JP2004285119A - 熱硬化性および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物とその硬化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなるコート剤に比べて、耐傷つき性、ガラスとの密着性に優れ、しかも貯蔵安定性のよい活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】水酸基含有(メタ)アクリルモノマーおよび/または水酸基含有(メタ)アクリルオリゴマー(a)と、テトラアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物を含むアルコキシシラン化合物(b)とを、前記(b)成分のアルコキシシリル基のエステル交換率が1〜50%となるようエステル交換反応させて得られる反応生成物(A)、ならびに熱潜在性カチオン触媒を含有してなることを特徴とする熱硬化性および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】水酸基含有(メタ)アクリルモノマーおよび/または水酸基含有(メタ)アクリルオリゴマー(a)と、テトラアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物を含むアルコキシシラン化合物(b)とを、前記(b)成分のアルコキシシリル基のエステル交換率が1〜50%となるようエステル交換反応させて得られる反応生成物(A)、ならびに熱潜在性カチオン触媒を含有してなることを特徴とする熱硬化性および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱及び紫外線、電子線などの活性エネルギー線により硬化する硬化性樹脂組成物に関する。本発明の硬化性樹脂組成物は、たとえば、紙、ガラス、各種プラスチックフィルム用のオーバーコート剤、印刷インキ、木工塗料等の各種用途に適用できる。特に、本発明の硬化性樹脂組成物はガラス、プラスチック等のコート剤として有用である。
【0002】
【従来の技術】
活性エネルギー線硬化性樹脂を用いたハードコート剤は非常に高硬度であり、各種プラスチックの傷つき防止などの観点から、さまざまな用途で使用されている。しかしながら、従来の当該製品は多官能アクリルモノマーや多官能アクリルオリゴマーなどの有機物で構成されているため、硬化膜の耐傷つき性が十分とは言えず、更なる高硬度化が要求されている。
【0003】
そのため、当該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中に例えばアルミナ等の無機物を分散させることで、得られる硬化膜により高度の耐傷つき性を付与する方法も検討されている。しかし、アルミナ等の無機物の分散が難しく、かつ貯蔵時に当該無機物が沈降するという問題がある。
【0004】
また、従来の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ガラス基材にコーティングする場合、ガラスと化学的な結合を持たないため、概して密着性が不十分である。
【0005】
これらの欠点を解決するため、近年、ラジカル重合性シランカップリング剤を配合してなるコーティング剤が開発されているが、シランカップリング剤が高価であるため当該コーティング剤も高コストとなる。また、水酸基含有アクリルモノマーとアルコキシシラン化合物とのエステル交換反応物を配合してなるコーティング剤が開発されている(特許文献1)が、当該コーティング剤は活性エネルギー線のみで硬化するために、アルコキシシラン部分が十分に反応せず、その結果として当該硬化膜の耐傷つき性やガラス密着性は未だ満足しうるものではない。
【0006】
【特許文献1】
特許第3304904号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記実情に鑑み、従来の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなるコート剤に比べて、耐傷つき性、ガラスとの密着性に優れ、しかも貯蔵安定性のよい活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、以下に示す特定の方法により得られる硬化性樹脂組成物が、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0009】
すなわち本発明は、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーおよび/または水酸基含有(メタ)アクリルオリゴマー(a)と、テトラアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物を含むアルコキシシラン化合物(b)とを、前記(b)成分のアルコキシシリル基のエステル交換率が1〜50%となるようエステル交換反応させて得られる反応生成物(A)、ならびに熱潜在性カチオン触媒を含有してなることを特徴とする熱硬化性および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物;さらに光ラジカル重合開始剤を含有してなる当該硬化性樹脂組成物;当該硬化性樹脂組成物を、加熱および活性エネルギー線照射することにより硬化させることを特徴とする硬化方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の反応生成物(A)は、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーおよび/または水酸基含有(メタ)アクリルオリゴマー(a)(以下、(a)成分という)と、アルコキシシラン化合物またはその部分縮合物を含むアルコキシシラン化合物(b)(以下、(b)成分という)とを、所定条件下にエステル交換反応させて得られるものである。
【0011】
(a)成分の水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類などのε−カプロラクトン縮合物、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらはそれぞれを単独で、または組み合わせて使用できる。
【0012】
