JP2004285937A - 送風ファン - Google Patents

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JP2004285937A JP2003080289A JP2003080289A JP2004285937A JP 2004285937 A JP2004285937 A JP 2004285937A JP 2003080289 A JP2003080289 A JP 2003080289A JP 2003080289 A JP2003080289 A JP 2003080289A JP 2004285937 A JP2004285937 A JP 2004285937A
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Masaharu Ota
雅春 太田
Kiyoshi Kinoshita
清志 木下
Takashi Okuya
隆 奥谷
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】複数の翼部を有する合成樹脂製のファンにおいて、大幅な工数低減により生産性の向上を図れる空気調和機等の送風ファンを提供する。
【解決手段】複数の翼部を有するファンにおいて、翼部のおねじの接合部302はボス組立部のめねじの接合部201と接合し、側板4は翼部のめねじの接合部301と接合し、翼部と翼部については翼部のめねじの接合部301と次に連結する翼部のおねじの接合部302が接合される。各接合部には、ファンの回転方向に対して逆方向に、ねじ式に回転して固定できるようにボス組立部のめねじ202、翼部のめねじ304、翼部のおねじ303、側板のおねじ402が加工されている。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大幅な工数低減により生産性の向上を図った、合成樹脂材からなる、空気調和機等に使用する送風ファンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の樹脂製送風ファンは、翼部と端板が一体構造とされていて、その構造体の合成樹脂材には、ファン全体にアクリロニトリル・スチレン系樹脂(以下、AS系樹脂と略す)にガラスファイバー(以下、GFと略す)を混入して強度の向上を図ったもの等が使用されている。また翼部や端板の接合法は、一つは加工時に長尺の各ブレード(以下、羽根と云う)を補強板(以下、仕切板と云う)の外周方向から各仕切り板に連結するように挿入して構成されている。また羽根と仕切り版の勘合部には溶剤が塗布されて接着されている。尚、長尺の翼部は押出し成形によって成形加工されている(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
また、各連間でお互いに羽根及び羽根の貫通孔を有する左右の仕切り板を合せて接合されている(例えば特許文献3参照)。
【0004】
特に現在主に使用されている溶着方式であり、端板や翼部を超音波溶着して一体化している。その後温風循環炉等で90℃程度の温風循環によりアニール処理(樹脂の歪み取り、焼鈍処理)を施して成形歪及び超音波溶着による歪を除去し、使用時における送風ファンとしての耐熱クリープ性を向上させている(例えば特許文献4参照)。翼部は、通常7連〜13連程度の連結されたものが使用され、送風ファンの全長は600〜900mm程度のものまで使用されている。
【0005】
【特許文献1】
実開昭54−20004号公報
【特許文献2】
特開平10−196584号公報
【特許文献3】
特開2002−266788号公報
【特許文献4】
