JP2734320B2 - ポリカーボネート物品被覆用組成物並びにポリカーボネート物品及びその製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート物品被覆用組成物並びにポリカーボネート物品及びその製造方法

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JP2734320B2
JP2734320B2 JP31138892A JP31138892A JP2734320B2 JP 2734320 B2 JP2734320 B2 JP 2734320B2 JP 31138892 A JP31138892 A JP 31138892A JP 31138892 A JP31138892 A JP 31138892A JP 2734320 B2 JP2734320 B2 JP 2734320B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリカーボネート物品
をハードコート被覆するために用いられるポリカーボネ
ート物品被覆用組成物並びにこの組成物の硬化被膜が形
成されたポリカーボネート物品及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリカ
ーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱性、耐湿性、耐寒
性、透明性に優れているため、透明プラスチック材料と
して広く使用されているが、表面硬度が低いため傷つき
易く、かつ耐候性に乏しいといった欠点をもっている。
このため、これらの欠点を改良する目的でポリカーボネ
ート成型品の表面を種々のコーティング剤で被覆する方
法が提案されているが、いずれも十分満足できるもので
はない。
【0003】例えば、ポリカーボネート成型品の表面を
傷つきにくくする方法としては、(メタ)アクリル酸エ
ステルを塗布して紫外線硬化する方法及びアクリル系プ
ライマーを塗布・乾燥し、続いてオルガノポリシロキサ
ン系コーティング剤を塗布・加熱硬化する方法が知られ
ている(特公平4−2614号、特開平3−28763
4号公報等)。
【0004】しかしながら、前者の方法は硬化被膜の表
面硬度、耐水性、耐候性が十分満足すべきものではな
く、また硬化に伴う収縮が大きすぎる欠点を有してい
る。一方、後者の方法はプライマーコート及びトップコ
ートを二度塗布するため作業性が悪く、かつ調湿した作
業環境で塗布しないと表面白化しやすく、その上加熱硬
化に長時間を要するため生産性に乏しく、しかも硬化時
の熱によって基材が変形し易いといった欠点がある。
【0005】また、上記方法を改良するものとして、紫
外線硬化型オルガノポリシロキサンを用いる方法が知ら
れており、例えば特開昭61−111330号公報にお
いては、アクリル官能性シリコーン樹脂組成物が開示さ
れている。しかし、この組成物の硬化被膜は脆く、耐擦
傷性に劣る。更に、特開昭59−204669号公報に
は、メタクリロキシシラン加水分解物と多官能性アクリ
レート系とにコロイダルシリカを加え、耐擦傷性を向上
させることについて開示されている。しかし、この組成
物もまたポリカーボネート樹脂との密着性が悪く、かつ
メタクリロキシシラン加水分解物のシラノール基が残存
しているため、耐水性や耐湿性に乏しいという欠点があ
った。
【0006】一方、特公昭63−65115号公報に
は、エポキシ基含有シラン加水分解物をオニウム塩によ
る光分解型触媒を用いて開環重合させ、耐湿性に優れた
硬質被膜を得る方法が提案されている。しかし、この被
膜も残存水酸基の影響で光劣化し易く、そのため耐候性
の要求される外装用途(建築材料、車両窓材等)には不
適当であった。
【0007】更に、ポリカーボネート樹脂との密着性を
向上させる目的で、オルガノポリシロキサンの硬化の際
に収縮率の少ない光重合性官能基含有ラダー型ポリシロ
キサンを紫外線照射して硬質被膜を得る方法が特開平4
−33936号公報に開示されている。この光重合性官
能基含有ラダー型ポリシロキサンは重合度が高く、硬化
の際に体積減少が少ないことから、クラック等の欠点は
改良することができるが、ポリシロキサンの重合度が高
いため、ポリカーボネート樹脂に対する投錨効果に乏し
く、耐水性や耐アルカリ性に対して満足いくものではな
く、その上耐擦傷性も劣るものである。しかも、上記ラ
ダー型ポリシロキサンは生産性が悪く、収率も低いた
め、工業的に適した材料ではない。
【0008】従って、上述した紫外線硬化性被膜を有す
るポリカーボネート物品は、十分満足な特性を有するも
のとは言い難く、このため各種特性に優れた紫外線硬化
性樹脂で被覆されたポリカーボネート物品の開発が望ま
れていた。
【0009】本発明は上記要望に応えるためになされた
もので、短時間の紫外線照射で容易に硬化し、ポリカー
ボネート樹脂に対する接着性が良好である上、高硬度か