(a)成分の水酸基含有(メタ)アクリルオリゴマーとしては、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸等との反応により得られるエポキシ(メタ)アクリレート、オリゴマー中に水酸基を有するように反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレートやポリウレタン(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらはそれぞれを単独で、または組み合わせて使用できる。
【0013】
(b)成分のアルコキシシラン化合物としては、テトラアルコキシシラン化合物またはその縮合物を使用する。かかるテトラアルコキシシラン化合物等は、塗膜中で架橋密度を上げ、高い皮膜硬度を得る上で好ましい。かかるテトラアルコキシシラン化合物等としては、一般的にゾル−ゲル法に用いられているものを使用できる。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類やこれらの部分縮合物等があげられる。これらのなかでも、特に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランおよびこれらの2〜10量体の部分加水分解縮合物が好ましい。これらはそれぞれを単独で、または組み合わせて使用できる。
【0014】
また、本発明では(b)成分として、前記テトラアルコキシシラン等に加えて、下記にあげるトリアルコキシシラン類やジアルコキシシラン類を種々の目的で、併用することもできる。ただし、トリアルコキシシラン類等の使用量は、(b)成分中の30重量%以下の範囲である。トリアルコキシシラン類等の割合が30重量%より多くなると、ゾル−ゲル硬化が不充分となり、得られる硬化膜の耐傷つき性が不十分となる。
【0015】
トリアルコキシシラン類の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン等およびこれらの部分縮合物等があげられ、ジアルコキシシラン類としてはジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシランおよびこれらの部分縮合物等があげられる。
【0016】
また、反応生成物(A)は、前記(a)成分と、(b)成分とをエステル交換反応させて製造するが、当該エステル交換反応は、(b)成分のアルコキシシリル基の1〜50%がエステル交換反応されるように反応を調整して行う。すなわち、反応生成物(A)中には、(b)成分のアルコキシシリル基のエステル交換率を前記範囲とすることにより、加水分解・縮合反応が可能なアルコキシシリル基を(a)成分に導入したエステル交換化合物が含まれており、かかるエステル交換化合物により本発明の目的が達成される。(b)成分のアルコキシシリル基のエステル交換率が50%より高くなると、ガラスに対する密着性向上等の特性が現れない可能性がある。こうした点を考慮すれば、エステル交換率は35%以下とするのが好ましい。一方、エステル交換率が1%より低いと、本発明の効果は発揮されず、塗膜が白化する場合が多くなる。こうした点を考慮すれば、エステル交換率は5%以上とするのが好ましい。
【0017】
かかる反応生成物(A)は、(a)成分に由来する(メタ)アクリロイル基の作用によって活性エネルギー線により硬化するとともに、(b)成分に由来するアルコキシシリル基はゾル−ゲル反応によって、加水分解・縮合し、Si−O−Si結合が形成されてシリカ成分を生じる。なお、ゾル−ゲル硬化過程において、使用する(b)成分のアルコキシシリル基がメトキシシリル基の場合、必ずしも触媒を使用する必要はないが、硬化促進の必要がある場合や、(b)成分のアルコキシシリル基の炭素数が2以上である場合には、ゾル−ゲル硬化触媒を使用するのが好ましい。ゾル−ゲル硬化触媒とは一般に酸又は塩基性触媒であって、その種類や使用量は特に限定されないが、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、酢酸、蟻酸などの有機酸、又はトリエチルアミン、トリメチルアミンなどの3級有機アミンを、(b)成分のアルコキシシリル基1モルに対し、10−4〜1モル%程度使用するのが好ましい。また、同時に水をアルコキシシリル基1モルに対して10〜200モル%使用するとアルコキシシリル基の加水分解が促進され、硬化が速くなる。
【0018】
かかる反応生成物(A)の製造は、たとえば、前記各成分を仕込み、加熱して生成するアルコールを留去しながらエステル交換反応させて行なう。反応温度は70〜150℃程度、好ましくは80〜110℃であり、全反応時間は2〜12時間程度である。なお、(a)成分と、(b)成分とのエステル交換率の調整は、通常、エステル交換反応により生成するアルコール量から理論的に算出される。
【0019】
また、上記のエステル交換反応に際しては、反応促進のために錫シオクタノエートなどの従来公知のエステルと水酸基のエステル交換触媒を使用することができる。たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、硼素、カドミウム、マンガンのような金属や、これら酸化物、有機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド等があげられる。これらのなかでも、特に有機錫や有機酸錫が好ましく、具体的には、ジブチル錫ジラウレートや錫ジオクタノエート、ジブチル錫オキサイドなどがあげられる。このような触媒は2種類以上を併用してもよい。
【0020】
また、上記のエステル交換反応に際し、(a)成分の重合を防止するため、フェノチアジンなどの重合防止剤を反応系に対して10〜5000ppm、好ましくは50〜2000ppm使用できる。また、エアーバブリングを行うこともできる。
【0021】
前記各成分の使用割合は、(b)成分のアルコキシシリル基のエステル交換率が前記範囲に調節できる範囲であれば特に制限されず、(a)成分、あるいは(b)成分を過剰に使用してもよい。通常、(a)成分の水酸基の合計と、(b)成分のアルコキシシリル基の当量比((a):(b))が、10:1〜1:50程度となる範囲で使用するのが好ましい。
【0022】
なお、反応生成物(A)中において、未反応のまま残存する(a)成分や(b)成分は、硬化性成分となる。すなわち、未反応の(a)成分は(メタ)アクリロイル基の作用により硬化し、一方、未反応の(b)成分は、ゾル−ゲル反応により、加水分解・縮合し、エステル交換化合物中のアルコキシシリル基等とも、Si−O−Si結合を形成してシリカ成分を生じる。
【0023】
