JP2667544B2 - 内燃機関部品 - Google Patents

内燃機関部品

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JP2667544B2 JP6442990A JP6442990A JP2667544B2 JP 2667544 B2 JP2667544 B2 JP 2667544B2 JP 6442990 A JP6442990 A JP 6442990A JP 6442990 A JP6442990 A JP 6442990A JP 2667544 B2 JP2667544 B2 JP 2667544B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、繊維強化樹脂製内燃機関部品、特に遠心
圧縮機に用いられるインペラや動力伝達用歯車等に関す
る。
(従来の技術) 従来の繊維強化樹脂製インペラとしては、例えば特公
昭52−48684号、特開昭57−135132号、特開昭57−11910
5号、特開昭59−18296号、特開昭61−283797号公報に記
載されているものがあるが、これらのインぺラを構成す
る樹脂材料は、炭素繊維を樹脂の補強材として用いるこ
とを特徴としている。特に、特開昭57−119105号公報に
は、耐熱性のある熱可塑性樹脂又は、熱硬化性樹脂をマ
トリクス樹脂として用いた炭素繊維強化樹脂が、インペ
ラに用いられることが記載されている。また、特開昭57
−135132号公報、実開昭60−6839号公報では、シャフト
との締結部に金属材よりなるボスを介することが記載さ
れている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、遠心圧縮機インペラは、シャフトに対
しナットを介して締結されており、その時の締結トルク
は1kgm〜1.4kgm(座面圧力=約10〜14kg/mm2)という高
いものである。さらに、その使用条件は−50℃から200
℃(常用使用時最高温度として150℃)、最大回転数が1
3×104rpmになり、しかも最大回転時に発生する応力は
現行品(アルミニウム合金製、外径約60mm)で約20kg/m
m2、翼の付け根部で約10kg/mm2にもなる。これを比重の
小さい繊維強化樹脂を用いることにより、回転時の最大
応力を約1/2程度に低下させることが出来る。しかし、
締結部ではナットによる締結応力によりクリープ変形を
生じ、ナットが緩むという問題があり、締結部に金属を
インサートして対策をするという考えの一端が、特開昭
57−135132号、実開昭60−6839号に見られる。
現行の使用条件から、耐熱性、強度(引張り、曲げ、
圧縮)、弾性率(引張り、曲げ)、耐久疲労性(引張
り、曲げ)、クリープ特性(引張り、圧縮)等を加味し
て材料を選定すると、特開昭57−119105号公報に開示さ
れている熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が、そのままイ
ンペラに使用出来るわけではなく、また、特開昭57−13
5132号、実開昭60−6839号公報に開示されている締結ク
リープ対策が、そのままインペラに適用できるわけでは
ない。
これらの条件を満足する繊維強化樹脂組成物として
は、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミ
ド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポ
リエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン
(PEKK)、ポリケトンサルファイド(PKS)、ポリアリ
ルエーテルケトン(PAEK)、芳香族ポリアミド(PA)、
ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)等の耐熱
性樹脂と炭素繊維、ガラス繊維、ウィスカ等との複合化
が考えられる。
しかし、上述した樹脂は溶融温度が高く、成形時の樹
脂溶融温度を350℃から430℃とかなり高温にして成形す
る必要がある。特に炭素繊維については、現在市販され
ている樹脂強化用炭素繊維は、その収束剤として熱可塑
性樹脂用としてのポリアミド系樹脂(分解温度280
