JP6039349B2 - 活性エネルギー線硬化性コーティング用樹脂組成物 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性コーティング用樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、プラスチック成型体やフィルムなど過度に熱をかけることができない材料に対して、付着性がよく、耐薬品性に優れ、さらには高い表面硬度と擦傷性を有しながら柔軟性や耐衝撃性にも優れた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に関する。さらには耐候性にも優れており、屋外での使用にも適した活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に関する。
近年、金属やガラスの代替としてアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂、PET樹脂等のプラスチック材料が広く使用されている。しかしながら、これらプラスチック材料は表面硬度が低く、耐薬品性や表面傷付き性が充分ではないという問題がある。そこで、プラスチック材料の表面に種々のコーティング材料を塗布し、性能を向上させるという手法が取られてきた。例えば、熱硬化型のウレタン塗料を塗布し、プラスチック基材の耐熱温度以下で塗膜を形成する方法がある(特許文献1)。しかしながら、架橋密度を上げることで耐薬品性を向上させることはできるが、表面硬度と耐擦り傷性は充分ではない。
そこで短時間で硬化が可能で、表面硬度および耐擦り傷性を上げる手法として、多官能アクリレートと光重合開始剤などからなるコーティング液にUV光などの活性エネルギー線を照射することが報告されている(特許文献2)。本手法では、熱硬化型のウレタン塗料と比較して高い表面硬度が得られるが、耐擦り傷性は充分とは言えず、耐衝撃性や柔軟性は満足いくものではない。
また、加水分解性シラン化合物にUV光などの活性エネルギー線を照射することで、ハードコート膜を得る方法も報告されている(特許文献3)。本手法においても、高い表面硬度は得られるが、耐擦り傷性は充分ではなく、特に加水分解性シリル基の加水分解縮合に起因する硬化収縮から、耐衝撃性や柔軟性は乏しい。
以上のように、プラスチック基材等を傷めないために、低温硬化やUV等の活性エネルギー線照射による短時間硬化により、耐薬品性や表面硬度を向上させる手法が数多く報告されているが、耐擦り傷性と耐衝撃性は充分ではない。このため表面硬度の他に、被塗物をポケットや容器に入れて持ち運んだり、落下などの衝撃を受けても充分に耐え得る高い耐擦り傷性と柔軟性や耐衝撃性を両立するコーティング剤の開発が求められていた。またウレタンアクリレートやエポキシアクリレートなどを用いた活性エネルギー線照射タイプでは充分ではなかった耐候性にも優れるコーティング剤の開発が求められていた。
特開2008−296539号公報 特許第3096861号公報 特開2000−109695号公報
本発明が解決しようとする課題は、軽量化を主目的に金属やガラスの代替として広く使われるようになったプラスチック基材等の表面を改質するためのコーティング剤の提供であり、より詳しくは、プラスチック基材等へ塗布した際に、優れた透明硬化塗膜が形成可能であり、また使用に際して充分な表面硬度と耐擦り傷性を有しながら、耐衝撃性や柔軟性に優れ、屋外の使用にも適した耐候性を有する活性エネルギー線等で短時間硬化が可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、一分子中に特定の構造で結合した不飽和二重結合と加水分解性シリル基を有する化合物と特定の光重合開始剤、特定の光酸発生剤を含有するコーティング用樹脂組成物によって、高圧水銀灯などを用いたUV照射により短時間で透明な硬化塗膜が形成され、得られた塗膜は、良好な表面硬度と耐擦り傷性を示し、且つ耐衝撃性と柔軟性にも優れることを見出した。
すなわち本願は、
一般式(I)で表される分子内にエチレン性不飽和二重結合と加水分解性シリル基を有する化合物(A)と

W−Xa−Y−Zb−SiR c−(OR3-c (I)

(式中、Wはエチレン性不飽和二重結合を有する基を示し、Xはメチレン基またはアルキレンオキサイド基単位を示し、aは2〜8の整数であり、環構造を含んでいてもよい。Yは2価の官能基を示し、その構造中に酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含んでいてもよい。Zはメチレン基を示し、bは2〜5の整数である。Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基を示し、cは0〜2の整数である。)と光重合開始剤(B)と、光酸発生剤(C)を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物(請求項1)。
前記化合物(A)におけるWが(メタ)アクリロイル基である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物(請求項2)。
前記化合物(A)におけるYがウレタン基、チオウレタン基、尿素基、エーテル基からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1または2の一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物(請求項3)。
