JP2004280921A - 垂直磁気記録ヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】特に、補助磁極層やライトシールド層の形状を改良することにより、前記補助磁極層やライトシールド層での不要な記録・消去を抑制でき、記録特性に優れた垂直磁気記録ヘッドを提供することを目的としている。
【解決手段】補助磁極層21の前端面21bと側端面21c間を繋ぎ、前記前端面からハイト方向に向けて徐々にトラック幅方向への幅寸法が広がる傾斜面21dを設けることで、角部21eを鈍角にでき、記録媒体から戻ってくる磁束の一極集中を抑制でき、より広範囲に前記磁束の拡散を促すことが可能である。このため、コイル層に与えられる記録電流を大きくし、起磁力を高めたとしても補助磁極層からの記録媒体に対する不要な記録や消去を抑制でき、よって起磁力を高めて主磁極層24から記録媒体に発生する磁束の強度を強めることができ、より適切に記録特性の向上を図ることが可能になる。
【選択図】 図2
【解決手段】補助磁極層21の前端面21bと側端面21c間を繋ぎ、前記前端面からハイト方向に向けて徐々にトラック幅方向への幅寸法が広がる傾斜面21dを設けることで、角部21eを鈍角にでき、記録媒体から戻ってくる磁束の一極集中を抑制でき、より広範囲に前記磁束の拡散を促すことが可能である。このため、コイル層に与えられる記録電流を大きくし、起磁力を高めたとしても補助磁極層からの記録媒体に対する不要な記録や消去を抑制でき、よって起磁力を高めて主磁極層24から記録媒体に発生する磁束の強度を強めることができ、より適切に記録特性の向上を図ることが可能になる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハード膜を有するディスクなどの記録媒体に対して垂直磁界を与えて記録を行う垂直磁気記録ヘッドに係り、特に補助磁極層やライトシールド層の形状を改良し、記録特性に優れた垂直磁気記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
ディスクなどの記録媒体に磁気データを高密度で記録する装置として垂直磁気記録方式がある。図6は前記垂直磁気記録方式の装置に使用される垂直磁気記録ヘッドの一般的な構造を示す部分斜視図である。
【0003】
図6に示す垂直磁気記録方式の垂直磁気記録ヘッドHは、記録媒体上を浮上して移動しまたは摺動するスライダ(図示しない)の側端面に設けられるものである。
【0004】
符号1は、強磁性材料で形成された補助磁極層であり、前記補助磁極層1の上に所定の間隔を空けて同じく強磁性材料で形成された前記主磁極層2が設けられる。前記補助磁極層1と主磁極層2は記録媒体との対向面で膜厚方向(図示Z方向)で対向する。
【0005】
図6に示す垂直磁気記録ヘッドHは、前記主磁極層2のハイト方向(図示Y方向)後方で、前記主磁極層2と一体となり、前記主磁極層2のトラック幅方向(図示X方向)における幅寸法Twよりも広い幅寸法T1を有するヨーク層3が形成された単磁極型の垂直磁気記録ヘッドである。
【0006】
図6に示すように、前記補助磁極層1と前記ヨーク層3とは、両層の基端部間に介在する接続部4によって磁気的に接続される。
【0007】
また図6に示すように、前記接続部4の周囲を螺旋状に巻回形成されたコイル層5(図6ではコイル層の1ターンのみ図示されている)が形成されている。
【0008】
前記コイル層5に通電されることにより補助磁極層1と、ヨーク層3を通って主磁極層2とに記録磁界が誘導されると、補助磁極層1の前端面1aと、主磁極層2の前端面2aとの間での漏れ記録磁界が、記録媒体に垂直方向に向けられる。
【0009】
図6に示すように、主磁極層2の前端面2aの面積が、補助磁極層1の前端面1aでの面積よりも十分に小さくなっているため、主磁極層2の前端面1aと対向する記録媒体の面に主磁極層2からの磁束φが集中して与えられ、前記磁束φにより磁気データが記録される。
【0010】
例えば垂直磁気記録ヘッドについては、以下の特許文献1に記載がある。この特許文献1に記載された垂直磁気記録ヘッドの補助磁極層1(この文献には「下部磁極」となっている)は、上記で説明した図6と同じ形状であるものと考えられる。
【0011】
【特許文献1】
特開2000−182205
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
図6に示すように前記補助磁極層1の平面形状は直方形状であるため、記録媒体との対向面側に向く前端面1aと、トラック幅方向の両側でハイト方向に延びる側端面1bとの境界に角部1cが形成され、前記前端面1aと側端面1b間の角度θ1は直角となっている。
【0013】
このため図6に記載された補助磁極層1の形状では次のような問題が発生した。すなわち、主磁極層2から記録媒体に垂直方向の磁束が与えられ、その磁束が前記補助磁極層1に戻ってくるときに、前記補助磁極層1の角部1cに集中しやすく、コイル層5に流れる記録電流を大きくし起磁力を高くした場合には、前記補助磁束層1の角部1cにて記録媒体に記録を行ってしまうといった問題が発生したのである。
【0014】
あるいは既に書き込まれた磁気データを、前記角部1cからの磁束により消去してしまうといった問題もある。
【0015】
起磁力を低くすれば、上記した角部1cでの記録・消去を抑制できるが、かかる場合、記録に必要な十分な磁束を得ることができず、記録媒体へデータを正確に記録できなくなり記録特性の低下を招いた。
【0016】
また垂直磁気ヘッドには、主磁極層2の上にライトシールド層(図示しない)が設けられたものもあるが、前記ライトシールド層にも前端面の両端に上記した直角を成す角部があるため上記した問題を生じさせる恐れがあった。
【0017】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するものであり、特に、補助磁極層やライトシールド層の形状を改良することにより、前記補助磁極層やライトシールド層での不要な記録・消去を抑制でき、記録特性に優れた垂直磁気記録ヘッドを提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、 記録媒体との対向面側で、補助磁極層と主磁極層とが間隔を開けて位置し、前記対向面よりもハイト方向後方に前記補助磁極層と前記主磁極層とに記録磁界を与えるコイル層が設けられ、前記主磁極層に集中する垂直磁界によって、前記記録媒体に磁気データを記録する垂直磁気記録ヘッドにおいて、
前記補助磁極層のトラック幅方向の両側には、記録媒体との対向面側に位置する前端面からハイト方向に向けて前記補助磁極層のトラック幅方向の幅寸法を徐々に広げる傾斜面あるいは湾曲面が形成されていることを特徴とするものである。
【0019】
このように、補助磁極層のトラック幅方向の両側に、前端面からハイト方向に向けて、前記補助磁極層のトラック幅方向における幅寸法を徐々に広げる傾斜面あるいは湾曲面を設けることで、前記前端面の両端に直角をなす角部が無くなり、前記前端面の両端には鈍角の角部かあるいは角部自体が形成されなくなるので、記録媒体から補助磁極層に磁束が戻ってくるときに、前記磁束が前記補助磁極層の前端面や傾斜面あるいは湾曲面の広い範囲にわたって拡散し吸収されやすくなる。
【0020】
この結果、記録電流を大きくし起磁力を高めても、前記補助磁極層による不要な記録・消去を抑制できるので前記起磁力を高めて、主磁極層から記録に必要な十分な磁束を発生させることができ記録特性の向上を図ることが可能である。
【0021】
また本発明は、記録媒体との対向面側で、補助磁極層と主磁極層とが間隔を開けて位置し、前記対向面よりもハイト方向後方に前記補助磁極層と前記主磁極層とに記録磁界を与えるコイル層が設けられ、さらに前記主磁極層の上に絶縁層を介してライトシールド層が設けられ、前記主磁極層に集中する垂直磁界によって、前記記録媒体に磁気データを記録する垂直磁気記録ヘッドにおいて、
前記補助磁極層及び/またはライトシールド層のトラック幅方向の両側には、記録媒体との対向面側に位置する前端面からハイト方向に向けてトラック幅方向の幅寸法を徐々に広げる傾斜面あるいは湾曲面が形成されていることを特徴とするものである。
【0022】
前記ライトシールド層は、補助磁極層と異なり、主磁極層との間で磁気回路を形成しないから、前記ライトシールド層における不要な記録・消去の発生は補助磁極層の場合に比べて少ないものの、前記ライトシールド層にもその前端面の両単に直角を成す角部があると、その部分で磁束を集中して吸収し、前記角部から記録媒体に向けて発生する磁界強度が強まってしまうので、前記ライトシールド層にも、前端面からハイト方向に向けて、前記ライトシールド層のトラック幅方向における幅寸法が広がる傾斜面あるいは湾曲面を設けることが良い。
【0023】
また本発明では、前記傾斜面は、前記前端面と、ハイト方向後方に向けて延びるトラック幅方向の両側に位置する側端面間を繋ぐ面であることが好ましい。
【0024】
あるいは、前記湾曲面は、前記前端面と、ハイト方向後方に向けて延びるトラック幅方向の両側に位置する側端面間を繋ぎ、前記前端面のトラック幅方向における側端部と、前記側端面の記録媒体との対向面側の始端部とを結んだ仮想面よりも記録媒体との対向面側に向けて膨らむ凸状湾曲面であることが好ましい。
