JP3957462B2 - 熱硬化性および活性エネルギー線硬化性を有する硬化性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱硬化性と活性エネルギー線硬化性とを有する硬化性組成物に関し、更に詳しくは、積層塗工が要求される用途や転写用ハードコート用途に好適である硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
活性エネルギー線硬化樹脂は、その優れた作業性、硬化膜物性等より、塗料、インキ、接着分野など各種用途で賞用されている。しかし、用途拡大に伴い様々なシステムへの応用検討が進められている中で、活性エネルギー線硬化性と熱硬化性を併有する硬化材料の開発要請が高まっている。例えば、転写フィルムの分野で使用されるハードコート剤では、転写時にはクラックを防止するために柔軟性が要求され、しかも転写後は高硬度が要求される。しかしながら、現在市販されている活性エネルギー線硬化性ハードコート剤では、この相反する物性を十分満足できない。そこで特公平8−2727号公報に示されるようにガラス転移温度を規定した放射線硬化性樹脂を使用した転写シートが提案された。これは、転写後に放射線を照射しハードコート性を発現させるものである。しかしながら、この方法では、ガラス転移温度を規定するため、樹脂の組成が限定され、転写後のハードコート性に限界があるという問題があった。
【0003】
また活性エネルギー線硬化性樹脂を使用したコーティング剤を多層コートしてなる製品では、トップ層となるハードコート層が一般に架橋密度が高いため、当該トップ層とアンダーコート層との層間密着性が不十分となりやすい。この場合も、熱硬化性と活性エネルギー線硬化性とを有するアンダーコート層を使用し熱硬化により緩やかに硬化させ、その上にハードコート剤を塗工し、これら2層を同時に活性エネルギー線で硬化させれば、層間密着性に優れた樹脂設計が可能になると考えられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記実情に鑑み、積層塗工が要求される用途や転写用ハードコート用途に好適な硬化性組成物、すなわち加工時の柔軟性と最終皮膜の耐傷つき性とを併せ持つ硬化性組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、以下に示す方法により得られる硬化性組成物を用いた場合には、前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(a1)及び必要により用いる水酸基含有化合物(a2)とアルコキシシラン部分縮合物(b)とを無水条件下において脱アルコール縮合反応してなる反応物であって、前記(a1)成分の水酸基と(a2)成分の水酸基との合計当量/(b)成分のアルコキシル基の当量(当量比)が0.1〜0.4である反応生成物(A)を硬化性成分として含有することを特徴とする熱硬化性および活性エネルギー線硬化性を有する硬化性組成物に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の硬化性組成物における硬化性成分である反応生成物(A)は、水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(a1)(以下、(a1)成分という)、さらに必要に応じて水酸基含有化合物(a2)(以下、(a2)成分という)と、アルコキシシラン部分縮合物(b)(以下、(b)成分という)とを、特定比率で脱アルコール縮合させてなる反応生成物である。
【0008】
(a1)成分としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類などのε−カプロラクトン縮合物、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどがあげられる。また、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸等との反応により得られるエポキシ(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート共重合物と(メタ)アクリル酸との反応により得られるポリマ−、オリゴマー中に水酸基を有するように反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレートやポリウレタン(メタ)アクリレートなども含まれる。これらはそれぞれを単独で、または組み合わせて使用できる。
【0009】
(a2)成分としては、各種アルコール、ポリエステルポリオール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エポキシ樹脂などがあげられる。これらはそれぞれを単独で、または組み合わせて使用できる。
【0010】
(b)成分としては、酸又は塩基触媒の存在下、下記アルコキシシラン化合物および水を加え、部分的に加水分解、縮合したものを用いることができる。
【0011】
当該アルコキシシラン化合物としては、例えば、一般式(1):
R1 pSi(OR2)4−p
(式中、pは0または1を示す。R1は、炭素原子に直結した官能基を持っていてもよい低級アルキル基、アリール基または不飽和脂肪族残基を示す。R2はメチル基またはエチル基を示し、R2同士はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)で表される化合物を例示できる。