前記化合物(A)100重量部に対して、平均粒子径が100nm以下の金属酸化物微粒子(D)を0〜200重量部含有することを特徴とする請求項1から3の一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物(請求項4)。
前記金属酸化物微粒子(D)が、シリカ粒子であることを特徴とする請求項1から4の一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物(請求項5)。
前記金属酸化物微粒子(D)が、ラジカル重合性基を有することを特徴とする請求項1から5の一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物(請求項6)。
前記光酸発生剤(C)が、芳香族スルホニウム塩若しくは芳香族ヨードニウム塩であることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物(請求項7)。
前記光酸発生剤(C)のカウンターアニオンが、フルオロフォスフォネート系若しくはフルオロスルフォネート系であることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物(請求項8)。
請求項1〜8の何れか一項に記載の硬化性組成物を含有するプラスチック用活性エネルギー線硬化性組成物(請求項9)。
請求項1〜8の何れか一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を塗装した塗装体(請求項10)。
請求項1〜8の何れか一項に記載の硬化性組成物を含有する活性エネルギー線ハードコート用硬化性組成物(請求項11)。
請求項1〜8の何れか一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を基材に塗布し、活性エネルギー線を照射する塗膜の製造方法(請求項12)。
本発明に係る活性エネルギー線硬化性組成物は、基材に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化皮膜を形成することができる。本発明に係る活性エネルギー線硬化性組成物を基材表面に塗布し硬化させることによって、硬化皮膜が基材表面に形成された積層体を作製することができる。本発明に係る活性エネルギー線硬化性組成物は、一液型硬化性組成物として好適に使用することができる。本発明による活性エネルギー線硬化性組成物を用いた場合、塗装後、高圧水銀灯やメタルハライドランプ、発光ダイオードなどを用いたUV照射により、短時間で、表面硬度と耐擦り傷性が良好で、加えて優れた耐衝撃性と柔軟性を有する塗膜を得ることができる。
以下に本発明をその実施の形態に基づき詳細に説明する。
(A)分子内にエチレン性不飽和二重結合と加水分解性シリル基を有する化合物
本発明の分子内にエチレン性不飽和二重結合と加水分解性シリル基を有する化合物は(A)一般式(I)で表される構造を有する化合物である。
W−Xa−Y−Zb−SiR c−(OR3-c (I)
(式中、Wはエチレン性不飽和二重結合を有する基を示し、Xはメチレン基またはアルキレンオキサイド基単位を示し、aは2〜8の整数であり、環構造を含んでいてもよい。Yは2価の官能基を示し、その構造中に酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含んでいてもよい。Zはメチレン基を示し、bは2〜5の整数である。Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基を示し、cは0〜2の整数である。)。
Wは、エチレン性不飽和二重結合を有する基であり、例えば、ビニル基、アリル基、メタリル基、(メタ)アクリロイル基、を挙げることができ、ビニル基、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
Xは、メチレン基またはアルキレンオキサイド基単位を示し、アルキレンオキサイド基としては、例えば、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基やこれらのブロック化合物を挙げることができ、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基が好ましい。
Yは2価の官能基を示し、その構造中に酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含んでいてもよい。2価の官能基としては、例えば、カルボニル基、エーテル基、カルバメート基、イミノ基、尿素基を挙げることができ、エーテル基、カルバメート基が好ましく、特にウレタン結合やチオウレタン結合などのカルバメート基やエーテル基が好ましい。
は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を挙げることができ、メチル基、エチル基が好ましい。
は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基を挙げることができ、メチル基、エチル基が好ましい。
エチレン性不飽和二重結合と加水分解性シリル基を有する化合物(A)の分子量は、150〜2000が好ましく、300〜1000がより好ましい。
本発明の硬化性組成物中の単量体全量に占めるエチレン性不飽和二重結合と加水分解性シリル基を有する化合物(A)の割合が高い方が、表面硬度と耐擦り傷性が良好で、かつ耐衝撃性と柔軟性にも優れる塗膜を得ることができるため好ましい。硬化性組成物中の単量体全量に占める(A)成分の割合としては、30重量%〜100重量%が好ましく、50重量%〜100重量%がより好ましく、70重量%〜100重量%がさらにより好ましい。