【0025】
また本発明では、前記前端面は前記対向面に露出している形態であっても、前記前端面は前記対向面と平行な面であり、ハイト方向に後退している形態であってもどちらでもよい。
【0026】
また本発明は、記録媒体との対向面側で、補助磁極層と主磁極層とが間隔を開けて位置し、前記対向面よりもハイト方向後方に前記補助磁極層と前記主磁極層とに記録磁界を与えるコイル層が設けられ、前記主磁極層に集中する垂直磁界によって、前記記録媒体に磁気データを記録する垂直磁気記録ヘッドにおいて、
前記補助磁極層は、記録媒体との対向面側に位置する前端面が、前記対向面側からハイト方向に向けて前記補助磁極層のトラック幅方向における幅寸法が広がるように湾曲してなり、前記前端面のハイト側の基端部からハイト方向後方に向けてトラック幅方向の両側に位置する側端面が延びていることを特徴とするものである。
【0027】
あるいは本発明は、記録媒体との対向面側で、補助磁極層と主磁極層とが間隔を開けて位置し、前記対向面よりもハイト方向後方に前記補助磁極層と前記主磁極層とに記録磁界を与えるコイル層が設けられ、さらには前記主磁極層の上に絶縁層を介してライトシールド層が設けられ、前記主磁極層に集中する垂直磁界によって、前記記録媒体に磁気データを記録する垂直磁気記録ヘッドにおいて、
前記補助磁極層及び/またはライトシールド層は、記録媒体との対向面側に位置する前端面が、前記対向面側からハイト方向に向けてトラック幅方向における幅寸法が広がるように湾曲してなり、前記前端面のハイト側の基端部からハイト方向後方に向けてトラック幅方向の両側に位置する側端面が延びていることを特徴とするものである。
【0028】
上記した構成では、前記補助磁極層やライトシールド層の前端面全体が湾曲した形状であるため、従来のように前端面の両端に角張った部分が無くなり、前記補助磁極層に戻る磁束の一極集中を適切に抑制でき、起磁力を高めても前記補助磁極層での不要な記録・消去を抑制できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1実施形態の垂直磁気記録ヘッドを備えた磁気ヘッドの構造を示す縦断面図である。
【0030】
図1に示す垂直磁気記録ヘッドH1は記録媒体Mに垂直磁界を与え、記録媒体Mのハード膜Maを垂直方向に磁化させるものである。
【0031】
前記記録媒体Mはディスク状であり、その表面に残留磁化の高いハード膜Maが、内方に磁気透過率の高いソフト膜Mbを有しており、ディスクの中心が回転軸中心となって回転させられる。
【0032】
前記垂直磁気記録ヘッドHのスライダ11はAl2O3・TiCなどのセラミック材料で形成されており、スライダ11の対向面11aが前記記録媒体Mに対向し、記録媒体Mが回転すると、表面の空気流によりスライダ11が記録媒体Mの表面から浮上し、またはスライダ11が記録媒体Mに摺動する。図1においてスライダ11に対する記録媒体Mの移動方向は図示Z方向である。垂直磁気記録ヘッドH1はスライダ11のトレーリング側端面に設けられる。
【0033】
前記スライダ11の上面11bには、Al2O3またはSiO2などの無機材料による非磁性絶縁層54が形成されて、この非磁性絶縁層の上に読取り部HRが形成されている。
【0034】
前記読取り部HRは、下から下部シールド層52、ギャップ層55、磁気抵抗効果素子53、および上部シールド層51から成る。前記磁気抵抗効果素子53は、異方性磁気抵抗効果(AMR)素子、巨大磁気抵抗効果(GMR)素子、トンネル型磁気抵抗効果(TMR)素子などである。
【0035】
前記上部シールド層51の上には、Al2O3またはSiO2などの無機材料による非磁性絶縁層12が形成されて、前記非磁性絶縁層12の上に本発明の記録用の垂直磁気記録ヘッドH1が設けられている。そして垂直磁気記録ヘッドH1は無機非磁性絶縁材料などで形成された保護層13により被覆されている。そして前記垂直磁気記録ヘッドH1の記録媒体との対向面H1aは、前記スライダ11の対向面11aとほぼ同一面である。
【0036】
前記垂直磁気記録ヘッドH1では、パーマロイ(Ni−Fe)などの強磁性材料がメッキされて補助磁極層21が形成されている。なお前記上部シールド層51が前記補助磁極層21として兼用されていてもよい。前記非磁性絶縁層12は、前記補助磁極層21の下および前記補助磁極層21の周囲に形成されている。そして図1に示すように、補助磁極層21の表面(上面)21aと前記非磁性絶縁層12の表面(上面)12aとは同一の平面上に位置している。
【0037】
図1に示すように、前記対向面H1aよりもハイト方向後方(図示Y方向)では、前記補助磁極層21の表面21a上にNi−Feなどの接続層25が形成されている。
【0038】
前記接続層25の周囲において、前記補助磁極層21の表面21aおよび前記非磁性絶縁層12の表面12a上に、Al2O3などの絶縁下地層26が形成されて、この絶縁下地層26の上にCuなどの導電性材料によりコイル層27が形成されている。このコイル層27はフレームメッキ法などで形成されたものであり、前記接続層25の周囲に所定の巻き数となるように螺旋状にパターン形成されている。コイル層27の巻き中心側の接続端27a上には同じくCuなどの導電性材料で形成された底上げ層31が形成されている。
【0039】
前記コイル層27および底上げ層31は、レジスト材料などの有機材料の絶縁層32で被覆されており、さらに絶縁層33で覆われている。
【0040】
前記絶縁層33は無機絶縁材料で形成されることが好ましく、前記無機絶縁材料としては、AlO、Al2O3、SiO2、Ta2O5、TiO、AlN、AlSiN、TiN、SiN、Si3N4、NiO、WO、WO3、BN、CrN、SiONのうち少なくとも1種以上を選択できる。
【0041】
そして前記接続層25の表面(上面)25a、底上げ層31の表面(上面)31a、および絶縁層33の表面(上面)33aは、同一面となるように加工されている。このような平坦化加工は後述の製造方法で説明するように、CMP技術などを用いて行なわれる。
【0042】
この第1実施形態では、前記絶縁層33の上に、ヨーク層35が形成されている。図1に示すように前記ヨーク層35の前端面35aは、前記対向面H1aよりもハイト方向(図示Y方向)後方に形成されている。また前記ヨーク層35の基端部35cは、前記接続層25の上面25aに形成され、前記基端部35cと接続層25とが磁気的に接続された状態になっている。前記ヨーク層35の下の絶縁層33は平坦化面で形成されているので、前記ヨーク層35をパターン精度良く形成することができる。
【0043】
また図1に示すように、前記底上げ層31の表面31aにはリード層36が形成され、リード層36から前記底上げ層31およびコイル層27に記録電流の供給が可能となっている。
【0044】
また図1に示すように、前記ヨーク層35よりも前記対向面H1a側に位置する絶縁層33上には絶縁層50が重ねて形成され、これにより前記ヨーク層35の前端面35aは対向面H1aから露出しないようになっている。
【0045】
図1に示すように前記絶縁層50の上面とヨーク層35の上面は同一の平坦化面であり、前記絶縁層50上からヨーク層35上にかけてNiFe等の磁性材料で形成された主磁極層24が形成されている。前記主磁極層24の前端面24aは前記対向面H1aから現れている。
【0046】
前記主磁極層24及びヨーク層35のハイト方向の後端面よりもハイト側は絶縁層60によって埋められている。
【0047】
図1に示す実施の形態では、前記主磁極層24上及び絶縁層60上に絶縁層61が形成され、この絶縁層61の上にライトシールド層62が形成される。前記ライトシールド層62のハイト方向の後端面よりもハイト側は絶縁層63によって埋められ、さらに前記ライトシールド層62上及び絶縁層63上に保護層13が形成されている。
【0048】
図2は図1に示す補助磁極層21、ヨーク層35、主磁極層24、接続層25及びコイル層27(ただし1ターンのみ図示されている)の構造を示す部分斜視図である。
【0049】
図2に示すように、前記補助磁極層21は対向面H1aから露出する前端面21bと、ハイト方向(図示Y方向)の後方に向けて延びるトラック幅方向(図示X方向)の両側に位置する側端面21c,21cと、前記前端面21bからハイト方向に向けて、前記補助磁極層21のトラック幅方向における幅寸法が徐々に広がるように、前記前端面21bと前記側端面21c,21c間を繋ぐ傾斜面21dとで構成される。
【0050】
また図2に示すようにヨーク層35は、その上に形成される主磁極層24よりもトラック幅方向への幅寸法が広くなっている。前記主磁極層24は、前記対向面H1aに露出する前端面24aからハイト方向(図示Y方向)に向けてほぼ一定の幅寸法Twで形成された先端領域24bと、前記先端領域24bの両側の基端部24b1,24b1からハイト方向に向けて徐々にトラック幅方向への幅寸法が広がるように形成された後端領域24cとからなる。ただし前記主磁極層24の形態は図2の形態に限らず、例えばトラック幅Twを有する先端領域24bのみで構成されていてもよい。また前記後端領域24cも先端領域24bと同様にトラック幅Twで形成されていてもよい。また前記主磁極層24が前記ヨーク層35の下に形成されていてもよく、あるいは図6に示すようなヨーク層と主磁極層とが一体となった形態であってもよい。
