JP2004285026A - 水中油型多相乳化組成物 - Google Patents

水中油型多相乳化組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】水連続相中に二種以上の油性成分が独立して、安定に分散乳化された水中油型多相乳化組成物の提供。
【解決手段】両親媒性高分子により、二種以上の油性成分が水連続相中にそれぞれ独立して油相として分散乳化されている水中油型多相乳化組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、両親媒性高分子により、水連続相中に二種以上の油性成分が独立して、安定に分散乳化された水中油型多相乳化組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
+O+…+O/W型の水中油型多相乳化組成物は、化粧品、食品、医薬品、塗料などの分野で好適に用いられる。例えば医薬品では、薬効成分の二種の油剤への溶解度差を利用して、即効性と徐放性を兼ね備えた剤型の提供が可能となり、また化粧品では、極性油剤への溶解性が高い生理活性成分をこれに集中的に溶解させ、且つ他の油剤を用いて感触を向上させるなど、効果と使用感を兼ね備えた化粧品を提供することも可能となる。
【0003】
しかしながら、通常のO/W乳化組成物は、低分子界面活性剤により油性成分が水相中に分散乳化されており、その分散質は水溶性の低分子界面活性剤の薄い膜で覆われている。そのため分散質に内包された油分の移動度をコントロールすることは難しく、安定なO+O+…+O/W型の水中油型多相乳化組成物を得ることは困難であった。例えば、特許文献1には、水溶性ポリマーにより界面活性剤膜を固定化して、分散質中の油分の移動をコントロールすることにより、安定な水中油型多相エマルションが得られることが記載されているが、その安定性は未だ十分満足できるものではない。
【0004】
【特許文献1】
特開平2−174927号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、O/W乳化組成物における油分の移動度をコントロールし、水連続相中に二種以上の油性成分が独立して、安定に分散乳化された水中油型多相乳化組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、水溶性ポリマーにより低分子界面活性剤膜を固定化して分散質中の油分の移動をコントロールするのではなく、いわゆる低分子界面活性剤を用いずに、両親媒性高分子を用いてO/W乳化組成物を調製し、その分散質の界面に両親媒性高分子を配することにより、安定な水中油型多相乳化組成物が得られることを見出し、この技術を多相系に展開した。
【0007】
すなわち、本発明は、両親媒性高分子により、二種以上の油性成分が水連続相中にそれぞれ独立して油相として分散乳化されている水中油型多相乳化組成物を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる両親媒性高分子としては、分子中に疎水部と親水部を有するもので、(A)水溶性有機溶媒に溶解又は分散し、水中ではミセルを形成するもの、及び(B)水溶性で、水中ではゲルを形成するものの中から適宜選択使用することができる。
【0009】
上記両親媒性高分子(A)は、分子中に疎水部と親水部とを有し、水が貧溶媒(水に不溶性)であり、水溶性有機溶媒が良溶媒(水溶性有機溶媒に溶解又は分散し得る)となるものである。ここで、水不溶性とは、25℃において、10重量%となるように水と混合したとき、目視評価で実質上透明に溶解しないものをいう。
【0010】
また、上記両親媒性高分子(A)は水中でミセルを形成するものである。水中でミセルを形成するとは、両親媒性高分子の疎水部が分子間又は分子内で疎水性相互作用により自己組織化を起こすことをいう。
ミセルの形成は、静的光散乱、蛍光プローブ、NMR、スピンプローブを用いたESR、小角中性子散乱法などにより確認できる(森島洋太郎、表面、Vol.34, No.11, 1996, p672;森島洋太郎、高分子、第46巻、3月号、1997、p128;森島洋太郎、日本油化学会誌、第45巻、10号、1996、p951;秋吉一成、表面、Vol.37, No.1, 1999, p29)。
【0011】
かかる両親媒性高分子(A)としては、例えばポリスチレン、ポリアミド及びシリコーンから選ばれる疎水性骨格と、ポリエチレングリコール、スルホン酸ナトリウム、ヨウ化ピリジニウム、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ−N−アシルエチレンイミン及びポリアミノ酸から選ばれる親水性側鎖とから構成されるものなどが挙げられる。
より具体的には、以下のものが例示される。
【0012】
〔1.ポリスチレン系高分子〕
(1−1)ポリエチレングリコールマクロモノマーとスチレンの共重合体(明石満、Polymer Preprints, Japan Vol.48, No.12, 1999, p3112)、
(1−2)ビニルスルホン酸ナトリウムとp−クロロメチルスチレンの共重合体(明石満、Polymer Preprints, Japan Vol.48, No.3, 1999, p470)、