本発明に使用可能な加水分解性シリル基を有する化合物(A)は、市販品を使用することも可能であるが、以下の化合物などを反応させることにより合成してもよい。(a)加水分解性シリル基含有イソシアナート化合物、(b)加水分解性シリル基含有アミン化合物、(c)加水分解性シリル基含有チオール化合物、(d)アルコール性水酸基含有エチレン性不飽和化合物、(e)モノイソシアナート含有エチレン性不飽和化合物、(f)グリシジル基含有エチレン性不飽和化合物。
(a)加水分解性シリル基含有イソシアナート化合物
加水分解性シリル基含有イソシアナート化合物(a)としては、下記一般式(II)で表されるアルコキシシリル基とイソシアナート基を一分子中に有する化合物が有用である。
SiR c−(OR3-c (II)
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基を示し、cは0〜2の整数である。)。
前記一般式(II)において、(OR13-c は本発明の組成物の硬化性が良好になるという点から、cが0または1であることが好ましい。OR1またはR2が複数個の場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。
加水分解性シリル基含有イソシアナート化合物(a)の具体例としては、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランやγ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらの加水分解性シリル基含有イソシアナート化合物(a)は単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。
(b)加水分解性シリル基含有アミン化合物
加水分解性シリル基含有アミン化合物(b)としては、上記一般式(II)で表されるアルコキシシリル基とアミノ基を一分子中に有する化合物が有用である。
またアミノ基は、イソシアナート基やグリシジル基との反応に使用するため、1級若しくは2級のアミノ基が好ましい。
加水分解性シリル基含有アミン化合物(b)の具体例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−フェニルアミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)アミン、ビス(トリエトキシシリル)アミンなどが挙げられる。これらの加水分解性シリル基含有アミン化合物(b)は単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。
(c)加水分解性シリル基含有チオール化合物
加水分解性シリル基含有チオール化合物(c)としては、上記一般式(II)で表されるアルコキシシリル基とチオール基を一分子中に有する化合物が有用である。
加水分解性シリル基含有チオール化合物(c)の具体例としては、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシランやγ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランγ-メルカプトプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
これらの加水分解性シリル基含有チオール化合物(c)は単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。
(d)アルコール性水酸基含有エチレン性不飽和化合物
アルコール性水酸基含有エチレン性不飽和化合物(d)としては、ビニル基やアリル基、(メタ)アクリロイル基を有するアルコール性水酸基化合物が有用である。
アルコール性水酸基含有エチレン性不飽和化合物(d)の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、1,4シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、4−ヒドロキシスチレンビニルトルエン、東亞合成化学工業(株)製のアロニクス5700、4−ヒドロキシスチレン、日本触媒化学工業(株)製のHE−10、HE−20、HP−1およびHP−2(以上、何れも末端に水酸基を有するアクリル酸エステルオリゴマー)、日本油脂(株)製のブレンマーPPシリーズ、ブレンマーPEシリーズ、ブレンマーAEシリーズ、ブレンマーAPシリーズ等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート誘導体、水酸基含有化合物とε―カプロラクトンとの反応により得られるε―カプロラクトン変性ヒドロキシアルキルビニル系共重合体化合物PlaccelFM−1、FM−4(以上ダイセル化学工業(株)製)、TONEM−201(UCC社製)、HEAC−1(ダイセル化学工業(株)製)等のポリカーボネート含有ビニル系化合物などが挙げられる。
中でも、加水分解性シリル基含有イソシアナート化合物(a)との反応性や得られる塗膜の耐擦り傷性、耐衝撃性のバランスなどから、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、繰り返し単位が2〜5個のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートが好ましい。特に、反応性の観点からは、アクリレートが好ましい。
(e)モノイソシアナート含有エチレン性不飽和化合物
モノイソシアナート含有エチレン性不飽和化合物(e)としては、入手のしやすさなどからα,β−エチレン性不飽和モノイソシアネートが有用である。