【0051】
図1,図2に示す実施の形態では特に補助磁極層21の形状に特徴的な部分がある。
【0052】
従来例を示す図6では、補助磁極層1は、記録媒体との対向面に露出する前端面1aと、そのトラック幅方向の両側からハイト方向に延びる側端面1bとで構成され、前記前端面1aと側端面1b間が直角を成す角部1cとなっていたが、図2に示す本発明では、前記補助磁極層21の前端面21bと側端面21c間を面取り加工するなどして前記前端面21bと側端面21c間に両面を繋ぐ傾斜面21dを介在させ、この傾斜面21dが形成されている部分では、前記補助磁極層21のトラック幅方向への幅寸法が前記前端面21bからハイト方向に向けて徐々に広くなるように構成されている。
【0053】
図2に示す実施の形態では、前記傾斜面21dはハイト方向(図示Y方向)に対し斜めに傾いており、前記前端面21bと傾斜面21dとの境界に角部21eが形成されるものの、前記前端面21bと傾斜面21d間の角度θ2は鈍角となるため、主磁極層24から記録媒体Mに垂直の磁束φが与えられ、前記磁束φが前記記録媒体Mから補助磁極層21に戻ってくるとき、前記磁束φは、前記補助磁極層21の前記角部21eに一極集中せず、前記補助磁極層21の前端面21bや傾斜面21dに分散して吸収されやすくなる。このため、コイル層27に与えられる記録電流を大きくし起磁力を高めたとしても、前記角部21eから発生する磁束は弱く、前記角部21eの部分で記録を行ってしまったり、あるいは既に記録されたデータを消去してしまったりする不具合を抑制できる。その結果、起磁力を高めて、主磁極層24から発生する垂直方向の磁束φを強めることができ高記録密度化に対応した記録特性の向上を図ることが可能である。
【0054】
図3は図1及び図2に示す補助磁極層21の平面図である。前記補助磁極層21の前端面21bは、記録媒体との対向面H1aに露出し、X−Z平面と平行な面となっている。またトラック幅方向の両側に形成され、ハイト方向に延びる側端面21c,21cは、Y−Z平面と平行な平面であることが好ましいが、必ずしも平行な面である必要はない。例えば前記側端面21cの対向面H1a側の始端部21c1からハイト側の基端部21c2にかけてハイト方向に対し斜めに傾いていたり、あるいは湾曲した面であってもよい。
【0055】
例えば前記側端面21cがハイト方向に対して傾斜した面である場合、ハイト方向に対する傾斜角度が、側端面21cと傾斜面21dとで異なっているように構成する。これによって前記側端面21cと前記前端面21bと平行な仮想面との間で形成される角度θ3も直角では無く鈍角となり、前記傾斜面21dと側端面21cとの境界に形成される角部21fに対しても記録媒体から補助磁極層21に戻ってくる磁束の集中が抑制できる。
【0056】
前記補助磁極層21の前端面21bと傾斜面21d間の角度θ2は、90°より大きく、180°未満であるが、好ましくは135°以上で175°以下である。前記角度θ2が135°よりも小さいと、コイル層27に流される通常の記録電流(具体的には10mA〜70mAの範囲内)によっても前記前端面21bと傾斜面21dとの境界である角部21eから記録媒体に対し記録を行える程度の磁界強度が出やすい。また前記角度θ2が175°よりも大きいと、前記前端面21bのトラック幅方向における側端部21b1から側端面21cの始端部21c1までのハイト方向に対する長さ寸法L1が短くなりすぎ、前記傾斜面21dと側端面21cとの境界である角部21fから発生する磁界が、記録媒体上に到達するまでに効率良く減衰せず、前記角部21fでの記録媒体に対する記録や消去が行われる可能性がある。よって上記のように前記角度θ2は135°以上で175°以下であることが好ましい。
【0057】
なお前記長さ寸法L1は、1μm以上10μm以下であることが好ましい。前記長さ寸法L1が1μm未満であると、上記のように前記傾斜面21dと側端面21cとの境界である角部21fでの記録媒体に対する記録や消去が行われやすくなる。
【0058】
一方、前記長さ寸法L1が10μmよりも大きいと、角度θ2及び幅寸法T2,T3を適正範囲内に収められなくなるという問題が発生しやすい。
【0059】
また図3に示すように、前記補助磁極層21の前端面21bのトラック幅方向(図示X方向)における幅寸法はT2で、トラック幅方向の両側に形成された側端面21c,21c間の幅寸法はT3である。ここで前記側端面21c,21c間の幅寸法T3とは、前記側端面21c,21c間における最大の幅寸法を指す。前記幅寸法T2は10μm〜190μm、幅寸法T3は20μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。そして前記幅寸法T3に対する前記幅寸法T2の割合{(T2/T3)×100}は50%以上で95%以下であることが好ましい。
【0060】
前記割合が50%より小さいと、前記前端面21bから露出する前端面21bの面積が小さくなりすぎ、記録媒体からの戻り磁束を効率良く前記前端面21bで吸収できない。また前記割合が95%よりも大きいと、角度θ2及び長さ寸法L1を上記した適性範囲内に収めることができなくなる。
【0061】
また図3に示す実施の形態では、前記補助磁極層21の前端面21bが記録媒体との対向面H1aから露出しているが、露出していなくてもよい。図3では例えば記録媒体との対向面H1aが、一点鎖線の位置にあり、前記補助磁極層21の前端面21bが前記対向面H1aから長さ寸法L2だけ後退していてもよい。またかかる場合、前記前端面21bは前記対向面H1aと平行であることが好ましい。このように前記補助磁極層21の前端面21bを長さ寸法L2だけ後方に後退させると、前記前端面21bと傾斜面21dとの境界である角部21e及び傾斜面21dと側端面21cとの境界である角部21fが記録媒体から離れるため、仮にこれら角部から記録媒体に向けて磁束が生じても、前記磁束は前記媒体面上に到達するまでに効率良く減衰し、前記角部21e,21fでの前記記録媒体に対する記録や消去が行われるのをより効果的に抑制できる。
【0062】
しかし前記長さ寸法L2があまり長すぎると、記録媒体から戻ってくる磁束を効果的に前記補助磁極層21で吸収できなくなるから、前記長さ寸法L2は0μmより大きく5μm以下の範囲内であることが好ましい。
【0063】
図4は図3とは異なる形状の補助磁極層21の平面図である。図4では補助磁極層21を構成する前端面21bと側端面21cとの間に両面を繋ぐ湾曲面21gがある。
【0064】
図4では、前記湾曲面21gは、前記前端面21bのトラック幅方向(図示X方向)における側端部21b1,21b1と、前記側端面21cの前記対向面H1a側の始端部21c1,21c1とを結んだ仮想面A,Aよりも前記対向面H1a側に向けて膨らむ凸状湾曲面となっている。
【0065】
このように前記湾曲面21gを凸状湾曲面とすることで、前記前端面21bと湾曲面21g間及び前記湾曲面21gと側端面21c間に角張った部分が無くなり、記録媒体Mから前記補助磁極層21に向けて戻ってくる磁束を前記前端面21bや湾曲面21gの広い範囲にわたって拡散させやすい。このため、コイル層27に与えられる記録電流を大きくし起磁力を高めても、補助磁極層21から記録媒体Mに対する不要な記録や消去を抑制でき、この結果、前記起磁力を高め、主磁極層24から記録媒体Mに向けて発生する磁界強度を強めることができ記録特性の向上を図ることが可能である。
【0066】
また図4では、前記前端面21bと側端面21c間を繋ぐ湾曲面21hは、前記仮想面A,Aよりもハイト方向に向けて凹む凹状湾曲面であってもよい。ただし、前記湾曲面21hを凹状湾曲面とすると、前記前端面21bと湾曲面21hとの境界部21iや湾曲面21hと側端面21cとの境界部21jに若干、角張った部分が出来やすいので、このような角張った部分をより無くすためには凸状湾曲面である湾曲面21gを設けることが好ましい。
【0067】
また、図3での角度θ2は、図4では湾曲した湾曲面21g,21hの中点から引いた接線と、前端面21b間の角度で規定される。例えば凸状湾曲面の湾曲面21gのように全て同じ曲率で形成されている場合は、前記湾曲面21gの中点から引かれる接線と前記前端面21b間の角度が図3での角度θ2である。一方、凹状湾曲面の湾曲面21hのように、前記湾曲面21h内に2つの異なる曲率の湾曲面が形成されている場合は、より対向面H1a側に形成されている湾曲面21h1での中点から引かれる接線と前端面21b間の角度が図3での角度θ2となる。
【0068】
なお前記前端面21bと媒体対向面H1aとの関係や、前端面21bの幅寸法T2、側端面21c,21c間の幅寸法T3等は全て図3と同じである。
【0069】
図3及び図4では、補助磁極層21が前端面21bと側端面21cと、その両面を繋ぐ傾斜面あるいは湾曲面とで構成されていたが、本発明ではこのような形態に限るものではない。本発明では、前記補助磁極層21には前端面21bと、その両端からハイト方向に向けて前記補助磁極層21のトラック幅方向への幅寸法が徐々に広がる傾斜面あるいは湾曲面が設けられていればよい。そのため前記補助磁極層21の平面形状は例えば台形状などであってもよい。
