自在に設けられると共に、前記中間プーリとタイミングベルトにより連結され、基板保持アームと一体になって回転する先端プーリと、を備え、
基板保持アームの移動軌跡が直線あるいは直線に近い線を描くように各プーリの歯数比が調整されていることを特徴とする請求項5または6記載の基板搬送装置。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の基板搬送装置を備えた気密構造の搬送室と、
この搬送室の周囲に沿って配置され、当該搬送室と気密に接続された複数の基板処理室と、
前記基板処理室と搬送室とを連通し、互いに並んで設けられた第1及び第2の搬送口と、を備え、
第1及び第2の基板保持アームが夫々第1及び第2の搬送口を介して基板処理室との間で基板の受け渡しをすることを特徴とする基板処理装置。 - 第1及び第2の搬送口は互いに隣接する基板処理室に夫々連通していることを特徴とする請求項8記載の基板処理装置。
- 搬送室は平面形状が四角形状に形成され、その四角形の一辺に、基板処理室に連通する第1及び第2の搬送口が並んで設けられることを特徴とする請求項8または9記載の基板処理装置。
- 基板処理室及び搬送室は、真空雰囲気または不活性ガス雰囲気とされることを特徴とする請求項8ないし10のいずれかに記載の基板処理装置。
- 搬送室の周囲には、第1の基板保持アーム及び第2の基板保持アームにより基板の搬出入が行われる第1及び第2のロードロック室が当該搬送室に気密に接続されていることを特徴とする請求項8ないし11のいずれかに記載の基板処理装置。
- 搬送室において、第1及び第2の多関節アームが旋回するときの第1及び第2の基板保持アームに保持される基板の移動軌跡上に第1及び第2の基板保持アームに対して相対的に昇降自在なバッファ載置部を設け、このバッファ載置部を介して第1及び第2の基板保持アームの間で基板の受け渡しができるように構成したことを特徴とする請求項8ないし12のいずれかに記載の基板処理装置。
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