つ耐擦傷性、耐摩耗性、耐溶剤性、耐候性、耐アルカリ
性、耐湿性に優れた硬化被膜を与え、特に、アルカリ性
水溶液や沸騰水中に浸漬しても密着性が良好でかつプラ
イマー塗布等の煩雑さが不要で作業性に優れたポリカー
ボネート物品被覆用組成物及びかかる硬化被膜が形成さ
れたポリカーボネート物品とその製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は上記
目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、(A)下記
一般式(1)で示される(メタ)アクリル基含有シラノ
ール、(B)下記一般式(2)で示される多官能(メ
タ)アクリレート、(C)コロイド状金属酸化物、
(D)光重合開始剤、(E)シラノール基の縮合促進作
用を有するアルミニウム化合物を含有する紫外線硬化性
かつ縮合反応硬化性組成物をポリカーボネート成型品に
塗布した場合、この塗膜が短時間の紫外線照射により容
易に硬化すると共に、この際の紫外線照射時の熱で上記
(A)成分のシラノール基が(E)成分のアルミニウム
化合物の触媒作用により効果的に縮合反応して架橋する
こと、またかかるシラノール基の縮合をより完全にする
ためには、紫外線照射の前又は後で短時間の加熱処理す
ることが有効であることを知見した。そして、このよう
にして硬化した被膜は、高硬度でかつ耐擦傷性、耐摩耗
性、耐溶剤性、耐候性、耐アルカリ性、耐湿性に優れて
いる上、ポリカーボネート成型品に対して優れた接着性
を有することを見い出し、本発明をなすに至ったもので
ある。
【0011】
【化3】 (但し、R1は水素原子又はメチル基、R2は置換又は非
置換の一価炭化水素基、nは0〜2の整数である。)
【0012】
【化4】 (但し、R1は上記と同様の意味を示し、R3は異なる炭
素原子に結合した多価炭化水素残基又は多価アルコール
と多塩基酸とのエステル残基で、mは該残基の価数であ
って2以上の整数である。)
【0013】従って、本発明は、 (A)上記一般式(1)で示される(メタ)アクリル官
能性基含有シラノール:100重量部、 (B)上記一般式(2)で示される多官能(メタ)アク
リレート:5〜200重量部、 (C)コロイド状金属酸化物:固形分として30〜15
0重量部、 (D)光重合開始剤:0.01〜20重量部、 (E)シラノール基の縮合促進作用を有するアルミニウ
ム化合物:0.01〜2重量部 を含有してなるポリカーボネート物品被覆用組成物、並
びに、該組成物の硬化被膜が形成されたポリカーボネー
ト物品、及び該組成物をポリカーボネート基材に塗布
し、上記組成物に紫外線を照射した後、50〜120℃
でポストキュアすることを特徴とするポリカーボネート
物品の製造方法を提供する。
【0014】以下、本発明を更に詳述すると、本発明に
おける(A)成分は下記一般式(1)で示される(メ
タ)アクリル官能性基含有シラノールであり、光重合開
始剤((D)成分)によって(メタ)アクリル基が光重
合し、硬化被膜を形成するときの主成分をなすものであ
る。また、そのシラノール基はアルミニウム化合物
((E)成分)によって紫外線照射時の熱或いは紫外線
照射前後における短時間の加熱の際に縮合し、シロキサ
ン骨格を形成すると同時に基材との密着性に寄与するも
のである。
【0015】
【化5】
【0016】ここで、R1は水素原子又はメチル基であ
る。また、nは0〜2の整数であり、この式(1)の化
合物は少なくとも1個のOH基を有するものであるが、
特に下記式(1a)又は(1b)の化合物が好ましく用
いられる。
【0017】
【化6】
【0018】なお、R2は置換又は非置換の一価炭化水
素基である。好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であ
り、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基
が挙げられる。
【0019】上記式(1)のシランとして具体的には、
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メ
タクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリ
ロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキ
シプロピルトリエトキシシラン等を低級アルコール存在
下、量論の水で塩酸や酢酸等の希薄な酸性条件下におい
て加水分解することにより得られるものを用いることが
できる。なお、上記シランは1種類を単独で使用して
も、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0020】また、上記シランと他のシランとを共加水
分解したものを用いることができる。この場合、他の加
水分解性シランとしては、例えばテトラメトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン、メチルポリシリケート、エ