モノイソシアナート含有エチレン性不飽和化合物(e)の具体例としては、(メタ)アクリロキシイソシアナートやβ−(メタ)アクリロキシエチルイソシアナート、γ−イソプロペニルーα,α’−ジメチルベンジルイソシアナートなどが挙げられる。
(f)グリシジル基含有エチレン性不飽和化合物
グリシジル基含有エチレン性不飽和化合物(f)としては、ビニル基やアリル基、(メタ)アクリロイル基を有するグリシジル基化合物が有用である。
グリシジル基含有エチレン性不飽和化合物(f)の具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレートやアリルグリシジルエーテル、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルなどが挙げられる。
目的とする分子内にエチレン性不飽和二重結合と加水分解性シリル基を有する化合物(A)は、これらのうち、(a)と(d)、(b)と(e)、(b)と(f)或いは(c)と(e)の組み合わせにて反応させることにより合成できる。
その際、加水分解性シリル基含有化合物(a)、(b)、(c)に対するエチレン性不飽和化合物(d)、(e)、(f)のモル比(a)/(d)、(b)/(e)、(b)/(f)或いは(c)/(e)が0.8〜1.2とすることが、得られる塗膜の耐擦り傷性と耐衝撃性の点から好ましく、0.9〜1.1とすることがより好ましい。
また反応時には、温度や反応の制御の点から溶媒を使用してもよい。溶媒としては特に限定はなく、公知の芳香族系、脂肪族炭化水素系、エーテル系、ケトン系、エステル系、アルコール系等の溶媒を用いることができる。
反応時の温度は、各反応系での反応速度で調節すればよいが、温度が高くなればエチレン性不飽和基の重合反応が起こりやすくなるため、20℃〜100℃とすることがよい。また温度を上げる場合には、メトキノンやハイドロキノンなどの重合禁止剤を配合しておくとよい。
また加水分解性シリル基含有化合物(a)、(b)、(c)は系中の水分により加水分解反応やそれに続く縮合反応を起こすため、反応系中に脱水剤を配合しておくことも有効である。
脱水剤としては、例えば、オルソ蟻酸メチル、オルソ蟻酸エチルもしくはオルソ蟻酸ブチル等のオルソ蟻酸アルキル;オルソ酢酸メチル、オルソ酢酸エチルもしくはオルソ酢酸ブチル等のオルソ酢酸アルキル;またはオルソほう酸メチル、オルソほう酸エチル、オルソほう酸ブチル等のオルソほう酸アルキル等のオルソカルボン酸エステルや、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等の高活性シラン化合物などが挙げられる。
脱水剤の使用量としては、分子内にエチレン性不飽和二重結合と加水分解性シリル基を有する化合物(A)100重量部に対して0.1重量部以上10重量部以下であることが好ましい。
(B)光重合開始剤
本発明における(B)成分である光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインモノメチルエ−テル、ベンゾインイソプロピルエ−テル、アセトイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタ−ル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、メチルフェニルグリオキシレ−ト、エチルフェニルグリオキシレ−ト、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどの硫黄化合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。IRGACURE184やIRGACURE819などのIRGACUREシリーズやDAROCUR1173やDAROCUR TPOなどのDAROCURシリーズ(以上、BASF社製)、KAYACURE DETX−S、KAYACURE CTXなどのKAYACUREシリーズ(以上、日本化薬社製)、TAZ−101、TAZ−110などのTAZシリーズ(以上、みどり化学社製)等が市販されている。
(B)成分の添加量は、生成するラジカルの発生量、目的の分子量に応じて調整が必要だが、化合物(A)100重量部に対し、0.05〜30重量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜10重量部となる量である。0.05重量部未満では生成するラジカルが不足し、得られる塗膜の硬度や耐擦り傷性が充分ではない傾向にあり、30重量部を越えると塗膜外観の低下や着色などの問題が発生する傾向にある。
(C)光酸発生剤
本発明における(C)成分である光酸発生剤は、活性エネルギー線に暴露されることにより酸を発生する化合物であり、たとえばトルエンスルホン酸または四フッ化ホウ素などの強酸、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩またはセレニウム塩などのオニウム塩類;鉄−アレン錯体類;シラノール−金属キレート錯体類;ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、イミドスルホネート類、ベンゾインスルホネート類などのスルホン酸誘導体;有機ハロゲン化合物類など、特開平5−134412号公報に示される放射線の照射により酸を発生する化合物があげられる。