【0070】
図5は図3及び図4とは異なる形態の補助磁極層21の平面図である。図5では図3や図4のように前記補助磁極層21に前端面と側端面間を繋ぐ傾斜面21dや湾曲面21g,21hは設けられていない。図5では、前記対向面H1a側に位置する前端面21kが、前記対向面H1a側からハイト方向(図示Y方向)に向けて補助磁極層21のトラック幅方向(図示X方向)への幅寸法が徐々に広がるように湾曲して成り、前記前端面21kのハイト側の基端部21k1,21k1からハイト方向後方に向けてトラック幅方向の両側に位置する側端面21c,21cが延びている。
【0071】
図5では、前記前端面21kのちょうどZ方向への中心線21k2の部分が前記対向面H1aから露出した状態になっているが、前記前端面21k全体が前記対向面H1aからハイト方向へ後退していてもよい。かかる場合、前記対向面H1aから前記前端面21kの中心線21k2までのハイト方向における長さ寸法は0μmより大きく5μm以下の範囲内である。
【0072】
この実施形態では、前記前端面21kでの中心線21k2から基端部21k1までのハイト方向への長さ寸法はL3が1μm〜10μmの範囲内、前記基端部21k1,21k1間を結ぶトラック幅方向への幅寸法T4が20μm〜200μmの範囲内となるように、前記前端面21kを湾曲形成する。上記した範囲内で形成された前端面21kでは、中心線21k2から両側の基端部21k1に向けてなだらかにハイト方向に後退する面にできるとともに、前記前端面21kと側端面21cとの境界部21lを適度にハイト方向に後退させることができるので、記録媒体から補助磁極層21に戻ってくる磁束を前記前端面21kのより全体に拡散できるようになり好ましい。
【0073】
上記した図3ないし図5の構成は、いずれも図1に示すライトシールド層62に適用可能である。
【0074】
前記補助磁極層21は、主磁極層24、ヨーク層35、接続層25との間で磁気回路を形成するため、コイル層27への記録電流を大きくし起磁力を高めた場合に、前記補助磁極層21が従来のような直方形状であると、不要な記録・消去の問題が大きくなるが、ライトシールド層62の場合は、他の磁性層との間で磁気回路を構成しているわけではないので、補助磁極層21に比べて起磁力を高めた場合の不具合点は生じにくい。
【0075】
しかし、ライトシールド層62にも記録媒体からの磁界が侵入してきたとき、前記ライトシールド層62が直方形状であると、前記ライトシールド層62の前端面の両側にある直角の角部に、磁束が一極集中しやすく、その部分での磁界強度は強まってしまうため、前記ライトシールド層62の前端面の両側にある角部から媒体面に向けて記録可能な程度の磁束が漏れ出す危険性もある。
【0076】
そのため前記ライトシールド層62も図3ないし図5のような平面形状で形成することが好ましい。
【0077】
なお本発明によれば、補助磁極層21を従来と同様の直方形状にし、ライトシールド層62を図3ないし図5に示す平面形状で形成するとする選択肢や、ライトシールド層62を従来と同様の直方形状にし、補助磁極層21を図3ないし図5に示す平面形状で形成するとする選択肢があるが、ライトシールド層62がある垂直磁気ヘッドの場合は、前記補助磁極層21とライトシールド層62の両方を図3ないし図5に示す平面形状にすることが最も好ましい。またかかる場合、前記補助磁極層21とライトシールド層62の両方を同じ平面形状にする必要はなく、例えば、図4に示す平面形状を補助磁極層21に用い、図3に示す平面形状をライトシールド層62に用いるなど、両者の形状は異なるものでもよい。
【0078】
なお図3ないし図5に示す補助磁極層21は例えばメッキ形成やスパッタ形成されるものである。例えばメッキ形成時に図3ないし図5に示すような形状のレジストパターンを形成しておいたり、あるいは図6のように直方形状の補助磁極層を形成後、前端面と側端面間の角部をエッチングなどで面取り加工することで、図3ないし図5に示す補助磁極層を形成できる。ライトシールド層62の場合も同様である。
【0079】
図3ないし図5に示す補助磁極層21を用いれば、前記前端面21bと傾斜面21d間の角度θ2を鈍角にでき、あるいは前記前端面21bから湾曲面21g,21hに向けて角張った部分を無くすことができるため、従来のように前記前端面21bのトラック幅方向の両端部に形成さされる角部に、記録媒体から戻ってくる磁束の一極集中を抑制でき、より広範囲の部分に前記磁束の拡散を促すことが可能である。このため、コイル層27に与えられる記録電流を大きくし、起磁力を高めたとしても補助磁極層21からの記録媒体に対する不要な記録や消去を抑制でき、よって起磁力を高めて主磁極層24から記録媒体に発生する磁束の強度を強めることができ、より適切に記録特性の向上を図ることが可能になる。
【0080】
またライトシールド層62の場合も図3ないし図5に示す平面形状にすれば、記録媒体から発生する磁界がライトシールド層62のある個所に一極集中して吸収されることを抑制でき、前記ライトシールド層62からの記録媒体に対する不要な記録や消去を抑制できる。
【0081】
【実施例】
図3に示す平面形状を有する補助磁極層21に形成された角部21eでの記録媒体に対する信号強度と、図6の従来例で示す補助磁極層1に形成された角部1cでの記録媒体に対する信号強度と、を測定し比較した。
【0082】
図6の従来例で示す直法形状の補助磁極層1を用いた場合、記録電流を25mA以上にすると、前記角部1cでの磁界強度が現れ、前記角部1cで記録媒体に対し記録を行ってしまうことがわかった。
【0083】
一方、図3に示す実施例の補助磁極層21を用い、この際、前端面21bと傾斜面21d間の角度θ2を135°とし、前記前端面21bから側端面21cの始端部21c1までの長さ寸法L1を5μmとした場合、記録電流を60mAにしても前記前端面21bと傾斜面21dとの境界である角部21eでの磁界強度は現れず、高い記録電流を流した場合でも前記角部21eで記録媒体に対し記録を行わないことがわかった。
【0084】
また図3に示す実施例の補助磁極層21を用い、この際、前端面21bと傾斜面21d間の角度θ2を150°とし、前記前端面21bから側端面21cの始端部21c1までの長さ寸法L1を1μmとした場合、記録電流を60mAにしても前記前端面21bと傾斜面21dとの境界である角部21eでの磁界強度は現れず、高い記録電流を流した場合でも前記過度部21eで記録媒体に対し記録を行わないことがわかった。
【0085】
【発明の効果】
以上のように本発明では、補助磁極層のトラック幅方向の両端に、前端面からハイト方向に向けてトラック幅方向の幅寸法を徐々に広げる傾斜面あるいは湾曲面が形成されているので、前記前端面と傾斜面間の角度を鈍角にでき、あるいは前記前端面から湾曲面に向けて角張った部分を無くすことができるため、従来のように前記前端面のトラック幅方向の両端部に形成さされる角部に、記録媒体から戻ってくる磁束の一極集中を抑制でき、より広範囲に前記磁束の拡散を促すことが可能である。このため、コイル層に与えられる記録電流を大きくし、起磁力を高めたとしても補助磁極層からの記録媒体に対する不要な記録や消去を抑制でき、よって起磁力を高めて主磁極層24から記録媒体に発生する磁束の強度を強めることができ、より適切に記録特性の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における第1実施形態の垂直磁気記録ヘッドを備えた磁気ヘッドの縦断面図、
【図2】図1に示す垂直磁気記録ヘッドの部分斜視図、
【図3】図1及び図2に示す補助磁極層の平面図、
【図4】図3とは別の形状の補助磁極層の平面図、
【図5】図3とは別の形状の補助磁極層の平面図、
【図6】従来における垂直磁気記録ヘッドの部分斜視図、
【符号の説明】
H1 垂直磁気記録ヘッド
H1a 対向面
M 記録媒体
11 スライダ
21 補助磁極層
21b、21k (補助磁極層の)前端面
21c (補助磁極層の)側端面
21d (補助磁極層の)傾斜面
21g、21h (補助磁極層の)湾曲面
24 主磁極層
25 接続層
27 コイル層
35 ヨーク層
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハード膜を有するディスクなどの記録媒体に対して垂直磁界を与えて記録を行う垂直磁気記録ヘッドに係り、特に補助磁極層やライトシールド層の形状を改良し、記録特性に優れた垂直磁気記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
ディスクなどの記録媒体に磁気データを高密度で記録する装置として垂直磁気記録方式がある。図6は前記垂直磁気記録方式の装置に使用される垂直磁気記録ヘッドの一般的な構造を示す部分斜視図である。
【0003】
図6に示す垂直磁気記録方式の垂直磁気記録ヘッドHは、記録媒体上を浮上して移動しまたは摺動するスライダ(図示しない)の側端面に設けられるものである。
【0004】
