JP2004278164A - 遠隔操作排水栓装置 - Google Patents

Abstract

【課題】ワンウェイ式の遠隔操作式排水栓装置において、ロック機構に破損等が生じた場合に、容易且つ安価に破損個所を交換することができる、等の機能を付加する。
【解決手段】排水口１と、該排水口１を開閉する栓蓋２と、該栓蓋２の動作を操作する操作部３と、操作部３の操作を栓蓋２に伝達するインナーワイヤ４ｂを摺動自在に収納したレリースワイヤ４と、インナーワイヤ４ｂを付勢するワイヤスプリング５と、から成る遠隔操作式排水栓装置において、操作部３に、複数の傾斜歯を設けた押ボタン部材６と、傾斜歯と歯合して部材全体を回転させる回転歯、及び凸条を備えた回転部材と、回転歯と歯合して回転歯の摺動を防止する固定歯を設けたケーシング部８と、からなるロック機構を備える。
【選択図】 図１

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は洗面台、浴槽等の槽体を有する排水機器に取り付けられる遠隔操作式排水栓装置に関するものであって、更に詳しくは、操作部の押し操作毎に排水口の開口／閉口を繰り返す、ワンウェイ式と呼ばれる遠隔操作排水栓装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来より洗面台、浴槽等の槽体を有する排水機器には、排水口に備えられた止水用の栓蓋に直接手を触れることなく、操作部の操作によって栓蓋を開閉することができる遠隔操作式排水栓装置が利用されている。
【０００３】
従来よく知られた遠隔操作式排水栓装置としては、図９に示した遠隔操作式排水栓装置や、図１１に示した遠隔操作式排水栓装置が良く知られている。
図９に示した遠隔操作式排水栓装置は、栓蓋を備えた排水口と、該栓蓋の動作を操作する押ボタン部材と、該操作部の操作を栓蓋に伝達する、筒形状にして可撓性を有するアウターチューブ、該アウターチューブ内に摺動自在に備えられたインナーワイヤ、から成るレリースワイヤと、から成り、更に遠隔操作式排水栓装置の排水口に、図１０に示したような、栓蓋に固定された支持軸、支持軸に固定された固定リング、固定リングと歯合する回転リング及び回転リングに歯合する係合壁、からなる、ロック機構（特許文献１中には「スラストロック機構」と記載）が配置されている。
この遠隔操作式排水栓装置の排水口が閉口している状態において、押ボタン部材に押し操作を加えると、インナーワイヤを介してロック機構に押し操作が伝達され、ロック機構の支持軸とそれに固定されている栓蓋が上昇した状態で支持されるため、排水口が開口して排水が行われる。また、この状態から再度押ボタン部材に押し操作を加えると、インナーワイヤを介してロック機構に押し操作が伝達され、ロック機構の支持が解除され、栓蓋が降下して排水口が閉口される。以後、この操作の繰り返しによって遠隔操作式排水栓装置の排水口を自在に開閉することができる。
また、図１１に示した遠隔操作式排水栓装置は、栓蓋を備えた排水口と、該栓蓋の動作を操作する押ボタン部材と、該操作部の操作を栓蓋に伝達する、筒形状にして可撓性を有するアウターチューブ、該アウターチューブ内に摺動自在に備えられたインナーワイヤ、から成るレリースワイヤと、から成り、更に操作部に、上記図１０の従来例のロック機構と同様のロック機構を、支持軸の一端が押ボタン部材に固定され、且つ他端がレリースワイヤに当接するようにして備えている。
この遠隔操作式排水栓装置の排水口が閉口している状態おいて、押ボタン部材に押し操作を加えると、ロック機構が、インナーワイヤを押し操作を加えた状態に支持し、インナーワイヤに接続されている栓蓋が上昇した状態となって排水口が開口し、排水が行われる。また、この状態から再度押ボタン部材に押し操作を加えると、ロック機構の支持が解除され、インナーワイヤが後退するため、栓蓋が降下して排水口が閉口される。以後、この操作の繰り返しによって遠隔操作式排水栓装置の排水口を自在に開閉することができる。
【０００４】
【特許文献１】