℃)、熱硬化性樹脂用としてのエポキシ系樹脂(分解温
度300℃)が主として用いられており、前述の成形時の
樹脂溶融温度(350℃から430℃)では分解しやすく、炭
素繊維とマトリクス樹脂との濡れ不足による界面強度の
低下が起こり、また強度のバラツキも生じやすく、繊維
強化樹脂製遠心圧縮機のインペラ用材料として用いる場
合には、炭素繊維での補強効果が有効に生かされず強度
が低いという問題点があった。
また、インペラのシャフト孔部に金属材よりなるボス
を圧入、接着、あるいはインサート一体成形により施し
たインペラは、その締結クリープ対策は、静的な長時間
クリープ試験(締結部温度:120℃)では効果があるが、
実用使用時最高温度域(約150℃)での動的な長時間耐
久では効果が無い。すなわち、インペラ出口の圧縮空気
温度が150℃で、最大回転数が13×104rpmで連続耐久試
験を行なうと、金属材よりなるボスと樹脂との間の界面
で剥離を生じ、この界面剥離が破壊の起点となり短時間
で破損するという問題もあった。さらに、インペラのシ
ャフト部に金属材よりなるボスなどを用いず、繊維強化
樹脂のみで作製したインペラでは、その締結部でナット
による締結応力で座面がクリープ変形を起こし、ナット
に緩みが生じ、高速回転時に回転バランスがくるい、振
動・異音が発生する。また、緩みによりインペラが空回
りを起こし、空気を圧縮してエンジン燃焼室内へ送りこ
むというインペラとしての本来の機能を発揮できないと
いう問題もあった。
(課題を解決するための手段) この発明は、この様な従来の問題点に着目してなされ
たもので、繊維強化樹脂からなる一体型遠心圧縮機のイ
ンペラや、動力伝達用歯車等において、マトリクス樹脂
として芳香族ポリエーテルケトン系樹脂を用い、このマ
トリクス樹脂を芳香族ポリエーテルスルホン樹脂で表面
を被覆した後、300〜400℃で加熱された炭素繊維で補強
した樹脂組成物を用いることにより、さらに部品の締結
ボス部の繊維配向分布を、ボス部両端2ヶ所の締結部を
結ぶ直線に対し平行に並ぶ分布が多くなる様に配向させ
る事により、上記問題点を解決したものである。
即ち、この発明は芳香族ポリエーテルケトン系樹脂と
上記処理を施した炭素繊維とからなる樹脂組成物を用
い、部品の締結ボス部の繊維配向分布を、ボス部両端2
ヶ所の締結部を結ぶ直線に対し平行に並ぶ配向分布が多
くなる様に配向させたことを特徴とする繊維強化樹脂製
一体型遠心圧縮機用インペラや、動力伝達用歯車等であ
る。
この発明で用いる炭素繊維の収束剤としての芳香族ポ
リエーテルスルホン樹脂は、アリーレン結合、エーテル
結合及びスルホン結合を結合単位とする線状重合体であ
る。下記一般式で表わされるものが特に好ましい。
一般に英国・ICI社より「VICTREX ポリエーテルスル
フォン(PES)」の商標で、住友化学(株)より「スミ
プロイS」の商標で、また、三井東圧化学(株)から
「ポリエーテルスルフォン(PES)」として市販されて
いる。
マトリクス樹脂としては、ポリエーテルスルフォン
(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエ
ーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、
ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリケトンサルフ
ァイド(PKS)、ポリアリルエーテルケトン(PAEK)、
芳香族ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、
ポリイミド(PI)等が用いられるが、成形がしやすく、
耐熱強度が高く、しかも炭素繊維との接着強度が高く、
締結クリープ強度の高いものとして有効なのは芳香族ポ
リエーテルケトン系樹脂、例えばポリエーテルエーテル
ケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエ
ーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリルエーテルケト
ン(PAEK)等の単独樹脂か、これらの樹脂をベースとす
る他の樹脂とのポリマーアロイ樹脂である。
マトリクス樹脂として用いる芳香族ポリエーテルケト