上記の光酸発生剤の中で、芳香族スルホニウム塩若しくは芳香族ヨードニウム塩が化合物(A)との安定性が高く入手しやすいという点から好ましい。スルホン酸誘導体としては、たとえば米国特許第4618564号公報に示されるベンソイントシレート、ニトロベンジルトシレート、コハク酸イミドトシルスルホネートなどのスルホン酸エステル類;米国特許第4540598号公報、特開平6−67433号公報に示されるα−(4−トシルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニドなどのオキシムスルホネート類;特開平6−348015号公報に示されるトリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼンなど;特開昭64−18143号公報に示される9,10−ジアルコキシアントラセンスルホン酸ニトロベンジルエステルなど;N−(p−ドデシルベンゼンスルホニルオキシ)−1,8−ナフタルイミドなどがあげられる。有機ハロゲン化合物類としては、たとえば2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)ビニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどの特開昭55−32070号公報、特開昭48−36281号公報、特開昭63−238339号公報に示されるハロゲン含有トリアジン化合物;特開平2−304059号公報に示される2−ピリジル−トリブロモメチルスルホンなどのハロゲン含有スルホン化合物;トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェートなどのハロゲン化アルキルリン酸エステル;2−クロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジンなどのハロゲン含有へテロ環状化合物;1,1−ビス[p−クロロフェニル]−2,2,2−トリクロロエタン、塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル共重合体、塩素化ポリオレフィンなどのハロゲン含有炭化水素化合物などがあげられる。
中でも芳香族スルホニウム塩若しくは芳香族ヨードニウム塩のカウンターアニオンがフルオロフォスフォネート系、フルオロアンチモネート系若しくはフルオロスルフォネート系であることが、硬化が速く、プラスチック基材への付着性に優れるという点から好ましい。安全性を考慮すると、フルオロフォスフォネート系若しくはフルオロスルフォネート系であることが特に好ましい。
(C)成分の添加量は、生成する酸の発生量、発生速度に応じて調整が必要だが、化合物(A)の固形分100重量部に対し、0.05〜30重量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜10重量部となる量である。0.05重量部未満では生成する酸が不足し、得られる塗膜の硬度や耐擦り傷性が充分ではない傾向にあり、30重量部を越えると塗膜外観の低下や着色などの問題が発生する傾向にある。
本発明では光酸発生剤(C)のみで、つまり(C)以外の加水分解性シリル基の縮合触媒を配合しなくても硬化性組成物を硬化させることができる。加水分解性シリル基の縮合触媒を配合した場合には、一液硬化性組成物の貯蔵安定性が低下する傾向がある。(C)以外の加水分解性シリル基の縮合触媒の配合量は、化合物(A)の固形分100重量部に対し、1重量部未満が好ましく、さらに好ましくは0.1重量部未満であり、実質的に含有しないことがさらにより好ましい。(C)以外の加水分解性シリル基の縮合触媒としては、例えば、有機錫触媒、チタニウム触媒、ジルコニウム触媒、アルミニウム触媒、カルボン酸触媒等を挙げることができる。
(D)金属酸化物微粒子
本発明における(D)成分である金属酸化物微粒子としては、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、酸化スズ(SnO2)、ジルコニア(ZrO2)、酸化亜鉛(ZnO)、チタニア(TiO2)、ITO(スズ・酸化インジウム)、酸化アンチモン(Sb23、Sb25)、及びこれらの複合微粒子等を挙げることができる。
中でも、高硬度の観点から、シリカ、アルミナ、ジルコニア及び酸化アンチモンが好ましい。特に、シリカ微粒子およびアルミナ微粒子が入手のしやすさやコスト、表面硬度などから好ましい。これらは1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
このような金属酸化物微粒子は、粉体状又は溶剤分散ゾルであることが好ましい。溶剤分散ゾルである場合、他の成分との相溶性、分散性の観点から、分散媒は、有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、アルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルが好ましい。
金属酸化物微粒子(D)の粒子径としては平均一次粒子径が100nm以下、好ましくは30nm以下である。平均一次粒子径が100nmを超えると、得られる塗膜の透明性が損なわれる傾向にある。
市販されているシリカ微粒子分散品としては、コロイダルシリカとして、メタノ−ルシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、MIBK−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等(以上、日産化学工業(株)製)、OSCALシリーズ(日揮触媒化成(株)製)等を挙げることができる。また粉体シリカとしては、アエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50等(以上、日本アエロジル(株)製)、シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122等(以上、旭硝子(株)製)、E220A、E220等(以上、日本シリカ工業(株)製)、SYLYSIA470(富士シリシア(株)製)、SGフレ−ク(日本板硝子(株)製)等を挙げることができる。