実開平 ２−１０９８７２号公報（第１図乃至第３図）
【特許文献２】
実開平 ６−２０５６４０号公報（第１図乃至第２図）
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
上記各従来例の従来例のロック機構は、図１０に示したように、支持軸、固定リング、回転リング及び係合壁から構成されている。この構造において、支持軸に固定リングを固定し、また回転リングを支持軸から抜脱不能に構成し、更に係合壁を案内筒内に設けて支持軸がこの案内筒から取り出せないように構成している。このため、上記のようなロック機構を有した遠隔操作式排水栓装置は、
１．ロック機構に破損等が生じた場合、破損個所が支持軸、固定リング、回転リング及び係合壁のいずれか１つにすぎなくても、修理を行うためには全てを取り替えなければ成らない。
２．ロック機構の全長（以下「ロック機構長さ」と呼ぶ）について、少なくとも支持軸にレリースワイヤのストローク長さを合した長さが要求され、図９の従来例であればこのロック機構長さよりも排水栓の全高を低くできず、また図１１の従来例であればこのロック機構長さ分よりも操作部の全長を短くすることができない。
３．レリースワイヤと支持軸の当接は、互いが極めて細いもの同士の当接のため、接続作業は大変細かく、困難な作業となっていた。
等の問題を有していた。
本発明は、上記の問題点を解決した遠隔操作式排水栓装置を提供するものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
請求項１に記載の本発明は、槽体（Ｂ）底面に設けられる排水口（１）と、該排水口（１）を上下動することで開閉する栓蓋（２）と、該栓蓋（２）の動作を操作する操作部（３）と、操作部（３）の操作を栓蓋（２）に伝達する、筒形状にして可撓性を有するアウターチューブ（４ａ）、該アウターチューブ（４ａ）内に摺動自在に備えられたインナーワイヤ（４ｂ）、から成るレリースワイヤ（４）と、インナーワイヤ（４ｂ）を操作部（３）側に付勢するワイヤスプリング（５）と、から成る遠隔操作式排水栓装置において、操作部（３）に、有底円筒形状にして、開口側の端部に複数の傾斜歯（６ａ）を設け、操作部（３）に対して円筒形状の軸方向に摺動可能で且つ軸に対して回転不能に備えられ、更に操作部（３）からの抜脱を防止するストッパーを備えた押ボタン部材（６）と、上記レリースワイヤ（４）のインナーワイヤ（４ｂ）端部に接続され、押ボタン部材（６）の円筒に内接する円筒部（７ａ）を設け、且つ円筒部（７ａ）の開口近傍の側面であって、上記押ボタン部材（６）の傾斜歯（６ａ）に対向する位置に設けられ、傾斜歯（６ａ）と歯合して部材全体を回転させる回転歯（７ｂ）、及び回転歯（７ｂ）の側面に設けた、上端に回転歯（７ｂ）から延設された傾斜を有する凸条（７ｃ）を備えた回転部材（７）と、該押ボタン部材（６）と同軸位置に配置され、操作部（３）に係止される円筒形状にして、その側面に回転部材（７）の凸条（７ｃ）に摺動自在に適合する凹条（８ａ）を設けるとともに、該凹条（８ａ）間に形成される山状部（８ｂ）の、回転歯（７ｂ）との対向位置に、上記回転歯（７ｂ）が当接している状態において、回転歯（７ｂ）と歯合して回転歯（７ｂ）の軸方向押ボタン部材（６）側への摺動を防止する固定歯（８ｃ）を設けたケーシング部（８）と、からなるロック機構を備えたことを特徴とする遠隔操作式排水栓装置である。尚、押ボタン部材の「有底円筒形状」という表現は形状の説明に用いるため便宜上「底」という表現を採用したものであって、ここでいう「底」面が常に下方を向いて配置される、ということを意味するものではない。また、上記表現の中で、「円筒形状」という表現は、その筒部分かあるいはそれに当接する部材が回転運動する略筒形状の部材である場合に用いられ、それ以外の「筒形状」という表現は、内部が中空の筒形状を成していれば、断面が特に円形状でなくても構わない場合に用いられている。
【０００７】