符号1は、強磁性材料で形成された補助磁極層であり、前記補助磁極層1の上に所定の間隔を空けて同じく強磁性材料で形成された前記主磁極層2が設けられる。前記補助磁極層1と主磁極層2は記録媒体との対向面で膜厚方向(図示Z方向)で対向する。
【0005】
図6に示す垂直磁気記録ヘッドHは、前記主磁極層2のハイト方向(図示Y方向)後方で、前記主磁極層2と一体となり、前記主磁極層2のトラック幅方向(図示X方向)における幅寸法Twよりも広い幅寸法T1を有するヨーク層3が形成された単磁極型の垂直磁気記録ヘッドである。
【0006】
図6に示すように、前記補助磁極層1と前記ヨーク層3とは、両層の基端部間に介在する接続部4によって磁気的に接続される。
【0007】
また図6に示すように、前記接続部4の周囲を螺旋状に巻回形成されたコイル層5(図6ではコイル層の1ターンのみ図示されている)が形成されている。
【0008】
前記コイル層5に通電されることにより補助磁極層1と、ヨーク層3を通って主磁極層2とに記録磁界が誘導されると、補助磁極層1の前端面1aと、主磁極層2の前端面2aとの間での漏れ記録磁界が、記録媒体に垂直方向に向けられる。
【0009】
図6に示すように、主磁極層2の前端面2aの面積が、補助磁極層1の前端面1aでの面積よりも十分に小さくなっているため、主磁極層2の前端面1aと対向する記録媒体の面に主磁極層2からの磁束φが集中して与えられ、前記磁束φにより磁気データが記録される。
【0010】
例えば垂直磁気記録ヘッドについては、以下の特許文献1に記載がある。この特許文献1に記載された垂直磁気記録ヘッドの補助磁極層1(この文献には「下部磁極」となっている)は、上記で説明した図6と同じ形状であるものと考えられる。
【0011】
【特許文献1】
特開2000−182205
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
図6に示すように前記補助磁極層1の平面形状は直方形状であるため、記録媒体との対向面側に向く前端面1aと、トラック幅方向の両側でハイト方向に延びる側端面1bとの境界に角部1cが形成され、前記前端面1aと側端面1b間の角度θ1は直角となっている。
【0013】
このため図6に記載された補助磁極層1の形状では次のような問題が発生した。すなわち、主磁極層2から記録媒体に垂直方向の磁束が与えられ、その磁束が前記補助磁極層1に戻ってくるときに、前記補助磁極層1の角部1cに集中しやすく、コイル層5に流れる記録電流を大きくし起磁力を高くした場合には、前記補助磁束層1の角部1cにて記録媒体に記録を行ってしまうといった問題が発生したのである。
【0014】
あるいは既に書き込まれた磁気データを、前記角部1cからの磁束により消去してしまうといった問題もある。
【0015】
起磁力を低くすれば、上記した角部1cでの記録・消去を抑制できるが、かかる場合、記録に必要な十分な磁束を得ることができず、記録媒体へデータを正確に記録できなくなり記録特性の低下を招いた。
【0016】
また垂直磁気ヘッドには、主磁極層2の上にライトシールド層(図示しない)が設けられたものもあるが、前記ライトシールド層にも前端面の両端に上記した直角を成す角部があるため上記した問題を生じさせる恐れがあった。
【0017】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するものであり、特に、補助磁極層やライトシールド層の形状を改良することにより、前記補助磁極層やライトシールド層での不要な記録・消去を抑制でき、記録特性に優れた垂直磁気記録ヘッドを提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、 記録媒体との対向面側で、補助磁極層と主磁極層とが間隔を開けて位置し、前記対向面よりもハイト方向後方に前記補助磁極層と前記主磁極層とに記録磁界を与えるコイル層が設けられ、前記主磁極層に集中する垂直磁界によって、前記記録媒体に磁気データを記録する垂直磁気記録ヘッドにおいて、
前記補助磁極層のトラック幅方向の両側には、記録媒体との対向面側に位置する前端面からハイト方向に向けて前記補助磁極層のトラック幅方向の幅寸法を徐々に広げる傾斜面あるいは湾曲面が形成されていることを特徴とするものである。
【0019】
このように、補助磁極層のトラック幅方向の両側に、前端面からハイト方向に向けて、前記補助磁極層のトラック幅方向における幅寸法を徐々に広げる傾斜面あるいは湾曲面を設けることで、前記前端面の両端に直角をなす角部が無くなり、前記前端面の両端には鈍角の角部かあるいは角部自体が形成されなくなるので、記録媒体から補助磁極層に磁束が戻ってくるときに、前記磁束が前記補助磁極層の前端面や傾斜面あるいは湾曲面の広い範囲にわたって拡散し吸収されやすくなる。
【0020】
この結果、記録電流を大きくし起磁力を高めても、前記補助磁極層による不要な記録・消去を抑制できるので前記起磁力を高めて、主磁極層から記録に必要な十分な磁束を発生させることができ記録特性の向上を図ることが可能である。
【0021】
また本発明は、記録媒体との対向面側で、補助磁極層と主磁極層とが間隔を開けて位置し、前記対向面よりもハイト方向後方に前記補助磁極層と前記主磁極層とに記録磁界を与えるコイル層が設けられ、さらに前記主磁極層の上に絶縁層を介してライトシールド層が設けられ、前記主磁極層に集中する垂直磁界によって、前記記録媒体に磁気データを記録する垂直磁気記録ヘッドにおいて、
前記補助磁極層及び/またはライトシールド層のトラック幅方向の両側には、記録媒体との対向面側に位置する前端面からハイト方向に向けてトラック幅方向の幅寸法を徐々に広げる傾斜面あるいは湾曲面が形成されていることを特徴とするものである。
【0022】
前記ライトシールド層は、補助磁極層と異なり、主磁極層との間で磁気回路を形成しないから、前記ライトシールド層における不要な記録・消去の発生は補助磁極層の場合に比べて少ないものの、前記ライトシールド層にもその前端面の両単に直角を成す角部があると、その部分で磁束を集中して吸収し、前記角部から記録媒体に向けて発生する磁界強度が強まってしまうので、前記ライトシールド層にも、前端面からハイト方向に向けて、前記ライトシールド層のトラック幅方向における幅寸法が広がる傾斜面あるいは湾曲面を設けることが良い。
【0023】
また本発明では、前記傾斜面は、前記前端面と、ハイト方向後方に向けて延びるトラック幅方向の両側に位置する側端面間を繋ぐ面であることが好ましい。
【0024】
あるいは、前記湾曲面は、前記前端面と、ハイト方向後方に向けて延びるトラック幅方向の両側に位置する側端面間を繋ぎ、前記前端面のトラック幅方向における側端部と、前記側端面の記録媒体との対向面側の始端部とを結んだ仮想面よりも記録媒体との対向面側に向けて膨らむ凸状湾曲面であることが好ましい。
【0025】
また本発明では、前記前端面は前記対向面に露出している形態であっても、前記前端面は前記対向面と平行な面であり、ハイト方向に後退している形態であってもどちらでもよい。
【0026】
また本発明は、記録媒体との対向面側で、補助磁極層と主磁極層とが間隔を開けて位置し、前記対向面よりもハイト方向後方に前記補助磁極層と前記主磁極層とに記録磁界を与えるコイル層が設けられ、前記主磁極層に集中する垂直磁界によって、前記記録媒体に磁気データを記録する垂直磁気記録ヘッドにおいて、
前記補助磁極層は、記録媒体との対向面側に位置する前端面が、前記対向面側からハイト方向に向けて前記補助磁極層のトラック幅方向における幅寸法が広がるように湾曲してなり、前記前端面のハイト側の基端部からハイト方向後方に向けてトラック幅方向の両側に位置する側端面が延びていることを特徴とするものである。
【0027】
あるいは本発明は、記録媒体との対向面側で、補助磁極層と主磁極層とが間隔を開けて位置し、前記対向面よりもハイト方向後方に前記補助磁極層と前記主磁極層とに記録磁界を与えるコイル層が設けられ、さらには前記主磁極層の上に絶縁層を介してライトシールド層が設けられ、前記主磁極層に集中する垂直磁界によって、前記記録媒体に磁気データを記録する垂直磁気記録ヘッドにおいて、
前記補助磁極層及び/またはライトシールド層は、記録媒体との対向面側に位置する前端面が、前記対向面側からハイト方向に向けてトラック幅方向における幅寸法が広がるように湾曲してなり、前記前端面のハイト側の基端部からハイト方向後方に向けてトラック幅方向の両側に位置する側端面が延びていることを特徴とするものである。
【0028】
上記した構成では、前記補助磁極層やライトシールド層の前端面全体が湾曲した形状であるため、従来のように前端面の両端に角張った部分が無くなり、前記補助磁極層に戻る磁束の一極集中を適切に抑制でき、起磁力を高めても前記補助磁極層での不要な記録・消去を抑制できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1実施形態の垂直磁気記録ヘッドを備えた磁気ヘッドの構造を示す縦断面図である。
【0030】
図1に示す垂直磁気記録ヘッドH1は記録媒体Mに垂直磁界を与え、記録媒体Mのハード膜Maを垂直方向に磁化させるものである。
【0031】
前記記録媒体Mはディスク状であり、その表面に残留磁化の高いハード膜Maが、内方に磁気透過率の高いソフト膜Mbを有しており、ディスクの中心が回転軸中心となって回転させられる。