特開平7−247998号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の送風ファンの構成では、合成樹脂材としてAS系樹脂にGFを混入して強度を図ったものを、ファンの全体に使用している。また、その接合部は溶剤による接着か超音波溶着にて接合されているが、溶剤による工法は接着後の養生時間がかかり、また有機溶剤による環境問題などがあり実用化が困難でる。また、ファンの端板や翼部等の接合部を超音波溶着にて加工する溶着方式は、加工後の溶着歪を取るために、ファン全体を90℃で8時間程度恒温層に入れて処理するため長時間のアニール処理が必要となる。
【0007】
また接合法の一つは、加工時に長尺の各羽根を仕切板の外周方向から各仕切り板に連結するように挿入して構成する方法がある。この方法は、金属製ファンにおいては接合部を外周方向からかしめて圧着できるのでよく利用されている。但し、樹脂製の構成においては、長尺の羽根は押出し成形で加工しており現状の射出成形と比較すると肉厚が不安定になり易く、成形時間がかかりやすい。また、射出成形では100mm以上の薄肉の羽根を成形することは、ショートショットが起こりやすく、また成形品の型離れも良くない。羽根厚みが中央部で1.6mm程度以下の羽根を成形するには非常に困難である。
【0008】
また接合法の一つに、各連間でお互いに羽根及び羽根の貫通孔を有する左右の仕切り板を合せて接合し、2連間が1セットとした形態としているものがある。この方式においては加工時に、翼部をまず2連単位左右合せて固定するため羽根が長尺となり、また各連毎に等間隔の固定が順次できにくく加工性が低下する。
【0009】
本発明は、このような従来の課題を解決するもので、ファンモーターの軸部と連結するボス組立部と、軸受けと連結する側板と、仕切り板を有する中央部の翼部が合成樹脂材で形成され、前記ファンのボス組立部と翼部、或いは翼部と翼部、或いは翼部と側板との接合部を、機械的に勘合や挿入で圧着固定させて一体化し、成形性、高剛性、耐熱クリープ性に優れた樹脂を用いて、薄肉の羽根で特に長時間のアニール処理が要らない生産性の優れた空気調和機用の送風ファンを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するに本発明の送風ファンは、ファンモーターの軸部と連結するボス組立部と、軸受けと連結する側板と、仕切り板を有する中央部の翼部が合成樹脂材で形成され、前記ファンのボス組立部と翼部、或いは翼部と翼部、或いは翼部と側板との接合部を、機械的に勘合や挿入で圧着固定させて一体化するために、一つはねじ式に回転させて構成している。また一つはファンの接合部において、翼部の仕切り板や側板の一部に翼部の羽根の先端部を挿入して固定し一体化している。尚、合成樹脂材は高剛性、耐熱クリープ性に優れたAS系樹脂または、高剛性、耐熱クリープ性、特に流動性に優れた耐熱PS系樹脂にGFを20〜40重量%混入させた樹脂で形成している。
【0011】
上記構成によって、従来の接合部を溶剤などで接着する方法や超音波溶着で接合してアニール処理する加工法よりも、トータル的な加工時間の短縮ができ生産性、耐熱クリープ性の優れた送風ファンを得ることができる。また、ファンの翼部全体や2連以上にまたがる100mm以上の長尺の羽根にしなくても接合加工できる。これによって連間の接合部で羽根の位置をずらすことができる。
【0012】
また、合成樹脂材をAS系樹脂に代えて耐熱PS系樹脂にすることによって、流動性がよくなり、ボス組立部と翼部と側板の成形時に、成型機の成形条件の調整が容易となり、また成形時にショートショットの発生も少なくなり特に翼部を4個取りなどの多数個取りした時の歩留まりが良くなり、生産加工性を向上させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1記載の発明は、複数の翼部を有するファンにおいて、ファンモーターの軸部と連結するボス組立部と、軸受けと連結する側板と、仕切り板を有する中央部の翼部が合成樹脂材で形成され、前記ファンのボス組立部と翼部、或いは翼部と翼部、或いは翼部と側板との各々の接合部を、機械的に勘合や挿入で圧着固定させて一体化したものである。この構成によれば、機械的に勘合や挿入で圧着固定させて一体化しているために、溶剤や超音波溶着による加工やアニール処理を必要とせずに接合することができる。