請求項２に記載の本発明は、上記遠隔操作式排水栓装置において、操作部（３）に、槽体（Ｂ）を有する排水機器の任意の箇所に取り付け固定される、筒状にしてその内部に上記ロック機構を収納する操作部本体（９）を備えると共に、押ボタン部材（６）と、回転部材（７）と、ケーシング部（８）と、の軸方向視からの大きさを、操作部本体（９）の表側の開口よりも小径とし、更にストッパーの抜脱防止機能およびケーシング部（８）の操作部（３）への係止を、表側からの操作によって解除可能としたことを特徴とする、上記段落０００６に記載の遠隔操作式排水栓装置である。尚、ここでいう「表」とは、槽体に水を溜める側の面と、それに連続する排水機器の面を意味する表現である。
である。
【０００８】
請求項３に記載の本発明は、上記遠隔操作式排水栓装置において、押ボタン部材（６）及び回転部材（７）に、各部材の内外を通気する通気口（１０）を設けたことを特徴とする上記段落０００６又は段落０００７に記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【０００９】
請求項４に記載の本発明は、上記遠隔操作式排水栓装置において、ロック機構に、押ボタン部材（６）を排水機器の表側に付勢するスイッチスプリング（１１）を備えたことを特徴とする上記段落０００６乃至段落０００９のいずれか１つに記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【００１０】
【実施例】
以下に本発明の実施例を、図面を参照にしつつ説明する。
本発明の第１実施例は、図１乃至図３に示したように、排水栓（１２）、栓蓋（２）、操作部（３）、レリースワイヤ（４）、軸受け部材（１３）、その他の各部材より構成されて成る。
排水栓（１２）は、内部に排水口（１）を形成する略円筒形状の部材であって、その外周面に雄螺子を設け、また排水口（１）内周面に、水平に沿って段部（１２ａ）を突設している。
栓蓋（２）は、上記排水口（１）に備えられる部材であって、上下動によって排水口（１）を開閉する。
操作部（３）は、上記栓蓋（２）の開閉動作を遠隔的に操作する部材であって、以下に記載した、操作部本体（９）と該操作部本体（９）内部に収納される押ボタン部材（６）、回転部材（７）、ケーシング部（８）、ワイヤ保持具（１４）、及びスイッチスプリング（１１）から成るロック機構を、その内部に備えて成る。
操作部本体（９）は、槽体（Ｂ）を有する排水機器の任意の箇所に取り付け固定される、筒状にしてその内部にロック機構を収納する部材である。
押ボタン部材（６）は、有底円筒形状の部材であって、通気口（１０）を設けた円板体と、その円板体の中心軸と同軸となるように円筒を二重に設けて成り、内側の円筒には、開口側端部に同一形状の傾斜から成る傾斜歯（６ａ）を、環状且つ等間隔に偶数個設け、更に外側面には円筒の軸方向に沿って後述するケーシング部（８）の凹条（８ａ）に合致するリブ体（６ｂ）が複数設けられて成る。また、押ボタン部材（６）の外側の円筒の側面には、後述する弾性突起（８ｄ）が係合する、ストッパーとしての切欠溝（６ｃ）が、円筒の軸方向に沿って複数設けられて成る。
回転部材（７）は、上記押ボタン部材（６）と同軸位置に配置される、円筒部（７ａ）を有する有底円筒形状の部材であって、円筒部（７ａ）の外径は、押ボタン部材（６）の円筒に内接し滑らかに摺動できる程度の大きさに形成されている。更に円筒部（７ａ）の開口近傍の側面であって、上記傾斜歯（６ａ）に対向する位置に、上記押しボタン部材（６）の傾斜歯（６ａ）と歯合して回転部材（７）全体を回転させる回転歯（７ｂ）を設けると共に、更に回転歯（７ｂ）の側面に、回転歯（７ｂ）の２歯に１条の割合で凸条（７ｃ）を設けてなる。また円筒部（７ａ）の底壁面には通気口（１０）を設けて成る。
尚、押ボタン部材（６）及び回転部材（７）の説明に記載した、「有底円筒形状」という表現は、形状の説明に用いるため、便宜上「底」という表現を採用したものであって、ここでいう「底」が、常に下方を向いて配置される、ということを意味するものではない。