(1−3)ポリスチレン連鎖とPoly(4−vinylpyridinium methyl iodide)連鎖とからなる非対称ジブロック共重合体(森島洋太郎、表面、Vol.34, No.11, 1996, p672)、
(1−4)ポリスチレン連鎖とPoly(4−vinylpyridinium decyl iodide)連鎖とからなるジブロック共重合体(森島洋太郎、高分子、第46巻、3月号、1997、p128)等;
【0013】
〔2.ポリスチレン・ポリアクリル酸共重合体〕
(2−1)ポリスチレン(重合度6〜110)とポリアクリル酸(重合度300〜1400)のジブロック共重合体(森島洋太郎、高分子、第46巻、3月号、1997、p128)、
(2−2)ポリスチレン連鎖とポリメタクリル酸連鎖とからなるブロック共重合体(森島洋太郎、表面、Vol.34, No.11, 1996, p672)等;
【0014】
〔3.ポリアミド〕
(3−1)ポリオキシエチレンとβ−ベンジルアスパルテートとのブロック共重合体(森島洋太郎、高分子、第46巻、3月号、1997、p128)等;
【0015】
〔4.変性シリコーン〕
(4−1)N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体等のオキサゾリン変性シリコーン(特開平4−85334号、特開平4−85335号、特開平2−276824号、特開平3−287509号、特開平5−112423号、特開平7−173395号、特開平9−202714号、特開平10−95705号、特開平10−306163号等)、
(4−2)ポリジメチルシロキサンとポリN−メチルグリシンの共重合体等のポリアミノ酸変性シリコーン(特開2002−145724号)等が挙げられる。
【0016】
これらのうち、特にシリコーンの疎水性骨格と、ポリ−N−アシルエチレンイミン及びポリアミノ酸から選ばれる親水性側鎖とから構成されるものが好ましい。
【0017】
本発明においては、両親媒性高分子として、これら両親媒性高分子(A)を用いるのが好ましく、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明においては、上記両親媒性高分子(A)とともに、両親媒性高分子(B)を組み合わせて用いることもできる。両親媒性高分子(B)は、分子中に疎水部と親水部とを有し、水が良溶媒(水溶性)であり、水中ではゲルを形成するものである。ここで、ゲルを形成するとは、両親媒性高分子を水に溶解させたときに、その1重量%水溶液がある程度の保形性を有し、かつ粘度が1000mPa・s以上(25℃、B8L型粘度計(東京計器社製)測定時)である状態をいう。
【0018】
かかる両親媒性高分子(B)としては、例えば、多糖類及びポリ(メタ)アクリル酸塩から選ばれる親水性骨格と、炭素数10〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する疎水性側鎖とから構成されるものが挙げられる。
特に、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(商品名:PEMULEN等)、特開2002−114801号公報記載の疎水基と親水基を有する水溶性多糖誘導体等が好ましい。これらの1重量%水溶液の粘度は、PEMULEN TR−1(L−アルギニンによりPEMULEN TR−1:L−アルギニン=10:7で中和)で155000mPa・sであり、特開2002−114801号公報の実施例1に記載の水溶性多糖誘導体は33200mPa・sである。
【0019】
本発明において、水相中に分散乳化される油性成分としては、揮発性、不揮発性のいずれでも良く、常温での形態として固体状、ペースト状、液体状のいずれでも良い。例えば固体状又は液体状パラフィン、ワセリン、セレシン、オゾケライト、モンタンロウ、スクワラン、スクワレン、ヘキサデカン等の炭化水素類;ユーカリ油、ハッカ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、アボガド油、牛脂、豚脂、馬油、卵黄油、オリーブ油、カルナウバロウ、ラノリン、ホホバ油;グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンジステアリン酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、フタル酸ジエチル、乳酸ミリスチル、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸セチル、乳酸セチル、1−イソステアロイル−3−ミリストイルグリセロール、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、オレイン酸2−オクチルドデシル、トリイソステアリン酸グリセロール、ジパラメトキシ桂皮酸モノ2−エチルヘキサン酸グリセリル等のエステル油;ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;ローズマリー、ルイボス、ローヤルゼリー、ハマメリス等の天然精油;リグナン、ビタミンE、油溶性ビタミンC、ビタミンA誘導体、セラミド類、セラミド類似構造物質、油溶性紫外線吸収剤、香料等の機能性油性物質などのほか、シリコーン類、フッ素系油剤などが挙げられる。