【0014】
本発明の請求項2記載の発明は、前記ファンの接合部において、翼部或いは側板に継ぎ手となるおねじ部とめねじ部或いはめねじ部或いはおねじ部を設け、ファンの回転方向に対して逆方向に、ねじ式に回転させて挿入固定し一体化したものである。この構成によれば、ボス組立部と翼部、或いは翼部と翼部、或いは翼部と側板との各々の連間接合部をねじ式に回転して固定させ短時間で接合することができる。
【0015】
本発明の請求項3記載の発明は、ねじ部を有する前記ファンの接合部において、翼部或いは側板に凸状の突起(ストッパー)と凸状の突起が入る凹部を、各連間の羽根が回転方向で直線状に重ならないように接合部の一部に設け、ねじ式に回転させて挿入固定し一体化したものである。この構成によれば、ねじ式の回転による接合に、さらにストッパー的な凹凸での勘合で確実に強固に接合できる。さらに連間の回転方向の羽根位置もずらせる。
【0016】
本発明の請求項4記載の発明は、前記ファンの側板において回転させるときに固定する治具の固定穴を設けたものである。この構成によれば、接合加工時に側板の固定が確実にできる。
【0017】
本発明の請求項5記載の発明は、前記ファンの接合部の外周部において、翼部或いはボス組立部に回転させるときに固定する治具の固定溝を設けたものである。この構成によれば、接合時に翼部或いはボス組立部を確実に固定できる。
【0018】
本発明の請求項6記載の発明は、前記ファンの接合部において、翼部の仕切り板と側板に翼部の羽根の先端部を通す羽根受入側の接合部と、羽根受入側の接合部に羽根を交互に挿入して固定できる羽根の挿入孔を設け、羽根の挿入孔を有する羽根受入側の接合部と、ボス組立部或いは翼部に設けた羽根挿入側の接合部とを接合し、一体化したものである。この構成によれば、ボス組立部と翼部、翼部と翼部、翼部と側板の各接合部毎に順次の羽根挿入側と羽根受入側を接合でき、また各連間で羽根の回転方向位置をずらして一体化さすことができる。また複数の羽根と羽根貫通孔を有する仕切板を、2連単位で左右合せて双方から固定する方法よりも等間隔で固定しやすい。
【0019】
本発明の請求項7記載の発明は、前記ファンの接合部の翼部において、翼部の羽根先端部を挿入したときに固定される段差を付けたものである。この構成によれば、段差がストッパーとなり均等な位置で羽根を止めることができる。
【0020】
本発明の請求項8記載の発明は、前記ファンの接合部の翼部において、翼部の羽根先端部を挿入したときに固定される凸状の突起(ストッパー)を付けたものである。この構成によれば、凸状の突起がストッパーとなり確実に固定される。
【0021】
本発明の請求項9記載の発明は、前記ファンの合成樹脂材がAS系樹脂に、GFを20〜40重量%混入して構成されたものである。この構成によれば、高剛性で耐熱クリープ性の優れたファンを形成さすことができる。合成樹脂の特性としては、密度 (JIS−K−7112) が1.1〜1.4の範囲で曲げ弾性率(JIS−K−7203)が6500MPa以上で荷重たわみ温度(JIS−K−7206・荷重1.83MPa)が100℃以上にすると良い。
【0022】
本発明の請求項10記載の発明は、前記ファンの合成樹脂材が耐熱ポリスチレン系樹脂にGFを20〜40重量%混入して構成されたものである。この構成によれば、流動性が高く成形加工に優れ、高剛性で耐熱クリープ性の優れたファンを形成さすことができる。合成樹脂の特性としては、流動性は、メルトフローレート(220℃・荷重10kgf)は7以上、密度が1.1〜1.4の範囲で曲げ弾性率が6500MPa以上で荷重たわみ温度が100℃以上にすると良い。また、ねじ式に回転させて各接合部をロックさせた時に容易に外れないようにするには、ファンの側板側を固定しボス組立部にトルク計をセットしてねじりトルクを測定し50kg以上確保すると良い。