チルポリシリケート、メチルトリメトキシシラン、メチ
ルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジ
メチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラ
ン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキ
シシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビニルトリメ
トキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシ
ドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシ
プロピルメチルジエトキシシラン、3−クロロプロピル
トリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピ
ルトリメトキシシラン、2−パーフルオロアルキルエチ
ルトリメトキシシラン等のアルコキシシランが挙げら
れ、これらの1種類を単独で或いは2種類以上を混合し
て使用することができる。
【0021】次に、(B)成分は下記一般式(2)で示
される多官能(メタ)アクリレートであり、(A)成分
と共にラジカル重合してポリカーボネートとの密着性や
被膜の脆さを改良する成分である。
【0022】
【化7】
【0023】ここで、R1は水素原子又はメチル基であ
る。また、R3は異なる炭素原子に結合した多価炭化水
素残基又は多価アルコールと多塩基酸とのエステル残基
を示し、mは残基の価数で2以上の整数である。
【0024】この場合、異なる炭素原子に結合した多価
炭化水素残基を有する多官能(メタ)アクリレートとし
ては、有機多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエ
ステル化反応によって得ることができる。なお、上記有
機多価アルコールとしては、例えばエチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、2,2,4−トリメチル−
1,3−ペンタンジオール、プロピレングリコール、ジ
プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,
4−シクロヘキシルジメタノール、、ネオペンチルグリ
コール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールエタン、グリセリン、1,4−ブタ
ンジオール、2,3−ブタンジオール、トリエタノール
アミン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,3−プ
ロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げら
れ、これらの1種又は2種以上を使用することができ
る。
【0025】また、多価アルコールと多塩基酸とで構成
されるエステル残基としては、上述した有機多価アルコ
ールとフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ハイミック
酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イ
タコン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸等の多塩基
酸或いはその酸無水物から選ばれる1種又は2種以上と
により構成されるエステルの残基を挙げることができ
る。
【0026】このような(B)成分である多官能(メ
タ)アクリレートとしては、具体的には、トリメチロー
ルプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロール
エタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトー
ルテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)
アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アク
リレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、
トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレートなどが挙
げられるほか、下記構造式のものを挙げることができ
る。
【0027】
【化8】
【0028】なお、(B)成分の添加量は(A)成分1
00重量部に対し、5〜200重量部、特に10〜10
0重量部とすることが好ましい。5重量部未満ではポリ
カーボネートとの密着性が得られないことがあり、一方