本発明で用いる重合性官能基を少なくとも1つ有する化合物(B)としては、特に限定されるものではなく、公知のものが使用できる。たとえば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリ(繰り返し単位数1〜4程度)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノまたはポリ(繰り返し単位数1〜3程度)エトキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレートなど(メタ)アクリル系モノマー;エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、プロペニルエーテルプロピレンカーボネート、アミノプロピルビニルエーテル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレンジビニルエーテル、ポリテトラエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテルなどのビニルエーテル基含有化合物等があげられる。また、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)エステルアクリレート等の(メタ)アクリル系オリゴマーを加えることもできる。
【0024】
(B)成分の使用量は、硬化性組成物中の95重量%以下とするのが好ましい。95%を超えて配合すると、ガラスに対する硬化膜の密着性が十分には向上しない傾向がある。
【0025】
これら硬化性成分からなる本発明の硬化性樹脂組成物を加熱硬化させる場合には、当該硬化性成分100重量部に対し、熱潜在性カチオン触媒を通常0.1〜10重量部程度、好ましくは1〜5重量部の割合で使用する。熱潜在性カチオン触媒には、制限なく各種公知のものが使用できるが、例えば、芳香族スルホニウム、芳香族ヨードニウム、芳香族ジアゾニウム、芳香族アンモニウム、η5−シクロペンタジエル−η6−クメニル−Fe塩系などから選ばれる少なくとも1種類のカチオンと、BF4 −、PF6 −、SbF6 −から選ばれる少なくとも1種類のアニオンとから構成されるオニウム塩等が挙げられる。このような熱潜在性カチオン触媒は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0026】
芳香族スルホニウム塩系の熱潜在性カチオン触媒としては、例えば、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)メチル−2−ナフタレニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、(2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)メチル−2−ナフタレニルスルホニウム ヘキサフルオロアチモネート、(2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)メチル−2−ナフタレニルスルホニウム テトラフルオロボレート、(2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)メチル−2−ナフタレニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロアチモネート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム テトラフルオロボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
【0027】
芳香族ヨードニウム塩系の熱潜在性カチオン触媒としては、例えば、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム テトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
【0028】
芳香族ジアゾニウム塩系の熱潜在性カチオン触媒としては、例えば、フェニルジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、フェニルジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、フェニルジアゾニウム テトラフルオロボレート、フェニルジアゾニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
【0029】
芳香族アンモニウム塩系の熱潜在性カチオン触媒としては、例えば、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロホスフェート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロアンチモネート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム テトラフルオロボレート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロホスフェート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロアンチモネート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム テトラフルオロボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
【0030】
η5−シクロペンタジエル−η6−クメニル−Fe塩系の熱潜在性カチオン触媒としては、例えば、η5−シクロペンタジエル−η6−クメニル−Fe(II)ヘキサフルオロホスフェート、η5−シクロペンタジエル−η6−クメニル−Fe(II)ヘキサフルオロアンチモネート、η5−シクロペンタジエル−η6−クメニル−Fe(II)テトラフルオロボレート、η5−シクロペンタジエル−η6−クメニル−Fe(II)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。熱潜在性カチオン触媒として、上記の異なる2種類以上の熱潜在性カチオン触媒を用いても良い。これらの中でも特に、アニオンにSbF6 −、PF6 −を用いた熱潜在性カチオン触媒の場合、硬化が速く好ましい。
【0031】
加熱硬化の条件は、用いる熱潜在性カチオン触媒の種類に依存するが、通常、100〜120℃程度で行う。120℃をあまりに超えて加熱すると、(a)成分のアクリロイル基が反応してしまう可能性がある。
【0032】