また、アルミナ微粒子分散品としては、NANOBYK−3601、NANOBYK−3602、NANOBYK−3610等(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、アルミナのイソプロパノール分散品としては、AS−150I等(住友大阪セメント(株)製)、アルミナのトルエン分散品としては、AS−150T(住友大阪セメント(株)製);ジルコニアのトルエン分散品としては、HXU−110JC(住友大阪セメント(株)製);アルミナ、チタニア、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛等の粉末及び溶剤分散品としては、商品名:ナノテック等(シーアイ化成(株)製)等を挙げることができる。
中でも、MIBK−SDやMEK−AC2101、MEK−AC4101、MEK−2202、MEK−AC5101等(以上、日産化学工業(株)製)は、重合性不飽和二重結合で変性されているため、活性エネルギー線照射時に、本発明の分子内にエチレン性不飽和二重結合と加水分解性シリル基を有する化合物(A)と結合を形成することが可能で、塗膜の硬度や耐擦り傷性がより向上するため好ましい。
(D)成分を使用する場合、その添加量は化合物(A)の固形分100重量部に対し、10〜1000重量部が好ましく、さらに好ましくは30〜500重量部となる量である。10重量部未満では、(D)成分配合による硬度や耐擦り傷性の向上が充分ではない傾向にあり、1000重量部を越えると塗膜外観の低下や平滑性などの問題が発生する傾向にある。
また本発明のコーティング剤組成物には、(B)成分や(C)成分の感光性を向上させる目的で、必要に応じて光増感剤を使用することができる。光増感剤としては、特に限定されないが、例えば、アントラセン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、アントラキノン誘導体、ベンゾイン誘導体等が挙げられ、より詳しくは、9,10−ジアルコキシアントラセン、2−アルキルチオキサントン、2,4−ジアルキルチオキサントン、2−アルキルアントラキノン、2,4−ジアルキルアントラキノン、p,p‘−アミノベンゾフェノン、2−ヒドロキシー4−アルコキシベンゾフェノン、ベンゾインエーテル等が挙げられる。さらに具体的には、アントロン、アントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、9−エトキシアントラセン、ピレン、ペリレン、コロネン、フェナントレン、ベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、2−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイル安息香酸ブチル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−i−ブチルエーテル、9−フルオレノン、アセトフェノン、p,p′−テトラメチルジアミノベンゾフェノン、p,p′−テトラエチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フェノチアジン、アクリジンオレンジ、ベンゾフラビン、セトフラビン−T、2−ニトロフルオレン、5−ニトロアセナフテン、ベンゾキノン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、N−アセチル−p−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、N−アセチル−4−ニトロ−1−ナフチルアミン、ピクラミド、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、3−メチル−1,3−ジアザ−1,9−ベンズアンスロン、ジベンザルアセトン、1,2−ナフトキノン、3,3′−カルボニル−ビス(5,7−ジメトキシカルボニルクマリン)、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン等が挙げられる。光増感剤は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
光増感剤は、使用する(B)成分や(C)成分では吸収できない波長域の光を吸収できるものがより効率的であるため、吸収波長域の重なりが少ないものがよい。
光増感剤を使用する場合の添加量は、目的とする硬化速度に応じて適宜調整すればよいが、光重合開始剤(B)と光酸発生剤(C)の合計100重量部に対し、1〜300重量部が好ましく、さらに好ましくは10〜100重量部となる量である。1重量部未満では目的とする増感剤の効果が得られにくく、300重量部を越えると塗膜が着色したり、コストアップに繋がる。
本硬化性組成物には、溶剤を配合することができる。溶剤として特に制限はないが、使用する基材がプラスチックの場合には、基材の耐溶剤性が低いことが多いため、メチルイソブチルケトンやジイソブチルケトンなどのケトン類、ブタノールやイソプロピルアルコールなどのアルコール類、酢酸ブチルや酢酸イソプロピルなどのエステル類、ジエチレングリコールメチルエーテルやプロピレングリコールメチルエーテルなどのエーテル類が好ましい。溶剤の配合量としては、(A)成分100重量部に対して、0〜200重量部が好ましく、0〜100重量部がより好ましい。溶剤の配合量が多くなると、上記のごとく基材を傷める可能性があるため好ましくない。