ケーシング部（８）は、該押ボタン部材（６）と同軸位置に配置され、操作部本体（９）に係止固定される円筒形状の部材であって、その内側側面に押ボタン部材（６）のリブ体（６ｂ）及び回転部材（７）の凸条（７ｃ）に摺動自在に対応する凹条（８ａ）を複数設けるとともに、該凹条（８ａ）間に形成される山状部（８ｂ）の、回転歯（７ｂ）との対向位置に、上記回転歯（７ｂ）が当接している状態において、回転歯（７ｂ）と歯合して回転歯（７ｂ）の押ボタン部材（６）側への摺動を防止する固定歯（８ｃ）を、山状部（８ｂ）毎に１歯の割合で設けてなる。
またケーシング部（８）の円筒側面に、押ボタン部材（６）の切欠溝（６ｃ）に係合する弾性突起（８ｄ）を有して成る。
ワイヤ保持具（１４）は操作部本体（９）に係止固定される部材であって、レリースワイヤ（４）のアウターチューブ（４ａ）端部を保持し、施工時にインナーワイヤ（４ｂ）端部が回転部材（７）の円筒端部の壁に当接する位置にレリースワイヤ（４）を配置固定する部材である。
スイッチスプリング（１１）は、押ボタン部材（６）とワイヤ保持具（１４）の間に配置される弾性体であって、押ボタン部材（６）を、切欠溝（６ｃ）と弾性突起（８ｄ）との係合が解除されない程度の強さで排水機器の表側に付勢する部材である。
さらにこの実施例では、押ボタン部材（６）、回転部材（７）、及びケーシング部（８）の、軸方向視からの大きさを、操作部本体（９）の表側の開口よりも小径とし、更に弾性突起（８ｄ）と切欠溝（６ｂ）との固定を、表側からの操作によって解除可能としている。
尚、ここでいう「排水機器の表側」とは、槽体（Ｂ）に水を溜める側の面と、それに連続する排水機器の面を意味する表現である。
レリースワイヤ（４）は、側面方向に可撓性を備えた中空のアウターチューブ（４ａ）と、該アウターチューブ（４ａ）の内面を軸方向に進退するインナーワイヤ（４ｂ）と、インナーワイヤ（４ｂ）の一端に備えられたロッド部（４ｃ）、及びアウターチューブ（４ａ）内に備えた、インナーワイヤ（４ｂ）を操作部（３）側に付勢するワイヤスプリング（５）から成る。
軸受け部材（１３）は、排水口（１）に設けた段部（１２ａ）に載置係合する円筒形状のリング部（１３ａ）と、該リング部（１３ａ）から中心部に向かって延出されたアーム部（図示省略）と、アーム部中心に設けた軸受け部（１３ｂ）から成る樹脂製の部材である。
また、その他の部材として、上記排水栓（１２）の雄螺子を備えた開口部と排水口（１）からの排水を下水側に排出するための排出口（１５ａ）、及びレリースワイヤ（４）を通すための接続孔（１５ｂ）を備えた排水エルボ（１５）を備えて成る。
またこれらを取り付ける浴槽等の槽体（Ｂ）は、上方に開口したケーシング等からなり、その底面に排水栓（１２）を取り付ける為の取着孔を設けて成る。
【００１１】
上記の各部材より構成される遠隔操作式排水栓装置は、以下のようにして洗面台、浴槽等の槽体（Ｂ）に設けられた取着孔に取着される。
まず排水栓（１２）を、取着孔を介して排水エルボ（１５）の開口と螺合させ、排水栓（１２）を取着孔に取り付け固定する。また、排水機器の任意の箇所に操作部本体（９）を取り付け固定する。
次に、レリースワイヤ（４）の一方の端部、ワイヤスプリング（５）によってインナーワイヤ（４ｂ）が付勢される側のアウターチューブ（４ａ）端部を、ワイヤ保持具（１４）に保持した状態で取り付けする。
次に、レリースワイヤ（４）の、ワイヤ保持具（１４）を備えない側を、操作部本体（９）に挿通した上で、排水エルボ（１５）の接続孔を介し、排水栓（１２）内に相通する。さらに排水栓（１２）内から、軸受け部材（１３）の軸受け部（１３ｂ）にアウターチューブ（４ａ）の端部を接続したのち、軸受け部材（１３）のリング部（１３ａ）を排水栓（１２）内の段部（１２ａ）に載置係合して固定し、更にレリースワイヤ（４）のインナーワイヤ（４ｂ）端部のロッド部（４ｃ）に栓蓋（２）を接続する。
またワイヤ保持具（１４）を、操作部本体（９）の表側の開口から操作部本体（９）内部に挿通して、操作部本体（９）内に係合固定する。