200重量部を超えると被膜の硬度が低くなり、また耐
候性も悪くなることがある。
【0029】次いで、(C)成分としてのコロイド状金
属酸化物は、硬化被膜に表面硬度や耐摩耗性を与える成
分で、これは通常水或いは有機溶媒に分散したものであ
るが、中でも本発明組成物の系での相溶性の面から有機
溶媒に分散したものが好適に使用される。このコロイド
状金属酸化物の平均粒子径は、1〜100mμ、特に3
〜20mμのものが好適であり、平均粒子径が1mμに
満たないものは表面硬度を挙げることができない場合が
あり、100mμを越えると被膜の透明性が失われる場
合がある。
【0030】このようなコロイド状金属酸化物として具
体的には、シリカ、チタニア、酸化アンチモン、酸化ス
ズ、酸化タングステン等の1種又は2種以上を使用する
ことができるが、特に経済的に安価なコロイダルシリカ
が好ましく用いられる。また、基材であるポリカーボネ
ートとの屈折率を合わせるため、チタニア、酸化アンチ
モン、酸化スズ等のゾルを使用することができ、また混
晶ゾル、混合ゾル等も用いることができる。なお、混晶
ゾルとしては、例えば酸化アンチモン・シリカゾル、チ
タニア・シリカゾル、酸化セリウム・チタニアゾル、酸
化鉄・チタニアゾル、酸化タングステン・酸化スズゾル
等が挙げられる。
【0031】上記コロイド状金属酸化物の配合量は、
(A)成分100部に対してゾル固形分として30〜1
50部、特に50〜100部とすることが好ましく、3
0部に満たないと被膜の耐摩耗性が不十分となる場合が
あり、150部を超えると被膜が脆くなりすぎて基材と
の密着性が乏しくなる場合がある。
【0032】更に、本発明では(A)、(B)成分を紫
外線硬化させるために光重合開始剤を(D)成分として
配合する必要がある。この光重合開始剤として具体的に
は、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイ
ンプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテ
ル、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキ
シ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−
2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾ
フェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフ
ェノン、4−トリメチルシリルベンゾフェノン、4−ト
リメチルシリル−4’−ジメチルアミノベンゾフェノ
ン、4−メトキシベンゾフェノン等が例示され、これら
の1種を単独で又は2種以上を混合して使用することが
できる。なお、これらの中では特に液状の化合物を用い
ることが(A)〜(C)成分との相溶性の上で好まし
い。
【0033】この場合、光重合開始剤の配合量は、
(A)成分100部に対し、0.01〜20部、特に
0.1〜10部とすることが好ましい。配合量が0.0
1部未満では増感作用に乏しく、被覆膜にタックが残る
場合があり、20部を超えると被膜が軟らかくなり、か
つコーティング液の保存安定性が悪くなってしまう場合
がある。
【0034】次に、(E)成分のアルミニウム化合物
は、(A)成分のシラノール基の縮合反応を促進させる
ためのものである。このアルミニウム化合物としては上
記光重合開始剤の光増感性を阻害しないものが好まし
く、特に塩化アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、ア
ルミニウム錯化合物、アルミニウムアルコキシド等のル
イス酸が効果的である。このようなアルミニウム化合物
として具体的には、下記化合物が例示され、これらの1
種を単独で又は2種以上を混合して使用することができ
る。
【0035】
【化9】
【0036】上記アルミニウム化合物の配合量は、
(A)成分100部に対して、0.01〜2部、特に
0.05〜1部とすることが好ましく、0.01部未満
では縮合促進作用に乏しくなる場合があり、2部を超え
るとコーティング液の保存安定性が悪くなる場合があ
る。
【0037】ここで、本発明においては、紫外線照射時
に発生する熱を利用して、あるいは紫外線照射の前後に
加熱を施すことにより、アルミニウム化合物が(A)成
分に残存するシラノール基を効率的に縮合させることが
できる。その具体例としては、紫外線照射後、50〜1
20℃で1〜10分程度ポストキュアすることが好まし
く、これにより高硬度かつ耐摩耗性、耐擦傷性に優れた
被膜を得ることが可能であり、特にシラノール基が被膜
に残らないためポリカーボネートとの密着性、耐水性、
耐候性等に優れた被膜を形成することができる。
【0038】なお、本発明においては、上記アルミニウ
ム化合物以外にシラノール基の縮合促進剤として、例え
