JPH10213091A - 空気調和機用の送風ファン及びその製造方法 - Google Patents

空気調和機用の送風ファン及びその製造方法

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JPH10213091A
JPH10213091A JP4191097A JP4191097A JPH10213091A JP H10213091 A JPH10213091 A JP H10213091A JP 4191097 A JP4191097 A JP 4191097A JP 4191097 A JP4191097 A JP 4191097A JP H10213091 A JPH10213091 A JP H10213091A
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fan
annealing
resin
synthetic resin
far
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JP4191097A
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Masaharu Ota
雅春 太田
Norio Kubota
典男 窪田
Kiyoshi Kinoshita
清志 木下
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクリロニトリル・スチレン系樹脂(以下、
AS系樹脂と略す)を用いた合成樹脂製の送風ファンに
おいて、成形性の向上とともに、生産性及び空気調和機
等の使用時の耐熱クリープ性を向上させることを目的と
する。 【解決手段】 AS系樹脂にガラスファイバーを30〜
40重量%またはカーボンファイバーを10〜30重量
%混入させた合成樹脂材を用いてファン1を形成し、フ
ァン1に80〜100℃の温度範囲の遠赤外線によるア
ニール処理を施すようにする。これによって、従来のも
のより短時間でアニール処理が可能になるとともに、成
形性、高剛性、耐衝撃性及び耐熱クリープ性に優れた生
産性のよい送風ファンを提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生産性及び長期使
用の向上を図った合成樹脂材からなる空気調和機用の送
風ファン及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の樹脂製送風ファンは、例
えば、実開昭54−20004号公報等で知られている
ように、翼部と端板が一体構造とされていて、その構造
体の合成樹脂材にはアクリロニトリル・スチレン系樹脂
(以下、AS系樹脂と略す)にガラスファイバー(以
下、GFと略す)を約20〜40重量%程度混入して強
度の向上を図ったもの等が使用されている。また、一般
的に前記合成樹脂製の端板や翼部等は超音波溶着によっ
て一体接合され、その後温風循環炉等で80〜95℃程
度の温風循環によりアニール処理(歪み取りのための焼
鈍処理)を施して成形歪及び超音波溶着による歪を除去
し、使用時における送風ファンとしての耐熱クリープ性
をよくするようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の送風ファンの構成では、合成樹脂材としてAS
系樹脂にGFを約20〜40重量%程度混入して強度を
図ったものを使用しているが、端板や翼部等の超音波溶
着による加工後の溶着歪や成形歪を取るためのアニール
処理が、通常の温風循環によるアニール処理のため、長
時間を必要とし、生産性、加工性の向上の面から短時間
で的確にアニールできる処理方法が強く求められてい
た。
【0004】また、上記合成樹脂材は流動性が低く、成
形時にショートショットが発生しやすく歩留まりや生産
性の面で劣る点があり、流動性がよくて成形性に優れ、
耐衝撃性、耐熱クリープ性のよい材料が要求されてい
た。
【0005】本発明は、このような従来の課題を解決す
るもので、アニール処理及び合成樹脂材の構成を変える
ことによって、超音波溶着後、短時間で効果的に溶着部
の歪みや成形品の歪みが的確に取れるようにし、かつ成
形性、高剛性、耐衝撃性、耐熱クリープ性に優れた、生
産性のよい送風ファンを提供することを目的としてい
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するに本
発明の送風ファンは、AS系樹脂または耐熱ポリスチレ