【0020】
シリコーン類としては、通常トイレタリー製品に用いられるもので、例えばオクタメチルポリシロキサン、テトラデカメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のメチルシクロポリシロキサン;トリメチルシロキシケイ酸;アルキル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ酸変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキルグリセリルエーテル変性シリコーン、アルキル、アルケニル又はフルオロアルキル変性シリコーン(特開平6−72851号)等の変性シリコーンが挙げられる。
【0021】
フッ素系油剤としては、常温で液体のパーフルオロ有機化合物であるパーフルオロポリエーテルが好ましく、例えばパーフルオロデカリン、パーフルオロアダマンタン、パーフルオロブチルテトラハイドロフラン、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロペンタン、パーフルオロデカン、パーフルオロドデカン、パーフルオロポリエーテル等が挙げられる。
【0022】
本発明の水中油型多相乳化組成物は、例えば第一工程として、二種以上の異なる種類の油性成分を、それぞれ両親媒性高分子により水中に分散乳化して複数の水中油型乳化組成物を調製し、次いで第二工程として、上記工程で得られた複数の水中油型乳化組成物を混合することにより製造できる。ここに、第一工程で用いる両親媒性高分子は、前記両親媒性高分子(A)に属するものから1種又は2種以上を用いるか、前記両親媒性高分子(A)と(B)に属する別異のものを用いることができる。
【0023】
上記第一工程として両親媒性高分子(A)を用いて乳化組成物を調製する際には、両親媒性高分子(A)を水溶性有機溶媒中に溶解又は分散させ、これに油性成分を添加して混合した後、水を加えて混合することにより調製するのが好ましい。
ここで用いる水溶性有機溶媒としては、例えばポリエチレングリコール(平均分子量200〜1540)、エタノール、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、プロピレングリコール、ジグリセリン、グリセリン、トリス(2−(2−エトキシエトキシ)エチル)ホスフェート等が挙げられ、1種以上を用いることができる。また、両親媒性高分子の溶解性に支障のない範囲で、これらの有機溶媒と水との混合溶媒を用いることもできる(例えば、86%グリセリン水溶液等)。水溶性有機溶媒としては、乳化させようとする油性成分と相溶しないものを選択して用いるのが好ましい。
両親媒性高分子は、水溶性有機溶媒中の濃度が15〜40重量%、特に15〜30重量%となるように溶解又は分散させるのが好ましい。
【0024】
また、上記第一工程として両親媒性高分子(B)を用いて乳化組成物を調製する際には、両親媒性高分子(B)の水溶液に油性成分を添加して混合することにより調製できる。
この場合には、両親媒性高分子は、水溶液中の濃度が0.1〜3重量%、特に0.1〜1重量%となるように溶解させるのが好ましい。
【0025】
いずれの場合にも、油性成分と水の混合割合は、油性成分が90重量%以下、特に20重量%以下であるのが好ましい。
なお、各成分を加えて混合するには、通常の手段により攪拌・混合すれば良く、例えばホモジナイザー、超音波乳化機、高圧乳化機等を用いて行うことができる。
【0026】
次に、第二工程として、得られた複数の水中油型乳化組成物を混合する。複数の水中油型乳化組成物は、上記のいずれの方法で得られた乳化組成物であっても良い。混合方法としては、通常の手段により攪拌・混合すれば良く、例えばホモジナイザー、超音波乳化機、高圧乳化機等を用いて行うことができる。
【0027】
このようにして得られる本発明の水中油型多相乳化組成物は、二種以上の油性成分が水連続相中にそれぞれ独立して油相として分散乳化されている。このことは、示差熱量計(DSC)を用い、油相のピークを測定することにより、確認することができる。
【0028】
本発明の水中油型多相乳化組成物には、油性成分を0.1〜30重量%、特に0.1〜10重量%含有し、両親媒性高分子を0.1〜5重量%、特に0.1〜1重量%含有するのが好ましい。
【0029】
製造例1(ポリアミノ酸変性シリコーンの製造)
塩化メチレン100重量部及び3−アミノプロピル置換ポリジメチルシロキサン(信越シリコーン社製、KF−864、アミン当量3800、分子量30000)280重量部を仕込み、窒素ガス置換後、N−メチルグリシン−N−カルボン酸無水物80重量部の塩化メチレン(500重量部)溶液を、室温下、約2時間かけて滴下した。滴下中、炭酸ガスが発生し、N−メチルグリシン−N−カルボン酸無水物の開環重合が進行した。溶媒を減圧留去することにより、ポリジメチルシロキサンの側鎖にポリN−メチルグリシン鎖の付いたグラフト共重合体(分子量50000)を、無色のゴム状固体として得た。
【0030】
製造例2(オキサゾリン変性シリコーンの製造)