また活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線などをあげることができるが、反応速度が速く、エネルギー線発生装置が比較的安価であるという点からは、紫外線が最も好ましい。活性エネルギー線の照射量としては、50mJ〜10,000mJの積算光量が好ましく、100mJ〜2,000mJの積算光量がより好ましい。本発明の硬化性組成物の硬化温度には特に限定はなく、活性エネルギー線照射によって室温で硬化塗膜を得ることができる。
得られた活性エネルギー線硬化性組成物には、必要に応じて無機顔料や有機顔料、可塑剤、分散剤、湿潤剤、増粘剤、消泡剤などの通常塗料に用いられる添加剤を添加することもできる。
得られた活性エネルギー線硬化性組成物は、例えば金属、セラミックス、ガラス、セメント、窯業系基材、プラスチック、フィルム、シート、木材、紙、繊維などからなる建築物、家電用品、産業機器などの塗装に好適に使用できる。特に、活性エネルギー線の照射しやすさから、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂、PET樹脂等のプラスチック、フィルム、シートなどの基材に好適に使用できる。プラスチック、フィルム、シートなどのハードコートとして用いる場合には、塗膜は2〜100μmであることが好ましい。2μm以下では、プラスチック、フィルム、シート自体の硬度の影響を受けやすく、十分な硬度が得られない傾向があり、100μm以上では、化合物(A)中のアルコキシシル基の深部での硬化が遅くなる傾向がある。100μm以上の厚みを必要とする場合には、数回に分けて、塗装と活性エネルギー線の照射を繰り返すことが好ましい。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
(使用した材料)
(エチレン性不飽和二重結合と加水分解性シリル基を有する化合物(A))
(合成例1)
攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロ−トを備えた反応器に表1の(a)成分と(d)成分および溶剤、メトキノンを仕込み、撹拌しながら窒素ガスを導入して75℃に昇温した。その後、75℃に保持したまま8時間反応を続けた。IRでイソシアネートのピークが消失したことを確認した。50℃まで温度を下げたのち脱水剤を配合、撹拌して化合物(A−1)を得た。
Figure 0006039349
(合成例2〜6)
同様にして、表1の(a)〜(e)成分および溶剤、メトキノンを仕込み、IRにて2100cm-1付近のイソシアネート由来のピークが消失したことを確認し、化合物(A−2〜6)を得た。ブレンマーAE90は、日油(株)製のポリエチレングリコールモノアクリレートである。
(コーティング用樹脂組成物の作成方法)
表2に示すように(A)成分に対して、(B)成分、(C)成分およびその他成分を加え、攪拌機を用いて1000rpmで3分間混合し、コーティング用樹脂組成物を得た。
Figure 0006039349
なお、表2中の化合物の記号は次のとおりである。
DAROCUR1173:BASF社製 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン
IRGACURE184:BASF社製 1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン
CPI−100P:サンアプロ(株)製 トリアリールスルホニウム・PF6塩のプロピレンカーボネート溶液
CPI−101A:サンアプロ(株)製 トリアリールスルホニウム・SbF6塩のプロピレンカーボネート溶液
MIBK−ST:日産化学工業(株)製 シリカ微粒子のMIBK分散液(有効成分30%)
MIBK−SD:日産化学工業(株)製 シリカ微粒子のMIBK分散液(有効成分30% 重合性基変性物)。
(物性評価)
PMMAフィルム(SD009 125μm(株)カネカ製)に、表2で作製したコーティング用樹脂組成物をバーコーターを用いて、乾燥膜厚が約10μmとなるように塗布し、80℃で2分間溶剤除去のため乾燥した。次いで、空気中で無電極ランプバルブ(Light Hammmer:フュージョンUVシステムズ・ジャパン(株)製)を用い、240mWで、波長310〜390nmの積算光量が500mJ/cm2となるように活性エネルギー線を照射することで硬化させ、試験片とした。
・硬度
照射7日後にJIS K5600に準拠して、鉛筆硬度を評価した。
・耐擦傷性
照射7日後に消しゴム摩耗試験機((株)光本製作所製)を用い、スチールウール#0000に500g/cm2の荷重をかけて500回往復させ、塗膜に残った傷を観察し、下記の基準で評価した。
5:正面から見て傷が全くない
4:正面から見て数本の傷がある
3:数本から10本以内の浅い傷がある
2:傷が10本以上若しくは深い傷がある
1:深い傷がたくさんある若しくは塗膜が削り取られている
・耐衝撃性
照射7日後の試験板に直径17.5mmで重さが22gの鋼球を落下し、試験板の外観を目視観察した。鋼球を落下する高さを変更し、クラックが発生しなかった高さを評価した。
・柔軟性
照射7日後に、塗工した面を内側にして鉄芯に巻き付け、塗装板の状態を観察した。
○:φ=10mmの鉄芯に巻き付けて変化なし
△:φ=15mmの鉄芯に巻き付けて変化なし
×:φ=15mmの鉄芯に巻き付けたとき塗膜が割れた
・耐候性
サンシャインウエザオメーター(スガ試験機(株)製)を用いて耐候性試験を実施した。