ン系樹脂は、使用温度条件により各種選定でき、マトリ
クス樹脂のガラス転移温度(Tg)がその選定の重要な目
安となることは明らかなことである。芳香族ポリエーテ
ルケトン系樹脂としては、次式のような繰り返し単位か
らなるものが知られている。
また、炭素繊維はポリアクリロニトリルフィラメン
ト、レーヨンフィラメントあるいは石油ピッチを焼成し
て得られたものであり、特にアクリロニトリルフィラメ
ントからのものが好適である。これらの炭素繊維は、オ
ゾンまたは電解酸化等で表面処理し、芳香族ポリエーテ
ルスルホン樹脂で表面を被覆した後、300〜400℃で加熱
処理したものが好ましい。また、芳香族ポリエーテルス
ルホン樹脂としては、分子末端基に水酸基を有する低分
子量のものが好適である。強化繊維の配合比率は、マト
リクス樹脂と強化繊維との総重量に対し25〜45重量%が
好ましく、25重量%未満の場合この効果が少ない。一
方、46〜47重量%以上の配合比率ではマトリクス樹脂と
の密着が悪くなり、強度が低下するとともに成形性が著
しく悪くなる為に実際的ではない。
この発明で用いる炭素繊維強化芳香族ポリエーテルケ
トン系樹脂組成物は、通常取り扱いやすいペレット状の
成形材料として射出成形工程に供されるが、これらは公
知の一軸、または二軸の押出し機を用いて芳香族ポリエ
ーテルケトン系樹脂と炭素繊維とを配合し、シリンダー
温度350℃〜410℃、好ましくは370℃〜390℃で押出し機
のスクリューでの圧縮比を2〜3にして押出し賦形する
ことにより得られる。
射出成形は、通常の多段制御射出成形機を用い、シリ
ンダ温度380℃〜430℃、好ましくは390℃〜410℃で、金
型温度は160℃〜230℃、好ましくは190℃〜210℃で、金
型内への材料充填速度を制御しながら行なうことがで
き、複雑な形状の炭素繊維強化樹脂製遠心圧縮機のイン
ペラや、動力伝達用歯車等を容易に得ることが出来る。
以下、この発明を図面に基づいて説明する。
第1図は、この発明の一実施例の遠心圧縮機インペラ
を示す図である。
まず構成を説明すると、図示するように遠心圧縮機の
インペラ1は複雑な形状をしており、しかも精密な寸法
精度を必要とする。このインペラ1は、第2図に示すよ
うにカラー2とスリーブ3とナット4とでシャフト部5
に固定されている。また締結部付近の繊維配向分布につ
いても図中に示してある。
この発明のインペラは前記樹脂組成物を用い、押出し
成形や、射出成形等の良く知られている方法で製造する
ことが出来る。例えば、第3図に示す金型を用いてイン
ペラを成形することができる。即ち、インペラ形状を彫
り込んだ組み立て式金型6と組み合わせた下金型10にピ
ン7を取り付け、しかる後、上金型8を密着固定し、A
方向からゲート9を通して成形材料を射出、あるいは押
し出しインペラ形状部(キャビティ部)11に充填し成形
する。
(実施例) 次に、この発明を実施例および比較例により説明す
る。
実施例1 電解酸化により表面処理を施したポリアクリロニトリ
ル系炭素繊維(東邦レーヨン(株)製、HTAタイプ)を
用い、末端基に水酸基を有する低分子量のポリエーテル
スルホン樹脂(三井東圧化学(株)製5003P)と、溶剤
としてのN−メチルピロリドンとの混合比率を10〜30重
量%に調合し、さらに、キシレンを希釈剤として用い
た、ポリエーテルスルホン系収束剤で表面を被覆した
後、6mm長さに切断してチョップド炭素繊維とし、空気
雰囲気の熱処理炉中で370℃で10時間熱処理を行なっ
た。
次に、マトリクス樹脂としてのポリエーテルケトン樹
脂(三井東圧化学(株)製PEK)と、上記で処理した炭
素繊維とを、炭素繊維の含有率を30重量%になる様に配
合した。このものをL/D=23、圧縮比3の直径65mm一軸
ベント式押出し機を用い、シリンダ温度390℃、スクリ
ュー回転数45rpmで押し出し、ストランドを切断しペレ
ット状の成形材料を得た。このペレットを180℃で5時
間熱風乾燥した後、日精樹脂工業(株)製80TON(型締
圧)多段制御・射出成形機を用い、シリンダ温度390
℃、金型温度210℃、射出圧力2100kg/cm2の成形条件で
射出速度を遅くし、保圧切替タイミング並びに保圧を多
段制御して第3図に示す様な構造の金型に射出し、イン
ペラ形状物を得た。得られた形状物を、230℃で5時間
の加熱処理の後、バリ取り、シャフト孔加工、バランス