硫酸ジエチル7.57g(0.049mol)及び2−エチル−2−オキサゾリン263.3g(2.66mol)を、脱水した酢酸エチル550gに溶解し、窒素雰囲気下、8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を合成した。ここに、側鎖1級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(分子量60000、アミン当量3870)250g(アミノ基にして0.065mol)の50%酢酸エチル溶液を一括して加え、12時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N−プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(505g、収率97%)として得た。重量平均分子量は88400であった。また、溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基が残存していないことがわかった。
【0031】
製造例3(オキサゾリン変性シリコーンの製造)
硫酸ジエチル3.76g(0.024mol)及び2−エチル−2−オキサゾリン65.3g(0.66mol)を、脱水した酢酸エチル140gに溶解し、窒素雰囲気下、8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を合成した。ここに、側鎖1級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(分子量100000、アミン当量20500)500g(アミノ基にして0.024mol)の50%酢酸エチル溶液を一括して加え、12時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N−プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(537g、収率95%)として得た。重量平均分子量は149000であった。また、溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基が残存していないことがわかった。
【0032】
試験例1
製造例1〜3で得られた両親媒性高分子の溶解性を調べた。
すなわち、25℃において、各溶媒に両親媒性高分子を10重量%濃度になるように加え、そのときの外観を目視により観察し、以下の基準で示した。
○:無色透明
△:青色透明(微細分散)
×:不溶
【0033】
【表1】
Figure 2004285026
【0034】
また、ピレンを用いた蛍光プローブ法(橋爪章仁、高分子論文集、Vol.58, No.4, 2001, p195;A.K.Souter, H.J.Pownall, A.S.Hu, L.C.Smith, Boichem., 13, 1974, p2828等)により、製造例1〜3で得られた両親媒性高分子はいずれも、水中でミセルを形成することが確認された。
【0035】
実施例1〜2及び比較例1
表2に示す組成の水中油型多相乳化組成物(O+O/W型)を製造した。比較例1として、低分子界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)オクチルドデシルエーテルを用いて水中油型多相乳化組成物を製造した。
得られたO+O/W型多相乳化組成物中の、O相及びO相の分散度を、示差熱量計(DSC)を用い、O相及びO相のピークの確認と、製造直後のヘキサデカン融解ピーク面積と50℃で2週間保存後のヘキサデカン融解ピーク面積を比較することによって評価した。結果を表2に併せて示す。
【0036】
(製法)
(1)実施例1:
まず下記処方Aを調製した。室温攪拌下オキサゾリン変性シリコーンとトリス(2−(2−エトキシエトキシ)エチル)フォスフェートを混合溶解し、ヘキサデカンを添加した後、超音波を照射(100W、5分)した。最後に攪拌下、水を加えて、O/W乳化組成物を得た。
(処方A)
オキサゾリン変性シリコーン(製造例2) 2(重量%)
トリス(2−(2−エトキシエトキシ)エチル)フォスフェート 10
ヘキサデカン 1
精製水 バランス
【0037】
続いて下記処方Bを調製した。室温攪拌下、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(PEMULEN TR−1:Noveon.INC社製)を精製水に溶解させ、L−アルギニン水溶液で中和した。次いで室温攪拌下、精製ホホバ油を添加して、O/W乳化組成物を得た。
(処方B)
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体
(PEMULEN TR−1:Noveon.INC社製) 0.5(重量%)
L−アルギニン 0.35
精製ホホバ油(光栄興業社製) 20
精製水 バランス
【0038】
次いで、前記処方A及び処方BのO/W乳化組成物を、室温攪拌下、1:1で混合して、O+O/W型多相乳化組成物を得た。
【0039】
(2)実施例2:
まず下記処方Cを調製した。室温攪拌下オキサゾリン変性シリコーンとトリス(2−(2−エトキシエトキシ)エチル)フォスフェートを混合溶解し、精製ホホバ油を添加した後、超音波を照射(100W、5分)した。最後に攪拌下、水を加えて、O/W乳化組成物を得た。
(処方C)
オキサゾリン変性シリコーン(製造例2) 2(重量%)