ン系樹脂(以下、耐熱PS系樹脂と略す)にGFを30
〜40重量%混入させた合成樹脂材によってファンを形
成し、このファンを80〜100℃または80〜105
℃の温度範囲の遠赤外線によりアニール処理したもので
ある。
【0007】また、前記GFに代えてカーボンファイバ
ー(以下、CFと略す)を10〜30重量%混入させて
構成したものである。
【0008】上記構成により、成形加工後の合成樹脂製
ファンに遠赤外線によるアニール処理を施すことによ
り、従来の温風循環によるアニール処理よりも短時間で
アニールができ、空気調和機での使用において、使用中
の熱変形もなく、生産性、耐熱クリープ性の優れた送風
ファンを得ることができる。また、合成樹脂材をAS系
樹脂に代えて耐熱PS系樹脂とすることによって、流動
性がよくなり、このため成形性の向上とともに成型機の
調整が容易となり、また成形時にショートショットの発
生も少なくなって歩留まりがよくなり、生産性を向上さ
せることができる。
【0009】また、上記合成樹脂材のGFの代わりにC
Fを混入したものは、GFを混入したものよりも高剛性
で、流動性がよく、このためファンの軽量化とともに、
歩留まりを一層よくすることができ、より生産性の優れ
たものにすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】請求項1及び2記載の発明は、A
S系樹脂にGFを30〜40重量%混入させた合成樹脂
材によってファン部材、すなわち端板、翼部、仕切り板
を成形し、これらの端板、翼部、仕切り板等を超音波溶
着等の加工で一体形成した後、この一体形成品(ファ
ン)に80〜100℃の温度範囲の遠赤外線によるアニ
ール処理を施して構成したものである。この構成におい
て、特に温度を90〜100℃にしたものが望ましく、
従来のAS系樹脂とGF30重量%からなる合成樹脂製
のファンに温風循環によるアニール処理を施したものと
比較すると1/4程度の短時間でアニール処理ができ、
生産性の向上を図ることがてきる。また、剛性、耐熱ク
リープ性に優れているため、長期の空気調和機の使用に
おいて送風ファンの熱変形を防止することができる。
【0011】請求項3及び4記載の発明は、耐熱PS系
樹脂にGFを30〜40重量%混入させた合成樹脂材に
よってファン部材、すなわち、単板、翼部、仕切り板を
成形し、これらの単板、翼部、仕切り板を超音波溶着等
の加工で一体形成した後、この一体形成品(ファン)に
80〜105℃の温度範囲で遠赤外線によるアニール処
理を施して構成したものである。これによって、従来の
AS系樹脂にGF30重量%混入したものより、流動性
が2〜3倍程度向上するとともに、耐熱性、剛性、耐衝
撃性にも優れたものとなり、成形時の端板や仕切り板、
特に薄肉の翼部におけるショートショットの発生が少な
くなって、1回の成形で2ケ取りから4ケ取り等多数個
取りがより安定して可能となり、歩留まり及び生産性を
一層向上させることができる。
【0012】また、成形後に端板、仕切り板、翼部を超
音波溶着等により一体形成したファンを、その溶着部の
歪や成形品の歪を取るのに、ファンの温度を80〜10
5℃の範囲、望ましくは90〜105℃の範囲で、遠赤
外線によるアニール処理を施しているので、従来の温風
循環によるアニール処理と比較すると1/4〜1/6程
度のより短かい時間でアニール処理ができ、生産性の一
層の向上を図りつつ、空気調和機に用いた場合の長期の
使用において送風ファンの熱変形をより防止することが
可能となる。
【0013】請求項5及び6記載の発明は、前記GFに
代えてCFを10〜30重量%混入したものであり、こ
れによって成形性がより向上するとともに、前記GFの
混入量30〜40重量%よりもCFは混入量を少なくし
て高剛性を維持できるため、さらにファンの軽量化を図
ることができる。
【0014】請求項7記載の発明は、前記遠赤外線によ
るアニール処理を、面状ヒータの加熱によって行うよう
にし、かつ面状ヒータから照射する遠赤外線波長領域を
2〜7μmとしたものである。これによって、一様な加
熱が可能になり、同時にファンを構成する合成樹脂材の
AS系樹脂や耐熱PS系樹脂は2〜7μm波長の遠赤外
線を吸収しやすいため、短時間にしかも確実にアニール
効果を得ることができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。
【0016】図1、図2において、1は、ガラスファイ
バー(以下、GFと略す)またはカーボンファイバー
(以下、CFと略す)の強化材を所定重量%混入したア