チェックなどの機械加工を行なった。しかる後、室温下
で、第2図に示す様な構造でシャフトに固定が可能な締
結クリープ試験治具に、締結トルク1kgmで取り付け、槽
内温度が120℃の熱風循環式乾燥機に静置し、経過時間
と締結トルクの低下度合いとの相関を求めた。その結果
を第4図並びに第1表に示す。また、上述の様にして得
たインペラ形状物を、バランス修正などの機械加工を施
し、ローター部と組み合わせて、ターボチャージャとし
て組み立てた。このターボチャージャを空気加熱装置付
きターボチャージャ連続耐久試験装置に設置し、ロータ
ー側に900℃の加熱空気を吹き付けてローター、インペ
ラの回転を13万rpmとし、インペラで圧縮されて出てく
る空気の温度を150℃になるように入口空気温度を制御
しながら連続耐久試験を行なった。得られた結果を表1
に示す。連続耐久200時間に耐え、締結トルクの低下が
無く、締結部の変形が無いものを合格と判定した。
比較例1 電解酸化により表面処理を施したポリアクリロニトリ
ル系炭素繊維(東邦レーヨン(株)製、HTAタイプ)を
芳香族ポリエーテルスルホン樹脂で表面を被覆した後、
6mm長さに切断してチョップド炭素繊維とし、空気雰囲
気の熱処理炉中で370℃で10時間熱処理を行なった。次
に、マトリクス樹脂としてポリエーテルエーテルケトン
樹脂(三井東圧化学(株)製PEEK)を用い、上記で処理
した炭素繊維と混練し、炭素繊維の含有率を30重量%に
なる様に配合調整した。
このものを実施例1に記載したと同様にしてペレット
化し、日精樹脂工業(株)製80TON(型締圧)多段制御
・射出成形機を用い、シリンダ温度390℃、金型温度200
℃、射出圧力2100kg/cm2の成形条件で第3図に示す様な
構造の金型に射出し、インペラ形状物を得た。加熱処
理、バリ取りなど後加工ののち、実施例1に記載したの
と全く同じ条件で、締結クリープ試験並びに、連続耐久
試験を行なった。締結クリープ試験結果を第4図並びに
第1表に示し、また連続耐久試験結果を第1表に示し
た。連続耐久試験で翼の先端が変形しているが、これは
ポリエーテルエーテルケトン樹脂のガラス転移温度(Tg
=145℃)以上での耐久によるものであり、出口空気温
度が140℃以下での耐久では変形が生じない。
実施例2 マトリクス樹脂としてポリエーテルケトン樹脂(三井
東圧化学(株)製PEK)とポリエーテルイミド樹脂(GE
社製PEI)の配合比率を80/20とした芳香族ポリエーテル
ケトン系のポリマーアロイ樹脂を用い、実施例1と同様
な表面処理を行なったチョップド炭素繊維と混練し、炭
素繊維含有率が30重量%になる様に配合してペレット状
の樹脂組成物を調整した。この樹脂組成物を用い、実施
例1に記載したと全く同様にして射出成形、後加工を
し、締結クリープ試験、並びに連続耐久実験を行なっ
た。その結果を第4図と第1表に示す。
比較例2 マトリクス樹脂として、ポリアミドイミド樹脂(Amoc
o社製トーロン)と、実施例1と同様な表面処理を行な
ったチョップド炭素繊維とを混練し、炭素繊維含有率が
30重量%になるように配合して、ペレッド状の樹脂組成
物を調整した。この樹脂組成物を、120℃で10時間熱風
乾燥した後、ARBURG社製50TON(型締圧)射出成形機を
用い、シリンダ温度350℃、金型温度210℃、射出圧力20
00kg/cm2の成形条件で第3図に示す様な構造の金型に射
出し、インペラ形状物を得た。このインペラ形状物を、
精密温度制御が可能な熱風循環式オーブンの中に静置
し、次の様な(149℃×24Hr)+(216℃×24Hr)+(24
3℃×24Hr)+(260℃×168Hr)という様な連続温度制
御のパターンでアフター・キュアを行なった。得られた
形状物のバリ取り、シャフト孔加工、バランスチェック
などの機械加工を行ない、締結クリープ試験、並びに連
続耐久試験を行なった。その結果を第4図と第1表に示
す。
比較例3 比較例2で用いた樹脂組成物を用い、成形条件も全く
同様にして、表面にローレット加工を施したアルミニウ
ム製金属ボスを、インサート一体成形してインペラ形状
物を得た。このインペラ形状物を、比較例2に記載と全
く同様にしてアフターキュア、並びに後加工を行ない、
締結クリープ試験、並びに連続耐久試験を行なった。そ
の結果を第4図と第1表に示す。