【0012】
アルコキシシラン部分縮合物(b)の構成原料である上記アルコキシシランの具体的としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等があげられる。
【0013】
上記アルコキシシラン部分縮合物(b)としては、当該構成原料であるアルコキシシラン化合物のうちのメトキシシラン類から得られるものが、(a1)成分や(a2)成分との反応性に富み、比較的低温で反応物を得ることができるため好ましく、特に汎用性を考慮するとテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシランが更に好ましい。
【0014】
アルコキシシラン部分縮合物(b)は、例えば次の一般式(2)または(3)で示される。一般式(2):
【0015】
【化1】
【0016】
(式中、R1は、炭素原子に直結した官能基を持っていてもよい低級アルキル基、アリール基又は不飽和脂肪族残基を示す。R2はメチル基またはエチル基を示し、R2同士はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【0017】
一般式(3):
【0018】
【化2】
【0019】
(一般式(3)中、R2は一般式(2)中のR2と同じ。)
【0020】
当該アルコキシシラン部分縮合物(b)の数平均分子量は230〜2000程度、一般式(2)および(3)において、平均繰り返し単位数nは2〜11が好ましい。nの値が11を超えると、溶解性が悪くなり、反応温度において、(a1)成分や(a2)成分との相溶性が著しく低下し、反応性が落ちる傾向があるため好ましくない。nが2未満であると反応途中に反応系外にアルコールと一緒に留去されてしまい好ましくない。
【0021】
本発明の硬化性組成物における反応生成物(A)は、(a1)成分およびアルコキシシラン部分縮合物(b)、並びに必要により(a2)成分を反応装置に仕込み、溶剤の存在下または無溶剤下に脱アルコール縮合反応させることにより得られる。(a1)成分および(a2)成分と、アルコキシシラン部分縮合物(b)との使用重量比は、反応生成物(A)中にアルコキシ基が実質的に残存するような割合であれば特に制限はされないが、(a1)成分の水酸基と(a2)成分の水酸基との合計当量/加水分解性アルコキシシラン部分縮合物(b)のアルコキシ基の当量(当量比)=0.1〜0.4であることが好ましい。更に好ましくは0.13〜0.35である。上記当量比が0.1未満であると未反応アルコキシシラン部分縮合物(b)が増え、熱硬化時の割れ、硬化膜の白化の原因となる。0.4を超えると反応生成物(A)に十分な熱硬化性が得られず好ましくない。
【0022】
反応生成物(A)の製造は、前記のように、溶剤存在下または無溶剤下で行うことができる。本発明における脱アルコール縮合反応では、反応温度は50〜130℃程度、好ましくは70〜110℃であり、全反応時間は1〜15時間程度である。この反応は、アルコキシシラン部分縮合物(b)自体の重縮合反応を防止するため、実質的に無水条件下で行う。また反応時間を短くするため、減圧下で行うこともできる。
【0023】
また、脱アルコール縮合反応に際し、(a1)成分の重合反応を防止するため、フェノチアジンなどの重合防止剤を反応系に対して10〜5000ppm、好ましくは50〜2000ppm使用したり、エアーバブリングを行うこともできる。
【0024】
上記の脱アルコール縮合反応に際しては、反応促進のために従来公知の触媒を使用することができる。該触媒としては、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、硼素、カドミウム、マンガンのような金属;これら金属の酸化物、有機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド等があげられる。これらのなかでも、特に有機錫、有機酸錫が好ましく、具体的には、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫等が有効である。
【0025】
上記の脱アルコール縮合反応は、溶剤存在下または無溶剤下で行うことができる。しかしながら、(a1)成分及び(a2)成分やアルコキシシラン部分縮合物(b)の分子量が大きい時には、反応温度において、反応系が不均一となる場合が見られ反応が進行しにくくなるため、溶剤を使用するのが好ましい。溶剤としては、(a1)成分、(a2)成分およびアルコキシシラン部分縮合物(b)を溶解し、且つこれらに対し非活性である有機溶剤であれば特に制限はない。このような有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトンなどの非プロトン性極性溶媒が例示できる。
【0026】
こうして得られた反応生成物(A)は、(a1)成分に由来する(メタ)アクリロイル基の作用に基づき、活性エネルギー線により硬化させることができ、また(b)成分に由来するアルコキシ基は溶剤の蒸発や加熱処理により、又は水分(湿気)との反応により、ゾル−ゲル反応や脱アルコール縮合して、相互に結合した硬化物を形成する。なお、ゾル-ゲル反応において、使用する(b)成分のアルコキシ基がメトキシ基の場合、特に触媒は必要ではないが、硬化促進の必要がある場合や、アルコキシ基がエトキシ基の場合には従来公知の酸又は塩基性触媒、金属系触媒などのゾル−ゲル硬化触媒を配合することが出来る。これらのなかでも、オクチル酸錫やジブチル錫ジラウレート、テトラプロポキシチタンなど金属系触媒が、活性が高く好ましい。量は特に限定されないが、硬化性成分にに対し0.5〜5重量%程度使用するのが好ましい。また、同時に水をアルコキシ基(アルコキシ基を1モルとして)に対して10〜200モル%使用するとアルコキシシリル基の加水分解が促進され、硬化が早くなる。