トリス(2−(2−エトキシエトキシ)エチル)フォスフェート 10
精製ホホバ油(光栄興業社製) 1
精製水 バランス
【0040】
次いで、前記処方Aと処方CのO/W乳化組成物を、室温攪拌下、1:1で混合して、O+O/W型多相乳化組成物を得た。
【0041】
(3)比較例1
まず下記処方Dを調製した。80℃攪拌下、ポリオキシエチレン(20)オクチルドデシルエーテルと86%グリセリンを混合溶解し、ヘキサデカンを添加した後、超音波を照射(100W、5分)した。最後に攪拌下、水を加えてO/W乳化組成物を得た。
(処方D)
ポリオキシエチレン(20)オクチルドデシルエーテル 2(重量%)
86%グリセリン 10
ヘキサデカン 1
精製水 バランス
【0042】
続いて下記処方Eを調製した。80℃攪拌下、ポリオキシエチレン(20)オクチルドデシルエーテルと86%グリセリンを混合溶解し、精製ホホバ油を添加した後、超音波を照射(100W、5分)した。最後に攪拌下、水を加えてO/W乳化組成物を得た。
(処方E)
ポリオキシエチレン(20)オクチルドデシルエーテル 2(重量%)
86%グリセリン 10
精製ホホバ油(光栄興業社製) 1
精製水 バランス
【0043】
次いで、前記処方Dと処方EのO/W乳化組成物を室温攪拌下、1:1で混合して、O+O/W型多相乳化組成物を得た。
【0044】
【表2】
Figure 2004285026
【0045】
表2に示すように、両親媒性高分子を用いて調製した本発明のO+O/W型多相乳化組成物は、DSCチャートからO相及びO相のピークが確認され、O+O/W型多相乳化組成物の製造直後と50℃で2週間保存後のヘキサデカン融解ピーク面積がほとんど変化していないことから、安定なO+O/W型多相乳化組成物であることが確認された。
なお、実施例1で得られたO+O/W型多相乳化組成物について、製造直後及び50℃で2週間保存後のDSCチャートは、図1に示すとおりである。
【0046】
実施例3
実施例2で示すように、両親媒性高分子を用いて調製した本発明のO+O/W型多相乳化組成物は、容易に混合する油剤が混合せずに分離している。このことはその他の油剤でも同様である。
例えば、表3及び表4に示す組成の乳化組成物A−2と乳化組成物B−10を1:1で混合することにより、O+O/W型多相乳化組成物を得ることができ、その他の乳化組成物Aと乳化組成物Bの組み合わせでも同様に得られる。
得られるO+O/W型多相乳化組成物は、二種の油性成分が水連続相中にそれぞれ独立して分散乳化されていて、また安定性に優れるものである。
尚、表3に示す乳化組成物Aは、80℃(エタノールを用いるときは室温)にて両親媒性高分子Aを水溶性有機溶媒に溶解又は分散させた後、油剤を攪拌下添加し、1時間保持後、攪拌下精製水を加え冷却して調製した。
また、表4に示す組成の乳化組成物Bは、両親媒性高分子Bの水溶液に油性成分を添加して混合することにより、調製した。
【0047】
【表3】
Figure 2004285026
【0048】
【表4】
Figure 2004285026
【0049】
【発明の効果】
本発明の水中油型多相乳化組成物は、両親媒性高分子により水連続相中に二種以上の油性成分が独立して分散乳化されたものであり、安定性に優れ、化粧品、食品、医薬品、塗料などに好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたO+O/W型多相乳化組成物のDSCチャートを示す図である。

Claims (6)

  1. 両親媒性高分子により、二種以上の油性成分が水連続相中にそれぞれ独立して油相として分散乳化されている水中油型多相乳化組成物。
  2. 二種以上の異なる種類の油性成分を、それぞれ両親媒性高分子により水中に分散乳化して複数の水中油型乳化組成物を予め調製し、次いでこれら複数の水中油型乳化組成物を混合して得られる水中油型多相乳化組成物。
  3. 両親媒性高分子が、(A)水溶性有機溶媒に溶解又は分散し、水中ではミセルを形成するものである請求項1又は2記載の水中油型多相乳化組成物。
  4. 両親媒性高分子として、(A)水溶性有機溶媒に溶解又は分散し、水中ではミセルを形成するものと、(B)水溶性で、水中ではゲルを形成するものを組み合わせて用いる請求項1又は2記載の水中油型多相乳化組成物。
  5. (A)水溶性有機溶媒に溶解又は分散し、水中ではミセルを形成する両親媒性高分子が、ポリスチレン、ポリアミド及びシリコーンから選ばれる疎水性骨格と、ポリエチレングリコール、スルホン酸ナトリウム、ヨウ化ピリジニウム、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ−N−アシルエチレンイミン及びポリアミノ酸から選ばれる親水性側鎖とから構成されるものである請求項3又は4記載の水中油型多相乳化組成物。
  6. (B)水溶性で、水中ではゲルを形成する両親媒性高分子が、多糖類、ポリ(メタ)アクリル酸塩から選ばれる親水性骨格と、炭素数10〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する疎水性側鎖とから構成されるものである請求項4記載の水中油型多相乳化組成物。
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