更に操作部本体（９）内部に、表側の開口から、ケーシング部（８）、回転部材（７）、スイッチスプリング（１１）の順に各部材を挿通させて配置し、最後に押ボタン部材（６）の切欠溝（６ｃ）にケーシング部（８）の弾性突起（８ｄ）を係合させて遠隔操作式排水栓装置の施工が完了する。
【００１２】
上記のように構成された遠隔操作式排水栓装置の使用方法を、図面を参照しつつ説明する。尚、図４乃至図８においては、説明を容易とするため、外側の円筒部分及びリブ体（６ｂ）を省略した押ボタン部材（６）、回転部材（７）、切欠きしたケーシング部（８）及び同じく切欠きした操作部本体（９）のみを図示し、それ以外の部材の図示を省略している。また押ボタン部材（６）及び回転部材（７）は図示を省略したスイッチスプリング（１１）、及びワイヤスプリング（５）の作用によって、常に上方に向かって付勢されている。
【００１３】
まず、操作部（３）に操作を加えて図１のような状態、すなわち栓蓋（２）が降下して、排水口（１）が閉口した状態とする。
この時の、押ボタン部材（６）と、回転部材（７）、ケーシング部（８）及び操作部本体（９）の位置関係は図４のようであり、回転部材（７）の凸条（７ｃ）が、ケーシング部（８）の凹条（８ａ）に嵌まり込んだ状態となっている。
この状態から、押ボタン部材（６）に押し操作を加えると、押ボタン部材（６）と共に回転部材が図５のように降下し、更に回転部材（７）の凸条（７ｃ）がケーシング部（８）の固定歯（８ｃ）よりも下方と成り、回転部材（７）が回転可能となった際に、傾斜歯（６ａ）に沿って回転部材（７）が回転し、図６に図示した状態となる。尚、押ボタン部材（６）は、リブ体（６ｂ）が凹条に嵌り込んでいるため、上下に滑動するのみで、回転が生じることはない。この状態から押ボタン部材（６）の押し操作を解除すると、スイッチスプリング（１１）、またワイヤスプリング（５）の作用によって押ボタン部材（６）及び回転部材（７）が上昇するが、押ボタン部材（６）は、上述のように切欠溝（６ｃ）と弾性突起（８ｄ）の嵌合の上端まで上昇するのに対し、回転部材（７）は回転して凸条（７ｃ）の位置がずれているため、凸条（７ｃ）の上面に設けられた回転歯（７ｂ）が、図７に示したように山状部（８ｂ）に設けられた固定歯（８ｃ）と歯合し、傾斜に沿って若干回転した上で回転部材（７）の上昇がストップする。このため、回転部材（７）に当接しているレリースワイヤ（４）のインナーワイヤ（４ｂ）も下方に押し込まれた状態で固定されるため、インナーワイヤ（４ｂ）のロッド部（４ｃ）に接続された栓蓋（２）がその分上昇して、遠隔操作式排水栓装置が図２に示したような開口状態となる。
この遠隔操作式排水栓装置の開口状態から、再び押ボタン部材（６）に押し操作を加えると、押ボタン部材（６）と共に回転部材（７）が降下し、更に回転部材（７）の凸条（７ｃ）がケーシング部（８）の固定歯（８ｃ）よりも下方になった状態で、傾斜歯（６ａ）に沿って回転部材（７）が回転し、図８に示したように、再び回転部材（７）の凸条（７ｃ）に、ケーシング部（８）の凹条（８ａ）が嵌まり込む位置に配置される。
この状態から押ボタン部材（６）の押し操作を解除すると、スイッチスプリング（１１）、またワイヤスプリング（５）の作用によって押ボタン部材（６）及び回転部材（７）が上昇し、図５の状態を経て、最終的には再び図４にある状態まで上昇する。この場合は、回転部材（７）が上限まで上昇し、回転部材（７）に当接しているレリースワイヤ（４）のインナーワイヤ（４ｂ）も上限まで上昇するため、インナーワイヤ（４ｂ）が摺動して、インナーワイヤ（４ｂ）に接続された栓蓋（２）が降下し、遠隔操作式排水栓装置が図１に示したような閉口状態となる。以後、この押ボタン部材（６）に押し操作を繰り返すことで、遠隔操作式排水栓装置の排水口（１）を自在に開閉することができる。
【００１４】
また遠隔操作式排水栓装置のロック機構において、各部の密閉性が高いと、ロック機構内の空気の圧力によって押ボタン部材（６）や回転部材（７）の押し操作や、各スプリングによる戻り動作が鈍くなってしまい、作動不良を生じる場合があったが、上記遠隔操作式排水栓装置のロック機構の場合、押ボタン部材（６）及び回転部材（７）には通気口（１０）が設けられているため、空気の圧力による作動不良が生じない構成となっている。