また、熱潜在性カチオン触媒を使用する場合には、硬化性成分としてエポキシ基含有化合物、オキセタン基含有化合物を含有してもよい。エポキシ基含有化合物の具体例としては、たとえばビスフェノールAジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジグリシジルエーテルなどがあげられる。オキセタン基含有化合物の具体例としては、たとえば1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼンなどがあげられる。
【0033】
さらに、本発明の硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線照射により硬化させることができる。活性エネルギー線として電子線等により当該樹脂組成物を硬化させる場合には光ラジカル開始剤は不要であるが、紫外線により当該樹脂組成物を硬化させる場合には、当該硬化性成分100重量部に対し、通常、光ラジカル開始剤を15重量部以下、好ましくは1〜10重量部で使用する。光ラジカル開始剤としては、ダロキュア1173、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア907(いずれもチバスペシャルティケミカルズ社製の商品名)、ベンゾフェノン等の各種公知のものを使用できる。
【0034】
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、加熱と活性エネルギー線照射とを組み合わせて硬化させることができる。当該硬化操作の順序は特に制限されず、どちらを先に行っても構わないが、(b)成分の硬化がより十分に進むことから、加熱硬化させた後に活性エネルギー線を照射して硬化させるのが好ましい。
【0035】
さらに、本発明の活性エネルギー性硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、上記以外の各種添加剤、たとえば、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、レベリング剤、顔料、ケイ素化合物等を本発明の目的を逸脱しない範囲で配合することができる。また、塗料の粘度が高い場合は有機溶剤で希釈もよい。
【0036】
【発明の効果】
本発明の熱硬化性および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いれば、従来の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に比べて、耐傷つき性やガラスとの密着性に優れる硬化膜を提供できる。本発明の硬化性樹脂組成物は、無機成分を含んでいるにも拘わらず貯蔵安定性がよく、またシランカップリング剤を用いないため安価でもある。さらに、本発明の硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合の進行以外に、酸素の影響を受けないゾル−ゲル反応も起こるため、従来のラジカル重合のみが進行する硬化性樹脂組成物に比べ、表面硬化性が優れている。
【0037】
【実施例】
以下に、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお以下「部」及び「%」は、特記しない限りいずれも重量基準である。
【0038】
合成例1(反応生成物(A)の合成)
撹拌機、温度計、分縮器、エアーバブリング装置および還流冷却器を備えたフラスコに、ペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、商品名「ビスコート#300」)329.3部、テトラメトキシシラン部分縮合物(多摩化学工業(株)製、商品名「MS−51」)170.8部、重合禁止剤としてメトキノン0.5部、触媒としてオクチル酸錫0.2部を仕込み100℃に昇温した。4時間保温後、メタノールの留去量が23.1gに達したので冷却し、反応生成物A−1を475.2部得た。反応生成物A−1における(b)成分であるテトラメトキシシラン部分縮合物のアルコキシシリル基のエステル交換率は20%である。
【0039】
合成例2(反応生成物(A)の合成)
合成例1と同様の反応装置に、2−ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、商品名「HEA」)98.3部、テトラメトキシシラン部分縮合物(前記商品名「MS−51」)401.7部、重合禁止剤としてメトキノン0.5部、触媒としてオクチル酸錫0.2部を仕込み100℃に昇温した。4時間保温後、メタノールの留去量が27.1gに達したので冷却し、反応生成物A−2を465.6部得た。反応生成物A−2における(b)成分であるテトラメトキシシラン部分縮合物のアルコキシシリル基のエステル交換率は10%である。
【0040】
実施例1〜3および比較例1〜2
合成例1、2で得た反応生成物1、2を用い、表1に示す配合にて塗料化した。得られた塗料について以下の試験を行った。結果を表1に示す。
【0041】
(耐傷つき性)
各塗料をポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーター#9で塗布し、各種の方法で硬化させた(硬化操作の順番は表1を参照)。
熱硬化条件:100℃の循風乾燥機中で30分間放置
UV硬化条件:高圧水銀灯80W/cm(1灯)、照射距離10cm、ベルトスピード10m/minの条件で3回照射(合計:135mJ/cm2)
得られた硬化塗膜をJIS K 7204に記載された方法で、テーバー式摩耗試験を行った。試験前後のヘイズ変化を測定し、耐傷つき性を評価した。ヘイズ値の変化が大きいほど耐傷つき性に劣ることを意味する。
【0042】
(硬化膜の破断伸度とヤング率)
上記の方法で硬化させた膜厚100μmの硬化膜を用いて破断伸度とヤング率を測定した。
試験片: 幅6mm、長さ5cm(チャック間距離2.5cm)
破断伸度:引張速度50mm/分で引っ張り、破断時の自長に対する伸び率とした。
ヤング率:引張速度50mm/分で引っ張り、伸度2.5%時の荷重−伸度曲線の傾きより算出した。
【0043】
(ガラスとの密着性)
上記硬化性試験で使用した基材をポリエチレンテレフタレートフィルムからガラス板に変更した以外は上記と同様の条件で塗布、硬化し、JIS K 5400に記載された方法で碁盤目セロハンテープ剥離試験を行い、ガラスに対する密着性を評価した。
【0044】
(貯蔵安定性)
塗料化してから1週間常温で放置した後の塗料外観を目視観察した。
【0045】
【表1】
【0046】