ば酢酸ナトリウム、トリメチルアンモニウムヒドロキシ
ド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブ
チルホスホニウムヒドロキシド、オクチル酸亜鉛、ジア
ザビシクロウンデセン・酢酸塩、コリン・酢酸塩等を本
発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて任意に添加す
ることができる。
【0039】本発明においては、組成物を安定なコーテ
ィング液とするため、ポリカーボネートを侵さない低級
アルコールなどの有機溶媒を(F)成分として添加し、
溶液とすることが好ましい。この低級アルコールなどの
有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プ
ロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタ
ノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピ
ルセロソルブ、ジアセトンアルコール等が挙げられ、こ
れらを1種単独或いは2種以上の混合物として用いるこ
とができる。また、この有機溶媒は組成物中の不揮発分
を2〜50%程度に調節するように使用することが好適
であり、被覆膜厚に応じて任意の配合量で用いることも
できる。
【0040】なお、本発明の組成物には、任意成分とし
て、紫外線硬化性を阻害しない範囲で耐候性向上剤、シ
リコーン変性ポリエーテル系レベリング剤、増粘剤、着
色剤、帯電防止剤などを単独で又は併用して添加しても
よい。また、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール
等の老化防止剤を紫外線硬化の際に妨げにならない程
度、必要に応じて任意に添加してもよい。その他、紫外
線吸収剤、安定剤を任意に添加することも有効である。
【0041】本発明のポリカーボネート物品は、上記被
覆用組成物をポリカーボネート基材に塗布し、これを硬
化してポリカーボネート物品に硬化被膜を形成したもの
である。その塗布方法としては、流し塗り、浸漬塗り、
スプレー塗り、スピンコート等の通常の方法を適用する
ことができ、通常0.5〜5μmの厚さに塗布すること
が好適である。次いで塗膜を自然乾燥或いは加熱によっ
て乾燥させた後、高圧水銀灯などの光源を用いて好まし
くは20〜200W/cm2の照射量で5〜300秒紫
外線照射することにより、接着性に優れた硬質被膜を得
ることができる。更に、より耐久性を向上させる目的
で、残存する(A)成分中のシラノール基を完全にシロ
キサン化させるために、紫外線照射後に短時間のポスト
キュアを行ってもよい。
【0042】
【発明の効果】本発明のポリカーボネート物品被覆用組
成物は、ポリカーボネート物品に対し、プライマー層な
しで密着性に優れ、かつ高硬度、耐擦傷性、耐摩耗性、
耐溶剤性、耐湿性の優れたハードコーティングを施すこ
とができ、かかるハードコーティングが施されたポリカ
ーボネート物品は、建築材料や車両窓材等の外装用、光
学材料などとして好適に用いられる。
【0043】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具
体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるも
のではない。
【0044】〔実施例1〕3−アクリロキシプロピルト
リメトキシシラン17.0gとイソブチルアルコール2
7.0gとの混合物に0.05Nの希塩酸4.2gを5
〜10℃で4時間かけて滴下し、続いてMA−ST20
(日産化学工業(株)製、コロイダルシリカ、不揮発分
30%)26.5gを添加後、室温で4時間熟成させ
た。これにダロキュア1116〔メルク社製、光重合開
始剤、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロ
キシ−2−メチルプロパン−1−オン〕0.2g、アル
ミニウムトリスアセチルアセトナート0.1g、トリメ
チロールプロパントリアクリレート5.0g、イソブチ
ルアルコール28.0gをそれぞれ加え、濾過して、コ
ーティング剤−1を調製した。
【0045】〔実施例2〕実施例1のMA−ST20の
代わりにサンコロイドAMT−130S(日産化学工業
(株)製、5酸化アンチモンゾル、不揮発分30%)を
用いた以外は実施例1と同様にしてコーティング剤−2
を調製した。
【0046】〔実施例3〕3−アクリロキシプロピルト
リメトキシシラン16.0gとテトラメトキシシラン
3.4gとイソブチルアルコール27.0gとの混合物
に0.05Nの希塩酸5.8gを滴下したものを用いた
以外は実施例1と同様にしてコーティング剤−3を調製
した。
【0047】〔比較例1〕実施例1中のトリメチロール
プロパントリアクリレートを配合しない以外は実施例1
と同様にしてコーティング剤−4を調製した。