【0032】
前記垂直磁気記録ヘッドHのスライダ11はAl2O3・TiCなどのセラミック材料で形成されており、スライダ11の対向面11aが前記記録媒体Mに対向し、記録媒体Mが回転すると、表面の空気流によりスライダ11が記録媒体Mの表面から浮上し、またはスライダ11が記録媒体Mに摺動する。図1においてスライダ11に対する記録媒体Mの移動方向は図示Z方向である。垂直磁気記録ヘッドH1はスライダ11のトレーリング側端面に設けられる。
【0033】
前記スライダ11の上面11bには、Al2O3またはSiO2などの無機材料による非磁性絶縁層54が形成されて、この非磁性絶縁層の上に読取り部HRが形成されている。
【0034】
前記読取り部HRは、下から下部シールド層52、ギャップ層55、磁気抵抗効果素子53、および上部シールド層51から成る。前記磁気抵抗効果素子53は、異方性磁気抵抗効果(AMR)素子、巨大磁気抵抗効果(GMR)素子、トンネル型磁気抵抗効果(TMR)素子などである。
【0035】
前記上部シールド層51の上には、Al2O3またはSiO2などの無機材料による非磁性絶縁層12が形成されて、前記非磁性絶縁層12の上に本発明の記録用の垂直磁気記録ヘッドH1が設けられている。そして垂直磁気記録ヘッドH1は無機非磁性絶縁材料などで形成された保護層13により被覆されている。そして前記垂直磁気記録ヘッドH1の記録媒体との対向面H1aは、前記スライダ11の対向面11aとほぼ同一面である。
【0036】
前記垂直磁気記録ヘッドH1では、パーマロイ(Ni−Fe)などの強磁性材料がメッキされて補助磁極層21が形成されている。なお前記上部シールド層51が前記補助磁極層21として兼用されていてもよい。前記非磁性絶縁層12は、前記補助磁極層21の下および前記補助磁極層21の周囲に形成されている。そして図1に示すように、補助磁極層21の表面(上面)21aと前記非磁性絶縁層12の表面(上面)12aとは同一の平面上に位置している。
【0037】
図1に示すように、前記対向面H1aよりもハイト方向後方(図示Y方向)では、前記補助磁極層21の表面21a上にNi−Feなどの接続層25が形成されている。
【0038】
前記接続層25の周囲において、前記補助磁極層21の表面21aおよび前記非磁性絶縁層12の表面12a上に、Al2O3などの絶縁下地層26が形成されて、この絶縁下地層26の上にCuなどの導電性材料によりコイル層27が形成されている。このコイル層27はフレームメッキ法などで形成されたものであり、前記接続層25の周囲に所定の巻き数となるように螺旋状にパターン形成されている。コイル層27の巻き中心側の接続端27a上には同じくCuなどの導電性材料で形成された底上げ層31が形成されている。
【0039】
前記コイル層27および底上げ層31は、レジスト材料などの有機材料の絶縁層32で被覆されており、さらに絶縁層33で覆われている。
【0040】
前記絶縁層33は無機絶縁材料で形成されることが好ましく、前記無機絶縁材料としては、AlO、Al2O3、SiO2、Ta2O5、TiO、AlN、AlSiN、TiN、SiN、Si3N4、NiO、WO、WO3、BN、CrN、SiONのうち少なくとも1種以上を選択できる。
【0041】
そして前記接続層25の表面(上面)25a、底上げ層31の表面(上面)31a、および絶縁層33の表面(上面)33aは、同一面となるように加工されている。このような平坦化加工は後述の製造方法で説明するように、CMP技術などを用いて行なわれる。
【0042】
この第1実施形態では、前記絶縁層33の上に、ヨーク層35が形成されている。図1に示すように前記ヨーク層35の前端面35aは、前記対向面H1aよりもハイト方向(図示Y方向)後方に形成されている。また前記ヨーク層35の基端部35cは、前記接続層25の上面25aに形成され、前記基端部35cと接続層25とが磁気的に接続された状態になっている。前記ヨーク層35の下の絶縁層33は平坦化面で形成されているので、前記ヨーク層35をパターン精度良く形成することができる。
【0043】
また図1に示すように、前記底上げ層31の表面31aにはリード層36が形成され、リード層36から前記底上げ層31およびコイル層27に記録電流の供給が可能となっている。
【0044】
また図1に示すように、前記ヨーク層35よりも前記対向面H1a側に位置する絶縁層33上には絶縁層50が重ねて形成され、これにより前記ヨーク層35の前端面35aは対向面H1aから露出しないようになっている。
【0045】
図1に示すように前記絶縁層50の上面とヨーク層35の上面は同一の平坦化面であり、前記絶縁層50上からヨーク層35上にかけてNiFe等の磁性材料で形成された主磁極層24が形成されている。前記主磁極層24の前端面24aは前記対向面H1aから現れている。
【0046】
前記主磁極層24及びヨーク層35のハイト方向の後端面よりもハイト側は絶縁層60によって埋められている。
【0047】
図1に示す実施の形態では、前記主磁極層24上及び絶縁層60上に絶縁層61が形成され、この絶縁層61の上にライトシールド層62が形成される。前記ライトシールド層62のハイト方向の後端面よりもハイト側は絶縁層63によって埋められ、さらに前記ライトシールド層62上及び絶縁層63上に保護層13が形成されている。
【0048】
図2は図1に示す補助磁極層21、ヨーク層35、主磁極層24、接続層25及びコイル層27(ただし1ターンのみ図示されている)の構造を示す部分斜視図である。
【0049】
図2に示すように、前記補助磁極層21は対向面H1aから露出する前端面21bと、ハイト方向(図示Y方向)の後方に向けて延びるトラック幅方向(図示X方向)の両側に位置する側端面21c,21cと、前記前端面21bからハイト方向に向けて、前記補助磁極層21のトラック幅方向における幅寸法が徐々に広がるように、前記前端面21bと前記側端面21c,21c間を繋ぐ傾斜面21dとで構成される。
【0050】
また図2に示すようにヨーク層35は、その上に形成される主磁極層24よりもトラック幅方向への幅寸法が広くなっている。前記主磁極層24は、前記対向面H1aに露出する前端面24aからハイト方向(図示Y方向)に向けてほぼ一定の幅寸法Twで形成された先端領域24bと、前記先端領域24bの両側の基端部24b1,24b1からハイト方向に向けて徐々にトラック幅方向への幅寸法が広がるように形成された後端領域24cとからなる。ただし前記主磁極層24の形態は図2の形態に限らず、例えばトラック幅Twを有する先端領域24bのみで構成されていてもよい。また前記後端領域24cも先端領域24bと同様にトラック幅Twで形成されていてもよい。また前記主磁極層24が前記ヨーク層35の下に形成されていてもよく、あるいは図6に示すようなヨーク層と主磁極層とが一体となった形態であってもよい。
【0051】
図1,図2に示す実施の形態では特に補助磁極層21の形状に特徴的な部分がある。
【0052】
従来例を示す図6では、補助磁極層1は、記録媒体との対向面に露出する前端面1aと、そのトラック幅方向の両側からハイト方向に延びる側端面1bとで構成され、前記前端面1aと側端面1b間が直角を成す角部1cとなっていたが、図2に示す本発明では、前記補助磁極層21の前端面21bと側端面21c間を面取り加工するなどして前記前端面21bと側端面21c間に両面を繋ぐ傾斜面21dを介在させ、この傾斜面21dが形成されている部分では、前記補助磁極層21のトラック幅方向への幅寸法が前記前端面21bからハイト方向に向けて徐々に広くなるように構成されている。
【0053】
図2に示す実施の形態では、前記傾斜面21dはハイト方向(図示Y方向)に対し斜めに傾いており、前記前端面21bと傾斜面21dとの境界に角部21eが形成されるものの、前記前端面21bと傾斜面21d間の角度θ2は鈍角となるため、主磁極層24から記録媒体Mに垂直の磁束φが与えられ、前記磁束φが前記記録媒体Mから補助磁極層21に戻ってくるとき、前記磁束φは、前記補助磁極層21の前記角部21eに一極集中せず、前記補助磁極層21の前端面21bや傾斜面21dに分散して吸収されやすくなる。このため、コイル層27に与えられる記録電流を大きくし起磁力を高めたとしても、前記角部21eから発生する磁束は弱く、前記角部21eの部分で記録を行ってしまったり、あるいは既に記録されたデータを消去してしまったりする不具合を抑制できる。その結果、起磁力を高めて、主磁極層24から発生する垂直方向の磁束φを強めることができ高記録密度化に対応した記録特性の向上を図ることが可能である。
【0054】
図3は図1及び図2に示す補助磁極層21の平面図である。前記補助磁極層21の前端面21bは、記録媒体との対向面H1aに露出し、X−Z平面と平行な面となっている。またトラック幅方向の両側に形成され、ハイト方向に延びる側端面21c,21cは、Y−Z平面と平行な平面であることが好ましいが、必ずしも平行な面である必要はない。例えば前記側端面21cの対向面H1a側の始端部21c1からハイト側の基端部21c2にかけてハイト方向に対し斜めに傾いていたり、あるいは湾曲した面であってもよい。
【0055】