表1中、BS−575:荒川化学工業(株)製の多官能ウレタンアクリレート、BS−502R:荒川化学工業(株)製のPPG系ウレタンアクリレート、熱潜在性カチオン触媒:三新化学工業(株)製、商品名「サンエイドSI−60L」、光ラジカル開始剤:チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名「イルガキュア184」、光カチオン開始剤:旭電化工業(株)製、商品名「アデカオプトマーSP−170」を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱及び紫外線、電子線などの活性エネルギー線により硬化する硬化性樹脂組成物に関する。本発明の硬化性樹脂組成物は、たとえば、紙、ガラス、各種プラスチックフィルム用のオーバーコート剤、印刷インキ、木工塗料等の各種用途に適用できる。特に、本発明の硬化性樹脂組成物はガラス、プラスチック等のコート剤として有用である。
【0002】
【従来の技術】
活性エネルギー線硬化性樹脂を用いたハードコート剤は非常に高硬度であり、各種プラスチックの傷つき防止などの観点から、さまざまな用途で使用されている。しかしながら、従来の当該製品は多官能アクリルモノマーや多官能アクリルオリゴマーなどの有機物で構成されているため、硬化膜の耐傷つき性が十分とは言えず、更なる高硬度化が要求されている。
【0003】
そのため、当該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中に例えばアルミナ等の無機物を分散させることで、得られる硬化膜により高度の耐傷つき性を付与する方法も検討されている。しかし、アルミナ等の無機物の分散が難しく、かつ貯蔵時に当該無機物が沈降するという問題がある。
【0004】
また、従来の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ガラス基材にコーティングする場合、ガラスと化学的な結合を持たないため、概して密着性が不十分である。
【0005】
これらの欠点を解決するため、近年、ラジカル重合性シランカップリング剤を配合してなるコーティング剤が開発されているが、シランカップリング剤が高価であるため当該コーティング剤も高コストとなる。また、水酸基含有アクリルモノマーとアルコキシシラン化合物とのエステル交換反応物を配合してなるコーティング剤が開発されている(特許文献1)が、当該コーティング剤は活性エネルギー線のみで硬化するために、アルコキシシラン部分が十分に反応せず、その結果として当該硬化膜の耐傷つき性やガラス密着性は未だ満足しうるものではない。
【0006】
【特許文献1】
特許第3304904号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記実情に鑑み、従来の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなるコート剤に比べて、耐傷つき性、ガラスとの密着性に優れ、しかも貯蔵安定性のよい活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、以下に示す特定の方法により得られる硬化性樹脂組成物が、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0009】
すなわち本発明は、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーおよび/または水酸基含有(メタ)アクリルオリゴマー(a)と、テトラアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物を含むアルコキシシラン化合物(b)とを、前記(b)成分のアルコキシシリル基のエステル交換率が1〜50%となるようエステル交換反応させて得られる反応生成物(A)、ならびに熱潜在性カチオン触媒を含有してなることを特徴とする熱硬化性および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物;さらに光ラジカル重合開始剤を含有してなる当該硬化性樹脂組成物;当該硬化性樹脂組成物を、加熱および活性エネルギー線照射することにより硬化させることを特徴とする硬化方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の反応生成物(A)は、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーおよび/または水酸基含有(メタ)アクリルオリゴマー(a)(以下、(a)成分という)と、アルコキシシラン化合物またはその部分縮合物を含むアルコキシシラン化合物(b)(以下、(b)成分という)とを、所定条件下にエステル交換反応させて得られるものである。
【0011】
(a)成分の水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類などのε−カプロラクトン縮合物、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらはそれぞれを単独で、または組み合わせて使用できる。
【0012】
(a)成分の水酸基含有(メタ)アクリルオリゴマーとしては、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸等との反応により得られるエポキシ(メタ)アクリレート、オリゴマー中に水酸基を有するように反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレートやポリウレタン(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらはそれぞれを単独で、または組み合わせて使用できる。
【0013】
(b)成分のアルコキシシラン化合物としては、テトラアルコキシシラン化合物またはその縮合物を使用する。かかるテトラアルコキシシラン化合物等は、塗膜中で架橋密度を上げ、高い皮膜硬度を得る上で好ましい。かかるテトラアルコキシシラン化合物等としては、一般的にゾル−ゲル法に用いられているものを使用できる。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類やこれらの部分縮合物等があげられる。これらのなかでも、特に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランおよびこれらの2〜10量体の部分加水分解縮合物が好ましい。これらはそれぞれを単独で、または組み合わせて使用できる。
【0014】
また、本発明では(b)成分として、前記テトラアルコキシシラン等に加えて、下記にあげるトリアルコキシシラン類やジアルコキシシラン類を種々の目的で、併用することもできる。ただし、トリアルコキシシラン類等の使用量は、(b)成分中の30重量%以下の範囲である。トリアルコキシシラン類等の割合が30重量%より多くなると、ゾル−ゲル硬化が不充分となり、得られる硬化膜の耐傷つき性が不十分となる。