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の一実施例について図面及び表を参照して説明する。図1は本発明のねじ式の一実施例におけるクロフスローファンの外観斜視図、図2はねじ式による同クロスフローファンの接合状態の横断面図、図3はねじ式による同クロスフローファンの側板・翼部・ボス組立部の横断面図、図4はねじ式による同クロスフローファンの翼部の縦断面図、図5はねじ式による同クロスフローファンの側板の外観斜視図。図6はねじ式による同クロスフローファンの翼部或いはボス組立部の外観斜視図、図7は本発明の羽根挿入式の一実施例におけるクロフスローファンの外観斜視図、図8は羽根挿入式による同クロスフローファンの接合状態の横断面図、図9は羽根挿入式による同クロスフローファンの側板・翼部・ボス組立部の横断面図、図10は羽根挿入式による同クロスフローファンの接合部C1−C1の縦断面図、図11は羽根挿入式による同クロスフローファンの翼部と翼部或いは翼部とボス組立部における接合部の外観斜視図と羽根の断面図、図12は羽根挿入式による同クロスフローファンの翼部10b(羽根受入側の接合部)の縦断面図と接合部の断面部、図13は従来のクロフスローファンの外観斜視図である。
【0024】
また表1は、実施例1〜4(ねじ式)と従来例のクロフスローファンの加工時間と実用性、表2は、実施例5〜8(羽根挿入式)と従来例のクロフスローファンの加工時間と実用性、表3は、実施例1〜8と従来例に使用した合成樹脂の一般物性である。
【0025】
【表1】
Figure 2004285937
【0026】
【表2】
Figure 2004285937
【0027】
【表3】
Figure 2004285937
【0028】
まず実施例1〜4のねじ式の実施例について説明する。実施例1〜4は、構成材料は異なるが構造は同じである。図1〜図6に示すように複数の翼部を有するクロスフローファン1(以下、ファンと略す)は、ファンモータの軸部と連結するボス組立部2と、軸受けと連結する側板4と、仕切り板5を有する中央部の翼部3で構成されてファンを回転させて送風させるものである。ファンの全長は約641mm、外形は約95mmで翼部が9連仕様のものを用いた。ボス組立部2には、ファンモータの軸と直接連結するアルミとゴム製のボス部6を、また側板4には軸受けに通すステンレス製の軸7が中央部にインサート成形されている。
【0029】
ねじ式による翼部とボス組立部との接合部Aとねじ式による翼部と側板の接合部Bの接合状態は図2、図3に示すように構成されている。尚翼部と翼部の接合状態は、翼部とボス組立部との接合部Aと同じ形態となる。翼部のおねじの接合部302はボス組立部のめねじの接合部201と接合し、側板4は翼部のめねじの接合部301と接合し、翼部と翼部については翼部のめねじの接合部301と次に連結する翼部のおねじの接合部302が接合される。
【0030】
各接合部には、ファンの回転方向に対して逆方向に、ねじ式に回転して固定できるようにボス組立部のめねじ202、翼部のめねじ304、翼部のおねじ303、側板のおねじ402が加工されている。また、回転して確実に固定さすために翼部のストッパーの凸部305をボス組立部のストッパーの凹部203と接合させ、側板のストッパーの凸部403は翼部のストッパーの凹部306と接合させる。尚、凸部403と凹部306や凸部305と凹部203の接合に関しては、各連間の羽根が回転方向で重ならない位置にしている。連間の羽根が回転方向で重ならないほうが笛音などが発生し難く、送風時の低騒音化が図れる。
【0031】
また回転して固定させるときの加工性を向上さすために、ファンを治具で保持できるボス組立部の固定溝204及び翼部の固定溝307を接合部の外周に設け、また側板には治具で固定するために側板の固定穴401を設けている。
【0032】