クリロニトリルとスチレンを含む共重合樹脂、すなわち
アクリロニトリル・スチレン系樹脂(以下、AS系樹脂
と略す)またはスチレンと耐熱性を付与したモノマーと
から生成される共重合樹脂、すなわち耐熱ポリスチレン
系樹脂(以下、耐熱PS系樹脂と略す)からなる合成樹
脂製のクロスフローファンであり、ファン部材、すなわ
ち端板2、複数の仕切り板3及び端板2と仕切り板3の
間に設けられる複数の翼部4から構成され、端板2と翼
部4及び仕切り板3と翼部4等は超音波溶着によって接
合されている。なお、図3はクロスフローファン1の翼
部4の拡大断面図で、5は以下に述べる実施例の合成樹
脂材である。
【0017】まず、下記の(表1)に、AS系樹脂にG
FまたはCFを混入した実施例1〜実施例6の合成樹脂
材5と従来例の合成樹脂材によるクロスフローファン1
の実施時の生産性とアニール処理の必要な時間(アニー
ル必要時間)を示す。また、(表2)には、前記実施例
1〜実施例6と従来例の合成樹脂材の一般特性を示す。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】以下に、実施例1〜実施例6を(表1)、
(表2)に基づいて従来例とともに説明する。
【0021】(実施例1)実施例1の合成樹脂材は、両
表に示すように、AS系樹脂にGFを30重量%混入し
たもである。この実施例1からなるクロスフローファン
1は、図4に示す遠赤外線アニール処理炉10を使用し
て炉内の左右に設置された遠赤外線ヒータ6の中央部に
セットし、クロスフローファン周辺部の温度すなわち樹
脂温を90〜95℃に均一に調整して一定時間放置した
ものである。炉内空気は天井部の撹拌用ファン7で撹拌
して温度をより均一化し、また遠赤外線を均等に授受す
るため、ファン載置台8に設けたファン回転モータ9に
よってクロスフローファン1を回転させるようにしてい
る。
【0022】遠赤外線ヒータ6は、棒状ヒータよりも温
度均一化の点からは面状ヒータの方が望ましい。また遠
赤外線ヒータ6からクロスフローファン1の距離は、1
0〜30cm程度が遠赤外線の効果をよく利用でき、ア
ニールの処理効果がでやすい。また、遠赤外線ヒータ6
の波長領域は、AS系樹脂が吸収しやすい2〜7μmを
主に発生するヒータの方がアニール処理効果がでやす
い。
【0023】なお、強化材のGFを30重量%混入した
AS系樹脂を90〜95℃で遠赤外線によりアニール処
理したものは、(表1)から明らかなように、従来の温
風循環によるアニール処理よりも短時間でアニール処理
をすることができる(実施例1:遠赤外線アニールでは
必要時間が2h,温風循環アニールでは必要時間が8
h)。
【0024】(実施例2、3)実施例2、3は、上記
(表1)、(表2)に示すように、AS系樹脂にGFを
35重量%、40重量%混入し、前記同様90〜95℃
で遠赤外線によるアニール処理をしたものである。
【0025】実施例2は実施例1より剛性が高く(曲げ
強さ:実施例1=1440kgf/cm2<実施例2=
1500kgf/cm2,曲げ弾性率:実施例1=84
300kgf/cm2<実施例2=95000kgf/
cm2)、耐熱性が高い分(荷重たわみ温度:実施例1
=105℃<実施例2=108℃)、耐熱クリープ性に
優れ、遠赤外線によるアニール処理の必要時間(遠赤外
線アニール必要時間)が1.8hで可能となる。
【0026】また、実施例3は、曲げ強さが1550k
gf/cm2 、曲げ弾性率が108000kgf/cm
2 であって、さらに実施例2より剛性が高く、また遠赤
外線によるアニール処理時間が1.5hとなってより時
間短縮される。
【0027】(実施例4、5、6)実施例4、5、6は
上記(表1)、(表2)に示すように、AS系樹脂にC
Fをそれぞれ10、20、30重量%混入し、前記同様
90〜95℃で遠赤外線によるアニール処理をしたもの
である。すなわち、(表2)より、密度は、実施例4が
1.07、実施例5が1.15、実施例6が1.21、
従来例では1.29であり、また、曲げ弾性率は、実施
例4が88000kgf/cm2 、実施例5が1280
00kgf/cm2、実施例6が165000kgf/
cm2、従来例では84300kgf/cm2 であり、
そして荷重たわみ温度は、実施例4が105℃、実施例
5が106℃、実施例6が110℃、従来例が105℃
であって、従来例よりも低密度、高剛性で耐熱性に優れ
ている。遠赤外線アニール必要時間は、実施例4が2
h、実施例5が1.5h、実施例6は1.3hであり、