【0015】
トリアルコキシシラン類の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン等およびこれらの部分縮合物等があげられ、ジアルコキシシラン類としてはジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシランおよびこれらの部分縮合物等があげられる。
【0016】
また、反応生成物(A)は、前記(a)成分と、(b)成分とをエステル交換反応させて製造するが、当該エステル交換反応は、(b)成分のアルコキシシリル基の1〜50%がエステル交換反応されるように反応を調整して行う。すなわち、反応生成物(A)中には、(b)成分のアルコキシシリル基のエステル交換率を前記範囲とすることにより、加水分解・縮合反応が可能なアルコキシシリル基を(a)成分に導入したエステル交換化合物が含まれており、かかるエステル交換化合物により本発明の目的が達成される。(b)成分のアルコキシシリル基のエステル交換率が50%より高くなると、ガラスに対する密着性向上等の特性が現れない可能性がある。こうした点を考慮すれば、エステル交換率は35%以下とするのが好ましい。一方、エステル交換率が1%より低いと、本発明の効果は発揮されず、塗膜が白化する場合が多くなる。こうした点を考慮すれば、エステル交換率は5%以上とするのが好ましい。
【0017】
かかる反応生成物(A)は、(a)成分に由来する(メタ)アクリロイル基の作用によって活性エネルギー線により硬化するとともに、(b)成分に由来するアルコキシシリル基はゾル−ゲル反応によって、加水分解・縮合し、Si−O−Si結合が形成されてシリカ成分を生じる。なお、ゾル−ゲル硬化過程において、使用する(b)成分のアルコキシシリル基がメトキシシリル基の場合、必ずしも触媒を使用する必要はないが、硬化促進の必要がある場合や、(b)成分のアルコキシシリル基の炭素数が2以上である場合には、ゾル−ゲル硬化触媒を使用するのが好ましい。ゾル−ゲル硬化触媒とは一般に酸又は塩基性触媒であって、その種類や使用量は特に限定されないが、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、酢酸、蟻酸などの有機酸、又はトリエチルアミン、トリメチルアミンなどの3級有機アミンを、(b)成分のアルコキシシリル基1モルに対し、10−4〜1モル%程度使用するのが好ましい。また、同時に水をアルコキシシリル基1モルに対して10〜200モル%使用するとアルコキシシリル基の加水分解が促進され、硬化が速くなる。
【0018】
かかる反応生成物(A)の製造は、たとえば、前記各成分を仕込み、加熱して生成するアルコールを留去しながらエステル交換反応させて行なう。反応温度は70〜150℃程度、好ましくは80〜110℃であり、全反応時間は2〜12時間程度である。なお、(a)成分と、(b)成分とのエステル交換率の調整は、通常、エステル交換反応により生成するアルコール量から理論的に算出される。
【0019】
また、上記のエステル交換反応に際しては、反応促進のために錫シオクタノエートなどの従来公知のエステルと水酸基のエステル交換触媒を使用することができる。たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、硼素、カドミウム、マンガンのような金属や、これら酸化物、有機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド等があげられる。これらのなかでも、特に有機錫や有機酸錫が好ましく、具体的には、ジブチル錫ジラウレートや錫ジオクタノエート、ジブチル錫オキサイドなどがあげられる。このような触媒は2種類以上を併用してもよい。
【0020】
また、上記のエステル交換反応に際し、(a)成分の重合を防止するため、フェノチアジンなどの重合防止剤を反応系に対して10〜5000ppm、好ましくは50〜2000ppm使用できる。また、エアーバブリングを行うこともできる。
【0021】
前記各成分の使用割合は、(b)成分のアルコキシシリル基のエステル交換率が前記範囲に調節できる範囲であれば特に制限されず、(a)成分、あるいは(b)成分を過剰に使用してもよい。通常、(a)成分の水酸基の合計と、(b)成分のアルコキシシリル基の当量比((a):(b))が、10:1〜1:50程度となる範囲で使用するのが好ましい。
【0022】
なお、反応生成物(A)中において、未反応のまま残存する(a)成分や(b)成分は、硬化性成分となる。すなわち、未反応の(a)成分は(メタ)アクリロイル基の作用により硬化し、一方、未反応の(b)成分は、ゾル−ゲル反応により、加水分解・縮合し、エステル交換化合物中のアルコキシシリル基等とも、Si−O−Si結合を形成してシリカ成分を生じる。
【0023】
本発明で用いる重合性官能基を少なくとも1つ有する化合物(B)としては、特に限定されるものではなく、公知のものが使用できる。たとえば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリ(繰り返し単位数1〜4程度)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノまたはポリ(繰り返し単位数1〜3程度)エトキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレートなど(メタ)アクリル系モノマー;エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、プロペニルエーテルプロピレンカーボネート、アミノプロピルビニルエーテル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレンジビニルエーテル、ポリテトラエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテルなどのビニルエーテル基含有化合物等があげられる。また、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)エステルアクリレート等の(メタ)アクリル系オリゴマーを加えることもできる。
【0024】
(B)成分の使用量は、硬化性組成物中の95重量%以下とするのが好ましい。95%を超えて配合すると、ガラスに対する硬化膜の密着性が十分には向上しない傾向がある。
【0025】