例えば前記側端面21cがハイト方向に対して傾斜した面である場合、ハイト方向に対する傾斜角度が、側端面21cと傾斜面21dとで異なっているように構成する。これによって前記側端面21cと前記前端面21bと平行な仮想面との間で形成される角度θ3も直角では無く鈍角となり、前記傾斜面21dと側端面21cとの境界に形成される角部21fに対しても記録媒体から補助磁極層21に戻ってくる磁束の集中が抑制できる。
【0056】
前記補助磁極層21の前端面21bと傾斜面21d間の角度θ2は、90°より大きく、180°未満であるが、好ましくは135°以上で175°以下である。前記角度θ2が135°よりも小さいと、コイル層27に流される通常の記録電流(具体的には10mA〜70mAの範囲内)によっても前記前端面21bと傾斜面21dとの境界である角部21eから記録媒体に対し記録を行える程度の磁界強度が出やすい。また前記角度θ2が175°よりも大きいと、前記前端面21bのトラック幅方向における側端部21b1から側端面21cの始端部21c1までのハイト方向に対する長さ寸法L1が短くなりすぎ、前記傾斜面21dと側端面21cとの境界である角部21fから発生する磁界が、記録媒体上に到達するまでに効率良く減衰せず、前記角部21fでの記録媒体に対する記録や消去が行われる可能性がある。よって上記のように前記角度θ2は135°以上で175°以下であることが好ましい。
【0057】
なお前記長さ寸法L1は、1μm以上10μm以下であることが好ましい。前記長さ寸法L1が1μm未満であると、上記のように前記傾斜面21dと側端面21cとの境界である角部21fでの記録媒体に対する記録や消去が行われやすくなる。
【0058】
一方、前記長さ寸法L1が10μmよりも大きいと、角度θ2及び幅寸法T2,T3を適正範囲内に収められなくなるという問題が発生しやすい。
【0059】
また図3に示すように、前記補助磁極層21の前端面21bのトラック幅方向(図示X方向)における幅寸法はT2で、トラック幅方向の両側に形成された側端面21c,21c間の幅寸法はT3である。ここで前記側端面21c,21c間の幅寸法T3とは、前記側端面21c,21c間における最大の幅寸法を指す。前記幅寸法T2は10μm〜190μm、幅寸法T3は20μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。そして前記幅寸法T3に対する前記幅寸法T2の割合{(T2/T3)×100}は50%以上で95%以下であることが好ましい。
【0060】
前記割合が50%より小さいと、前記前端面21bから露出する前端面21bの面積が小さくなりすぎ、記録媒体からの戻り磁束を効率良く前記前端面21bで吸収できない。また前記割合が95%よりも大きいと、角度θ2及び長さ寸法L1を上記した適性範囲内に収めることができなくなる。
【0061】
また図3に示す実施の形態では、前記補助磁極層21の前端面21bが記録媒体との対向面H1aから露出しているが、露出していなくてもよい。図3では例えば記録媒体との対向面H1aが、一点鎖線の位置にあり、前記補助磁極層21の前端面21bが前記対向面H1aから長さ寸法L2だけ後退していてもよい。またかかる場合、前記前端面21bは前記対向面H1aと平行であることが好ましい。このように前記補助磁極層21の前端面21bを長さ寸法L2だけ後方に後退させると、前記前端面21bと傾斜面21dとの境界である角部21e及び傾斜面21dと側端面21cとの境界である角部21fが記録媒体から離れるため、仮にこれら角部から記録媒体に向けて磁束が生じても、前記磁束は前記媒体面上に到達するまでに効率良く減衰し、前記角部21e,21fでの前記記録媒体に対する記録や消去が行われるのをより効果的に抑制できる。
【0062】
しかし前記長さ寸法L2があまり長すぎると、記録媒体から戻ってくる磁束を効果的に前記補助磁極層21で吸収できなくなるから、前記長さ寸法L2は0μmより大きく5μm以下の範囲内であることが好ましい。
【0063】
図4は図3とは異なる形状の補助磁極層21の平面図である。図4では補助磁極層21を構成する前端面21bと側端面21cとの間に両面を繋ぐ湾曲面21gがある。
【0064】
図4では、前記湾曲面21gは、前記前端面21bのトラック幅方向(図示X方向)における側端部21b1,21b1と、前記側端面21cの前記対向面H1a側の始端部21c1,21c1とを結んだ仮想面A,Aよりも前記対向面H1a側に向けて膨らむ凸状湾曲面となっている。
【0065】
このように前記湾曲面21gを凸状湾曲面とすることで、前記前端面21bと湾曲面21g間及び前記湾曲面21gと側端面21c間に角張った部分が無くなり、記録媒体Mから前記補助磁極層21に向けて戻ってくる磁束を前記前端面21bや湾曲面21gの広い範囲にわたって拡散させやすい。このため、コイル層27に与えられる記録電流を大きくし起磁力を高めても、補助磁極層21から記録媒体Mに対する不要な記録や消去を抑制でき、この結果、前記起磁力を高め、主磁極層24から記録媒体Mに向けて発生する磁界強度を強めることができ記録特性の向上を図ることが可能である。
【0066】
また図4では、前記前端面21bと側端面21c間を繋ぐ湾曲面21hは、前記仮想面A,Aよりもハイト方向に向けて凹む凹状湾曲面であってもよい。ただし、前記湾曲面21hを凹状湾曲面とすると、前記前端面21bと湾曲面21hとの境界部21iや湾曲面21hと側端面21cとの境界部21jに若干、角張った部分が出来やすいので、このような角張った部分をより無くすためには凸状湾曲面である湾曲面21gを設けることが好ましい。
【0067】
また、図3での角度θ2は、図4では湾曲した湾曲面21g,21hの中点から引いた接線と、前端面21b間の角度で規定される。例えば凸状湾曲面の湾曲面21gのように全て同じ曲率で形成されている場合は、前記湾曲面21gの中点から引かれる接線と前記前端面21b間の角度が図3での角度θ2である。一方、凹状湾曲面の湾曲面21hのように、前記湾曲面21h内に2つの異なる曲率の湾曲面が形成されている場合は、より対向面H1a側に形成されている湾曲面21h1での中点から引かれる接線と前端面21b間の角度が図3での角度θ2となる。
【0068】
なお前記前端面21bと媒体対向面H1aとの関係や、前端面21bの幅寸法T2、側端面21c,21c間の幅寸法T3等は全て図3と同じである。
【0069】
図3及び図4では、補助磁極層21が前端面21bと側端面21cと、その両面を繋ぐ傾斜面あるいは湾曲面とで構成されていたが、本発明ではこのような形態に限るものではない。本発明では、前記補助磁極層21には前端面21bと、その両端からハイト方向に向けて前記補助磁極層21のトラック幅方向への幅寸法が徐々に広がる傾斜面あるいは湾曲面が設けられていればよい。そのため前記補助磁極層21の平面形状は例えば台形状などであってもよい。
【0070】
図5は図3及び図4とは異なる形態の補助磁極層21の平面図である。図5では図3や図4のように前記補助磁極層21に前端面と側端面間を繋ぐ傾斜面21dや湾曲面21g,21hは設けられていない。図5では、前記対向面H1a側に位置する前端面21kが、前記対向面H1a側からハイト方向(図示Y方向)に向けて補助磁極層21のトラック幅方向(図示X方向)への幅寸法が徐々に広がるように湾曲して成り、前記前端面21kのハイト側の基端部21k1,21k1からハイト方向後方に向けてトラック幅方向の両側に位置する側端面21c,21cが延びている。
【0071】
図5では、前記前端面21kのちょうどZ方向への中心線21k2の部分が前記対向面H1aから露出した状態になっているが、前記前端面21k全体が前記対向面H1aからハイト方向へ後退していてもよい。かかる場合、前記対向面H1aから前記前端面21kの中心線21k2までのハイト方向における長さ寸法は0μmより大きく5μm以下の範囲内である。
【0072】
この実施形態では、前記前端面21kでの中心線21k2から基端部21k1までのハイト方向への長さ寸法はL3が1μm〜10μmの範囲内、前記基端部21k1,21k1間を結ぶトラック幅方向への幅寸法T4が20μm〜200μmの範囲内となるように、前記前端面21kを湾曲形成する。上記した範囲内で形成された前端面21kでは、中心線21k2から両側の基端部21k1に向けてなだらかにハイト方向に後退する面にできるとともに、前記前端面21kと側端面21cとの境界部21lを適度にハイト方向に後退させることができるので、記録媒体から補助磁極層21に戻ってくる磁束を前記前端面21kのより全体に拡散できるようになり好ましい。
【0073】
上記した図3ないし図5の構成は、いずれも図1に示すライトシールド層62に適用可能である。
【0074】
前記補助磁極層21は、主磁極層24、ヨーク層35、接続層25との間で磁気回路を形成するため、コイル層27への記録電流を大きくし起磁力を高めた場合に、前記補助磁極層21が従来のような直方形状であると、不要な記録・消去の問題が大きくなるが、ライトシールド層62の場合は、他の磁性層との間で磁気回路を構成しているわけではないので、補助磁極層21に比べて起磁力を高めた場合の不具合点は生じにくい。
【0075】