従来例の温風循環アニール必要時間の8hよりも短縮で
きる。また、成形時の歩留まりがよくなり(生産性にお
いて、実施例4は7000個/日,実施例5は6500
個/日,実施例6は6300個/日,従来例で5760
個/日)、生産性の向上を図ることができる。
【0028】遠赤外線アニール必要時間は、クロスフロ
ーファン1のバランス変化が2.0g・cm以下となる
時間を求めたものである。バランス変化の測定は、70
℃の恒温層にクロスフローファン1の両端2点を支え、
水平に168h放置した前後のアンバランス変化量を、
クロスフローファン専用のバランスマシーン測定機で計
測したものであり、数値が大きくなるとバランス不良
で、熱変形が大きくなり長期に空気調和機に用いて使用
していると振動が大きく、異常音等による不具合を生じ
ることがある。
【0029】また、遠赤外線アニールの温度条件は、荷
重たわみ温度より−5〜−20℃が望ましく、この温度
以上であるとクロスフローファン1が熱変形し、この温
度以下であるとアニール効果が少なくアニールが長時間
必要となる。なお、下記の(表3)に、遠赤外線アニー
ルの温度別のアニール必要時間を示す。
【0030】
【表3】
【0031】同表に示すように、実施例1では、アニー
ル温度を変えた場合のアニール必要時間は、80〜85
℃で7h、85〜90℃で4h、90〜95℃で2h、
95〜100℃で1.5h、100〜105℃では熱変
形が大きくなり実用使用が不可となる。温度を上げると
時間を短縮できるが、熱変形が発生しやすく温度管理の
点では、アニール処理時の樹脂温は荷重たわみ温度から
−10〜−15℃程度が最も好ましい。
【0032】なお、上記実施例において、クロスフロー
ファン1は、図4に示すように、左右の遠赤外線ヒータ
6の中央部に1個設け、ファン載置台8上で立設させて
回動するようにしたが、複数個または複数列立設して回
動させ、同時にファン載置台8を遠赤外線ヒータ6に沿
って所定速さで移動させることにより、より多くのアニ
ール処理が可能となり、生産性をさらに向上させること
ができる。
【0033】次に、下記(表4)に、耐熱PS系樹脂に
GFまたはCFを加えた実施例7〜実施例12の合成樹
脂材5と従来例の合成樹脂材によるクロスフローファン
1の生産性とアニール処理の必要な時間(アニール必要
時間)を示す。また、(表5)には、前記実施例7〜実
施例12と従来例の合成樹脂材の一般特性を示す。
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
【0036】以下に、実施例7〜実施例12を(表
4)、(表5)に基づいて従来例とともに説明する。な
お、前記実施例1〜実施例6と同一内容のものは説明を
省略する。
【0037】(実施例7)実施例7は、(表4)、(表
5)に示すように、耐熱PS系樹脂に強化材のGFを3
0重量%混入したものである。ここでGFは、合成樹脂
材5の製造時に耐熱PS系樹脂内に混入する。
【0038】耐熱PS系樹脂は、スチレンと耐熱性を付
与したモノマー、すなわちマレイン系のモノマーやNフ
ェニルマレイミド系のモノマーやメタクリル系モノマー
との共重合体であって、耐熱温度を上げることが可能に
なり、実施例7では荷重たわみ温度が107℃程度とな
り、一般的なポリスチレン(PSと略す)樹脂と比較し
て(PS樹脂+GF30重量%では荷重たわみ温度は9
5℃程度)12℃程度高くすることができる。
【0039】このクロスフローファン1のアニール処理
は、前記した実施例1〜実施例6と同様の方法で行った
もので、実施例1〜実施例6と異なる点は、アニール処
理温度(クロスフローファン1の周辺温度)を少し高め
の95〜100℃に均一調整して一定時間放置した点で
あり、その他のセットの仕方、温度の均一化等は実施例
1〜実施例6と同じである。なお、従来例のアニール温
度は、荷重たわみ温度が105℃であって、実施例7〜
実施例12より荷重たわみ温度の若干低い分、その設定
温度を90〜95℃とやや低めにしている。
【0040】また、遠赤外線ヒータ6は、前記実施例1
〜実施例6のときと同様の面状ヒータが望ましく、その
他の加熱条件等も実施例1〜実施例6と同じでよい(同
じにすることによってアニール効果を発揮させやすくな
る)。
【0041】なお、強化材のGFを30重量%混入した
耐熱PS系樹脂を95〜100℃で遠赤外線アニールし
たものは、従来例のAS系樹脂にGF30重量%を混入
したものよりも流動性が高く、すなわち、メルトフロー
レートは温度220℃,荷重10kgfで従来例の2.