これら硬化性成分からなる本発明の硬化性樹脂組成物を加熱硬化させる場合には、当該硬化性成分100重量部に対し、熱潜在性カチオン触媒を通常0.1〜10重量部程度、好ましくは1〜5重量部の割合で使用する。熱潜在性カチオン触媒には、制限なく各種公知のものが使用できるが、例えば、芳香族スルホニウム、芳香族ヨードニウム、芳香族ジアゾニウム、芳香族アンモニウム、η5−シクロペンタジエル−η6−クメニル−Fe塩系などから選ばれる少なくとも1種類のカチオンと、BF4 −、PF6 −、SbF6 −から選ばれる少なくとも1種類のアニオンとから構成されるオニウム塩等が挙げられる。このような熱潜在性カチオン触媒は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0026】
芳香族スルホニウム塩系の熱潜在性カチオン触媒としては、例えば、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)メチル−2−ナフタレニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、(2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)メチル−2−ナフタレニルスルホニウム ヘキサフルオロアチモネート、(2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)メチル−2−ナフタレニルスルホニウム テトラフルオロボレート、(2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)メチル−2−ナフタレニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロアチモネート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム テトラフルオロボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
【0027】
芳香族ヨードニウム塩系の熱潜在性カチオン触媒としては、例えば、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム テトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
【0028】
芳香族ジアゾニウム塩系の熱潜在性カチオン触媒としては、例えば、フェニルジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、フェニルジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、フェニルジアゾニウム テトラフルオロボレート、フェニルジアゾニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
【0029】
芳香族アンモニウム塩系の熱潜在性カチオン触媒としては、例えば、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロホスフェート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロアンチモネート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム テトラフルオロボレート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロホスフェート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロアンチモネート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム テトラフルオロボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
【0030】
η5−シクロペンタジエル−η6−クメニル−Fe塩系の熱潜在性カチオン触媒としては、例えば、η5−シクロペンタジエル−η6−クメニル−Fe(II)ヘキサフルオロホスフェート、η5−シクロペンタジエル−η6−クメニル−Fe(II)ヘキサフルオロアンチモネート、η5−シクロペンタジエル−η6−クメニル−Fe(II)テトラフルオロボレート、η5−シクロペンタジエル−η6−クメニル−Fe(II)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。熱潜在性カチオン触媒として、上記の異なる2種類以上の熱潜在性カチオン触媒を用いても良い。これらの中でも特に、アニオンにSbF6 −、PF6 −を用いた熱潜在性カチオン触媒の場合、硬化が速く好ましい。
【0031】
加熱硬化の条件は、用いる熱潜在性カチオン触媒の種類に依存するが、通常、100〜120℃程度で行う。120℃をあまりに超えて加熱すると、(a)成分のアクリロイル基が反応してしまう可能性がある。
【0032】
また、熱潜在性カチオン触媒を使用する場合には、硬化性成分としてエポキシ基含有化合物、オキセタン基含有化合物を含有してもよい。エポキシ基含有化合物の具体例としては、たとえばビスフェノールAジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジグリシジルエーテルなどがあげられる。オキセタン基含有化合物の具体例としては、たとえば1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼンなどがあげられる。
【0033】
さらに、本発明の硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線照射により硬化させることができる。活性エネルギー線として電子線等により当該樹脂組成物を硬化させる場合には光ラジカル開始剤は不要であるが、紫外線により当該樹脂組成物を硬化させる場合には、当該硬化性成分100重量部に対し、通常、光ラジカル開始剤を15重量部以下、好ましくは1〜10重量部で使用する。光ラジカル開始剤としては、ダロキュア1173、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア907(いずれもチバスペシャルティケミカルズ社製の商品名)、ベンゾフェノン等の各種公知のものを使用できる。
【0034】
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、加熱と活性エネルギー線照射とを組み合わせて硬化させることができる。当該硬化操作の順序は特に制限されず、どちらを先に行っても構わないが、(b)成分の硬化がより十分に進むことから、加熱硬化させた後に活性エネルギー線を照射して硬化させるのが好ましい。