【００１５】
また、上記遠隔操作式排水栓装置において、ロック機構に破損等が生じた場合、押ボタン部材（６）とケーシング部（８）との係合を解除し、排水機器の表側から、押ボタン部材（６）、回転部材（７）、ケーシング部（８）、スイッチスプリング（１１）、またワイヤ保持具（１４）を取り出すことができ，更には破損した部材のみの交換にて元の状態に戻すことで、容易且つ安価に遠隔操作式排水栓装置を修理することができる。
【００１６】
本発明の実施例は上記のようであるが、本発明は上記実施例に限定されることなく、必要に応じて要旨を変更しない範囲で自在に変更することができる。
例えば上記実施例においては、操作部（３）を排水機器の水平な面に取りつけ、押ボタン部材（６）を下方に押しこむようにして操作を加えるように構成しているが、必要に応じ、操作部（３）を排水機器の垂直な面に取りつけ、押ボタン部材（６）を水平方向に押しこむようにして操作を加えるように構成しても良い。
【００１７】
また上記実施例においては、操作部（３）にスイッチスプリング（１１）を採用しているが、これは押し操作を加えている時以外は、押ボタン部材（６）を一定の位置に配置して意匠性を向上させるためであって、特に意匠性が要求されない場合は省略してもかまわない。
【００１８】
また上記実施例においては、ワイヤ保持具（１４）をレリースワイヤ（４）に別途取り付けするように構成しているが、両者を一体成形の部材としてワイヤ保持具（１４）をレリースワイヤ（４）端部に備えた構成としてもよい。
【００１９】
【発明の効果】
本願発明の排水トラップ配管は、上記のように構成したため、以下のような効果を奏する。
１．本発明は遠隔操作式排水栓装置のロック機構において、支持軸を省略することができたため、その分ロック機構長さを短くすることができ、その分遠隔操作式排水栓装置の構造に自由度をますことができる。
２．本発明は遠隔操作式排水栓装置のロック機構において、支持軸を省略することができたため、その分部材単価を下げることができる。
３．本発明は遠隔操作式排水栓装置のロック機構において、支持軸を省略したことで、ロック機構を構成する部材単位での部品交換が可能となり、修理等を安価且つ容易に行うことができる。
４．本発明のロック機構において、インナーワイヤの端部は、回転部材の有底筒状の底に相当する部分に当接させることでその機能を果たすことができる。回転部材の横幅は必要に応じ大型化することができ、従来のロック機構のようにレリースワイヤと支持軸のような、先端が細いもの同士の当接とする必要が無くなったことで、施工作業が容易とすることができる。
５．押ボタン部材と、回転部材と、ケーシング部と、の軸方向視からの大きさを、操作部本体の表側の開口よりも小径とし、更にストッパーの抜脱防止機能およびケーシング部の操作部への係止を、表側からの操作によって解除可能とした本発明の場合、ロック機構を洗面台、浴槽などの排水機器の表側から脱着することができ、施工や修理などを極めて容易に行うことができる。
６．押ボタン部材及び回転部材に、各部材の内外を通気する通気口を設けた本発明の場合、押し操作による空気の圧力の変化のために、作動不良が生じることを防止することができる。
７．ロック機構に、押ボタン部材を排水機器の表側に付勢するスイッチスプリングを備えた本発明の場合、遠隔操作式排水栓装置の意匠性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例の、排水口が閉口した状態を示す断面図である。
【図２】本発明の実施例の、排水口が開口した状態を示す断面図である。
【図３】本発明の操作部を構成する各部材の、部材構成を示す断面図である。
【図４】本発明のロック機構の作動状態を示す参考図である。
【図５】本発明のロック機構の作動状態を示す参考図である。
【図６】本発明のロック機構の作動状態を示す参考図である。
【図７】本発明のロック機構の作動状態を示す参考図である。
【図８】本発明のロック機構の作動状態を示す参考図である。