5倍程度(実施例7が10,従来例が4)であり、歩留
まりがよくなり(生産性:実施例7は8840個/日,
従来例は5760個/日)生産性に優れている。なお、
成型機は4ケ取りのものを使用し、合成樹脂材の温度は
約250℃に設定した。また、遠赤外線アニールをして
いるため、従来の温風循環アニールよりも短時間でアニ
ール処理をすることができる(実施例7では、遠赤外線
アニールの必要時間は6h,温風循環アニールの必要時
間は36h)。
【0042】(実施例8、9)実施例8は、上記(表
4)、(表5)に示すように、耐熱PS系樹脂にGFを
35重量%、実施例9は40重量%混入し、前記同様9
5〜100℃で遠赤外線によるアニール処理をしたもの
である。
【0043】実施例8は実施例7より剛性が高く(曲げ
強さ:実施例7=1200kgf/cm2<実施例8=
1250kgf/cm2,曲げ弾性率:実施例7=71
800kgf/cm2<実施例8=76000kgf/
cm2)、耐熱性が高い分(荷重たわみ温度:実施例7
=107℃<実施例8=110℃)、耐熱クリープ性に
優れ、遠赤外線によるアニール処理の必要時間(遠赤外
線アニール必要時間)が4hで可能となる。また、生産
性も優れている。
【0044】実施例9は、曲げ強さが1350kgf/
cm2 、曲げ弾性率が82000kgf/cm2 となっ
て、さらに実施例8より剛性が高くなり、遠赤外線によ
るアニール処理時間も3hでよく、より時間短縮され
る。
【0045】(実施例10、11、12)実施例10、
11、12は上記(表4)、(表5)に示すように、強
化材として耐熱PS系樹脂にCFをそれぞれ10、2
0、30重量%混入し、前記同様クロスフローファン1
の周辺部の温度を95〜100℃に均一に調整し一定時
間放置してアニール処理したものである。すなわち、
(表5)より、密度は、実施例10が1.08、実施例
11が1.14、実施例12が1.22、従来例では
1.29であり、また、曲げ弾性率は、実施例10が8
7000kgf/cm2 、実施例11が130000k
gf/cm2 、実施例12が170000kgf/cm
2 、従来例では84300kgf/cm2 であり、そし
て荷重たわみ温度は、実施例10が109℃、実施例1
1が110℃、実施例12が112℃、従来例が105
℃であって、従来例よりも低密度、高剛性に優れてい
る。遠赤外線アニール必要時間は、実施例10が4h、
実施例11が2h、実施例12は1.5hで、従来例の
遠赤外線アニールによる必要時間も2hであり、いずれ
も温風循環アニールによる必要時間の1/4〜1/6に
短縮できる。また、成形時の歩留まりがよくなり(生産
性:実施例10は9620個/日,実施例11は900
0個/日,実施例12は8200個/日,従来例は57
60個/日)、一層生産性の向上を図ることができる。
【0046】なお、遠赤外線アニールの必要時間は前記
実施例1〜実施例6と同様の方法でクロスフローファン
1のバランス変化量を計測することによって求めたもの
である。
【0047】また、遠赤外線アニールの温度条件は、実
施例1〜実施例6と同様に、荷重たわみ温度より樹脂温
が−5〜−20℃となることが望ましく、この温度以上
であるとクロスフローファン1が熱変形し、この温度以
下であるとアニール効果が少なくアニール処理時間が長
時間必要となる。なお、(表6)に、遠赤外線アニール
温度別のアニール必要時間を示す。
【0048】
【表6】
【0049】同表に示すように、実施例8では、アニー
ル温度を変えた場合のアニール必要時間は、80〜85
℃で36h,85〜90℃で12h,90〜95℃で8
h,95〜100℃で4h,100〜105℃で3h,
105〜110℃では熱変形が大きくなり実用使用が不
可となる。温度を上げると時間が短縮できるが、熱変形
が発生しやすく温度管理の点では、樹脂温は荷重たわみ
温度の−10〜−15℃程度低めが最も好ましい。
【0050】なお、上記実施例において、送風ファンを
クロスフローファンとしたが、クロスフローファンに限
定されるものではなく、その他のシロッコファンやプロ
ペラファンであっても同様の効果が得られる。また、本
発明は送風ファンを空気調和機用としたが温風暖房等を
行う温風機器または暖房機器用であってもよい。
【0051】
【発明の効果】上記実施例から明らかなように、請求項
1及び2記載の発明は、AS系樹脂にGFを30〜40
%混入させて合成樹脂材とし、この合成樹脂材により成
形したファン部材を一体に形成し、この一体形成品(フ
ァン)に80〜100℃の温度範囲で遠赤外線アニール
処理を施したものであり、これによって、従来の温風循
環アニールよりも1/4程度の短時間でしかも的確にア