尚、接合部以外の翼部には羽根の先端部が出ないように加工している。また、側板や翼部やボス組み立て部の合成樹脂は射出成形して形成するが、翼部及びボス組立部品においては、ボス組立部のめねじの接合部201と、翼部のめねじの接合部301の内周部の中を翼部の金型(スライドコア側)がスライドして射出成形することにより形成することが可能である。また、翼部のおねじの接合部302や側板4については金型が円周方向に開くようにスライドして射出成形することによって形成できる。
【0033】
表1に示すファンの加工時間と実用性は、下記のようにした。組立て必要時間は、ファンを成形後にボス組立部と翼部と側板を、実施例のねじ式に固定した場合と従来例の超音波加工して接合した場合の時間を測定した。アニール時間は従来例、90℃のアニール槽内での処理時間を用いた。またトータル時間は、組立て必要時間にアニール処理時間を合計したものである。ファンの実用性に関しては、耐熱静止たわみと回転破壊強度を用いて評価した。
【0034】
耐熱静止たわみとは、試験前後のファンのバランス変化量を測定しファンの耐熱クリープ性を評価するものである。この数値は、出来るだけ小さい方か優れている。特に製品が長期保管や高温雰囲気に暴露された場合には、この変化量が少ないと変化量も少なく優れている。耐熱静止たわみの試験法は次に示す通りである。試験は、70℃の恒温層にファン1の両端2点を支え、水平に168h放置した前後のアンバランス変化量を、ファン専用のバランスマシーン測定機で計測したものである。熱変形が大きくなると数値が大きくなりバランス不良が発生する。バランス変化量が4g・cm以上を超えるようなものは、空気調和機に長期に使用していると振動が大きく、異常音等による不具合を生じることがある。単位はg・cmで表示する。
【0035】
また回転破壊強度とは、ファン1のボス部を回転破壊試験機のモータ軸に固定し、1分間に100rpm毎徐々に回転数を上げて破壊した時の回転数をもとめるものである。ファンの回転数通常MAXで1700rpm程度であるが3000rpmまで確認し、それ以上は実用的に合格とした。
【0036】
実施例1〜実施例4と従来例に使用した合成樹脂の特性は、表3に示すように実施例1はAS系樹脂にGF20重量%、実施例2と従来例はAS系樹脂にGF30重量%、実施例3はAS系樹脂にGF40重量%、実施例4は耐熱PS系樹脂にGF30重量%のものを使用している。
【0037】
耐熱PS系樹脂とは、スチレンと耐熱性を付与したモノマー、すなわちアクリル系のモノマーやマレイン系のモノマーやNフェニルマレイミド系のモノマーやメタクリル系モノマーとの共重合体やシンジオタクチック・ポリスチレン(SPS)樹脂であって、耐熱温度を上げることが可能になり、実施例4では荷重たわみ温度が約106℃の樹脂を使用している。従来品のAS系樹脂にGF30重量%と比較しても1℃高く、一般的なポリスチレン(PSと略す)樹脂と比較して(PS樹脂+GF30重量%)では荷重たわみ温度は約95℃で11℃程度高くすることができる。
【0038】
尚、本実施例4と実施例8はアクリル系のモノマーとポリスチレン樹脂とを重合させた耐熱PS系樹脂を用い、この樹脂にGFを均等分散させて製造し強度の高いものを使用している。尚、GFは樹脂材料製造時に成形機のサイドフィーダーより一定量を均一分散して混入させている。実施例1〜実施例4の組立て加工時間は、約2分となり従来例は約3分で1分程度短縮できる。尚、実施例1〜4に関してはアニール処理がないためトータル時間では、従来例の8時間3分と比較して2分程度の加工時間となり大幅に短縮できる。
【0039】
また、耐熱静止たわみは、実施例1〜実施例4は全て2g・cm以内であり良好な状態である。また、ファンの側板側を固定しボス組立部にトルク計をセットしてねじりトルクを測定すると50kg・cm以上確保している。尚、本実施例1〜実施例4では、ファンの回転方向に対して逆方向に、ねじ式に回転して固定しているため回転時に接合部から外れることはない。またファンの回転方向と逆方向でねじ式に固定した場合の回転破壊強度は、逆方向の方が強くなる。