【0048】〔比較例2〕実施例1中のトリメチロール
プロパントリアクリレート及びアルミニウムトリスアセ
チルアセトナートを共に配合しない以外は実施例1と同
様にしてコーティング剤−5を調製した。
【0049】〔比較例3〕実施例1中のアルミニウムト
リスアセチルアセトナートを配合しない以外は実施例1
と同様にしてコーティング剤−6を調製した。
【0050】〔比較例4〕3−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン149gとメチルトリメトキシシラ
ン428g、0.05重量%塩酸水108g、p−メト
キシフェノール0.01gの混合物を60℃で30分間
保持し、続いて70℃で1時間反応後、N−ブチルアミ
ン0.9gを滴下し、1時間熟成させた。その後、蟻酸
0.5gを滴下し、70℃で30分間保持して冷却し、
無水芒硝で脱水後エバポレーターで溶剤を留去し、3−
メタクリロキシプロピル・メチル系ラダー型ポリシロキ
サンを得た。この樹脂35部、ペンタエリスリトールテ
トラアクリレート45部、トリメチロールプロパントリ
アクリレート10部、N−ビニル−2−ピロリドン10
部、ベンゾフェノン3部、p−ジメチルアミノ安息香酸
エチル3部を混合してコーティング剤−7を調製した。
【0051】上記実施例1〜3、比較例1〜4で得られ
たコーティング剤1〜7をそれぞれポリカーボネート平
板にバーコーター(No.20)で塗工し、10分間風
乾後、80W/cm2、2灯の高圧水銀灯で8cm離し
た距離から30秒間紫外線を照射し、コーティング剤1
〜4については、塗布後に100℃で2分間加熱硬化し
てそれぞれテストピースを作製し、一方コーティング剤
5〜7については、ポストキュアは行わず、それぞれテ
ストピースを作製した。これらの被膜を下記方法で評価
した。結果を表1に示す。 密着性:縦横1mm間隔で11本づつナイフで碁盤目カ
ットを入れ、セロテープ(ニチバン社製)剥離試験を行
い、残ったマス目をカウントした。 耐擦傷性:#0000スチールウールを用いて約500
gの荷重で10回、被膜を擦り、傷つきの状態を下記基
準で目視判定した。 ○:傷がほとんどなし △:わずかに傷がある ×:傷が多い 耐摩耗性:テーバー摩耗試験(CS−10研摩紙、50
0g、20回)後の被膜のヘーズ(%)をヘーズメータ
ーで測定した。 耐溶剤性:キシレンを含浸して脱脂綿で被膜を100回
ラビングし、外観状態を下記基準で目視判定した。 ○:異常なし △:わずかに被膜の剥離あり ×:被膜が全面剥離 耐湿性:純水中に室温で1週間浸漬後の密着性をセロハ
ンテープ剥離試験で評価した。
【0052】
【表1】 表1の結果より、実施例1〜3の組成物においては、密
着性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐溶剤性、耐湿性に優れた
被膜を与えることが確認された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−4273(JP,A) 特開 昭61−47767(JP,A) 特開 平1−245062(JP,A) 特開 昭62−256874(JP,A) 特開 昭59−204669(JP,A) 特開 昭58−1756(JP,A) 特開 平5−93170(JP,A) 特公 平5−8946(JP,B2)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)下記一般式(1)で示される(メ
    タ)アクリル官能性基含有シラノール:100重量部、 【化1】 (但し、Rは水素原子又はメチル基、Rは置換又は
    非置換の一価炭化水素基、nは0〜2の整数である。) (B)下記一般式(2)で示される多官能(メタ)アク
    リレート:5〜200重量部、 【化2】 (但し、Rは上記と同様の意味を示し、Rは異なる
    炭素原子に結合した多価炭化水素残基又は多価アルコー
    ルと多塩基酸とのエステル残基で、mは該残基の価数で
    あって2以上の整数である。) (C)コロイド状金属酸化物:固形分として30〜15
    0重量部、 (D)光重合開始剤:0.01〜20重量部、 (E)シラノール基の縮合促進作用を有するアルミニウ
    ム化合物:0.01〜2重量部 を含有するポリカーボネート物品被覆用組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の組成物の硬化被膜が形成
    されたポリカーボネート物品。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の組成物をポリカーボネー
    ト基材に塗布し、上記組成物に紫外線を照射した後、5
    0〜120℃でポストキュアすることを特徴とするポリ
    カーボネート物品の製造方法。
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