【0035】
さらに、本発明の活性エネルギー性硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、上記以外の各種添加剤、たとえば、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、レベリング剤、顔料、ケイ素化合物等を本発明の目的を逸脱しない範囲で配合することができる。また、塗料の粘度が高い場合は有機溶剤で希釈もよい。
【0036】
【発明の効果】
本発明の熱硬化性および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いれば、従来の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に比べて、耐傷つき性やガラスとの密着性に優れる硬化膜を提供できる。本発明の硬化性樹脂組成物は、無機成分を含んでいるにも拘わらず貯蔵安定性がよく、またシランカップリング剤を用いないため安価でもある。さらに、本発明の硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合の進行以外に、酸素の影響を受けないゾル−ゲル反応も起こるため、従来のラジカル重合のみが進行する硬化性樹脂組成物に比べ、表面硬化性が優れている。
【0037】
【実施例】
以下に、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお以下「部」及び「%」は、特記しない限りいずれも重量基準である。
【0038】
合成例1(反応生成物(A)の合成)
撹拌機、温度計、分縮器、エアーバブリング装置および還流冷却器を備えたフラスコに、ペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、商品名「ビスコート#300」)329.3部、テトラメトキシシラン部分縮合物(多摩化学工業(株)製、商品名「MS−51」)170.8部、重合禁止剤としてメトキノン0.5部、触媒としてオクチル酸錫0.2部を仕込み100℃に昇温した。4時間保温後、メタノールの留去量が23.1gに達したので冷却し、反応生成物A−1を475.2部得た。反応生成物A−1における(b)成分であるテトラメトキシシラン部分縮合物のアルコキシシリル基のエステル交換率は20%である。
【0039】
合成例2(反応生成物(A)の合成)
合成例1と同様の反応装置に、2−ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、商品名「HEA」)98.3部、テトラメトキシシラン部分縮合物(前記商品名「MS−51」)401.7部、重合禁止剤としてメトキノン0.5部、触媒としてオクチル酸錫0.2部を仕込み100℃に昇温した。4時間保温後、メタノールの留去量が27.1gに達したので冷却し、反応生成物A−2を465.6部得た。反応生成物A−2における(b)成分であるテトラメトキシシラン部分縮合物のアルコキシシリル基のエステル交換率は10%である。
【0040】
実施例1〜3および比較例1〜2
合成例1、2で得た反応生成物1、2を用い、表1に示す配合にて塗料化した。得られた塗料について以下の試験を行った。結果を表1に示す。
【0041】
(耐傷つき性)
各塗料をポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーター#9で塗布し、各種の方法で硬化させた(硬化操作の順番は表1を参照)。
熱硬化条件:100℃の循風乾燥機中で30分間放置
UV硬化条件:高圧水銀灯80W/cm(1灯)、照射距離10cm、ベルトスピード10m/minの条件で3回照射(合計:135mJ/cm2)
得られた硬化塗膜をJIS K 7204に記載された方法で、テーバー式摩耗試験を行った。試験前後のヘイズ変化を測定し、耐傷つき性を評価した。ヘイズ値の変化が大きいほど耐傷つき性に劣ることを意味する。
【0042】
(硬化膜の破断伸度とヤング率)
上記の方法で硬化させた膜厚100μmの硬化膜を用いて破断伸度とヤング率を測定した。
試験片: 幅6mm、長さ5cm(チャック間距離2.5cm)
破断伸度:引張速度50mm/分で引っ張り、破断時の自長に対する伸び率とした。
ヤング率:引張速度50mm/分で引っ張り、伸度2.5%時の荷重−伸度曲線の傾きより算出した。
【0043】
(ガラスとの密着性)
上記硬化性試験で使用した基材をポリエチレンテレフタレートフィルムからガラス板に変更した以外は上記と同様の条件で塗布、硬化し、JIS K 5400に記載された方法で碁盤目セロハンテープ剥離試験を行い、ガラスに対する密着性を評価した。
【0044】
(貯蔵安定性)
塗料化してから1週間常温で放置した後の塗料外観を目視観察した。
【0045】
【表1】
【0046】
表1中、BS−575:荒川化学工業(株)製の多官能ウレタンアクリレート、BS−502R:荒川化学工業(株)製のPPG系ウレタンアクリレート、熱潜在性カチオン触媒:三新化学工業(株)製、商品名「サンエイドSI−60L」、光ラジカル開始剤:チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名「イルガキュア184」、光カチオン開始剤:旭電化工業(株)製、商品名「アデカオプトマーSP−170」を示す。
Claims (4)
- 水酸基含有(メタ)アクリルモノマーおよび/または水酸基含有(メタ)アクリルオリゴマー(a)と、テトラアルコキシシラン化合物またはその部分加水分解縮合物を含むアルコキシシラン化合物(b)とを、前記(b)成分のアルコキシシリル基のエステル交換率が1〜50%となるようエステル交換反応させて得られる反応生成物(A)、ならびに熱潜在性カチオン触媒を含有してなることを特徴とする熱硬化性および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- さらに、光ラジカル重合開始剤を含有してなる請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
- 重合性官能基を少なくとも1つ有する化合物(B)を配合してなる請求項1または2記載の硬化性組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物を、加熱および活性エネルギー線照射することにより硬化させることを特徴とする硬化方法。
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