【0040】
次に実施例5〜8の羽根挿入式の実施例について説明する。実施例5〜8は、構成材料は異なるが構造は同じである。図7〜図12に示すように複数の翼部を有するクロスフローファン1(以下、ファンと略す)は、ファンモータの軸部と連結するボス組立部9と、軸受けと連結する側板11と、仕切り板5を有する中央部の翼部10で構成されてファンを回転させて送風させるものである。ファンの全長は約641mm、外形は約95mmで翼部が9連仕様のものを用いた。
【0041】
ボス組立部9には、ファンモータの軸と直接連結するアルミとゴム製のボス部6を、また側板11には軸受けと通すステンレス製の軸7が中央部にインサート成形されている。羽根挿入式による翼部とボス組立部との接合部Cと羽根挿入式による翼部と側板の接合部Dの接合状態は図8、図9に示すように構成されている。尚翼部と翼部の接合状態は、翼部とボス組立部との接合部Cと同じ形態となる。
【0042】
翼部の羽根受入側の接合部10bはボス組立部の羽根挿入側の接合部9aと接合し、側板11は翼部の羽根挿入側の接合部10aと接合し、翼部と翼部については翼部の羽根挿入側の接合部10aと次に連結する翼部の羽根受入側の接合部10bが接合される。各接合部には、羽根を挿入して固定できるように図12に示すように羽根の挿入孔8cを翼部10b(羽根受入側の接合部)や側板11に加工されている。尚、挿入孔8cには羽根の先端部8bが通しやすいようにテーパー部8c−1を設けている。また、羽根先端部を挿入して均等な位置で固定さすために羽根の段差801aと801bを−設けて圧着固定し、さらに羽根のストッパーの凸部802が抜け止めになり確実に固定される。
【0043】
尚、図10及び図11に示すように羽根は交互に挿入され、羽根とボス組立部との接合部Cや翼部と翼部の接合部では、羽根の根元部8aと挿入孔8cを通した羽根の先端部8bで構成されている。尚、羽根のストッパーの凸部802は挿入孔8cに挿入する時に、多少凸部が削られている。また、図8の接合部Cや接合部Dに示すように、接合部以外の翼部に、羽根の先端部が出ないように加工している。また、側板や翼部やボス組み立て部の合成樹脂は射出成形して形成するが、翼部及びボス組立部品においては、ボス組立部の羽根挿入側の接合部9aと、翼部の羽根挿入側接合部10aの内周部の中を翼部の金型(スライドコア側)がスライドして射出成形することにより形成することが可能である。
【0044】
実施例5〜実施例8と従来例に使用した合成樹脂の特性は、表3に示すように実施例1はAS系樹脂にGF20重量%、実施例2と従来例はAS系樹脂にGF30重量%、実施例3はAS系樹脂にGF40重量%、実施例4は耐熱PS系樹脂にGF30重量%のものを使用している。実施例5〜実施例8の組立て加工時間は、実施例1〜実施例4のねじ式よりさらに短縮でき約1分30秒となり従来例は約3分で1/2程度短縮できる。尚、実施例5〜8に関してはアニール処理がないためトータル時間では、従来例の8時間3分と比較して1分30秒程度の加工時間となり大幅に短縮できる。また、耐熱静止たわみは、実施例5〜実施例8は全て2g・cm以内であり良好な状態である。
【0045】
尚、実施例4と実施例8に使用した耐熱PS系樹脂の流動性は、メルトフローレート(220℃・荷重10kgf)は10であり、翼部を成形加工する時に4ケ取りでショートショットもなく成形できる。特に羽根長さが70mmを越すとAS系樹脂よりも成形条件の調整がしやすく歩留まりが良い。
【0046】
また、実施例1〜実施例8に使用した合成樹脂の曲げ弾性率は、実施例1と実施例5が6374MPa、実施例2と実施例6が8267MPa、実施例3と実施例7が10297MPa、実施例4と実施例8が7845MPaで6500MPa以上ある。また荷重たわみ温度も実施例1〜実施例8は、全て100℃以上あり剛性と耐熱性が高い樹脂である。尚、GFの混入率が40%以上であると成形時の流動性が悪くなりショートショットが発生しやすくなる。またGFの混入率が20%以下では、曲げ弾性率6300MPa以下で剛性が低くなり、ファンの耐熱静止たわみでバランス変化量が多くなる。従ってGFの混入率は20〜40%が好ましい。