【0027】
本発明の硬化性組成物における硬化性成分である反応生成物(A)は、それ自体で本発明の硬化性組成物となるが、必要に応じて、他の硬化性成分として反応性希釈剤を配合できる。
【0028】
反応性希釈剤としては、たとえば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリ(繰り返し数1〜4程度)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノまたはポリ(繰り返し単位1〜3程度)エトキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレートなど(メタ)アクリル系モノマー;エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、プロペニルエーテルプロピレンカーボネート、アミノプロピルビニルエーテル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレンジビニルエーテル、ポリテトラエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテルなどのビニルエーテル基含有化合物等があげられる。また、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)エステルアクリレート等の(メタ)アクリル系オリゴマーを加えることもできる。
【0029】
これら硬化性成分からなる本発明の硬化性組成物は、活性エネルギー線として電子線等により硬化させる場合には光ラジカル開始剤が不要であるが、紫外線により硬化させる場合には、当該硬化性成分100重量部に対し、通常、光ラジカル開始剤を15重量部以下の割合で、好ましくは1〜10重量部の割合で使用する。光ラジカル開始剤としては、ダロキュア1173、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア907(いずれも、商品名,チバスペシャルティケミカルズ社製)、ベンゾフェノン等の各種公知のものを使用できる。
【0030】
さらに、本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、上記以外の各種添加剤、たとえば、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、レベリング剤、顔料などを本発明の目的を逸脱しない範囲で目的に応じて含有してもよい。また、当該組成物の粘度が高い場合は有機溶剤で希釈してもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明の硬化性組成物は、従来公知の各種コーティング用途に格別限定なく使用でき、特に積層塗工が要求される用途や転写用ハードコート用途に好適である。すなわち当該硬化組成物は、熱および活性エネルギー線で硬化するため、加工時の柔軟性と最終皮膜の耐傷つき性とを併せ持つ硬化物を提供できる。
【0032】
【実施例】
以下に、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお以下「部」及び「%」は、特記しない限りいずれも重量基準である。
【0033】
合成例1
撹拌機、温度計、分縮器、エアーバブリング装置および還流冷却器を備えたフラスコに、ペンタエリスリトールトリアクリレート341部、ポリ(テトラメトキシシラン)(多摩化学(株)製、商品名「メチルシリケート51」、平均繰り返し単位数4.0)359部、フェノチアジン0.7部、錫ジオクタノエート0.28部を仕込み110℃に昇温した。エアーバブリングしながら4時間保温後、メタノールの留出が停止したので冷却し、反応生成物1を676部(メタノール流出量から計算される反応率99%)得た。なお仕込み時の、ペンタエリスリトールトリアクリレートの水酸基の当量/アルコキシシシラン部分縮合物のアルコキシ基の当量(当量比)は0.1であった。
【0034】
合成例2
合成例1のペンタエリスリトールトリアクリレートを301部、ポリ(テトラメトキシシラン)を391部にかえた以外は同様にして反応を行なった。5時間保温後、メタノールの留出が停止したので冷却し、反応生成物2を678部(メタノール流出量から計算される反応率100%)得た。なお仕込み時の、ペンタエリスリトールトリアクリレートの水酸基の当量/アルコキシシシラン部分縮合物のアルコキシ基の当量(当量比)は0.09であった。
【0035】
合成例3
合成例1のペンタエリスリトールトリアクリレートを511部、ポリ(テトラメトキシシラン)をポリ(メチルトリメトキシシラン)(多摩化学(株)製、商品名「MTMS-A」、平均繰り返し単位数3.2)189部にかえた以外は同様にして反応を行なった。6時間保温後、メタノールの留出が停止したので冷却し、反応生成物3を667部(メタノール流出量から計算される反応率91%)を得た。なお仕込み時の、ペンタエリスリトールトリアクリレートの水酸基の当量/アルコキシシシラン部分縮合物のアルコキシ基の当量(当量比)は0.39であった。