○:2000Hrでクラックの発生や艶の低下などの変化なし
△:2000Hrで一部クラックが発生した
×:2000Hr以内に全体にクラックの発生や艶低下等、外観上著しい変化があった。
・耐薬品性
照射7日後に、表2に示す薬品をスポットし、80℃で1時間静置した後、脱脂綿で拭取り塗膜の状態を観察した。
○:変化なし
△:スポット跡が残る
×:塗膜が膨潤(溶解)している
コパトーン、ニベアとしては、下記のものを使用した。
コパトーン:コパトーンSPF50
ニベア :ニベアSPF47
実施例1〜10では、高い硬度と耐擦り傷性が得られた。シリカ微粒子を含有した場合には、さらに硬度と耐擦り傷性の向上が見られ、特に重合性反応基を有するシリカ微粒子を用いた実施例4および5で高い値を示した。また何れの実施例においても、耐衝撃性と柔軟性に優れた結果が得られ、本硬化性組成物の特長である硬度と耐擦り傷性および耐衝撃性と柔軟性のバランスが極めて良好な結果であった。さらには、日焼け止めクリームやニベアのような薬品に対する耐性にも優れ、屋外で使用するにも充分な耐候性を有していることも確認できた。
一方、本硬化性組成物の特長である加水分解性シリル基と不飽和二重結合基が特定の構造を有していない比較例1では、加水分解性シリル基の縮合反応と不飽和二重結合の重合による共有結合の形成により、硬度の高い硬い塗膜ではあるものの、耐擦り傷性は充分ではなく、また衝撃や柔軟性に弱い結果であった。分子内にエチレン性不飽和二重結合と加水分解性シリル基を有する化合物(A)を用いた場合でも、光酸発生剤のみを含有する比較例2や、光重合開始剤のみ含有する比較例3では、硬度や耐擦り傷性、耐薬品性を満足できるものではなかった。
以上のように、本活性エネルギー線硬化性組成物から得られるコーティング剤は、プラスチック基材等へ塗布した際に、優れた透明硬化塗膜が形成可能であり、また使用に際して充分な表面硬度と耐擦り傷性を有しながら、耐衝撃性や柔軟性に優れ、屋外の使用にも適した耐候性を有する塗膜を与えることが確認された。

Claims (12)

  1. 一般式(I)で表される分子内にエチレン性不飽和二重結合と加水分解性シリル基を有する化合物(A

    W−Xa−Y−Zb−SiR c−(OR3-c (I)

    (式中、Wはエチレン性不飽和二重結合を有する基を示し、Xはメチレン基またはアルキレンオキサイド基単位を示し、aは2〜8の整数であり、環構造を含んでいてもよい。Yはカルボニル基、エーテル基、ウレタン基、チオウレタン基、イミノ基、及び、尿素基からなる群から選ばれる少なくとも1つである。Zはメチレン基を示し、bは2〜5の整数である。Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基を示し、cは0〜2の整数である。)と光重合開始剤(B)と、光酸発生剤(C)とを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
  2. 前記化合物(A)におけるWが(メタ)アクリロイル基である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  3. 前記化合物(A)におけるYがウレタン基、チオウレタン基、尿素基、及び、エーテル基からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  4. 前記化合物(A)100重量部に対して、平均粒子径が100nm以下の金属酸化物粒子(D)を0〜200重量部含有することを特徴とする請求項13の何れか一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  5. 前記金属酸化物粒子(D)が、シリカ粒子であることを特徴とする請求項14の何れか一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  6. 前記金属酸化物粒子(D)が、ラジカル重合性基を有することを特徴とする請求項15の何れか一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  7. 前記光酸発生剤(C)が、芳香族スルホニウム塩若しくは芳香族ヨードニウム塩であることを特徴とする請求項16の何れか一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  8. 前記光酸発生剤(C)のカウンターアニオンが、フルオロフォスフォネート若しくはフルオロスルフォネートであることを特徴とする請求項17の何れか一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  9. 請求項1〜8の何れか一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を含有するプラスチック用活性エネルギー線硬化性組成物。
  10. 請求項1〜8の何れか一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を塗装した塗装体。
  11. 請求項1〜8の何れか一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を含有する活性エネルギー線ハードコート用硬化性組成物。
  12. 請求項1〜8の何れか一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を基材に塗布し、活性エネルギー線を照射する塗膜の製造方法。
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