【0047】
また、従来例は図13に示すように複数の翼部を有するファン1は、ファンモータの軸部と連結するボス組立部12と、軸受けと連結する側板14と、仕切り板5を有する中央部の翼部13で構成されてファンを回転させて送風させるものである。側板と翼部或いは翼部と翼部或いは翼部とボス組立部の各連間は超音波溶着により接合されている。
【0048】
尚、本発明の送風ファンは空気調和機用以外にも温風暖房等を行う温風機器または暖房機器用も利用でき、また本発明の技術は樹脂製の羽根車が使用される他の送風機分野で広く利用できる。
【0049】
【発明の効果】
上記の説明から明らかなように、請求項1記載の発明によれば、機械的に勘合や挿入で圧着固定させて一体化しているために、溶剤や超音波溶着による加工やアニール処理を必要とせずに接合することができる。
【0050】
請求項2記載の発明によれば、ボス組立部と翼部、或いは翼部と翼部、或いは翼部と側板との各々の連間接合部をねじ式に回転して固定さすことが可能となり短時間で接合することができる。また、ファンの回転方向に対して逆方向に、ねじり挿入し固定するため実使用時に接合部から外れない。
【0051】
請求項3記載の発明によれば、ねじ式の回転による接合に、さらにストッパー的な凹凸での勘合を併用でき強固に接合できる。さらに連間の回転方向の羽根位置もずらせる。
【0052】
請求項4記載の発明によれば、固定穴に治具を通すことができ接合加工時に側板の固定が確実にできる。
【0053】
請求項5記載の発明によれば、固定溝に治具をセットすることができ接合時に翼部或いはボス組立部を確実に固定できる。
【0054】
請求項6記載の発明によれば、ボス組立部と翼部、翼部と翼部、翼部と側板の各接合部毎に順次の羽根挿入側と羽根受入側を接合でき、また各連間で羽根の回転方向位置をずらして一体化さすことができる。
【0055】
請求項7記載の発明によれば、羽根の段差がストッパーとなり均等な位置で羽根を止めることができる。
【0056】
請求項8記載の発明によれば、凸状の突起がストッパーとなり確実に固定される。
【0057】
請求項9記載の発明によれば、高剛性で耐熱クリープ性の優れたファンを形成さすことができる。
【0058】
請求項10記載の発明によれば、流動性が高く成形加工に優れ、高剛性で耐熱クリープ性の優れファンを形成さすことができる。さらに耐熱PS系樹脂は、従来品よりも成形時の成形時に2ケから4ケ取りなど多数個取りが容易になり、より生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のねじ式の一実施例におけるクロフスローファンの外観斜視図
【図2】ねじ式による同クロスフローファンの接合状態の横断面図
【図3】ねじ式による同クロスフローファンの側板・翼部・ボス組立部の横断面図
【図4】ねじ式による同クロスフローファンの翼部の縦断面図
【図5】ねじ式による同クロスフローファンの側板の外観斜視図
【図6】ねじ式による同クロスフローファンの翼部或いはボス組立部の外観斜視図
【図7】本発明の羽根挿入式の一実施例におけるクロフスローファンの外観斜視図
【図8】羽根挿入式による同クロスフローファンの接合状態の横断面図
【図9】羽根挿入式による同クロスフローファンの側板・翼部・ボス組立部の横断面図
【図10】図8のC1−C1縦断面図
【図11】(a)羽根挿入式による同クロスフローファンの翼部と翼部或いは翼部とボス組立部における接合部の外観斜視図
(b)同接合部の拡大断面図
(c)羽根の断面図とその要部拡大斜視図
【図12】(a)羽根挿入式による同クロスフローファンの翼部(羽根受入側の接合部)の縦断面図
(b)同接合部の拡大断面図
【図13】従来のクロフスローファンの外観斜視図
【符号の説明】