比較例4 マトリクス樹脂としてポリエーテルスルホン樹脂(三
井東圧化学(株)製4100G)と、実施例1と同様な表面
処理を行なったチョップド炭素繊維とを混練し、炭素繊
維の含有率が30重量%となるように配合して、ペレット
状の樹脂組成物を調整した。この樹脂組成物を180℃で
5時間熱風乾燥した後、日本製鋼所製75TON(型締圧)
の射出成形機を用い、シリンダ温度380℃、金型温度200
℃、射出圧力1600kg/cm2の成形条件で第3図に示す様な
構造の金型に射出し、インペラ形状物を得た。得られた
形状物を210℃で5時間のアフター・キュアを行ない、
バリ取り、シャフト孔加工、バランスチェックなどの機
械加工を行なった後、実施例1に記載したと全く同様に
して締結クリープ試験、並びに連続耐久試験を行なっ
た。その結果を第4図と第1表に示す。
比較例5 比較例4で用いた樹脂組成物を用い、成形条件も全く
同様にして、表面にローレット加工を施したアルミニウ
ム金属製ボスをインサート一体成形してインペラ形状物
を得た。得られたインペラ形状物を、比較例4と同様に
してアフター・キュア、バリ取り、シャフト孔加工、バ
ランスチェックなどの機械加工を行ない、実施例1に記
載したと同様な締結クリープ試験、並びに連続耐久試験
を行なった。その結果を第4図と第1表に示す。
第1表の結果より、実施例において成形したインペラ
は、比較例のものに比べて耐熱強度並びに締結クリープ
特性に優れていることがわかる。
(発明の効果) 以上説明してきた様に、この発明によれば、その構成
を繊維強化樹脂からなる一体型遠心圧縮機のインペラや
動力伝達用歯車等の内燃機関部品において、マトリクス
樹脂として芳香族ポリエーテルケトン系樹脂を用い、こ
のマトリクス樹脂を、芳香族ポリエーテルスルホン樹脂
で表面を被覆した後、300℃〜400℃で加熱された炭素繊
維で補強した樹脂組成物を用いるとしたため、炭素繊維
とマトリクス樹脂との濡れ性が向上し強度の向上がはか
られ、さらに、部品の締結ボス部の繊維配向分布を、ボ
ス部両端2ヶ所の締結部を結ぶ直線に対し、平行な配向
分布が多くなる様に配向させる事により、締結応力に対
するクリープ強度の向上がはかられ、締結トルクが低下
せず、ナットの緩みが生ぜず、ナットの緩みからくる回
転バランスの狂いの発生、振動・異音の発生を防止で
き、さらに高速連続耐久で破損しないという効果が得ら
れる。
また、各実施例はそれぞれ上記共通の効果に加えて、
更に以下の様な効果が有る。インペラの軽量化により、
エンジン負荷変動に対する追従性が改善される。また、
さらに、製品表面の精度がアルミニウム合金のものに比
べて極めて向上するため、高速回転時の吸入空気の翼表
面からの剥離現象を低減することができ、吸入圧縮効率
が向上するという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一例インペラの斜視図、 第2図はシャフト部へ取り付けたインペラの断面図、 第3図はインペラ成形用金型の断面図、 第4図は炭素繊維含有率を30重量%とした各種樹脂組成
物で製作したインペラの120℃雰囲気中における締結ト
ルクの経時変化を示す曲線図である。 1……インペラ、2……カラー 3……スリーブ、4……ナット 5……シャフト、6……組立て式金型 7……ピン、8……上金型 9……ゲート、10……下金型 11……インペラ形状部(キャビティ)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維強化樹脂からなる内燃機関部品におい
    て、マトリクス樹脂として芳香族ポリエーテルケトン系
    樹脂を用い、このマトリクス樹脂を、芳香族ポリエーテ
    ルスルホン樹脂で表面を被覆した後、300〜400℃で加熱
    された炭素繊維で補強した樹脂組成物を用い、該部品の
    締結ボス部の繊維配向分布を、ボス部両端2ヶ所の締結
    部を結ぶ直線に対し平行に並ぶ分布が多くなる様に配向
    させたことを特徴とする繊維強化樹脂製内燃機関部品。
  2. 【請求項2】前記内燃機関部品が、該部品の内部に金属
    材よりなるボスを必要としない一体型遠心圧縮機のイン
    ペラである請求項2記載の内燃機関部品。
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