ニール処理ができ、長期の空気調和機の使用で送風ファ
ンの熱変形を防止することができる。
【0052】また、請求項3及び4記載の発明は、耐熱
PS系樹脂にGFを30〜40%混入させて合成樹脂材
とし、この合成樹脂材により成形されたファン部材を一
体に形成し、この一体形成品(ファン)に80〜105
℃の温度範囲で遠赤外線アニール処理を施したものであ
り、これによって、従来のものより成形時の流動性がよ
くなり、成形時にファン部材すなわち端板、仕切り板、
翼部にショートショットが発生しにくく、成形時に2ケ
から4ケ取りなど多数個取りが容易になり、歩留まりが
よくなるとともに、従来の温風循環アニールよりも1/
4〜1/6程度のより短い時間でアニール処理ができ、
より生産性の向上を図ることができる。また、前記同様
長期の空気調和機の使用で送風ファンの熱変形を防止す
ることができる。
【0053】また、請求項5及び6記載の発明は、前記
請求項記載の発明のGFに代えてCFを10〜30重量
%混入させたものであり、これによって、成形性の一層
の向上とともに、GFの混入量(30〜40重量%)よ
りもCFは混入量を少なくして高剛性を維持できるた
め、ファンの軽量化を図ることができる。
【0054】また、請求項7記載の発明は、前記請求項
記載の発明の遠赤外線によるアニール処理を、面状ヒー
タの加熱によって行うようにし、面状ヒータから照射さ
れる遠赤外線波長領域を2〜7μmにしたものであり、
これによって、ファンの一様な加熱が可能になるととも
に、ファンを構成する合成樹脂材のAS系樹脂や耐熱P
S系樹脂は2〜7μm波長の遠赤外線を吸収しやすいた
め、短時間にしかも確実にアニール処理することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の送風ファンの一実施例であるクロスフ
ローファンの外観斜視図
【図2】同クロスフローファンの断面図
【図3】同クロスフローファンの翼部の拡大断面図
【図4】遠赤外線アニール処理炉の概略縦断面図
【符号の説明】
1 クロスフローファン(ファン) 2 端板(ファン部材) 3 仕切り板(ファン部材) 4 翼部(ファン部材) 5 合成樹脂材 6 遠赤外線ヒータ(面状ヒータ)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アクリロニトリルとスチレンを含む共重合
    樹脂(以下、アクリロニトリル・スチレン系樹脂とい
    う)にガラスファイバーを30〜40重量%混入させた
    合成樹脂材を用いてファンを形成し、前記ファンに80
    〜100℃の温度範囲の遠赤外線によるアニール処理を
    施してなる空気調和機用の送風ファン。
  2. 【請求項2】アクリロニトリル・スチレン系樹脂にガラ
    スファイバーを30〜40重量%混入させてなる合成樹
    脂材によりファン部材を成形し、前記ファン部材を一体
    加工した後、80〜100℃の温度範囲の遠赤外線によ
    るアニール処理を施す空気調和機用の送風ファンの製造
    方法。
  3. 【請求項3】スチレンと耐熱性を付与したモノマーとか
    ら生成される共重合樹脂(以下、耐熱ポリスチレン系樹
    脂という)にガラスファイバーを30〜40重量%混入
    させた合成樹脂材を用いてファンを形成し、前記ファン
    に80〜105℃の温度範囲の遠赤外線によるアニール
    処理を施してなる空気調和機用の送風ファン。
  4. 【請求項4】耐熱ポリスチレン系樹脂にガラスファイバ
    ーを30〜40重量%混入させた合成樹脂材によりファ
    ン部材を成形し、前記ファン部材を一体加工した後、8
    0〜105℃の温度範囲の遠赤外線によるアニール処理
    を施す空気調和機用の送風ファンの製造方法。
  5. 【請求項5】ガラスファイバーに代えてカーボンファィ
    バーを10〜30重量%混入させた合成樹脂材を用いて
    なる請求項1または3記載の空気調和機用の送風ファ
    ン。
  6. 【請求項6】ガラスファイバーに代えてカーボンファィ
    バーを10〜30重量%混入させた合成樹脂材を用いて
    なる請求項2または4記載の空気調和機用の送風ファン
    の製造方法。
  7. 【請求項7】遠赤外線によるアニール処理は、面状ヒー
    タの加熱によって行い、前記面状ヒータから照射される
    遠赤外線波長領域を2〜7μmとする請求項2または4
    記載の空気調和機用の送風ファンの製造方法。
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