1 クロスフローファン
2 ねじ式のボス組立部
201 ボス組立部のめねじの接合部
202 ボス組立部のめねじ
203 ボス組立部のストッパーの凹部
204 ボス組立部の固定溝
3 ねじ式の翼部
301 翼部のめねじの接合部
302 翼部のおねじの接合部
303 翼部のおねじ
304 翼部のめねじ
305 翼部のストッパーの凸部
306 翼部のストッパーの凹部
307 翼部の固定溝
4 ねじ式の側板
401 側板の固定穴
402 側板のおねじ
403 側板のストッパーの凸部
5 仕切板
6 ボス部
7 軸
8 羽根
8a 羽根の根元部(羽根挿入式)
8b 羽根の先端部(羽根挿入式)
8c 羽根の挿入孔(羽根挿入式)
8c−1 テーパー部
801a、801b 羽根の段差
802 羽根のストッパーの凸部
9 羽根挿入式のボス組立部
9a ボス組立部の羽根挿入側の接合部
10 羽根挿入式の翼部
10a 翼部の羽根挿入側の接合部
10b 翼部の羽根受入側の接合部
11 羽根挿入式の側板
12 従来品のボス組立部
13 従来品の翼部
14 従来品の側板
A ねじ式による翼部とボス組立部との接合部
B ねじ式による翼部と側板との接合部
C 羽根挿入式による羽根とボス組立部との接合部
D 羽根挿入式による翼部と側板との接合部

Claims (10)

  1. 複数の翼部を有するファンにおいて、ファンモーターの軸部と連結するボス組立部と、軸受けと連結する側板と、仕切り板を有する中央部の翼部が合成樹脂材で形成され、前記ファンのボス組立部と翼部、或いは翼部と翼部、或いは翼部と側板との各々の接合部を、機械的に固定させて一体化したことを特徴とする送風ファン。
  2. 前記ファンの接合部において、翼部或いは側板に継ぎ手となるおねじ部とめねじ部或いはめねじ部或いはおねじ部を設け、ファンの回転方向に対して逆方向に、ねじ式に回転させて挿入固定し一体化したことを特徴とする請求項1記載の送風ファン。
  3. 前記ファンの接合部において、翼部或いは側板に凸状の突起(ストッパー)と凸状の突起が入る凹部を、各連間の羽根が回転方向で重ならないように接合部の一部に設けたことを特徴とする請求項2記載の送風ファン。
  4. 前記ファンの側板において、回転させるときに固定する治具の固定穴を設けたことを特徴とする請求項2記載の送風ファン。
  5. 前記ファンの接合部の外周部において、翼部或いはボス組立部に回転させるときに固定する治具の固定溝を設けたことを特徴とする請求項2記載の送風ファン。
  6. 前記ファンの接合部において、翼部の仕切り板と側板に翼部の羽根の先端部を通す羽根受入側の接合部と、羽根受入側の接合部に羽根を交互に挿入して固定できる羽根の挿入孔を設け、羽根の挿入孔を有する羽根受入側の接合部と、ボス組立部或いは翼部に設けた羽根挿入側の接合部とを接合し、一体化したことを特徴とする請求項1記載の送風ファン。
  7. 前記ファンの接合部の翼部において、翼部の羽根先端部を挿入したときに固定される段差を付けたことを特徴とする請求項6記載の送風ファン。
  8. 前記ファンの接合部の翼部において、翼部の羽根先端部を挿入したときに固定される凸状の突起(ストッパー)を付けたことを特徴とする請求項6記載の送風ファン。
  9. 前記ファンの合成樹脂材がアクリロニトリル・スチレン系樹脂に、ガラスファイバーを20〜40重量%混入して構成されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の送風ファン。
  10. 前記ファンの合成樹脂材がスチレンと耐熱性を付与したモノマーとから生成される共重合樹脂(以下、耐熱PS系樹脂という)にガラスファイバーを20〜40重量%混入して構成されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の送風ファン。
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