【0036】
合成例4
合成例1のペンタエリスリトールトリアクリレートを529部、ポリ(テトラメトキシシラン)をポリ(メチルトリメトキシシラン)(多摩化学(株)製、商品名「MTMS-A」、平均繰り返し単位数3.2)171部にかえた以外は同様にして反応を行なった。7時間保温後、メタノールの留出が停止したので冷却し、反応生成物4を668部(メタノール流出量から計算される反応率85%)得た。なお仕込み時の、ペンタエリスリトールトリアクリレートの水酸基の当量/アルコキシシシラン部分縮合物のアルコキシ基の当量(当量比)は0.44であった。
【0037】
合成例5
合成例1のペンタエリスリトールトリアクリレートをポリテトラメチレングリコール(分子量650)116部及び2−ヒドロキシエチルアクリレート248部にかえ、ポリ(テトラメトキシシラン)の仕込み量を336部に変えた以外は同様にして反応を行なった。5時間保温後、メタノールの留出が停止したので冷却し、反応生成物5を624部(メタノール流出量から計算される反応率95%)得た。なお仕込み時の、ポリテトラメチレングリコールの水酸基と2−ヒドロキシエチルアクリレートの水酸基との合計当量/アルコキシシラン部分縮合物のアルコキシ基の当量(当量比)は0.35であった。
【0038】
実施例1〜4および比較例1〜3
合成例1、2、3、4および5で得た各反応生成物(順に反応生成物1、2、3、4、5という)とその他の成分とを表1に示すような割合で配合し、各種の硬化性組成物を調製し、これら硬化性組成物について以下の性能評価試験を行なった。評価結果を表2に示す。
【0039】
(熱硬化性)
各組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーター#6で塗布し、150℃の循風乾燥機中で1分間乾燥し、各塗膜を得た。当該塗膜表面のタックの有無を指触にて評価した。
○:タックなし、 △:ややタック残あり、 ×:未硬化
【0040】
(加工性)
熱硬化試験で得られた塗膜の加工性を屈曲試験機(心棒2mm使用)により評価した。
○:変化なし、 △:細かい割れあり、 ×:割れが多い
【0041】
(活性エネルギー線硬化性)
熱硬化試験で得られた塗膜に、高圧水銀灯80W/cm(1灯)、照射距離10cm、ベルトスピード20m/minの条件で活性エネルギー線を照射した。当該塗膜を爪で擦っても傷がつかなくなるまで同様の照射を繰り返し、その照射回数を測定した。なお、1パスの照射量は26mJ/cm2である。
【0042】
(耐傷つき性)
上記の活性エネルギー線硬化性試験を実施した塗膜をスチールウールで擦り、当該摩擦個所の表面を目視観察し、以下の基準で評価した。
○:変化なし、 △:細かいキズあり、 ×:大きなキズあり
【0043】
(層間密着性)
熱硬化した硬化膜上にハードコートタイプウレタンアクリレート(荒川化学工業(株)製、商品名「ビームセット575CB」)をバーコーター#3で塗工した後、UV照射にて硬化させた。ついで当該多層硬化皮膜につき、碁盤目セロハンテープ剥離を行い、層間密着性を評価した。なお。比較例2および3では、熱硬化では硬化膜を形成しないため、さらにUV照射し硬化膜を形成させたものを使用し評価を行った。
○:剥離なし、 △:一部剥離、 ×:全面剥離
【0044】
【表1】
【0045】
表1中、各成分は次のとおりである。
PET3A:ペンタエリスリトールトリアクリレート
ウレタンアクリレート:3官能ウレタンアクリレート、荒川化学工業(株)製、商品名「ビームセット550B」
触媒:オクチル酸スズ
開始剤:ランベルティ社製、商品名「イザキュアーKIP150」
【0046】
【表2】
【0047】
表1および表2から明らかなように、本発明の硬化性組成物は、熱および活性エネルギー線で硬化するため、加工時の柔軟性と最終皮膜の耐傷つき性とを併せ持つ硬化物を提供できるものであり、特に積層塗工が要求される用途や転写用ハードコート用途に好適であることが分かる。
Claims (6)
- 水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(a1)及び必要により用いる水酸基含有化合物(a2)とアルコキシシラン部分縮合物(b)とを無水条件下において脱アルコール縮合反応してなる反応物であって、前記(a1)成分の水酸基と(a2)成分の水酸基との合計当量/(b)成分のアルコキシル基の当量(当量比)が0.1〜0.4である反応生成物(A)を硬化性成分として含有することを特徴とする熱硬化性および活性エネルギー線硬化性を有する硬化性組成物。
- 前記脱アルコール縮合反応を、重合防止剤の存在下および/またはエアーバブリング下で行うことを特徴とする、請求項1記載の硬化性組成物。
- 前記脱アルコール縮合反応を、更に70〜110℃、1〜15時間で行うことを特徴とする、請求項1または2記載の硬化性組成物。
- 積層塗工用に用いられる請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
- 転写用に用いられる請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物を一層に有する、多層硬化被膜。
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