【図９】従来例を示す断面図である。
【図１０】従来のロック機構を示す、一部を切欠した参考図である。
【図１１】他の従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
１ 排水口 ２ 栓蓋
３ 操作部 ４ レリースワイヤ
４ａ アウターチューブ ４ｂ インナーワイヤ
４ｃ ロッド部 ５ ワイヤスプリング
６ 押ボタン部材 ６ａ 傾斜歯
６ｂ リブ体 ６ｃ 切欠溝
７ 回転部材 ７ａ 円筒部
７ｂ 回転歯 ７ｃ 凸条
８ ケーシング部 ８ａ 凹条
８ｂ 山状部 ８ｃ 固定歯
８ｄ 弾性突起 ９ 操作部本体
１０ 通気口 １１ スイッチスプリング
１２ 排水栓 １３ 軸受け部材
１３ａ リング部 １３ｂ 軸受け部
１４ ワイヤ保持具 １５ 排水エルボ
１５ａ 排出口 １５ｂ 挿通孔
Ｂ 槽体

Claims (4)

1. 槽体（Ｂ）底面に設けられる排水口（１）と、
   該排水口（１）を上下動することで開閉する栓蓋（２）と、
   該栓蓋（２）の動作を操作する操作部（３）と、
   操作部（３）の操作を栓蓋（２）に伝達する、筒形状にして可撓性を有するアウターチューブ（４ａ）、該アウターチューブ（４ａ）内に摺動自在に備えられたインナーワイヤ（４ｂ）、から成るレリースワイヤ（４）と、
   インナーワイヤ（４ｂ）を操作部（３）側に付勢するワイヤスプリング（５）と、
   から成る遠隔操作式排水栓装置において、
   操作部（３）に、
   有底円筒形状にして、開口側の端部に複数の傾斜歯（６ａ）を設け、操作部（３）に対して円筒形状の軸方向に摺動可能で且つ軸に対して回転不能に備えられ、更に操作部（３）からの抜脱を防止するストッパーを備えた押ボタン部材（６）と、
   上記レリースワイヤ（４）のインナーワイヤ（４ｂ）端部に接続され、押ボタン部材（６）の円筒に内接する円筒部（７ａ）を設け、且つ円筒部（７ａ）の開口近傍の側面であって、上記押ボタン部材（６）の傾斜歯（６ａ）に対向する位置に設けられ、傾斜歯（６ａ）と歯合して部材全体を回転させる回転歯（７ｂ）、及び回転歯（７ｂ）の側面に設けた、上端に回転歯（７ｂ）から延設された傾斜を有する凸条（７ｃ）を備えた回転部材と、
   該押ボタン部材（６）と同軸位置に配置され、操作部（３）に係止される円筒形状にして、
   その側面に回転部材（７）の凸条（７ｃ）に摺動自在に適合する凹条（８ａ）を設けるとともに、該凹条（８ａ）間に形成される山状部（８ｂ）の、回転歯（７ｂ）との対向位置に、上記回転歯（７ｂ）が当接している状態において、回転歯（７ｂ）と歯合して回転歯（７ｂ）の軸方向押ボタン部材（６）側への摺動を防止する固定歯（８ｃ）を設けたケーシング部（８）と、
   からなるロック機構を備えたことを特徴とする遠隔操作式排水栓装置。
2. 上記遠隔操作式排水栓装置において、
   操作部（３）に、槽体（Ｂ）を有する排水機器の任意の箇所に取り付け固定される、筒状にしてその内部に上記ロック機構を収納する操作部本体（９）を備えると共に、
   押ボタン部材（６）と、回転部材（７）と、ケーシング部（８）と、の軸方向視からの大きさを、
   操作部本体（９）の表側の開口よりも小径とし、
   更にストッパーの抜脱防止機能およびケーシング部（８）の操作部（３）への係止を、表側からの操作によって解除可能としたことを特徴とする、上記請求項１に記載の遠隔操作式排水栓装置。
3. 上記遠隔操作式排水栓装置において、
   押ボタン部材（６）及び回転部材（７）に、各部材の内外を通気する通気口（１０）を設けたことを特徴とする上記請求項１又は請求項２に記載の遠隔操作式排水栓装置。
4. 上記遠隔操作式排水栓装置において、
   ロック機構に、押ボタン部材（６）を排水機器の表側に付勢するスイッチスプリング（１１）を備えたことを特徴とする上記請求項１乃至請求項３のいずれか１つに記載の遠隔操作式排水栓装置。

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