しかし、ライトシールド層62にも記録媒体からの磁界が侵入してきたとき、前記ライトシールド層62が直方形状であると、前記ライトシールド層62の前端面の両側にある直角の角部に、磁束が一極集中しやすく、その部分での磁界強度は強まってしまうため、前記ライトシールド層62の前端面の両側にある角部から媒体面に向けて記録可能な程度の磁束が漏れ出す危険性もある。
【0076】
そのため前記ライトシールド層62も図3ないし図5のような平面形状で形成することが好ましい。
【0077】
なお本発明によれば、補助磁極層21を従来と同様の直方形状にし、ライトシールド層62を図3ないし図5に示す平面形状で形成するとする選択肢や、ライトシールド層62を従来と同様の直方形状にし、補助磁極層21を図3ないし図5に示す平面形状で形成するとする選択肢があるが、ライトシールド層62がある垂直磁気ヘッドの場合は、前記補助磁極層21とライトシールド層62の両方を図3ないし図5に示す平面形状にすることが最も好ましい。またかかる場合、前記補助磁極層21とライトシールド層62の両方を同じ平面形状にする必要はなく、例えば、図4に示す平面形状を補助磁極層21に用い、図3に示す平面形状をライトシールド層62に用いるなど、両者の形状は異なるものでもよい。
【0078】
なお図3ないし図5に示す補助磁極層21は例えばメッキ形成やスパッタ形成されるものである。例えばメッキ形成時に図3ないし図5に示すような形状のレジストパターンを形成しておいたり、あるいは図6のように直方形状の補助磁極層を形成後、前端面と側端面間の角部をエッチングなどで面取り加工することで、図3ないし図5に示す補助磁極層を形成できる。ライトシールド層62の場合も同様である。
【0079】
図3ないし図5に示す補助磁極層21を用いれば、前記前端面21bと傾斜面21d間の角度θ2を鈍角にでき、あるいは前記前端面21bから湾曲面21g,21hに向けて角張った部分を無くすことができるため、従来のように前記前端面21bのトラック幅方向の両端部に形成さされる角部に、記録媒体から戻ってくる磁束の一極集中を抑制でき、より広範囲の部分に前記磁束の拡散を促すことが可能である。このため、コイル層27に与えられる記録電流を大きくし、起磁力を高めたとしても補助磁極層21からの記録媒体に対する不要な記録や消去を抑制でき、よって起磁力を高めて主磁極層24から記録媒体に発生する磁束の強度を強めることができ、より適切に記録特性の向上を図ることが可能になる。
【0080】
またライトシールド層62の場合も図3ないし図5に示す平面形状にすれば、記録媒体から発生する磁界がライトシールド層62のある個所に一極集中して吸収されることを抑制でき、前記ライトシールド層62からの記録媒体に対する不要な記録や消去を抑制できる。
【0081】
【実施例】
図3に示す平面形状を有する補助磁極層21に形成された角部21eでの記録媒体に対する信号強度と、図6の従来例で示す補助磁極層1に形成された角部1cでの記録媒体に対する信号強度と、を測定し比較した。
【0082】
図6の従来例で示す直法形状の補助磁極層1を用いた場合、記録電流を25mA以上にすると、前記角部1cでの磁界強度が現れ、前記角部1cで記録媒体に対し記録を行ってしまうことがわかった。
【0083】
一方、図3に示す実施例の補助磁極層21を用い、この際、前端面21bと傾斜面21d間の角度θ2を135°とし、前記前端面21bから側端面21cの始端部21c1までの長さ寸法L1を5μmとした場合、記録電流を60mAにしても前記前端面21bと傾斜面21dとの境界である角部21eでの磁界強度は現れず、高い記録電流を流した場合でも前記角部21eで記録媒体に対し記録を行わないことがわかった。
【0084】
また図3に示す実施例の補助磁極層21を用い、この際、前端面21bと傾斜面21d間の角度θ2を150°とし、前記前端面21bから側端面21cの始端部21c1までの長さ寸法L1を1μmとした場合、記録電流を60mAにしても前記前端面21bと傾斜面21dとの境界である角部21eでの磁界強度は現れず、高い記録電流を流した場合でも前記過度部21eで記録媒体に対し記録を行わないことがわかった。
【0085】
【発明の効果】
以上のように本発明では、補助磁極層のトラック幅方向の両端に、前端面からハイト方向に向けてトラック幅方向の幅寸法を徐々に広げる傾斜面あるいは湾曲面が形成されているので、前記前端面と傾斜面間の角度を鈍角にでき、あるいは前記前端面から湾曲面に向けて角張った部分を無くすことができるため、従来のように前記前端面のトラック幅方向の両端部に形成さされる角部に、記録媒体から戻ってくる磁束の一極集中を抑制でき、より広範囲に前記磁束の拡散を促すことが可能である。このため、コイル層に与えられる記録電流を大きくし、起磁力を高めたとしても補助磁極層からの記録媒体に対する不要な記録や消去を抑制でき、よって起磁力を高めて主磁極層24から記録媒体に発生する磁束の強度を強めることができ、より適切に記録特性の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における第1実施形態の垂直磁気記録ヘッドを備えた磁気ヘッドの縦断面図、
【図2】図1に示す垂直磁気記録ヘッドの部分斜視図、
【図3】図1及び図2に示す補助磁極層の平面図、
【図4】図3とは別の形状の補助磁極層の平面図、
【図5】図3とは別の形状の補助磁極層の平面図、
【図6】従来における垂直磁気記録ヘッドの部分斜視図、
【符号の説明】
H1 垂直磁気記録ヘッド
H1a 対向面
M 記録媒体
11 スライダ
21 補助磁極層
21b、21k (補助磁極層の)前端面
21c (補助磁極層の)側端面
21d (補助磁極層の)傾斜面
21g、21h (補助磁極層の)湾曲面
24 主磁極層
25 接続層
27 コイル層
35 ヨーク層
Claims (8)
- 記録媒体との対向面側で、補助磁極層と主磁極層とが間隔を開けて位置し、前記対向面よりもハイト方向後方に前記補助磁極層と前記主磁極層とに記録磁界を与えるコイル層が設けられ、前記主磁極層に集中する垂直磁界によって、前記記録媒体に磁気データを記録する垂直磁気記録ヘッドにおいて、前記補助磁極層のトラック幅方向の両側には、記録媒体との対向面側に位置する前端面からハイト方向に向けて前記補助磁極層のトラック幅方向の幅寸法を徐々に広げる傾斜面あるいは湾曲面が形成されていることを特徴とする垂直磁気記録ヘッド。
- 記録媒体との対向面側で、補助磁極層と主磁極層とが間隔を開けて位置し、前記対向面よりもハイト方向後方に前記補助磁極層と前記主磁極層とに記録磁界を与えるコイル層が設けられ、さらに前記主磁極層の上に絶縁層を介してライトシールド層が設けられ、前記主磁極層に集中する垂直磁界によって、前記記録媒体に磁気データを記録する垂直磁気記録ヘッドにおいて、
前記補助磁極層及び/またはライトシールド層のトラック幅方向の両側には、記録媒体との対向面側に位置する前端面からハイト方向に向けてトラック幅方向の幅寸法を徐々に広げる傾斜面あるいは湾曲面が形成されていることを特徴とする垂直磁気記録ヘッド。 - 前記傾斜面は、前記前端面と、ハイト方向後方に向けて延びるトラック幅方向の両側に位置する側端面間を繋ぐ面である請求項1または2に記載の垂直磁気記録ヘッド。
- 前記湾曲面は、前記前端面と、ハイト方向後方に向けて延びるトラック幅方向の両側に位置する側端面間を繋ぎ、前記前端面のトラック幅方向における側端部と、前記側端面の記録媒体との対向面側の始端部とを結んだ仮想面よりも記録媒体との対向面側に向けて膨らむ凸状湾曲面である請求項1または2に記載の垂直磁気記録ヘッド。
- 前記前端面は前記対向面に露出している請求項1ないし4のいずれかに記載の垂直磁気記録ヘッド。
- 前記前端面は前記対向面と平行な面であり、ハイト方向に後退している請求項1ないし4のいずれかに記載の垂直磁気ヘッド。
- 記録媒体との対向面側で、補助磁極層と主磁極層とが間隔を開けて位置し、前記対向面よりもハイト方向後方に前記補助磁極層と前記主磁極層とに記録磁界を与えるコイル層が設けられ、前記主磁極層に集中する垂直磁界によって、前記記録媒体に磁気データを記録する垂直磁気記録ヘッドにおいて、
前記補助磁極層は、記録媒体との対向面側に位置する前端面が、前記対向面側からハイト方向に向けて前記補助磁極層のトラック幅方向における幅寸法が広がるように湾曲してなり、前記前端面のハイト側の基端部からハイト方向後方に向けてトラック幅方向の両側に位置する側端面が延びていることを特徴とする垂直磁気記録ヘッド。 - 記録媒体との対向面側で、補助磁極層と主磁極層とが間隔を開けて位置し、前記対向面よりもハイト方向後方に前記補助磁極層と前記主磁極層とに記録磁界を与えるコイル層が設けられ、さらには前記主磁極層の上に絶縁層を介してライトシールド層が設けられ、前記主磁極層に集中する垂直磁界によって、前記記録媒体に磁気データを記録する垂直磁気記録ヘッドにおいて、
前記補助磁極層及び/またはライトシールド層は、記録媒体との対向面側に位置する前端面が、前記対向面側からハイト方向に向けてトラック幅方向における幅寸法が広がるように湾曲してなり、前記前端面のハイト側の基端部からハイト方向後方に向けてトラック幅方向の両側に位置する側端面が延びていることを特徴とする垂直磁気記録ヘッド。
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